特許第6051794号(P6051794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許60517944−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051794
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/58 20060101AFI20161219BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20161219BHJP
   C07C 33/46 20060101ALN20161219BHJP
【FI】
   C07C29/58
   !C07B61/00 300
   !C07C33/46
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-245091(P2012-245091)
(22)【出願日】2012年11月7日
(65)【公開番号】特開2013-121950(P2013-121950A)
(43)【公開日】2013年6月20日
【審査請求日】2015年9月9日
(31)【優先権主張番号】特願2011-246239(P2011-246239)
(32)【優先日】2011年11月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】三浦 正哉
(72)【発明者】
【氏名】北浦 武明
【審査官】 三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−507435(JP,A)
【文献】 特表2004−512319(JP,A)
【文献】 特開2008−222710(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1438209(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第1458137(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 29/58
C07C 33/46
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数1〜3のアルコール溶媒とパラジウム炭素との存在下で4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドと水素とを接触させて4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンを製造する製造方法であり、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドと水素との接触開始までの間、炭素数1〜3のアルコール溶媒とパラジウム炭素とを含む混合物の温度を−5℃以上10℃以下に保持し、かつ、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドと水素との接触を、35℃以上100℃以下で行なう、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンの製造方法。
【請求項2】
アルコール溶媒がメタノールである請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドが4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルクロリドである請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
工程(1)、工程(2)および工程(3)を含み、工程(1)、工程(2)および工程(3)がこの順に行なわれる請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
工程(1):炭素数1〜3のアルコール溶媒とパラジウム炭素とを含む混合物を−5℃以上10℃以下で調製する工程
工程(2):工程(1)で得られる混合物の温度を−5℃以上10℃以下に保ちながら、反応系内の気相を水素置換する工程
工程(3):工程(2)で形成された反応系に4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドを滴加し、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドと水素とを35℃以上100℃以下で接触させる工程
【請求項5】
工程(4)および工程(5)を含み、工程(4)および工程(5)がこの順に行なわれる請求項1〜のいずれに記載の製造方法。
工程(4):炭素数1〜3のアルコール溶媒とパラジウム炭素と4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドとを含む混合物を−5℃以上10℃以下で調製する工程
工程(5):工程(4)で得られる含む混合物の温度を−5℃以上10℃以下に保ちながら、反応系内の気相を水素置換し、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドと水素とを35℃以上100℃以下で接触させる工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンは、医薬および農薬の合成中間体として有用な化合物である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−222710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンを収率よく製造する方法が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記の発明を含む。
[1]炭素数1〜3のアルコール溶媒とパラジウム炭素との存在下で4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドと水素とを接触させて4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンを製造する製造方法であり、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドと水素との接触開始までの間、炭素数1〜3のアルコール溶媒とパラジウム炭素とを含む混合物の温度を15℃以下に保持する製造方法。
[2]4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドと水素との接触を、15℃を超え100℃以下の範囲で行なう[1]記載の製造方法。
[3]アルコール溶媒がメタノールである[1]または[2]記載の製造方法。
[4]4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドが4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルクロリドである[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]工程(1)、工程(2)および工程(3)を含み、工程(1)、工程(2)および工程(3)がこの順に行なわれる[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
工程(1):炭素数1〜3のアルコール溶媒とパラジウム炭素とを含む混合物を15℃以下で調製する工程
工程(2):工程(1)で得られる混合物の温度を15℃以下に保ちながら、反応系内の気相を水素置換する工程
工程(3):工程(2)で形成された反応系に4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドを滴加し、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドと水素とを接触させる工程
[6]工程(4)および工程(5)を含み、工程(4)および工程(5)がこの順に行なわれる[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
工程(4):炭素数1〜3のアルコール溶媒とパラジウム炭素と4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドとを含む混合物を15℃以下で調製する工程
工程(5):工程(4)で得られる含む混合物の温度を15℃以下に保ちながら、反応系内の気相を水素置換し、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドと水素とを接触させる工程
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、収率よく4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドとしては、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルフロリド、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルクロリド、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルブロミド、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルヨージドが挙げられる。好ましくは、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルクロリドまたは4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルブロミドである。
【0008】
炭素数1〜3のアルコール溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコールが挙げられ、好ましくはメタノールが挙げられる。
【0009】
炭素数1〜3のアルコール溶媒の使用量は、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライド1重量部に対して、0.5重量部〜20重量部が好ましい。
【0010】
パラジウム炭素は、通常、市販のものを用いることができる。パラジウム炭素として、含水パラジウム炭素を用いてもよい。
【0011】
パラジウム炭素の使用量は、パラジウム炭素に含まれる金属量換算で、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライド1モルに対して、0.05モル%〜5モル%が好ましい。
【0012】
水素圧は、通常、常圧〜1MPaである。
【0013】
4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドと水素との接触は、副生するハロゲン化水素を中和するために、塩基の存在下で実施してもよい。
塩基としては、無機塩基が挙げられる。無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;酸化マグネシウム、酸化カルシウム等のアルカリ土類金属酸化物;等が挙げられる。
【0014】
塩基の使用量は、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライド1モルに対して、0.1モル〜5モルが好ましい。
【0015】
4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドと水素との接触は、炭素数1〜3のアルコール以外の溶媒の存在下に行なってもよい。
炭素数1〜3のアルコール溶媒以外の溶媒としては、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドと水素との反応に不活性な溶媒が好ましい。
炭素数1〜3のアルコール溶媒以外の溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、へキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;n−ブタノール、tert−ブチルアルコール等の炭素数4以上のアルコール溶媒;水;等が挙げられる。
【0016】
炭素数1〜3のアルコール溶媒以外の溶媒の使用量は、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライド1重量部に対して、0重量部〜20重量部が好ましい。
【0017】
本発明の製造方法は、工程(1)、工程(2)および工程(3)を含むことが好ましく、工程(1)、工程(2)および工程(3)がこの順に行なわれることがより好ましい。
工程(1):炭素数1〜3のアルコール溶媒とパラジウム炭素とを含む混合物を15℃以下で調製する工程
工程(2):工程(1)で得られる混合物の温度を15℃以下に保ちながら、反応系内の気相を水素置換する工程
工程(3):工程(2)で形成された反応系に4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドを滴加し、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドと水素とを接触させる工程
本発明の製造方法は、工程(4)および工程(5)を含むことが好ましく、工程(4)および工程(5)がこの順に行なわれることがより好ましい。
工程(4):炭素数1〜3のアルコール溶媒とパラジウム炭素と4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドとを含む混合物を15℃以下で調製する工程
工程(5):工程(4)で得られる含む混合物の温度を15℃以下に保ちながら、反応系内の気相を水素置換し、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドと水素とを接触させる工程
4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドと水素との接触は、反応系に水素を導入し続けながら行なうことが好ましい。
【0018】
4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドと水素とを接触開始させた後は、反応混合物の温度を、通常15℃を超え100℃以下、好ましくは35℃以上100℃以下、より好ましくは35℃以上65℃以下、さらに好ましくは35℃以上55℃以下、特に好ましくは35℃以上50℃未満に調整し、反応を行なう。
4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルハライドと水素との接触の終期の反応混合物の温度は、好ましくは35℃以上100℃以下、より好ましくは35℃以上65℃以下、さらに好ましくは35℃以上55℃以下、特に好ましくは35℃以上50℃未満である。接触終了後、必要に応じて反応混合物を常温で保持してもよい。
【0019】
反応の進行は、例えばガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー等の通常の分析手段により確認することができる。
【0020】
反応終了後の混合物は、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンを含有しており、例えば、反応混合物からパラジウム炭素等の不溶分を濾過により除去した後、水および水に不溶な有機溶媒を加えて洗浄し、得られた有機層を濃縮することにより、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンを単離することができる。水に不溶な溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、へキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒等が挙げられる。得られた4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンは、例えば、蒸留、カラムクロマトグラフィー、晶析等の通常の手段により、さらに精製されてもよい。
【実施例】
【0021】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。各例中の「%」は、特記しないかぎり質量基準である。
【0022】
実施例1
300mLのフラスコに、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルクロリド20.0g、キシレン50g、メタノール50gおよび酸化マグネシウム2.5gを入れて混合物を得た。フラスコ内の気相を窒素置換後、混合物を5℃まで冷却し、5%パラジウム炭素50%含水品(2.5%パラジウム含有)0.5gおよび水1.5gをフラスコ内に添加し、5℃で1時間攪拌して反応混合物を得た。その後、フラスコ内気相を水素置換した。常圧で水素をフラスコ内に供給しながら、反応混合物を45℃まで昇温した。常圧で水素をフラスコ内に供給し続けながら、反応混合物を45℃で7時間撹拌後、反応混合物中の4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンと4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルクロリドとの比を高速液体クロマトグラフィー面積百分率法により分析した。4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンが96.7%生成していた。
【0023】
実施例2
実施例1において、45℃での反応混合物の攪拌時間を9時間にする以外は、実施例1と同様に反応を実施した。4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンが99.9%生成していた。
【0024】
実施例3
実施例1において、5%パラジウム炭素50%含水品(2.5%パラジウム含有)0.5gおよび水1.5gをフラスコに添加する際の混合物の温度を10℃とし、45℃での反応混合物の攪拌時間を7.5時間にする以外は、実施例1と同様に反応を実施した。4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンが98.9%生成していた。
【0025】
比較例1
実施例1において、5%パラジウム炭素50%含水品(2.5%パラジウム含有)0.5gおよび水1.5gをフラスコに添加する際の混合物の温度を25℃とし、45℃での反応混合物の攪拌時間を8時間にする以外は、実施例1と同様に反応を実施した。4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンが84%生成していた。
【0026】
実施例4
窒素置換した300mLのフラスコに、メタノール50g、酸化マグネシウム2.5gおよびキシレン20gを入れて混合物を得た。得られた混合物を−5℃に冷却してから5%パラジウム炭素50%含水品(2.5%パラジウム含有)0.4gおよび水1.5gをフラスコ内に添加した。得られた混合物を−5℃で2時間攪拌後、フラスコ内の気相を水素置換した。常圧でフラスコ内に水素を供給しながら、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルクロリド20.0gとキシレン50gとの混合液をフラスコ内に滴下して反応混合物を得た。滴下開始と同時に、反応混合物を−5℃から45℃まで2.5時間かけて昇温した。滴下は6時間かかった。滴下終了後、常圧でフラスコ内に水素を供給し続けながら、さらに反応混合物を45℃で13時間撹拌し、得られた反応混合物中の4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンと4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルクロリドとの比を高速液体クロマトグラフィー面積百分率法により分析した。4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンが99.9%生成していた。
【0027】
実施例5
氷水に漬けて冷却した状態の1Lのオートクレーブに、メタノール150g、酸化マグネシウム7.4g、キシレン60g、5%パラジウム炭素50%含水品(2.5%パラジウム含有)1.2gおよび水4.5gを入れ、混合物を得た。オートクレーブ内の気相を窒素置換して、内圧0.06MPaで混合物を1時間撹拌した。次いで、オートクレーブ内の気相を水素置換して、内圧0.07MPaを維持してオートクレーブ中に水素を供給しながら、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルクロリド164.6gとキシレン45.5gとの混合液をフラスコ内に滴下して反応混合物を得た。滴下開始と同時にオートクレーブを氷水からから取り出し、反応混合物を45℃まで2.5時間かけて昇温した。滴下は7時間かかった。滴下終了後、常圧でフラスコ内に水素を供給し続けながら、さらに反応混合物を45℃で19時間撹拌し、得られた反応混合物中の4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンと4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルクロリドとの比を高速液体クロマトグラフィー面積百分率法により分析した。4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンが99.6%生成していた。
【0028】
比較例2
300mLのフラスコ内を窒素置換し、メタノール50g、酸化マグネシウム2.5g、5%パラジウム炭素50%含水品(2.5%パラジウム含有)0.5gおよび水1.5gを21℃で仕込み、混合物を得た。混合物を21℃で1時間撹拌した後に、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルクロリド20.0gおよびキシレン50gを混合物に加えて、反応混合物を得た。その後、フラスコ内の気相を水素置換した。内温を45℃まで昇温し、常圧で水素を供給しながら45℃で9時間撹拌後、得られた反応混合物中の4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンと4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルクロリドとの比を高速液体クロマトグラフィー面積百分率法により分析した。4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンが64%生成していた。
【0029】
比較例3
300mLのフラスコ内を窒素置換し、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルクロリド20.0g、キシレン50g、5%パラジウム炭素50%含水品(2.5%パラジウム含有)0.5g、水1.5gを25℃で仕込み、25℃で30分撹拌した後に、メタノール50g、酸化マグネシウム2.5gを加えて、更に25℃で1時間撹拌した。フラスコ内の気相を水素置換後、内温を45℃まで昇温し、常圧で水素を供給しながら、45℃で8時間撹拌した。得られた反応混合物中の4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンと4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルクロリドとの比を高速液体クロマトグラフィー面積百分率法により分析した。4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンが84%生成していた。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、4−ヒドロキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロトルエンを収率よく製造することができる。