特許第6051805号(P6051805)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6051805インクジェット記録用インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、インク記録物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051805
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】インクジェット記録用インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、インク記録物
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/322 20140101AFI20161219BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20161219BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   C09D11/322
   B41M5/00 E
   B41J2/01 501
【請求項の数】8
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2012-253649(P2012-253649)
(22)【出願日】2012年11月19日
(65)【公開番号】特開2014-101436(P2014-101436A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100116481
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 利郎
(72)【発明者】
【氏名】小飯塚 祐介
(72)【発明者】
【氏名】永井 一清
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 充
(72)【発明者】
【氏名】野々垣 正康
(72)【発明者】
【氏名】羽切 稔
(72)【発明者】
【氏名】松山 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 啓太
【審査官】 仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/022001(WO,A1)
【文献】 特開2002−020673(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0075369(US,A1)
【文献】 特開2007−070568(JP,A)
【文献】 特開2007−153985(JP,A)
【文献】 特開2007−077233(JP,A)
【文献】 特開2007−070567(JP,A)
【文献】 特開2008−094938(JP,A)
【文献】 特開2011−122072(JP,A)
【文献】 特開2014−198810(JP,A)
【文献】 特開平09−077985(JP,A)
【文献】 特開2010−132855(JP,A)
【文献】 特開昭61−053312(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0140008(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02467434(EP,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102471619(CN,A)
【文献】 特表2013−502481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00−54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも水、水溶性有機溶剤、顔料、及びホスホン酸基の塩を有する共重合体を含有するインクジェット記録用インクにおいて、前記ホスホン酸基の塩を有する共重合体が、少なくとも(式1)で表される構造単位と(式2)で表される構造単位を有し、(式1)の構造単位の含有率が20〜60質量%であることを特徴とするインクジェット記録用インク。
【化5】
上記式中、Mは、アルカリ金属の陽イオン、有機アンモニウムイオン又はプロトンを表す。ただし、前記共重合体中のMの半分以上が、アルカリ金属の陽イオン及び有機アンモニウムイオンである。
【化6】
【請求項2】
前記ホスホン酸基の塩を有する共重合体における(式1)の構造単位の含有率が30〜60質量%であることを特徴とする請求項記載のインクジェット記録用インク。
【請求項3】
前記ホスホン酸基の塩を有する共重合体の重量平均分子量が、2,000〜30,000であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録用インク。
【請求項4】
少なくとも水、水溶性有機溶剤、顔料、及びホスホン酸基の塩を有する共重合体を含有するインクジェット記録用インクにおいて、前記ホスホン酸基の塩を有する共重合体が、ビニルホスホン酸と(式3)で表されるモノマーを出発物質として合成されたものであり、ビニルホスホン酸の含有率が20〜60質量%であることを特徴とするインクジェット記録用インク。
【化7】
【請求項5】
請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを容器中に収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項6】
請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録用インクに刺激を印加し飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項7】
請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録用インクに刺激を印加し飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項8】
記録媒体上に、請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録用インクにより記録された画像を有することを特徴とするインク記録物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録用インク及びこれを用いたインクカートリッジ、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、インク記録物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成方法として、他の記録方式に比べてプロセスが簡単でかつフルカラー化が容易であり、簡略な構成の装置であっても高解像度の画像が得られる利点があることから、インクジェット記録方式が普及してきた。インクジェット記録方式は、インクジェット記録装置により少量のインクを飛翔させ、紙などの記録媒体に付着させて画像を形成する方式であり、パーソナル及び産業用のプリンタや印刷まで用途が拡大してきている。
インクジェット記録装置には、着色剤として水溶性染料を使用した水系インクが主に用いられているが、該染料インクは耐候性及び耐水性に劣るという欠点がある。このため、近年、水溶性染料に代えて顔料インクの研究が進められているが、顔料インクは、染料インクに比べて発色性やインクの吐出安定性、保存安定性がまだ劣っている。また、OA用プリンタの高画質化技術の向上に伴い、顔料インクを用いて普通紙に記録する場合でも、染料インクと同等の画像濃度が要求されている。しかし、顔料インクを普通紙に適用すると、インクが紙中へ浸透することにより紙表面の顔料濃度が低くなり、画像濃度が低下するという問題がある。更に、高速印字化に対応すべく記録媒体に付着したインクの乾燥速度を早めるため、インクに浸透剤を添加し水を記録媒体中に浸透させて乾燥を早める手段がとられる。そうすると、水だけでなく顔料の記録媒体への浸透性も高くなってしまい、更に画像濃度が低下してしまうという現象が起こる。
【0003】
画像濃度の向上については様々な手法が提案されている。例えば特許文献1には、水溶性の多価金属塩を含有する紙への記録に用いられるインクが開示されている。このインクは、(a)顔料、及び(b)界面活性能を持たず、分子量が150〜10,000であり、分子構造中のリン酸を基本骨格とする官能基とホスホン酸を基本骨格とする官能基から選択される官能基由来のリンの含有率〔(P量/分子量)×100〕が1.4以上である化合物を少なくとも1種含有し、(b)の化合物の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として1.5〜10.0質量%であることを特徴としている。
しかし、特許文献1のインクでは、水溶性の多価金属塩の含有率が低い普通紙における画像濃度の向上が不十分であった。また、前記官能基を有する化合物を用いると、画像濃度は向上するが、インク中の顔料の分散が不安定となることが分かった。
すなわち、特許文献1では、高い画像濃度と、顔料分散体及びインク中の顔料の分散安定化の両立は達成できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の前記諸問題を解決し、普通紙においても高い画像濃度が得られ、かつ保存安定性が良好なインクジェット記録用インクの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討した結果、ホスホン酸基の塩を含有し、特定の構造単位を有する共重合体をインクジェット記録用インク(以下、インクということもある)の成分として用いると、インクが普通紙の紙面上で凝集し、紙表面上に顔料が留まるため、普通紙での高い画像濃度を得ることができ、更に、顔料分散体及びインク中の顔料の分散安定性がよくなり、インクの保存安定性が向上することを見出し本発明に至った。
すなわち、上記課題は、次の1)の発明によって解決される。
1) 少なくとも水、水溶性有機溶剤、顔料、及びホスホン酸基の塩を有する共重合体を含有するインクジェット記録用インクにおいて、前記ホスホン酸基の塩を有する共重合体が、少なくとも(式1)で表される構造単位と、(式2)で表される構造単位を有し、(式1)の構造単位の含有率が20〜60質量%であることを特徴とするインクジェット記録用インク。
【化1】
上記式中、Mは、アルカリ金属の陽イオン、有機アンモニウムイオン又はプロトンを表す。ただし、前記共重合体中のMの半分以上が、アルカリ金属の陽イオン及び有機アンモニウムイオンである。
【化2】
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、普通紙においても高い画像濃度が得られ、かつ、保存安定性が良好なインクジェット記録用インクを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明のインクジェット記録装置に配備される記録ヘッドの一例(2ヘッドタイプ)を示すノズル面から見た概略平面図である。
図2】本発明のインクジェット記録装置に配備される記録ヘッドの別例(4ヘッドタイプ)を示すノズル面から見た概略平面図である。
図3】本発明のインクジェット記録装置の一例を示す前方側から見た斜視説明図である。
図4図3に示すインクジェット記録装置の機構部の全体構成を説明する概略構成図である。
図5図3に示すインクジェット記録装置の機構部の要部平面説明図である。
図6】本発明のインクジェット記録装置における維持回復装置を含むサブシステムの要部平面説明図である。
図7図6に示すサブシステムの模式的概略構成図である。
図8図6に示すサブシステムの右側面説明図である。
図9】キャップの保持昇降機構部の側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、上記本発明1)について詳しく説明するが、本発明1)の実施の態様には、以下の2)〜)も含まれるので、これらについても併せて説明する。
) 前記ホスホン酸基の塩を有する共重合体における(式1)の構造単位の含有率が30〜60質量%であることを特徴とする)記載のインクジェット記録用インク。
) 前記ホスホン酸基の塩を有する共重合体の重量平均分子量が2,000〜30,000であることを特徴とする1)又は2)記載のインクジェット記録用インク。
) 少なくとも水、水溶性有機溶剤、顔料、及びホスホン酸基の塩を有する共重合体を含有するインクジェット記録用インクにおいて、前記ホスホン酸基の塩を有する共重合体が、ビニルホスホン酸と(式3)で表されるモノマーを出発物質として合成されたものであり、ビニルホスホン酸の含有率が20〜60質量%であることを特徴とするインクジェット記録用インク。
【化3】
) 1)〜)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを容器中に収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
) 1)〜)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクに刺激を印加し飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
) 1)〜)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクに刺激を印加し飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
) 記録媒体上に、1)〜)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクにより記録された画像を有することを特徴とするインク記録物。
【0009】
本発明のインクを用いた場合の顔料凝集のメカニズムは定かではないが、以下のように推測される。
前記(式1)で表される構造単位中のホスホン酸基又はホスホン酸基の塩は多価金属イオンとの親和性が高く、記録媒体から溶出してくる多価金属イオンに速やかに配位する。
本発明のホスホン酸基の塩を含む共重合体を分散剤として用いた場合、該共重合体は、大部分がインク中で顔料に吸着している。ここで、前記(式1)で表される構造単位中のホスホン酸基又はホスホン酸基の塩が記録媒体から溶出してくる多価金属イオンと配位すると、以下の(1)〜(3)の少なくとも一つの要因によりインク中の顔料の分散安定性が低下し、顔料の凝集が起こる。
(1)対イオンの価数が増加するため、顔料同士の静電的な反発力が減少する。
(2)本発明のホスホン酸基の塩を含む共重合体のインク中での溶解度が低下するため、高分子吸着層が減少し、顔料同士の立体的な反発力が低下する。
(3)本発明のホスホン酸基の塩を含む共重合体のインク中での溶解度が低下するため、本発明のホスホン酸基の塩を含む共重合体を含めた顔料の水和安定性が低下する。
また、本発明のホスホン酸基の塩を含む共重合体を添加剤として用いる場合、それ自身が記録媒体から溶出してくる多価金属イオンに配位して不溶体を形成し、それが凝集の核となり顔料凝集を発生させる。
【0010】
−−ホスホン酸基の塩を有する共重合体−−
本発明のインクに含有させるホスホン酸基の塩を有する共重合体は、少なくとも前記(式1)で表される構造単位と、前記(式2)で表される構造単位を有する。
(式1)で表される構造単位を有することにより、インクが普通紙などの記録媒体上に着弾した際に、記録媒体から溶出してくる多価金属イオンと反応して顔料の凝集を誘起する。その結果、顔料の紙中への浸透が抑制され高い画像濃度が得られる。また(式2)で表される構造単位を有することにより、ホスホン酸基の塩を有する共重合体の顔料への親和性が高くなる。その結果、顔料分散体及びインク中の顔料の分散性が向上し、顔料分散体及びインクの粘度が低くなると共に、保存安定性も良好となる。
【0011】
前記ホスホン酸基の塩を有する共重合体中の(式1)で表される構造単位の含有率が低いと、記録媒体から溶出してくる多価金属イオンとの反応性が低下し、画像濃度が低下する傾向にある。したがって、前記含有率は20〜60質量%とするが、30〜60質量%が好ましい。含有率が60質量%以下であれば、顔料の分散安定性低下により顔料分散体及びインクの粘度が上昇したり、保存安定性が悪化したりすることはない。更に含有率が30〜60質量%であれば、画像濃度向上とインクの保存安定性を高いレベルで両立させることができる。
【0012】
前記ホスホン酸基の塩を有する共重合体の重量平均分子量は、GPC測定のポリスチレン換算で2,000〜30,000が好ましい。前記分子量が2,000以上であれば、記録媒体から溶出してくる多価金属イオンと反応した際に、十分に顔料を凝集させることができるので、画像濃度が低下するようなことはない。また、前記分子量が30,000以下であれば、顔料の分散安定性の低下により、顔料分散体及びインクの粘度が上昇したり、保存安定性が悪化したりすることはない。
また、前記ホスホン酸基は、その一部又は全部が塩基で中和され、イオン化されていることが好ましい。中和に用いる塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物等の無機アルカリ剤、トリエチルアミン、ジエタノールアミン等の有機アミン類が挙げられる。
【0013】
前記ホスホン酸基の塩を有する共重合体は、少なくともビニルホスホン酸と前記(式3)で表されるモノマーを出発物質として合成される。(式3)で表されるモノマーは、ダイアセトンアクリルアミドの名称で市販されている。
合成方法としては、重合操作及び分子量の調整が容易なことから、ラジカル重合開始剤を用いる方法が好ましく、溶液中で重合反応を行う溶液重合法が更に好ましい。
溶液重合法でラジカル重合を行う際に好ましい溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、イソプロパノール、エタノール、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びヘキサメチルホスホアミド等が挙げられ、より好ましくは、ケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤及びアルコール系溶剤である。
【0014】
ラジカル重合開始剤としては公知のものを適宜使用でき、例えばパーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、シアノ系のアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビス(2,2′−イソバレロニトリル)、非シアノ系のジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。分子量の制御がしやすく、分解温度の低い有機過酸化物やアゾ系化合物が好ましく、特にアゾ系化合物がより好ましい。重合開始剤の使用量は、モノマーの総質量に対して、1〜10質量%が好ましい。
また、共重合体の分子量を調整するため、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、2−メルカプトエタノール、チオフェノール、ドデシルメルカプタン、1−ドデカンチオール、チオグリセロール等の連鎖移動剤を適量添加してもよい。
好ましい重合温度は50〜150℃、更に好ましくは60〜100℃である。好ましい重合時間は3〜48時間である。
【0015】
前記(式1)中のMの具体的組合せ例を表1に示す。
【表1】
前記ホスホン酸基の塩を有する共重合体としては、上記Mの組合せの他に前記(式1)と前記(式2)の組成比及び分子量が異なるものを適宜選択して使用することができる。
【0016】
本発明で用いる顔料としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、ブラック顔料としてはカーボンブラックが最も一般的である。
−−カーボンブラック−−
カーボンブラックとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。
カーボンブラックの製造方法には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ファーネス法、チャネル法などが挙げられる。
カーボンブラックの市販品としては、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(いずれも、三菱化学社製)、Raven700、5750、5250、5000、3500、1255(いずれも、コロンビア社製)、Regal400R、330R、660R、MogulL、Monarch700、800、880、900、1000、1100、1300、Monarch1400(いずれも、キャボット社製)、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170(いずれも、デグッサ社製)、プリンテックス35、U、V、140U、140V(いずれも、デグッサ社製)、スペシャルブラック6、5、4A、4(いずれも、デグッサ社製)などが挙げられる。
カーボンブラックの大きさには特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、平均一次粒径が15〜40nmのものが好ましい。
カーボンブラックの比表面積には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、BET法による比表面積が50〜300m/gのものが好ましい。
【0017】
−−カラー顔料−−
カラー顔料としては、例えば、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料などが挙げられる。
前記イエロー顔料としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。
その例としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、2、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、16、17、20、23、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、73、74、75、81、83(ジスアゾイエローHR)、86、93、95、97、98、100、101、104、108、109、110、114、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185などが挙げられる。
【0018】
前記マゼンタ顔料としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。
その例としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、7、9、12、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:1〔パーマネントレッド2B(Ba)〕、48:2〔パーマネントレッド2B(Ca)〕、48:3〔パーマネントレッド2B(Sr)〕、48:4〔パーマネントレッド2B(Mn)〕、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、97、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(ジメチルキナクリドン)、123、146、149、166、168、170、172、175、176、178、179、180、184、185、190、192、193、202、209、215、216、217、219、220、223、226、227、228、238、240、254、255、272などが挙げられる。
【0019】
前記シアン顔料としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。
その例としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15(銅フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、22、56、60、63、64、バットブルー4、バットブルー60などが挙げられる。
その他に、中間色(レッド、グリーン、ブルー)用の顔料として、例えば、C.I.ピグメントレッド177、194、224、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71、C.I.ピグメントバイオレット3、19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントグリーン7、36などが挙げられる。
【0020】
顔料の体積平均粒径には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、10〜150nmが好ましく、20〜100nmがより好ましく、30〜80nmが特に好ましい。体積平均粒径が10nm以上であれば、耐光性や保存安定性が低下することはない。また、体積平均粒径が150nm以下であれば、印写画像の彩度の低下、インク保存時の増粘凝集、印写時のノズルの詰まりなどの問題は生じない。
前記体積平均粒径は、例えば、日機装社製のマイクロトラックUPA−150を用い、顔料濃度が0.01質量%になるように純水で希釈した測定サンプルを用い、粒子屈折率1.51、粒子密度1.4g/cmで、溶媒パラメーターに純水のパラメーターを用いて、23℃で測定した50%平均粒径(D50)を意味する。
【0021】
−界面活性剤処理カーボンブラック粒子、及び界面活性剤処理カラー顔料粒子−
顔料としては、表面に界面活性剤を吸着させた界面活性剤処理カーボンブラック粒子や界面活性剤処理カラー顔料粒子を使用することができる。
界面活性剤処理カーボンブラック粒子としては、前記カーボンブラックとその表面に存在する界面活性剤とを有する粒子であれば特に制限はなく目的に応じて適宜選択できる。
界面活性剤処理カラー顔料粒子としては、前記カラー顔料とその表面に存在する界面活性剤とを有する粒子であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。
以下、界面活性剤処理カーボンブラック粒子と界面活性剤処理カラー顔料粒子を纏めて「界面活性剤処理顔料粒子」と称することがある。
前記界面活性剤処理顔料粒子は、例えば顔料を界面活性剤で処理することにより得られる。具体的には、例えば界面活性剤を用いて顔料を水に分散することにより得られる。
【0022】
−−界面活性剤−−
本発明のインクには、界面活性剤を添加することができる。
界面活性剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
前記ノニオン性界面活性剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−α−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレン−β−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンモノスチリルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルナフチルエーテルなどが挙げられる。
【0023】
また、これらの界面活性剤のポリオキシエチレンの一部をポリオキシプロピレンに置き換えたポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体等の界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の芳香環を有する化合物をホルマリン等で縮合させた界面活性剤なども使用することができる。
前記ノニオン系界面活性剤のHLBとしては特に制限はなく目的に応じて適宜選択できるが、12.0〜19.5が好ましく、13.0〜19,0がより好ましい。前記HLBが12.0以上であれば、界面活性剤の分散媒へのなじみが悪くて分散安定性が悪化するようなことはなく、前記HLBが19.5以下であれば、界面活性剤が顔料に吸着しにくくなり分散安定性が悪化するようなことはない。
【0024】
前記アニオン性界面活性剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルカルボン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、メラニンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、スルホコハク酸アルキル二塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、N−アシルアミノ酸塩、アシル化ペプチド、石鹸などが挙げられる。
これらの塩に用いられる金属としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウムなどが挙げられる。
【0025】
前記界面活性剤処理顔料粒子を得る方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、顔料と界面活性剤と水の混合物をミルで分散処理する方法などが挙げられる。
前記界面活性剤処理顔料粒子を得る際の界面活性剤の添加量には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、顔料に対して10〜50質量%が好ましい。添加量が10質量%以上であれば、顔料分散体及びインクの保存安定性が低下したり、分散に極端に時間がかかったりすることがなく、50質量%以下であれば、インクの粘度が高くなりすぎて吐出安定性が低下するようなことはない。
【0026】
−水溶性有機溶剤−
前記ブラックインク及びカラーインクは、水を媒体として使用するが、インクの乾燥を防止するため、顔料の分散安定性を向上するためなどの目的で、水溶性有機溶剤を含有させる。
前記水溶性有機溶剤としては特に制限はなく目的に応じて適宜選択できるが、温度23℃、相対湿度80%環境中の平衡水分量が40質量%以上である多価アルコールが好ましい。このような多価アルコールとしては特に制限はなく目的に応じて適宜選択できるが、常圧で沸点が250℃を超える水溶性有機溶剤Aと、常圧で沸点が140℃以上250℃未満の水溶性有機溶剤Bとを併用することが好ましい。
前記水溶性有機溶剤Aとしては、例えば、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール(bp190℃〜191℃/24hPa)、グリセリン(bp290℃)、ジグリセリン(bp270℃/20hPa)、トリエチレングリコール(bp285℃)、テトラエチレングリコール(bp324〜330℃)などが挙げられる
前記水溶性有機溶剤Bとしては、例えば、ジエチレングリコール(bp245℃)、1,3−ブタンジオール(bp203℃〜204℃)などが挙げられる。
【0027】
前記水溶性有機溶剤A及び水溶性有機溶剤Bは、いずれも温度23℃、相対湿度80%環境中の平衡水分量が40質量%以上の吸湿性がある材料である。ただし、水溶性有機溶剤Bは水溶性有機溶剤Aよりも蒸発性が比較的高い。水溶性有機溶剤Aと水溶性有機溶剤Bを組合せて用いる場合、水溶性有機溶剤Aと水溶性有機溶剤Bの質量比B/Aは、後述するその他の水溶性有機溶剤Cの量や浸透剤などの他の添加剤の種類や量にも少なからず依存するので、一概には云えないが、10/90〜90/10が好ましい。
前記平衡水分量は、例えば、塩化カリウム飽和水溶液を用い、デシケーター内の温湿度を温度23±1℃、相対湿度80±3%に保ち、このデシケーター内に各水溶性有機溶剤を1gずつ秤量したシャーレを保管し、次の式で示される飽和水分量から求めることができる。
飽和水分量(%)=(有機溶剤に吸収した水分量/有機溶剤)×100
【0028】
前記ブラックインク及びカラーインクは、前記水溶性有機溶剤A及び水溶性有機溶剤B以外に、必要に応じて、該水溶性有機溶剤の一部に代えて、又は該水溶性有機溶剤に加えて、水溶性有機溶剤Cを併用することができる。
前記水溶性有機溶剤Cとしては、例えば、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、その他の水溶性有機溶剤などが挙げられる。
【0029】
前記多価アルコールとしては、例えば、ジプロピレングリコール(bp232℃)、1,5−ペンタンジオール(bp242℃)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(bp203℃)、プロピレングリコール(bp187℃)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(bp197℃)、エチレングリコール(bp196℃〜198℃)、トリプロピレングリコール(bp267℃)、ヘキシレングリコール(bp197℃)、ポリエチレングリコール(粘調液体〜固体)、ポリプロピレングリコール(bp187℃)、1,6−ヘキサンジオール(bp253℃〜260℃)、1,2,6−ヘキサントリオール(bp178℃)、トリメチロールエタン(固体、mp199℃〜201℃)、トリメチロールプロパン(固体、mp61℃)などが挙げられる。
【0030】
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル(bp135℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(bp171℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(bp194℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(bp231℃)、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(bp229℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(bp132℃)などが挙げられる。
前記ブラックインク及びカラーインク中の水溶性有機溶剤の含有量には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、10〜50質量%が好ましい。
【0031】
−フッ素系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤−
前記界面活性剤をインクに含有させると表面張力が低下し、紙等の記録媒体にインク滴が着弾した後の記録媒体中への浸透が速くなるため、フェザリングやカラーブリードを軽減することができる。
前記界面活性剤の中でも、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤が好ましく、フッ素系界面活性剤とシリコーン系界面活性剤とを併用すると、画像濃度、吐出安定性、及び吐出回復性が一層向上するので好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物、ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテルなどが挙げられる。
【0032】
前記フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S121、S131、S132、S−141、S−144、S−145(いずれも旭硝子社製)、フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431、FC−4430(いずれも住友スリーエム社製)、メガファックF−470、F−1405、F474(DIC社製)、ゾニールFSN、FSN−100、FSO、FSO−100、FS−300(いずれもデュポン社製)、エフトップEF−351、352、801、802(いずれもジェムコ社製)、FT−250、251(いずれもネオス社製)、PF−151N、PF−136A、PF−156A(いずれもOMNOVA社製)などが挙げられる。これらの中でも、デュポン社製のゾニールFSO、FSO−100、FSN、FSN−100、FS−300が良好な印字品質、保存性が得られる点で好ましい。
【0033】
前記シリコーン系界面活性剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエーテル変性シリコーン化合物などが挙げられる。
前記ポリエーテル変性シリコーン化合物としては、例えばポリシロキサンの側鎖にポリエーテル基を導入した側鎖型(ペンダント型)、ポリシロキサンの片末端にポリエーテル基を導入した片末端型、又は両末端にポリエーテル基を導入した両末端型(ABA型)、ポリシロキサンの側鎖と両末端の両方にポリエーテル基を導入した側鎖両末端型、ポリエーテル基を導入したポリシロキサン(A)と未導入のポリシロキサン(B)を繰返し結合させたABn型、枝分かれしたポリシロキサンの末端にポリエーテル基を導入した枝分かれ型などが挙げられる。
【0034】
前記ポリエーテル変性シリコーン化合物としては、ポリシロキサンの側鎖にポリエーテル基を導入した構造を有する側鎖型(ペンダント型)であることが好ましい。前記側型のポリエーテル変性シリコーン化合物としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、インクの表面張力を下げる機能だけでなく、ヘッドのノズルプレートに対してインクが固着することを防止する付着防止剤としての機能も果たす点で、下記一般式(1)で表されるシリコーン化合物が好ましい。
【化4】
上記式中、l、m、n、p及びqは、l+m+n≦2,000、p+q≦100を満たす自然数である。
【0035】
前記シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、KF−351A、KF−352A、KF−353〔前記一般式(1)で表されるシリコーン系界面活性剤〕、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−618、KF−6011、KF−6015、KF−6004(いずれも信越化学工業社製)、SF−3771、SF−8427、SF−8428、SH−3749、SH−8400、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2118、FZ−2203、FZ−2207、L−7604(いずれも東レ・ダウコーニング社製)、BYK−345、BYK−346、BYK−348(いずれもビッグケミー・ジャパン社製)などが挙げられる。
【0036】
前記ブラックインク及びカラーインク中のフッ素系界面活性剤の含有量には特に制限はなく目的に応じて適宜選択できるが、0.1〜3.0質量%が好ましく、0.3〜1.0質量%がより好ましい。含有量が前記好ましい範囲内であると、画像濃度及び吐出回復性が優れる点で有利である。
前記ブラックインク及びカラーインク中のシリコーン系界面活性剤の含有量には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、0.05〜0.3質量%が好ましい。含有量がこの範囲内であると、吐出安定性がより優れる点で有利である。
【0037】
−その他の成分−
本発明のインクには、上記以外のその他の成分として、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを添加することができる。
前記消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。
前記pH調整剤としては、pHを7以上に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノール化合物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
【0038】
前記防腐防黴剤としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどが挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、亜硝酸ジシクロヘキシルアンモニウムなどが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾン、サリチル酸フェニル、パラアミノ安息香酸エステルなどが挙げられる。
【0039】
−インクの粘度−
本発明のインクの粘度は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、25℃における粘度が、5.0〜12.0mPa・sであることが好ましい。粘度は、例えば東機産業社製の粘度計RE80Lを用いて測定できる。
【0040】
(インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録方法は、インク飛翔手段により本発明のインクに刺激を印加し、記録ヘッドから該インクを飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含む。更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば刺激発生工程、制御工程等を含む。
本発明のインクジェット記録装置は、本発明のインクを記録ヘッドから飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔手段を有する。すなわち、少なくとも記録ヘッドと維持回復装置を備え、更に必要に応じて刺激発生手段、制御手段等のその他の手段を有する。
【0041】
以下、本発明のインクジェット記録装置の説明を通じて、本発明のインクジェット記録方法の詳細についても説明する。
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段を介して本発明のインクに刺激を印加し、記録ヘッドのノズルからインクを吐出させて画像を記録する。前記刺激は、例えば、前記刺激発生手段により発生させることができ、該刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱(温度)、圧力、振動、光などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適である。
なお、前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト、などが挙げられる。例えば、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどが挙げられる。
【0042】
前記インクの飛翔の態様には特に制限はなく、前記刺激の種類等に応じて異なり、例えば、前記刺激が「熱」の場合、記録ヘッド内のインクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを例えばサーマルヘッド等を用いて付与し、該熱エネルギーによりインクに気泡を発生させ、該気泡の圧力により、記録ヘッドのノズル孔からインクを液滴として吐出噴射させる方法などが挙げられる。また、前記刺激が「圧力」の場合、例えば記録ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、記録ヘッドのノズル孔からインクを液滴として吐出噴射させる方法などが挙げられる。
前記飛翔させるインクの液滴は、その大きさとしては、3〜40pLが好ましく、その吐出噴射の速さとしては5〜20m/sが好ましく、その駆動周波数としては1kHz以上が好ましく、その解像度としては300dpi以上が好ましい。
【0043】
前記記録ヘッドは、多数のノズルを有し、インクセットにおけるインクをエネルギーの作用によりインク滴化し吐出するヘッド部又は記録ユニットを有することが好ましい。また、液室部、流体抵抗部、振動板及びノズル部材を有し、かつ、その少なくとも一部がシリコーン又はニッケルを含有する材料から形成されていることが好ましい。前記記録ヘッドのノズル径は30μm以下が好ましく、1〜20μmがより好ましい。
また、本発明のインクジェット記録装置は、前記記録ヘッド上にインクを供給するためのサブタンクを有し、該サブタンクにインクカートリッジから供給チューブを介してインクが補充されるように構成することが好ましい。
【0044】
前記維持回復装置は、記録ヘッドを覆蓋し、吸引力発生手段と連通する少なくとも1つの吸引覆蓋手段(吸引キャップ)、及び前記記録ヘッドを覆蓋し、吸引力発生手段と連通していない少なくとも1つの非吸引覆蓋手段(保湿キャップ)を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。このように、吸引キャップと保湿キャップを備えることにより、全てのキャップが吸引キャップである構成よりも信頼性確保のための維持動作に消費されるインク量が少なくなり、維持動作にかかる時間、インクの無駄を防ぐことができる。
前記維持回復装置としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、特開2005−170035号公報などに記載されたものを用いることができる。
【0045】
本発明のインクジェット記録装置は、記録媒体の記録面を反転させて両面印刷可能とする反転手段を有することが好ましい。該反転手段としては、静電気力を有する搬送ベルト、空気吸引により記録媒体を保持する手段、搬送ローラと拍車との組み合わせなどが挙げられる。無端状の搬送ベルトと、該搬送ベルト表面を帯電させて記録媒体を保持しながら搬送する搬送手段を有することが好ましい。この場合、帯電ローラに±1.2kV〜±2.6kVのACバイアスを加えて搬送ベルトを帯電させることが特に好ましい。
なお、前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0046】
図1及び図2は、本発明のインクジェット記録装置に配備される記録ヘッドの例を示すノズル面から見た概略平面図である。なお、図1は、第1ヘッド及び第2ヘッドからなる2ヘッドタイプであり、図2は、第1ヘッド、第2ヘッド、第3ヘッド、及び第4ヘッドからなる4ヘッドタイプである。
前記2ヘッドタイプでは、第1ヘッド及び第2ヘッドのいずれか一方が吸引力発生手段と連通する吸引覆蓋手段(吸引キャップ)で覆蓋され、他方が、吸引力発生手段と連通していない非吸引覆蓋手段(保湿キャップ)で覆蓋される。図1の例では、第1ヘッドが吸引キャップで覆蓋され、第2ヘッドが保湿キャップで覆蓋されている。
図2に示す4ヘッドタイプでは、第1ヘッド〜第4ヘッドのうち少なくとも1つが吸引力発生手段と連通する吸引覆蓋手段(吸引キャップ)で覆蓋され、それ以外が、吸引力発生手段と連通していない非吸引覆蓋手段(保湿キャップ)で覆蓋される。図2の例では、第1ヘッドが吸引キャップで覆蓋され、第2、第3及び第4ヘッドが保湿キャップで覆蓋されている。
なお、図1の2ヘッドタイプにおいてフルカラー記録を行う場合には、合計4つのノズル列に、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びブラック(Bk)の各色のインクをそれぞれ充填する必要がある。
【0047】
ここで、維持回復装置を有する本発明のインクジェット記録装置の一例について図3を参照して説明する。なお、図3はインクジェット記録装置を前方側から見た斜視説明図である。
図3に示すインクジェット記録装置は、装置本体1と、装置本体1に装着した用紙を装填するための給紙トレイ2と、装置本体1に装着され画像が記録(形成)された用紙(記録媒体)をストックするための排紙トレイ3とを備え、更に、装置本体1の前面4の一端部側には、前面4から前方側に突き出し、上面5よりも低くなったカートリッジ装填部6を有し、このカートリッジ装填部6の上面に操作キーや表示器などの操作部7を配置している。カートリッジ装填部6には、液体補充手段としての液体保管用タンクであるメインタンク(以下、「インクカートリッジ」という)10が交換可能に装着され、また、開閉可能な前カバー8を有している。
【0048】
ここで、インクカートリッジは、本発明のインクジェット記録用インクを容器中に収容して成るものであり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を構成することもできる。前記容器としては、その形状、構造、大きさ、材質に特に制限無く、目的に応じて適宜選択できる。例として、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルムなどで形成されたインク袋を少なくとも有するものなどが好適に挙げられる。
インクカートリッジは、例えば、インク注入口からインク袋内に充填され、排気した後、該インク注入口は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口に装置本体の針を刺して装置に供給される。インク袋は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋は、通常、プラスチックス製のカートリッジケース内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
【0049】
次に、図3のインクジェット記録装置の機構部について、図4及び図5を参照して説明する。なお、図4は同機構部の全体構成を説明する概略構成図、図5は同機構部の要部平面説明図である。
フレーム21を構成する左右の側板21A,21Bに横架したガイド部材であるガイドロッド31とステー32とでキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータによって、図3におけるキャリッジ走査方向(主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ33には、インクの液滴(インク滴)を吐出するための液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドからなる複数の記録ヘッド34を複数のノズルを主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。ここで、記録ヘッド34は、イエロー(Y)の液滴を吐出する記録ヘッド34y、マゼンタ(M)の液滴を吐出する記録ヘッド34m、シアン(C)の液滴を吐出する記録ヘッド34c、ブラック(Bk)の液滴を吐出する記録ヘッド34kとで構成している。なお、「記録ヘッド34」というときは色を区別しないものとする。また、ヘッド構成は、これらの例に限るものではなく、1つ又は複数の色の液滴を吐出する1つ又は複数のノズル列を有する記録ヘッドを1つ又は複数用いて構成することもできる。
【0050】
記録ヘッド34を構成する液滴吐出ヘッドとしては、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどが使用できる。
また、キャリッジ33には、各記録ヘッド34にそれぞれ各色のインクを供給するための各色のサブタンク35y、35m、35c、35k(色を区別しない場合は「サブタンク35」という)を搭載している。このサブタンク35には各色のインク供給チューブ37を介して、前述した各色のインクカートリッジ10(各色を区別する場合には、「インクカートリッジ10y、10m、10c、10k」と称する)からインクを供給するようにしている。
【0051】
ここで、インクカートリッジ10は、図5にも示すように、カートリッジ装填部6に収納される。このカートリッジ装填部6にはインクカートリッジ10内のインクを送液するための供給ポンプユニット23が設けられている。また、インクカートリッジ装填部6からサブタンク35に至るまでのインク供給チューブ37は這い回しの途中でフレーム21を構成する後板21Cに本体側ホルダ25により固定保持されている。更に、キャリッジ33上でも固定リブ26にて固定されている。
なお、図4図5中、符号22はフレキシブルケーブルを、符号36はインク供給チューブ(サブタンク接続部)を示す。
【0052】
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(底板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43、及び該給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側で搬送するための搬送部として、用紙42を静電吸着して搬送するための搬送ベルト51と、給紙部からガイド45を介して送られる用紙42を搬送ベルト51との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ52と、略鉛直上方に送られる用紙42を略90°方向転換させて搬送ベルト51上に倣わせるための搬送ガイド53と、押さえ部材54で搬送ベルト51側に付勢された先端加圧コロ55と、を備えている。また、搬送ベルト51表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。
【0053】
ここで、搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ57とテンションローラ58との間に掛け渡されて、図5のベルト搬送方向に周回するように構成している。帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に各々2.5Nを掛けている。
また、搬送ベルト51の裏側には、記録ヘッド54による印写領域に対応してガイド部材61を配置している。このガイド部材61は、上面が搬送ベルト51を支持する2つのローラ(搬送ローラ57とテンションローラ58)の接線よりも記録ヘッド34側に突出している。これにより、搬送ベルト51は、印写領域ではガイド部材61の上面において押し上げられてガイドされるので、高精度な平面性を維持される。
【0054】
更に、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪71と、排紙ローラ72及び排紙コロ73とを備え、排紙ローラ72の下方に排紙トレイ3を備えている。ここで、排紙ローラ72と排紙コロ73との間から排紙トレイ3までの高さは排紙トレイ3にストックできる量を多くするためにある程度高くしている。
また、装置本体1の背面部には、両面給紙ユニット81が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット81は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ52と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面給紙ユニット81の上面には手差し給紙部82を設けている。
【0055】
更に、図5に示すように、キャリッジ33の走査方向の一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し回復するための維持回復装置を含むサブシステム91を配置している。このサブシステム91には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下、「キャップ」と称することもある)92a〜92d(区別しないときは、「キャップ92」と称することもある)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード93と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け94及びこの空吐出受け94に一体形成され、ワイパーブレード93に付着したインクを除去するための清掃部材であるワイパークリーナ95(図7参照)と、ワイパーブレード93のクリーニング時にワイパーブレード93をワイパークリーナ95側に押し付けるクリーナ手段を構成するクリーナコロ96などを備えている。
また、図5に示すように、キャリッジ33の走査方向の他方側の非印字領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け98を配置し、この空吐出受け98には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口99などを備えている。
【0056】
このように構成したインクジェット記録装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ52との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド53で案内されて先端加圧コロ55で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、制御回路によって高圧電源から帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、即ち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に静電的に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。そこで、キャリッジ33を動かしながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号、又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0057】
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ33はサブシステム91側に移動され、キャップ部材92で記録ヘッド34がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことにより、インク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ部材92で記録ヘッド34をキャッピングした状態でノズルからインクを吸引し(「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という)、増粘したインクや気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド34の安定した吐出性能を維持する。
【0058】
次に、本発明のインクジェット記録装置における維持回復装置を含むサブシステム91の構成の概要について図6図8を参照しつつ説明する。なお、図6は同システムの要部平面説明図、図7は同システムの模式的概略構成図、図8図6の右側面説明図である。
このサブシステム91のフレーム(維持装置フレーム)111には、キャップ保持機構である2つのキャップホルダ112A、112Bと、清浄化手段としての弾性体を含むワイピング部材であるワイパーブレード93と、キャリッジロック115とがそれぞれ昇降可能(上下動可能)に保持されている。また、ワイパーブレード93とキャップホルダ112Aとの間には空吐出受け94が配置され、ワイパーブレード93のクリーニングを行うために、フレーム111の外側からワイパーブレード93を空吐出受け94の清掃部材であるワイパークリーナ95側に押し付けるための清掃部材であるクリーナコロ96を含むクリーナ手段であるワイパークリーナ118が揺動可能に保持されている。
【0059】
キャップホルダ112A、112B(区別しないときは「キャップホルダ112」という)には、それぞれ、2つの記録ヘッド34のノズル面をそれぞれキャッピングする2つのキャップ92aと92b、キャップ92cと92dを保持している。
ここで、印字領域に最も近い側のキャップホルダ112Aに保持したキャップ92aには可撓性チューブ119を介して吸引手段であるチュービングポンプ(吸引ポンプ)120を接続し、その他のキャップ92b、92c、92dはチュービングポンプ120を接続していない。即ち、キャップ92aのみを吸引(回復)及び保湿用キャップ(以下、「吸引用キャップ」と称することもある)とし、その他のキャップ92b、92c、92dはいずれも単なる保湿用キャップとしている。したがって、記録ヘッド34の回復動作を行うときには、回復動作を行う記録ヘッド34を吸引用キャップ92aによってキャッピング可能な位置に選択的に移動させる。
【0060】
また、これらのキャップホルダ112A、112Bの下方にはフレーム111に回転自在に支持したカム軸121を配置し、このカム軸121には、キャップホルダ112A、112Bを昇降させるためのキャップカム122A、122Bと、ワイパーブレード93を昇降させるためのワイパーカム124、キャリッジロック115をキャリッジロックアーム117を介して昇降させるためのキャリッジロックカム125と、空吐出受け94内で空吐出される液滴がかかる空吐出着弾部材である回転体としてのコロ126と、ワイパークリーナ118を揺動させるためのクリーナカム128をそれぞれ設けている。
ここで、キャップ92はキャップカム122A,122Bにより昇降させられる。ワイパーブレード93はワイパーカム124により昇降させられ、下降時にワイパークリーナ118が進出して、このワイパークリーナ118のクリーナコロ96と空吐出受け94のワイパークリーナ95とに挟まれながら下降することで、ワイパーブレード93に付着したインクが空吐出受け94内に掻き落とされる。
【0061】
キャリッジロック115は圧縮バネによって上方(ロック方向)に付勢され、キャリッジロックカム125で駆動されるキャリッジロックアーム117を介して昇降させられる。そして、チュービングポンプ120及びカム軸121を回転駆動するために、モータ131の回転をモータ軸131aに設けたモータギヤ132に、チュービングポンプ120のポンプ軸120aに設けたポンプギヤ133を噛み合わせ、更にこのポンプギヤ133と一体の中間ギヤ134に中間ギヤ135を介して一方向クラッチ137付きの中間ギヤ136を噛み合わせ、この中間ギヤ136と同軸の中間ギヤ138に中間ギヤ139を介してカム軸121に固定したカムギヤ140を噛み合わせている。なお、クラッチ137付きの中間ギヤ136、138の回転軸である中間軸141はフレーム111にて回転可能に保持している。
【0062】
また、カム軸121にはホームポジションを検出するためのホームポジションセンサ用カム142を設け、このサブシステム91に設けたホームポジションセンサによりキャップ92が最下端に来たときにホームポジションレバーを作動させ、センサが開状態になってモータ131(ポンプ120以外)のホームポジションを検知する。なお、電源オン時には、キャップ92(キャップホルダ112)の位置に関係なく上下(昇降)し、移動開始までは位置検出を行わず、キャップ92のホーム位置(上昇途中)を検知した後に、定められた量を移動して最下端へ移動する。その後、キャリッジが左右に移動して位置検知後キャップ位置に戻り、記録ヘッド34がキャッピングされる。
【0063】
次に、キャップ92の保持機構及び昇降機構(上下動機構)の詳細について図9を参照して説明する。なお、図9はキャップ保持昇降機構部の側面説明図である。
キャップ保持機構であるキャップホルダ112Aは、キャップ92a、キャップ92b(これらを併せて「キャップ92A」と称することがある)を昇降可能に保持するホルダ151と、ホルダ151の底面とキャップ92Aの底部との間に介装されてキャップ92Aを上方に付勢するスプリング152と、ホルダ151を前後方向(記録ヘッド34のノズルの並び方向)に移動可能に保持するスライダ153とを有している。
キャップ92Aは、両端部に設けたガイドピン150aをホルダ151のガイド溝に上下動可能に挿通し、底面に設けたガイド軸150bをホルダ151に上下動可能に挿通して、ホルダ151に対して上下動可能に装着している。キャップ92Aとキャップホルダ151との間に介装したスプリング152はキャップ92a、92bを上方向(キャッピング時にノズル面側に押圧する方向)に付勢している。
【0064】
スライダ153は、前後端に設けたガイドピン154、155をフレーム111に形成したガイド溝156に摺動可能に嵌め合わせることにより、スライダ153、ホルダ151及びキャップ92A全体が上下動できる構成としている。そしてスライダ153の下面に設けたカムピン157をキャップカム122Aのカム溝に嵌め合わせて、モータ131の回転が伝達されるカム軸121の回転に同動するキャップカム122Aの回転によってスライダ153、ホルダ151及びキャップ92Aが上下動するようにしている。更に、吸引用キャップ92aにはスライダ153及びホルダ151を挿通して、キャップ92aの短手方向に対してキャップ中央位置の下方からチューブ119を這い回して接続している。
【0065】
なお、キャップ92c、92d(これらを併せて「キャップ92B」と称することがある)を保持するキャップホルダ112B及びこれを上下動させる構成も上記と同様であるので説明を省略する。ただし、キャップ92c、92dにはチューブ119は接続されない。このように、1つの駆動源であるモータ131を駆動することによって1つの軸であるカム軸121が回転し、このカム軸121の回転によってカム軸121に固定したカム122A、122Bが回転して、キャップ92A及びキャップ92Bが上下動する構成としている。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
【0066】
(インク記録物)
本発明のインク記録物は、記録媒体上に本発明のインクにより記録された画像を有し、高画質で経時安定性に優れ、印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
上記記録媒体としては、本発明のインクが着弾し画像が形成され得るものであれば特に制限はない。例えば、普通紙、印刷用塗工紙、光沢紙、特殊紙などが挙げられる。これらの用紙には、炭酸カルシウム、タルク、カオリン又は硫酸アルミニウム(硫酸バンド)などが配合されており、本発明のインクがこれらの用紙に着弾した際に、多価金属イオン、具体的には、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの2価又は3価の金属イオンが溶出する。即ち、本発明のインクは、上記多価金属イオンと反応して顔料が凝集し高い画像濃度が得られるものである。
普通紙に含まれる填料、サイズ剤、定着剤等の多くは難水溶性の金属塩である。また、水溶性の金属塩が含まれていても含有量が少ない。よって、水溶性の多価金属塩等を紙面上に加工した紙と比べると多価金属イオンの溶出が少なく、従来技術では画像濃度向上効果が得られなかった。
これに対し、本発明では、上記加工した紙はもちろん、普通紙のように多価金属イオンの溶出が少ない紙でも高画像濃度を実現することができる。
普通紙の市販品としては、例えば、上質紙マイペーパー(リコー社製)、Xerox4024(富士ゼロックス社製)などが挙げられる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例、参考例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は、特に明示しない限り「質量部」及び「質量%」である。
【0068】
<ホスホン酸基の塩を有する共重合体の合成例1>
ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応容器内で、アルゴン雰囲気下、400部のエタノール、25部のビニルホスホン酸(東京化成社製)及び75部のダイアセトンアクリルアミド(東京化成社製)、分子量調整剤として3部の1−ドデカンチオール(東京化成社製)を仕込み、溶液を撹拌しながら30分間にわたってアルゴンガス置換を行い、混合溶液を得た。この混合溶液を、アルゴン雰囲気下で撹拌しながら60℃まで昇温し、滴下ロートを用いて、重合開始剤の2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6部のうちの50%をエタノールに溶かした溶液を滴下した。滴下終了後、混合溶液の液温を60℃で16時間維持した。その後、残りの50%の重合開始剤をエタノールに溶かした溶液を滴下し、更に75℃で3時間反応させて共重合体溶液を得た。この共重合体溶液を大量のn−ヘキサン中に注入して共重合体を析出させ、デカンテーションにより溶媒を取り除いた。更に析出物を乾燥させて、ホスホン酸基を有する共重合体を得た。得られた共重合体について、溶媒をテトラヒドロフラン、標準物質をポリスチレンとして、GPC測定を行った。
得られた共重合体を再びエタノールに溶かし、100%中和されるように、メタノールに溶かした水酸化カリウム(中和剤)を加えて混合した。混合物を撹拌した後、エバポレーターで溶媒を留去し、更に真空乾燥して、ホスホン酸基が中和された共重合体R−1を得た。その構造特性及び重量平均分子量を表2に示す。
【0069】
<ホスホン酸基の塩を有する共重合体の合成例2〜23>
ビニルホスホン酸とダイアセトンアクリルアミドとの組成比を15:85〜65:35の範囲で変え、分子量調整剤を0〜6部の範囲で変え、重合開始剤の量を3〜10部の範囲で変え、その他は合成例1と同様にして種々のホスホン酸基を有する共重合体を得た。更に、中和剤として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジエタノールアミン又はトリエチルアミンを用い、中和率が80〜100%になるようにしてホスホン酸基が中和された共重合体R−2〜R−23を得た。それらの構造特性及び重量平均分子量を表2に示す。
【表2】
【0070】
<リン酸基を有する共重合体R−100の合成例>
特開2011−122072号公報の合成例を参考にして、スチレン30部、メタクリル酸メチル20部、メタクリル酸ブチル15部、メタクリル酸10部、ホスマーM(リン酸基を有するモノマー、ユニケミカル社製)20部、アゾビスイソブチロニトリル5部を重合させ、リン酸基を有する共重合体(R−100)を得た。重量平均分子量は6700であった。
【0071】
<顔料分散体1〜33の調製>
下記表3−1〜表3−3の顔料分散体1〜33の各欄に示す処方の材料をプレミックスして混合スラリーを作製した。例えば顔料分散体1では、R−13を2部、カーボンブラックを16部、高純水を82部混合した。次いでディスクタイプのメディアミル(アシザワ・ファインテック社製、DMR型)により、0.05mmジルコニアビーズ(充填率55%)を用いて周速10m/s、液温10℃で3分間循環分散し、遠心分離機(久保田商事社製、Model−7700)で粗大粒子を遠心分離し、顔料濃度が16%の各顔料分散体を得た。
なお、表3−1〜表3−3中の数値は重量部である。
また「NIPEX160」はdegussa社製で、BET比表面積150m/g、平均一次粒径20nm、pH4.0、DBP吸油量620g/100gである。
【0072】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0073】
実施例1〜31(但し、11、14、17、20、25、26は参考例)、比較例1〜5
下記表4−1〜表4−3の実施例1〜31(但し、11、14、17、20、25、26は参考例)及び比較例1〜5の各欄に示す処方の材料を1時間撹拌して均一に混合した。この分散液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブレンフィルターで加圧ろ過し、粗大粒子やゴミを除去して、各インクを作製した。
なお、表4−1〜表4−3中の数値は重量%である。
【0074】
【表4-1】

【表4-2】

【表4-3】
【0075】
上記各顔料分散体1〜33、実施例1〜31(但し、11、14、17、20、25、26は参考例)及び比較例1〜5の各インクについて粘度及び保存安定性を評価した。
粘度の測定には、東機産業社製の粘度計RE80Lを使用し、各サンプルの粘度に合わせて回転数を50〜100回転に調整し、25℃における粘度を測定した。
また、保存安定性については各顔料分散体又はインク作製後の初期粘度を測定した後、各顔料分散体又はインクをポリエチレン容器に入れて密封し、70℃で1週間保存した後の粘度(保存後粘度)を測定し、初期粘度からの変化率により、下記の基準で評価した。
結果を表5に示す。
【0076】
〔顔料分散体評価基準〕
・初期粘度
◎:初期粘度が7mPa・s未満
○:初期粘度が7mPa・s以上、20mPa・s未満
×:初期粘度が20mPa・s以上

・保存安定性
◎:初期粘度からの保存後粘度の変化率が5%未満
○:初期粘度からの保存後粘度の変化率が5%以上、50%未満
×:初期粘度からの保存後粘度の変化率が50%以上
【0077】
〔インク評価基準〕
・初期粘度
◎:初期粘度が9mPa・s未満
○:初期粘度が9mPa・s以上、20mPa・s未満
×:初期粘度が20mPa・s以上

・保存安定性
◎:初期粘度からの保存後粘度の変化率が5%未満
○:初期粘度からの保存後粘度の変化率が5%以上、50%未満
×:初期粘度からの保存後粘度の変化率が50%以上
【0078】
<各インクセットの印字評価>
実施例1〜31(但し、11、14、17、20、25、26は参考例)、比較例1〜5の各インクについて印字を行い画像濃度を評価した。
インクジェットプリンタ(IPSiO GX3000、リコー社製)を用い、インクの吐出量が均しくなるようにピエゾ素子の駆動電圧を変動させ、記録媒体上に同じ付着量のインクが付くように設定した。
Microsoft Word2003を用いて作成した、ブラック及び各色の64pointの文字「黒四角」が記載されているチャートを、坪量69.6g/m、サイズ度23.2秒、透気度21.0秒の上質紙:マイペーパー(リコー社製)に印字した後、X−Rite938(X−Rite社製)を用いて「黒四角」部を測色し画像濃度を評価した。印字モードは、プリンタ添付のドライバで「普通紙−はやい」モードとした。
なお、「黒四角」とは、四角を黒く塗り潰した文字(符号)であるが、使用禁止のため止むを得ず「黒四角」と表現したものである。
各色の評価基準は以下のとおりである。結果を表5に示す。

〔画像濃度評価基準〕
◎◎:OD値 ブラック1.30以上
イエロー0.80以上
マゼンタ1.00以上
シアン 1.10以上
◎:OD値 ブラック1.20以上、1.30未満
イエロー0.75以上、0.80未満
マゼンタ0.90以上、1.00未満
シアン 1.00以上、1.10未満
○:OD値 ブラック1.10以上、1.20未満
イエロー0.70以上、0.75未満
マゼンタ0.80以上、0.90未満
シアン 0.90以上、1.00未満
△:OD値 ブラック1.00以上、1.10未満
イエロー0.65以上、0.70未満
マゼンタ0.70以上、0.80未満
シアン 0.80以上、0.90未満
×:OD値 ブラック1.00未満
イエロー0.65未満
マゼンタ0.70未満
シアン 0.80未満
【0079】
【表5】
【符号の説明】
【0080】
1 装置本体
2 給紙トレイ
3 排紙トレイ
4 全面
5 上面
6 カートリッジ装填部
7 操作部
8 前カバー
10 メインタンク(インクカートリッジ)
10y イエローインクカートリッジ
10m マゼンタインクカートリッジ
10c シアンインクカートリッジ
10k ブラックインクカートリッジ
21 フレーム
21A 側板
21B 側板
21C 後板
22 フレキシブルケーブル
23 供給ポンプユニット
25 本体側ホルダ
26 固定リブ
31 ガイドロッド
32 ステー
33 キャリッジ
34 記録ヘッド
34y イエロー(Y)の液滴を吐出する記録ヘッド
34m マゼンタ(M)の液滴を吐出する記録ヘッド
34c シアン(C)の液滴を吐出する記録ヘッド
34k ブラック(Bk)の液滴を吐出する記録ヘッド
35 サブタンク
35y イエローサブタンク
35m マゼンタサブタンク
35c シアンサブタンク
35k ブラックサブタンク
36 インク供給チューブ(サブタンク接続部)
37 インク供給チューブ
41 給紙トレイ2の用紙積載部(底板)
42 用紙
43 半月コロ(給紙コロ)
44 分離パッド
45 ガイド
51 搬送ベルト
52 カウンタローラ
53 搬送ガイド
54 押さえ部材
55 先端加圧コロ
56 帯電ローラ56
57 搬送ローラ
58 テンションローラ
61 ガイド部材
71 分離爪
72 排紙ローラ
73 排紙コロ
81 両面給紙ユニット
82 手差し給紙部
91 サブシステム
92a キャップ部材
92b キャップ部材
92c キャップ部材
92d キャップ部材
93 ワイパーブレード
94 空吐出受け
95 ワイパークリーナ95
96 クリーナコロ
98 空吐出受け
99 開口
111 フレーム(維持装置フレーム)
112A キャップホルダ
112B キャップホルダ
115 キャリッジロック
117 キャリッジロックアーム
118 ワイパークリーナ
119 可撓性チューブ
120 チュービングポンプ(吸引ポンプ)
121 カム軸
122A キャップカム
122B キャップカム
124 ワイパーカム
125 キャリッジロックカム
126 コロ
128 クリーナカム
131 モータ
131a モータ軸
132 モータギヤ
133 ポンプギヤ
134 中間ギヤ
135 中間ギヤ
136 中間ギヤ
137 一方向クラッチ
138 中間ギヤ
139 中間ギヤ
140 カムギヤ
141 中間軸
142 ホームポジションセンサ用カム
150a ガイドピン
150b ガイド軸
151 ホルダ
152 スプリング
153 スライダ
154 ガイドピン
155 ガイドピン
156 ガイド溝
157 カムピン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【特許文献1】特開2011−122072号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9