特許第6052070号(P6052070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6052070エピタキシャルウェーハの製造方法及びその製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052070
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】エピタキシャルウェーハの製造方法及びその製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20161219BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H01L21/205
   C23C16/455
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-126568(P2013-126568)
(22)【出願日】2013年6月17日
(65)【公開番号】特開2015-2286(P2015-2286A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】302006854
【氏名又は名称】株式会社SUMCO
(74)【代理人】
【識別番号】100085372
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 正義
(72)【発明者】
【氏名】和田 直之
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−147105(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0251958(US,A1)
【文献】 特表2001−512901(JP,A)
【文献】 米国特許第06099648(US,A)
【文献】 特開2010−062535(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0015402(US,A1)
【文献】 特開2000−269137(JP,A)
【文献】 特開2010−199583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央が下方に膨出するアッパドームとこのアッパドームを保持するアッパドーム用フランジとを有する反応容器内に半導体ウェーハを載置可能なサセプタを設け、このサセプタに前記半導体ウェーハを載置した状態で、前記アッパドーム用フランジより下方に位置するガス導入口から前記反応容器内に原料ガス及びキャリアガスを導入して前記半導体ウェーハ上にエピタキシャル膜を成長させ、かつ前記アッパドーム用フランジより下方に位置するガス排出口から余剰の前記ガスを排出するエピタキシャルウェーハの製造方法において、
前記アッパドームの最下面が前記アッパドーム用フランジの下面の延長面より上方に位置するように構成し、
前記アッパドームの曲率半径を4500〜6000mmの範囲内に設定し、
前記アッパドームの最下面と前記アッパドーム用フランジの下面の延長面との距離を1.0〜3.5mmの範囲内に設定する
ことを特徴とするエピタキシャルウェーハの製造方法。
【請求項2】
中央が下方に膨出するアッパドームとこのアッパドームを保持するアッパドーム用フランジとを有する反応容器と、前記反応容器内に設けられ半導体ウェーハを載置可能なサセプタと、前記アッパドーム用フランジより下方に位置し前記反応容器内に原料ガス及びキャリアガスを導入するガス導入口と、このガス導入口に対向しかつ前記アッパドーム用フランジより下方に位置し前記原料ガス及び前記キャリアガスを排出するガス排出口とを備えたエピタキシャルウェーハの製造装置において、
前記アッパドームの最下面が前記アッパドーム用フランジの下面の延長面より上方に位置するように構成され、
前記アッパドームの曲率半径が4500〜6000mmの範囲内に設定され、
前記アッパドームの最下面と前記アッパドーム用フランジの下面の延長面との距離が1.0〜3.5mmの範囲内に設定された
ことを特徴とするエピタキシャルウェーハの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェーハ等の半導体ウェーハ上にエピタキシャル膜を成長させてエピタキシャルウェーハを製造する方法と、そのエピタキシャルウェーハを製造する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、少なくとも下凸の上壁を有する反応室内に単結晶基板を配置し、反応室内にガス導入口から原料ガス及びキャリアガスを導入して、単結晶基板上にエピタキシャル層を積層するエピタキシャル成長方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このエピタキシャル成長方法では、ガス導入口から反応室内に導入するキャリアガスの流量に応じて、反応室の上壁の曲率半径、又はガス導入口の上端と反応室の上壁の下端との高さ方向における差のいずれか一方又は双方を調整してから、単結晶基板上にエピタキシャル層を積層する。またガス導入口から反応室内に導入するキャリアガスの流量が70slmを越えるとき、反応室の上壁の曲率半径を4500mm以上7500mm未満に調整し、又はガス導入口の上端と反応室の上壁の下端との高さ方向における差を0mm以上2mm以下に調整し、或いは上記曲率半径及び上記差を上記範囲にそれぞれ調整する。更にガス導入口から反応室内に導入するキャリアガスの流量が60slm未満であるとき、反応室の上壁の曲率半径を3000mmより大きく4500mm未満に調整し、又はガス導入口の上端と反応室の上壁の下端との高さ方向における差を2.5mm以上に調整し、或いは上記曲率半径及び上記差を上記範囲にそれぞれ調整する。
【0003】
このように構成されたエピタキシャル成長方法では、ガス導入口から反応室内に導入するキャリアガスの流量に応じて、反応室の上壁の曲率半径、又はガス導入口の上端と反応室の上壁の下端との高さ方向における差のいずれか一方又は双方を調整してから、単結晶基板上にエピタキシャル層を積層するので、各流量のキャリアガスによってもたらされる生産性又は裏面品質を向上できるとともに、均一な膜厚分布を有する優れたエピタキシャル層を積層できる。なお、本明細書において、単位『slm』は、『standard liter/minute』の略語であり、圧力0.1MPa(1気圧)及び温度0℃における1分間当たりの流量をいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−147105号公報(請求項1、5及び6、段落[0014]、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の特許文献1に示されたエピタキシャル成長方法では、ガス導入口から反応室内に導入するキャリアガスの流量に応じて、反応室の上壁の曲率半径や、ガス導入口の上端と反応室の上壁の下端との高さ方向における差を変更しなければならい、即ちキャリアガスの流量が70slmを越えている状態から60slm未満の状態に変更するとき、或いはキャリアガスの流量が60slm未満である状態から70slmを越える状態に変更するときに、予め作製しておいた下凸の曲率半径が異なる複数の上壁の中から、供給ガスの流量に応じ、その都度、適正な下凸形状の上壁に交換しなければならず、作業性が大幅に低下してしまい、実際の生産に適用することは困難である。また、上記従来の特許文献1に示されたエピタキシャル成長方法では、上壁が、下凸のアッパドームと、このアッパドームに嵌入された状態で溶着されアッパドームを保持するアッパドーム用フランジとを有し、このアッパドーム用フランジ下面とガス導入口上端との間に、ガス導入口の上縁を構成するアッパライナや、アッパドーム用フランジを固定すベース部材が存在する。このため、ガス導入口の上端とアッパドームの下端(最下面)との高さ方向における差を0mm以上2mm以下に設定すると、アッパドームの最下面がアッパドーム用フランジの下面の延長面より下方に位置してしまうため、アッパドームをアッパドーム用フランジに溶着しかつアッパドームを下凸にした状態で保管棚や乾燥機などの平板上におくと、アッパドーム用フランジの下面が平板に接触する前にアッパドームの最下面が平板に接触してしまい、アッパドームの最下面を傷つけるおそれがあり、アッパドーム用フランジ付きのアッパドームの部品としての取扱いが煩わしい問題もある。
【0006】
本発明者らは、上記問題に鑑み、鋭意検討した結果、特定の範囲内にある曲率半径を有するアッパドームを用い、かつアッパドームの最下面とアッパドーム用フランジ下面の延長面との距離を特定の範囲内に設定する場合において、装置内に供給するガス流量の多少に拘らず、面内で均一なエピタキシャル膜の厚み分布が得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0007】
本発明の第1の目的は、ガス導入口から反応容器内に供給されるガス流量を変更しても、アッパドームを交換せずに、半導体ウェーハ上にエピタキシャル膜を均一な厚さに成長させることができる、エピタキシャルウェーハの製造方法及びその製造装置を提供することにある。本発明の第2の目的は、アッパドームの最下面をアッパドーム用フランジの下面の延長面より上方に位置させることにより、アッパドーム用フランジ付きのアッパドームを下凸の状態で平板上においても、アッパドーム用フランジの下面が平板に接触する前にアッパドームの最下面が平板に接触せず、アッパドームの最下面を傷つけないので、アッパドーム用フランジ付きのアッパドームを部品として比較的容易に取扱うことができる、エピタキシャルウェーハの製造方法及びその製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点は、中央が下方に膨出するアッパドームとこのアッパドームを保持するアッパドーム用フランジとを有する反応容器内に半導体ウェーハを載置可能なサセプタを設け、このサセプタに半導体ウェーハを載置した状態で、アッパドーム用フランジより下方に位置するガス導入口から反応容器内に原料ガス及びキャリアガスを導入して半導体ウェーハ上にエピタキシャル膜を成長させ、かつアッパドーム用フランジより下方に位置するガス排出口から余剰の上記ガスを排出するエピタキシャルウェーハの製造方法において、アッパドームの最下面がアッパドーム用フランジの下面の延長面より上方に位置するように構成し、アッパドームの曲率半径を4500〜6000mmの範囲内に設定し、アッパドームの最下面とアッパドーム用フランジの下面の延長面との距離を1.0〜3.5mmの範囲内に設定することを特徴とする。なお、本明細書において、アッパドームの曲率半径を4500〜6000mmの範囲内に設定するとは、アッパドームの曲率半径が4500〜6000mmの範囲内になるようにアッパドームを形成することをいう。また、本明細書において、アッパドームの最下面とアッパドーム用フランジの下面の延長面との距離を1.0〜3.5mmの範囲内に設定するとは、アッパドームの最下面からアッパドーム用フランジの下面の延長面までの距離が1.0〜3.5mmの範囲内になるようにアッパドームを形成することをいう。
【0009】
本発明の第2の観点は、中央が下方に膨出するアッパドームとこのアッパドームを保持するアッパドーム用フランジとを有する反応容器と、この反応容器内に設けられ半導体ウェーハを載置可能なサセプタと、アッパドーム用フランジより下方に位置し反応容器内に原料ガス及びキャリアガスを導入するガス導入口と、このガス導入口に対向しかつアッパドーム用フランジより下方に位置し原料ガス及びキャリアガスを排出するガス排出口とを備えたエピタキシャルウェーハの製造装置において、アッパドームの最下面がアッパドーム用フランジの下面の延長面より上方に位置するように構成され、アッパドームの曲率半径が4500〜6000mmの範囲内に設定され、アッパドームの最下面とアッパドーム用フランジの下面の延長面との距離が1.0〜3.5mmの範囲内に設定されたことを特徴とする。なお、本明細書において、アッパドームの曲率半径が4500〜6000mmの範囲内に設定されるとは、アッパドームの曲率半径が4500〜6000mmの範囲内になるようにアッパドームが形成されることをいう。また、本明細書において、アッパドームの最下面とアッパドーム用フランジの下面の延長面との距離が1.0〜3.5mmの範囲内に設定されるとは、アッパドームの最下面からアッパドーム用フランジの下面の延長面までの距離が1.0〜3.5mmの範囲内になるようにアッパドームが形成されることをいう。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1及び第2の観点のエピタキシャルウェーハの製造方法及びその製造装置によれば、ガス導入口から反応容器内に供給されるガス流量に応じて、アッパドーム最下面の曲率半径やアッパドーム最下面がアッパドーム用フランジ下面の延長面との距離を変更したアッパドームに交換せずに、半導体ウェーハ上にエピタキシャル膜を均一な厚さに成長させることができる。
【0011】
また、アッパドームの最下面をアッパドーム用フランジの下面の延長面より上方に位置させることにより、アッパドーム用フランジ付きのアッパドームを下凸の状態で平板上においても、アッパドーム用フランジの下面が平板に接触する前にアッパドームの最下面が平板に接触せず、アッパドームの最下面を傷つけないので、アッパドーム用フランジ付きのアッパドームを部品として比較的容易に取扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明実施形態のエピタキシャルウェーハの製造装置を示す縦断面構成図である。
図2】その装置のサセプタに載置されたシリコンウェーハ上面を流れるガスがアッパドームの曲率半径及び位置によって変化する状態を示すシリコンウェーハの平面図である。
図3】シリコンウェーハ上面に成長したエピタキシャル膜の厚さの測定範囲を示すシリコンウェーハの平面図である。
図4】実施例1〜9及び比較例1〜6のシリコンウェーハについて、アッパドーム最下面とアッパドーム用フランジ下面の延長面との距離Hを1.0mmに固定した状態で、水素流量を変化させたときのエピタキシャル膜の最大厚ばらつき((L3/te)×100)の変化を示す図である。
図5】実施例10〜18及び比較例7〜12のシリコンウェーハについて、アッパドーム最下面とアッパドーム用フランジ下面の延長面との距離Hを3.5mmに固定した状態で、水素流量を変化させたときのエピタキシャル膜の最大厚ばらつき((L3/te)×100)の変化を示す図である。
図6】比較例13〜27のシリコンウェーハについて、アッパドーム最下面とアッパドーム用フランジ下面の延長面との距離Hを0mmに固定した状態で、水素流量を変化させたときのエピタキシャル膜の最大厚ばらつき((L3/te)×100)の変化を示す図である。
図7】比較例28〜42のシリコンウェーハについて、アッパドーム最下面とアッパドーム用フランジ下面の延長面との距離Hを5.0mmに固定した状態で、水素流量を変化させたときのエピタキシャル膜の最大厚ばらつき((L3/te)×100)の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1は、一般的に直径300mmのエピタキシャルウェーハを製造するために用いられる枚葉式エピタキシャル成長装置(アプライドマテリアルズ社製:Centura(登録商標))を模式的に示す装置断面図である。エピタキシャルウェーハの製造装置10は、シリコンウェーハ11の表面にエピタキシャル層を成長させるための装置であり、反応容器12と、この反応容器12内に設けられシリコンウェーハ11を載置可能な円板状のサセプタ13と、反応容器12内に原料ガス及びキャリアガスを導入するガス導入口14aと、サセプタ13に載置されたシリコンウェーハ11上にエピタキシャル膜を成長させた原料ガス及びキャリアガスの余剰のガスを排出するガス排出口14bとを備える。反応容器12は、サセプタ13の外周面から所定の間隔をあけてこのサセプタ13を包囲するリング状のベース部材16と、サセプタ13の上方に位置し中央が下方に膨出するアッパドーム17と、下面がベース部材16に上面に当接しアッパドーム17を保持するアッパドーム用フランジ18と、サセプタ13の下方に位置し下方に向うに従って細くなる円錐筒状に形成されたロアドーム19と、上面がベース部材16の下面に当接しロアドーム19を保持するロアドーム用フランジ21とを有する。
【0014】
上記アッパドーム17は透明石英により形成され、アッパドーム用フランジ18は不透明石英により形成される。そしてアッパドーム17はアッパドーム用フランジ18に同化処理される。即ち、アッパドーム17は、リング状のアッパドーム用フランジ18に嵌入した状態でこのアッパドーム用フランジ18に水素及び酸素の混合ガスを用いたガスバーナで溶着されて一体化される。このときアッパドーム17の最下面がアッパドーム用フランジ18の下面の延長面より上方に位置するように、アッパドーム17がアッパドーム用フランジ18に同化処理(溶着)される。このアッパドーム用フランジ18をベース部材16に載せた状態で、アッパドーム用フランジ18にアッパ固定フランジ22を載せて、アッパドーム用フランジ18をベース部材16及びアッパ固定フランジ22で挟持することにより、アッパドーム用フランジ18がベース部材16に固定される。上記のようにアッパドーム17の最下面をアッパドーム用フランジ18の下面の延長面より上方に位置させることにより、アッパドーム用フランジ18付きのアッパドーム17を下凸の状態で平板上においても、アッパドーム用フランジ18の下面が平板に接触する前にアッパドーム17の最下面が平板に接触せず、アッパドーム17の最下面を傷つけない。このため、アッパドーム用フランジ18付きのアッパドーム17を部品として比較的容易に取扱うことができる。
【0015】
一方、ロアドーム19は透明石英により形成され、ロアドーム用フランジ21は不透明石英により形成される。そしてロアドーム19はロアドーム用フランジ21に同化処理される。即ち、ロアドーム19の上端は、リング状のロアドーム用フランジ21下端の内側コーナ部に水素及び酸素の混合ガスを用いたガスバーナで溶着されて一体化される。またロアドーム19の下端には、鉛直方向に延びて設けられ不透明石英により形成された筒部材23の上端が同化処理される。即ち、ロアドーム19の下端は、筒部材23の上端に水素及び酸素の混合ガスを用いたガスバーナで溶着されて一体化される。上記ロアドーム用フランジ21の上面をベース部材16の下面に接触させた状態で、ロアドーム用フランジ21の下面にロア固定フランジ24を押し付けて、ロアドーム用フランジ21をベース部材16及びロア固定フランジ24で挟持することにより、ロアドーム用フランジ21がベース部材16に固定される。更に上記筒部材には駆動軸26が鉛直方向に貫通して設けられ、反応容器12内の設けられたサセプタ13は駆動軸26の上端部に複数本のアーム27を介して固定される。駆動軸26の下端は反応容器12の外部に設けられた駆動モータ(図示せず)に接続される。筒部材23と駆動軸26との隙間には、ガスケットリング28が介装され、ガスケットリング28により駆動軸26の反応容器12への挿通部が封止される。
【0016】
一方、アッパドーム17の曲率半径Rは4500〜6000mm、好ましくは5000〜5500mmの範囲内に設定される。更にアッパドーム17の最下面とアッパドーム用フランジ18の下面の延長面との距離Hは1.0〜3.5mm、好ましくは1.5〜3.0mmの範囲内に設定される。ここで、アッパドーム17の曲率半径Rを4500〜6000mmの範囲内に限定したのは、4500mm未満では反応容器12内の中心部付近におけるガス(原料ガス及びキャリアガス)の流れが不安定化し、これに伴って流量依存性が上昇してしまい、6000mmを越えるとアッパドーム17の製作の難易度が上昇するとともに、アッパドーム17の強度が低下してしまうからである。また、アッパドーム17の最下面とアッパドーム用フランジ18の下面の延長面との距離Hを1.0〜3.5mmの範囲内に限定したのは、1.0mm未満ではアッパドーム17の最下面がシリコンウェーハ11に近付き過ぎ、シリコンウェーハ11上を通る混合ガスの流れがアッパドーム17の形状の影響を受けて、図2の二点鎖線矢印で示すように湾曲してしまい、均一な厚さのエピタキシャル膜を形成できず、3.5mmを越えるとアッパドーム17最下面とシリコンウェーハ11上面との間の空間が広がることによってガスの流量に対する応答性が強くなってしまうからである。
【0017】
アッパドーム17の曲率半径Rを4500〜6000mmの範囲内に限定し、かつアッパドーム17最下面とアッパドーム用フランジ18下面の延長面との距離Hを1.0〜3.5mmの範囲内に限定した理由を更に詳しく説明する。実験によると、上記曲率半径Rが4500mm未満であっても、或いは6000mmを越えても、ガス(原料ガス及びキャリアガス)流量の多少に拘らず、エピタキシャル膜の厚さ分布が悪くなる。また、実験によると、上記距離Hが1.0mm未満であっても、或いは3.5mmを越えても、ガス流量の多少に拘らず、エピタキシャル膜の厚さ分布が悪くなる傾向がある。具体的には、上記距離Hが小さくなると、ガス流量の増大に伴って、エピタキシャル膜の平坦性が良好になる傾向があり、上記距離Hが大きくなると、ガス流量の増大に伴って、エピタキシャル膜の平坦性が悪化する傾向があり、いずれの場合にもガス流量に依存する。更に、実験によると、上記曲率半径Rを4500〜6000mmの範囲内に限定し、かつ上記距離Hを1.0〜3.5mmの範囲内に限定することにより、ガス流量の多少に拘らず、ほぼ一定の良好な膜厚分布が得られる。これらのことから、反応容器12内に導入されたガスの流速(流量)に応じて、ウェーハ11直上における原料ガスの水平方向の濃度分布が変化しているため、エピタキシャル膜の平坦性の低下が生じていると推測される。即ち、上記曲率半径Rを4500〜6000mmの範囲内に設定し、かつ上記距離Hを1.0〜3.5mmの範囲内に設定することにより、ガスの流速(流量)による上記原料ガスの濃度分布への影響が抑制されたため、エピタキシャル膜の厚さ分布がほぼ一定である良好な結果が得られたと考えられる。一方、反応容器12に導入されたガスは、基本的には円柱状の反応空間を上流から下流に向って流れるけれども、その際にガスがウェーハ11に対して水平方向及び垂直方向に拡散する余地がある。その水平方向へのガスの拡散に影響するのが上記曲率半径Rであり、垂直方向へのガスの拡散に影響するのが上記距離Hであると考えられる。また、それらは相互作用を及ぼすため、曲率半径R及び距離Hの最適な組合せが必要となる。
【0018】
上述のことから次のように解釈される。アッパドーム17の曲率に応じた水平方向へのガスの拡散は、基本的にはアッパドーム17の曲率が大きい(曲率半径が小さい)場合、アッパドーム17の湾曲面に沿って広がる傾向があり、ガスが広がり過ぎても、ガスが留まり過ぎても膜厚分布は良くならない。またガスの広がり具合は、垂直方向成分である上記距離Hの影響を受ける。即ち、上記距離Hが小さい場合、ガスは水平方向への影響を強く受け易くなる。本発明におけるアッパドーム17に関する数値限定(曲率半径R及び距離Hの数値範囲)は、その均衡状態が存在することを示唆し、ガスの流速(流量)の影響を受け難くエピタキシャル膜の厚さ分布を良好にすることができるガス濃度を実現できる形状及び構成を示している。なお、曲率半径R及び距離Hを上記範囲内にそれぞれ設定することにより、アッパドーム17の最下面とガス導入口14aの上端との高さ方向における差は16.0〜18.5mmの範囲内に設定される。
【0019】
一方、エピタキシャルウェーハの製造装置10は、シリコンウェーハ11の上面にエピタキシャル膜を成長させるためのシランガス等の原料ガスを貯留するタンク(図示せず)と、水素ガス等のキャリアガスを貯留するタンク(図示せず)と、ベース部材16に挿着され反応処理ガス(原料ガス及びキャリアガス)を反応容器12に導入するガス供給管29と、ベース部材16に挿着され余剰の上記反応処理ガスを反応容器12から排出するガス排出管31と、ガス供給管29及びガス排出管31にそれぞれ連通する上記ガス導入口14a及びガス排出口14bを形成するためにベース部材16の内周面に上下方向に所定の間隔をあけて配置されたアッパライナ32及びロアライナ33と、反応容器12内の反応処理ガスを吸引排気するガス排出管31とを更に備える。上記ガス供給管29とガス排出管31は、駆動軸26を中心に互いに対向し、この駆動軸26を中心とする半径方向に延び、かつサセプタ13の外周面に向うように設けられる。また、上記ガス導入口14a及びガス排出口14bは、アッパドーム用フランジ18より下方にそれぞれ位置するように、アッパライナ32及びロアライナ33により形成される。即ち、ガス導入口14a及びガス排出口14bは、駆動軸26を中心に互いに対向し、水平方向に延びる偏平状に形成され、かつサセプタ13に載置されたシリコンウェーハ11の外周面に向うようにアッパライナ32及びロアライナ33により形成される。なお、図1中の符号34は反応容器12の上方及び下方にそれぞれ設けられたハロゲンランプ(加熱器具)である。
【0020】
このように構成されたエピタキシャルウェーハの製造装置10を用いて、サセプタ13に載置されたシリコンウェーハ11上にエピタキシャル膜を成長させる方法を説明する。先ずサセプタ13にシリコンウェーハ11を載置する。次に駆動モータを駆動させて、シリコンウェーハ11を駆動軸26及びサセプタ13を介して回転させるとともに、シリコンウェーハ11の上面及びサセプタ13の下面をハロゲンランプ34により加熱した後、反応処理ガス(原料ガス及びキャリアガス)を反応容器12内に供給する。これにより反応処理ガスがシリコンウェーハ11上を通った後、シリコンウェーハ11上に堆積しなかった余剰の反応処理ガスがガス排出口14b及びガス排出管31を通って反応容器12外に排出される。ここで、アッパドーム17の曲率半径Rが所定の範囲内であり、アッパドーム17の最下面とアッパドーム用フランジ18の下面の延長面との距離Hが所定の範囲内であるので、ガス導入口14aから反応容器12内に供給されるガス流量を多くしたり或いは少なくしても、反応処理ガスがシリコンウェーハ11上を図2の破線矢印で示すように直線状に流れる。即ち、ガス導入口14aから反応容器12内に供給されるガス流量を変更しても、シリコンウェーハ11上のガス流に対してアッパドーム17の形状が影響を与えない。この結果、アッパドーム17の曲率半径Rや上記距離Hを変更したアッパドーム17に交換せずに、同一形状のアッパドーム17を用いて、所定のエピタキシャル膜の成長速度を維持しつつ、シリコンウェーハ11上にエピタキシャル膜を均一な厚さに成長させることができる。
【0021】
なお、上記実施の形態では、半導体ウェーハとしてシリコンウェーハを挙げたが、半導体ウェーハとして炭化珪素(SiC)ウェーハ、ガリウムヒ素(GaAs)ウェーハ等を用いてもよい。
【実施例】
【0022】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
【0023】
<実施例1〜3>
図1に示すエピタキシャルウェーハの製造装置10のアッパドーム17の曲率半径Rを4500mmとし、アッパドーム17最下面とアッパドーム用フランジ18下面の延長面との距離Hを1.0mmとした製造装置10を用いて、次のエピタキシャル成長処理条件にてエピタキシャル成長処理を行った。直径及び厚さがそれぞれ300mm及び775μmであるシリコンウェーハ11をサセプタ13上に載置し、水素ガス流量(キャリアガス流量)及びトリクロロシランガス(原料ガス)を60秒間流して、シリコンウェーハ11上にエピタキシャル膜をそれぞれ成長させた。反応容器12内に供給する水素ガスの流量を、40slm(standard liter/minute)としてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを実施例1とし、60slmとしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを実施例2とし、80slmとしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを実施例3とした。なお、トリクロロシランガスの流量は、水素ガス流量に拘らず一定(10slm)にした。
【0024】
<実施例4〜6>
アッパドームの曲率半径Rを5000mmとしたこと以外は、実施例1〜3と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ実施例4〜6とした。
【0025】
<実施例7〜9>
アッパドームの曲率半径Rを6000mmとしたこと以外は、実施例1〜3と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ実施例7〜9とした。
【0026】
<比較例1〜3>
アッパドームの曲率半径Rを3000mmとしたこと以外は、実施例1〜3と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例1〜3とした。
【0027】
<比較例4〜6>
アッパドームの曲率半径Rを7000mmとしたこと以外は、実施例1〜3と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例4〜6とした。
【0028】
<実施例10〜12>
図1に示すエピタキシャルウェーハの製造装置10のアッパドーム17の曲率半径Rを4500mmとし、アッパドーム17最下面とアッパドーム用フランジ18下面の延長面との距離Hを3.5mmとした製造装置10を用いて、次のエピタキシャル成長処理条件にてエピタキシャル成長処理を行った。直径及び厚さがそれぞれ300mm及び775μmであるシリコンウェーハ11をサセプタ13上に載置し、水素ガス流量(キャリアガス流量)及びトリクロロシランガス(原料ガス)を60秒間流して、シリコンウェーハ11上にエピタキシャル膜をそれぞれ成長させた。反応容器12内に供給する水素ガスの流量を、40slm(standard liter/minute)としてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを実施例10とし、60slmとしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを実施例11とし、80slmとしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを実施例12とした。なお、トリクロロシランガスの流量は、水素ガス流量に拘らず一定(10slm)にした。
【0029】
<実施例13〜15>
アッパドームの曲率半径Rを5000mmとしたこと以外は、実施例10〜12と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ実施例13〜15とした。
【0030】
<実施例16〜18>
アッパドームの曲率半径Rを6000mmとしたこと以外は、実施例10〜12と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ実施例18〜19とした。
【0031】
<比較例7〜9>
アッパドームの曲率半径Rを3000mmとしたこと以外は、実施例10〜12と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例7〜9とした。
【0032】
<比較例10〜12>
アッパドームの曲率半径Rを7000mmとしたこと以外は、実施例10〜12と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例10〜12とした。
【0033】
<比較例13〜15>
図1に示すエピタキシャルウェーハの製造装置10のアッパドーム17の曲率半径Rを3000mmとし、アッパドーム17最下面とアッパドーム用フランジ18下面の延長面との距離Hを0mmとした製造装置10を用いて、次のエピタキシャル成長処理条件にてエピタキシャル成長処理を行った。直径及び厚さがそれぞれ300mm及び775μmであるシリコンウェーハ11をサセプタ13上に載置し、水素ガス流量(キャリアガス流量)及びトリクロロシランガス(原料ガス)を60秒間流して、シリコンウェーハ11上にエピタキシャル膜をそれぞれ成長させた。反応容器12内に供給する水素ガスの流量を、40slm(standard liter/minute)としてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを比較例13とし、60slmとしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを比較例14とし、80slmとしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを比較例15とした。なお、トリクロロシランガスの流量は、水素ガス流量に拘らず一定(10slm)にした。
【0034】
<比較例16〜18>
アッパドームの曲率半径Rを4500mmとしたこと以外は、比較例13〜15と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例16〜18とした。
【0035】
<比較例19〜21>
アッパドームの曲率半径Rを5000mmとしたこと以外は、比較例13〜15と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例19〜21とした。
【0036】
<比較例22〜24>
アッパドームの曲率半径Rを6000mmとしたこと以外は、比較例13〜15と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例22〜24とした。
【0037】
<比較例25〜27>
アッパドームの曲率半径Rを7000mmとしたこと以外は、比較例13〜15と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例25〜27とした。
【0038】
<比較例28〜30>
図1に示すエピタキシャルウェーハの製造装置10のアッパドーム17の曲率半径Rを3000mmとし、アッパドーム17最下面とアッパドーム用フランジ18下面の延長面との距離Hを5.0mmとした製造装置10を用いて、次のエピタキシャル成長処理条件にてエピタキシャル成長処理を行った。直径及び厚さがそれぞれ300mm及び775μmであるシリコンウェーハ11をサセプタ13上に載置し、水素ガス流量(キャリアガス流量)及びトリクロロシランガス(原料ガス)を60秒間流して、シリコンウェーハ11上にエピタキシャル膜をそれぞれ成長させた。反応容器12内に供給する水素ガスの流量を、40slm(standard liter/minute)としてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを比較例28とし、60slmとしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを比較例29とし、80slmとしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを比較例30とした。なお、トリクロロシランガスの流量は、水素ガス流量に拘らず一定(10slm)にした。
【0039】
<比較例31〜33>
アッパドームの曲率半径Rを4500mmとしたこと以外は、比較例28〜30と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例31〜33とした。
【0040】
<比較例34〜36>
アッパドームの曲率半径Rを5000mmとしたこと以外は、比較例28〜30と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例34〜36とした。
【0041】
<比較例37〜39>
アッパドームの曲率半径Rを6000mmとしたこと以外は、比較例28〜30と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例37〜39とした。
【0042】
<比較例40〜42>
アッパドームの曲率半径Rを7000mmとしたこと以外は、比較例28〜30と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例40〜42とした。
【0043】
<比較試験1及び評価>
実施例1〜18及び比較例1〜42のシリコンウェーハについて、シリコンウェーハ上に堆積したエピタキシャル膜の厚さをフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR:Fourier Transform Infrared Spectroscopy)を用いて測定し、エピタキシャル膜の分布平坦性の指標を算出した。具体的には、先ず、図3に示すように、ウェーハの中心から角度を90度変えて半径方向に延びる4方向に5mmピッチでラインスキャンをそれぞれ行った。次に同心円上の測定点を平均化し、ウェーハの中心から半径方向に延びてウェーハの外周に達する線分を30mm毎に5つの領域に分割し、それらの区間1〜5のそれぞれの区間におけるエピタキシャル膜の最大値から最小値を引いた値(L1〜L5)を求め、各値を狙いとするエピタキシャル膜の厚さte(epi thickness)で割った値(L/te)の百分率をエピタキシャル膜の分布平坦性の指標とした。そしてエピタキシャル膜の厚さばらつきが最も大きくなる区間3における値(L3/te)×100を、エピタキシャル膜の最大厚ばらつきとして算出した結果を図4図7に示す。なお、区間1(L1)はウェーハの中心から30mmまでの区間であり、区間2(L2)は30mmから60mmまでの区間であり、区間3(L3)は60mmから90mmまでの区間であり、区間4(L4)は90mmから120mmまでの区間であり、区間5(L5)は120mmから150mmまでの区間である。また、図4には実施例1〜9及び比較例1〜6を示し、図5には実施例10〜18及び比較例7〜12を示し、図6には比較例13〜27を示し、図7には比較例28〜42を示す。
【0044】
一方、実施例1〜18及び比較例1〜42のエピタキシャル膜の厚さの測定点全てにおける最大値から最小値を引いた値を平均値で割った値の百分率をエピタキシャル膜の厚さの全体分布(%)として算出した。その結果を表1に示す。なお、表1において、Rはアッパドームの曲率半径を示し、Hはアッパドーム最下面とアッパドーム用フランジ下面の延長面との距離を示す。また、キャリアガス流量の変更などでエピタキシャル膜の厚さ分布を調整した場合、全体形状のおおよそのチューニングは可能であるけれども、最終的には区間3(L3)の領域での形状変化が残存するため、上記のように、区間3(L3)領域の平坦性及び全体分布の平坦性を合せて評価できるように指標を設定した。
【0045】
【表1】
【0046】
図4図7から明らかなように、比較例1〜42では、エピタキシャル膜の最大厚ばらつき((L3/te)×100)が0.42〜2.21%と大きかったのに対し、実施例1〜18では、エピタキシャル膜の最大厚ばらつき((L3/te)×100)が約0.23〜0.49%と小さくなった。このことから、アッパドームの曲率半径Rを4500〜6000mmの範囲内に設定し、アッパドーム最下面とアッパドーム用フランジ下面の延長面との距離Hを1.0〜3.5mmの範囲内に設定すると、装置内に供給する水素ガス流量の多少に拘らず、シリコンウェーハ上にエピタキシャル膜を均一な厚さに成長させることができることが分かった。
【0047】
また、表1から明らかなように、比較例1〜42では、エピタキシャル膜の厚さの全体分布が0.52〜2.93%と大きかったのに対し、実施例1〜18では、エピタキシャル膜の厚さの全体分布が0.28〜0.69と小さくなった。このことから、アッパドームの曲率半径Rを4500〜6000mmの範囲内に設定し、かつアッパドーム最下面とアッパドーム用フランジ下面の延長面との距離Hを1.0〜3.5mmの範囲内に設定すると、装置内に供給する水素ガス流量の多少に拘らず、エピタキシャル膜の厚さの全体分布の平坦性が良好になることが分かった。
【符号の説明】
【0048】
10 エピタキシャルウェーハの製造装置
11 シリコンウェーハ(半導体ウェーハ)
12 反応容器
13 サセプタ
14a ガス導入口
14b ガス排出口
17 アッパドーム
18 アッパドーム用フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7