【実施例】
【0022】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
【0023】
<実施例1〜3>
図1に示すエピタキシャルウェーハの製造装置10のアッパドーム17の曲率半径Rを4500mmとし、アッパドーム17最下面とアッパドーム用フランジ18下面の延長面との距離Hを1.0mmとした製造装置10を用いて、次のエピタキシャル成長処理条件にてエピタキシャル成長処理を行った。直径及び厚さがそれぞれ300mm及び775μmであるシリコンウェーハ11をサセプタ13上に載置し、水素ガス流量(キャリアガス流量)及びトリクロロシランガス(原料ガス)を60秒間流して、シリコンウェーハ11上にエピタキシャル膜をそれぞれ成長させた。反応容器12内に供給する水素ガスの流量を、40slm(standard liter/minute)としてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを実施例1とし、60slmとしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを実施例2とし、80slmとしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを実施例3とした。なお、トリクロロシランガスの流量は、水素ガス流量に拘らず一定(10slm)にした。
【0024】
<実施例4〜6>
アッパドームの曲率半径Rを5000mmとしたこと以外は、実施例1〜3と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ実施例4〜6とした。
【0025】
<実施例7〜9>
アッパドームの曲率半径Rを6000mmとしたこと以外は、実施例1〜3と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ実施例7〜9とした。
【0026】
<比較例1〜3>
アッパドームの曲率半径Rを3000mmとしたこと以外は、実施例1〜3と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例1〜3とした。
【0027】
<比較例4〜6>
アッパドームの曲率半径Rを7000mmとしたこと以外は、実施例1〜3と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例4〜6とした。
【0028】
<実施例10〜12>
図1に示すエピタキシャルウェーハの製造装置10のアッパドーム17の曲率半径Rを4500mmとし、アッパドーム17最下面とアッパドーム用フランジ18下面の延長面との距離Hを3.5mmとした製造装置10を用いて、次のエピタキシャル成長処理条件にてエピタキシャル成長処理を行った。直径及び厚さがそれぞれ300mm及び775μmであるシリコンウェーハ11をサセプタ13上に載置し、水素ガス流量(キャリアガス流量)及びトリクロロシランガス(原料ガス)を60秒間流して、シリコンウェーハ11上にエピタキシャル膜をそれぞれ成長させた。反応容器12内に供給する水素ガスの流量を、40slm(standard liter/minute)としてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを実施例10とし、60slmとしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを実施例11とし、80slmとしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを実施例12とした。なお、トリクロロシランガスの流量は、水素ガス流量に拘らず一定(10slm)にした。
【0029】
<実施例13〜15>
アッパドームの曲率半径Rを5000mmとしたこと以外は、実施例10〜12と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ実施例13〜15とした。
【0030】
<実施例16〜18>
アッパドームの曲率半径Rを6000mmとしたこと以外は、実施例10〜12と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ実施例18〜19とした。
【0031】
<比較例7〜9>
アッパドームの曲率半径Rを3000mmとしたこと以外は、実施例10〜12と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例7〜9とした。
【0032】
<比較例10〜12>
アッパドームの曲率半径Rを7000mmとしたこと以外は、実施例10〜12と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例10〜12とした。
【0033】
<比較例13〜15>
図1に示すエピタキシャルウェーハの製造装置10のアッパドーム17の曲率半径Rを3000mmとし、アッパドーム17最下面とアッパドーム用フランジ18下面の延長面との距離Hを0mmとした製造装置10を用いて、次のエピタキシャル成長処理条件にてエピタキシャル成長処理を行った。直径及び厚さがそれぞれ300mm及び775μmであるシリコンウェーハ11をサセプタ13上に載置し、水素ガス流量(キャリアガス流量)及びトリクロロシランガス(原料ガス)を60秒間流して、シリコンウェーハ11上にエピタキシャル膜をそれぞれ成長させた。反応容器12内に供給する水素ガスの流量を、40slm(standard liter/minute)としてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを比較例13とし、60slmとしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを比較例14とし、80slmとしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを比較例15とした。なお、トリクロロシランガスの流量は、水素ガス流量に拘らず一定(10slm)にした。
【0034】
<比較例16〜18>
アッパドームの曲率半径Rを4500mmとしたこと以外は、比較例13〜15と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例16〜18とした。
【0035】
<比較例19〜21>
アッパドームの曲率半径Rを5000mmとしたこと以外は、比較例13〜15と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例19〜21とした。
【0036】
<比較例22〜24>
アッパドームの曲率半径Rを6000mmとしたこと以外は、比較例13〜15と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例22〜24とした。
【0037】
<比較例25〜27>
アッパドームの曲率半径Rを7000mmとしたこと以外は、比較例13〜15と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例25〜27とした。
【0038】
<比較例28〜30>
図1に示すエピタキシャルウェーハの製造装置10のアッパドーム17の曲率半径Rを3000mmとし、アッパドーム17最下面とアッパドーム用フランジ18下面の延長面との距離Hを5.0mmとした製造装置10を用いて、次のエピタキシャル成長処理条件にてエピタキシャル成長処理を行った。直径及び厚さがそれぞれ300mm及び775μmであるシリコンウェーハ11をサセプタ13上に載置し、水素ガス流量(キャリアガス流量)及びトリクロロシランガス(原料ガス)を60秒間流して、シリコンウェーハ11上にエピタキシャル膜をそれぞれ成長させた。反応容器12内に供給する水素ガスの流量を、40slm(standard liter/minute)としてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを比較例28とし、60slmとしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを比較例29とし、80slmとしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハを比較例30とした。なお、トリクロロシランガスの流量は、水素ガス流量に拘らず一定(10slm)にした。
【0039】
<比較例31〜33>
アッパドームの曲率半径Rを4500mmとしたこと以外は、比較例28〜30と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例31〜33とした。
【0040】
<比較例34〜36>
アッパドームの曲率半径Rを5000mmとしたこと以外は、比較例28〜30と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例34〜36とした。
【0041】
<比較例37〜39>
アッパドームの曲率半径Rを6000mmとしたこと以外は、比較例28〜30と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例37〜39とした。
【0042】
<比較例40〜42>
アッパドームの曲率半径Rを7000mmとしたこと以外は、比較例28〜30と同様にしてエピタキシャル成長を行ったシリコンウェーハをそれぞれ比較例40〜42とした。
【0043】
<比較試験1及び評価>
実施例1〜18及び比較例1〜42のシリコンウェーハについて、シリコンウェーハ上に堆積したエピタキシャル膜の厚さをフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR:Fourier Transform Infrared Spectroscopy)を用いて測定し、エピタキシャル膜の分布平坦性の指標を算出した。具体的には、先ず、
図3に示すように、ウェーハの中心から角度を90度変えて半径方向に延びる4方向に5mmピッチでラインスキャンをそれぞれ行った。次に同心円上の測定点を平均化し、ウェーハの中心から半径方向に延びてウェーハの外周に達する線分を30mm毎に5つの領域に分割し、それらの区間1〜5のそれぞれの区間におけるエピタキシャル膜の最大値から最小値を引いた値(L1〜L5)を求め、各値を狙いとするエピタキシャル膜の厚さte(epi thickness)で割った値(L/te)の百分率をエピタキシャル膜の分布平坦性の指標とした。そしてエピタキシャル膜の厚さばらつきが最も大きくなる区間3における値(L3/te)×100を、エピタキシャル膜の最大厚ばらつきとして算出した結果を
図4〜
図7に示す。なお、区間1(L1)はウェーハの中心から30mmまでの区間であり、区間2(L2)は30mmから60mmまでの区間であり、区間3(L3)は60mmから90mmまでの区間であり、区間4(L4)は90mmから120mmまでの区間であり、区間5(L5)は120mmから150mmまでの区間である。また、
図4には実施例1〜9及び比較例1〜6を示し、
図5には実施例10〜18及び比較例7〜12を示し、
図6には比較例13〜27を示し、
図7には比較例28〜42を示す。
【0044】
一方、実施例1〜18及び比較例1〜42のエピタキシャル膜の厚さの測定点全てにおける最大値から最小値を引いた値を平均値で割った値の百分率をエピタキシャル膜の厚さの全体分布(%)として算出した。その結果を表1に示す。なお、表1において、Rはアッパドームの曲率半径を示し、Hはアッパドーム最下面とアッパドーム用フランジ下面の延長面との距離を示す。また、キャリアガス流量の変更などでエピタキシャル膜の厚さ分布を調整した場合、全体形状のおおよそのチューニングは可能であるけれども、最終的には区間3(L3)の領域での形状変化が残存するため、上記のように、区間3(L3)領域の平坦性及び全体分布の平坦性を合せて評価できるように指標を設定した。
【0045】
【表1】
【0046】
図4〜
図7から明らかなように、比較例1〜42では、エピタキシャル膜の最大厚ばらつき((L3/te)×100)が0.42〜2.21%と大きかったのに対し、実施例1〜18では、エピタキシャル膜の最大厚ばらつき((L3/te)×100)が約0.23〜0.49%と小さくなった。このことから、アッパドームの曲率半径Rを4500〜6000mmの範囲内に設定し、アッパドーム最下面とアッパドーム用フランジ下面の延長面との距離Hを1.0〜3.5mmの範囲内に設定すると、装置内に供給する水素ガス流量の多少に拘らず、シリコンウェーハ上にエピタキシャル膜を均一な厚さに成長させることができることが分かった。
【0047】
また、表1から明らかなように、比較例1〜42では、エピタキシャル膜の厚さの全体分布が0.52〜2.93%と大きかったのに対し、実施例1〜18では、エピタキシャル膜の厚さの全体分布が0.28〜0.69と小さくなった。このことから、アッパドームの曲率半径Rを4500〜6000mmの範囲内に設定し、かつアッパドーム最下面とアッパドーム用フランジ下面の延長面との距離Hを1.0〜3.5mmの範囲内に設定すると、装置内に供給する水素ガス流量の多少に拘らず、エピタキシャル膜の厚さの全体分布の平坦性が良好になることが分かった。