(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カルボキシル基を有するジアミン化合物を含むジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリイミド前駆体及び/又はポリイミド前駆体をイミド化したポリイミドと、
下記式[1]で示される化合物、下記式[2]で示される化合物及び下記式[3]で示される化合物からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を全溶媒中70〜100質量%含有する溶媒と、を含有することを特徴とする組成物。
H3C−CH(OH)−CH2−O−R1 [1]
(式[1]中、R1は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
HO−CH2−CH2−OR2 [2]
(式[2]中、R2は、炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
C5H6O2 [3]
【発明を実施するための形態】
【0013】
ポリイミド系の膜、例えば、液晶配向膜の形成は、上述のように、ポリイミド又はポリイミド前駆体を溶媒に溶解して得たポリイミドの溶液、又はポリイミド前駆体の溶液を用い、この溶液を基板に塗布し、通常、200〜300℃程度の高い温度で焼成することにより行なわれる。
【0014】
ポリイミド系液晶配向膜の形成に、例えば、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を用いる場合は、加熱によりポリアミド酸の脱水閉環反応(熱イミド化)を行っている。
一方、ポリイミドの溶液を用いて液晶配向膜を形成する場合、加熱工程では塗膜から溶媒を除去するのが主な目的となる。そのため、ポリイミド溶液を用いる場合の加熱温度は、使用する溶媒の沸点の影響を受けるものの、通常は、ポリアミド酸を用いる場合に比べて低くすることができる。例えば、日本特開平9−194725号公報に開示されているように、200℃程度の焼成温度により液晶配向膜を形成することができる。
したがって、液晶配向膜の低温焼成化には、ポリイミド溶液を使用することがより好ましいことがわかる。
本発明者らは、ポリイミド溶液を使用して、ポリイミド膜形成における低温焼成化をさらに進めるべく、鋭意検討を行った。その結果、低温焼成化の実現のためには、ポリイミド溶液の調製に用いる溶媒の検討が有効であることを見出した。
【0015】
ポリイミド溶液を調製する場合、通常は溶けにくいポリイミドを溶解することになるため、溶媒の選択が重要となる。従来のポリイミドに対しては、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPともいわれる)など、特有の高極性溶媒が選択され、溶液調製に使用されてきた。一般的に、高極性溶媒は沸点が高く、例えば、NMPの沸点は200℃以上である。NMPを溶媒に用いたポリイミド溶液から液晶配向膜を形成する場合、NMPの沸点近傍の200℃程度の高い焼成温度が必要となる。より低い温度で焼成を行った場合、得られる液晶配向膜中には溶媒(NMP)が残存する。その結果、液晶配向膜の場合、抵抗特性の低下を引き起こし、得られる液晶表示素子の品質は低下する。そこで、より低沸点の溶媒を選択し、ポリイミドを溶解することができれば、より低温での焼成が可能となる。
【0016】
また、NMPの場合、比較的高い表面張力特性を有しているため、NMPを溶媒とするポリイミド溶液を用いて基板の塗布がなされた場合、基板上での濡れ広がり特性は良好ではない。ポリイミド溶液の調製に用いる溶媒の表面張力をより低いものにできれば、ポリイミド溶液の基板への塗布性はより良好なものとなる。その結果、はじきやピンホール等の印刷塗布時の欠陥が無い、より均一な特性の高品質な液晶配向膜を形成することができる。
したがって、より低沸点で低い表面張力特性の溶媒を選択し、ポリイミドを溶解してポリイミドの溶液を調整することができれば、良好な塗布特性と膜形成における低温焼成を両立させることができる。
【0017】
こうした低温焼成化の実現、及び塗布性の向上は、電子デバイスの絶縁膜や保護膜などを目的とするポリイミド系の膜の形成においても重要となる。塗布性の向上は、はじきやピンホール等、印刷塗布時に生じる欠陥の無い、より均一なポリイミドの膜の形成を可能とする。特に、低温焼成化は、ポリイミド膜においても、上述のように、電子デバイスの信頼性の向上に有効である。
以上の知見に基づき、ポリイミド系の膜、特に、ポリイミドの液晶配向膜の低温焼成化を実現するためには、ポリイミドの溶媒への溶解性を改善するとともに、溶媒の最適な選択が望ましいことがわかった。さらに、溶媒の選択とあわせて、ポリイミド構造の最適化を行うことも重要である。特に、選択される溶媒は、塗布性を考慮して、より低い表面張力特性を備えたものであることが望ましい。
【0018】
本発明者は、特定構造のジアミン化合物を用いることにより、特徴的な構造を有するポリイミド前駆体が得られ、このポリイミド前駆体をイミド化することにより、上述した所望の特性を備えたポリイミドが得られることを見出した。併せて、そのポリイミドを溶解する、低沸点かつ低表面張力の化合物(溶媒とも称する。)を見出した。
すなわち、本発明においては、特定構造のポリイミドを特定の溶媒に溶解した組成物を得ることができ、液晶配向処理剤を調製することが可能である。
得られた組成物から得られる液晶配向処理剤は、塗布性に優れ、低い温度での焼成によるポリイミド膜の形成に好適であり、欠陥の無い液晶配向膜を形成することができる。得られた液晶配向膜は、信頼性の高い液晶表示素子の製造に好適である。
【0019】
<カルボキシル基を有するジアミン化合物>
本発明において、ポリイミド前駆体及びポリイミドを得るためのカルボキシル基を有するジアミン化合物は、分子内に、−(CH
2)
a−COOH基(aは0〜4の整数である)を有するジアミン化合物である。例えば、下記式[4]で示される構造のジアミン化合物を挙げることができる。
【0020】
【化6】
式[4]中、aは0〜4の整数であり、nは1〜4の整数を表す。
さらに、下記式[4−1]〜[4−4]で示される分子内にカルボキシル基を有するジアミン化合物を挙げることができる。
【0021】
【化7】
式[4−1]中、A
4は、単結合、−CH
2−、−C
2H
4−、−C(CH
3)
2−、−CF
2−、−C(CF
3)−、−O−、−CO−、−NH−、−N(CH
3)−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−CON(CH
3)−又はN(CH
3)CO−であり、m
2及びm
3はそれぞれ0〜4の整数を示し、かつ、m
2+m
3は1〜4の整数を示す。
式[4−2]中、m
4及びm
5はそれぞれ1〜5の整数である。
式[4−3]中、A
5は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、m
6は1〜5の整数である。
式[4−4]中、A
6は、単結合、−CH
2−、−C
2H
4−、−C(CH
3)
2−、−CF
2−、−C(CF
3)−、−O−、−CO−、−NH−、−N(CH
3)−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−CON(CH
3)−又はN(CH
3)CO−であり、m
7は1〜4の整数である。
【0022】
カルボキシル基を有するジアミン化合物の使用量は、全ジアミン成分中の30〜100モル%であることが好ましく、さらに好ましくは、40〜100モル%である。
上記のカルボキシル基を有するジアミン化合物は、組成物とした際の溶媒への溶解性や塗布性、液晶配向膜とした場合における液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することもできる。
【0023】
<ジアミン化合物の合成方法>
式[4]で示されるジアミン化合物を製造する方法は特に限定されないが、好ましい方法としては、以下に示すものが挙げられる。
例えば、式[4]で示されるジアミン化合物は、下記式[4A]で示されるジニトロ体を合成し、さらにニトロ基を還元してアミノ基に変換することで得られる。
【0024】
【化8】
(式[4A]中、aは0〜4の整数であり、nは1〜4の整数を表す。)
ジニトロ基を還元する方法には、特に制限はなく、通常、パラジウム−炭素、酸化白金、ラネーニッケル、白金黒、ロジウム−アルミナ又は硫化白金炭素などを触媒として用い、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン又はアルコール系溶剤などの溶媒中において、水素ガス、ヒドラジン又は塩化水素などによって行う方法である。
【0025】
<第2のジアミン化合物>
本発明の組成物に含有されるジアミン成分は、第2のジアミン化合物として下記式[5]で表されるジアミン化合物を含有することができる。
【化9】
式[5]中、Xは置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。
具体的には、式[5]において、Xは、−(CH
2)
b−OH基(bは0〜4の整数である)、炭素数8〜22の炭化水素基、炭素数1〜6の炭化水素基で置換されたジ置換アミノ基又は下記式[6]で表される基である。
【0026】
【化10】
式[6]中、Y
1は単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−又はOCO−である。なかでも、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−又はCOO−は、側鎖構造の合成を容易にする観点から好ましく、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−又はCOO−がより好ましい。
式[6]中、Y
2は単結合又は(CH
2)
b−(bは1〜15の整数である)である。なかでも、単結合又は(CH
2)
b−(bは1〜10の整数である)が好ましい。
式[6]中、Y
3は単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−又はOCO−である。なかでも、単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−又はOCO−は、側鎖構造の合成を容易にする観点から好ましく、単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−又はOCO−がより好ましい。
【0027】
式[6]中、Y
4はベンゼン環、シクロへキサン環及び複素環よりなる群から選ばれる2価の環状基(これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基又はフッ素原子で置換されていてもよい)、又はステロイド骨格を有する炭素数12〜25の2価の有機基である。なかでも、ベンゼン環及びシクロへキサン環よりなる群から選ばれる2価の環状基又はステロイド骨格を有する炭素数12〜25の2価の有機基が好ましい。
【0028】
式[6]中、Y
5はベンゼン環、シクロへキサン環及び複素環よりなる群から選ばれる2価の環状基であって、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
式[6]中、nは0〜4の整数である。好ましくは、0〜2の整数である。
【0029】
式[6]中、Y
6は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基又は炭素数1〜18のフッ素含有アルコキシル基である。なかでも、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基又は炭素数1〜10のフッ素含有アルコキシル基であることが好ましい。より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシル基である。さらに好ましくは、炭素数1〜9のアルキル基又は炭素数1〜9のアルコキシル基である。
式[5]の置換基Xを構成する、式[6]におけるY
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6及びnの好ましい組み合わせは、以下の表1〜表42において、(6−1)〜(6−629)として示す。
【0072】
以下に、式[5]で示される構造の第2のジアミン化合物の具体例を挙げるが、これらの例に限定されるものではない。
すなわち、第2のジアミン化合物としては、m−フェニレンジアミン、2,4−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノベンジルアルコール、2,4−ジアミノベンジルアルコール、4,6−ジアミノレゾルシノールの他、下記の式[5−1]〜[5−41]で示される構造のジアミン化合物を挙げることができる。
【0073】
【化11】
(式[5−1]〜[5−4]中、A
1は、炭素数1〜22のアルキル基又はフッ素含有アルキル基である。)
【0080】
【化18】
(式[5−29]〜[5−31]中、R
1は−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COOCH
2−又はCH
2OCO−であり、R
2は炭素数1〜22のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である。)
【0081】
【化19】
(式[5−32]〜[5−34]中、R
3は−COO−、−OCO−、−COOCH
2−、−CH
2OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−又はCH
2−であり、R
4は炭素数1〜22のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である。)
【0082】
【化20】
(式[5−35]及び式[5−36]中、R
5は−COO−、−OCO−、−COOCH
2−、−CH
2OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CH
2−又はO−であり、R
6はフッ素基、シアノ基、トリフルオロメタン基、ニトロ基、アゾ基、ホルミル基、アセチル基、アセトキシ基又は水酸基である。)
【0083】
【化21】
(式[5−37]及び式[5−38]中、R
7は炭素数3〜12のアルキル基であり、1,4-シクロヘキシレンのシス−トランス異性は、それぞれトランス異性体である。)
【0084】
【化22】
(式[5−39]及び式[5−40]中、R
8は、炭素数3〜12のアルキル基であり、1,4-シクロヘキシレンのシス−トランス異性は、それぞれトランス異性体である。)
【0085】
【化23】
(式[5−41]中、B
4はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数3〜20のアルキル基であり、B
3は1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基であり、B
2は酸素原子又はCOO−*(但し、「*」を付した結合手がB
3と結合する。)であり、B
1は酸素原子又はCOO−*(但し、「*」を付した結合手が(CH
2)a
2)と結合する。)である。また、a
1は0又は1の整数であり、a
2は2〜10の整数であり、a
3は0又は1の整数である。)
上記第2のジアミン化合物は、組成物とした際の溶媒への溶解性や塗布性、液晶配向膜とした場合における液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することもできる。
【0086】
<第2のジアミン化合物の合成方法>
式[5]で示されるジアミン化合物を製造する方法は特に限定されないが、好ましい方法としては、以下に示すものが挙げられる。
例えば、式[5]で示されるジアミン化合物は、下記式[5A]で示されるジニトロ体を合成し、さらにニトロ基を還元してアミノ基に変換することで得られる。
【0087】
【化24】
ジニトロ基を還元する方法には、特に制限はなく、通常、パラジウム−炭素、酸化白金、ラネーニッケル、白金黒、ロジウム−アルミナ又は硫化白金炭素などを触媒として用い、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン又はアルコール系溶剤などの溶媒中において、水素ガス、ヒドラジン又は塩化水素などによって行う方法がある。なお、式[5A]中のX及びnは、上記した第2のジアミン化合物における式[5]中の定義と同意義である。
【0088】
<その他のジアミン化合物>
本発明の効果を損なわない限りにおいて、分子内にカルボキシル基を有するジアミン化合物や、式[5]で示される構造の第2のジアミン化合物の他に、他の構造のジアミン化合物(その他のジアミン化合物とも称する)を用いることができる。これらを併用して反応させ、ポリイミド前駆体を得た後ポリイミドとし、得られたポリイミドを含む組成物を調整して、液晶配向処理剤としてもよい。
【0089】
その他のジアミン化合物の具体例を以下に挙げる。
その他のジアミン化合物としては、例えば、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ビフェニル、3,3’−トリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジアミノビフェニル、2,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン、2,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジアミノジフェニルエーテル、2,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−スルホニルジアニリン、3,3’−スルホニルジアニリン、ビス(4−アミノフェニル)シラン、ビス(3−アミノフェニル)シラン、ジメチル−ビス(4−アミノフェニル)シラン、ジメチル−ビス(3−アミノフェニル)シラン、4,4’−チオジアニリン、3,3’−チオジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルアミン、3,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2’−ジアミノジフェニルアミン、2,3’−ジアミノジフェニルアミン、N−メチル(4,4’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(3,3’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(3,4’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(2,2’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(2,3’−ジアミノジフェニル)アミン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,4−ジアミノナフタレン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、2,3’−ジアミノベンゾフェノン、1,5−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノナフタレン、1,7−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,5−ジアミノナフタレン、2,6ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,8−ジアミノナフタレン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,2−ビス(3−アミノフェニル)エタン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、1,4−ビス(4アミノフェニル)ブタン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ブタン、ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)メタン、1,4−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4-アミノベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,4’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,4’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,3’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,3’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、1,4−フェニレンビス[(4−アミノフェニル)メタノン]、1,4−フェニレンビス[(3−アミノフェニル)メタノン]、1,3−フェニレンビス[(4−アミノフェニル)メタノン]、1,3−フェニレンビス[(3−アミノフェニル)メタノン]、1,4−フェニレンビス(4−アミノベンゾエート)、1,4−フェニレンビス(3−アミノベンゾエート)、1,3−フェニレンビス(4−アミノベンゾエート)、1,3−フェニレンビス(3−アミノベンゾエート)、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(3−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(4−アミノフェニル)イソフタレート、ビス(3−アミノフェニル)イソフタレート、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(4−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(4−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(3−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(3−アミノベンズアミド)、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(3−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(3−アミノフェニル)イソフタルアミド、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,5−ビス(3−アミノフェノキシ)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)へキサン、1,6−ビス(3−アミノフェノキシ)へキサン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,7−(3−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタン、1,8−ビス(3−アミノフェノキシ)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェノキシ)ノナン、1,9−ビス(3−アミノフェノキシ)ノナン、1,10−(4−アミノフェノキシ)デカン、1,10−(3−アミノフェノキシ)デカン、1,11−(4−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,11−(3−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,12−(4−アミノフェノキシ)ドデカン、1,12−(3−アミノフェノキシ)ドデカンなどの芳香族ジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノへキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカンなどの脂肪族ジアミンなどが挙げられる。
その他のジアミン化合物として、ジアミン側鎖にアルキル基、フッ素含有アルキル基、芳香環、脂肪族環又は複素環を有するもの、さらに、これらからなる大環状置換体を有するものなどを挙げることもできる。具体的には、下記式[DA1]〜[DA13]で示されるジアミン化合物を例示することができる。
【0090】
【化25】
(式[DA1]〜[DA6]中、A
2は−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2−、−O−、−CO−又はNH−であり、A
3は炭素数1〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素数1〜22の直鎖状若しくは分岐状のフッ素含有アルキル基である。)
【0091】
【化26】
(式[DA7]中、pは1〜10の整数である。)
【0092】
本発明の効果を損なわない限りにおいて、下記式[DA8]〜[DA13]で示されるジアミン化合物を用いることもできる。
【化27】
(式[DA10]中、mは0〜3の整数であり、式[DA13]中、nは1〜5の整数である。)
さらに、下記式[DA14]及び式[DA15]で示されるジアミン化合物を用いることもできる。
【0093】
【化28】
上記のその他のジアミン化合物は、組成物とした際の溶媒への溶解性や塗布性、液晶配向膜とした場合における液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷などの液晶配向膜において重要となる特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することもできる。
【0094】
<テトラカルボン酸二無水物>
本発明の組成物は、分子内にカルボキシル基を有するジアミン化合物等を含むジアミン成分と、脂環構造を有するテトラカルボン酸二無水物成分とを反応(重縮合)させて得られるポリイミド前駆体及び/又はポリイミド前駆体から得られるポリイミドを含有する。また、本発明の液晶配向処理剤は、本発明の組成物を含有するものである。
以下では、本発明のポリイミド前駆体を得るために用いられるテトラカルボン酸二無水物について具体例とともに説明する。
【0095】
本発明のポリイミド前駆体を得るためには、下記式[7]で示される脂環構造を有するテトラカルボン酸二無水物(特定テトラカルボン酸二無水物ともいう)を原料の一部に用いることが好ましい。
【0096】
【化29】
式[7]中、Z
1は炭素数4〜13の4価の有機基であり、かつ、炭素数4〜8の非芳香族環状炭化水素基を含有する。
具体的には、下記式[7a]〜[7j]で示される構造である。
【0097】
【化30】
式[7a]中、Z
2〜Z
5は、水素原子、メチル基、塩素原子及びベンゼン環からなる群から選ばれる基であり、それぞれ同じであっても異なってもよい。
式[7g]中、Z
6及びZ
7は、水素原子又はメチル基であり、それぞれ同じであっても異なってもよい。
式[7]中、Z
1の特に好ましい構造は、重合反応性や合成の容易性から、式[7a]、式[7c]、式[7d]、式[7e]、式[7f]又は式[7g]で示される構造である。なかでも、式[7a]、式[7e]、式[7f]又は式[7g]で示される構造が好ましく、式[7e]、式[7f]又は式[7g]が最も好ましい。
式[7e]、式[7f]又は式[7g]の構造のテトラカルボン酸二無水物を用いる場合、その使用量はテトラカルボン酸二無水物の成分全体のうちの20質量%以上とすることで、所望の効果が得られる。より好ましくは、30質量%以上である。ポリイミドを得るために用いるテトラカルボン酸二無水物の成分の全てを式[7e]、式[7f]又は式[7g]の構造のテトラカルボン酸二無水物とすることも可能である。
【0098】
本発明の効果を損なわない限りにおいて、特定テトラカルボン酸二無水物以外のその他のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。
その他のテトラカルボン酸二無水物を調製するためのテトラカルボン酸としては、以下の化合物が挙げられる。
その具体例としては、例えば、ピロメリット酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン、2,3,4,5−ピリジンテトラカルボン酸、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ピリジン、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸、1,3−ジフェニル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸などが挙げられる。
【0099】
上記のその他テトラカルボン酸二無水物は、組成物とした際の溶媒への溶解性や塗布性、液晶配向膜とした場合における液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を選択して用いることができる。
【0100】
<特定重合体と溶媒>
本発明の組成物は、上記したように、カルボキシル基を有するジアミン化合物を含むジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリイミド前駆体及び/又は該ポリイミド前駆体をイミド化したポリイミドと、上記式[1]で示される化合物、上記式[2]で示される化合物及び上記式[3]で示される化合物からなる群から選択された少なくとも1種の化合物とを含有して形成される。本発明の特定重合体とは、分子内にカルボキシル基を有するジアミン化合物を含むジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とから得られるポリイミド前駆体及び/又は該ポリイミド前駆体をイミド化したポリイミドをいう。
【0101】
本発明のポリイミド前駆体は、下記の式[a]で示される構造である。
【化31】
(式[a]中、R
1は4価の有機基であり、R
2は2価の有機基であり、A
1及びA
2は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、それぞれ同じであっても異なってもよく、nは正の整数を示す)。
ポリイミド前駆体は、下記の式[b]で示されるジアミン成分と下記の式[c]で示されるテトラカルボン酸二無水物成分とを原料とすることで比較的簡便に得られるという理由から、下記の式[d]で示される繰り返し単位の構造式からなるポリイミド前駆体が得られる。
【0102】
【化32】
(式[b]及び式[c]中、R
1及びR
2は式[a]で定義したものと同意義である)。
【0103】
【化33】
ポリイミド前駆体を合成する方法は特に限定されないが、通常、上述のように、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを用い、それらを反応(重縮合)させることにより得られる。したがって、ポリイミド前駆体から得られるポリイミドは、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させて合成されるポリイミド前駆体から調製される。
一般的には、1種又は複数種のジアミン化合物からなるジアミン成分と、テトラカルボン酸及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトラカルボン酸成分とを反応させて、ポリアミド酸を得る。ポリアミド酸エステルを得るには、ポリアミド酸のカルボキシル基をエステルに変換する方法が用いられる。さらに、ポリイミドを得るには、前記のポリアミド酸をイミド化してポリイミドとする方法が用いられる。
【0104】
本発明の特定重合体は、分子内にカルボキシル基を有するジアミン化合物を含むジアミン成分と、上記した脂環構造を有するテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させることにより得られたポリイミド前駆体をイミド化して得られる。なお、ここにおける反応は、重縮合反応であり、加水分解を伴い、加水分解・重縮合反応と言われる場合がある。
上記ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とから合成されたポリイミド前駆体から得られるポリイミドは、溶媒への溶解性が向上する。さらに、特定の溶媒を含む組成物の塗布性が向上し、特定重合体であるポリイミド前駆体及び/又はポリイミドを用いた膜の低温焼成化が可能となる。
【0105】
本発明の特定重合体を得るためには、分子内にカルボキシル基を有するジアミン化合物の使用量が、ポリイミドを得る反応に用いるジアミン成分全体の30〜100モル%であることが好ましく、より好ましくは、40〜100モル%である。
本発明の特定重合体を得るために用いるジアミン成分に上記式[5]で示される構造の第2のジアミン化合物が含有される場合、その使用量は特定重合体を得る反応に用いるジアミン成分全体の70モル%以下であることが好ましく、より好ましくは60モル%以下である。一方、分子内にカルボキシル基を有するジアミン化合物の好ましい使用量との関係から、好ましくは40モル%以上、特に30モル%以上とすることが好ましい。
【0106】
本発明の特定重合体がポリイミドの場合、公知の合成手法を用いて、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応によりポリアミド酸を合成した後ポリイミドを得る。ポリアミド酸を合成する方法としては、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを有機溶媒中で反応させる方法が可能である。この方法は、有機溶媒中で比較的効率よく反応が進行するとともに、副生成物の発生が少ない点で好ましい。
さらに、後述する適当な溶媒中でポリイミド前駆体を調製し、脱水閉環反応をさせてポリイミドを得た後、ポリイミドを分離し、上記式[1]で示される化合物、上記式[2]で示される化合物及び上記式[3]で示される化合物からな群から選択された少なくとも1種の化合物を含有する溶媒に溶解することにより、本発明の組成物を得ることができる。
【0107】
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応に用いる有機溶媒としては、生成したポリイミド前駆体が溶解するものであれば特に限定されない。
その具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、ジペンテン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどが挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、混合して使用してもよい。また、ポリイミド前駆体を溶解させない溶媒であっても、生成したポリイミド前駆体が析出しない範囲であれば、上記溶媒に混合して使用することもできる。尚、有機溶媒中の水分は、重合反応を阻害し、生成したポリイミド前駆体を加水分解させる原因となるので、有機溶媒は、脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
【0108】
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを有機溶媒中で反応させる際には、ジアミン成分を有機溶媒に分散又は溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸二無水物をそのまま、又は、有機溶媒に分散又は溶解させて、添加する方法を用いることが可能である。また、逆に、テトラカルボン酸二無水物を有機溶媒に分散又は溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法や、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを交互に添加する方法なども挙げることができる。本発明においては、これらの何れの方法を用いてもよい。また、ジアミン成分及びテトラカルボン酸二無水物が複数種の化合物からなる場合は、あらかじめ混合した状態で反応させてもよく、個別に順次反応させてもよく、さらに個別に反応させた低分子量体を混合反応させて高分子量体としてもよい。
【0109】
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを反応させる温度は、−20〜150℃の範囲内で任意に選択することができるが、反応効率を考慮して、−5〜100℃の範囲とすることが好ましい。また、反応は、任意の濃度で行うことができる。但し、濃度が低すぎると、高分子量のポリイミド前駆体を得ることが難しくなる。一方、濃度が高すぎると、反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となる。したがって、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。なお、反応初期は高濃度で行い、その後に有機溶媒を追加することも可能である。
ポリイミド前駆体を得るための重合反応においては、ジアミン成分の合計モル数とテトラカルボン酸二無水物の合計モル数との比は、1:0.8〜1:1.2が好ましく、特に、1:0.9〜1:1.1であることが好ましい。通常の重縮合反応と同様に、このモル比が1.0に近いほど生成する重合体の分子量は大きくなる。したがって、場合に応じて適宜選択して合計モル比を決めることが可能である。
【0110】
本発明のポリイミドは、上記したように、ポリイミド前駆体を脱水閉環させて得られる。このポリイミドは、液晶配向膜を得るための重合体として有用である。
本発明のポリイミドにおいて、ポリイミド前駆体の脱水閉環率(イミド化率)は、必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて、例えば、35〜95%の範囲、より好ましくは45〜80%の範囲で調整することができる。
ポリイミド前駆体をイミド化させる方法としては、ポリイミド前駆体の溶液をそのまま加熱する熱イミド化、ポリイミド前駆体の溶液に触媒を添加する触媒イミド化などが挙げられる。
ポリイミド前駆体を溶液中で熱イミド化させる場合の温度は、100〜400℃、好ましくは120〜250℃である。ポリイミド前駆体のイミド化においては、イミド化反応により生成する水を反応系外に除きながら行うことが好ましい。
ポリイミド前駆体の触媒イミド化は、ポリイミド前駆体の溶液に、塩基性触媒と酸無水物とを添加し、−20〜250℃、好ましくは0〜180℃で攪拌することにより行うことができる。塩基性触媒の量は、アミド酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量は、アミド酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。
【0111】
塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンなどを挙げることができる。中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つ点で好ましい。
酸無水物としては、無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などを挙げることができる。中でも無水酢酸は反応終了後の精製が容易となる点で好ましい。
触媒イミド化によるイミド化率は、触媒量と反応温度、反応時間を調節することで制御可能である。
【0112】
ポリイミドの反応溶液から、生成したポリイミドを回収する場合には、反応溶液を沈殿溶媒に投入して沈殿させればよい。沈殿に用いる沈殿溶媒としてはメタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン、水などを挙げることができる。沈殿溶媒に投入して沈殿させた重合体は、濾過して回収した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱して乾燥することができる。また、沈殿回収した重合体を、溶媒に再溶解させ、再度、沈殿回収する操作を2〜10回繰り返すと、重合体中の不純物を少なくすることができる。この際の溶媒としては、上述した沈殿溶媒が挙げられ、これらの内から選ばれる3種類以上の溶媒を用いると、より一層精製の効率が上がるので好ましい。
【0113】
本発明の組成物に含有される特定重合体の分子量は、これを用いて得られる塗膜の強度、塗膜形成時の作業性及び塗膜の均一性を考慮し、GPC(Gel Permeation Chromatography)法で測定した重量平均分子量で5,000〜1,000,000とするのが好ましく、より好ましくは、10,000〜150,000である。
【0114】
本発明の組成物に用いられる溶媒は、上記式[1]で示される化合物、上記式[2]で示される化合物及び上記式[3]で示される化合物からなる群から選択された少なくとも1種の化合物が用いられる。さらに、組成物とした際の溶媒への溶解性や塗布性に応じて、その他の溶媒を混合して使用することもできる。その際に用いられるその他の溶媒としては、前記ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応に用いる有機溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種類又は2種類以上を混合して使用することもできる。
【0115】
<液晶配向処理剤>
本発明の液晶配向処理剤は、上述した組成物からなり、液晶配向膜を形成するための塗布液であり、重合体膜を形成するための重合体成分を溶媒に溶解させて得られた溶液状の組成物である。重合体成分は、上記した本発明の特定重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体を含む。その際、液晶配向処理剤中の重合体成分の含有量は、0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜25質量%である。
【0116】
本発明においては、液晶配向処理剤に含まれる重合体成分の全てが本発明の特定重合体であってもよい。また、本発明の特定重合体以外の他の構造の重合体が混合されていてもよい。その際、重合体成分中における他の構造の重合体の含有量は、0.5〜15質量%とすることができ、好ましくは1〜10質量%である。
他の構造の重合体としては、例えば、分子内にカルボキシル基を有しないジアミン成分とトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリイミド前駆体及び/又はポリイミド前駆体をイミド化したポリイミドが挙げられる。
さらには、ポリイミド以外の重合体、具体的には、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ポリスチレン、ポリアミドまたはシロキサン系ポリマーなどが挙げられる。
【0117】
本発明の液晶配向処理剤においては、本発明の特定重合体をイミド化したポリイミドが溶媒中に溶解された状態で含有される。用いられる溶媒としては、本発明のポリイミドを溶解し、N−メチルー2−ピロリドン(NMP)に比べて低沸点で低い表面張力特性を備えた化合物が選択される。
【0118】
本発明では、式[1]で示される化合物、式[2]で示される化合物、及び式[3]で示される化合物からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を成分として含む溶媒の使用が好ましい。
H
3C−CH(OH)−CH
2−O−R
1 [1]
式[1]中、R
1は、−CH
3、−C
2H
5、−C
3H
7、−C
4H
9などの炭素数1〜4のアルキル基を表す。
その好ましい具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルが挙げられる。
HO−CH
2−CH
2−OR
2 [2]
式[2]中、R
2は、−CH
3、−C
2H
5、−C
3H
7、−C
4H
9などの炭素数1〜
3のアルキル基を表す。
その好ましい具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルが挙げられる。
C
5H
6O
2 [3]
その好ましい具体例としては、フルフリルアルコールが挙げられる。
上記式[1]〜[3]で表される化合物は、1種を用いてもよく、2種以上の混合物を用いてもよい。
上記の[1]〜[3]で表される化合物を溶媒として用いることにより、塗布性に優れた液晶配向処理剤を提供することができる。含有される特定重合体が主にポリイミドである場合、そのポリイミドを溶解し、より低温で液晶配向膜を形成できる液晶配向処理剤を調製することができる。
【0119】
本発明の液晶配向処理剤において、塗布により均一な膜を形成するという観点から、上記溶媒の含有量は、全溶媒中70〜99質量%であることが好ましく、75〜95質量%がより好ましい。含有量については、目的とする液晶配向膜の膜厚によって適宜変更することができる。
なお、溶媒としては、上記式[1]〜[3]の化合物のいずれか、又はそれらの混合物のみを用いることが可能である。さらに、液晶配向処理剤の塗布性向上や、液晶配向膜の低温焼成化の妨げとならない範囲内で、適宜、他の有機溶媒を混合して用いることがでる。
【0120】
他の有機溶媒としては、具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、NMP、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジグライム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどを挙げることができる。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。
他の有機溶媒の含有量は、全溶媒中50質量%以下であり、好ましくは、40質量%以下である。より好ましくは、30質量%以下である。
本発明の液晶配向処理剤は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、液晶配向処理剤を塗布した際の膜の膜厚均一性や表面平滑性をさらに向上させる目的で、塗布性向上のための他の有機溶媒(以下、貧溶媒とも言う。)を含有させることができる。
【0121】
膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる貧溶媒の具体例としては、次のものが挙げられる。例えば、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルなどの低表面張力を有する溶媒などである。これらの貧溶媒は、1種類で用いてもよく、複数種類を混合して用いてもよい。
【0122】
そして、上記の貧溶媒を含有させる場合において、上記式[1]〜[3]の化合物の含有量は、使用する溶媒中、70質量%未満にすることができ、好ましくは、30〜70質量%未満、より好ましくは、30〜60質量%である。
さらに、本発明の液晶配向処理剤は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、液晶配向処理剤を塗布した際の膜の膜厚均一性や表面平滑性を向上させる化合物、液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物などを含有することができる。
【0123】
膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。より具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(トーケムプロダクツ社製))、メガファックF171、F173、R−30(大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子社製)などが挙げられる。これらの界面活性剤の使用割合は、液晶配向処理剤に含有される樹脂成分、すなわち、上記の特定重合体100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
【0124】
液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、官能性シラン含有化合物、エポキシ基含有化合物などが挙げられる。例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
【0125】
基板との密着性を向上させる化合物を使用する場合、この化合物の添加量は、液晶配向処理剤に含有される樹脂成分の100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。0.1質量部未満であると密着性向上の効果は期待できず、30質量部よりも多くなると液晶の配向性が悪くなる場合がある。
【0126】
本発明の液晶配向処理剤は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基、シクロカーボネート基を有する架橋性化合物、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、低級アルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物又は重合性不飽和結合を有する架橋性化合物を含有することができる。
【0127】
エポキシ基又はイソシアネート基を有する架橋性化合物としては、例えば、ビスフェノールアセトングリシジルエーテル、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルアミノジフェニレン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビス(アミノエチル)シクロヘキサン、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン、トリフェニルグリシジルエーテルエタン、ビスフェノールヘキサフルオロアセトジグリシジルエーテル、1,3−ビス(1−(2,3−エポキシプロポキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロメチル)ベンゼン、4,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)オクタフルオロビフェニル、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、2−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−2−(4−(1,1−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)エチル)フェニル)プロパン、1,3−ビス(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−1−(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチル)フェノキシ)−2−プロパノール等が挙げられる。
オキセタン基を有する架橋性化合物としては、下記式[8]で示されるオキセタン基を少なくとも2個有する架橋性化合物が挙げられる。
【0128】
【化34】
具体的には、下記式[8−1]〜[8−11]で示される架橋性化合物である。
【0131】
【化37】
シクロカーボネート基を有する架橋性化合物としては、下記式[9]で示されるシクロカーボネート基を少なくとも2個有する架橋性化合物が挙げられる。
【0132】
【化38】
具体的には、下記式[9−1]〜[9−37]で示される架橋性化合物である。
【0140】
【化46】
(式[9−24]中、nは1〜5の整数であり、式[9−25]中、nは1〜5の整数であり、式[9−36]中、nは1〜100の整数であり、式[9−37]中、nは1〜10の整数である。)
【0141】
さらに、下記式[9−38]〜[9−40]に示される少なくとも1種の構造を有するポリシロキサンを挙げることもできる。
【化47】
(式[9−38]〜[9−40]中、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、式[9]で示される構造、水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシル基、脂肪族環又は芳香族環であり、少なくとも1つは式[9]で示される構造である)。
【0142】
より具体的には、下記式[9−41]及び式[9−42]の化合物が挙げられる。
【化48】
(式[9−41]中、R
6は、それぞれ独立して、式[9]で示される構造、水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシル基、脂肪族環又は芳香族環であり、少なくとも1つは式[9]で示される構造である。
式[9−42]中、nは1〜10の整数である。)
【0143】
ヒドロキシル基及びアルコキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物としては、例えば、ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するアミノ樹脂、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。具体的には、アミノ基の水素原子がメチロール基及び/又はアルコキシメチル基で置換されたメラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体、又はグリコールウリルを用いることができる。メラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体は、2量体又は3量体として存在することも可能である。これらはトリアジン環1個当たり、メチロール基又はアルコキシメチル基を平均3個以上6個以下有するものが好ましい。
【0144】
メラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体の例としては、市販品のトリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均3.7個置換されているMX−750、トリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均5.8個置換されているMW−30(以上、三和ケミカル社製)やサイメル300、301、303、350、370、771、325、327、703、712などのメトキシメチル化メラミン、サイメル235、236、238、212、253、254などのメトキシメチル化ブトキシメチル化メラミン、サイメル506、508などのブトキシメチル化メラミン、サイメル1141のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化イソブトキシメチル化メラミン、サイメル1123のようなメトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1123−10のようなメトキシメチル化ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1128のようなブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1125−80のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン(以上、三井サイアナミド社製)などが挙げられる。また、グリコールウリルの例として、サイメル1170のようなブトキシメチル化グリコールウリル、サイメル1172のようなメチロール化グリコールウリル、パウダーリンク1174のようなメトキシメチロール化グリコールウリル等が挙げられる。
ヒドロキシル基若しくはアルコキシル基を有するベンゼン又はフェノール性化合物としては、例えば、1,3,5−トリス(メトキシメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(イソプロポキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(sec−ブトキシメチル)ベンゼン、2,6−ジヒドロキシメチル−p−tert−ブチルフェノール等が挙げられる。
具体的には、下記式[10−1]〜[10−48]で示される架橋性化合物である。
【0150】
重合性不飽和結合を有する架橋性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を分子内に3個有する架橋性化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイドビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイドビスフェノール型ジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和基を分子内に2個有する架橋性化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルリン酸エステル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の重合性不飽和基を分子内に1個有する架橋性化合物;等が挙げられる。
さらに、下記式[11]で示される化合物を用いることもできる。
【0152】
式[11]中、E
1はシクロヘキサン環、ビシクロヘキサン環、ベンゼン環、ビフェニル環、ターフェニル環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環及びフェナントレン環からからなる群から選ばれる基であり、E
2は下記式[11a]及び式[11b]から選ばれる基であり、nは1〜4の整数である。
【0154】
上記化合物は架橋性化合物の一例であり、これらに限定されるものではない。
また、本発明液晶配向処理剤に含有される架橋性化合物は、1種類であってもよく、2種類以上組み合わせてもよい。
本発明の液晶配向処理剤における、架橋性化合物の含有量は、重合体成分100質量部に対して、0.1〜150質量部であることが好ましい。架橋反応が進行し、目的の効果を発現し、かつ液晶の配向性を低下させないためには、重合体成分100質量部に対して0.1〜100質量部がより好ましく、特に、1〜50質量部が最も好ましい。
【0155】
本発明の液晶配向処理剤には、上記の他、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、液晶配向膜の誘電率や導電性などの電気特性を向上させる目的の誘電体や導電物質を添加してもよい。
液晶配向処理剤を用いて形成される液晶配向膜中の電荷移動を促進し、この液晶配向膜を用いた液晶セルの電荷抜けを促進させる化合物として、下記式[M1]〜[M155]で示される窒素含有複素環アミン化合物を添加することもできる。これらのアミン化合物は、組成物の溶液に直接添加しても構わないが、適当な溶媒で濃度0.1〜10質量%、好ましくは1〜7質量%の溶液にしてから添加することが好ましい。溶媒としては、上記式[1]〜[3]の化合物の他、ポリアミド酸やポリイミドを溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。
【0162】
<液晶配向膜・液晶表示素子>
本発明の組成物の一つである液晶配向処理剤を例にして、液晶配向処理剤から液晶配向膜を形成する場合について説明する。液晶配向処理剤は、基板上に塗布し、熱処理により焼成した後、ラビング処理や光照射などで配向処理をして、液晶配向膜を形成する。なお、垂直配向用途などの場合では、配向処理なしでも液晶配向膜が形成できる。
基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板の他、アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板なども用いることができる。プロセスの簡素化の観点からは、液晶駆動のためのITO電極などが形成された基板を用いることが好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならばシリコンウェハなどの不透明な基板も使用でき、この場合の電極としてはアルミなどの光を反射する材料も使用できる。
液晶配向処理剤の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット法などで行う方法が一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法、スプレー法などがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。本発明の液晶配向処理剤は、以上の塗布法を用いた場合であっても塗布性は良好である。
液晶配向処理剤を基板上に塗布した後は、特定重合体としてポリイミドが主に含まれる場合、ホットプレート、熱循環型オーブン、IR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段により50〜180℃、好ましくは80〜150℃で溶媒を蒸発させて塗膜とすることができる。
【0163】
焼成後の塗膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5〜300nm、より好ましくは10〜100nmである。液晶を水平配向や傾斜配向させる場合は、焼成後の塗膜をラビング、偏光紫外線照射などで処理する。
本発明の液晶表示素子は、上記した手法により、本発明の液晶配向処理剤から液晶配向膜付き基板を得た後、公知の方法で液晶セルを作製して液晶表示素子としたものである。
液晶セルの作製方法としては、液晶配向膜の形成された一対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、スペーサを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に基板を貼り合わせて封止を行う方法などが例示できる。
本発明の液晶配向膜は、電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性化合物を含む液晶組成物を配置し、電極間に電圧を印加しつつ、活性エネルギー線の照射及び加熱の少なくとも一方により重合性化合物を重合させる工程を経て製造される液晶表示素子にも好ましく用いられる。ここで、活性エネルギー線としては、紫外線が好適である。
【0164】
上記の液晶表示素子は、PSA(Polymer Sustained Alignment)方式により、液晶分子のプレチルトを制御するものである。PSA方式では、液晶材料中に少量の光重合性化合物、例えば光重合性モノマーを混入しておき、液晶セルを組み立てた後、液晶層に所定の電圧を印加した状態で光重合性化合物に紫外線などを照射し、生成した重合体によって液晶分子のプレチルトを制御する。重合体が生成するときの液晶分子の配向状態が電圧を取り去った後においても記憶されるので、液晶層に形成される電界などを制御することにより、液晶分子のプレチルトを調整することができる。また、PSA方式では、ラビング処理を必要としないので、ラビング処理によってプレチルトを制御することが難しい垂直配向型の液晶層の形成に適している。
すなわち、本発明の液晶表示素子は、上記した手法により、液晶配向処理剤から液晶配向膜付き基板を得た後、液晶セルを作製し、紫外線の照射及び加熱の少なくとも一方により重合性化合物を重合することで、液晶分子の配向を制御することができる。
PSA方式の液晶セル作製の一例を挙げるならば、液晶配向膜の形成された一対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、スペーサを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に基板を貼り合わせて封止を行う方法などが挙げられる。
【0165】
液晶には、熱や紫外線照射により重合する重合性化合物が混合される。重合性化合物としては、アクリレート基、メタクリレート基等の重合性不飽和基を分子内に1個以上有する化合物が挙げられる。その際、重合性化合物は、液晶成分の100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。重合性化合物が0.01質量部未満であると、重合性化合物が重合せずに液晶の配向制御ができなくなり、10質量部よりも多くなると、未反応の重合性化合物が多くなって液晶表示素子の焼き付き特性が低下する。
液晶セルを作製した後は、液晶セルに交流又は直流の電圧を印加しながら、熱や紫外線を照射して重合性化合物を重合する。これにより、液晶分子の配向を制御することができる。
さらに、本発明の液晶配向処理剤は、電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、前記一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性基を含む液晶配向膜を配置し、電極間に電圧を印加する工程を経て製造される液晶表示素子にも好ましく用いられる。ここで、活性エネルギー線としては、紫外線が好適である。紫外線としては、波長が300〜400nm、好ましくは310〜360nmである。加熱による重合の場合、加熱温度は40〜120℃、好ましくは60〜80℃である。
【0166】
活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性基を含む液晶配向膜を得るためには、この重合性基を含む化合物を液晶配向処理剤中に添加する方法や、重合性基を含む重合体成分を用いる方法が挙げられる。本発明の液晶配向処理剤は、熱や紫外線の照射により、反応する二重結合部位を持つ特定化合物を含んでいるため、紫外線の照射及び加熱の少なくとも一方により液晶分子の配向を制御することができる。
【0167】
液晶セル作製の一例を挙げるならば、液晶配向膜の形成された一対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、スペーサを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に基板を貼り合わせて封止を行う方法などが挙げられる。
上記した工程を経ることにより液晶表示素子が得られる。これらの液晶表示素子は、本発明の液晶配向膜を有していることから、製造プロセスがより低温なものとなり、信頼性に優れ、大画面で高精細の液晶テレビなどに好適に利用可能である。
【実施例】
【0168】
以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
実施例及び比較例で用いる略語は、以下の通りである。
【0169】
<分子内にカルボキシル基を有するジアミン化合物>
D1:3,5−ジアミノ安息香酸
D2:1,4−ジアミノ安息香酸
【化62】
【0170】
<式[5]で示される構造の第2のジアミン化合物>
D3:p−フェニレンジアミン
D4:m−フェニレンジアミン
D5:ジアミン5:1,3−ジアミノ−4−(オクタデシロキシ)ベンゼン
D6:ジアミン6:1,3−ジアミノ−4−〔4−(トランス−4−n−ヘプチルシクロヘキシル)フェノキシ〕ベンゼン
D7:1,3−ジアミノ−4−{4−〔トランス−4−(トランス−4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル〕フェノキシ}ベンゼン
【0171】
【化63】
【化64】
【0172】
<テトラカルボン酸二無水物>
M1:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
M2:ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物
M3:3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物
M4:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
【化65】
【0173】
<式[1]〜[3]で示される化合物(溶媒)>
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
MCS:メチルセルソルブ(エチレングリコールモノメチルエーテル)
ECS:エチルセルソルブ(エチレングリコールモノエチルエーテル)
FFOH:フルフリルアルコール
<その他の有機溶媒>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BCS:エチレングリコールモノブチルエーテル
【0174】
ポリアミド酸及びポリイミドに関する分子量やイミド化率等の物性は、次のようにして測定、評価した。
(ポリイミド酸及びポリイミドの分子量測定)
ポリイミド酸及びポリイミドの分子量は、常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC−101)(昭和電工社製)、カラム(KD−803、KD−805)(Shodex社製)を用いて、以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N’−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H
2O)が30mmol/L(リットル)、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量;約900,000、150,000、100,000、及び30,000)(東ソー社製)及びポリエチレングリコール(分子量;約12,000、4,000、及び1,000)(ポリマーラボラトリー社製)。
【0175】
(イミド化率の測定)
合成例におけるポリイミドのイミド化率は次のようにして測定した。ポリイミド粉末(20mg)をNMR(核磁気共鳴)サンプル管(NMRサンプリングチューブスタンダード φ5(草野科学社製))に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6、0.05質量%TMS(テトラメチルシラン)混合品)(0.53ml)を添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液をNMR測定機(JNW−ECA500)(日本電子データム社製)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5〜10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
上記式において、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
【0176】
<ポリイミドの合成>
<合成例1>
M2(3.94g、15.7mmol)、D1(1.60g、10.5mmol)、及びD7(4.56g、10.5mmol)をNMP(30.31g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(1.01g、5.1mmol)とNMP(14.14g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(1.93g)、及びピリジン(1.49g)を加え、80℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(245ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(A)を得た。得られたポリイミド(A)のイミド化率は55%であり、数平均分子量は21,300、重量平均分子量は63,800であった。
【0177】
<合成例2>
M2(4.32g、17.2mmol)、D1(2.80g、18.4mmol)、及びD7(2.00g、4.6mmol)をNMP(27.34g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(1.07g、5.5mmol)とNMP(13.41g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.29g)、及びピリジン(1.78g)を加え、80℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(248ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(B)を得た。得られたポリイミド(B)のイミド化率は51%であり、数平均分子量は18,400、重量平均分子量は57,100であった。
【0178】
<合成例3>
M2(9.01g、36.0mmol)、D1(6.57g、43.2mmol)、及びD7(2.09g、4.8mmol)をNMP(53.00g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(2.21g、11.3mmol)とNMP(26.52g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.44g)、及びピリジン(1.90g)を加え、90℃で2.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(249ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(C)を得た。得られたポリイミド(C)のイミド化率は52%であり、数平均分子量は15,700、重量平均分子量は50,100であった。
【0179】
<合成例4>
M2(5.07g、20.3mmol)、及びD1(4.11g、27.0mmol)をNMP(27.52g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(1.22g、6.2mmol)とNMP(14.05g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.63g)、及びピリジン(2.04g)を加え、90℃で2.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(250ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(D)を得た。得られたポリイミド(D)のイミド化率は49%であり、数平均分子量は15,700、重量平均分子量は47,000であった。
【0180】
<合成例5>
M2(6.13g、24.5mmol)、及びD1(3.80g、25.0mmol)をNMP(39.7g)中で混合し、80℃で16時間反応させ、ポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.54g)、及びピリジン(1.97g)を加え、90℃で3.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(249ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(E)を得た。得られたポリイミド(E)のイミド化率は49%であり、数平均分子量は14,800、重量平均分子量は42,200であった。
【0181】
<合成例6>
M2(17.65g、70.5mmol)、D1(8.21g、54.0mmol)、及びD7(12.63g、29.1mmol)をNMP(115.46g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(2.28g、11.6mmol)とNMP(47.60g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.48g)、及びピリジン(1.28g)を加え、90℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(247ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(F)を得た。得られたポリイミド(F)のイミド化率は53%であり、数平均分子量は18,900、重量平均分子量は51,400であった。
【0182】
<合成例7>
M2(5.25g、21.0mmol)、D1(4.15g、27.3mmol)、及びD7(6.40g、14.7mmol)をNMP(47.39g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(4.04g、20.6mmol)とNMP(31.94g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.15g)、及びピリジン(1.67g)を加え、80℃で3.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(247ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(G)を得た。得られたポリイミド(G)のイミド化率は63%であり、数平均分子量19,400は、重量平均分子量は60,400であった。
【0183】
<合成例8>
M2(1.65g、6.6mmol)、D1(2.18g、14.3mmol)、及びD7(3.35g、7.7mmol)をNMP(21.52g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(2.93g、15.0mmol)とNMP(18.91g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.20g)、及びピリジン(1.71g)を加え、50℃で1.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(247ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(H)を得た。得られたポリイミド(H)のイミド化率は55%であり、数平均分子量は21,600、重量平均分子量は61,400であった。
【0184】
<合成例9>
M2(4.13g、16.5mmol)、D1(2.34g、15.4mmol)、及びD5(2.49g、6.6mmol)をNMP(26.87g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(1.03g、5.2mmol)とNMP(13.06g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.24g)、及びピリジン(1.73g)を加え、80℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(247ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(I)を得た。得られたポリイミド(I)のイミド化率は55%であり、数平均分子量は18,900、重量平均分子量は59,000であった。
【0185】
<合成例10>
M2(4.13g、16.5mmol)、D1(2.34g、15.4mmol)、及びD6(2.51g、6.6mmol)をNMP(26.95g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(1.04g、5.3mmol)とNMP(13.13g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.23g)、及びピリジン(1.73g)を加え、80℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(247ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(J)を得た。得られたポリイミド(J)のイミド化率は50%であり、数平均分子量は19,700、重量平均分子量は60,000であった。
【0186】
<合成例11>
M2(4.13g、16.5mmol)、D2(2.34g、15.4mmol)、及びD6(2.51g、6.6mmol)をNMP(26.95g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(1.06g、5.4mmol)とNMP(13.21g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.23g)、及びピリジン(1.73g)を加え、80℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(247ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(K)を得た。得られたポリイミド(K)のイミド化率は52%であり、数平均分子量は17,900、重量平均分子量は57,600であった。
【0187】
<合成例12>
M3(6.91g、23.0mmol)、D1(2.45g、16.1mmol)、及びD6(2.63g、6.9mmol)をNMP(47.93g)中で混合し、40℃で40時間反応させ、ポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.92g)、及びピリジン(3.04g)を加え、40℃で1.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(258ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(L)を得た。得られたポリイミド(L)のイミド化率は69%であり、数平均分子量は10,900、重量平均分子量は24,400であった。
【0188】
<合成例13>
M4(5.13g、22.9mmol)、D1(2.45g、16.1mmol)、及びD6(2.63g、6.9mmol)をNMP(40.82g)中で混合し、60℃で24時間反応させ、ポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.30g)、及びピリジン(1.78g)を加え、90℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(248ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(M)を得た。得られたポリイミド(M)のイミド化率は49%であり、数平均分子量は15,800、重量平均分子量は36,500であった。
【0189】
<合成例14>
M2(5.63g、22.5mmol)、及びD3(3.24g、30.0mmol)をNMP(26.62g)中で混合し、40℃で5時間反応させた後、M1(1.24g、6.3mmol)とNMP(13.8g)を加え、25℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え5質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.96g)、及びピリジン(2.29g)を加え、90℃で2.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(298ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(N)を得た。得られたポリイミド(N)のイミド化率は51%であり、数平均分子量は15300、重量平均分子量は68800であった。このポリイミドは、ジアミン成分として分子内にカルボキシル基を有するジアミン化合物を用いていない。
【0190】
<合成例15>
M2(11.26g、45.0mmol)、及びD4(6.49g、60.0mmol)をNMP(53.2g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、M1(2.73g、13.9mmol)とNMP(28.7g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミド酸溶液を得た。
このポリアミド酸溶液(30.0g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.44g)、及びピリジン(3.44g)を加え、90℃で2.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(378ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(O)を得た。得られたポリイミド(O)のイミド化率は50%であり、数平均分子量は17,600、重量平均分子量は52,000であった。このポリイミドは、ジアミン成分として分子内にカルボキシル基を有するジアミン化合物を用いていない。
合成例で得られたポリイミドの組成、イミド化率等についてまとめて表43に示す。
【0191】
【表43】
【0192】
<ポリイミドの溶解性試験>
<実施例1〜13、比較例1及び比較例2>
実施例1〜13として、合成例1〜13で得られたポリイミド粉末(A)〜(M)を用い、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、MCS(エチレングリコールモノメチルエーテル)、ECS(エチレングリコールモノエチルエーテル)、及びFFOH(フルフリルアルコール)の各溶媒に対する溶解性を比較した。
同様に、比較例1及び比較例2として、合成例14及び合成例15で得られたポリイミド粉末(N)及び(O)を用い、PGME、MCS、ECS、及びFFOHの各溶媒に対する溶解性を比較した。
試験方法は、下記の通りである。すなわち、各ポリイミド粉末(A)〜(O)(1.0g)に、PGME(15.7g)を加え、25℃にて24時間攪拌し、濁りや析出などの有無を目視で確認して溶解性を確認した。
さらに、MCS、ECS、及びFFOHを用いて、上記と同様の方法で試験を行い、濁りや析出などの有無を目視で確認して溶解性を確認した。
溶解性試験の結果をまとめて表44に示す。
【0193】
【表44】
実施例1〜13で得られた溶解性の結果より、実施例のポリイミド粉末(A)〜(M)は、PGME、MCS、ECS、及びFFOHに均一に溶解することを確認した。一方、比較例のポリイミド粉末(N)及び(O)は、これら溶媒に不溶であることがわかった。
【0194】
<ポリイミドと溶媒を含有する組成物及び液晶配向処理剤の調製>
<実施例14〜17>
合成例1、合成例6、合成例11及び合成例13で得られたポリイミド粉末(A)、(F)、(K)及び(M)(各1.0g)のそれぞれに、PGME(27.6g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、各ポリイミドを溶解させた。いずれのポリイミド溶液とも、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、得られた各ポリイミド溶液を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が3.5質量%である液晶配向処理剤(1)〜(4)を得た。
<実施例18〜21>
合成例1、合成例6、合成例11及び合成例13で得られたポリイミド粉末(A)、(F)、(K)及び(M)(各1.0g)のそれぞれに、MCS(27.6g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、各ポリイミドを溶解させた。いずれのポリイミド溶液とも、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、得られた各ポリイミド溶液を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が3.5質量%である液晶配向処理剤(5)〜(8)を得た。
【0195】
<実施例22〜25>
合成例1、合成例6、合成例11及び合成例13で得られたポリイミド粉末(A)、(F)、(K)及び(M)(各1.0g)のそれぞれに、ECS(27.6g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、各ポリイミドを溶解させた。いずれのポリイミド溶液とも、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、得られた各ポリイミド溶液を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が3.5質量%である液晶配向処理剤(9)〜(12)を得た。
<実施例26〜29>
合成例1、合成例6、合成例11及び合成例13で得られたポリイミド粉末(A)、(F)、(K)及び(M)(各1.0g)のそれぞれに、FFOH(27.6g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、ポリイミドを溶解させた。ポリイミド溶液は、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、得られたポリイミド溶液を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が3.5質量%である液晶配向処理剤(13)〜(16)を得た。
【0196】
<実施例30〜33>
合成例1、合成例6、合成例11及び合成例13で得られたポリイミド粉末(A)、(F)、(K)及び(M)(各1.0g)のそれぞれに、PGME(13.3g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、各ポリイミドを溶解させた。さらに得られた各溶液のそれぞれに、NMP(14.3g)を加えて攪拌し、各ポリイミド溶液を得た。いずれのポリイミド溶液とも、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、得られた各ポリイミド溶液を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が3.5質量%である液晶配向処理剤(17)〜(20)を得た。
<実施例34〜37>
合成例1、合成例6、合成例11及び合成例13で得られたポリイミド粉末(A)、(F)、(K)及び(M)(各1.0g)のそれぞれに、PGME(13.3g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、各ポリイミドを溶解させた。さらに得られた各溶液にそれぞれに、NMP(11.4g)及びBCS(2.9g)を加えて攪拌し、各ポリイミド溶液を得た。いずれのポリイミド溶液とも、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、得られた各ポリイミド溶液を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が3.5質量%である液晶配向処理剤(21)〜(24)を得た。
【0197】
<実施例38〜41>
合成例1、合成例6、合成例11及び合成例13で得られたポリイミド粉末(A)、(F)、(K)及び(M)(各1.0g)のそれぞれに、MCS(13.3g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、各ポリイミドを溶解させた。さらに得られた各溶液それぞれに、NMP(14.3g)を加えて攪拌し、各ポリイミド溶液を得た。いずれのポリイミド溶液とも、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、得られた各ポリイミド溶液を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が3.5質量%である液晶配向処理剤(25)〜(28)を得た。
<実施例42>
合成例1で得られたポリイミド粉末(A)(1.0g)に、ECS(13.3g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、ポリイミドを溶解させた。さらに得られた溶液に、NMP(14.3g)を加えて攪拌し、ポリイミド溶液を得た。このポリイミド溶液に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、得られたポリイミド溶液を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が3.5質量%である液晶配向処理剤(29)を得た。
<実施例43>
合成例1で得られたポリイミド粉末(A)(1.0g)に、FFOH(13.3g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、ポリイミドを溶解させた。さらに得られた溶液に、NMP(5.72g)及びBCS(8.57g)を加えて攪拌し、ポリイミド溶液を得た。このポリイミド溶液に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、得られたポリイミド溶液を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が3.5質量%である液晶配向処理剤(30)を得た。
【0198】
<比較例3>
実施例1のポリイミド粉末(A)(2.0g)に、NMP(31.3g)を加え、50℃にて24時間攪拌し、ポリイミドを溶解させた。このポリイミド溶液に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
次いで、得られた各ポリイミド溶液を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、ポリイミド成分の含有量が6質量%である液晶配向処理剤(31)を得た。
実施例14〜43及び比較例3で得られた液晶配向処理剤について、用いた溶媒及び溶媒に対する溶解性等を表45及び表46に示す。
【0199】
【表45】
【0200】
【表46】
【0201】
<液晶配向膜の作製と液晶表示素子の作製>
実施例14〜43で得られた液晶配向処理剤(1)〜(30)を用いて液晶配向膜を形成し、それぞれの液晶配向膜を有する液晶表素子を作製した。液晶表示素子としては、液晶配向膜の特性に対応して、垂直配向の液晶セルを作製した。
液晶セルの作製方法としては、液晶配向処理剤(1)〜(30)をITO電極付きガラス基板(縦40mm×横30mm、厚さ0.7mm)にスピンコートし、80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、膜厚100nmの塗膜として液晶配向膜を形成し、液晶配向膜付き基板を得た。基板上に形成された液晶配向膜はいずれも膜厚の均一性に優れ、液晶配向処理剤(1)〜(30)は優れた塗布性を示すことがわかった。
この液晶配向膜付き基板を2枚用意し、一方の液晶配向膜面上に6μmのスペーサを散布した後、この上からシール剤(XN−1500T、三井化学社製)を印刷した。次いで、他方の基板と液晶配向膜面が向き合うようにして貼り合わせた後、シール剤を熱循環型クリーンオーブン中にて150℃で90分間加熱処理をすることにより硬化して空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、ネマティック液晶(MLC−6608、メルク社製)を注入し、注入口を封止して、垂直配向の液晶セルを得た。
得られた液晶セルについて、液晶の配向状態を偏光顕微鏡(ECLIPSE E600WPOL、ニコン社製)で観察したところ、欠陥の無い均一な液晶の垂直配向が形成されていることが確認された。
液晶表示素子の液晶の配向状態の結果を、表47にまとめて示す。
【0202】
【表47】
次に、実施例14、実施例18、実施例22及び比較例3の液晶配向処理剤(1)、(5)、(9)及び(31)を用いて液晶表示素子を作製した。液晶表示素子は、上述した方法で作製した。これら液晶表示素子に、80℃の温度下で1Vの電圧を60μm印加し、50ms後の電圧を測定し、電圧が印加直後に比べて、どのくらい保持されているかを電圧保持率(%)として計算し、評価した。なお、測定は、VHR−1電圧保持率測定装置(東陽テクニカ社製)を使用し、Voltage:±1V、Pulse Width:60μs、Flame Period:50msの設定で行った。
液晶表示素子の電圧保持率の計算結果を表48に示す。
実施例14、実施例18及び実施例22の液晶配向処理剤(1)、(5)及び(9)を用いた液晶表示素子は、高い電圧保持率を示すことが分かった。
【0203】
【表48】
以上の結果から、特定構造のジアミン化合物を含むジアミン成分を用いて得られるポリイミド前駆体及び/又はポリイミド前駆体をイミド化したポリイミドと化合物(溶媒)を含有する組成物から本発明の液晶配向処理剤を得ることができ、該液晶配向処理剤は塗布性に優れていることが分かった。さらに、本発明の液晶配向処理剤を用い、低温焼成によって得ることができる液晶配向膜は、信頼性の高い液晶表示素子を提供できることが分かった。