特許第6052886号(P6052886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6052886
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】データ処理装置およびデータ処理方法
(51)【国際特許分類】
   G08C 19/00 20060101AFI20161219BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20161219BHJP
   H04B 1/59 20060101ALI20161219BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20161219BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   G08C19/00 301B
   G08C17/00 Z
   H04B1/59
   G06K19/07 010
   G06K19/07 160
   G06K7/10 100
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-89595(P2013-89595)
(22)【出願日】2013年4月22日
(65)【公開番号】特開2014-215632(P2014-215632A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】坪井 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】安藤 篤也
(72)【発明者】
【氏名】秋元 守
(72)【発明者】
【氏名】中村 宏之
(72)【発明者】
【氏名】山門 亮
(72)【発明者】
【氏名】政倉 浩志
(72)【発明者】
【氏名】蛭川 明則
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−014677(JP,A)
【文献】 特開2013−009230(JP,A)
【文献】 特開2013−011962(JP,A)
【文献】 特開昭60−196896(JP,A)
【文献】 特開2012−227646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 19/00
G06K 7/10
G06K 19/07
G08C 17/00
H04B 1/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に設置した測定用センサが出力する測定データを圧縮処理して記憶部に保存した保存データを、外部から入力する要求信号に応じて送信するセンシングシステムのデータ処理装置において、
起動用センサにより前記対象物の所定の変位を検出したときに出力されるトリガ信号に応じて、動作停止中の前記測定用センサを所定の駆動期間のみ動作させて前記測定データを取得する第1の処理と、所定の期間であるデータ集計単位ごとに、前記駆動期間における測定データが所定の閾値を超えた回数の集計値または積算値と前記データ集計単位で表した当該測定データの取得時間とを前記保存データとして前記記憶部に保存する第2の処理と、前記要求信号に対して前記記憶部に保存された最新の複数の保存データを一括送信する第3の処理とを実行する制御手段を備えた
ことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ処理装置において、
前記制御手段は、前記駆動期間中に、前記所定の閾値を超えた測定データを取得したときに、前記駆動期間を所定期間だけ延長設定して前記測定用センサの動作を継続する
ことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項3】
対象物に設置した測定用センサが出力する測定データを圧縮処理して記憶部に保存した保存データを、外部から入力する要求信号に応じて送信するセンシングシステムのデータ処理方法において、
前記センシングシステムの制御手段は、
起動用センサにより前記対象物の所定の変位を検出したときに出力されるトリガ信号に応じて、動作停止中の前記測定用センサを所定の駆動期間のみ動作させて前記測定データを取得する第1の処理ステップと、
所定の期間であるデータ集計単位ごとに、前記駆動期間における測定データが所定の閾値を超えた回数の集計値または積算値と前記データ集計単位で表した当該測定データの取得時間とを前記保存データとして前記記憶部に保存する第2の処理ステップと、
前記要求信号に対して前記記憶部に保存された最新の複数の保存データを一括送信する第3の処理ステップ
を実行することを特徴とするデータ処理方法。
【請求項4】
請求項に記載のデータ処理方法において、
前記制御手段は、前記駆動期間中に、前記所定の閾値を超えた測定データを取得したときに、前記駆動期間を所定期間だけ延長設定して前記測定用センサの動作を継続する
ことを特徴とするデータ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の保守点検のために取得したセンサデータを効率よく送信するための
データ処理装置およびデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来の無線タグシステムの構成例を示す。図12(1) は全体的な構成例を示
し、図12(2) はリーダおよび無線タグの構成例を示す。
【0003】
図12(1) において、車両1に搭載されるリーダ10には、LF帯(低周波帯)要求信
号の送信に用いる電磁誘導用アンテナ11および応答信号の受信に用いる受信アンテナ1
2が接続される。車両1が走行する道路の下(地中)にマンホール5があり、マンホール
5内に設置される無線タグ20には、LF帯要求信号の受信に用いる電磁誘導用アンテナ
21および応答信号の送信に用いる送信アンテナ22が接続される。
【0004】
電磁誘導方式によるLF帯要求信号および電波方式による応答信号の通信シーケンスは
次の通りである。リーダ10は、電磁誘導用アンテナ11から所定の周期でLF帯要求信
号を送信しており、リーダ10に接続される電磁誘導用アンテナ11と、無線タグ20に
接続される電磁誘導用アンテナ21が正対したときに、電磁誘導方式によりLF帯要求信
号がリーダ10から無線タグ20に伝達される。無線タグ20はLF帯要求信号の受信を
契機として、無線タグ20の送信アンテナ22から応答信号を送信し、当該応答信号がリ
ーダ10の受信アンテナ12に受信される。
【0005】
図12(2) において、リーダ10は、LF帯要求信号を生成して電磁誘導用アンテナ1
1から送信する送信部13と、受信アンテナ12に受信した応答信号の受信・復号処理を
行い、受信データの表示、蓄積、読み出しを行う受信部14を備える。
【0006】
無線タグ20は、電磁誘導用アンテナ21を介して受信するLF帯要求信号の復号処理
を行い、無線タグ20を構成する他の部分の動作を開始させるLF帯受信部23、LF帯
受信部23から入力する要求信号に応じて、センサ26から測定データを取得する制御部
24、制御部24から測定データを応答信号に変換して送信アンテナ22から送信する送
信部25を備える。
【0007】
このような無線タグシステム(センシングシステム)では、センサ26が取得する膨大
な測定データについて、センサ26で監視しようとしている対象物(図12の例ではマン
ホール)の状況を的確に把握でき、かつ効率な伝送を可能にするデータ圧縮技術が求めら
れている。
【0008】
それに対して、従来のセンシングシステムでは、センサの測定データ(振動の大きさ)
について、一定時間において振動の大きさが閾値以上となる回数をカウントし、そのカウ
ント値を伝送する方法が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012−014677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のセンシングシステムでは、無線タグから、一定時間において振動の大きさが閾値
以上となる回数がデータとして送信されるが、そのデータを1回受信しただけでは、その
一定時間における振動の大きさの程度しかわからない。そのため、図12に示す無線タグ
システムの場合は、リーダ10を搭載した車両1を定期的に走行させ、データを収集する
必要がある。一方、無線タグは電池駆動が一般的であり、長期間稼働させるには省電力化
が不可欠になっており、特にセンサを間欠的に動作させた場合に取得するセンサデータの
圧縮技術が必要になる。
【0011】
本発明は、センサの稼働を少なくし、かつ無線タグからの送信回数も必要最小限に抑え
ながら、測定データを効率よく収集伝送し、かつ監視しようとしている対象物の状況を的
確に把握できるデータ圧縮を実現するデータ処理装置およびデータ処理方法を提供するこ
とを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、対象物に設置した測定用センサが出力する測定データを圧縮処理して記憶部に保存した保存データを、外部から入力する要求信号に応じて送信するセンシングシステムのデータ処理装置において、起動用センサにより対象物の所定の変位を検出したときに出力されるトリガ信号に応じて、動作停止中の測定用センサを所定の駆動期間のみ動作させて測定データを取得する第1の処理と、所定の期間であるデータ集計単位ごとに、駆動期間における測定データが所定の閾値を超えた回数の集計値または積算値とデータ集計単位で表した当該測定データの取得時間とを保存データとして記憶部に保存する第2の処理と、要求信号に対して記憶部に保存された最新の複数の保存データを一括送信する第3の処理とを実行する制御手段を備える。
【0013】
第1の発明のデータ処理装置において、制御手段は、駆動期間中に、所定の閾値を超えた測定データを取得したときに、駆動期間を所定期間だけ延長設定して測定用センサの動作を継続する。
【0015】
第2の発明は、対象物に設置した測定用センサが出力する測定データを圧縮処理して記憶部に保存した保存データを、外部から入力する要求信号に応じて送信するセンシングシステムのデータ処理方法において、センシングシステムの制御手段は、起動用センサにより対象物の所定の変位を検出したときに出力されるトリガ信号に応じて、動作停止中の測定用センサを所定の駆動期間のみ動作させて測定データを取得する第1の処理ステップと、所定の期間であるデータ集計単位ごとに、駆動期間における測定データが所定の閾値を超えた回数の集計値または積算値とデータ集計単位で表した当該測定データの取得時間とを保存データとして記憶部に保存する第2の処理ステップと、要求信号に対して記憶部に保存された最新の複数の保存データを一括送信する第3の処理ステップとを実行する。
【0016】
第2の発明のデータ処理方法において、制御手段は、駆動期間中に、所定の閾値を超えた測定データを取得したときに、駆動期間を所定期間だけ延長設定して測定用センサの動作を継続する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、起動用センサのトリガで有意な測定値を得る測定用センサを動作させ、測定
用センサの駆動期間およびデータ集計単位ごとに測定データが閾値を超えた回数の集計値
(積算値)を保存し、送信要求があったときに直近の複数個の保存データを送信すること
ができる。これにより、測定用センサの駆動期間を必要最小限に抑えながら測定データを
効率よくデータ圧縮し、また複数個の保存データを一括して送信することにより、少ない
データ収集回数で対象物の状況およびその傾向性を的確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のデータ処理装置の構成例を示す図である。
図2】本発明のデータ処理装置における処理手順を示すフローチャートである。
図3】本発明のデータ処理装置におけるデータ処理例を示す図である。
図4】測定用センサの駆動期間Tの調整例を示す図である。
図5】本発明のデータ処理装置における他の処理手順を示すフローチャートである。
図6】本発明のデータ処理装置における他のデータ処理例1−1を示す図である。
図7】本発明のデータ処理装置における他のデータ処理例1−2を示す図である。
図8】本発明のデータ処理装置における他のデータ処理例2−1を示す図である。
図9】本発明のデータ処理装置における他のデータ処理例2−2を示す図である。
図10】本発明のデータ処理装置における他のデータ処理例3を示す図である。
図11】本発明のデータ処理装置における他のデータ処理例4を示す図である。
図12】従来の無線タグシステムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明のデータ処理装置の構成例を示す。
図1において、無線タグ100は、データ処理/制御部101を中心に、起動用センサ
102、測定用センサ103、記憶部104、電源部105、給電制御部106、送信回
路107、送信アンテナ108、受信回路109、受信アンテナ110により構成される
。対向するリーダ200から送信される要求信号は、受信アンテナ110を介して受信回
路109で受信され、対応する応答信号は送信回路107から送信アンテナ108を介し
てリーダ200に送信される。なお、無線タグ100およびリーダ200は、図12の無
線タグシステムの無線タグ20およびリーダ10に対応する。また、要求信号は、図12
の無線タグシステムの例では電磁誘導方式によるLF帯要求信号であるが、応答信号と同
様に電波方式による要求信号であってもよい。
【0021】
起動用センサ102は、対象物に直接または無線タグ100の筐体などを介して取り付
けられ、対象物の所定の変位、例えば所定値以上の振動を検出したときにトリガ信号をデ
ータ処理/制御部101に出力する。起動用センサ102には、微小電力で動作する加速
度センサや、無電力で動作するラトルボール振動センサなどを用いることができる。ラト
ルボール振動センサは、シリンダ(円筒)の両端に圧電素子が取り付けられ、シリンダ内
のラトルボールが振動に対応して移動して圧電素子に衝突することで、起電力が生じて振
動を電気信号(トリガ信号)に変換する構造である。測定用センサ103は、対象物の状
態等をモニタするものであり、以下の説明では対象物の振動の大きさを例えば加速度とし
て検出する加速度センサを用いる例を示す。ただし、起動用センサ102および測定用セ
ンサ103は、振動に関するものだけでなく任意の組合せで対応することができる。
【0022】
電源部105に接続される給電制御部106は無線タグ100の各部の給電を制御する
が、ここでは測定用センサ103、送信回路107および受信回路109の給電を制御す
る例を示す。
【0023】
データ処理/制御部101は、測定用センサ103の測定データに対してデータ処理を
行って記憶部104に保存し、リーダ200から送信される要求信号に応じて、記憶部1
04の保存データを応答信号として送信する。本発明の特徴とするデータ処理については
、図面を参照して以下に詳しく説明する。
【0024】
図2は、本発明のデータ処理装置における処理手順を示す。図3は、本発明のデータ処
理装置におけるデータ処理例を示す。
【0025】
図2および図3において、起動用センサがトリガ信号を出力すると(S1)、タイマ等
を用いて測定用センサの駆動期間Tを設定して動作させ、測定用センサから測定データを
取得する(S2)。図3(a) には、起動用センサのトリガから測定用センサの駆動期間T
に、黒丸で示す加速度データが取得される例を示す。ここでは図示しないが、有意でない
測定データ(例えば 0.1G以下)を破棄する閾値が別途設定されている。
【0026】
次に、測定用センサの駆動期間Tに取得した測定データの中から、予め決められた基準
を満たす測定データのみ保存する(S3)。予め決められた基準とは、例えば対象物の劣
化具合に対応する所定の加速度を示す閾値(例えば 1.2G)であり、図3(a) に示すよう
に、有意な測定データの中から当該閾値を超えた測定データを取得時間と対応付けて保存
する。
【0027】
次に、所定のデータ集計単位で、測定用センサの駆動期間Tごとの保存データの数(閾
値を超えた測定データの回数)を集計し、保存する(S4)。例えば、測定用センサの駆
動期間Tが「分」を単位とした場合、データ集計単位を「日」とし、測定日単位に保存デ
ータの数(図3(b) の黒丸の数)を集計して保存する。図3(c) は、保存データとして「
測定日(年/月/日)」と「測定データが閾値を超えた回数の集計値」の例を示す。なお
、データ集計単位は「日」に限らず、「週」や「月」を単位としてもよい。
ここで、ステップS3,S4に代えて、起動センサのトリガから駆動期間Tごとに、測
定データが閾値(例えば 1.2G)を超えた回数をデータ集計単位(測定日単位)で積算し
、「測定日(年/月/日)」と「測定データが閾値を超えた回数の積算値」を保存データ
として記憶部104に保存してもよい。この場合は、カウンタを用いてデータ集計単位(
測定日単位)で測定データが閾値を超えた回数を計数し、その計数値を測定日とともに保
存データとすればよい。
【0028】
次に、図1に示すリーダ200が送信する要求信号に対して、データ集計単位(測定日
単位)の複数の保存データをリーダ200に一括送信し(S5,S6)、収集される。図
3(c) は、データ収集日に最大4個の保存データを送信する例を示す。13/01/16のデータ
収集日には、その時点の最新の2個の保存データが送信される。13/01/19のデータ収集日
には、その時点の最新の4個の保存データが送信され、「13/01/15 3」のデータは重複
するが、リーダ200側で重複するデータは上書きされる。
なお、要求信号に対して1回に送信する保存データを保存する記憶部104の必要容量
と、図12の例では車両1が通過する頻度に対応するデータ収集日の間隔は関連している
。上記の例では、データ収集日間隔が3日に対して、測定日単位の保存データを最大4個
保存しており、1個の保存データは重複して送信されることになる。一方、記憶部104
が最大4個の保存データを順次上書きする場合、データ収集日の間隔が不定期でたまたま
5日になった場合には、1個の保存データが送信(収集)されないことになる。したがっ
て、データ収集日の間隔の最大値に合わせて記憶部104の容量を設定することにより、
保存データの収集漏れを回避しながら、記憶部104の容量を必要最小限に抑えることが
できる。
【0029】
ここで、「日」を表すデータとして、年月日を用いる場合はカレンダ機能を備える必要
がある。一方、カレンダ機能に代えて、要求信号の頻度(データ収集日の間隔)に合わせ
て、例えば1ヶ月程度の周期カウンタを用い、カウンタ値と組み合わせて、測定日単位の
保存データの数を集計して保存してもよい。このカウンタ値は、リーダ200側でカレン
ダと対応付けることにより、容易に測定年月日に対応させることができる。
【0030】
なお、測定用センサの駆動期間Tは、起動用センサのトリガに基づいているので、予め
決められた周期で設定されるわけではなく、そのためデータ集計単位に含まれる測定用セ
ンサの駆動期間Tの数も不定である。また、図3(a) の右側に示すように、測定用センサ
の駆動期間Tで閾値を超える測定データが取得されない場合もある。
【0031】
このように、測定用センサの駆動期間Tおよびデータ集計単位ごとに測定データが閾値
を超えた回数の集計値(積算値)は、測定データそのものに比べて大幅に圧縮されたデー
タとなり、無線タグからリーダに対して容易に送信することができる。この圧縮データは
、データ集計単位として例えば測定日ごとに、所定の基準を満たす(閾値を超える)加速
度の発生回数に相当し、図3(c) に示す測定日が13/01/15〜13/01/18のように、測定日ご
との発生回数がほぼ一定であれば安定しており、測定日が13/02/22〜13/02/25のように、
増加する傾向であれば対象物の劣化が進んでいると判断することができる。
【0032】
図4は、測定用センサの駆動期間Tの調整例を示す。
図4(a) は、起動用センサのトリガに応じて測定用センサの駆動期間Tを設定して加速
度データを取得しているときに、閾値を超える加速度データを取得した場合に、駆動期間
Tを所定期間だけ延長する例を示す。この駆動期間の延長により、閾値を超える加速度デ
ータが取得される状況で取りこぼしを防ぐ効果がある。
【0033】
図4(b) は、測定用センサの駆動期間Tの間に、再度トリガ信号を入力したときに、こ
のトリガ信号を起点に駆動期間Tを再設定し、駆動期間Tを延長する。この方法は、駆動
期間Tを設定するタイマを再スタートさせるだけで対応できるので、図4(a) の方法に比
べて簡単である。
【0034】
(他のデータ処理例1)
図5は、本発明のデータ処理装置における他の処理手順を示す。図6図7は、本発明
のデータ処理装置における他のデータ処理例1−1,1−2を示す。
【0035】
図5(a) において、初期設定された閾値以上の測定値を取得時間とともに保存データと
して保存する(S11)。図6に示すデータ処理例1−1では、例えばタイマで周期動作さ
せる測定センサ(加速度センサ)の取得時間を週単位とし、6月1週に初期設定された閾
値 1.2G以上の測定値 1.2Gが取得され、その取得時間とともに保存データa(6月1週
1.2G)となる。なお、取得時間は週単位に限らず、日単位あるいは月単位などでもよい
【0036】
次に、保存データaの測定値を次の閾値とし(S13)、送信要求があるか否かを判断し
(S14)、送信要求がなければ(S14:No)、新たに設定した閾値以上の測定値を取得時
間とともに保存データとして保存する(S11)。図6に示すデータ処理例1−1では、6
月2週に閾値 1.2G以上の測定値 1.4Gが取得され、その取得時間とともに保存データb
(6月2週 1.4G)となる。次に、新たな閾値 1.4G未満の測定値は除外しながら、次の
保存データc(6月4週 1.5G)が保存される。以下同様に、閾値を上方更新しながら測
定値の最大値が取得時間とともに順次保存されることになる。
【0037】
ここで、送信要求があれば(S14:Yes )、その時点で所定数の保存データ(取得時間
と測定値の更新された最大値)を送信する(S15)。図6に示すデータ処理例1−1では
、最大4個の保存データを送信(収集)する例を示す。送信要求があった7月2週には、
その時点の最新の6月1週〜6月4週の3個の保存データa〜cが送信される。次の送信
要求があった10月2週には、8月3週〜10月1週の4個の保存データe〜hが送信される
。なお、7月3週の保存データdは送信されない。
ここで、送信要求に対して送信する保存データの所定数(ここでは4個)に対応して、
保存データを保存する無線タグ100の記憶部104の容量を設定し、当該容量を超えた
保存データは保存順に上書きされるようにしてもよい。図6に示すデータ処理例1−1で
は、記憶部104が4個の保存データを保存する容量とすれば、10月1週の保存データh
を保存するときに7月3週の保存データdに上書きされる。これにより、記憶部104の
容量を必要最小限に抑えることができる。
【0038】
このように、1回の送信で最大4回分の保存データが送信されるので、4回分の取得時
間の経過における測定値の変化を把握し、例えば対象物の劣化の状況を推測することが容
易になる。例えば、7月2週の送信データでは測定値が 1.2Gから 1.5Gに変化している
が、次の10月2週の送信データでは測定値が 1.5Gから 2.1Gに変化しており、やや上昇
傾向がみられる。さらに、1月2週の送信データでは測定値が 3.2Gから 5.4Gまで上昇
しており、対象物の劣化が進んでいることが推測される。
【0039】
ところで、測定値の最大値(閾値)が図6のように単調増加すればよいが、何らかの異
常により前後の測定値に比べて大きな測定値が単発的に得られると、次の閾値が一気に大
きな値となってしまい、それ以降の測定値が閾値未満となる状態が長く継続することにな
る。すなわち、測定値が当該閾値以上になるまで保存データが得られないことになる。こ
れに対して、図5(2) に示すステップS12のように、保存された測定値が閾値よりa倍(
aは例えば 1.5〜2)以下の場合に当該測定値を次の閾値とし(S13)、測定値が閾値よ
りa倍を超えた場合(S12:No)は、保存データとして保存されるものの、次の閾値とし
ない。
【0040】
図7に示すデータ処理例1−2では、8月3週の測定値が 3.1Gとなり、その時点の閾
値 1.5Gの2倍を超えている。このような場合、測定値 3.1Gをそのまま次の閾値とする
と、以下11月2週までの測定値が閾値未満となり、保存データf〜jが得られなくなる。
そこで、図5(2) のステップS12の条件により、当該測定値 3.1Gは保存データeとして
保存するものの、次の閾値としない処理を行う。これにより、それ以降の保存データが順
次得られる。
【0041】
なお、図6に示すデータ処理例1−1の送信要求の間隔は3ヶ月であったが、図7に示
すデータ処理例1−2の送信要求の間隔は2ヶ月としている。そのため、保存データgの
ように重複して送信される場合も生じるが、リーダ側で重複するデータを上書きすればよ
い。
【0042】
また、8月3週の測定値 3.1Gは特異なものとして閾値とせず、前の閾値 1.5Gを維持
したが、次の8月4週の測定値も閾値のa倍を超えれば、再び特異な測定値として扱うこ
とは適当ではない。このような場合には、例えば測定値が閾値のa倍を超えることが2回
続くときは、ステップS12の処理を無視する判断処理を追加してもよい。これにより、測
定値が一気に大きくなって以後も継続するときに、対象物が急激に劣化したものと推測す
ることができる。
【0043】
(他のデータ処理例2)
図8図9は、本発明のデータ処理装置における他のデータ処理例2−1,2−2を示
す。
【0044】
図8に示すデータ処理例2−1では、所定の周期で測定センサから取得する測定値を所
定の回数分(ここでは4回)ごとに平均値をとり、その平均化処理時間(ここでは週単位
)とともに保存データとする。例えば、保存データaは6月3週までの4回分の測定値の
平均値 1.1Gが保存データa(6月3週 1.1G)となる。以下同様に、平均化処理した保
存データb,c,d,…が保存されるが、8月2週までの4回分の測定値の中に特異な測
定値(3.1G)が含まれているため、保存データdの平均値 2.0Gは前回の保存データcの
平均値 1.2Gに比べて少し上昇する。しかし、特異な測定値は、平均化処理により特異性
が緩和される。
【0045】
また、送信要求があった時点で所定数の保存データを送信する手順は、図5に示す他のデータ処理手順と同様である。図8に示すデータ処理例2−1では、最大4個の保存データを送信(収集)する例を示す。送信要求があった7月2週には、その時点の最新の6月週〜7月1週の2個の保存データa〜bが送信される。次の送信要求があった9月2週には、7月1週〜9月1週の4個の保存データb〜eが送信される。以下同様である。
【0046】
このように、1回の送信で4回分の保存データが送信されるので、4回分の取得時間の
経過における平均値の変化を把握し、例外的に特異な測定値の影響を緩和しながら、例え
ば対象物の劣化の状況を推測することが容易になる。例えば、9月2週の送信データでは
平均値が 1.2Gから 2.0Gの範囲で変化しているが、その後の1月2週の送信データでは
平均値が 1.9Gから 4.1Gの範囲で変化しており、上昇傾向が顕著に見られ、対象物の劣
化が進んでいることが推測される。
【0047】
図9に示すデータ処理例2−1では、平均化する4個の測定値から最大値と最小値を除
外し、残りの2個の測定値の平均値をとり、その平均化処理時間(ここでは週単位)とと
もに保存データとする。これにより、8月2週までの4回分の測定値の中の特異な測定値
(3.1G)の影響は排除され、保存データdの平均値 1.2Gは前回の保存データcの平均値
1.2Gと同等になる。
【0048】
ここで、図8および図9に示す黒点のように取得時間順に並んだ離散的な測定値(以下
、離散データという)に対して、所定の回数分ごとに平均値を求めるやり方について関数
オペレーションという視点から説明する。
【0049】
離散データ列は、一般に
1 ,a2 ,a3 ,…,aj ,aj+1 ,aj+2 ,…,aj+k ,…,an …(式1)
のように表すことができる。この(式1)からあるタイミングにおいて、演算対象となる離
散データ列を
j ,aj+1 ,aj+2 ,…,aj+k …(式2)
で示すことができる。ここで、(式1)のパラメータ“n”と(式2)のパラメータ“j”,
“k”には、次の簡単な関係を満たす。
n>j+k、 j,k,nはそれぞれ正の整数
【0050】
データ処理例2−1では、測定センサ(加速度センサ)で取得した測定値を4個ずつ平
均化処理の対象としていた(k=4−1)。そして、演算対象となる離散データ列(式2
)に対し、任意の演算処理となる各々の離散データに重みを乗算した総和を求める計算は
【数1】
のようになる。この(式3)では、各離散データが“ai ”、このそれぞれの重み関数は
“f(ai) ”である。
【0051】
この演算処理(式3)において、データ処理例2−1で示した平均化処理の重み関数は
f(ai) =1/(k+1) (i=j,j+1 ,j+2 ,…,j+k ) …(式4)
で示される。
【0052】
この平均化処理の重み関数(式4)を、先に示した一般の形態での離散データに対する
演算処理(式3)に当てはめると、
【数2】
となる。この(式5)を見れば直ちに、離散データの個数分の割り算の部分が演算の重み
で、重み関数(式4)すなわち、“1/k+1”となっていると分かる。
【0053】
また、データ処理例2−1に示すように、最大値および最小値を除外して測定値の平均
値を求める演算での重み関数は
f(ai) =1/(k−1) (ai≠max(ai),ai≠min(ai))
f(ai) =0 (ai=max(ai),ai=min(ai)) …(式6)
で示される。すなわち、各離散データ“ai ”に関して、最大値と最小値ではない値なら
重み関数“f(ai) ”が“1/k−1”となり、最大値と最小値の時は関数“f(ai) =
0 ”である。したがって、この(式6)を先に示した一般の形態での離散データに対する
演算処理(式3)に当てはめると、離散データに対する最大値と最小値を除く演算処理と
なり、
【数3】
となる。
【0054】
このように,測定用センサから時間順に得られる離散データ(式1)に関し、あるタイ
ミングで対象の離散データ(式2)を抜き出し、この対象の離散データに対し(式3)は
一般的な演算処理を与えている。この(式3)中の重み関数“f(ai) ”を、(式4)や
(式6)のように変えれば、(式5)の平均や(式7)の最大値と最小値を除く平均など
に対応できる。
【0055】
(他のデータ処理例3)
図10は、本発明のデータ処理装置における他のデータ処理例3を示す。
図10に示すデータ処理例3は、図6に示したデータ処理例1−1をもとに、4回分の測定値の移動平均値を求め、保存データとして取得時間、測定値、移動平均値を保存する。そして、送信要求があった時点で、所定数の保存データを送信する手順はデータ処理例1−1と同様である。図10に示すデータ処理例3では、最大4個の保存データを送信(収集)する例を示す。送信要求があった7月2週には、その時点の最新の6月1週〜6月4週の3個の保存データa〜cが送信される。次の送信要求があった10月2週には、8月3週〜10月1週の4個の保存データe〜hが送信されるが、測定値が 1.8Gから 3.1Gの範囲で変化しているものの、移動平均値は 1.8Gから 2.2Gの範囲で変化しているだけで上昇傾向は見られず、特異な測定値の影響を緩和することができる。一方、送信要求があった1月2週には、11月4週〜1月1週の4個の保存データk〜nが送信されるが、測定値が 3.2Gから 5.4Gまで変化し、移動平均値も 2.6Gから 4.1Gまで変化し、ともに上昇傾向が顕著に見られ、対象物の劣化が進んでいることが推測される。
【0056】
なお、移動平均値を求めるに当たり、ここでは4回分の測定値の最大値と最小値を除外することにより、さらに特異測定値影響を緩和することができる。
ところで、図6図9に示す他のデータ処理例1,2では、送信要求に対して送信する保存データの所定数(ここでは4個)に対応して、保存データを保存する無線タグ100の記憶部104の容量を設定し、当該容量を超えた保存データは保存順に上書きされるようにして記憶部104の容量を必要最小限に抑えていた。しかし、図10に示す他のデータ処理例3では、複数回(ここでは4回分)の測定値の移動平均値を求める必要があるため、記憶部104の容量としてその移動平均値の算出に必要な測定値を保存するための容量も必要になる。
【0057】
(他のデータ処理例4)
図1図4に示すデータ処理例は、起動用センサのトリガで測定用センサを動作させ、
測定用センサの駆動期間Tおよびデータ集計単位(日/週)ごとに測定データが閾値を超
えた回数の集計値(積算値)を保存し、送信要求があったときに直近の複数個の保存デー
タを送信する。
【0058】
図5図7に示す他のデータ処理例1−1,1−2は、例えば日/週ごとに測定用セン
サから取得した測定値に対して、閾値を上方更新しながら測定値の最大値を取得時間とと
もに順次保存し、送信要求があったときに直近の複数個の保存データを送信する。
【0059】
図8図9に示す他のデータ処理例2−1,2−2は、例えば日/週ごとに測定用セン
サから取得した測定値に対して、複数個ごとに順次平均値を算出して取得時間とともに保
存し、送信要求があったときに直近の複数個の保存データを送信する。
【0060】
図10に示す他のデータ処理例3は、例えば日/週ごとに測定用センサから取得した測
定値に対して、閾値を上方更新しながら測定値の最大値と移動平均値を取得時間とともに
順次保存し、送信要求があったときに直近の複数個の保存データを送信する。
【0061】
このように、例えば測定用センサを日/週ごとに動作させて取得した測定値の全てを送
信するのではなく、閾値との比較によって更新された最大値のみを送信したり、所定数ご
との平均値を送信することにより、データ圧縮が可能になっている。
【0062】
図11に示すデータ処理例4は、測定用センサを動作させる周期を上記の例の日/週か
らさらに広げ、図中では枠で囲むように、ここでは3週ごとに測定用センサを動作させ、
その測定値を取得時間とともに保存する。そして、送信要求があったときに直近の複数個
の保存データを送信する。結果的に保存データは上記の例と同等に少なくなり、データ圧
縮が可能になる。
【0063】
なお、データ処理例4においても、図11の枠内に示す測定値(加速度)の値を時間順
に並べれば、離散データ列(式1)として扱うことができる。次に、あるタイミングにお
いて、演算対象となる離散データ列を(式2)のように(式1)から抜き出す。この(式
2)と(式1)には、“j+k<n”の関係を満足する必要がある。因みに,図11のグ
ラフに黒点で示す測定値に対して枠内の測定値は、測定用センサで得られる測定値を4個
に1個を保存対象にしていることになる。(式2)により表わす対象となる離散データ列
に対して、一般的な形態の演算処理は(式3)となる。そして、対象となる離散データ列
(式2)から同じ順番の数値を選ぶことを意味するので、これに対応できる(式3)にお
ける関数“f(ai) ”は
f(ai) =1 (i=h (0≦h≦k))
f(ai) =0 (i≠h (0≦h≦k)) …(式8)
となる。
【0064】
この(式8)に示す演算の関数“f(ai) ”は、対象とする離散データ列の(式2)か
らh番目の離散値のみ重みが“1”であり、他の箇所では“0”となることを示す。この
関数(式8)を一般の形態における演算処理(式3)に当てはめて、離散データ列から間
欠的選択を行う演算処理は、
【数4】
【0065】
以上示したように、離散データに対する「演算の一般形式」から、先に示した「平均」
、「最大値と最小値を除外した平均」、ここに示す「間欠的選択」までと様々な扱いが演
算の関数“f(ai) ”を変えることで実現できることが分かる。
【符号の説明】
【0066】
100 無線タグ
101 データ処理/制御部
102 起動用センサ
103 測定用センサ
104 記憶部
105 電源部
106 給電制御部
107 送信回路
108 送信アンテナ
109 受信回路
110 受信アンテナ
200 リーダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12