(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は本実施例に係る光変調器ドライバ回路の概要を示す図、
図2は本実施例に係る光変調器ドライバ回路の入出力特性を示す図である。
図2の横軸は入力信号Vinの振幅(あるいは入力パワー)、縦軸は光変調器ドライバ回路の出力信号Voutの振幅(あるいは出力パワー)である。以降の入出力特性についても横軸、縦軸の定義は同様とする。
【0020】
本実施例の光変調器ドライバ回路1は、入力端子2と、出力端子3に加えて、動作モード切替用制御端子4を有し、運用状態(変調フォーマットや送信端信号処理の有無)によってリミット動作モードと線形動作モードを切り替えることができることを特徴とする。
【0021】
動作モード切替用制御端子4に入力する信号CTLは、光変調器ドライバ回路1が適用される光伝送システムの運用形態とリンクしている。具体的には、動作モード切替用制御端子4に入力する信号CTLとしては、DSPからの制御信号を用いてもよいし、手動で設定・調整するようにしてもよい。もしくは、光変調器ドライバ回路1は、外部から受ける信号に基づいて、ドライバ回路1が適用されるシステムの運用形態を検知し、ドライバ回路自身で動作モード切替用制御端子4に入力する信号CTLを自動生成するようにしてもよい。また、システム要求に依存するが、
図2で示すようにリミット動作モードと線形動作モードのどちらの動作モードにおいても想定されるある入力振幅Ainに対し、ある決まった所望の出力振幅Aoutが得られることが好ましい。
【0022】
本実施例の光変調器ドライバ回路1を実現する回路構成法を以下に説明する。低電力・リミット動作モードと線形動作モードとを切り替えるには、光変調器ドライバ回路1の電流量を調整することで実現可能であり、
図3および
図4に示す回路構成にて実現できる。
図3および
図4に示す回路は、どちらも差動増幅器として機能する回路であるが、
図3の場合はテイル電流をON/OFF制御可能な複数(2個以上)の電流源を用いることを特徴とし、
図4の場合はテイル電流を制御可能な任意数(1個以上)の可変電流源を用いることを特徴とする。
【0023】
まず、
図3の光変調器ドライバ回路1について説明する。
図3の光変調器ドライバ回路1は、ベースが正相入力端子2Pに接続され、コレクタが逆相出力端子3Nに接続されたトランジスタQ10と、ベースが逆相入力端子2Nに接続され、コレクタが正相出力端子3Pに接続されたトランジスタQ11と、一端が電源電圧VCCに接続され、他端がトランジスタQ10のコレクタに接続されたコレクタ抵抗R10と、一端が電源電圧VCCに接続され、他端がトランジスタQ11のコレクタに接続されたコレクタ抵抗R11と、一端がトランジスタQ10のエミッタに接続されたエミッタ抵抗R12と、一端がトランジスタQ11のエミッタに接続されたエミッタ抵抗R13と、一端がエミッタ抵抗R12,R13の他端に接続され、他端が電源電圧VEE(VCC>VEE)に接続され、動作モード切替用制御端子4に入力される信号CTLに応じてON/OFF制御可能な複数の電流源IS10とから構成される。トランジスタQ10,Q11と抵抗R10〜R13とは差動増幅器50を構成し、複数の電流源IS10は電流量調整回路51を構成している。
図3のVinPは正相入力信号、VinNは逆相入力信号、VoutPは正相出力信号、VoutNは逆相出力信号である。
【0024】
図3に示す回路では、差動増幅器50のテイル電流をON/OFF可能な複数の並列電流源IS10を用い、差動増幅器50に流れる電流の量を制御することで光変調器ドライバ回路1のモード切り替えを実現する。光変調器ドライバ回路1の線形動作が求められる際は、動作モード切替用制御端子4に入力する制御信号CTLによって全ての電流源IS10をONにして、テイル電流量を最大化することで線形動作モードでの動作が可能となる。光変調器ドライバ回路1のリミット動作が求められる際は、動作モード切替用制御端子4に入力する制御信号CTLによって複数の電流源IS10のうちの最低1つをONにし残りをOFFにして、テイル電流量を絞ることでリミット動作モードでの動作が可能となる。
【0025】
図5は
図3の光変調器ドライバ回路1の入出力特性を示す図である。
図5からも分かるように、
図3の光変調器ドライバ回路1では、リミット動作モードにおいて差動増幅器50のテイル電流量を線形動作モード時よりも減らすことができるので、その分低消費電力化できることになる。また、OFFにする電流源IS10を個別に選択することで、線形動作モードからリミット動作モードまでの入出力特性を任意に選択することができるので、光変調器ドライバ回路1の入出力特性の線形性と消費電力の微調整も可能となる。
【0026】
次に、
図4の光変調器ドライバ回路1について説明する。
図4の光変調器ドライバ回路1は、ベースが正相入力端子2Pに接続され、コレクタが逆相出力端子3Nに接続されたトランジスタQ20と、ベースが逆相入力端子2Nに接続され、コレクタが正相出力端子3Pに接続されたトランジスタQ21と、一端が電源電圧VCCに接続され、他端がトランジスタQ20のコレクタに接続されたコレクタ抵抗R20と、一端が電源電圧VCCに接続され、他端がトランジスタQ21のコレクタに接続されたコレクタ抵抗R21と、一端がトランジスタQ20のエミッタに接続されたエミッタ抵抗R22と、一端がトランジスタQ21のエミッタに接続されたエミッタ抵抗R23と、一端がエミッタ抵抗R22,R23の他端に接続され、他端が電源電圧VEEに接続され、動作モード切替用制御端子4に入力される信号CTLに応じてテイル電流を制御可能な1個以上の可変電流源IS20とから構成される。トランジスタQ20,Q21と抵抗R20〜R23とは差動増幅器52を構成し、可変電流源IS20は電流量調整回路53を構成している。
【0027】
図4の光変調器ドライバ回路1も
図3の場合と考え方は同様であるが、制御手法が異なる。
図4に示す回路では、差動増幅器52のテイル電流を制御可能な可変電流源IS20を用い、差動増幅器52を流れる電流の量を制御することで光変調器ドライバ回路1のモード切り替えを実現する。
【0028】
図6は
図4の光変調器ドライバ回路1の入出力特性を示す図である。
図6に示すように、光変調器ドライバ回路1の線形動作が求められる際は、動作モード切替用制御端子4に入力する制御信号CTLによって電流量を大きく(最大値に)設定することで線形動作モードでの動作が可能となる。光変調器ドライバ回路1のリミット動作が求められる際は、動作モード切替用制御端子4に入力する制御信号CTLによって電流量を絞ることでリミット動作モードでの動作が可能となる。この制御手法をとると、
図3の回路のようなステップ的な制御ではなく、アナログ的(連続的)な制御での線形性および消費電力の微調整が可能となる。なお、1つの可変電流源IS20に流せる電流量には制約があるため、必要な電流量に応じて可変電流源IS20の数を決定し、可変電流源IS20を並列に接続すればよい。
【0029】
図3、
図4では、トランジスタQ10,Q11,Q20,Q21として、バイポーラトランジスタを使用した例を示しているが、バイポーラトランジスタに限るものではなく、CMOS等のFET系のトランジスタを使用してもよい。FET系のトランジスタを使用する場合には、上記の説明において、ベースをゲートに置き換え、コレクタをドレインに置き換え、エミッタをソースに置き換えるようにすればよい。
【0030】
以上のように、
図3、
図4で示した回路を用いれば、光変調器ドライバ回路の線形動作モードとリミット動作モードの切り替えが可能で、リミット動作モード時には、テイル電流を絞った分だけ消費電力を低減することができる。また、
図3、
図4の回路では、差動増幅器のテイル電流量が最大となる線形動作モード時に最大の利得を持ち、テイル電流量を絞るにつれて利得が下がり、テイル電流をゼロにすることで利得そのものをゼロにすることができるので、シャットダウン(無信号出力)モードでも使用可能となる。言い換えると、本実施例の光変調器ドライバ回路1は利得可変機能も併せ持つ。
【0031】
[第2実施例]
第1実施例では、線形動作モード時に利得最大となり、リミット動作モード時に利得が小さくなる振舞いとなる。それゆえ、先に述べたように想定されるある入力振幅Ainに対し、動作モードによる出力振幅レベル差が生じる。システム上、このような振舞いが許容される場合、例えば運用状態(変調フォーマットや送信端信号処理の有無)に応じてDSP側でDACからの出力振幅つまりは光変調器ドライバ回路への入力振幅を任意に調整できる場合であれば、第1実施例の回路をそのまま光変調器ドライバ回路として使用して問題ない。しかしながら、運用の簡便化を考えると、光変調器ドライバ回路においては、線形動作モードとリミット動作モードのどちらの動作モードにおいても、想定されるある入力振幅Ainに対し、ある決まった所望の出力振幅Aoutが得られることが好ましい。
【0032】
本実施例では、線形動作モードとリミット動作モードのどちらの動作モードにおいても想定されるある入力振幅Ainに対し、ある決まった所望の出力振幅Aoutが得られる回路構成を提案する。具体的には、
図3、
図4の回路を出力回路として利用し、前段に線形利得可変回路を追加して、2段構成のドライバ回路とする。
【0033】
図7は本実施例の光変調器ドライバ回路1の構成を示すブロック図、
図8は
図7の光変調器ドライバ回路1の入出力特性を示す図である。本実施例の光変調器ドライバ回路1は、
図3もしくは
図4の回路を出力回路11として利用し、その前段に、出力端子が出力回路11の入力端子と接続される線形利得可変回路10を追加したものである。線形利得可変回路10は、利得制御端子5に入力される利得制御信号GCTLに応じて利得が調整可能な回路である。
【0034】
図8で示すように線形利得可変回路10において線形動作モードの時は利得を下げ、リミット動作モードの時は利得を上げることにより、想定されるある入力振幅Ainに対して、ある決まった所望の出力振幅Aoutが得られる回路が実現できる。固定の負荷系(想定しているアプリケーションでは50Ω)に対して大きな振幅を確保しなければならず電力消費が最も大きい出力回路11として
図3もしくは
図4の回路を適用することが、リミット動作モード時の消費電力削減に最も効果がある。
【0035】
図9は本実施例の光変調器ドライバ回路1の別の構成を示すブロック図、
図10は
図9の光変調器ドライバ回路1の入出力特性を示す図である。
図9の光変調器ドライバ回路1は、
図3もしくは
図4の回路を入力回路12として利用し、その後段に、入力端子が入力回路12の出力端子と接続される線形利得可変回路13を追加したものである。これにより、
図7の構成と同様のモード切り替え機能が実現できる。
【0036】
図9の構成の場合も、
図10で示すように線形利得可変回路13において線形動作モードの時は利得を下げ、リミット動作モードの時は利得を上げることにより、想定されるある入力振幅Ainに対して、ある決まった所望の出力振幅Aoutを得ることができる。
【0037】
図7および
図9に記載の線形利得可変回路10,13としては、単体として
図11に示すような線形利得可変特性を持つ回路を想定している。このような線形利得可変回路10,13を追加しておくことで、線形動作モードとリミット動作モードのそれぞれの動作モードにおいて幅広いレンジでの利得可変・振幅調整が可能となるので、後段の光変調器の駆動振幅最適化も可能となる。利得制御端子5に入力する信号GCTLとしては、DSPからの制御信号を用いてもよいし、手動で設定・調整するようにしてもよい。もしくは、光変調器ドライバ回路1は、外部から受ける信号に基づいて、ドライバ回路1が適用されるシステムの運用形態を検知し、ドライバ回路自身で利得制御端子5に入力する信号GCTLを自動生成するようにしてもよい。
【0038】
また、光変調器ドライバ回路1の駆動対象である、
図40、
図42に示したような光I/Q変調器104,205は、
図12に示すようにMZ(Mach-Zehnder)変調器300から構成される。MZ変調器300は、非線形な入出力特性を持っており、その特性は一般的に
図13に示すようにサイン(正弦波)カーブとなる。DSPの予等化部でMZ変調器300の非線形性が補償されないような運用形態時には、線形動作モード時に
図14に示すように意図的に駆動振幅を小さく絞って線形動作領域で駆動する方法も考えられる。しかし、
図7、
図9に示した本実施例の光変調器ドライバ回路1を用いれば、前述のとおり、線形動作モードとリミット動作モードの各動作モードにおいて利得可変・振幅調整が可能であるので、MZ変調器の非線形性を補償することが可能である。
【0039】
[第3実施例]
次に、第1実施例の光変調器ドライバ回路1における電流源の具体的構成および制御方法について説明する。
図15は
図3に示した光変調器ドライバ回路1の電流源IS10の構成を示す回路図、
図16は電流源IS10の制御方法を説明する図である。並列に接続されたn(nは2以上の整数)個の電流源IS10は、それぞれベースが動作モード切替用制御端子4に接続され、コレクタが
図3のエミッタ抵抗R12,R13の他端に接続された電流源トランジスタQ12(Q12−1〜Q12−n)と、一端が電流源トランジスタQ12のエミッタに接続され、他端が電源電圧VEEに接続された抵抗R14(R14−1〜R14−n)とから構成される。
【0040】
図15に示した構成において、動作モード切替用制御端子4に入力する制御信号V
CS(
図3のCTL)により電流源トランジスタQ12を制御して、電流源IS10の電流量を切り替え、光変調器ドライバ回路1の動作モード切り替えを実現する。制御信号V
CSは、
図16に示すように電流源トランジスタQ12をON/OFFさせる2値の信号である。電流源トランジスタQ12をOFFさせる際には、電源電圧VEEに近い電圧V
CS_
OFF(V
CS_
OFF≒VEE)を制御信号V
CSとして与える。電流源トランジスタQ12をONさせる際には、電源電圧VEEとトランジスタQ12のオン電圧V
BE_ONとの和(VEE+V
BE_ON)よりも高い電圧V
CS_
ON(V
CS_
ON>VEE+V
BE_
ON)を制御信号V
CSとして与える。
【0041】
各電流源トランジスタQ12は、個別に制御信号V
CSを受けてもよい。すなわち、電流源トランジスタQ12の数だけ制御信号V
CSを用意してもよい。全ての電流源トランジスタQ12をONさせると、
図3の光変調器ドライバ回路1は線形動作モードで動作する。また、複数の電流源トランジスタQ12のうちの最低1つをONにし残りをOFFにすると、
図3の光変調器ドライバ回路1はリミット動作モードで動作する。なお、各電流源トランジスタQ12を同一の制御信号V
CSで制御してもよい。
【0042】
図17は
図4に示した光変調器ドライバ回路1の電流源IS20の構成を示す回路図、
図18は電流源IS20の制御方法を説明する図である。電流源IS20は、ベースが動作モード切替用制御端子4に接続され、コレクタが
図4のエミッタ抵抗R22,R23の他端に接続された電流源トランジスタQ22と、一端が電流源トランジスタQ22のエミッタに接続され、他端が電源電圧VEEに接続された抵抗R24とから構成される。
【0043】
電流源の構成自体は、
図15に記載のものと同様であるが、制御手法が異なる。
図17の電流源IS20は可変電流源として使用されるため、
図16に示したような2値の制御信号ではなく、
図18のように連続的な制御信号V
CS(
図4のCTL)が使用される。このように連続的な制御信号V
CSを使用することで、線形動作モードからリミット動作モードまで
図4の光変調器ドライバ回路1の入出力特性を連続的に変更することができる。
【0044】
図17では、電流源トランジスタQ22が1つの構成例を示したが、
図17の構成を複数並列に接続し、各電流源トランジスタQ22を共通の制御信号V
CSまたは異なる制御信号V
CSで制御するようにしてもよい。
また、
図15、
図17の構成において、制御信号V
CSは外部から電流源トランジスタQ12,Q22に直接印加してもよいし、制御側とのインタフェースに応じて電圧変換回路(電圧のレベルシフト回路等)などを介して印加してもよい。
【0045】
また、
図15、
図17では、電流源トランジスタQ12,Q22として、バイポーラトランジスタを使用した例を示しているが、FET系のトランジスタを使用してもよい。FET系のトランジスタを使用する場合には、ベースをゲートに置き換え、コレクタをドレインに置き換え、エミッタをソースに置き換えるようにすればよい。
【0046】
第1実施例〜第3実施例では、光変調器ドライバ回路を1段ないしは2段構成の回路としたが、必要利得に応じて線形応答する増幅回路を適宜追加してもよい。また、光変調器ドライバ回路を多段構成とするとき、1チップに集積してもよいし、マルチチップで構成してもよい。
【0047】
[第4実施例]
第1実施例では、光変調器ドライバ回路を単純な増幅器として記載したが、帯域改善や反射低減の目的からカスコード構成としてもよい。
図19は本実施例に係る光変調器ドライバ回路1の構成を示す回路図である。
図19の光変調器ドライバ回路1は、
図3に示した回路において、ベースがバイアス端子6に接続され、コレクタが逆相出力端子3Nに接続され、エミッタがトランジスタQ10のコレクタに接続されたトランジスタQ13と、ベースがバイアス端子6に接続され、コレクタが正相出力端子3Pに接続され、エミッタがトランジスタQ11のコレクタに接続されたトランジスタQ14とを追加したものである。トランジスタQ10,Q11,Q13,Q14と抵抗R10〜R13とは差動増幅器54を構成している。バイアス端子6には所定のバイアス電圧が印加される。
【0048】
図20は本実施例の光変調器ドライバ回路1の別の構成を示す回路図である。
図20の光変調器ドライバ回路1は、
図4に示した回路において、ベースがバイアス端子6に接続され、コレクタが逆相出力端子3Nに接続され、エミッタがトランジスタQ20のコレクタに接続されたトランジスタQ23と、ベースがバイアス端子6に接続され、コレクタが正相出力端子3Pに接続され、エミッタがトランジスタQ21のコレクタに接続されたトランジスタQ24とを追加したものである。トランジスタQ20,Q21,Q23,Q24と抵抗R20〜R23とは差動増幅器55を構成している。
【0049】
本実施例のように、カスコードトランジスタQ13,Q14,Q23,Q24を付加することでミラー効果を軽減することができ、またコレクタ側から見た光変調器ドライバ回路のインピーダンスを高くすることができるので、帯域および反射特性の改善が可能となる。
【0050】
[第5実施例]
第1実施例および第4実施例で示した回路については、集中定数回路として構成してもよいし、分布定数構成回路として構成してもよい。
図21は本実施例に係る光変調器ドライバ回路1の構成を示す回路図であり、
図3と同様の構成には同一の符号を付してある。
図21の光変調器ドライバ回路1は、トランジスタQ10,Q11と抵抗R12,R13とからなる差動増幅器56と、電流源IS10からなる電流量調整回路51と、入力端が正相入力端子2Pに接続された入力伝送線路20Pと、入力端が逆相入力端子2Nに接続された入力伝送線路20Nと、出力端が正相出力端子3Pに接続された出力伝送線路21Pと、出力端が逆相出力端子3Nに接続された出力伝送線路21Nと、一端が入力伝送線路20Pの出力端に接続され、他端が電源電圧VCCに接続された抵抗R15と、一端が入力伝送線路20Nの出力端に接続され、他端が電源電圧VCCに接続された抵抗R16と、一端が出力伝送線路21Pの入力端に接続され、他端が電源電圧VCCに接続された抵抗R17と、一端が出力伝送線路21Nの入力端に接続され、他端が電源電圧VCCに接続された抵抗R18とから構成される。
【0051】
図21の各差動増幅器56は、入力伝送線路20P,20Nおよび出力伝送線路21P,21Nに沿って配置され、トランジスタQ10のベースが入力伝送線路20Pに接続され、トランジスタQ11のベースが入力伝送線路20Nに接続され、トランジスタQ10のコレクタが出力伝送線路21Nに接続され、トランジスタQ11のコレクタが出力伝送線路21Pに接続されている。
【0052】
図22は本実施例の光変調器ドライバ回路1の別の構成を示す回路図であり、
図4と同様の構成には同一の符号を付してある。
図22の光変調器ドライバ回路1は、トランジスタQ20,Q21と抵抗R22,R23とからなる差動増幅器57と、電流源IS20からなる電流量調整回路53と、入力伝送線路20P,20Nと、出力伝送線路21P,21Nと、一端が入力伝送線路20Pの出力端に接続され、他端が電源電圧VCCに接続された抵抗R25と、一端が入力伝送線路20Nの出力端に接続され、他端が電源電圧VCCに接続された抵抗R26と、一端が出力伝送線路21Pの入力端に接続され、他端が電源電圧VCCに接続された抵抗R27と、一端が出力伝送線路21Nの入力端に接続され、他端が電源電圧VCCに接続された抵抗R28とから構成される。
【0053】
図22の各差動増幅器57は、入力伝送線路20P,20Nおよび出力伝送線路21P,21Nに沿って配置され、トランジスタQ20のベースが入力伝送線路20Pに接続され、トランジスタQ21のベースが入力伝送線路20Nに接続され、トランジスタQ20のコレクタが出力伝送線路21Nに接続され、トランジスタQ21のコレクタが出力伝送線路21Pに接続されている。
【0054】
図21、
図22の各差動増幅器56,57の動作は第1実施例で説明した差動増幅器50,52と同様である。なお、
図21、
図22の各差動増幅器56,57を第4実施例で説明したようにカスコード構成としてもよい。
【0055】
[第6実施例]
図23は本実施例に係る光変調器ドライバ回路1の構成を示す回路図であり、
図3、
図21と同様の構成には同一の符号を付してある。
図23の光変調器ドライバ回路1は、
図21に示した光変調器ドライバ回路において、各差動増幅器56の入力部にエミッタフォロワ回路を付加したものである。
【0056】
図23の正相側のエミッタフォロワ回路は、ベースが入力伝送線路20Pに接続され、コレクタが電源電圧VCCに接続され、エミッタがトランジスタQ10のベースに接続されたトランジスタQ15と、一端がトランジスタQ15のエミッタに接続され、他端が電源電圧VEEに接続された電流源IS11とから構成される。
図23の逆相側のエミッタフォロワ回路は、ベースが入力伝送線路20Nに接続され、コレクタが電源電圧VCCに接続され、エミッタがトランジスタQ11のベースに接続されたトランジスタQ16と、一端がトランジスタQ16のエミッタに接続され、他端が電源電圧VEEに接続された電流源IS12とから構成される。
【0057】
図24は本実施例の光変調器ドライバ回路1の別の構成を示す回路図であり、
図4、
図22と同様の構成には同一の符号を付してある。
図24の光変調器ドライバ回路1は、
図22に示した光変調器ドライバ回路において、各差動増幅器57の入力部にエミッタフォロワ回路を付加したものである。
【0058】
図24の正相側のエミッタフォロワ回路は、ベースが入力伝送線路20Pに接続され、コレクタが電源電圧VCCに接続され、エミッタがトランジスタQ20のベースに接続されたトランジスタQ25と、一端がトランジスタQ25のエミッタに接続され、他端が電源電圧VEEに接続された電流源IS21とから構成される。
図24の逆相側のエミッタフォロワ回路は、ベースが入力伝送線路20Nに接続され、コレクタが電源電圧VCCに接続され、エミッタがトランジスタQ21のベースに接続されたトランジスタQ26と、一端がトランジスタQ26のエミッタに接続され、他端が電源電圧VEEに接続された電流源IS22とから構成される。
【0059】
このように、本実施例では、各分布段の差動増幅器56,57の入力部にエミッタフォロワ回路を付加することにより、入力のインピーダンスを上げて入力部のマッチングを改善することができ、また各段の入力バイアス点の最適化を行うことができる。
図23、
図24の各差動増幅器56,57の動作は第1実施例で説明した差動増幅器50,52と同様である。なお、
図23、
図24の各差動増幅器56,57を第4実施例で説明したようにカスコード構成としてもよい。
【0060】
[第7実施例]
第5実施例、第6実施例では、差動構成を例にしているが、差動構成に限るものでなく、単相の分布構成回路でも同様の電流量制御で同様の効果が得られる。
図25は本実施例に係る光変調器ドライバ回路1の構成を示す回路図である。
図25の光変調器ドライバ回路1は、入力端が入力端子2に接続された入力伝送線路30と、出力端が出力端子3に接続された出力伝送線路31と、一端が入力伝送線路30の出力端に接続され、他端が電源電圧VDDに接続された抵抗R31と、一端が出力伝送線路31の入力端に接続され、他端が電源電圧VDDに接続された抵抗R32と、入力信号VinにDCバイアスを与える入力信号バイアス制御回路32と、入力伝送線路30および出力伝送線路31に沿って配置された増幅器58とから構成される。
【0061】
図25の各増幅器58は、ゲートが入力伝送線路30に接続されたトランジスタQ30と、ゲートがバイアス端子6に接続され、ドレインが出力伝送線路31に接続され、ソースがトランジスタQ30のドレインに接続されたトランジスタQ31と、一端がトランジスタQ30のソースに接続され、他端が電源電圧VSS(VDD>VSS)に接続された抵抗R30とから構成される。バイアス端子6には所定のバイアス電圧が印加される。
【0062】
本実施例の回路の場合、電流量調整回路となる入力信号バイアス制御回路32を付与し、動作モード切替用制御端子4に入力される制御信号CTLに応じて、入力信号VinのDCバイアスレベルを入力信号バイアス制御回路32で調整することにより、増幅器58を流れる電流の量の調整が可能である。すなわち、線形動作モードの場合は入力信号VinのDCバイアスレベルを上げて電流量を増やして応答の線形性を上げ、リミット動作モードの場合は入力信号VinのDCバイアスレベルを下げて電流量を減らし電力をセーブすることが可能となる。
【0063】
なお、
図25では、トランジスタQ30,Q31として、FETを用いた回路例を示しているが、これまでの実施例と同様にFETに限るものではなく、バイポーラトランジスタを使用してもよい。バイポーラトランジスタを使用する場合には、上記の説明において、ゲートをベースに置き換え、ドレインをコレクタに置き換え、ソースをエミッタに置き換えるようにすればよい。また、
図25の例では、カスコード構成の回路を示しているが、各増幅器58の上部のカスコードトランジスタQ31を削除して回路を構成するようにしてもよい。
【0064】
[第8実施例]
次に、第2実施例の線形利得可変回路10,13の具体的な構成法について説明する。一般的な利得可変回路としては、
図26に示すようなギルバートセル型の利得可変回路や
図27に示すようなメイヤー型の利得可変回路が知られている。
【0065】
図26のギルバートセル型の利得可変回路は、ベースが利得制御端子5P,5Nと接続され、利得制御信号GCT,GCCに応じて利得調整を行う上部差動対(利得調整部)を構成する利得調整用トランジスタQ40,Q41と、ベースが利得制御端子5N,5Pと接続され、利得制御信号GCC,GCTに応じて利得調整を行う上部差動対(利得調整部)を構成する利得調整用トランジスタQ42,Q43と、ベースが正相入力端子7P、逆相入力端子7Nに接続された下部差動対(増幅部)を構成する増幅用トランジスタQ44,Q45と、一端が増幅用トランジスタQ44,Q45のエミッタに接続され、他端が電源電圧VEEに接続された定電流源IS40と、一端が電源電圧VCCに接続され、他端が利得調整用トランジスタQ41,Q43のコレクタに接続された抵抗R40と、一端が電源電圧VCCに接続され、他端が利得調整用トランジスタQ40,Q42のコレクタに接続された抵抗R41とから構成される。
【0066】
増幅用トランジスタQ44のコレクタは、利得調整用トランジスタQ40,Q41のエミッタと接続され、増幅用トランジスタQ45のコレクタは、利得調整用トランジスタQ42,Q43のエミッタと接続される。そして、トランジスタQ41,Q43のコレクタ(正相出力端子8P)から正相出力信号VoutPが出力され、トランジスタQ40,Q42のコレクタ(逆相出力端子8N)から逆相出力信号VoutNが出力される。
【0067】
図27のメイヤー型の利得可変回路は、ベースが利得制御端子5P,5Nと接続され、利得制御信号GCT,GCCに応じて利得調整を行う上部差動対(利得調整部)を構成する利得調整用トランジスタQ50,Q51と、ベースが利得制御端子5N,5Pと接続され、利得制御信号GCC,GCTに応じて利得調整を行う上部差動対(利得調整部)を構成する利得調整用トランジスタQ52,Q53と、ベースおよびコレクタが電源電圧VCCに接続され、エミッタがトランジスタQ50のコレクタに接続されたトランジスタQ54と、ベースおよびコレクタが電源電圧VCCに接続され、エミッタがトランジスタQ53のコレクタに接続されたトランジスタQ55と、ベースが正相入力端子7P、逆相入力端子7Nに接続された下部差動対(増幅部)を構成する増幅用トランジスタQ56,Q57と、一端が増幅用トランジスタQ56,Q57のエミッタに接続され、他端が電源電圧VEEに接続された定電流源IS50と、一端が電源電圧VCCに接続され、他端が利得調整用トランジスタQ51のコレクタに接続された抵抗R50と、一端が電源電圧VCCに接続され、他端が利得調整用トランジスタQ52のコレクタに接続された抵抗R51とから構成される。
【0068】
増幅用トランジスタQ56のコレクタは、利得調整用トランジスタQ50,Q51のエミッタと接続され、増幅用トランジスタQ57のコレクタは、利得調整用トランジスタQ52,Q53のエミッタと接続される。そして、トランジスタQ51のコレクタ(正相出力端子8P)から正相出力信号VoutPが出力され、トランジスタQ52のコレクタ(逆相出力端子8N)から逆相出力信号VoutNが出力される。
【0069】
ただし、
図26、
図27に示したような回路構成のままでは入出力特性の線形性は確保できない。線形性を向上させるためには、入力信号VinP,VinNが入力される増幅用トランジスタQ44,Q45,Q56,Q57にある程度大きな値のエミッタ抵抗R
E_
Lを挿入することが重要となる。特に、利得可変回路を流れる電流量(電流源IS40,IS50の電流量)をIとしたとき、電流量Iとエミッタ抵抗値R
E_
Lとの積I×R
E_
Lの値が、想定される入力振幅Ainより大きくなるように設定することがポイントとなる(I×R
E_
L>Ain)。
【0070】
また、トランジスタQ40〜Q43,Q50〜Q53は利得調整機能を担うが、トランジスタQ40〜Q43,Q50〜Q53にエミッタ抵抗R
E_
Uを挿入することで利得調整の感度を制御することができる。
【0071】
図28は本実施例の線形利得可変回路10,13の構成を示す回路図である。
図28の線形利得可変回路10,13は、
図26の利得可変回路に対して、利得調整用トランジスタQ40のエミッタと増幅用トランジスタQ44のコレクタとの間に挿入された抵抗R42と、利得調整用トランジスタQ41のエミッタと増幅用トランジスタQ44のコレクタとの間に挿入された抵抗R43と、利得調整用トランジスタQ42のエミッタと増幅用トランジスタQ45のコレクタとの間に挿入された抵抗R44と、利得調整用トランジスタQ43のエミッタと増幅用トランジスタQ45のコレクタとの間に挿入された抵抗R45と、増幅用トランジスタQ44のエミッタと電流源IS40との間に挿入された抵抗R46と、増幅用トランジスタQ45のエミッタと電流源IS40との間に挿入された抵抗R47とを追加したものである。上記のとおり、利得調整用トランジスタQ40〜Q43は利得調整部を構成し、増幅用トランジスタQ44,Q45は増幅部を構成している。抵抗R42〜R45の抵抗値はR
E_
Uであり、抵抗R46,R47の抵抗値はR
E_
Lである。
【0072】
図29は本実施例の線形利得可変回路10,13の別の構成を示す回路図である。
図29の線形利得可変回路10,13は、
図27の利得可変回路に対して、利得調整用トランジスタQ50のエミッタと増幅用トランジスタQ56のコレクタとの間に挿入された抵抗R52と、利得調整用トランジスタQ51のエミッタと増幅用トランジスタQ56のコレクタとの間に挿入された抵抗R53と、利得調整用トランジスタQ52のエミッタと増幅用トランジスタQ57のコレクタとの間に挿入された抵抗R54と、利得調整用トランジスタQ53のエミッタと増幅用トランジスタQ57のコレクタとの間に挿入された抵抗R55と、増幅用トランジスタQ56のエミッタと電流源IS50との間に挿入された抵抗R56と、増幅用トランジスタQ57のエミッタと電流源IS50との間に挿入された抵抗R57とを追加したものである。上記のとおり、利得調整用トランジスタQ50〜Q53は利得調整部を構成し、増幅用トランジスタQ56,Q57は増幅部を構成している。抵抗R52〜R55の抵抗値はR
E_
Uであり、抵抗R56,R57の抵抗値はR
E_
Lである。
【0073】
このように、本実施例では、従来の利得可変回路に、抵抗値R
E_
Uのエミッタ抵抗R42〜R45,R52〜R55と抵抗値R
E_
Lのエミッタ抵抗R46,R47,R56,R57とを追加することにより、線形動作に優れた線形利得可変回路10,13を実現することができる。
【0074】
[第9実施例]
第2実施例では、線形利得可変回路10と出力回路11とを縦続接続するか、あるいは入力回路12と線形利得可変回路13とを縦続接続しているが、第8実施例の構成に第1実施例の電流源を適用することで、第1実施例の構成と第8実施例の構成を1つにまとめることが可能である。
図30は本実施例の光変調器ドライバ回路1の構成を示す回路図であり、
図3、
図28と同様の構成には同一の符号を付してある。
図30の光変調器ドライバ回路1は、
図28の電流源IS40の代わりに、
図3で説明した電流源IS10を用いたものである。
【0075】
図31は本実施例の光変調器ドライバ回路1の別の構成を示す回路図であり、
図3、
図29と同様の構成には同一の符号を付してある。
図31の光変調器ドライバ回路1は、
図29の電流源IS50の代わりに、
図3で説明した電流源IS10を用いたものである。
【0076】
図32は本実施例の光変調器ドライバ回路1の構成を示す回路図であり、
図4、
図28と同様の構成には同一の符号を付してある。
図32の光変調器ドライバ回路1は、
図28の電流源IS40の代わりに、
図4で説明した電流源IS20を用いたものである。
【0077】
図33は本実施例の光変調器ドライバ回路1の別の構成を示す回路図であり、
図4、
図29と同様の構成には同一の符号を付してある。
図33の光変調器ドライバ回路1は、
図29の電流源IS50の代わりに、
図4で説明した電流源IS20を用いたものである。
図30〜
図33における59,60は線形利得可変回路を示している。線形利得可変回路59,60は、線形利得可変回路10,13から電流源IS40,IS50を除いたものに相当する。
【0078】
このように、第8実施例の電流源IS40,IS50の代わりに、第1実施例の電流源IS10,IS20を用いることで、第2実施例で縦続接続していた構成を1つに集約することが可能となる。
【0079】
[第10実施例]
次に、光変調器ドライバ回路の線形性制御および利得制御を実行する手法について述べる。
図34は本実施例に係る光送信器の構成を示すブロック図であり、
図42と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施例の光送信器は、光伝送システムの運用形態に応じて送信データDataのデジタル信号処理を行うDSP200(信号処理手段)と、DSP200から出力されたシンボルを多重化するMUX201−I,201−Qと、MUX201−I,201−Qから出力されたデータをアナログ信号に変換するDAC202−I,202−Qと、DAC202−I,202−Qから出力された信号を増幅する光変調器ドライバ回路203−I,203−Qと、光源となるLD204と、LD204からの連続光を光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの出力信号により変調して出力する光I/Q変調器205と、光伝送システムの運用形態に関する情報INFに応じて光変調器ドライバ回路203−I,203−Qへの制御信号CTLを生成する制御信号生成部206とを備えている。
【0080】
DSP200は、送信データDataに対してFEC符号化を行うFEC符号化部2000と、FEC符号化後の信号に対して変調フォーマットに応じたシンボルマッピングを実行するシンボルマッピング部2001と、波長分散や光変調器の非線形応答の予等化処理を信号に対して行う予等化部2002と、WDM伝送時のチャネル間クロストークを抑圧するためのスペクトラム整形(ナイキストフィルタ)処理を信号に対して行う信号スペクトラム整形部2003と、光変調器のための送信FE等化を信号に対して行う送信FE等化部2004などを備えている。DSP200では、外部からの指令に応じて変調フォーマットを変更することが可能であり、また予等化部2002と信号スペクトラム整形部2003の機能のON/OFFが可能になっている。
【0081】
本実施例では、光伝送システムの運用形態(変調フォーマットや送信端信号処理等)に関する情報INFをDSP200から出力(抽出)し、制御信号生成部206で情報INFに演算処理を加え、その演算結果を制御信号CTLとして、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの入出力特性の線形性と消費電力とのバランス、さらには光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの利得を制御する。
【0082】
次に、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの入出力特性の線形性と消費電力とのバランス調整・制御手法について具体的に説明する。光伝送システムの運用形態において光変調器ドライバ回路203−I,203−Qに対する線形性要求に特に関係の深い項目として、表1に示すように(A)変調フォーマット、(B)予等化機能、(C)信号スペクトラム整形機能(ナイキストフィルタ)が挙げられる。
【0084】
変調フォーマットについては、2値の電気信号を扱うQPSKであれば、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの入出力特性の線形性は不要であり、振幅変調を伴う電気信号を扱うQAMであれば、線形性が必要となる。予等化機能については、予等化機能がOFFの場合、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの入出力特性の線形性は不要であり、予等化機能がONの場合、線形性が必要となる。信号スペクトラム整形(ナイキストフィルタ)機能についても同様で、信号スペクトラム整形機能がOFFの場合、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの入出力特性の線形性は不要であり、信号スペクトラム整形機能がONの場合、線形性が必要となる。システム全体としては、これら複数の項目に応じて、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの入出力特性の線形性の要否を決定する必要がある。
【0085】
表1に示した全ての機能において光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの入出力特性の線形性が必要になる運用形態の場合は、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qを確実に線形動作モードで動作させることが求められる。また、表1に示した機能のうちいずれか1つで光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの入出力特性の線形性が必要になる場合にも、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qを線形動作モードで動作させてよい。
【0086】
ただし、表1に示した1つの機能については、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの入出力特性の線形性が必要であり、別の機能については、線形性が不要といったように線形性の要否が混在する場合には、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qがある程度線形で動作すればよいというケースも考えられる。このような場合は、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qを完全な線形動作モードとリミット動作モードの中間的なモードで使用することが、線形性と消費電力のバランスから最適となる可能性がある。
【0087】
また、表1に示した全ての機能において光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの入出力特性の線形性が不要になる運用形態の場合は、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qをリミット動作モードで動作させることで、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの出力信号である2値電気信号の波形品質(S/N:信号対雑音比)を改善することができ、伝送品質の向上も期待できる。以上を踏まえると、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの入出力特性の線形性制御については以下のような制御手法が考えられる。
【0088】
図35は本実施例の線形性制御方法を説明する図である。
図35の例では、制御信号生成部206が行う演算処理を論理和(OR)処理としている。そして、QAMフォーマットの場合には、DSP200のシンボルマッピング部2001から“1”を出力し、QPSKフォーマットの場合には、シンボルマッピング部2001から“0”を出力する。また、予等化機能がONの場合には、DSP200の予等化部2002から“1”を出力し、予等化機能がOFFの場合には、予等化部2002から“0”を出力する。また、信号スペクトラム整形(ナイキストフィルタ)機能がONの場合には、DSP200の信号スペクトラム整形部2003から“1”を出力し、信号スペクトラム整形機能がOFFの場合には、信号スペクトラム整形部2003から“0”を出力する。
【0089】
シンボルマッピング部2001と予等化部2002と信号スペクトラム整形部2003とから出力された情報を制御信号生成部206でOR処理すると、少なくとも1つの情報が“1”、すなわち光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの入出力特性の線形性が必要になる機能が1つでも稼働している場合に、制御信号CTLが“1”となる。この制御信号CTLに応じて、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qは線形動作モードで動作する。また、シンボルマッピング部2001と予等化部2002と信号スペクトラム整形部2003とから出力された情報が全て“0”、すなわち光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの入出力特性の線形性が不要の場合に、制御信号CTLが“0”となる。この制御信号CTLに応じて、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qはリミット動作モードで動作する。このように、
図35の例では、完全な線形動作モードかリミット動作モードかの切替えを実行することとなる。
【0090】
なお、
図35の例では、(A)変調フォーマット、(B)予等化、(C)スペクトル整形を情報抽出の対象としているが、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qに対する線形性要求に関係する別の機能もしくは運用形態があれば、(A)〜(C)に限らず情報を追加してもよい。
【0091】
図36は本実施例の別の線形性制御方法を説明する図である。
図36の例では、制御信号生成部206が行う演算処理を重み付け加算処理としている。ここでは、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの動作モードとして、完全な線形動作モードとリミット動作モードの2つのモードだけでなく、その中間的な動作モードを想定している。上記と同様に、QAMフォーマットの場合には、DSP200のシンボルマッピング部2001から“1”を出力し、QPSKフォーマットの場合には、シンボルマッピング部2001から“0”を出力する。また、予等化機能がONの場合には、DSP200の予等化部2002から“1”を出力し、予等化機能がOFFの場合には、予等化部2002から“0”を出力する。また、信号スペクトラム整形(ナイキストフィルタ)機能がONの場合には、DSP200の信号スペクトラム整形部2003から“1”を出力し、信号スペクトラム整形機能がOFFの場合には、信号スペクトラム整形部2003から“0”を出力する。
【0092】
シンボルマッピング部2001から出力される“1”または“0”の情報をINFa、予等化部2002から出力される“1”または“0”の情報をINFb、信号スペクトラム整形部2003から出力される“1”または“0”の情報をINFcとすれば、制御信号生成部206による重み付け加算処理は次式のようになる。
CTL=INFa×a+INFb×b+INFc×c ・・・(1)
【0093】
a,b,cはあらかじめ設定された重み係数である(a,b,cは0以上1以下の値で、a+b+c=1)。ここで、(A)変調フォーマット、(B)予等化、(C)スペクトル整形の各機能に対応する重み係数a,b,cは、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qに対する線形性要求が高い機能ほど値が大きくなるようにする。このように重み係数a,b,cを設定することで、DSP200において光変調器ドライバ回路203−I,203−Qに対する線形性要求が高い機能が稼働したときには、動作の線形性が良くなるように光変調器ドライバ回路203−I,203−Qを調整することができる。また、ある程度線形であればよいというときには、それに応じた線形性が得られるように光変調器ドライバ回路203−I,203−Qを調整することで、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの消費電力を抑えることが可能となる。
【0094】
図36の例においても、(A)変調フォーマット、(B)予等化、(C)スペクトル整形を情報抽出の対象としているが、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qに対する線形性要求に関係する別の機能もしくは運用形態があれば、(A)〜(C)に限らず情報を追加してもよい。
【0095】
図36の例のように光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの入出力特性の線形性を細かく調整できる光送信器の場合は、光伝送距離の情報も線形性要求項目として加えることが考えられる。つまり、光伝送距離が長ければ、送信信号品質を上げる必要があるため、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの入出力特性の線形性を高く設定し、光伝送距離が短ければ、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qのある程度の非線形は許容されると考えられるので、線形性を落として、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの消費電力を抑制する。
【0096】
次に、本実施例の光変調器ドライバ回路203−Iとしては
図3、
図4、
図19〜
図25に示した構成を用いることができる。
図3、
図19〜
図24のVinPは光変調器ドライバ回路203−Iの正相入力端子2Pに入力される正相入力信号、VinNは光変調器ドライバ回路203−Iの逆相入力端子2Nに入力される逆相入力信号、VoutPは光変調器ドライバ回路203−Iの正相出力端子3Pから光I/Q変調器205に出力される正相出力信号、VoutNは光変調器ドライバ回路203−Iの逆相出力端子3Nから光I/Q変調器205に出力される逆相出力信号である。また、
図25のVinは光変調器ドライバ回路203−Iの入力端子2に入力される入力信号、Voutは光変調器ドライバ回路203−Iの出力端子3から光I/Q変調器205に出力される出力信号である。
【0097】
図3、
図19、
図21、
図23に示した回路は
図35で説明した線形性制御方法に対応するものである。
図3、
図19、
図21、
図23に示す回路では、差動増幅器50,54,56のテイル電流をON/OFF可能な複数の並列電流源IS10を用い、差動増幅器50,54,56に流れる電流の量を制御することで光変調器ドライバ回路203−Iのモード切り替えを実現する。光変調器ドライバ回路203−Iの線形動作が求められる際は、制御信号CTL=1に応じて全ての電流源IS10をONにして、テイル電流量を最大化することで線形動作モードでの動作が可能となる。光変調器ドライバ回路203−Iのリミット動作が求められる際は、制御信号CTL=0に応じて複数の電流源IS10のうちの最低1つをONにし残りをOFFにして、テイル電流量を絞ることでリミット動作モードでの動作が可能となる。
【0098】
図5で説明したとおり、
図3、
図19、
図21、
図23の構成を用いた光変調器ドライバ回路203−Iでは、リミット動作モードにおいて差動増幅器50,54,56のテイル電流量を線形動作モード時よりも減らすことができるので、その分低消費電力化できることになる。
【0099】
図4、
図20、
図22、
図24に示した回路は
図36で説明した線形性制御方法に対応するものである。
図4、
図20、
図22、
図24に示す回路では、差動増幅器52,55,57のテイル電流を制御可能な可変電流源IS20を用い、差動増幅器52,55,57を流れる電流の量を制御することで光変調器ドライバ回路203−Iのモード切り替えを実現する。
【0100】
図6で説明したとおり、
図4、
図20、
図22、
図24の構成を用いた光変調器ドライバ回路203−Iにおいて線形動作が求められる際は、制御信号CTLに応じて電流量を大きく(最大値に)設定することで線形動作モードでの動作が可能となる。光変調器ドライバ回路203−Iのリミット動作が求められる際は、制御信号CTLに応じて電流量を絞ることでリミット動作モードでの動作が可能となる。この制御手法をとると、
図3の回路のようなステップ的な制御ではなく、アナログ的(連続的)な制御での線形性および消費電力の微調整が可能となる。1つの可変電流源IS20に流せる電流量には制約があるため、必要な電流量に応じて可変電流源IS20の数を決定し、可変電流源IS20を並列に接続すればよい。
なお、
図25の構成については
図35で説明した線形性制御方法、
図36で説明した線形性制御方法のいずれにも適用することができる。
【0101】
次に、光変調器ドライバ回路203−Iの電流源の具体的構成について説明する。
図3、
図19、
図21、
図23の構成を用いた光変調器ドライバ回路203−Iの電流源IS10の構成および制御方法は
図15、
図16で説明したとおりである。なお、
図16の電圧V
CS_
ONがCTL=1に対応し、電圧V
CS_
OFFがCTL=0に対応する。
【0102】
図4、
図20、
図22、
図24の構成を用いた光変調器ドライバ回路203−Iの電流源IS20の構成および制御方法は
図17、
図18で説明したとおりである。電流源の構成自体は、
図15に記載のものと同様であるが、制御手法が異なる。
図17の電流源IS20は可変電流源として使用されるため、
図18のように連続的な制御信号CTLが使用される。このように連続的な制御信号CTLを使用することで、線形動作モードからリミット動作モードまで
図4の光変調器ドライバ回路203−Iの入出力特性を連続的に変更することができる。光変調器ドライバ回路203−Iを完全な線形動作モードとして動作させたいときはCTL=1とすればよい。
【0103】
なお、
図3、
図4、
図15、
図17、
図19〜
図25では、トランジスタQ10〜Q14,Q20〜Q24,Q30,Q31として、バイポーラトランジスタを使用した例を示しているが、バイポーラトランジスタに限るものではなく、FET系のトランジスタを使用してもよい。FET系のトランジスタを使用する場合には、上記の説明において、ベースをゲートに置き換え、コレクタをドレインに置き換え、エミッタをソースに置き換えるようにすればよい。
また、
図3、
図4、
図19〜
図25では、I(同相)チャネルの光変調器ドライバ回路203−Iの構成について説明しているが、Q(直交)チャネルの光変調器ドライバ回路203−Qの構成も同様である。
【0104】
制御信号生成部206は、回路を用いて実現してもよいし、ソフトウエアで動作するコンピュータを用いて実現してもよい。このようなコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)と記憶装置とを備える。CPUは、記憶装置に記憶されたプログラムに従って本実施例および以下の実施例で説明する制御信号生成部206の処理を実行する。
【0105】
以上のように、本実施例では、光伝送システムの運用形態に応じて、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの線形動作モードとリミット動作モードを適宜切り替えて使用することができ、リミット動作モード時には消費電力を低減することが可能となる。また、線形動作モードとリミット動作モードの2つのモードでの使用以外にも、それらの中間的な動作モードでの利用も可能となり、光伝送システムの運用形態に最適な状態に光変調器ドライバ回路203−I,203−Qを設定することができる。
【0106】
[第11実施例]
次に、本発明の第11実施例について説明する。
図37は本実施例に係る光送信器の構成を示すブロック図であり、
図34と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施例の光送信器は、第10実施例の光送信器に信号処理制御手段となるFPGA(Field-Programmable Gate Array)207を追加し、DSP200の運用形態の制御をFPGA207を用いて実行するようにし、運用形態に関する情報INFをFPGA207から取得するようにしたものである。その他の構成は第10実施例で説明したとおりである。
【0107】
図38は本実施例の線形性制御方法を説明する図である。上記のとおり、本実施例では、光伝送システムの運用形態(変調フォーマットや送信端信号処理等)に関する情報INFをFPGA207から取得する。FPGA207は、QAMフォーマットの場合、変調フォーマットに関する情報INFaとして“1”を出力し、QPSKフォーマットの場合、情報INFaとして“0”を出力する。また、FPGA207は、予等化機能がONの場合、予等化機能に関する情報INFbとして“1”を出力し、予等化機能がOFFの場合、情報INFbとして“0”を出力する。また、FPGA207は、信号スペクトラム整形(ナイキストフィルタ)機能がONの場合、信号スペクトラム整形機能に関する情報INFcとして“1”を出力し、信号スペクトラム整形機能がOFFの場合、情報INFcとして“0”を出力する。
図38の制御信号生成部206が行う演算処理は、
図35の例で説明したOR処理である。
図38の例の場合、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qとしては、
図3、
図15、
図19、
図21、
図23、
図25で説明した構成を使用すればよい。
【0108】
図39は本実施例の別の線形性制御方法を説明する図である。FPGA207の動作は上記のとおりである。
図39の制御信号生成部206が行う演算処理は、
図36の例で説明した重み付け加算処理である。
図39の例の場合、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qとしては、
図4、
図17、
図20、
図22、
図24、
図25で説明した構成を使用すればよい。
【0109】
こうして、本実施例では、第10実施例と同様の効果を得ることができる。なお、第10実施例、第11実施例の光送信器においては、DSP200の予等化部2002に光変調器ドライバ回路自身のリミット動作時の非線形等化機能を付与することも可能であり、その場合は強制的に光変調器ドライバ回路203−I,203−Qを完全なリミット動作モードにする制御信号を別途与えてもよい。
【0110】
[第12実施例]
第10実施例、第11実施例では、光変調器ドライバ回路の入出力特性の線形性と消費電力とのバランスのみを制御するようにしていたが、さらに光変調器ドライバ回路の利得を制御するようにしてもよい。
以下、光変調器ドライバ回路の利得制御の考え方とその手法について説明する。利得の調整機能については、光送信器の光I/Q変調器205の入出力特性と深く関係する。光I/Q変調器205は、
図12に示したようにMZ(Mach-Zehnder)変調器300から構成される。
【0111】
MZ変調器300は、
図13に示したように一般的にサイン(正弦波)カーブの非線形な入出力特性を示す。それゆえ、最大の透過率が得られる駆動振幅で光I/Q変調器205を駆動すると、歪みが発生することとなる。従来の100Gb/s光伝送システムのように2値信号で光I/Q変調器を駆動する場合は、その歪みは問題とならない。しかし、ナイキストフィルタや予等化処理を適用する場合や、QAMフォーマットのような振幅変調を伴う高次の多値変調フォーマットを利用する場合、光I/Q変調器205を駆動する電気信号は単純な“0”か“1”の信号ではなく、振幅軸方向に細かく情報を含んだ信号となるため、光I/Q変調器205の歪みが問題となる。
【0112】
ただし、一般化しづらいリミット型ドライバ回路の入出力特性(使用するドライバごとに入出力特性が異なる)とは違い、MZ変調器300の入出力特性はサインカーブとして一般化できるため、DSP200の予等化部2002にMZ変調器300の入出力特性と逆の特性(アークサインカーブ特性)を与えることは比較的容易であると考えられる。DSP200の予等化部2002にMZ変調器300の入出力特性と逆の特性を与えるようにすれば、変調後の光信号が線形になるように予等化を施すことができるので、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qは、動作モードにかかわらず最大の透過率が得られる振幅の駆動信号を光I/Q変調器205に出力すればよいことになる。
【0113】
しかしながら、DSP200の予等化部2002にMZ変調器300の入出力特性と逆の特性を与える機能が実装されていない場合や、この機能がOFFになっている場合、最大の透過率が得られる振幅の駆動信号で光I/Q変調器205を駆動すると、光I/Q変調器205内のMZ変調器300の非線形特性によって変調後の光信号に歪みが生じてしまう。
【0114】
そこで、本実施例では、MZ変調器300の比較的線形な駆動領域を用いる制御、すなわち光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの出力振幅を小さくする制御を実現するために、利得制御信号GCTLを光変調器ドライバ回路203−I,203−Qに与える。このような利得制御信号GCTLは、これまでに述べてきた制御信号CTLを利用して生成することができる。
【0115】
第10実施例、第11実施例で説明した制御信号生成部206は、線形動作モード(制御信号CTLの値が“1”)のときに、光I/Q変調器205が線形動作領域で動作するように、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの出力振幅を小さく絞る利得制御信号GCTLを出力すればよい。また、制御信号生成部206は、リミット動作モード(制御信号CTLの値が“0”)のときに、光変調器ドライバ回路203−I,203−Qの出力振幅を最大まで上げる利得制御信号GCTLを出力すればよい。
【0116】
本実施例の光変調器ドライバ回路203−Iの構成としては
図3、
図4、
図7、
図9、
図19〜
図25に示した構成を用いることができる。
図7、
図9のVinは光変調器ドライバ回路203−Iの入力端子2に入力される入力信号、Voutは光変調器ドライバ回路203−Iの出力端子3から光I/Q変調器205に出力される出力信号である。
【0117】
図7の構成の場合には、
図3、
図4、
図19〜
図25のいずれかの回路を出力回路11として利用し、出力回路11の前段に線形利得可変回路10を接続すればよい。
図9の構成の場合には、
図3、
図4、
図19〜
図25のいずれかの回路を入力回路12として利用し、入力回路12の後段に線形利得可変回路13を接続すればよい。ここでは、Iチャネルの光変調器ドライバ回路203−Iの構成について説明しているが、Qチャネルの光変調器ドライバ回路203−Qの構成も同様である。
【0118】
線形利得可変部10,13の構成については
図28、
図29に示したとおりである。なお、
図28、
図29の利得制御信号GCT,GCCが
図7、
図9の利得制御信号GCTLに対応する。
【0119】
また、本実施例の光変調器ドライバ回路203−Iの構成として
図30〜
図33に示した構成を用いることもできる。
図30〜
図33のVinPは光変調器ドライバ回路203−Iの正相入力端子2Pに入力される正相入力信号、VinNは光変調器ドライバ回路203−Iの逆相入力端子2Nに入力される逆相入力信号、VoutPは光変調器ドライバ回路203−Iの正相出力端子3Pから光I/Q変調器205に出力される正相出力信号、VoutNは光変調器ドライバ回路203−Iの逆相出力端子3Nから光I/Q変調器205に出力される逆相出力信号である。光変調器ドライバ回路203−Iの構成として
図30〜
図33に示した構成を用いることにより、
図7、
図9で縦続接続していた構成を1つに集約することが可能となる。ここでは、Iチャネルの光変調器ドライバ回路203−Iの構成について説明しているが、Qチャネルの光変調器ドライバ回路203−Qの構成も同様である。