【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行者名: 一般社団法人電子情報通信学会 刊行物名: 電子情報通信学会 技術研究報告 Vol.113 No.448 OPE2013−233 第151〜155頁 発行年月日: 2014年2月20日
【文献】
Mingbo Niu, Jonathan F.Holzman,MIMO architecture for coherent optical wireless communication: System design and performance,IEEE/OSA Journal of Optical Communications and Networking,米国,IEEE/OSA,2013年 5月,Vol.5, Issue.5,pages.411-420
【文献】
Akhil R.Shah et al.,Coherent optical MIMO (COMIMO),IEEE Journal of Lightwave Technology,米国,IEEE,2005年 8月,vol.23, Issue.8,pages.2410-2419
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の光伝送システムの実施例1の構成を示す。
図1において、実施例1の光伝送システムは、送信部10と受信部20が光ファイバ伝送路50を介して接続される。送信部10は、信号光源11と偏波多重ベクトル変調器12とにより構成される。信号光源11は、光周波数 f1 の光キャリア信号を出力する。偏波多重ベクトル変調器12は、信号光源11から出力される光周波数 f1 の光キャリア信号を2つのデータ信号列Data1x,Data1yで偏波多重変調し、生成された信号光を光ファイバ伝送路50に出力する。
【0020】
受信部20は、光カプラ21と、コヒーレント受信機22−1,22−2と、位相同期回路23と、LO光源24−1,24−2と、デジタル信号処理部25とにより構成される。光カプラ21は、光ファイバ伝送路50を介して受信した信号光を2つに分岐してコヒーレント受信機22−1,22−2に入力する。LO光源24−1,24−2は、信号光の光周波数 f1 と近接する光周波数 f11,f12 で、位相同期回路23により所定の光周波数間隔ΔFに制御されたLO光をコヒーレント受信機22−1,22−2に入力する。ここで、 f11<f12 、ΔF= f12−f11 である。コヒーレント受信機22−1,22−2は、光カプラ21で分岐された光周波数f1の信号光を光周波数 f11,f12 のLO光でそれぞれコヒーレント検波してデジタル信号処理部25に出力する。デジタル信号処理部25は、コヒーレント受信機22−1,22−2から入力する電気信号をデジタル信号処理し、データ信号列Data1x,Data1yを復調する。
【0021】
実施例1では、LO光源24−1,24−2の光周波数 f11,f12 は、信号光の光周波数 f1 の近傍に設定されるが、現実的には光源の周波数ゆらぎもあって安定的に信号光の光周波数 f1 と一致させることは困難である。ただし、位相同期回路23により、2つのLO光の光周波数間隔ΔFを規定値に制御することは可能であり、2つのLO光は同じ周波数方向にゆらぐことになる。この制御により、
図1(2) に示すように、信号光の光周波数f1とほぼ等しい仮想的な基準周波数f1' に対して、一方のLO光の周波数差Δf1を設定すると、他方のLO光との周波数差Δf2は以下のように求まる。
Δf2=Δf1−ΔF
【0022】
すなわち、信号光の光周波数 f1 に近接する仮想的な基準周波数f1' を基準に、一方のLO光による位相回転量Δf1を決めると、他方のLO光による位相回転量Δf2が求まる関係となる。デジタル信号処理部25の位相回転補償回路では、
図1(3),(4) に示すように、コヒーレント受信機22−1,22−2から入力する電気信号に含まれる位相回転量Δf1,Δf2を補償することにより、各LO光の周波数ゆらぎに影響されずにデータ信号列の復調が可能となる。なお、位相回転補償は、周波数領域で補償する構成でもよい。
【0023】
図2は、実施例1のデジタル信号処理部25の構成例を示す。
図2において、コヒーレント受信機22−1,22−2から出力された直交する偏波成分に相当するそれぞれ2つの複素信号は、A/Dコンバータ1−11,1−12,1−21,1−22によってサンプリング周期Tでデジタル信号に変換された後、分散補償回路2−11,2−12,2−21,2−22に入力される。各分散補償回路は、入力された各複素信号に対して光ファイバ伝送路50における総波長分散量に相当する共通の分散補償を施し、複素信号E
1x,E
1y,E
2x,E
2yを出力する。
【0024】
位相回転補償回路3−11,3−12は複素信号E
1x,E
1yを入力し、光周波数f1の信号光と光周波数f11 のLO光の周波数差による位相回転量Δf1を補償した複素信号E
1tx ,E
1ty を出力する。位相回転補償回路3−21,3−22は複素信号E
2x,E
2yを入力し、光周波数f1の信号光と光周波数f12 のLO光の周波数差による位相回転量Δf2を補償した複素信号E
2tx ,E
2ty を出力する。
【0025】
波形等化回路4は、位相回転補償回路3−11,3−12,3−21,3−22から出力される複素信号E
1tx ,E
1ty ,E
2tx ,E
2ty を入力し、偏波成分ごとに最尤推定によりFIRフィルタの適応信号処理を行い、複素信号E
1X,E
1Yを出力する。この複素信号E
1X,E
1Yには、信号光の光周波数f1と各LO光の仮想的な基準周波数f1' との周波数差および位相差によって生じる位相回転残留成分が含まれる。
【0026】
位相推定回路5−1,5−2は、波形等化回路4から入力する複素信号E
1X,E
1Yの位相回転残留成分を補償した複素信号を識別回路6−1,6−2に出力する。識別回路6−1,6−2は、入力する複素信号からデータ信号列Data1x,Data1yを復調して出力する。
【0027】
ここで、コヒーレント受信機22−1,22−2が出力する複素信号の位相回転成分の補償原理について説明する。
【0028】
送信部10で偏波多重変調し、生成された信号光の各偏波成分の複素電界をE
1,ix,E
1,iyと表す。光ファイバ伝送路50を伝送した信号光の各偏波成分の複素電界E
1,ox,E
1,oyは、光ファイバ伝送路50の伝達関数行列T
1 を用いて式(1) で表される。
【数1】
【0029】
式(1) で表される光ファイバ伝送路50を伝送した信号光は、コヒーレント受信機22−1,22−2でコヒーレント検波され、式(2) に示す複素信号E
1x,E
1y,E
2x,E
2yとして出力される。
図1(2),(3) にそのイメージを示す。
【数2】
【0030】
式(2) のR
1 ,R
2 は、各LO光による位相回転量Δf1,Δf2から生じるコヒーレント受信機の周波数特性を表す行列を示す。exp(j2πΔf1t)およびexp(j2πΔf2t)は、各LO光による位相回転量Δf1,Δf2に応じた位相回転項を示す。Φ
0(t)は、信号光の光周波数f1と各LO光の仮想的な基準周波数f1' との周波数差f1−f1' から生じる位相回転を表す行列を示す。Φ
1 ,Φ
2 は、信号光と各LO光の位相差から生じる位相回転を表す行列を示す。tは時間である。
【0031】
位相回転補償回路3−11,3−12,3−21,3−22において、信号光と各LO光の周波数差による位相回転量Δf1,Δf2を補償した複素信号E
1tx ,E
1ty ,E
2tx ,E
2ty は、式(3) のように表される。
【数3】
【0032】
式(3) において、信号光の光周波数 f1 と各LO光の仮想的な基準周波数f1' はほぼ等しく、各LO光の光周波数間隔ΔFは一定であるため、R
1 ,R
2 はほぼ定数行列となる。また、LO光間の位相は同期しているため、Φ
1 ,Φ
2 は定数行列と見なすことができる。よって、位相回転補償回路3−11,3−12,3−21,3−22では、デジタルコヒーレント方式で一般に用いられるCMAまたはLMS等の適応等化アルゴリズムを用いて、R
1-1,R
2-1,Φ
1-1,Φ
2-1,T
1-1 が近似的に計算可能であり、各LO光による位相回転量Δf1,Δf2の補償が可能となる。なお、CMAまたはLMS等の適応等化アルゴリズムは非特許文献3に記載されている。
図1(4) にそのイメージを示す。
【0033】
一方、信号光の光周波数 f1 と各LO光の仮想的な基準周波数f1' の周波数差、すなわちゆらぎによって生じるΦ
0(t)は補償されずに残るが、式(3) で共通であり、各式の相対的な位相ゆらぎは0である。よって、Φ
0(t)は、一般的なデジタルコヒーレント方式と同様に、後段の位相推定回路5−1,5−2によって補償可能である。さらに、送信信号E
1,ix,E
1,iyに対する2つの異なる式を用いることによるダイバーシチ効果により、高精度に送信データE
1,ix,E
1,iyを計算することができる。
【0034】
図12は、従来構成および本発明の実施例1の構成による復調信号例を示す。ここでは、64Gbit/s の単一偏波QPSK信号に対して、各LO光の周波数間隔ΔFとして12GHzをもつ2つの受信系を用いた場合の計算例を示す。受信時のOSNRは14dBになるように調整した。従来の受信系を用いた場合のBER(Bit error rate) が 3.4×10
-4であったのに対して、本発明を用いた場合のBERは 3.5×10
-5と1桁の改善が確認された。
【実施例2】
【0035】
図3は、本発明の実施例2の構成を示す。
実施例1の受信部20は、各LO光を位相同期させることにより周波数間隔ΔFを規定値に一定制御し、デジタル信号処理部25でΔFとの関係で求まる位相回転量Δf1,Δf2を補償する構成であった。実施例2の受信部20は、各LO光の周波数間隔ΔFを測定してデジタル信号処理部25に入力して処理する構成である。
【0036】
図3において、周波数差測定器26は、LO光源24−1,24−2の各LO光の周波数間隔ΔFを測定し、デジタル信号処理部25に与える。例えば、2つのLO光を合成したビート信号の周期からΔFを求めることができる。また、2つのLO光をコヒーレント受信機22−1,22−2に入力して得られるcos(ΔF)成分またはsin(ΔF)成分から計算することができる。デジタル信号処理部25では、信号光と一方のLO光の周波数差による位相回転量Δf1を決め、さらに測定したΔFから信号光と他方のLO光の周波数差による位相回転量Δf2を求め、それぞれの位相回転量Δf1,Δf2を補償する構成である。その他の構成は、実施例1と同様である。
【実施例3】
【0037】
図4は、本発明の実施例3の構成を示す。
図4において、実施例3の光伝送システムは、送信部10と受信部20が光ファイバ伝送路50を介して接続される。実施例3の受信部20は、p個のコヒーレント受信機を有する構成である。pは3以上の整数である。
【0038】
送信部10は、信号光源11と偏波多重ベクトル変調器12とにより構成される。信号光源11は、光周波数 f1 の光キャリア信号を出力する。偏波多重ベクトル変調器12は、信号光源11から出力される光周波数 f1 の光キャリア信号を2つのデータ信号列Data1x,Data1yで偏波多重変調し、生成された信号光を光ファイバ伝送路50に出力する。
【0039】
受信部20は、光カプラ21と、コヒーレント受信機22−1〜22−pと、位相同期回路23と、LO光源24−1〜24−pと、デジタル信号処理部25とにより構成される。光カプラ21は、光ファイバ伝送路50を介して受信した信号光をp分岐してコヒーレント受信機22−1〜22−pに入力する。LO光源24−1〜24−pは、信号光の光周波数 f1 と近接する光周波数f11, f12, …, f1p で、位相同期回路23により所定の光周波数間隔ΔF1 ,ΔF2 ,…,ΔF(p-1) に制御されたLO光をコヒーレント受信機22−1〜22−pに入力する。ここで、f11 <f12 <…<f1p 、ΔF1 = f12−f11 、…、ΔF(p-1) = f1p−f1(p-1) である。コヒーレント受信機22−1〜22−pは、光カプラ21で分岐された光周波数f1の信号光を光周波数 f11〜f1p のLO光でそれぞれコヒーレント検波してデジタル信号処理部25に出力する。デジタル信号処理部25は、コヒーレント受信機22−1〜22−pから入力れる電気信号をデジタル信号処理し、データ信号列Data1x,Data1yを復調する。
【0040】
実施例3は、
図1および
図2に示す実施例1の構成におけるLO光を3以上に増やした構成となり、位相回転補償原理は同様である。すなわち、
図4に示すように、隣接するLO光の光周波数間隔ΔFj は既知であり、一定制御される。なお、j=1, 2, …, p-1 である。信号光の光周波数 f1 とほぼ等しい仮想的な基準周波数f1' に対して、1つのLO光の周波数差Δf1を設定すると、他のLO光との周波数差Δf2〜Δfpは、順次以下のように求まる。
Δf2=Δf1−ΔF1
Δf3=Δf2−ΔF2
…
Δfp=Δf(p-1)−ΔF(p-1)
【0041】
したがって、実施例3に示したデジタル信号処理部25では、実施例1と同様に、コヒーレント受信機22−1〜22−pから入力する電気信号に含まれる位相回転量Δf1〜Δfpを補償することにより、各LO光の周波数ゆらぎに影響されずにデータ信号列の復調が可能となる。
【0042】
図5は、実施例3のデジタル信号処理部25の構成例を示す。
図5において、コヒーレント受信機22−1〜22−pから出力された直交する偏波成分に相当するそれぞれ2つの複素信号は、A/Dコンバータ1−11,1−12,〜,1−p1,1−p2によってサンプリング周期Tでデジタル信号に変換された後、分散補償回路2−11,2−12,〜,2−p1,2−p2に入力される。各分散補償回路は、入力された各複素信号に対して光ファイバ伝送路50における総波長分散量に相当する共通の分散補償を施し、複素信号E
1x,E
1y,〜,E
px,E
pyを出力する。
【0043】
位相回転補償回路3−11,3−12,〜,3−p1,3−p2は、複素信号E
1x,E
1y,〜,E
px,E
pyをそれぞれ入力し、信号光と各LO光の周波数差による位相回転量Δf1〜Δfpを補償した複素信号E
1tx ,E
1ty ,〜,E
ptx ,E
pty を出力する。
【0044】
波形等化回路4は、位相回転補償回路3−11,3−12,〜,3−p1,3−p2から出力される複素信号E
1tx ,E
1ty ,〜,E
ptx ,E
pty を入力し、偏波成分ごとに最尤推定によりFIRフィルタの適応信号処理を行い、複素信号E
1X,E
1Yを出力する。この複素信号E
1X,E
1Yには、信号光の光周波数f1と各LO光の仮想的な基準周波数f1' との周波数差および位相差によって生じる位相回転残留成分が含まれる。
【0045】
位相推定回路5−1,5−2は、波形等化回路4から入力する複素信号E
1X,E
1Yの位相回転残留成分を補償した複素信号を識別回路6−1,6−2に出力する。識別回路6−1,6−2は、入力する複素信号からデータ信号列Data1x,Data1yを復調して出力する。
【実施例4】
【0046】
実施例4は、実施例3の位相同期回路23に代えて、p個のLO光の光周波数間隔をΔF1 〜ΔF(p-1) に制御する代わりに、その周波数間隔ΔF1'〜ΔF(p-1)'を測定する周波数差測定器を備える構成とする。周波数差測定器については、実施例2と同様の構成により対応できる。デジタル信号処理部25では、信号光と1つのLO光の周波数差による位相回転量Δf1を決め、さらに測定した周波数間隔ΔF1'〜ΔF(p-1)'から信号光と他のLO光の周波数差による位相回転量Δf2〜Δfpを順次求め、それぞれの位相回転量Δf1〜Δfpを補償する構成である。その他の構成は、実施例1と同様である。
【実施例5】
【0047】
図6は、本発明の実施例5の構成を示す。
図6において、実施例5の光伝送システムは、送信部10と受信部20が光ファイバ伝送路50を介して接続される。実施例5の送信部10は、光周波数f1,f2の信号光を波長多重して送信する構成である。
【0048】
送信部10は、信号光源11−1,11−2と、偏波多重ベクトル変調器12−1,12−2と、波長合波器13とにより構成される。信号光源11−1は、光周波数 f1 の光キャリア信号を出力する。信号光源11−2は、光周波数 f2 の光キャリア信号を出力する。ここで、f1<f2である。偏波多重ベクトル変調器12−1は、信号光源11−1から出力される光周波数 f1 の光キャリア信号を2つのデータ信号列Data1x,Data1yで偏波多重変調した信号光を生成する。偏波多重ベクトル変調器12−2は、信号光源11−2から出力される光周波数 f2 の光キャリア信号を2つのデータ信号列Data2x,Data2yで偏波多重変調した信号光を生成する。波長合波器13は、偏波多重ベクトル変調器12−1,12−2から出力される光周波数f1,f2の各信号光を合波した信号光を光ファイバ伝送路50に出力する。
【0049】
受信部20は、光カプラ21と、コヒーレント受信機22−1,22−2と、位相同期回路23と、LO光源24−1,24−2と、デジタル信号処理部25とにより構成される。光カプラ21は、光ファイバ伝送路50を介して受信した信号光を2つに分岐してコヒーレント受信機22−1,22−2に入力する。LO光源24−1は、信号光の光周波数 f1 と近接する光周波数f11 のLO光をコヒーレント受信機22−1に入力する。LO光源24−2は、信号光の光周波数 f2 と近接する光周波数f12 のLO光をコヒーレント受信機22−2に入力する。このLO光の光周波数 f11,f12 は、位相同期回路23により所定の光周波数間隔ΔFに制御される。ここで、 f11<f12 、ΔF= f12−f11 である。コヒーレント受信機22−1は、光カプラ21で分岐された光周波数f1,f2の信号光を光周波数f11 のLO光でコヒーレント検波してデジタル信号処理部25に出力する。コヒーレント受信機22−2は、光カプラ21で分岐された光周波数f1,f2の信号光を光周波数f12 のLO光でコヒーレント検波してデジタル信号処理部25に出力する。デジタル信号処理部25は、コヒーレント受信機22−1,22−2から入力する電気信号をデジタル信号処理し、データ信号列Data1x,Data1yとデータ信号列Data2x,Data2yを復調する。
【0050】
実施例5では、LO光源24−1,24−2の光周波数 f11,f12 は、信号光の光周波数 f1, f2 のそれぞれ近傍に設定されるが、位相同期回路23により、2つのLO光の光周波数間隔ΔFは規定値に制御される。この制御により、
図6に示すように、一方の信号光の光周波数f1とほぼ等しい仮想的な基準周波数f1' に対して、一方のLO光の周波数差Δf11 を設定すると、他方のLO光との周波数差Δf21 は以下のように求まる。
Δf21 =Δf11 −ΔF
また、他方の信号光の光周波数f2とほぼ等しい仮想的な基準周波数f2' に対して、一方のLO光の周波数差Δf12 を設定すると、他方のLO光との周波数差Δf22 は以下のように求まる。
Δf22 =Δf12 −ΔF
【0051】
すなわち、各信号光の光周波数 f1, f2 に近接する仮想的な基準周波数f1',f2' を基準に、一方のLO光による位相回転量Δf11 ,Δf12 を決めると、他方のLO光による位相回転量Δf21 ,Δf22 が求まる関係となる。デジタル信号処理部25の位相回転補償回路では、コヒーレント受信機22−1,22−2から入力する電気信号に含まれる一方のLO光による位相回転量Δf11 ,Δf12 を補償し、かつ他方のLO光による位相回転量Δf21 ,Δf22 を補償することにより、各LO光の周波数ゆらぎに影響されずに、波長多重伝送された各信号光のデータ信号列の復調が可能となる。
【0052】
図7は、実施例5のデジタル信号処理部25の構成例を示す。
図7において、コヒーレント受信機22−1〜22−2から出力された直交する偏波成分に相当するそれぞれ2つの複素信号は、A/Dコンバータ1−11,1−12,1−21,1−22によってサンプリング周期Tでデジタル信号に変換された後、分散補償回路2−11,2−12,2−21,2−22に入力される。各分散補償回路は、入力された各複素信号に対して光ファイバ伝送路50における総波長分散量に相当する共通の分散補償を施し、複素信号E
1x,E
1y,E
2x,E
2yを出力する。
【0053】
位相回転補償回路3−111 ,3−112 は複素信号E
1x,E
1yを入力し、光周波数f1の信号光と光周波数f11 のLO光の周波数差による位相回転量Δf11 を補償した複素信号E
11tx,E
11tyを出力する。位相回転補償回路3−121 ,3−122 は複素信号E
2x,E
2yを入力し、光周波数f1の信号光と光周波数f12 のLO光の周波数差による位相回転量Δf21 を補償した複素信号E
12tx,E
12tyを出力する。
【0054】
位相回転補償回路3−211 ,3−212 は複素信号E
1x,E
1yを入力し、光周波数f2の信号光と光周波数f11 のLO光の周波数差による位相回転量Δf12 を補償した複素信号E
21tx,E
21ty)を出力する。位相回転補償回路3−221 ,3−222 は複素信号E
2x,E
2yを入力し、光周波数f2の信号光と光周波数f12 のLO光の周波数差による位相回転量Δf22 を補償した複素信号E
22tx,E
22tyを出力する。
【0055】
波形等化回路4−1は、位相回転補償回路3−111 ,3−112 ,3−121 ,3−122 から出力される複素信号E
11tx,E
11ty,E
12tx,E
12tyを入力し、偏波成分ごとに最尤推定によりFIRフィルタの適応信号処理を行い、複素信号E
1X,E
1Yを出力する。この複素信号E
1X,E
1Yには、信号光の光周波数f1と各LO光の仮想的な基準周波数f1' との周波数差および位相差によって生じる位相回転残留成分が含まれる。
【0056】
位相推定回路5−11,5−12は、波形等化回路4−1から入力する複素信号E
1X,E
1Yの位相回転残留成分を補償した複素信号を識別回路6−11,6−12に出力する。識別回路6−11,6−12は、入力する複素信号からデータ信号列Data1x,Data1yを復調して出力する。
【0057】
波形等化回路4−2は、位相回転補償回路3−211 ,3−212 ,3−221 ,3−222 から出力される複素信号E
21tx,E
21ty,E
22tx,E
22tyを入力し、偏波成分ごとに最尤推定によりFIRフィルタの適応信号処理を行い、複素信号E
2X,E
2Yを出力する。この複素信号E
2X,E
2Yには、信号光の光周波数f2と各LO光の仮想的な基準周波数f2' との周波数差および位相差によって生じる位相回転残留成分が含まれる。
【0058】
位相推定回路5−21,5−22は、波形等化回路4−2から入力する複素信号E
2X,E
2Yの位相回転残留成分を補償した複素信号を識別回路6−21,6−22に出力する。識別回路6−21,6−22は、入力する複素信号からデータ信号列Data2x,Data2yを復調して出力する。
【0059】
図13は、従来構成および実施例5の構成による復調信号例を示す。ここでは、周波数間隔Δf=25GHzで波長多重された2つの 128Gbit/s DP−QPSK信号に適用した実験結果を示す。受信時のOSNRは15dBになるように調整した。従来のCMAを用いた復調信号では、シンボルレートが32Gboudの光信号に対して周波数間隔32GHzが波長多重分離の限界であった。一方、本発明構成では、シンボルレートが32Gboudの光信号に対して、周波数間隔25GHzの波長多重信号に対してもクロストーク成分が分離され、DP−QPSK信号が復調されていることが確認された。
【実施例6】
【0060】
実施例6は、実施例5の位相同期回路23に代えて、各LO光の光周波数間隔をΔFに制御する代わりに、その周波数間隔ΔF' を測定する周波数差測定器を備える構成とする。周波数差測定器については、実施例2と同様の構成により対応できる。デジタル信号処理部25は、各信号光と一方のLO光の周波数差による位相回転量Δf11 ,Δf12 を決め、さらに測定した周波数間隔ΔF’から各信号光と他方のLO光の周波数差による位相回転量Δf21 ,Δf22 を求め、それぞれの位相回転量Δf11 ,Δf12 ,Δf21 ,Δf22 を補償する構成である。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0061】
以上説明したように、実施例1は、1つの信号光に対して2個のコヒーレント受信機を用いて検波した電気信号をデジタル信号処理部に入力し、それぞれ位相回転補償した信号をダイバーシチ信号処理して信号光を復調する構成である。実施例3は、1つの信号光に対してp個のコヒーレント受信機を用いて検波した電気信号をデジタル信号処理部に入力し、それぞれ位相回転補償した信号をダイバーシチ信号処理して信号光を復調する構成である。このように、コヒーレント受信機の数を増やすことにより、ダイバーシチ効果を高めることができる。
【0062】
実施例5は、2つの信号光に対して2個のコヒーレント受信機を用いて検波した電気信号をデジタル信号処理部に入力し、各コヒーレント受信機に対応する分散補償回路から出力される信号を信号光と同数の2つに分岐し、それぞれ位相回転補償した信号をダイバーシチ信号処理して2つの信号光を復調する構成である。このように、2つの信号光が波長多重伝送される場合でも、2個のコヒーレント受信機を各信号光に対して共用し、デジタル信号処理部内で分岐して各信号光ごとに処理する構成とすることにより、最小限の構成で2つの信号光を分離して復調することができる。
【0063】
なお、2つの信号光に対して、
図4,
図5に示す実施例3のように3以上のコヒーレント受信機を用い、デジタル信号処理部内で各コヒーレント受信機に対応する分散補償回路から出力される信号を信号光と同数に分岐して同様の処理を行い、ダイバーシチ効果を高めることも同様に可能である。
【0064】
さらに、3以上の信号光に対して、任意の複数のコヒーレント受信機を用い、
図6および
図7に示す実施例5のように、デジタル信号処理部内で各コヒーレント受信機に対応する分散補償回路から出力される信号を信号光と同数に分岐して同様の処理を行い、ダイバーシチ効果を高めることも同様に可能である。
【実施例7】
【0065】
以下、実施例7として、2つの信号光に対して3個のコヒーレント受信機を用いる場合の構成例について説明する。
【0066】
図8は、本発明の実施例7の構成を示す。
図8において、実施例7の光伝送システムは、送信部10と受信部20が光ファイバ伝送路50を介して接続される。実施例7の送信部10は、光周波数f1,f2の信号光を波長多重して送信する構成である。
【0067】
送信部10は、信号光源11−1,11−2と、偏波多重ベクトル変調器12−1,12−2と、波長合波器13とにより構成される。信号光源11−1は、光周波数 f1 の光キャリア信号を出力する。信号光源11−2は、光周波数 f2 の光キャリア信号を出力する。ここで、f1<f2である。偏波多重ベクトル変調器12−1は、信号光源11−1から出力される光周波数 f1 の光キャリア信号を2つのデータ信号列Data1x,Data1yで偏波多重変調した信号光を生成する。偏波多重ベクトル変調器12−2は、信号光源11−2から出力される光周波数 f2 の光キャリア信号を2つのデータ信号列Data2x,Data2yで偏波多重変調した信号光を生成する。波長合波器13は、偏波多重ベクトル変調器12−1,12−2から出力される光周波数f1,f2の各信号光を合波した信号光を光ファイバ伝送路50に出力する。
【0068】
受信部20は、光カプラ21と、コヒーレント受信機22−1〜22−3と、位相同期回路23と、LO光源24−1〜24−3と、デジタル信号処理部25とにより構成される。光カプラ21は、光ファイバ伝送路50を介して受信した波長多重信号光を3つに分岐してコヒーレント受信機22−1〜22−3に入力する。LO光源24−1は、信号光の光周波数 f1 と近接する光周波数f11 のLO光をコヒーレント受信機22−1に入力する。LO光源24−2は、信号光の光周波数f1,f2と近接する光周波数f12 のLO光をコヒーレント受信機22−2に入力する。LO光源24−3は、信号光の光周波数 f2 と近接する光周波数f13 のLO光をコヒーレント受信機22−3に入力する。このLO光の光周波数 f11,f12, f13は、位相同期回路23によりそれぞれ所定の光周波数間隔ΔF1 ,ΔF2 に制御される。ここで、 f11<f12 <f13 、ΔF1 = f12−f11 、ΔF2 = f13−f12 である。コヒーレント受信機22−1〜22−3は、光カプラ21で分岐された光周波数f1,f2の信号光を光周波数 f11,f12, f13のLO光でそれぞれコヒーレント検波してデジタル信号処理部25に出力する。デジタル信号処理部25は、コヒーレント受信機22−1〜22−3から入力する電気信号をデジタル信号処理し、データ信号列Data1x,Data1yとデータ信号列Data2x,Data2yを復調する。
【0069】
実施例7では、LO光源24−1〜24−3の光周波数 f11, f12, f13は、信号光の光周波数 f1, f2 のそれぞれ近傍に設定されるが、位相同期回路23により、3つのLO光の光周波数間隔ΔF1,ΔF2 は規定値に制御される。この制御により、
図8に示すように、一方の信号光の光周波数f1とほぼ等しい仮想的な基準周波数f1' に対して、LO光源24−1の周波数差Δf11 を設定すると、他のLO光との周波数差Δf21 ,Δf31 は以下のように求まる。
Δf21 =Δf11 −ΔF1
Δf31 =Δf21 −ΔF2
【0070】
また、他方の信号光の光周波数f2とほぼ等しい仮想的な基準周波数f2' に対して、LO光源24−1の周波数差Δf12 を設定すると、他のLO光との周波数差Δf22 ,Δf32 は以下のように求まる。
Δf22 =Δf12 −ΔF1
Δf32 =Δf22 −ΔF2
【0071】
すなわち、各信号光の光周波数 f1, f2 に近接する仮想的な基準周波数f1',f2' を基準に、1つのLO光による位相回転量Δf11 ,Δf12 を決めると、他のLO光による位相回転量Δf21 ,Δf31 ,Δf22 ,Δf32 が求まる関係となる。デジタル信号処理部25の位相回転補償回路では、コヒーレント受信機22−1〜22−3から入力する電気信号に含まれる1つのLO光による位相回転量Δf11 ,Δf12 を補償し、かつ他のLO光による位相回転量Δf21 ,Δf31 ,Δf22 ,Δf32 を補償することにより、各LO光の周波数ゆらぎに影響されずに、波長多重伝送された各信号光のデータ信号列の復調が可能となる。
【0072】
実施例7においても
図3に示す実施例2と同様に、3個のLO光の光周波数間隔をΔF1 ,ΔF2 に制御する代わりに、その周波数間隔ΔF1',ΔF2'を測定してデジタル信号処理部25に与える構成としてもよい。
【実施例8】
【0073】
図9は、本発明の実施例8の構成を示す。
図9において、実施例8の光伝送システムは、
図6に示す実施例5の光伝送システムにおける送信部10の信号光源11−1,11−2の光周波数f1,f2と、受信部20のLO光源24−1,24−2の光周波数 f11,f12 がほぼ等しくなるように設定する。すなわち、LO光源24−1の光周波数f11 は、一方の信号光の光周波数f1とほぼ等しい周波数f1' に設定し、LO光源24−2の光周波数f12 は、他方の信号光の光周波数f2とほぼ等しい周波数f2' に設定する。
【0074】
さらに、送信部10の信号光源11−1,11−2の光周波数f1,f2は、位相同期回路14により所定の光周波数間隔ΔFに制御される。受信部20のLO光源24−1,24−2の光周波数 f11,f12 は、位相同期回路23により所定の光周波数間隔ΔFに制御される。よって、2つの信号光と2つのLO光は、それぞれの光周波数間隔ΔFが等しく制御されながら、ほぼ等しい光周波数関係が維持される。
【0075】
実施例8では、LO光源24−1,24−2の光周波数 f11,f12 は、それぞれ信号光の光周波数 f1, f2 にほぼ等しい光周波数 f1',f2' に設定されるが、位相同期回路14,23により、2つの信号光および2つのLO光の光周波数間隔ΔFは規定値に制御される。この制御により、一方のLO光源の光周波数を f11=f1' に設定すると、他方のLO光の光周波数は f12=f2' に制御され、
図6に対応するΔf11 ,Δf12 ,Δf21 ,Δf22 は以下のようになる。
Δf11 =0
Δf22 =0
Δf12 =ΔF
Δf21 =−ΔF
【0076】
すなわち、各信号光の光周波数 f1, f2 にほぼ等しい周波数f1',f2' を基準に、一方のLO光による位相回転量Δf12 を決めると、他方のLO光による位相回転量Δf21 が求まる関係となる。デジタル信号処理部25の位相回転補償回路では、コヒーレント受信機22−1,22−2から入力する電気信号に含まれる他方のLO光による位相回転量Δf12 ,Δf21 を補償することにより、各LO光の周波数ゆらぎに影響されずに、波長多重伝送された各信号光のデータ信号列の復調が可能となる。
【0077】
図10は、実施例8のデジタル信号処理部25の構成例を示す。
図10において、コヒーレント受信機22−1〜22−2から出力された直交する偏波成分に相当するそれぞれ2つの複素信号は、A/Dコンバータ1−11,1−12,1−21,1−22によってサンプリング周期Tでデジタル信号に変換された後、分散補償回路2−11,2−12,2−21,2−22に入力される。各分散補償回路は、入力された各複素信号に対して光ファイバ伝送路50における総波長分散量に相当する共通の分散補償を施し、複素信号E
1x,E
1y,E
2x,E
2yを出力する。
【0078】
分散補償回路2−11,2−12から出力された複素信号E
1x,E
1yは、そのまま波形等化回路4−1に入力する。位相回転補償回路3−121 ,3−122 は、分散補償回路2−21,2−22から複素信号E
2x,E
2yを入力し、光周波数f1の信号光と光周波数f12 のLO光の周波数差による位相回転量Δf21 を補償した複素信号E
2tx ,E
2ty を出力する。
【0079】
分散補償回路2−21,2−22から出力された複素信号E
2x,E
2yは、そのまま波形等化回路4−2に入力する。位相回転補償回路3−211 ,3−212 は分散補償回路2−11,2−12から複素信号E
1x,E
1yを入力し、光周波数f2の信号光と光周波数f11 のLO光の周波数差による位相回転量Δf12 を補償した複素信号E
1tx ,E
1ty を出力する。
【0080】
波形等化回路4−1は、複素信号E
1x,E
1y,E
2tx ,E
2ty を入力し、偏波成分ごとに最尤推定によりFIRフィルタの適応信号処理を行い、複素信号E
1X,E
1Yを出力する。この複素信号E
1X,E
1Yには、信号光の光周波数f1と各LO光の光周波数f11 との周波数差および位相差によって生じる位相回転残留成分が含まれる。
【0081】
位相推定回路5−11,5−12は、波形等化回路4−1から入力する複素信号E
1X,E
1Yの位相回転残留成分を補償した複素信号を識別回路6−11,6−12に出力する。識別回路6−11,6−12は、入力する複素信号からデータ信号列Data1x,Data1yを復調して出力する。
【0082】
波形等化回路4−2は、複素信号E
2x,E
2y,E
1tx ,E
1ty を入力し、偏波成分ごとに最尤推定によりFIRフィルタの適応信号処理を行い、複素信号E
2X,E
2Yを出力する。この複素信号E
2X,E
2Yには、信号光の光周波数f2と各LO光の光周波数f12 との周波数差および位相差によって生じる位相回転残留成分が含まれる。
【0083】
位相推定回路5−21,5−22は、波形等化回路4−2から入力する複素信号E
2X,E
2Yの位相回転残留成分を補償した複素信号を識別回路6−21,6−22に出力する。識別回路6−21,6−22は、入力する複素信号からデータ信号列Data2x,Data2yを復調して出力する。
【実施例9】
【0084】
図11は、本発明の実施例9の構成を示す。
図11において、実施例9の光伝送システムは、実施例8における位相同期回路14により制御される信号光源11−1,11−2と、位相同期回路23により制御されるLO光源24−1,24−2に代えて、それぞれモードロック光源32,42を用い、さらに送受信共用構成としたことを特徴とする。すなわち、送受信部101で偏波多重変調され、さらに波長多重された信号光は、光ファイバ伝送路50を介して送受信部102に伝送されて復調されるとともに、送受信部102で偏波多重変調され、さらに波長多重された信号光は、光ファイバ伝送路50’を介して送受信部101に伝送されて復調される構成である。
【0085】
送受信部101のモードロック光源32は、発振器31から入力する周波数Δfの信号を基に位相同期した均一な周波数間隔Δfのn個の周波数f1,f2,…,fnのCW光を発生する。ここで、nは2以上の整数、f1<f2<…<fnとする。波長分波器33は、モードロック光源32からの出力を均一な周波数間隔Δfのn個のCW光に分波し、それぞれ波長多重ベクトル変調器12−1〜12−nに入力する。その他の構成は、
図9に示す実施例8と同様である。
【0086】
送受信部102のモードロック光源42は、発振器41から入力する周波数Δfの信号を基に位相同期した均一な周波数間隔Δfのm個の周波数 f1', f2',…,fm' のCW光を発生する。ここで、mは2以上の整数、 f1'< f2'<…<fm' とする。波長分波器43は、モードロック光源42からの出力を均一な周波数間隔Δfのm個のCW光に分岐し、それぞれコヒーレント受信器22−1〜22−mに入力する。その他の構成は、
図9に示す実施例8と同様である。
【0087】
さらに、送受信部102のモードロック光源42は、送受信部101のモードロック光源32と同様に、均一な周波数間隔Δfのn個の周波数f1,f2,…,fnのCW光も発生する。波長分波器33は、モードロック光源32からの出力を均一な周波数間隔Δfのn個のCW光に分波し、それぞれ波長多重ベクトル変調器12−1〜12−nに入力する。その他の構成は、
図9に示す実施例8と同様である。
【0088】
送受信部101のモードロック光源32は、送受信部102のモードロック光源42と同様に、均一な周波数間隔Δfのm個の周波数 f1', f2',…,fm' のCW光も発生する。波長分波器43は、モードロック光源32からの出力を均一な周波数間隔Δfのm個のCW光に分波し、それぞれコヒーレント受信器22−1〜22−mに入力する。その他の構成は、
図9に示す実施例8と同様である。
【0089】
以上の構成により、送受信部101と送受信部102との間で、それぞれモードロック光源32,42を共用しながら、双方向で信号光伝送が可能となる。
【0090】
なお、
図1に示す実施例1、
図4に示す実施例3、
図6に示す実施例5、
図8に示す実施例7において、位相同期回路23により制御されるLO光源は、実施例9に示すモードロック光源を用いた構成に代えることができる。
【実施例10】
【0091】
図14は、本発明の実施例10の構成を示す。
図14において、実施例10の光伝送システムは、
図1に示す実施例1の送信部10と同様のM個の送信部10−1〜10−Mと、受信部20と同様のM個の受信部20−1〜20−Mを備え、光ファイバ伝送路50を介して異なる光周波数の信号光を波長多重伝送する構成である。ここで、Mは2以上の整数である。
【0092】
送信部10−1は、偏波多重変調した光周波数 f1 の信号光を出力する。送信部10−Mは、偏波多重変調した光周波数 fM の信号光を出力する。各光周波数の信号光は、波長合波器51で波長多重されて光ファイバ伝送路50に出力される。
【0093】
光ファイバ伝送路50を介して受信した波長多重信号光は、波長分波器52で波長分離されて各受信部20−1〜20−Mに入力する。受信部20−1は、光周波数 f1 の信号光を処理する。受信部20−Mは、光周波数 fM の信号光を処理する。
【0094】
なお、送信部10と受信部20の構成は、
図1に示す実施例1に限らず、他の実施例における構成であってもよい。