(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係るタッチパネルの実施の形態例を
図1A〜
図12Bを参照しながら説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0030】
先ず、第1の本実施の形態に係るタッチパネル10は、
図1A及び
図1Bに示すように、電子機器12と筐体14との間に設置される。
【0031】
電子機器12は、主面である表面16aと、該表面16aに対向する裏面16bと、表面16aに隣接する4つの側面18a〜18dとを有する。電子機器12は、少なくとも画像やテキスト等を表示する表示パネル20を有し、この表示パネル20の表示面が電子機器の主面(表面16a)を構成している。表示パネル20としては、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ(Organic Electro−Luminescence)等が挙げられる。また、電子機器12は、表示パネル20の裏面側に表示パネル20の制御や後述するタッチパネル10の制御、データ通信の制御等を行う電子回路が実装された回路基板22が設置されている。
【0032】
筐体14は、透明性及び可撓性を有するカバー層24にて構成され、電子機器12の表面16a、4つの側面(第1側面18a〜第4側面18d)及び裏面16bを保護する。カバー層24は、1層構造の樹脂層でもよいし、樹脂層が多層に積層された積層体でもよい。
【0033】
タッチパネル10は、センサ本体である導電性フィルム26と制御回路28(IC回路等で構成)とを有する。制御回路28は、回路基板22に実装されている。
【0034】
導電性フィルム26は、筐体14の内面、すなわち、電子機器12と対向する部分に、筐体14の形状に沿うように三次元形状に形成されている。例えば
図1Aの例では、電子機器12の外形形状が四角錐台の形状を有することから、タッチパネル10を構成する導電性フィルム26も電子機器12の形状に沿うように、三次元形状に形成されている。
【0035】
導電性フィルム26は、
図2A〜
図3に示すように、透明性及び可撓性を有する基板(以下、可撓性基板30と記す)と、可撓性基板30の一方の面(例えば表面30a)に形成された複数の第1感知電極32aと、可撓性基板30の他方の面(例えば裏面30b)に形成された複数の第2感知電極32bとを有する。なお、
図3は、三次元形状に成形された導電性フィルム26を平面状に展開した状態を示している。これは、
図5〜
図7においても同様である。
【0036】
第1感知電極32a及び第2感知電極32bは、それぞれ多数のセル34が組み合わされて構成されたメッシュパターン36を有することが好ましい。第1感知電極32aは、第1方向(y方向)に延在し、且つ、第1方向と直交する第2方向(x方向)に配列されている。第2感知電極32bは、第2方向(x方向)に延在し、且つ、第2方向と直交する第1方向(y方向)に配列されている。ここで、「セル」とは、複数の金属細線38によって二次元的に区画された形状を指す。
【0037】
そして、
図3に示すように、導電性フィルム26のうち、電子機器12の表面16aと対向する第1センサ領域40Aに、複数の第1感知電極32a及び複数の第2感知電極32bによる第1タッチパネル部42Aが構成される。同様に、電子機器12の第1側面18aと対向する第2センサ領域40Bに、第2タッチパネル部42Bが構成され、電子機器12の第2側面18bと対向する第3センサ領域40Cに、第3タッチパネル部42Cが構成される。また、電子機器12の第3側面18cと対向する第4センサ領域40Dに、第4タッチパネル部42Dが構成され、電子機器12の第4側面18dと対向する第5センサ領域40Eに、第5タッチパネル部42Eが構成される。
【0038】
第1センサ領域40A〜第5センサ領域40Eには、それぞれ独立に第1感知電極32a及び第2感知電極32bが形成される。つまり、第1〜第5タッチパネル部42A〜42Eにおける各第1感知電極32a及び各第2感知電極32bは、第1〜第5タッチパネル部42A〜42Eにおいて共通とされた可撓性基板30に形成される。
【0039】
さらに、導電性フィルム26には、第1センサ領域40A〜第5センサ領域40Eに対応して第1端子配線領域44A〜第5端子配線領域44Eが区画される。第1端子配線領域44Aには、第1センサ領域40Aにおける複数の第1感知電極32aからの第1端子配線部46aと複数の第2感知電極32bからの第2端子配線部46bが形成される。
【0040】
すなわち、可撓性基板30の表面30aのうち、第1端子配線領域44Aには、各第1感知電極32aの端部にそれぞれ第1結線部48aを介して電気的に接続された金属細線38による第1端子配線部46aが形成されている。各第1結線部48aから導出された第1端子配線部46aは、可撓性基板30における第2センサ領域40B側の辺に向かって引き回され、それぞれ対応する第1端子部50aに電気的に接続される。
【0041】
可撓性基板30の裏面30bのうち、第1端子配線領域44Aには、各第2感知電極32bの端部にそれぞれ第2結線部48bを介して電気的に接続された金属細線38による第2端子配線部46bが形成されている。各第2結線部48bから導出された第2端子配線部46bは、可撓性基板30における第3センサ領域40C側の辺に向かって引き回され、それぞれ対応する第2端子部50bに電気的に接続される。
【0042】
同様に、第2端子配線領域44Bには、第2センサ領域40Bからの第1端子配線部46a及び第2端子配線部46bが形成され、可撓性基板30における第2センサ領域40B側の辺に向かって引き回され、それぞれ対応する第1端子部50a及び第2端子部50bに電気的に接続される。
【0043】
第3端子配線領域44Cには、第3センサ領域40Cからの第1端子配線部46a及び第2端子配線部46bが形成され、可撓性基板30における第3センサ領域40C側の辺に向かって引き回され、それぞれ対応する第1端子部50a及び第2端子部50bに電気的に接続される。
【0044】
第4端子配線領域44Dには、第4センサ領域40Dからの第1端子配線部46a及び第2端子配線部46bが形成され、可撓性基板30における第4センサ領域40D側の辺に向かって引き回され、それぞれ対応する第1端子部50a及び第2端子部50bに電気的に接続される。
【0045】
第5端子配線領域44Eには、第5センサ領域40Eからの第1端子配線部46a及び第2端子配線部46bが形成され、可撓性基板30における第5センサ領域40E側の辺に向かって引き回され、それぞれ対応する第1端子部50a及び第2端子部50bに電気的に接続される。
【0046】
上述した第1端子配線部46a及び第2端子配線部46bの引き回しは、あくまでも一例であり、電子機器12の三次元形状や、各センサ領域40A〜40Eでの第1感知電極32a及び第2感知電極32bの形成範囲等によって様々な形態が考えられる。
【0047】
導電性フィルム26を電子機器12に取り付けることで、第1端子配線領域44A〜第5端子配線領域44Eにおける各第1端子部50a及び第2端子部50bが、電子機器12の裏面16b側、すなわち、回路基板22側に位置することとなる。従って、導電性フィルム26の少なくとも第1端子部50aと第2端子部50b(
図3参照)を、例えばコネクタを通じて制御回路28(
図1B参照)に電気的に接続することが可能となる。つまり、5つのタッチパネル部42A〜42Eからの配線を簡単に1つに集約することが可能となり、複雑な配線が不要となる。
【0048】
そして、本実施の形態においては、
図1A〜
図2Bに示すように、可撓性基板30(
図2A及び
図2B参照)上の、電子機器12の稜線52に対応する部分の少なくとも一部にシールド膜54が配置されている。シールド膜54は、可撓性基板30の2つの対向する面30a及び30bのうち、電子機器12とは反対側の表面30a上に配置されている。すなわち、シールド膜54は、
図3において二点鎖線で示すように、各タッチパネル部42A〜42Eにおけるセンサ領域40A〜40Eを囲む領域、にそれぞれ形成されている。
【0049】
ここで、「可撓性基板上」、「面上」とは、可撓性基板30に直接シールド膜54が形成されていなくてもよく、
図1A〜
図2Bの例では、筐体14を構成するカバー層24の稜線52にシールド膜54を形成した例を示している。
【0050】
また、電子機器12の稜線52とは、電子機器12の主面(表面16a、裏面16b)と側面とで共有する辺、隣接する2つの側面で共有する辺を指す。辺は直線、曲線を含む。また、稜線52の方向を法線方向とする断面形状を見たとき、
図2Aに示すように、稜線52の部分で折れ曲がった折線形状や、
図2Bに示すように、曲線形状であってもよい。
【0051】
シールド膜54には一定電位が印加される場合、グランドに接続される場合(接地電位が印加される場合を含む)、フローティングの場合等がある。また、シールド膜54として、1つの連続した金属膜で構成してもよいし、第1感知電極32a及び第2感知電極32bと同様に、金属細線38によるメッシュパターン36にて構成してもよい。
【0052】
一般に、タッチパネルの低湿度環境での使用は、静電気による帯電や蓄電による放電現象が発生する。それらはノイズとなって静電容量方式の感知電極部分に混入し、誤動作やセンサーの静電破壊といった故障を引き起こすことがある。特に、電子機器12の稜線部分に電界が集中するため、静電気による帯電、蓄電は電子機器12の稜線部分に発生することになる。
【0053】
そこで、本実施の形態においては、可撓性基板30上に積層されたカバー層24のうち、電子機器12の稜線52に対応する部分にシールド膜54を配置したので、電子機器12の稜線部分での電界の集中が回避され、静電気による帯電、蓄電を効果的に低減できる。その結果、誤動作やセンサーの静電破壊といった故障の発生を抑制することができ、信頼性の高いタッチパネルを提供することができる。
【0054】
また、本実施の形態では、カバー層24にシールド膜54を形成することで、可撓性基板30の表面30aへの第1端子配線部46aの配線形成及び可撓性基板30の裏面30bへの第2端子配線部46bの配線形成を、シールド膜54に制約されることなく行うことができる。
【0055】
なお、第1感知電極32a及び第2感知電極32bとしては、上述した金属細線38によるメッシュパターン36を有する構造のほか、従来から使用されているITO(酸化インジウムスズ)による透明電極膜を使用してもよい。また、導電性フィルム26の裏面側と該裏面側と対向する電子機器12の表面や側面との間に、空気層を介在させてもよいし、透明粘着剤を介在させてもよい。
【0056】
次に、本実施の形態に係るタッチパネル10の変形例について
図4A〜
図12Bを参照しながら説明する。
【0057】
先ず、第1変形例に係るタッチパネル10Aは、本実施の形態に係るタッチパネル10とほぼ同様の構成を有するが、
図4A及び
図5に示すように、シールド膜54が可撓性基板30の表面30aに形成されている点で異なる。
【0058】
この場合、可撓性基板30の表面30aに第1感知電極32a及び第1結線部48aと共にシールド膜54を形成することができるため、工程の簡略化を図ることができる。また、シールド膜54を形成する際に、第1感知電極32aと同様に、金属細線38のメッシュパターン36によるシールド膜54を形成することで、第1感知電極32aと同一の露光用マスクを使用することができ、さらなる工程の簡略化を図ることができる。
【0059】
なお、可撓性基板30の表面30aへの第1端子配線部46aの配線形成が、シールド膜54に制約されるため、少なくとも第1タッチパネル部42Aにおける第1端子配線部46aをスルーホール56(内壁に導電材が形成された貫通孔)を介して可撓性基板30の裏面30bに導出することが好ましい。
図5の例では、第1〜第5タッチパネル部42A〜42Eの各第1端子配線部46aをそれぞれスルーホール56を介して可撓性基板30の裏面30bに導出した例を示す。
【0060】
第2変形例に係るタッチパネル10Bは、上述したタッチパネル10Aとほぼ同様の構成を有するが、
図4B及び
図6に示すように、シールド膜54が可撓性基板30の裏面30bに形成されている点で異なる。
【0061】
この場合も、可撓性基板30の裏面30bに第2感知電極32b及び第2結線部48bと共にシールド膜54を形成することができるため、工程の簡略化を図ることができる。
【0062】
なお、可撓性基板30の裏面30bへの第2端子配線部46bの配線形成が、シールド膜54に制約されるため、第2端子配線部46bをスルーホール56を介して可撓性基板30の表面30aに導出することが好ましい。
図6の例では、第1〜第5タッチパネル部42A〜42Eの各第2端子配線部46bをそれぞれスルーホール56を介して可撓性基板30の表面30aに導出した例を示す。
【0063】
上述したタッチパネル10Aでは、可撓性基板30の表面30aのうち、電子機器12の稜線52に対応する部分にシールド膜54を配置している。また、タッチパネル10Bでは、可撓性基板30の裏面30bのうち、電子機器12の稜線52に対応する部分にシールド膜54を配置している。従って、これらタッチパネル10A及び10Bにおいても、電子機器12の稜線部分での電界の集中が回避され、静電気による帯電、蓄電を効果的に低減できる。
【0064】
次に、第3変形例に係るタッチパネル10Cは、本実施の形態に係るタッチパネル10とほぼ同様の構成を有するが、
図7に示すように、第1方向(y方向)に沿って並ぶ第2センサ領域40B、第1センサ領域40A及び第3センサ領域40Cにわたって複数の第1感知電極32aが連続して形成され、第2方向(x方向)に沿って並ぶ第4センサ領域40D、第1センサ領域40A及び第5センサ領域40Eにわたって複数の第2感知電極32bが連続して形成されている点で異なる。
【0065】
すなわち、複数の第1感知電極32aは、第1タッチパネル部42A、第2タッチパネル部42B及び第3タッチパネル部42Cにおいて共通とされ、複数の第2感知電極32bは、第1タッチパネル部42A、第4タッチパネル部42D及び第5タッチパネル部42Eにおいて共通とされている。
【0066】
この場合、第1タッチパネル部42Aの外周部に第1端子配線領域44A及び第2端子配線領域44Bを区画する必要がないため、電子機器12の表面のほぼ全域をセンサ領域とすることが可能となる。
【0067】
このタッチパネル10Cでは、電子機器12の稜線52に対応する部分を跨ぐように第1感知電極32a及び第2感知電極32bが形成されることから、
図2A及び
図2Bに示すように、可撓性基板30以外の部分、例えばカバー層24にシールド膜54を形成することが好ましい。
【0068】
また、第1感知電極32a及び第2感知電極32bとして、ITOを用いるよりも、金属細線38によるメッシュパターン36を用いることが好ましい。すなわち、従来使用されていたITOでは、成形性が不十分で三次元形状に変形した際に、割れや断線等が発生するという問題があるからである。
【0069】
つまり、三次元形状に成形した可撓性基板30に第1感知電極32a及び第2感知電極32bを形成することは困難が伴い、生産性及びコストの面でも問題が生じる。そこで、平面状の可撓性基板30に第1感知電極32a及び第2感知電極32bを形成して導電性フィルム26とした後、導電性フィルム26自体を三次元形状に成形することで、三次元形状を有する導電性フィルム26を容易に作製することができる。しかしながら、上述したように、第1感知電極32a及び第2感知電極32bをITOで構成した場合は、三次元形状への成形時に、割れや断線等が生じ、歩留まりが大幅に低下するという問題がある。一方、金属細線38によるメッシュパターン36は、加工性にも優れ、三次元形状に変形した際に、断線等が発生しにくいという利点がある。従って、三次元形状を有する導電性フィルム26を断線等をほとんど生じさせずに容易に作製することができる。また、シールド膜54として、金属細線38によるメッシュパターン36にて構成することで、シールド膜54の断線も予防することができ、好ましい。
【0070】
次に、第4変形例に係るタッチパネル10Dは、本実施の形態に係るタッチパネル10とほぼ同様の構成を有するが、
図8Aに示すように、可撓性基板30の表面30a(裏面30bでもよい)に、第1感知電極32aと第2感知電極32bが形成されている点で異なる。
【0071】
第5変形例に係るタッチパネル10Eは、上述したタッチパネル10Dとほぼ同様の構成を有するが、
図8Bに示すように、シールド膜54が可撓性基板30の表面30aに形成されている点で異なる。
【0072】
この場合、可撓性基板30の表面30aへの第1端子配線部46a及び第2端子配線部46bの配線形成が、シールド膜54に制約されるため、第1端子配線部46a及び第2端子配線部46bをスルーホール56を介して可撓性基板30の裏面30bに導出することが好ましい。
【0073】
第6変形例に係るタッチパネル10Fは、上述したタッチパネル10Dとほぼ同様の構成を有するが、
図8Cに示すように、シールド膜54が可撓性基板30の裏面30bに形成されている点で異なる。
【0074】
この場合、第1端子配線部46a及び第2端子配線部46bの配線形成を、シールド膜54に制約されることなく行うことができる。
【0075】
上述したタッチパネル10D〜10Fにおいても、電子機器12の稜線部分での電界の集中が回避され、静電気による帯電、蓄電を効果的に低減できる。
【0076】
次に、第7変形例に係るタッチパネル10Gは、本実施の形態に係るタッチパネル10とほぼ同様の構成を有するが、
図9Aに示すように、導電性フィルム26が以下のように異なる。
【0077】
すなわち、導電性フィルム26は、2つの可撓性基板(第1可撓性基板30A及び第2可撓性基板30B)を貼り合わせたタイプの導電性フィルム26としてもよい。この導電性フィルム26は、第1可撓性基板30Aの表面30Aaに第1感知電極32a、第1端子配線部46a及び第1結線部48aが形成され、第2可撓性基板30Bの表面30Baに第2感知電極32b、第2端子配線部46b及び第2結線部48bが形成されている。そして、第1可撓性基板30Aの裏面30Abと第2可撓性基板30Bの表面30Baとの間に、例えば透明粘着剤を介在させて積層することで導電性フィルム26が構成される。
【0078】
第8変形例に係るタッチパネル10Hは、上述したタッチパネル10Gとほぼ同様の構成を有するが、
図9Bに示すように、シールド膜54が第1可撓性基板30Aの表面30Aaに形成されている点で異なる。
【0079】
この場合、第1可撓性基板30Aの表面30Aaへの第1端子配線部46aの配線形成が、シールド膜54に制約されるため、第1端子配線部46aをスルーホール56を介して第1可撓性基板30Aの裏面30Abに導出することが好ましい。
【0080】
第9変形例に係るタッチパネル10Iは、上述したタッチパネル10Gとほぼ同様の構成を有するが、
図10Aに示すように、シールド膜54が第2可撓性基板30Bの表面30Baに形成されている点で異なる。
【0081】
この場合、第2可撓性基板30Bの表面30Baへの第2端子配線部46bの配線形成が、シールド膜54に制約されるため、第2端子配線部46bをスルーホール56を介して第2可撓性基板30Bの裏面30Bbに導出することが好ましい。
【0082】
第10変形例に係るタッチパネル10Jは、上述したタッチパネル10Gとほぼ同様の構成を有するが、
図10Bに示すように、シールド膜54が第2可撓性基板30Bの裏面30Bbに形成されている点で異なる。
【0083】
この場合、第1端子配線部46a及び第2端子配線部46bの配線形成を、シールド膜54に制約されることなく行うことができる。
【0084】
これらタッチパネル10G〜10Jにおいても、上述したタッチパネル10D〜10Fと同様に、電子機器12の稜線部分での電界の集中が回避され、静電気による帯電、蓄電を効果的に低減できる。
【0085】
次に、第11変形例に係るタッチパネル10Kは、本実施の形態に係るタッチパネル10とほぼ同様の構成を有するが、
図11Aに示すように、導電性フィルム26が以下のように異なる。
【0086】
すなわち、導電性フィルム26は、1つの可撓性基板30の表面30aに絶縁層58を積層したタイプの導電性フィルム26としてもよい。この導電性フィルム26は、絶縁層58の表面58aに第1感知電極32a、第1端子配線部46a及び第1結線部48aが形成され、可撓性基板30の表面30aに第2感知電極32b、第2端子配線部46b及び第2結線部48bが形成されている。
【0087】
第12変形例に係るタッチパネル10Lは、上述したタッチパネル10Kとほぼ同様の構成を有するが、
図11Bに示すように、シールド膜54が絶縁層58の表面58aに形成されている点で異なる。
【0088】
この場合、絶縁層58の表面58aへの第1端子配線部46aの配線形成が、シールド膜54に制約されるため、第1端子配線部46aをスルーホール56を介して可撓性基板30の表面30aに導出することが好ましい。
【0089】
第13変形例に係るタッチパネル10Mは、上述したタッチパネル10Kとほぼ同様の構成を有するが、
図12Aに示すように、シールド膜54が可撓性基板30の表面30aに形成されている点で異なる。
【0090】
この場合、可撓性基板30の表面30aへの第2端子配線部46bの配線形成が、シールド膜54に制約されるため、第2端子配線部46bをスルーホール56を介して可撓性基板30の裏面30bに導出することが好ましい。
【0091】
第14変形例に係るタッチパネル10Nは、上述したタッチパネル10Kとほぼ同様の構成を有するが、
図12Bに示すように、シールド膜54が可撓性基板30の裏面30bに形成されている点で異なる。
【0092】
この場合、第1端子配線部46a及び第2端子配線部46bの配線形成を、シールド膜54に制約されることなく行うことができる。
【0093】
これらタッチパネル10K〜10Nにおいても、上述したタッチパネル10G〜10Jと同様に、電子機器12の稜線部分での電界の集中が回避され、静電気による帯電、蓄電を効果的に低減できる。
【0094】
次に、本実施の形態に係る導電性フィルム26の好ましい態様について以下に説明する。
【0095】
各セル34は、多角形で構成されている。多角形としては、三角形、四角形(正方形、長方形、平行四辺形、ひし形等)、五角形、六角形、ランダム多角形等が挙げられる。また、多角形を構成する辺の一部が曲線からなっていてもよい。セル34の一辺の長さは50〜500μmが好ましい。一辺の長さが短すぎると、開口率及び透過率が低下し、それに伴って、透明性が劣化するという問題がある。反対に、一辺の長さが長すぎると、金属細線38が視認されやすくなる可能性がある。
【0096】
金属細線38の線幅は1μm以上5μm以下が好ましく、さらに好ましくは、1μm以上4μm以下である。第1感知電極32a及び第2感知電極32bの表面抵抗は、0.1〜100オーム/sq.の範囲にあることが好ましい。下限値は、1オーム/sq.以上、3オーム/sq.以上、5オーム/sq.以上、10オーム/sq.以上であることが好ましい。上限値は、70オーム/sq.以下、50オーム/sq.以下であることが好ましい。
【0097】
上述した第1端子配線部46a、第2端子配線部46b、第1端子部50a、第2端子部50b等を構成する金属配線、並びに第1感知電極32a及び第2感知電極32bを構成する金属細線は、それぞれ単一の導電性素材にて構成されているのが好ましい。単一の導電性素材は、銀、銅、金、アルミニウムのうちの1種類からなる金属、もしくはこれらの少なくとも1つを含む合金からなるのが好ましい。
【0098】
本実施の形態における導電性フィルム26は、可視光透過率の点から少なくとも第1センサ領域40Aの開口率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、金属細線38を除いた透光性部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅6μm、細線ピッチ240μmの正方形の格子状の開口率は、95%である。
【0099】
上述の例では、導電性フィルム26を投影型静電容量方式のタッチパネル10に適用した例を示したが、その他、表面型静電容量方式のタッチパネルや、抵抗膜式のタッチパネルにも適用することができる。
【0100】
なお、筐体14は、電子機器12のタッチパネル10のほか、表示装置の電磁波シールドフィルムや、表示装置の表示パネルに設置される光学フィルムとしても利用することができる。表示装置としては液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL、無機EL等が挙げられる。
【0101】
導電性フィルム26を製造する方法としては、例えば可撓性基板30に感光性ハロゲン化銀塩を含有する乳剤層を有する感光材料を露光し、現像処理を施すことによって、露光部及び未露光部にそれぞれ金属部及び光透過性部を形成して第1感知電極32a及び第2感知電極32bを形成するようにしてもよい。なお、さらに金属部に物理現像及び/又はめっき処理を施すことによって金属部に導電性金属を担持させるようにしてもよい。
【0102】
あるいは、可撓性基板30上にめっき前処理材を用いて感光性被めっき層を形成し、その後、露光、現像処理した後にめっき処理を施すことにより、露光部及び未露光部にそれぞれ金属部及び光透過性部を形成して第1感知電極32a及び第2感知電極32bを形成してもよい。なお、さらに金属部に物理現像及び/又はめっき処理を施すことによって金属部に導電性金属を担持させるようにしてもよい。
【0103】
めっき前処理材を用いる方法のさらに好ましい形態としては、次の2通りの形態が挙げられる。なお、下記のより具体的な内容は、特開2003−213437号公報、特開2006−64923号公報、特開2006−58797号公報、特開2006−135271号公報等に開示されている。
【0104】
(a) 可撓性基板30上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を含む被めっき層を塗布し、その後、露光・現像した後にめっき処理して金属部を被めっき材料上に形成させる態様。
【0105】
(b) 可撓性基板30上に、ポリマー及び金属酸化物を含む下地層と、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を含む被めっき層とをこの順に積層し、その後、露光・現像した後にめっき処理して金属部を被めっき材料上に形成させる態様。
【0106】
その他の方法としては、可撓性基板30上に形成された金属箔上のフォトレジスト膜を露光、現像処理してレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出する金属箔をエッチングすることによって、第1感知電極32a及び第2感知電極32bを形成するようにしてもよい。
【0107】
あるいは、可撓性基板30上に金属微粒子を含むペーストを印刷し、ペーストに金属めっきを行うことによって、メッシュパターン36を形成するようにしてもよい。
【0108】
あるいは、可撓性基板30上に、メッシュパターン36をスクリーン印刷版又はグラビア印刷版によって印刷形成するようにしてもよい。
【0109】
あるいは、可撓性基板30上に、第1感知電極32a及び第2感知電極32bをインクジェットにより形成するようにしてもよい。
【0110】
あるいは、フィルム上に樹脂層を形成し、エンボスパターンが形成されたモールドを樹脂層に圧着させて樹脂層に陰刻パターンを形成した後、樹脂層の陰刻パターンを含む全面に電極材料を塗布する。その後、樹脂層の表面上の電極材料を除去することによって、樹脂層の陰刻パターンに充填された電極材料によるメッシュパターンを形成するようにしてもよい。
【0111】
次に、本実施の形態に係る導電性フィルム26において、特に好ましい態様であるハロゲン化銀写真感光材料を用いる方法を中心にして述べる。
【0112】
本実施の形態に係る導電性フィルム26の製造方法は、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
【0113】
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
【0114】
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
【0115】
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
【0116】
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
【0117】
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面の小さい球形である。
【0118】
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
【0119】
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
【0120】
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社、1955年刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。本件は液処理に係る発明であるが、その他の現像方式として熱現像方式を適用する技術も参考にすることができる。例えば、特開2004−184693号、同2004−334077号、同2005−010752号の各公報、特願2004−244080号、同2004−085655号の各明細書に記載された技術を適用することができる。
【0121】
ここで、本実施の形態に係る導電性フィルム26の各層の構成について、以下に詳細に説明する。
【0122】
[可撓性基板30]
可撓性基板30としては、例えば光ディスクの基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。具体的には、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;COC(シクロオレフィン共重合体);COP(シクロオレフィンポリマー)等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。これらの材料の中では、耐湿性、寸法安定性及び低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が好ましい。また、例えばインサート成形で可撓性基板30を作製する場合は、ポリカーボネート、COC、COP等が好ましく、その中でも、薄肉形成において有利な流動性の高いポリカーボネートが特に好ましい。
【0123】
[銀塩乳剤層]
導電性フィルム26の金属細線38となる銀塩乳剤層は、銀塩とバインダーの他、溶媒や染料等の添加剤を含有する。
【0124】
本実施の形態に用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩及び酢酸銀等の有機銀塩が挙げられる。本実施の形態においては、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
【0125】
銀塩乳剤層の塗布銀量(銀塩の塗布量)は、銀に換算して1〜30g/m
2が好ましく、1〜25g/m
2がより好ましく、5〜20g/m
2がさらに好ましい。この塗布銀量を上記範囲とすることで、導電性フィルム26とした場合に所望の表面抵抗を得ることができる。
【0126】
本実施の形態に用いられるバインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
【0127】
本実施の形態の銀塩乳剤層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。銀塩乳剤層中のバインダーの含有量は、銀/バインダー体積比で1/4以上が好ましく、1/2以上がより好ましい。銀/バインダー体積比は、100/1以下が好ましく、50/1以下がより好ましい。また、銀/バインダー体積比は1/1〜4/1であることがさらに好ましい。1/1〜3/1であることが最も好ましい。銀塩乳剤層中の銀/バインダー体積比をこの範囲にすることで、塗布銀量を調整した場合でも抵抗値のばらつきを抑制し、均一な表面抵抗を有する導電性フィルム26を得ることができる。なお、銀/バインダー体積比は、原料のハロゲン化銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(重量比)に変換し、さらに、銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(体積比)に変換することで求めることができる。
【0128】
<溶媒>
銀塩乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
【0129】
<その他の添加剤>
本実施の形態に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限は無く、公知のものを好ましく用いることができる。
【0130】
[その他の層構成]
銀塩乳剤層の上に図示しない保護層を設けてもよい。また、銀塩乳剤層よりも下に、例えば下塗り層を設けることもできる。
【0131】
次に、導電性フィルム26の作製方法の各工程について説明する。
【0132】
[露光]
本実施の形態では、第1感知電極32a等を印刷方式によって施す場合を含むが、印刷方式以外は、第1感知電極32a等を露光と現像等によって形成する。すなわち、可撓性基板30上に設けられた銀塩含有層を有する感光材料又はフォトリソグラフィ用フォトポリマーを塗工した感光材料への露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
【0133】
[現像処理]
本実施の形態では、乳剤層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
【0134】
現像、定着処理を施した感光材料は、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。
【0135】
現像処理後の露光部に含まれる金属部の質量は、露光前の露光部に含まれていた金属の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる金属の質量が露光前の露光部に含まれていた金属の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
【0136】
以上の工程を経て導電性フィルム26は得られる。現像処理後の導電性フィルム26に対しては、さらにカレンダー処理を行ってもよく、カレンダー処理により各透明導電層の表面抵抗を所望の表面抵抗(0.1〜100オーム/sq.の範囲)に調整することができる。
【0137】
[物理現像及びめっき処理]
本実施の形態では、露光及び現像処理により形成された金属部の導電性を向上させる目的で、金属部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像及び/又はめっき処理を行ってもよい。本発明では物理現像又はめっき処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を金属銀部に担持させてもよく、物理現像とめっき処理とを組み合わせて導電性金属粒子を金属部に担持させてもよい。なお、金属部に物理現像及び/又はめっき処理を施したものを含めて「導電性金属部」と称する。
【0138】
本実施の形態における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオン等の金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフィルム、インスタントスライドフィルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
【0139】
本実施の形態において、めっき処理は、無電解めっき(化学還元めっきや置換めっき)、電解めっき、又は無電解めっきと電解めっきの両方を用いることができる。本実施の形態における無電解めっきは、公知の無電解めっき技術を用いることができ、例えば、プリント配線板等で用いられている無電解めっき技術を用いることができ、無電解めっきは無電解銅めっきであることが好ましい。
【0140】
[酸化処理]
本実施の形態では、現像処理後の金属部、並びに、物理現像及び/又はめっき処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
【0141】
[可撓性基板等の厚み]
本実施の形態に係る導電性フィルム26における可撓性基板30の厚さは、5〜350μmであることが好ましく、30〜150μmであることがさらに好ましい。5〜350μmの範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。
【0142】
可撓性基板30上に設けられる金属部(金属細線等)の厚さは、可撓性基板30上に塗布される銀塩含有層用塗料の塗布厚みに応じて適宜決定することができる。金属部の厚さは、0.01〜200μmから選択可能であるが、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、0.01〜9μmであることがさらに好ましく、0.05〜5μmであることが最も好ましい。また、金属部はパターン状であることが好ましい。金属部は1層でもよく、2層以上の重層構成であってもよい。
【0143】
本実施の形態に係る導電性フィルム26の製造方法では、めっき等の工程は必ずしも行う必要はない。本実施の形態に係る導電性フィルム26の製造方法では銀塩乳剤層の塗布銀量、銀/バインダー体積比を調整することで所望の表面抵抗を得ることができるからである。なお、必要に応じてカレンダー処理等を行ってもよい。また、金属細線とした後に、該金属細線には、少なくとも金属粒子とバインダーを含むようにしてもよい。この場合、金属細線にて構成される第1感知電極32a及び第2感知電極32bを、金属細線の断線をほとんど引き起こすことなく、可撓性基板30の三次元形状に追従して変形させることができる。
【0144】
[現像処理後の硬膜処理]
銀塩乳剤層に対して現像処理を行った後に、硬膜剤に浸漬して硬膜処理を行うことが好ましい。硬膜剤としては、例えば、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類及びほう酸等の特開平2−141279号公報に記載のものを挙げることができる。
【0145】
本実施の形態に係る導電性フィルム26には、反射防止層等の機能層を付与してもよい。
【0146】
[カレンダー処理]
金属部にカレンダー処理を施して平滑化するようにしてもよい。これによって金属部の導電性が顕著に増大する。カレンダー処理は、カレンダーロールにより行うことができる。カレンダーロールは通常一対のロールからなる態様が好ましい。
【0147】
カレンダー処理に用いられるロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のプラスチックロール又は金属ロールが好適に用いられる。特に、両面に乳剤層を有する場合は、金属ロール同士で処理することが好ましい。片面に乳剤層を有する場合は、シワ防止の点から金属ロールとプラスチックロールの組み合わせとすることもできる。線圧力の上限値は1960N/cm(200kgf/cm、面圧に換算すると699.4kgf/cm
2)以上、さらに好ましくは2940N/cm(300kgf/cm、面圧に換算すると935.8kgf/cm
2)以上である。線圧力の上限値は、6880N/cm(700kgf/cm)以下である。
【0148】
カレンダーロールで代表される平滑化処理の適用温度は10℃(温調なし)〜100℃が好ましく、より好ましい温度は、金属メッシュパターンや金属配線パターンの画線密度や形状、バインダー種によって異なるが、おおよそ10℃(温調なし)〜50℃の範囲にある。
【0149】
なお、本発明は、下記表1及び表2に記載の公開公報及び国際公開パンフレットの技術と適宜組合わせて使用することができる。「特開」、「号公報」、「号パンフレット」等の表記は省略する。
【0152】
なお、本発明に係るタッチパネルは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。