特許第6053564号(P6053564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053564
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】端子及び端子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/18 20060101AFI20161219BHJP
   H01R 13/03 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H01R4/18 A
   H01R13/03 A
   H01R13/03 D
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-33935(P2013-33935)
(22)【出願日】2013年2月22日
(65)【公開番号】特開2014-164912(P2014-164912A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2016年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】須齋 京太
(72)【発明者】
【氏名】水戸瀬 賢悟
(72)【発明者】
【氏名】橘 昭頼
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−252700(JP,A)
【文献】 特開2012−009335(JP,A)
【文献】 特開2011−222243(JP,A)
【文献】 特開2004−207172(JP,A)
【文献】 特許第3473527(JP,B2)
【文献】 特開2007−203330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/18
H01R 13/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状かしめ部を備えた、銅合金基材からなる端子であって、
前記管状かしめ部は、前記銅合金基材の対向する平行な直線状の端部を長手方向に重ねあわせて圧接することにより形成され、
前記管状かしめ部の断面における重ねあわせ部、底部及び側面部の肉厚が、下記数式(1)の関係を満たすことを特徴とする銅合金端子。
重ねあわせ部の肉厚 > 底部の肉厚 ≧ 側面部の肉厚 …(1)
【請求項2】
前記銅合金基材は表面の少なくとも一部にめっき層を有し、
前記銅合金基材のビッカース硬さが90以上で、前記銅合金基材のビッカース硬さとめっき厚(μm)の積が10以上であることを特徴とする請求項1に記載の銅合金端子。
【請求項3】
前記めっき層は、Sn、Ag、Au、Ni及びNi−Pのうちのいずれかからなることを特徴とする請求項2に記載の銅合金端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気導通を担う部品に関する。より詳しくは、電線を接続する銅合金端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用組み電線における電線接続部では、電線導体を端子により圧着する形式が一般的である。通常、組み電線には銅電線が用いられるが、軽量化目的でアルミニウム電線(以下、アルミ電線とも言う)が使われることがある。圧着部では、一般に、電線導体が露出する構造となるため、アルミニウム電線を用いた場合には、導体のアルミニウムが腐食を起こし、電気な導通を確保できなくなる恐れがあった。
【0003】
これを防止するためにはアルミニウム導体を環境から遮断することが考えられる。例えばアルミ表面が空気などに触れないように覆ってしまうことが望ましい。腐食を防止するという観点では、圧着部全体を樹脂によりモールドする方式(例えば、特許文献1参照)が確実であるが、モールド部が肥大してしまい、コネクタハウジングのサイズを上げる必要が生じ、コネクタが肥大してしまうこととなり、組み電線全体を高密小型に成形することができなかった。また、モールド成形は、圧着後に個々の圧着部に対して処理するため、組み電線製造の工程が大きく増すこと、および作業が煩雑である事、等の問題があった。
【0004】
これに対し、金属缶を電線導体に被せた後に圧着する手法により、アルミ導体を外界から遮断する技術が提案された(例えば、特許文献2参照)が、圧着前に個々の導体へ缶を装着する工程が煩雑であること、また、圧着時、ワイヤーバレルにより缶を破壊してしまい浸水経路が生じてしまうこと、等の問題があった。
【0005】
また、肉厚に変化を持たせる端子として、一端側に棒状のタブ部を備え、かつ他端側に電線を挟持可能な圧接部を備え、タブ部は、圧接部よりも肉厚とした構造の端子が開示されている(例えば、特許文献3参照)が、これは端子タブ部を肉厚にする発明であり、防水性を考慮した端子構造になっていないので、圧接部における止水性確保は期待できない。
【0006】
上記のような問題は、電線との接続部が管状(袋状)の端子に電線を挿入して圧着する構造を採用することで、圧着部を肥大させずに電線導体を外界から遮断することにより解決することができる。管の形成法の1つとして、レーザ溶接法(例えば、特許文献4参照)を用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−222243号公報
【特許文献2】特開2004−207172号公報
【特許文献3】特許第3473527号
【特許文献4】特開2007−203330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、レーザビームの吸収率が低くレーザ溶接性が悪い銅及び銅合金をレーザ溶接するためには、特許文献4に開示されているような、レーザビームの反射率の低い有機材料で基材表面を被覆する等の何らかの手段を施す必要がある。さらに、レーザ溶接の場合、装置が高価であることに加え、凝固組織である溶接部の強度を高めるための処理や、溶接歪み除去のための熱処理が溶接後に必要となる等、工程が煩雑となりがちである。
【0009】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、防水性(止水性)に優れた、レーザ溶接によらずに製造された、肉厚の変化する管状かしめ部(圧着部)を備えた銅合金端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の銅合金端子の特徴は、管状かしめ部を備えた、銅合金基材からなる端子であって、その管状かしめ部は銅合金基材の対向する平行な直線状の端部を長手方向に重ねあわせて圧接することにより形成され、その管状かしめ部の断面における重ねあわせ部、底部及び側面部の肉厚が、下記数式(1)の関係を満たすことを要旨とする。
重ねあわせ部の肉厚 > 底部の肉厚 ≧ 側面部の肉厚 …(1)
【0011】
ここで、重ねあわせ部を上にして管状かしめ部の断面を見たとき、下側に位置する管状かしめ部の部位を底部、横方向に位置する管状かしめ部の両側の部位を側面部という。管状かしめ部の重ねあわせ部の肉厚は、重ね合わせた後の肉厚をいう。
【0012】
端子としての種々の特性を担保するために、銅合金基材の表面にめっきが施されていてもよい。この場合、銅合金基材のビッカース硬さが90以上で、銅合金基材のビッカース硬さとめっき厚(μm)の積が10以上であると、良好な止水性を示す銅合金端子が得られる。
【0013】
めっき層は、Sn、Ag、Au、Ni及びNi−Pのうちのいずれかから形成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、防水性(止水性)に優れる管状かしめ部(圧着部)を備えた銅合金端子を提供することができる。また、本発明の銅合金端子はレーザ溶接によらずに製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る端子を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る端子と電線の終端の接続構造を示す斜視図である。
図3】(a)本発明の実施形態に係る端子の管状かしめ部の圧接前の状態を示す断面図である。 (b)本発明の実施形態に係る端子の管状かしめ部の圧接後の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)について詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の実施形態に係る端子1を示したものである。端子1は、雌型端子のボックス部20と管状かしめ部30を有し、これらの橋渡しとしてトランジション部40を有する。さらに、端子1は管状かしめ部30内に圧接部50(図中、斜線で示す部分)を有する。端子1は、導電性と強度を確保するために基本的に銅合金の基材で製造されている。端子1の種々の特性を担保するために、端子1の表面にはめっきが施されていてもよい。
【0018】
(ボックス部)
雌型端子のボックス部20は、例えば雄型端子等の挿入タブの挿入を許容するボックス部である。このボックス部の細部の形状は特に限定されない。すなわち、ボックス部を有さなくてもよく、例えば雄型端子の挿入タブであっても良い。また他の端子の端部であっても良い。本実施形態では、本発明の端子を説明するために便宜的に雌型端子の例を示したのであって、どのような接続端部を有する端子であっても、トランジション部40を介して管状かしめ部30を有し、その管状かしめ部30は、圧接によって成形されているのである。
【0019】
(管状かしめ部)
管状かしめ部30は、端子1とアルミニウム又はアルミニウム合金電線(図示せず)とを圧着接合する部位である。その一端はアルミニウム又はアルミニウム合金電線を挿入することができる電線挿入口31を有し、他端はトランジション部40に接続されている。管状かしめ部30のトランジション部40側は、閉口しているのが好ましい。端子1の銅合金とアルミニウム又はアルミニウム合金電線の接点に水分が付着すると、両金属の起電力の差からいずれかの金属(合金)が腐食してしまうので、かしめ部は外部より水分等が侵入しないように管状となっている。端子のかしめ部は、管状であれば腐食に対して一定の効果を得られる為、必ずしも長手方向に対して円筒である必要はなく、場合によっては楕円や矩形の管であっても良い。また、径が一定である必要はなく、長手方向で半径が変化していてもよい。
【0020】
管状かしめ部30では、管状かしめ部を構成する銅合金とアルミニウム又はアルミニウム合金電線とが機械的に圧着接合されることにより、同時に電気的な接合を確保する。銅合金基材と電線(芯線)は、かしめによって塑性変形し、接合がされる。従って、管状かしめ部30は、かしめ接合をすることができるように肉厚を設計される必要がある。
【0021】
なお、図示しないが、管状かしめ部30内には、電線と電気的接続をとる為や電線を抜けにくくする為に、溝や突起等の係止溝(セレーション)を設けても良い。
【0022】
(めっき層)
また、管状かしめ部は、かしめ接合によってアルミニウム電線等との電気的接合も図られる。従って、管状かしめ部の内部には、電線との電気的接合のためのめっき層があることが望ましい。このめっき層はSn、Ag、Au、Ni及びNi−P、あるいはこれらを主成分とする合金であることが好ましい。また、めっき層を設ける場合は、端子の銅合金基材のビッカース硬さ(Hv)とそのめっき厚(μm)の値が10以上となるように設けると良い。ただし、この場合、端子の銅合金基材のビッカース硬さ(Hv)は90以上となることが必要である。
【0023】
(電線の終端接続構造)
次に、図2に本発明の電線の終端接続構造10を示す。終端接続構造10は、本発明の端子1と、アルミニウム又はアルミニウム合金電線(電線60)が接続された構造を有している。終端接続構造10は、端子1と電線60が管状かしめ部30によって圧着接合されている。圧着の様態は特に限定されないが、図2では、第1の圧着縮径部36および第2の圧着縮径部37からなっている。通常、圧着接合すると、管状かしめ部30は塑性変形を起こして、元の径よりも縮径されることで、電線60との圧着接合をなす。図2に示した例では、第1の圧着縮径部36が、縮径率が一番高くなっている部分である。このように、圧着接合を2段階の縮径で行ってもよい。
【0024】
電線60は、絶縁被覆61と図示しないアルミニウム又はアルミニウム合金の芯線とからなっている。電線60は裸線であっても良いが、防食の観点から通常は絶縁被覆された電線を用いる。
【0025】
なお、アルミニウム電線の芯線としては、例えば鉄(Fe)を約0.2質量%、銅(Cu)を約0.2質量%、マグネシウム(Mg)を約0.1質量%、シリコン(Si)を約0.04質量%、残部がアルミニウム(Al)および不可避不純物かなるアルミニウム芯線を用いることができる。他の合金組成として、Feを約1.05質量%、Mgを約0.15質量%、Siを約0.04質量%、残部がAlおよび不可避不純物のもの、あるいは、Feを約1.0質量%、Siを約0.04質量%、残部がAlおよび不可避不純物のもの、Feを約0.2質量%、マMgを約0.7質量%、Siを約0.7質量%、残部がAlおよび不可避不純物のものなどを用いることができる。これらは、さらにTi、Zr、Sn、Mn等の合金元素を含んでいてもよい。このようなアルミニウム芯線を用い、例えば0.5〜2.5sq(mm)、7〜19本撚りの芯線にして用いることができる。芯線の被覆材としては、例えばPE、PPなどのポリエレフィンを主成分としたものやPVCを主成分としたもの等を用いることができる。
【0026】
本実施形態においては、絶縁被覆された電線60を用いて、先端部の絶縁被覆61を所定の長さだけ除去した電線60を、残った絶縁被覆61の端部が電線挿入口31から所定の長さだけ管状かしめ部30と重なるように、管状かしめ部30に挿入し、専用の治具やプレス加工機等でかしめ工程を実施する。
【0027】
(端子の製造方法)
本発明の端子1は銅合金基材からなる条材を平面展開した端子形状に打ち抜き、曲げ加工によってボックス部やかしめ部を設ける。この時、かしめ部は平面からの曲げ加工ではC字型断面となるが、図3(a)、(b)に示したように、この開放部分を重ねあわせ圧接して一体化することで、管状かしめ部となる。重ねあわせ圧接は、圧延又はプレスで行うことができる。
【0028】
端子1の銅合金基材としては、Cu−Zn系合金、Cu−Sn系合金、Cu−Cr系合金、Cu−Zr系合金、Cu−Mg系合金、Cu−Fe系合金、Cu−Ni−Si系合金、Cu−Ni−Sn系合金等、市販のものを用いることができる。表1は、端子1に用いることのできる市販の銅合金を示したものである。
【0029】
本実施形態においては、このような銅合金基材の表面にSn、Ag、Au、Ni又はNi−P等のうちのいずれかのめっきを施して用いている。めっき層は、製造工程のどの段階で設けても良い。例えば、銅合金条材のかしめ部となる箇所に予め部分めっきを施し、これを端子形状に打ち抜くことでかしめ部にめっき層を有する端子を製造しても良いし、銅合金条材を打ち抜いた後にかしめ部にめっき層を設けても良い。
【0030】
【表1】
【0031】
図3(a)、(b)は、管状かしめ部の重ねあわせ圧接前後の状態を示す断面図である。平面展開した端子形状に打ち抜いた銅合金基材32のかしめ部の対向する平行な直線状の端部を、曲げ加工によって長手方向に図3(a)に示したように重ねあわせ、この重ねあわせ圧接により一体化することにより、図3(b)に示した断面の管状かしめ部を形成する。
【0032】
図3(b)に示した管状かしめ部の断面における、重ねあわせ部50の肉厚、底部34の肉厚、側面部35の肉厚の関係を制御することにより、図2に示したような電線の終端接続構造10を構成した場合に良好な止水性を確保することができる。
【0033】
重ね合わせ部の厚さが、底部34や側面部35よりも同じか厚いと、重ね合わせ部の面圧が高くなり、止水性がよい。また応力緩和に対する耐久性もすぐれる。薄いと、長期使用による応力緩和することにより、密閉性が低下するので、止水性が悪くなる。また、底部34の肉厚が、側面部35よりも同じか厚いと、圧接後の電線と端子の接触圧力が高く、端子と電線の電気的接続抵抗が低い。薄いと、圧接後の電線と端子の接触圧力が低く、端子と電線の電気的接続面積が小さいため、熱衝撃があった際に、アルミ電線と銅合金端子の熱膨張係数の差によって、十分な接触面積が確保できなくなり、抵抗値が高くなる恐れがある。
【実施例】
【0034】
(実施例1〜10)及び(比較例1〜11)
実施例1〜10及び比較例1〜11においては、2μm厚のSnめっきを施した銅合金基材から平面展開した端子形状に打ち抜いて、曲げ加工した後、重ねあわせ圧接して、管状かしめ部を形成し端子とした。なお、重ね合わせ部の肉厚の調整は、圧接時の荷重によって調整した。表3に示した、銅合金基材、重ねあわせ圧接後の重ねあわせ部の肉厚、底部の肉厚、側面部の肉厚の組合せと、止水性の関係を評価した。
【0035】
<銅合金組成、質量%>
FAS680(古河電気工業(株)、商品名):Sn0.15、Zn0.5、Ni2.3、Si0.55、Mg0.1
MAX251C(三菱伸銅(株)、商品名):Cu≧95、Sn0.5、Zn1.0、Ni2.0、Si0.5
MAX375(三菱伸銅(株)、商品名):Cu残、Sn0.5、Zn0.5、Ni2.85、Si0.7
CAC60((株)神戸製鋼所、商品名):Sn0.1、Zn1.1、Ni1.8、Si0.4
CAS85((株)神戸製鋼所、商品名):Cu残、Sn0.5、Zn1.0、Ni3.2、Si0.7
NB109(日本ベルパーツ(株)、商品名):Sn0.9、Ni1.0、P0.05
【0036】
<電線>
アルミニウム電線の芯線:Fe0.2、Cu0.2、Mg0.1、Si0.04、残部はAlおよび不可避不純物(線径0.43mm、19本撚り)
【0037】
<肉厚の評価>
管状かしめ部の肉厚は、電線の長手方向と垂直方向の断面をきりとり、この断面を研磨し、その後マイクロスコープで確認し、厚さを測定した。
【0038】
<止水性評価>
電線を端子の管状かしめ部に挿入、かしめ後、電線挿入側から10〜50kPaの正圧をかけてエアリ−クが発生するときの圧力を測定し、表2の基準で評価した。
【0039】
【表2】
【0040】
銅合金基材としてFAS−680MAX251C、CAC60、NB109、MAX375、CAS85を使用した場合の実施例1〜10、比較例1〜11の評価結果を表3に示す。表3から、管状かしめ部の断面の重ねあわせ部、底部及び側面部の肉厚が、下記数式(1)の関係を満たすと、銅合金基材によらず良好な止水性が得られることがわかる。
重ねあわせ部の肉厚 > 底部の肉厚 ≧ 側面部の肉厚 …(1)
【0041】
【表3】
【0042】
(実施例11〜14)及び(比較例12〜15)
実施例11〜14及び比較例12〜15においては、めっき材料を変えたこと以外は実施例1〜10と同様にして、端子の止水性を評価した。めっき材料としては、Cu−Sn、Sn−Ag、Ag、Niを用いた。
【0043】
めっき材料としてCu−Sn、Sn−Ag、Ag、Niを使用した場合の実施例11〜14、比較例12〜15の評価結果を表4に示す。表4から、管状かしめ部の断面の重ねあわせ部、底部及び側面部の肉厚が、下記数式(1)の関係を満たすと、めっき材料によらず良好な止水性が得られることがわかる。
重ねあわせ部の肉厚>底部の肉厚≧側面部の肉厚 …(1)
【0044】
【表4】
【0045】
(実施例15〜19)及び(比較例16〜19)
実施例15〜19及び比較例16〜19においては、リフローで0.2〜2μm厚のSnめっきを施した銅合金基材から平面展開した端子形状に打ち抜いて、曲げ加工の後重ねあわせ圧接して、管状かしめ部を形成し端子とした。なお、実施例15〜19それぞれの端子における管状かしめ部の肉厚は、重ねあわせ部を0.4mm、底部を0.25mm、側面部を0.25mmとして形成した。銅合金基材は加熱処理して硬さを調整した(もとの基材の硬さは、160〜200程度)。表4に示した銅合金基材のビッカース硬さHv及び〔銅合金基材のビッカース硬さHv×めっき厚(μm)〕の値と、止水性の関係を評価した。
【0046】
銅合金基材としてFAS−680を使用した場合の実施例15〜19、比較例16〜19の評価結果を表5に示す。表5から、銅合金基材のビッカース硬さHvが90以上で、〔銅合金基材のビッカース硬さHv×めっき厚(μm)〕の値が10以上の場合に、良好な止水性が得られることがわかる。
【0047】
【表5】
【0048】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。特に、本発明は雌型端子について述べてきたが、当然雄型端子についても適用可能である。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0049】
1 端子
10 終端接続構造
20 雌型端子のボックス部
30 管状かしめ部
31 電線挿入口
32 端子基材(銅合金基材)
33 端部
34 底部
35 側面部
36 第1の圧着縮径部
37 第2の圧着縮径部
40 トランジション部
50 重ねあわせ部
60 電線
61 絶縁被覆

図1
図2
図3