特許第6053584号(P6053584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6053584熱交換モジュール、熱交換モジュールの製造方法、および暖房システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053584
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】熱交換モジュール、熱交換モジュールの製造方法、および暖房システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20161219BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H05K7/20 F
   F28D15/02 L
   H05K7/20 R
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-52742(P2013-52742)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-179483(P2014-179483A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】田中 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】中山 弘哲
(72)【発明者】
【氏名】都築 秀和
【審査官】 石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−202979(JP,A)
【文献】 特開2003−142864(JP,A)
【文献】 特開2000−232286(JP,A)
【文献】 特開2012−002493(JP,A)
【文献】 実開昭57−040883(JP,U)
【文献】 特開2003−133776(JP,A)
【文献】 特開平10−002616(JP,A)
【文献】 特開2005−057209(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/126444(WO,A1)
【文献】 特開2008−011647(JP,A)
【文献】 特開2006−211764(JP,A)
【文献】 特開平09−277815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H01L 23/29
23/34−23/36
23/373−23/427
23/44
23/467−23/473
H02K 9/00−9/28
F28D 15/00−15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部と接触する熱輸送部と、
前記熱輸送部から、熱を蓄熱可能な蓄熱部と、
前記熱輸送部に設けられる放熱部と、
を具備し、
前記熱輸送部と前記蓄熱部とが一体で構成され、前記蓄熱部は、内部に蓄熱部材を収容し、
前記蓄熱部は、少なくとも前記発熱部側に位置する発熱部側蓄熱部と、前記放熱部側に位置する放熱部側蓄熱部と、を有し、
前記発熱部側蓄熱部に充填される蓄熱部材の融点が、前記放熱部側蓄熱部に充填される蓄熱部材の融点よりも高いことを特徴とする熱交換モジュール。
【請求項2】
発熱部と接触する熱輸送部と、
前記熱輸送部から、熱を蓄熱可能な蓄熱部と、
前記熱輸送部に設けられる放熱部と、
を具備し、
前記熱輸送部と前記蓄熱部とが一体で構成され、前記蓄熱部は、内部に蓄熱部材を収容し、
前記蓄熱部は、少なくとも前記熱輸送部と接触する第1蓄熱部と、前記第1蓄熱部に積層される第2蓄熱部と、を有し、
前記第1蓄熱部に充填される蓄熱部材の融点が、前記第2蓄熱部に充填される蓄熱部材の融点よりも高いことを特徴とする熱交換モジュール。
【請求項3】
前記蓄熱部には、複数のフィンが設けられ、前記フィン同士の間に前記蓄熱部材が充填されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の熱交換モジュール。
【請求項4】
前記熱輸送部には、ヒートパイプが埋め込まれることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱交換モジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱交換モジュールの製造方法であって、
前記熱輸送部と、前記蓄熱部と、を具備する本体を、押し出し加工または引き抜き加工により一体で形成し、
前記蓄熱部に、前記蓄熱部材を充填するとともに、前記熱輸送部に放熱部を接合することを特徴とする熱交換モジュールの製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれかに記載の熱交換モジュールを複数用い、
車内暖房用のエア流路内に前記放熱部を配置することで、発熱体の熱を前記エア流路内のエアに放熱する暖房システムであって、
前記エア流路の内部を流れるエアの上流側から下流側に、前記熱交換モジュールを複数併設し、
複数の前記熱交換モジュールは、それぞれ発熱体と接触し、
上流側から下流側に行くにつれて、それぞれの前記熱交換モジュールの前記蓄熱部に充填される蓄熱部材の融点が高くなるように、前記熱交換モジュールが複数併設されることを特徴とする暖房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱効率が高く、コンパクトな熱交換モジュール等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば自動車のモータなどの発熱部を冷却するため、発熱部の熱を外気等に放熱する熱交換モジュールが用いられる。この場合、発熱部と放熱部とは、機器のレイアウトによって離れた位置に配置される場合がある。この場合には、発熱部から放熱部までは、例えばヒートパイプなどによって熱輸送が行われる。
【0003】
また、瞬間的なあるいはパルス状の発熱に対しては、熱輸送および放熱が追い付かない場合がある。したがって、このような発熱には、蓄熱部を配置し、発熱部で発熱した熱を蓄熱部に蓄熱する方法がある。
【0004】
このような、熱交換モジュールとしては、例えば発熱素子に熱的に接続される受熱部と、発熱素子の熱を一時的に蓄熱する蓄熱部を備える受熱ブロックを備え、受熱部と放熱フィンとがヒートパイプで接続される冷却装置がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−267912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のような冷却装置では、蓄熱部と放熱部とが離れているため、蓄熱部に蓄熱された熱の放熱効率が悪い。このため、放熱量を確保するために、大きな放熱フィンが必要となる。また、熱輸送部と蓄熱部との伝熱面積が小さいため、蓄熱部へ効率よく熱を移動させることができない。
【0007】
一方、蓄熱部に、蓄熱部材を用いる方法がある。しかし、このような蓄熱部材を保持する容器を蓄熱部として用いると、当該容器と発熱体または熱輸送部との間の熱抵抗が生じる。このため、効率よく蓄熱部へ熱移動させることができない。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、放熱効率が高くコンパクトな熱交換モジュール等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、発熱部と接触する熱輸送部と、前記熱輸送部から、熱を蓄熱可能な蓄熱部と、前記熱輸送部に設けられる放熱部と、を具備し、前記熱輸送部と前記蓄熱部とが一体で構成され、前記蓄熱部は、内部に蓄熱部材を収容し、前記蓄熱部は、少なくとも前記発熱部側に位置する発熱部側蓄熱部と、前記放熱部側に位置する放熱部側蓄熱部と、を有し、前記発熱部側蓄熱部に充填される蓄熱部材の融点が、前記放熱部側蓄熱部に充填される蓄熱部材の融点よりも高いことを特徴とする熱交換モジュールである。
また、発熱部と接触する熱輸送部と、前記熱輸送部から、熱を蓄熱可能な蓄熱部と、前記熱輸送部に設けられる放熱部と、を具備し、前記熱輸送部と前記蓄熱部とが一体で構成され、前記蓄熱部は、内部に蓄熱部材を収容し、前記蓄熱部は、少なくとも前記熱輸送部と接触する第1蓄熱部と、前記第1蓄熱部に積層される第2蓄熱部と、を有し、前記第1蓄熱部に充填される蓄熱部材の融点が、前記第2蓄熱部に充填される蓄熱部材の融点よりも高いことを特徴とする熱交換モジュールである。
【0010】
前記蓄熱部には、複数のフィンが設けられ、前記フィン同士の間に前記蓄熱部材が充填されてもよい。
【0012】
前記熱輸送部には、ヒートパイプが埋め込まれることが望ましい。
【0015】
第1の発明によれば、蓄熱部材を収容可能な蓄熱部と熱輸送部が一体で構成されるため、蓄熱部と熱輸送部との間に別途のサーマルインターフェース等を用いる必要がない。このため、蓄熱部と熱輸送部との間の熱抵抗を小さくすることができる。また、蓄熱部と熱輸送部とが一体であるため、熱輸送部の移動中の熱も効率よく蓄熱部に蓄熱することができる。このため、放熱特性に優れ、放熱部をコンパクトにすることができる。
【0016】
また、蓄熱部の内部にフィンを設け、フィン間に蓄熱部材を充填することで、効率よく蓄熱部に熱を蓄熱することができる。この際、フィンの開口方向を熱輸送方向とほぼ一致させることで、押し出しまたは引き抜きにより、フィンを含めた熱交換モジュール本体を熱輸送方向に一体で製造することができる。さらに、熱輸送部にヒートパイプを埋め込むことで、効率よく、熱を輸送することができる。
【0017】
また、蓄熱部を、発熱部側に位置する発熱部側蓄熱部と、放熱部側に位置する放熱部側蓄熱部とに分割し、発熱部側蓄熱部に充填される蓄熱部材の融点を、放熱部側蓄熱部に充填される蓄熱部材の融点よりも高くすることで、発熱部に近い側で、蓄熱が先に進みすぎることで、放熱が遅れることを抑制するとともに、放熱部側の熱輸送部から放熱部側蓄熱部に熱を蓄熱できるため、効率よく熱を放熱部に移動させることができる。
【0018】
また、熱輸送部と接触する第1蓄熱部と、第1蓄熱部に積層される第2蓄熱部とを設け、第1蓄熱部に充填される蓄熱部材の融点を、第2蓄熱部に充填される蓄熱部材の融点よりも高くすることで、蓄熱部の蓄熱効率を確保するとともに、特に発熱初期の熱を効率よく放熱部へ熱輸送することができる。
【0021】
の発明は、第1の発明にかかる熱交換モジュールの製造方法であって、前記熱輸送部と、前記蓄熱部と、を具備する本体を、押し出し加工または引き抜き加工により一体で形成し、前記蓄熱部に、前記蓄熱部材を充填するとともに、前記熱輸送部に放熱部を接合することを特徴とする熱交換モジュールの製造方法である。
【0022】
の発明によれば、蓄熱部材を収容可能な蓄熱部と熱輸送部とを容易に一体で製造することができる。
【0023】
の発明は、第1の発明にかかる熱交換モジュールを複数用い、車内暖房用のエア流路内に前記放熱部を配置することで、発熱体の熱を前記エア流路内のエアに放熱する暖房システムであって、前記エア流路の内部を流れるエアの上流側から下流側に、前記熱交換モジュールを複数併設し、複数の前記熱交換モジュールは、それぞれ発熱体と接触し、上流側から下流側に行くにつれて、それぞれの前記熱交換モジュールの前記蓄熱部に充填される蓄熱部材の融点が高くなるように、前記熱交換モジュールが複数併設されることを特徴とする暖房システムである。
【0024】
の発明によれば、例えば熱に弱い発熱体を冷却エアの上流側に配置するとともに、蓄熱部材の融点を低くすることで、発熱体の過熱を抑制することができる。また、熱に強い発熱体は、冷却エアの下流側に配置するとともに、蓄熱部材の融点を上げることで、発熱体の温度が所定以上にならないと、蓄熱部への蓄熱が行われず、効率よく、熱を放熱部へ移動させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、放熱効率が高くコンパクトな熱交換モジュール等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】熱交換モジュール1を示す図で、(a)は側面図、(b)は(a)のA−A線断面図。
図2】熱交換モジュール10を示す図で、(a)は側面図、(b)は(a)のB−B線断面図。
図3】熱交換モジュール20を示す図で、(a)は側面図、(b)は(a)のC−C線断面図。
図4】熱交換モジュール30を示す図で、(a)は側面図、(b)は(a)のD−D線断面図。
図5】モータ構造40を示す斜視図。
図6】暖房システム50を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態にかかる熱交換モジュール1について説明する。図1(a)は熱交換モジュール1を示す側面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図である。熱交換モジュール1は、主に、熱輸送部7および蓄熱部9を有する本体5と、放熱部11等から構成される。
【0028】
本体5は、熱輸送部7と蓄熱部9が一体で構成される。熱輸送部7の一方の端部には、発熱部3が接触する。また、熱輸送部7の他方の端部近傍には、複数のフィンからなる放熱部11が設けられる。すなわち、熱輸送部7は、発熱部3の熱を放熱部11まで熱輸送する。
【0029】
熱輸送部7には、熱輸送方向に沿ってヒートパイプ13が埋設される。なお、熱輸送部7が十分な熱輸送能力を有すれば、必ずしもヒートパイプ13は必要ではない。また、ヒートパイプ13は、完全に熱輸送部7に埋設されなくてもよく、一部が熱輸送部7の表面に露出していてもよい。
【0030】
熱輸送部7の下方(発熱部3との接触側とは逆側)には、蓄熱部9が一体で設けられる。蓄熱部9には、蓄熱部材15が充填される。すなわち、蓄熱部9は蓄熱部材15を収容可能な空間部を有する。なお、本体5の両端部は、蓄熱部材15が漏れださないように、閉じられている。
【0031】
蓄熱部材15は、一時的に熱を蓄えることができればよく、例えば、パラフィンや関東商事社製の「パッサーモ」(商品名)といった相変化時に大きな潜熱を蓄えることができる材料を使用することができる。
【0032】
蓄熱部9は、以下のように機能する。例えば、発熱部3がパルス状の発熱量で発熱する場合や、瞬間的に大きな発熱を行うが、平均するとその発熱量が小さい場合など、蓄熱部9を設けないと、その大きな発熱量をそのタイミングで放熱する必要が生じる。このため、大きな放熱部(例えば大きな放熱フィン)が必要となる。これに対し、蓄熱部9は、所定以上の温度となると機能し、熱を一時的に蓄熱することができる。したがって、急激な発熱時には、その一部の熱を蓄熱し、発熱が安定した後に、蓄熱された熱を徐々に放熱することができる。このため、放熱部11を過剰に大きくする必要がない。
【0033】
熱交換モジュール1は、以下のようにして製造することができる。まず、本体5の素材は、例えば押し出し加工や引き抜き加工によって製造することができる。このようにすることで、熱輸送部7と蓄熱部9を一体で容易に製造することができる。この場合、例えば、ヒートパイプ13用の穴や溝を熱輸送方向に容易に形成することができる。本体5の素材を所定長さで切断後、ヒートパイプ13を孔または溝に半田付けすることで、熱輸送部7が形成される。また、蓄熱部9の空間に蓄熱部材15を充填して、両端を閉じることで、蓄熱部9が形成される。本体5の上面に放熱フィンを半田等で接合することで、放熱部11が形成される。
【0034】
本実施の形態によれば、パルス状または瞬間的な発熱に対して、その熱の一部を蓄熱可能であるため、放熱部11の大きさを過剰に大きくする必要がない。また、蓄熱部9は熱輸送部7と一体で形成される。このため、蓄熱部9と熱輸送部7との間に他のサーマルインターフェースマテリアルなどを用いる必要がなく、熱抵抗を小さくすることができる。
【0035】
また、蓄熱部9は、熱輸送部7に沿って、熱輸送部7と発熱部3との接触部から放熱部11までの範囲に設けられる。このため、熱輸送部7の一部が高温となると、その部位において蓄熱部9が機能する。したがって、熱輸送部7の各部において、蓄熱部9との熱交換が可能である。
【0036】
また、本体5が押し出し加工または引き抜き加工によって、熱輸送方向に一定の断面で形成されるため、ヒートパイプ13の設置部や蓄熱部材15の収容部の形成が容易である。
【0037】
次に、第2の実施形態について説明する。図2は、第2の実施も形態にかかる熱交換モジュール10を示す図であり、図2(a)は側面図、図2(b)は図2(a)のB−B線断面図である。なお、以下の説明において、熱交換モジュール1と同様の構成については、図1と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0038】
熱交換モジュール10は、熱交換モジュール1とほぼ同様の構成であるが、蓄熱部9の構造が異なる。熱交換モジュール10の蓄熱部9には、フィン17が設けられる。蓄熱部材15は、フィン17同士の間に充填される。なお、フィン17は、図示したように、波型のフィン形状であってもよく、他の形状であってもよい。また、フィン17は、本体5と一体で形成してもよく、別体で形成した後に接合してもよい。なお、フィン17を、熱輸送方向(図2(a)の左右方向)に開口する方向で形成することで、本体5の押し出し加工または引き抜き加工の際に、フィン17を一体で加工することができる。
【0039】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、蓄熱部9にフィン17を設けることで、蓄熱部9と熱輸送部7との熱交換が促進される。また、フィン17を、熱輸送方向に開口する方向で形成することで、本体5とフィン17を一体で製造することができる。
【0040】
次に、第3の実施の形態について説明する。図3は、第3の実施も形態にかかる熱交換モジュール20を示す図であり、図3(a)は側面図、図3(b)は図3(a)のC−C線断面図である。熱交換モジュール20は、熱交換モジュール10とほぼ同様の構成であるが、蓄熱部9の構造が異なる。
【0041】
熱交換モジュール20では、蓄熱部が蓄熱部9a、9bに区分される。なお、蓄熱部9a、9b内のフィン17は必要に応じて設けられる。蓄熱部9aは、熱輸送方向に対して、発熱部3との接触部側に設けられる。また、蓄熱部9bは、放熱部11側に設けられる。すなわち、蓄熱部9a、9bは、それぞれ熱輸送部7と接触するように、熱輸送方向に併設される。
【0042】
蓄熱部9a、9bは、内部に充填される蓄熱部材が異なる。ここで、蓄熱部9aに充填される蓄熱部材の融点は蓄熱部9bに充填される蓄熱部材の融点よりも高い。すなわち、蓄熱部9aは蓄熱部9bに対して、より高い温度まで上がらないと個体から液体への相変化が行われない。したがって、蓄熱部9aは、熱輸送部7の発熱部3側がある程度以上の温度まで上がらないと、蓄熱が行われない。このようにすることで、発熱部3近傍が所定温度となるまでは、発熱部3から発熱した熱を蓄熱せずに、効率よく放熱部11側に熱輸送して放熱することができる。
【0043】
一方、熱輸送部7の放熱部11側では、より低温から蓄熱を開始する。このようにすることで、放熱部11による放熱量が足りない場合に、直ちに蓄熱が開始され、熱輸送部7の温度勾配を維持することができる。したがって、発熱部3側の熱を効率よく放熱部11側に輸送することができる。なお、蓄熱部9a、9b間には、それぞれの蓄熱部材同士が混ざらないように、仕切りを設けることが望ましい。仕切りとしては、端部からフィン間に挿入してもよく、外部から仕切り部に切れ込みを入れて仕切り部材を挿入してもよい。
【0044】
第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、蓄熱部9a、9bに区分し、熱の上流側と下流側とで蓄熱開始温度を変えることで、効率よく熱を放熱部に輸送することができる。
【0045】
次に、第4の実施の形態について説明する。図4は、第4の実施も形態にかかる熱交換モジュール30を示す図であり、図4(a)は側面図、図4(b)は図4(a)のD−D線断面図である。熱交換モジュール30は、熱交換モジュール10とほぼ同様の構成であるが、蓄熱部9の構造が異なる。
【0046】
熱交換モジュール30は、蓄熱部9c、9dが積層される。蓄熱部9cは、熱輸送部7と接するように、熱輸送部7の下面に設けられる。蓄熱部9dは、蓄熱部9cの下面に積層される。なお、蓄熱部9c、9dともに、熱輸送部7の全長にわたって設けられる。
【0047】
蓄熱部9c、9dは、内部に充填される蓄熱部材が異なる。ここで、蓄熱部9cに充填される蓄熱部材の融点は蓄熱部9dに充填される蓄熱部材の融点よりも高い。すなわち、蓄熱部9cは蓄熱部9dに対して、より高い温度まで上がらないと個体から液体への相変化が行われない。したがって、蓄熱部9cは、熱輸送部7の温度がある程度以上まで上がらないと、蓄熱が行われない。このようにすることで、熱輸送部7が所定温度となるまでは、蓄熱をせずに効率よく熱を放熱部11側に熱輸送することができる。
【0048】
一方、蓄熱部9dは、より低温から蓄熱を開始する。このようにすることで、熱輸送部7の温度が上昇し、蓄熱部9cによる蓄熱では不足する場合に、直ちに蓄熱部9d蓄熱が開始され、蓄熱部9cへの蓄熱を維持するとともに、放熱部11からの放熱を維持することができる。なお、蓄熱部9a、9b内には、それぞれ、必要に応じてフィン17を設ければよい。
【0049】
第4の実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、蓄熱部9c、9dに区分し、蓄熱部を2段階に積層することで、効率よく熱を放熱部に輸送することができる。
【0050】
次に、前述した熱交換モジュールを用いたモータ構造40について説明する。モータ構造40は、熱交換モジュール40a、モータ41等から構成される。モータ41を構成するケースは、略円筒形状に一体で形成され、略中央にはコイル43が収容される。コイル43が発熱部となる。
【0051】
コイル43の外周には、孔が設けられ、ヒートパイプ13が挿入される。コイル43の外周部のブロック部51と、これに一部が埋設されたヒートパイプ13とが熱輸送部45を構成する。ブロック部51から突出するヒートパイプ13の端部には放熱部47が設けられる。放熱部47は、ヒートパイプ13に複数のフィンが接合されて構成される。
【0052】
ブロック部51の外周部には、蓄熱部49が設けられる。蓄熱部49は、中空部の内部に蓄熱部材15が充填されて構成される。なお、蓄熱部49には、熱輸送方向に開口するフィンを形成してもよい。このようにすることで、ケース全体を一体で、押し出し加工または引き抜き加工によって形成することができる。なお、蓄熱部49の両端は、図示を省略した蓋によって閉じられる。
【0053】
このようなモータ構造40は、コイル43からの熱を熱輸送部45で放熱部47に輸送するとともに、蓄熱部49で蓄熱することができる。この際、蓄熱部49が熱輸送部7と一体で構成される。このため、蓄熱部9と熱輸送部7との間に他のサーマルインターフェースマテリアルなどを用いる必要がなく、熱抵抗を小さくすることができる。
【0054】
なお、蓄熱部49の構造としては、前述したように複数に区分しても良い。
【0055】
次に、前述した熱交換モジュールを用いた暖房システム50について説明する。暖房システム50は、自動車用の暖房システムである。暖房システム50は、複数の熱交換モジュール1a、1b、1cと、エア流路57、エア噴出し部53等から構成される。なお、熱交換モジュール1a、1b、1cは、前述した熱交換モジュール1、10、20、30のいずれを適用してもよい。また、モータ55aと組み合わされる熱交換モジュール1aは、モータ構造40を適用してもよい。また、熱交換モジュールの配置数は、図示した例には限られない。
【0056】
複数の熱交換モジュール1a、1b、1cを併設し、それぞれ、発熱部であるモータ55a、DCDCコンバータ55b、インバータ55cが接合される。熱交換モジュール1a、1b、1cそれぞれの放熱部11は、エア流路57内に配置される。この際、エア流路57を流れるエアの上流側から順に、熱交換モジュール1a、1b、1cが配置される。
【0057】
エア流路57には、上流側から例えば外気が取り入れられる(図中矢印E方向)。エア流路57に取り入れられたエアは、まず、熱交換モジュール1aの放熱部11と熱交換が行われる。次いで、熱交換モジュール1b、1cの順に各放熱部11との熱交換を終えた後、エア噴出し部53から車内へ暖められたエアが送られる(図中矢印F方向)。なお、暖房使用時以外においては、エアは外気に放出される。
【0058】
ここで、熱交換モジュール1a、1b、1cのそれぞれに充填される蓄熱部材の融点は、熱交換モジュール1a、1b、1cの順に高いものが使用される。すなわち、熱交換モジュール1aに用いられる蓄熱部材の融点が最も低く、熱交換モジュール1cに用いられる蓄熱部材の融点が最も高い。したがって、熱交換モジュール1aの蓄熱部はより低温から機能する。
【0059】
また、熱交換モジュール1aの放熱部11は、エア流路57の最も上流側に配置されるため、エアの温度も低く、熱交換効率が優れる。したがって、熱交換モジュール1aは、放熱量も多く、蓄熱開始のタイミングも早いため、冷却対象であるモータ55aの冷却効率が大きい。同様に、熱交換モジュール1b、1cの順に、それぞれの冷却対象であるDCDCコンバータ55b、インバータ55cの冷却効率が悪くなる。
【0060】
一方、モータ55aは熱に弱いため、高い冷却効率が必要となる。したがって、熱交換モジュール1aには最も高い冷却効率が要求される。これに対し、DCDCコンバータ55b、インバータ55cの順に耐熱性が高くなる。このため、蓄熱部が機能する温度を高くして、これにより機器の温度が上昇しても、機器の故障の恐れがない。したがって、機器が耐熱温度以下の使用状態においては、熱を蓄熱部に蓄熱せずに放熱部に輸送することで、熱を有効に利用することができる。このように、熱に対して弱い機器から順にエア流路57の上流側から配置するとともに、蓄熱部材の融点を上流側から順に高くすることで、効率よく熱を放熱させることができる。
【0061】
本実施の形態によれば、発熱部である機器の冷却を行うとともに、発熱した熱を有効に車内暖房に利用することができる。また、機器の配置とこれに用いられる熱交換モジュール1a、1b、1cの構成を適正にすることで、各機器の熱を有効にエア側に輸送することができる。このため、効率の良い暖房システムを得ることができる。
【0062】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0063】
1、1a、1b、1c、10、20、30、40a………熱交換モジュール
3………発熱部
5………本体
7………熱輸送部
9、9a、9b、9c、9d………蓄熱部
11………放熱部
13………ヒートパイプ
15………蓄熱部材
17………フィン
40………モータ構造
41………モータ
43………コイル
45………熱輸送部
47………放熱部
49………蓄熱部
50………暖房システム
51………ブロック部
53………エア噴出し部
55a………モータ
55b………DCDCコンバータ
55c………インバータ
57………エア流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6