特許第6053757号(P6053757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6053757
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】多関節ロボット、搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/06 20060101AFI20161219BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   B25J9/06 D
   H01L21/68 A
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-507907(P2014-507907)
(86)(22)【出願日】2013年3月26日
(86)【国際出願番号】JP2013058742
(87)【国際公開番号】WO2013146763
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2016年1月25日
(31)【優先権主張番号】特願2012-77328(P2012-77328)
(32)【優先日】2012年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100137800
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100148253
【弁理士】
【氏名又は名称】今枝 弘充
(74)【代理人】
【識別番号】100148079
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 裕明
(72)【発明者】
【氏名】田代 征仁
【審査官】 佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−234681(JP,A)
【文献】 再公表特許第2005/004227(JP,A1)
【文献】 特開2004−330321(JP,A)
【文献】 特開2002−158272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/06
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1処理部から、当該第1処理部に対し直線状に配置された第2処理部へ、被処理物を搬送し、基台に固定される基部を備える多関節ロボットにおいて、
駆動部と、
前記駆動部と第1関節部によって前記基部に対し回転自在に連結された第1アームと、
前記第1アームに対し第2関節部によって回転自在に連結された第2アームと、
前記第2アームの先端で、前記第1アームと前記第2アームの垂直方向における間に設けられ、前記第2アームに対し第3関節部によって回転自在に連結され、前記被処理物を把持する把持部と
を備え、
前記把持部を前記把持部の一端から前記第1処理部へ進入させると共に、前記把持部を前記一端に対向する前記把持部の他端から前記第2処理部へ進入させ
前記把持部が移動する場合、前記把持部が前記第1アームと前記第2アームの垂直方向における間を通過する
ことを特徴とする多関節ロボット。
【請求項2】
前記駆動部は、ロータと、前記ロータの同心円状に設けられたステータとを有し、
前記ロータと前記ステータの間には、隔離壁が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の多関節ロボット。
【請求項3】
前記第1間節部は、前記第1アームの基端に固定され、前記駆動部に連結された第1支持軸と、前記第1支持軸の同心円状であって前記基部に固定された第1プーリとを有し、
前記第2関節部は、前記第1アームの先端に固定された第2支持軸と、前記第2支持軸に回転自在に支持された第2プーリと、前記第2支持軸の先端に固定された第3プーリとを有し、
前記第3関節部は、前記第2アームの先端に固定された第3支持軸と、前記第3支持軸に回転自在に支持された第4プーリとを有し、
前記第1プーリと前記第2プーリの間、及び前記第3プーリと前記第4プーリの間には、それぞれベルトが架け渡されていることを特徴とする請求項1に記載の多関節ロボット。
【請求項4】
前記第1プーリと前記第2プーリとの回転比が1:2に設定されており、
前記第3プーリと前記第4プーリとの回転比が2:1に設定されている
ことを特徴とする請求項3に記載の多関節ロボット。
【請求項5】
前記把持部の側部には、一対の折返し部を有し、当該折返し部により前記被処理物の側部の下面を支持することを特徴とする請求項1に記載の多関節ロボット。
【請求項6】
前記第1プーリに連結された伝達軸と、
前記伝達軸に回転力を付与する回転力付与部と
を有する角度調整部を備え、
前記角度調整部は、前記第1処理部と前記第2処理部を結ぶ移動軸に対し直交する方向に前記把持部を移動することを特徴とする請求項2に記載の多関節ロボット。
【請求項7】
第1処理部と
当該第1処理部と連接された1つの搬送部とを備え、
前記搬送部には、
基台に固定される基部と、
駆動部と、
前記駆動部と第1関節部によって前記基部に対し回転自在に連結された第1アームと、
前記第1アームに対し第2関節部によって回転自在に連結された第2アームと、
前記第2アームの先端で、前記第1アームと前記第2アームの垂直方向における間に設けられ、前記第2アームに対し第3関節部によって回転自在に連結され、被処理物を把持する把持部と
を備える多関節ロボットが設けられており、
前記多関節ロボットは、
前記把持部を前記把持部の一端から前記第1処理部へ進入させると共に、
前記把持部を前記一端に対向する前記把持部の他端から、前記搬送部を挟んで前記第1処理部に対し直線状に配置される第2処理部へ進入させ
前記把持部が移動する場合、前記把持部が前記第1アームと前記第2アームの垂直方向における間を通過する
ことを特徴とする搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多関節ロボット、搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多関節ロボットは、連続して設けられた複数の処理部で被処理物に対し連続的に処理を加える処理装置において、処理部に対し被処理物の出し入れを行う搬送部に設けられる。このような処理装置として代表的な半導体処理装置では、搬送部の周囲に加工部としての処理部を放射状に配置したクラスタ型処理装置と、処理部を直線状に配置したインライン型処理装置とが用いられる。クラスタ型処理装置は、処理部の数が最大で5台又は6台に制限されてしまう、という問題がある。これに対しインライン型処理装置は、処理部の数を必要に応じて増やすことができる、という利点がある。
【0003】
従来の多関節ロボットとしては、ベースに第1伝動機構を介して回転自在に装着された第1アームと、該第1アームの先端部に第2伝動機構を介して回転自在に装着された第2アームと、該第2アームの先端部に第3伝動機構を介して回転自在に連結されて、被移載物を載置するためのフォーク部材とを備えるロボット用アーム装置が開示されている(例えば、特許文献1)。フォーク部材は、先端部が二股に形成されており、基端部が第2アームに支持されている。上記特許文献1の場合、ロボット用アーム装置は、フォーク部材がフォーク部材の先端部から常に処理部に進入するように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−310287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の場合、複数の処理部を備えた処理装置において各処理部の入口は方向が異なるので、第1及び第2アームの伸縮動作のみではフォーク部材をフォーク部材の先端部から各処理部へ侵入させることができない。このため、処理部から処理部へ被処理物を搬送する場合、フォーク部材の先端部の方向を処理部の入口に合わせるため、第1及び第2アームが回転する必要がある。そうすると、上記特許文献1では、処理部に対しフォーク部材を進入及び退出させるために第1及び第2アームを伸縮する動作に加え、フォーク部材の先端部の方向を処理部の入口に合わせるために第1及び第2アームが回転する動作が必要になるので、搬送速度が遅くなる、という問題がある。特にインライン型処理装置の場合、直線状に配置された処理部の入口は対向しているため、フォーク部材の先端の方向を処理部の入口に合わせるために第1のアームは180°回転する必要がある。したがって、インライン型処理装置の場合は、第1のアームの回転動作が搬送速度に与える影響が大きい。
【0006】
さらに、従来技術では搬送速度が遅くなることに加え、第1のアームが180°回転することで、搬送のたびに基板が180°回転して処理室に運ばれることになり、処理室によって基板の設置方向が変わってしまうという欠点がある。
【0007】
そこで、本発明は、搬送速度を高速化することができる多関節ロボット、搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る多関節ロボットは、第1処理部から、当該第1処理部に対し直線状に配置された第2処理部へ、被処理物を搬送し、基台に固定される基部を備える多関節ロボットにおいて、駆動部と、前記駆動部と第1関節部によって前記基部に対し回転自在に連結された第1アームと、前記第1アームに対し第2関節部によって回転自在に連結された第2アームと、前記第2アームの先端で、前記第1アームと前記第2アームの垂直方向における間に設けられ、前記第2アームに対し第3関節部によって回転自在に連結され、前記被処理物を把持する把持部とを備え、前記把持部を前記把持部の一端から前記第1処理部へ進入させると共に、前記把持部を前記一端に対向する前記把持部の他端から前記第2処理部へ進入させ、前記把持部が移動する場合、前記把持部が前記第1アームと前記第2アームの垂直方向における間を通過することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る搬送装置は、第1処理部と当該第1処理部と連接された1つの搬送部とを備え、前記搬送部には、基台に固定される基部と、駆動部と、前記駆動部と第1関節部によって前記基部に対し回転自在に連結された第1アームと、前記第1アームに対し第2関節部によって回転自在に連結された第2アームと、前記第2アームの先端で、前記第1アームと前記第2アームの垂直方向における間に設けられ、前記第2アームに対し第3関節部によって回転自在に連結され、被処理物を把持する把持部とを備える多関節ロボットが設けられており、前記多関節ロボットは、前記把持部を前記把持部の一端から前記第1処理部へ進入させると共に、前記把持部を前記一端に対向する前記把持部の他端から、前記搬送部を挟んで前記第1処理部に対し直線状に配置される第2処理部へ進入させ、前記把持部が移動する場合、前記把持部が前記第1アームと前記第2アームの垂直方向における間を通過することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1処理部から第2処理部へ把持部を移動させる際、把持部の方向を転換する動作を省略することができるので、搬送速度を高速化することができる。さらに、搬送を繰り返し行っても、基板を常に同一方向に向けた状態で搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る多関節ロボットの全体構成を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る多関節ロボットの使用状態を示す斜視図であり、アームが収縮した状態を示す図である。
図3】第1実施形態に係る多関節ロボットの縦断面図である。
図4】第1実施形態に係る多関節ロボットの使用状態を示す斜視図であり、アームが一方向へ伸張した状態を示す図である。
図5】第1実施形態に係る多関節ロボットの使用状態を示す斜視図であり、アームが他方向へ伸張した状態を示す図である。
図6】第1実施形態に係る多関節ロボットを適用したインライン型処理装置の例を示す平面図である。
図7】第1実施形態に係る多関節ロボットを適用したインライン型処理装置の使用状態を段階的に示す部分平面図であり、図7Aはアームが原点にある状態、図7Bは把持部が上流側の処理部に進入した状態、図7Cは把持部が上流側の処理部で基板を受け取った状態、図7Dは把持部が上流側の処理部から退出し始めた状態、図7Eは把持部が原点を通過している状態を示す図である。
図8】第1実施形態に係る多関節ロボットを適用したインライン型処理装置において処理部の載置台の使用状態を段階的に示す図であり、図8Aは基板が載置台に載置されている状態、図8Bは基板がリフトピンによって上昇した状態、図8Cは把持部が載置台まで到達した状態、図8Dは把持部が基板を受け取った状態を示す図である。
図9】第1実施形態に係る多関節ロボットを適用したインライン型処理装置の使用状態を段階的に示す部分平面図であり、図9Aは把持部が下流側の処理部に進入した状態、図9Bは把持部が下流側の処理部で基板を受け渡した状態、図9Cは把持部が下流側の処理部から退出し始めた状態、図9Dは把持部が原点に復帰した状態を示す図である。
図10】第2実施形態に係る多関節ロボットの縦断面図である。
図11】第2実施形態に係る多関節ロボットの部分斜視図である。
図12】第2実施形態に係る多関節ロボットの使用状態を示す斜視図であり、アームが一方向へ伸張した状態を示す図である。
図13】第2実施形態に係る角度調整部の構成を示す模式図である。
図14】第2実施形態に係る角度調整部の使用状態を示す模式図であり、第4支持軸を時計回りに回転させた状態を示す図である。
図15】第2実施形態に係る角度調整部の使用状態を示す模式図であり、第4支持軸を反時計回りに回転させた状態を示す図である。
図16】第2実施形態に係る多関節ロボットの使用状態を示す斜視図であり、アームが他方向へ伸張した状態を示す図である。
図17】第3実施形態に係るインライン型処理装置の構成を模式的に示す平面図である。
図18】変形例に係るインライン型処理装置の構成を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0012】
1A :多関節ロボット
2 :アーム
3 :把持部
4 :第1アーム
5E :一端
6 :第2アーム
7E :他端
8 :第1関節部
10 :第2関節部
12 :第3関節部
16 :折返し部
17 :基台
50 :インライン型処理装置
54 :処理部
55 :搬送部
56 :基板(被処理物)
60 :角度調整部
94 :搬送モジュール
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
1.第1実施形態
(多関節ロボットの構成)
【0014】
第1実施形態に係る多関節ロボットについて説明する。図1に示す多関節ロボット1Aは、伸縮自在のアーム2と、アーム2の先端に設けられ、基板を保持する把持部3と、アーム2の基端を回転自在に支持する基部9とを備える。アーム2は、第1アーム4と、当該第1アーム4上に重なるように設けられた第2アーム6とを有する。
【0015】
第1アーム4は、基端において第1関節部8により基部9に対して回転自在に連結されている。第2アーム6は、基端において第2関節部10により第1アーム4の先端に回転自在に連結されている。本実施形態の場合、第1アーム4と第2アーム6は、略同じ長さLに形成されている。
【0016】
把持部3は、第3関節部12により第2アーム6の先端に回転自在に連結されている。把持部3は、略水平に設けられ、円盤状の天板部14と、天板部14の両側部から、図中移動軸Wに向かってコの字状に屈曲して、さらに移動軸Wに略平行に形成された、複数(本図の場合2個)の折返し部16とを有する。移動軸Wは、後述する第1処理部と当該第1処理部に対し一直線状に配置された第2処理部とを結ぶ軸をいう。
【0017】
本実施形態の場合、把持部3は、第2アーム6と第1アーム4との垂直方向における間に配置され、天板部14の上面の略中心において第3関節部12により第2アーム6の先端に回転自在に支持されている。なお、天板部14の形状は、円盤状の部材に限定されず、矩形状であってもよい。
【0018】
多関節ロボット1Aは、第1アーム4と第2アーム6とからなるアーム2が伸縮することにより、折返し部16を移動軸Wに対し平行に保った状態で把持部3を移動軸Wに沿って移動させる。
【0019】
図2に示すように、多関節ロボット1Aは、基部9(図1)において基台17に固定される。なお、基台17としては、第1処理部(真空用チャンバ)の内壁が挙げられる。本図において、アーム2は収縮した状態、すなわち、第1アーム4と第2アーム6とが上下方向に重なった状態である。本実施形態の場合、第1アーム4と第2アーム6は略同じ長さに形成されていることにより、第1関節部8と第3関節部12とが同軸上に重なる。
【0020】
図3は、図2に示す多関節ロボットの縦断面図であるが、便宜上基部9の上面に固定される基台17の図示は省略されている。図3に示すように、第1関節部8は、第1アーム4の基端に固定された第1支持軸20Aと、当該第1支持軸20Aの外側であって同心円状に設けられた第1プーリ22とを有する。第1プーリ22は、固定軸11を介して基部9に固定されている。第1支持軸20Aは、同軸上に設けられた第1伝達軸43Aに接続されている。第1アーム4は、基端に設けられた頂部19において、第1支持軸20Aに接続されており、第1軸受21を介して固定軸11に回転自在に支持されている。
【0021】
図3に示すように、第2関節部10は、第1アーム4の先端に固定された第2支持軸26と、当該第2支持軸26に第2軸受27を介して回転自在に支持された第2プーリ28と、第2支持軸26の先端に固定された第3プーリ30とを有する。第2アーム6は、基端において第2プーリ28に固定されている。第3プーリ30は、第2アーム6の基端に第3軸受29を介して回転自在に支持されている。
【0022】
図3に示すように、第3関節部12は、第2アーム6の先端に固定された第3支持軸32と、当該第3支持軸32に第4軸受31を介して回転自在に支持された第4プーリ34とを有する。第4プーリ34の先端には、把持部3が固定されている。折返し部16の折返し面33には、基板を載置するためのピン35が複数、本実施形態の場合、把持部3に合計4個設けられている。
【0023】
第1プーリ22と第2プーリ28の間には、ベルト(図示しない)が架け渡されている。第1プーリ22と第2プーリ28は、回転比が1:2に設定されている。第2プーリ28と第3プーリ30は、互いに直結されており、回転比が2:2に設定されている。第3プーリ30と第4プーリ34の間には、ベルト(図示しない)が架け渡されている。第3プーリ30と第4プーリ34は、回転比が2:1に設定されている。
【0024】
多関節ロボット1Aは、第1アーム4の基端において、第1駆動部36に連結されている。第1駆動部36は、基部9に固定された本体37及び、当該本体37に設けられた主軸38と、ロータ40と、電磁石からなるステータ42と、エンコーダリング48の位置を検出するエンコーダ44とを有する。
【0025】
主軸38は、先端において同軸上に設けられた第1伝達軸43Aを介して、第1支持軸20Aに連結されている。また主軸38は、基部9に対し第5軸受39を介して回転自在に支持されている。これにより第1アーム4は、頂部19において、第1支持軸20A、第1伝達軸43Aを介して主軸38に連結されており、第5軸受39を介して基台17に回転自在に支持されている。
【0026】
ロータ40は主軸38に連結されている。ステータ42は、隔離壁46を介してロータ40の同心円状に設けられている。なお、この隔離壁46は、大気中で用いる装置ではなくてもよい。エンコーダ44は、ロータ40の基端に設けられたエンコーダリング48を検出可能な位置に設置されている。
【0027】
ロータ40は、ステータ42からの磁力により付与される回転力により回転する。当該回転力は主軸38を介して第1支持軸20Aへ伝達される。エンコーダ44は、ロータ40の回転角度を検出し、図示しない制御コンピュータへ出力する。制御コンピュータはロータ40の回転角度に応じてフィードバック制御により、第1支持軸20Aの回転角を所定の回転角度に制御する。
【0028】
第1支持軸20Aの回転角を所定の回転角度に制御し、多関節ロボット1Aは、図4に示すように、アーム2を伸張して把持部3を移動軸Wに沿って一方向へ移動させることができる。また、多関節ロボット1Aは、第1支持軸20Aの回転角を所定の回転角度に制御してアーム2を一旦収縮すると共に(図2)、連続的にアーム2を伸張して把持部3を移動軸Wに沿って一方向とは逆の他方向へ移動させることができる(図5)。本実施形態の場合、アーム2が、一方向へ伸張した状態(図4)、収縮した状態(図2)、他方向へ伸張した状態(図5)へ連続的に移行する際、把持部3は折返し部16が移動軸Wに対し平行のまま移動する。また、アーム2が、一方向へ伸張した状態(図4)、収縮した状態(図2)、他方向へ伸張した状態(図5)へ連続的に移行する際、把持部3は一端5Eが一方向へ向いており、他端7Eが他方向へ向いたまま、移動軸W上を移動する。
【0029】
(多関節ロボットの動作)
図1図2図4図5を参照して本実施形態に係る多関節ロボット1Aの動作について説明する。アーム2が収縮した状態、すなわち第1アーム4と第2アーム6とが上下方向に重なった状態(図2)を原点とする。原点において、第1関節部8(図1)と第3関節部12は同軸上に重なった状態である。また、把持部3は、折返し部16が移動軸Wに対し平行の状態である。
【0030】
図2に示すように、原点にあるアーム2に対し、第1駆動部36が第1支持軸20Aを所定角度、例えば時計回りに角度αだけ回転させる場合について説明する。第1支持軸20Aの回転に伴い、第1支持軸20Aと頂部19において固定されている第1アーム4が第1関節部8を中心として時計回りに角度αだけ回転する。
【0031】
第1アーム4が回転することにより、第1プーリ22とベルトで連結された第2プーリ28は、第1プーリ22との間をベルトが相対的に走行することにより第1アーム4と逆回転、すなわち反時計回りに回転する。第2プーリ28が反時計回りに回転すると、第2プーリ28に固定された第2アーム6が、第2関節部10を中心として第2プーリ28と共に反時計回りに回転する。第1プーリ22と第2プーリ28の回転比が1:2に設定されているので、第1アーム4がα回転した場合、第1アーム4に対する第2アーム6の回転角度は反時計回りに2αである。第2アーム6の回転により、第2アーム6の先端である第4関節部は、原点から一方向へ2Lsinαだけ離れた位置へ移動軸W上を移動する。
【0032】
第2アーム6が回転することにより、第3プーリ30とベルトで連結された第4プーリ34は、第3プーリ30との間をベルトが相対的に走行することにより第2アーム6と逆回転、すなわち時計回りに回転する。第3プーリ30が時計回りに回転すると、第4プーリ34に固定された把持部3が、第3関節部12を中心として、第4プーリ34と共に時計回りに回転する。第3プーリ30と第4プーリ34の回転比が2:1に設定されているので、第2アーム6に対する把持部3の回転角度は時計回りにαである。把持部3の回転により、把持部3は、折返し部16が移動軸Wに対し平行の状態を保持しており、一端5Eが一方向を向いている(図4)。
【0033】
このようにして多関節ロボット1Aは、原点にあるアーム2に対し第1支持軸20Aを時計回りに角度αだけ回転させることにより、アーム2を一方向へ伸張させることができる。
【0034】
次に図4に示すように、一方向へ伸張した状態にあるアーム2に対し、第1駆動部36が第1支持軸20Aを所定角度、例えば、反時計回りに角度2αだけ回転させる場合について段階的に説明する。まず、反時計回りに角度αだけ回転した状態について説明する。
【0035】
第1支持軸20Aの回転に伴い、第1アーム4が第1関節部8を中心として反時計回りに角度αだけ回転する。第2アーム6は、第1アーム4の回転により第2関節部10を中心として第1アーム4と逆回転、すなわち時計回りに回転する。第1プーリ22と第2プーリ28の回転比が1:2に設定されているので、第1アーム4に対する第2アーム6の回転角度は時計回りに2αである。第2アーム6の回転により、第2アーム6の先端である第3関節部12は、原点から一方向へ2Lsinαだけ離れた位置へ移動軸W上を移動する。
【0036】
把持部3は、第3関節部12を中心として、第2アーム6と逆回転すなわち反時計回りに、第1アーム4及び第2アーム6と同時に回転する。第3プーリ30と第4プーリ34の回転比が2:1に設定されているので、第2アーム6に対する把持部3の回転角度は反時計回りにαである。把持部3の回転により、折返し部16が移動軸Wに対し平行の状態を保持している(図2)。
【0037】
このようにして多関節ロボット1Aは、一方向へ伸張した状態にあるアーム2に対し、第1支持軸20Aを反時計回りに角度αだけ回転させることにより、原点に復帰する。
【0038】
さらに原点から反時計回りに角度αだけ第1支持軸20Aが回転した状態について説明する。第1支持軸20Aの回転により、第1アーム4が第1関節部8を中心としてさらに反時計回りに角度αだけ回転する。第2アーム6は、第1アーム4の回転により第2関節部10を中心として第1アーム4と逆回転すなわち時計回りに回転する。第1プーリ22と第2プーリ28の回転比が1:2に設定されているので、第1アーム4に対する第2アーム6の回転角度は時計回りに2αである。第2アーム6の回転により、第2アーム6の先端である第3関節部12は、原点から他方向へ2Lsinαだけ離れた位置へ移動軸W上を移動する。
【0039】
把持部3は、第3関節部12を中心として、第2アーム6と逆回転すなわち反時計回りに、第1アーム4及び第2アーム6と同時に回転する。第3プーリ30と第4プーリ34の回転比が2:1に設定されているので、第2アーム6に対する把持部3の回転角度は反時計回りにαである。把持部3の回転により、把持部3は、折返し部16が移動軸Wに対し平行の状態を保持しており、他端7Eが他方向を向いている(図5)。
【0040】
このようにして多関節ロボット1Aは、原点にあるアーム2に対し第1支持軸20Aを反時計回りに角度αだけ回転させることにより、アーム2を他方向へ伸張させることができる。
【0041】
また、多関節ロボット1Aは、他方向へ伸張した状態にあるアーム2に対し、第1支持軸20Aを時計回りに角度αだけ回転させることにより、原点に復帰する。
【0042】
本実施形態に係る多関節ロボット1Aは、移動軸W上を一方向から他方向へ把持部3を移動させる際、把持部3の方向を転換する動作を省略することができるので、搬送速度を高速化することができる。
【0043】
(インライン型処理装置の構成)
本実施形態に係る多関節ロボット1Aを適用した搬送装置としてのインライン型処理装置について図6を参照して説明する。
【0044】
図6に示すインライン型処理装置50は、ロードロック部52と、処理ライン53とを備える。処理ライン53は、逆コ字状に配置された複数の処理部(チャンバ)54(54A、54B、54C、54D、54E、54F、54G、54H、54J、54K)と、各処理部54同士の間に配置された搬送部55とを有する。ロードロック部52は、処理ライン53へ被処理物を搬入する搬入部52Aと、処理ライン53から被処理物を搬出する搬出部52Bとを有する。処理部54は特に限定されるものではないが、例えば、スパッタ装置やCVD(Chemical vapor deposition)装置などの真空装置、アニール装置、クーリング装置、洗浄装置、塗布装置、エッチング装置などが適用できる。
【0045】
本実施形態の場合、インライン型処理装置50は、5個の処理部54が直線状に配置された処理ライン53を2個有する。処理ライン53は並列に配置され、一端の処理部54A、54Kはロードロック部52に接続されており、他端の処理部54E、54Fは搬送部55によって連結されている。処理部54同士の間に設けられた搬送部55内には、本実施形態に係る多関節ロボット1Aが配置されている。
【0046】
処理部54と搬送部55の間には、本図には図示しないが、被処理物を処理部54内へ搬入する搬入口としてのゲートバルブが設けられている。被処理物は、搬入部52Aによって最も上流の処理部54Aに搬入される。搬入された被処理物は、搬送部55に設けられた多関節ロボット1Aにより下流側の処理部54B、処理部54C・・・へ順に搬送され、最も下流の処理部54Kから搬出部52Bによって搬出される。
【0047】
(動作及び効果)
図7図9を参照して、インライン型処理装置50における搬送手順について説明する。インライン型処理装置50では、各搬送部55における多関節ロボット1Aが上流の処理部54から下流の処理部54へ被処理物を同時に搬送する。搬送手順は、上流と下流の関係にある処理部54間において同様である。一例として、第1処理部としての処理部54Hから第2処理部としての処理部54Jへ被処理物を搬送する手順についてのみ説明する。
【0048】
図7Aは、多関節ロボット1Aが原点にある状態を示している。本図において、被処理物としての基板56は処理部54Hの載置台58に載置されている(図8A)。載置台58には複数のリフトピン59が設けられている。リフトピン59は搬送時に基板56を昇降する。
【0049】
インライン型処理装置50は、各処理部54Hにおける処理が完了すると、搬送動作を開始する。処理部54Hは、リフトピン59を上昇させて基板56を上昇させる(図8B)。多関節ロボット1Aは、原点からアーム2を一方向に伸張させる。本図の場合、多関節ロボット1Aは上流の処理部54Hに向かってアーム2を伸張させる。アーム2の伸張に伴い、アーム2の先端に設けられた把持部3が一端5Eからゲートバルブを通過して処理部54H内に進入する(図7B)。
【0050】
把持部3は、一端5Eを上流側へ向け、折返し部16を移動軸Wに対し平行に保持した状態で基板56上に移動する(図7C)。図8Cに示すように、把持部3は、天板部14が基板56上面を覆い、折返し部16の折返し面33が基板56の側部底面を囲むように、基板56を収容する。
【0051】
処理部54Hは、リフトピン59を下降させる。そうすると、基板56は、側部の下面において折返し部16の折返し面33に形成されたピン35に載置される(図8D)。このようにして把持部3は基板56を載置台58から受け取る。この状態で多関節ロボット1Aは、アーム2を収縮することにより、把持部3を処理部54Hから退出させる(図7D)。このとき、基板56の一端は上流側に向いたままである。多関節ロボット1Aは、折返し部16を移動軸Wに対し平行に保持した状態で把持部3を下流側へさらに移動させ、原点を通過する(図7E)。
【0052】
アーム2は、折返し部16を移動軸Wに対し平行に保持した状態で連続的に下流側へ把持部3を移動させる(図9A)。すなわち、多関節ロボット1Aは処理ライン53の下流側にアーム2を伸張させる。アーム2の伸張に伴い、アーム2の先端に設けられた把持部3が他端7Eからゲートバルブを通過して処理部54J内に進入する。
【0053】
把持部3は、他端7Eを下流側へ向け、折返し部16を移動軸Wに対し平行に保持した状態で移動する。把持部3は、移動軸Wに対し基板56を回転させずに処理部54Hに載置されていた状態と同じ状態で、処理部54Jの載置台58上に到達するまで移動する(図9B図8D)。
【0054】
処理部54Jは、リフトピン59を上昇させる。そうすると、基板56は、下面からリフトピン59によって持ち上げられる(図8C)。この状態で多関節ロボット1Aは、アーム2を収縮することにより、把持部3を処理部54Jから退出させる(図9C)。このようにして把持部3は基板56を載置台58に受け渡す。
【0055】
多関節ロボット1Aは、折返し部16を移動軸Wに対し平行に保持した状態で把持部3を下流側へさらに移動させ、原点に復帰する(図9D)。処理部54Jは、把持部3が処理部54Jから退出した後(図8B)、リフトピン59を下降させ、基板56を載置台58に載置する(図8A)。このとき、基板56の一端に対向する他端は下流側に向いている。
【0056】
本実施形態に係る多関節ロボット1Aは、処理部54Hへ前記把持部3を一端5Eから進入させると共に、前記処理部54Jに対し前記一端5Eに対向する他端7Eから前記把持部3を進入させる。そうすると多関節ロボット1Aは、従来のように把持部3の先端を処理部の入口方向へ合わせるためにアーム2を回転する必要がないので、その分、搬送速度を高速化することができる。したがって搬送部55に本実施形態に係る多関節ロボット1Aを備えたインライン型処理装置50では、搬送速度を飛躍的に高速化することができる。
【0057】
多関節ロボット1Aは、処理部54Hへ前記把持部3を一端5Eから進入させると共に、前記処理部54Jに対し前記一端5Eに対向する他端7Eから前記把持部3を進入させるので、移動軸Wに対し基板56を回転させずに処理部54Hに載置されていた状態と同じ状態で、処理部54Jの載置台58上に基板56を移動することができる。
【0058】
多関節ロボット1Aは、把持部3の上部において当該把持部3を第2アーム6の先端に回転自在に支持しているので、把持部3のみを、リフトピン59に載置された基板56と載置台58の間に挿入すればよい。そのため、アーム等が処理部54の載置台58に干渉せずに把持部3を処理部54内に進入させることができ、装置全体を小型化するとともに、基板56の受け渡しを迅速に行うことができる。
【0059】
把持部3は、側部に設けた折返し部16において基板56を保持することにより、処理部54の載置台58に設けられたリフトピン59に干渉せずに載置台58から基板56を受け取り、又は載置台58に基板56を受け渡すことができる。
【0060】
把持部3は、天板部14を備えることにより、搬送の際、基板56表面に異物が付着することを防止することができる。
【0061】
多関節ロボット1Aは、把持部3の略中央において第2アーム6の先端を回転自在に支持しているので、基板56の向きを変えずに、隣り合う処理部に対して容易に位置決めできる。
【0062】
多関節ロボット1Aは、第1アーム4と第2アーム6とを略同じ長さに形成したので、伸張及び収縮に必要なスペースを最小化することができる。
【0063】
2.第2実施形態
第2実施形態に係る多関節ロボット1Bについて図を参照して説明する。
【0064】
(全体構成)
上記第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。図3と同様の構成について同様の符号を付した図10に示す多関節ロボット1Bは、角度調整部60を備える。
【0065】
角度調整部60は、回転力付与部66と、該回転力付与部66の回転力を第1プーリ22に伝達する第2伝達軸71とを有する。回転力付与部66は、第6軸受78に回転自在に支持された第4支持軸64と、当該第4支持軸64に一端76が固定された梃子部69とを有する。第6軸受78は、基部9に固定されている。これにより、第4支持軸64と梃子部69とは、軸受78を介して基部9に回転自在に支持されている。
【0066】
第2伝達軸71は、内径が第1支持軸20Bの外形よりも大きい円筒形状の部材で形成され、第1支持軸20Bの同心円状に設けられている。第4支持軸64、梃子部69の一端76は、それぞれ第1支持軸20B及び第1伝達軸43Bの外形よりも大きい内径を有する円筒状の部材で形成され、第1支持軸20B及び第1伝達軸43Bの同心円状に設けられている。第1伝達軸43Bは主軸38と第1支持軸20Bとを接続するように形成されている。
【0067】
第4支持軸64は、第2伝達軸71の一端に固定されている。第2伝達軸71の他端は、第1プーリ22に固定されている。梃子部69は、一端76が、第4支持軸64、第2伝達軸71を介して第1プーリ22と連結されている。梃子部69の他端75は、基部9側面に形成された挿通穴67から基部9の外へ導出されており、連結部72に連結されている。これにより梃子部69は、回転力付与部66の回転力を第4支持軸64、第2伝達軸71を介して、第1プーリ22に伝達する。
【0068】
なお、上記第1実施形態の場合、第1プーリ22は基部9を介して基台17に固定されていたが、本実施形態の場合、第1プーリ22は第6軸受78を介して基部9に回転自在に支持されている点が異なる。
【0069】
図11に示すように回転力付与部66は、第2駆動部68と、直動変換部70と、連結部72と、可撓部74とを有する。第2駆動部68の主軸(図示しない)に直動変換部70が直結されている。本実施形態の場合、基部9の側面に挿通穴67に合わせてフランジ73が設けられている。回転力付与部66は、前記フランジ73に固定されている。
【0070】
直動変換部70は、第2駆動部68の回転運動を直線運動に変換する。直動変換部70は、特に限定されるものではないが、例えばボールねじやウォームねじなどを用いることができる。連結部72は、直動変換部70と梃子部69の他端とを、直動運動の運動方向に対し梃子部69の長手方向が直交するように連結する。連結部72は、特に限定されるものではないが、例えば、ボールジョイントを用いることができる。挿通穴67の外側には可撓部74が設けられており、梃子部69を基部9に対し支持している。可撓部74は、本図の場合、ベローズが用いられている。
【0071】
(動作及び効果)
角度調整部60により、把持部3の位置を調整する動作を説明する。角度調整部60は、第1関節部8を中心として第1プーリ22(図10)を微小に回転させる。これにより多関節ロボット1Bは、伸張した状態の第2アーム6の先端、すなわち把持部3を図12に示すy方向又は−y方向に移動させることにより、載置台58に対する基板56の微小な位置調整を行う。
【0072】
アーム2を一方向へ伸張させた場合の把持部3の位置をy方向へ微小に移動させる場合について説明する。まず第2駆動部68が正方向の回転力を直動変換部70に出力する。実際には、第2駆動部68はカップリング77を介して直動変換部70に連結されている。
【0073】
正方向の回転力により直動変換部70は、連結部72を図12中F方向に押し出す。これにより、連結部72は梃子部69の他端75を図中F方向に押し出す。
【0074】
そうすると、梃子部69の一端は第4支持軸64に固定されているので、梃子部69は第4支持軸64を中心として時計回りに回転する。この際、可撓部74は梃子部69と共に変形する。梃子部69の一端76は第4支持軸64に固定されているので、梃子部69と一体となって第4支持軸64は時計回りに微小に回転する。
【0075】
第4支持軸64は第2伝達軸71を介して第1プーリ22と連結されているので、第4支持軸64と共に、第1プーリ22が時計回りに微小に回転する(図14)。このようにして角度調整部60は、アーム2を一方向へ伸張させた場合の把持部3の位置を、図12に示すy方向へ移動させることができる。
【0076】
次に、アーム2を一方向へ伸張させた場合の把持部3の位置を−y方向へ微小に移動させる場合について説明する。まず第2駆動部68が逆方向の回転力を直動変換部70に出力する。逆方向の回転力により直動変換部70は、連結部72に連結された梃子部69の他端75を図中B方向に引き込む。
【0077】
そうすると、梃子部69は、第4支持軸64を中心として反時計回りに回転する。梃子部69の一端76は第4支持軸64に固定されているので、梃子部69と一体となって第4支持軸64は反時計回りに微小に回転する。
【0078】
第4支持軸64は第2伝達軸71を介して第1プーリ22と連結されているので、第4支持軸64と共に、第1プーリ22が反時計回りに微小に回転する(図15)。このようにして角度調整部60は、アーム2を一方向へ伸張させた場合の把持部3の位置を、図12に示す−y方向へ移動させることができる。
【0079】
図16に示すように、アーム2を他方向へ伸張させた場合、上記とは逆に第1プーリ22を反時計回りに微小に回転させるとともに第1伝達軸43Bを回転させることにより、把持部3の位置をy方向へ微小に移動させることができる。またアーム2を他方向へ伸張させた場合、上記とは逆に第1プーリ22を時計回りに微小に回転させるとともに、第1伝達軸43Bを回転させることにより、把持部3の位置を−y方向へ微小に移動させることができる。
【0080】
多関節ロボット1Bは、角度調整部60において、第1プーリ22を時計回り又は反時計回りに微小に回転させ、把持部3の位置をy方向又は−y方向に移動させることができる。したがって多関節ロボット1Bは、アーム2を伸張又は収縮させて移動軸W方向に把持部3を移動させると共に、角度調整部60において第1プーリ22を回転させてy方向又は−y方向に把持部3を移動させることにより、把持部3で把持した基板56の位置を処理部54における載置台58の位置に容易に調整することができる。
【0081】
インライン型処理装置50(図6)は、処理部54と搬送部55とを複数直線状に接続して形成されるので、移動軸W方向及び移動軸Wに対し直交するy方向又は−y方向に処理部54同士の間に微小にずれが生じる。移動軸W方向のずれは、アーム2を伸張又は収縮することにより、吸収することができる。移動軸Wに対し直交するy方向又は−y方向のずれは、上記角度調整部60により、吸収することができる。
【0082】
本実施形態に係る多関節ロボット1Bは、角度調整部60により移動軸Wに対し直交するy方向又は−y方向のずれを吸収する。角度調整部60は、第4支持軸64を微小に回転させればよいので、第2駆動部68を第1駆動部36に比べ小型にすることができる。したがって、角度調整部60は、構成を簡素化、小型化することができる。
【0083】
3.第3実施形態
本発明に係るインライン型処理装置の実施形態について図面を参照して説明する。図17に示すインライン型処理装置80Aは、処理部82と搬送部84とが直線状に配置された処理ラインを有している。処理ラインは全体として逆U字型に形成されている。処理部82と搬送部84の間にはゲートバルブ86が設けられている。搬送部84内には多関節ロボット1Bが設けられている。
【0084】
処理ラインの一端には処理ラインとの間で処理前の基板を供給すると共に処理済の基板を受け取るバッファ室88が設けられている。バッファ室88には公知のスカラロボット90が複数(本図では2個)設けられている。バッファ室88には、当該バッファ室88に対し処理前の基板及び処理済の基板を蓄積するロードロック部92が複数(本図では4個)設けられている。
【0085】
本実施形態に係るインライン型処理装置80Aは、角度調整部60を有する多関節ロボット1Bを搬送部84に設けたから、処理部82間のずれを容易に吸収することができるので、処理ラインを容易に長く形成することができる。
【0086】
インライン型処理装置80Aは搬送部84を間に挟んだ処理部82間の距離Pが一定である。したがって、1個の搬送部84と、当該搬送部84の両側にそれぞれ連結されたゲートバルブ86と、当該ゲートバルブ86の一方に連結された1個の処理部82とを1単位とする搬送モジュール94を形成することができる。
【0087】
図18に示すインライン型処理装置80Bは、前記搬送モジュール94を用いることにより、処理ラインを所望の形状に形成することができることを示す例である。本図に示すように、前記搬送モジュール94は、適宜組み合わせることにより処理ラインの方向を転換することができる。したがって、搬送モジュール94は、適宜組み合わせることにより、所望の形状にレイアウトしたインライン型処理装置80Bを形成することができるので、スペースをより効率的に活用することができる。
【0088】
4.変形例
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。上記実施形態の場合、折返し部16の折返し面33にはピン35が把持部3に合計4個設けられている場合について説明したが、本発明はこれに限らず、3個又は5個以上であってもよい。
【0089】
インライン型処理装置の構成を例示したが、処理部及び搬送部の数は、上記実施形態に限定されるものではなく適宜増減することができる。
【0090】
上記実施形態の場合、第1アームと第2アームとは略同じ長さに形成されている場合について説明したが、本発明はこれに限らず、第1アームが第2アームより長く形成されていてもよいし、逆に第2アームが第1アームより長く形成されていてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18