【実施例】
【0040】
[焙煎油の製造]
(製造例1)(コーンジャム焙煎油の製造)
D50が3832μmのコーンジャム(油糧原料1−1)をカッターミルで粉砕処理し、D50が3029μm(粉砕処理前のD50の79%、2800μmパス 34%)のコーンジャム粉砕物を得た(油糧原料1−2)。さらに、得られたコーンジャム粉砕物のJIS標準ふるいの目開き1mmの篩上を分級回収し、D50が3086μm(粉砕処理前のD50の80.5%、2800μmパス 25%)のコーンジャム粉砕物を得た(油糧原料1−3)。また、更に細かく粉砕処理したコーンジャム粉砕物を、JIS標準ふるいの目開き1689μmと1180μmの篩で分級し、コーンジャム粉砕物を得た(油糧原料1−4、5)。コーンジャム(油糧原料1−1)及びコーンジャム粉砕物(油糧原料1−2〜1−5)の粒度に応じた通過質量百分率を表1、
図1に示す。
【0041】
なお、各粉砕物の粒度に応じた通過質量百分率は、乾式自動振動機(商品名「VSS−50」、筒井理化学器械株式会社製)により各粉砕物約200gを10分間ふるい分けして粒度分布を求め、この粒度分布から各粒度における通過質量百分率を算出することにより求めた。また、D50は、通過質量百分率において50%となる粒径とした。
【0042】
【表1】
【0043】
次に、表1に示す各油糧原料を、最終品温120〜160℃に達温するまで直火で、8〜20分焙煎処理した。焙煎処理した各油糧原料の含水量を3〜5%に調整し、エキスペラー式圧搾機にて圧搾処理して油分を回収した。回収した油分を脱ガム処理し、ろ過処理して、コーンジャム焙煎油を製造した。
【0044】
(製造例2)(菜種焙煎油の製造1)
D50が1737μmの菜種(油糧原料2−1)をカッターミルで粉砕処理し、D50が910μm(粉砕処理前のD50の52%、1400μmパス 65%)の菜種粉砕物(油糧原料2−2)を得た。なお、D50は、製造例1と同様にして求めた。
また、同菜種を圧扁処理して菜種圧扁処理物(油糧原料2−3)を得た。
次に、油糧原料2−1、2−2、2−3を、最終品温120℃に達温するまで直火で、6〜30分焙煎処理した。焙煎処理した各油糧原料の含水量を約3%に調整し、エキスペラーにて圧搾処理して油分を回収した。回収した油分を脱ガム処理し、ろ過処理して、菜種焙煎油を製造した。
【0045】
(製造例3)(菜種焙煎油の製造2)
油糧原料2−1および2−2を用いて、最終品温100℃、120℃、140℃に達温するまで直火で、約5〜30分焙煎処理した。焙煎処理した各油糧原料の含水量を約3%に調整し、エキスペラーにて圧搾処理して油分を回収した。回収した油分を脱ガム処理し、ろ過処理して、菜種焙煎油を製造した。
【0046】
(製造例4)(菜種焙煎油の製造3)
D50が1737μmの菜種(油糧原料3−1)をクラッキングロールで粉砕処理し、D50が1375μm(粉砕処理前のD50の79%、1400μmパス 54%)の菜種粉砕物(油糧原料3−2)を得た。また、前記菜種を衝撃式粉砕機で粉砕処理し、D50が1392μm(粉砕処理前のD50の80%、1400μmパス 51%)の菜種粉砕物(油糧原料3−3)を得た。菜種(油糧原料3−1)及び菜種粉砕物(油糧原料3−2、3−3)の粒度分布を表2、
図2に示す。なお、各粉砕物の粒度に応じた通過質量百分率及びD50は、製造例1と同様にして求めた。
【0047】
【表2】
【0048】
次に、表2に示す各油糧原料を、最終品温120℃に達温するまで直火で、約8分焙煎処理した。焙煎処理した各油糧原料の含水量を約3%に調整し、エキスペラーにて圧搾処理して油分を回収した。回収した油分を脱ガム処理し、ろ過処理して、菜種焙煎油を製造した。
【0049】
[焙煎油の評価]
(試験例1)
製造例1で得られたコーンジャム焙煎油の2質量部と、コーン油(製品名「AJINOMOTO 胚芽の恵みコーン油」 (株)J−オイルミルズ社製)の8質量部とを混合し、油脂組成物を調製した。
各油脂組成物の100gを300ml容ビーカーに採取し、160℃達温から10分後に、加熱時の香り(穀物臭、香ばしさ)を、表3の評価基準に基づき、2名のパネラーにより官能評価を行い、平均値を算出した。また、天ぷら粉120gと水200gとを混合してバッターを調製した。バッター10gを、各油脂組成物で160℃、1分30秒フライし、揚げ玉を製造した。得られた揚げ玉の味(穀物臭、香ばしさ、甘い風味)について、表3の評価基準に基づき、2名のパネラーにより官能評価を行い、平均値を算出した。結果を表4に記す。
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
(試験例2)
製造例1で得られたコーンジャム焙煎油の2質量部と、コーン油(製品名「AJINOMOTO 胚芽の恵みコーン油」 (株)J−オイルミルズ社製)の8質量部とを混合し、油脂組成物を調製した。
調製した各油脂組成物の300gを500ml容片手鍋に採取し、160℃達温から10分後に、加熱時の香り(穀物臭、甘く香ばしい香り、焦げ臭)について、表5の評価基準に基づき、2名のパネラーにより官能評価を行い、平均値を算出した。結果を表6に記す。
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
(試験例3)
天ぷら粉120gと水200gとを混合してバッターを調製した。バッター10gを、試験例2で調製した各油脂組成物で160℃、1分30秒フライし、揚げ玉を製造した。得られた揚げ玉の風味(穀物臭、甘み・厚み・持続性、香ばしさ)について、表7の評価基準に基づき、2名のパネラーにより官能評価を行い、平均値を算出した。結果を表8に記す。
【0056】
【表7】
【0057】
【表8】
【0058】
(試験例4)
試験例2で調製した各油脂組成物でポテト(製品名「シューストリングフライポテト」 味の素冷凍食品株式会社製)を160℃、2分30秒フライし、フライドポテトを製造した。得られたフライドポテトの風味(穀物臭、甘み・厚み・持続性、香ばしさ)について、表7の評価基準に基づき、2名のパネラーにより官能評価を行い、平均値を算出した。結果を表9に記す。
【0059】
【表9】
【0060】
(試験例5)
卵黄1個と、塩1gと、酢20gとを混合した後、試験例2で調製した各油脂組成物200gを攪拌しながら徐々に添加してマヨネーズを製造した。得られたマヨネーズの風味(穀物臭、甘み・厚み・持続性、香ばしさ)について、表7の評価基準に基づき、2名のパネラーにより官能評価を行い、平均値を算出した。結果を表10に記す。
【0061】
【表10】
【0062】
(試験例6)
コーンパフを105℃で30分予備乾燥した。予備乾燥したコーンパフ30gを攪拌しながら、50〜60℃に加温した試験例2で調製した各油脂組成物15gをスプレー噴霧した。油脂組成物の全量をスプレー噴霧した後、塩1gを加えて攪拌した。その後、常温暗所で一晩放置した後、風味(穀物臭、甘み・厚み・持続性、香ばしさ)について、表7の評価基準に基づき、2名のパネラーにより官能評価を行い、平均値を算出した。結果を表11に記す。
【0063】
【表11】
【0064】
(試験例7)
製造例2で得られた菜種焙煎油の2質量部と、菜種油(製品名「AJINOMOTO さらさらキャノーラ油」 (株)J−オイルミルズ社製)の8質量部とを混合し、油脂組成物を調製した。
得られた油脂組成物の100gを300ml容ビーカーに採取し、160℃達温から10分後に、加熱臭(青臭さ、焙煎香)について、表12の評価基準に基づき、2名のパネラーにより官能評価を行い、平均値を算出した。結果を表13に記す。表13に示すように、菜種を圧扁処理した場合よりも、所定の粒径となるように粉砕処理することで、充分な焙煎香を有し、青臭さの非常にすくない焙煎油を得ることができた。
【0065】
【表12】
【0066】
【表13】
【0067】
(試験例8)
天ぷら粉120gと水200gとを混合してバッターを調製した。バッター10gを、試験例7で調製した各油脂組成物で160℃、1分30秒フライし、揚げ玉を製造した。得られた揚げ玉の風味(青臭さ)について、表12の評価基準に基づき、2名のパネラーにより官能評価を行い、平均値を算出した。結果を表14に記す。
【0068】
【表14】
【0069】
(試験例9)
製造例3で得られた菜種焙煎油の2質量部と、菜種油(製品名「AJINOMOTO さらさらキャノーラ油」 (株)J−オイルミルズ社製)の8質量部とを混合し、油脂組成物を調製した。
得られた油脂組成物の100gを300ml容ビーカーに採取し、160℃達温から10分後に、加熱臭(穀物臭、甘く香ばしい香り、焦げ臭)について、表15の評価基準に基づき、5名のパネラーにより官能評価を行い、平均値を算出した。結果を表16に記す。
【0070】
【表15】
【0071】
【表16】
【0072】
(試験例10)
天ぷら粉120gと水200gとを混合してバッターを調製した。バッター10gを、試験例9で調製した各油脂組成物で160℃、1分30秒フライし、揚げ玉を製造した。得られた揚げ玉の風味(穀物臭、甘く香ばしい香り、焦げ臭)について、表15の評価基準に基づき、5名のパネラーにより官能評価を行い、平均値を算出した。結果を表17に記す。
【0073】
【表17】
【0074】
(試験例11)
製造例4で得られた菜種焙煎油の2質量部と、菜種油(製品名「AJINOMOTO さらさらキャノーラ油」 (株)J−オイルミルズ社製)の8質量部とを混合し、油脂組成物を調製した。
得られた油脂組成物の100gを300ml容ビーカーに採取し、160℃達温から10分後に、加熱臭(穀物臭、甘く香ばしい香り、焦げ臭)について、表15の評価基準に基づき、5名のパネラーにより官能評価を行い、平均値を算出した。結果を表18に記す。
【0075】
【表18】
【0076】
(試験例12)
天ぷら粉120gと水200gとを混合してバッターを調製した。バッター10gを、試験例9で調製した各油脂組成物で160℃、1分30秒フライし、揚げ玉を製造した。得られた揚げ玉の風味(穀物臭、甘く香ばしい香り、焦げ臭)について、表15の評価基準に基づき、5名のパネラーにより官能評価を行い、平均値を算出した。結果を表19に記す。
【0077】
【表19】