特許第6054234号(P6054234)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054234
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】ウエーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   H01L21/78 B
   H01L21/78 V
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-89579(P2013-89579)
(22)【出願日】2013年4月22日
(65)【公開番号】特開2014-216344(P2014-216344A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝
【審査官】 内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008-227470(JP,A)
【文献】 特開2006-196710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に複数のデバイスが形成されたウエーハを、該デバイスを区画する複数の分割予定ラインに沿って分割するウエーハの加工方法であって、
ウエーハの裏面に合成樹脂からなるダイシングテープの表面を貼着するとともにダイシングテープの外周部を環状のフレームによって支持するウエーハ支持工程と、
ウエーハが貼着されたダイシングテープの裏面を加熱してダイシングテープを軟化することによりダイシングテープの裏面を平坦化するダイシングテープ加熱工程と、
該ダイシングテープ加熱工程が実施されたダイシングテープの裏面側からダイシングテープを通してウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点をウエーハの内部に位置付けて分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に分割予定ラインに沿って改質層を形成する改質層形成工程と、を含む、
ことを特徴とするウエーハの加工方法。
【請求項2】
該ダイシングテープ加熱工程は、100℃以上の熱風によってダイシングテープの裏面を加熱する、請求項1記載のウエーハの加工方法。
【請求項3】
該改質層形成工程を実施した後に、ウエーハに外力を付与し改質層が形成された分割予定ラインに沿ってウエーハを個々のデバイスに分割するウエーハ分割工程を実施する、請求項1又は2記載のウエーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に複数のデバイスが形成されたウエーハを、該デバイスを区画する複数の分割予定ラインに沿って分割するウエーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
当業者には周知の如く、半導体デバイス製造工程においては、シリコン等の基板の表面に絶縁膜と機能膜が積層された機能層によって複数のIC、LSI等のデバイスをマトリックス状に形成した半導体ウエーハが形成される。このように形成された半導体ウエーハは上記デバイスが分割予定ラインによって区画されており、この分割予定ラインに沿って分割することによって個々の半導体デバイスを製造している。
【0003】
また、光デバイス製造工程においては、サファイア基板や炭化珪素基板の表面にn型窒化物半導体層およびp型窒化物半導体層からなる光デバイス層が積層され格子状に形成された複数の分割予定ラインによって区画された複数の領域に発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスを形成して光デバイスウエーハを構成する。そして、光デバイスウエーハを分割予定ラインに沿って切断することにより光デバイスが形成された領域を分割して個々の光デバイスを製造している。
【0004】
上述した半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハを分割する方法として、ウエーハに対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線を用い、分割すべき領域の内部に集光点を合わせてパルスレーザー光線を照射するレーザー加工方法も試みられている。このレーザー加工方法を用いた分割方法は、ウエーハの一方の面側から内部に集光点を合わせてウエーハに対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線を照射し、ウエーハの内部に分割予定ラインに沿って改質層を連続的に形成し、この改質層が形成されることによって強度が低下した分割予定ラインに沿って外力を加えることにより、ウエーハを分割する技術である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上述した被加工物の内部に分割予定ラインに沿って改質層を形成し、この改質層が形成された分割予定ラインに沿ってウエーハを分割する方法においては、分割予定ライン幅の狭いウエーハに対して改質層を形成するためデバイスが形成されていない裏面側からレーザー光線を照射することが望ましいこと、また、ウエーハを分割予定ラインに沿って分割したデバイスをピックアップする工程においてはデバイスが形成されている表面側が露出されていることが望ましいことから、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線をウエーハの裏面側から分割予定ラインに沿って照射してウエーハの内部に分割予定ラインに沿って改質層を形成し、該改質層が形成されたウエーハの裏面にダイシングテープを貼着するとともにダイシングテープの外周部を環状のフレームによって支持した後、ウエーハに外力を付与することによりウエーハを個々のデバイスに分割している(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
上述したように、ウエーハの内部に分割予定ラインに沿って改質層を形成した後に、改質層が形成されたウエーハの裏面をダイシングテープを貼着すると、ウエーハが割れる恐れがあることから、ウエーハの内部に分割予定ラインに沿って改質層を形成する前に、ウエーハの裏面にダイシングテープの表面を貼着するとともにダイシングテープの外周部を環状のフレームによって支持し、その後、ダイシングテープの裏面側からダイシングテープを通してウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点をウエーハの内部に位置付けて分割予定ラインに沿って照射する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
しかるに、ダイシングテープの裏面には微細な凹凸があり、レーザー光線の透過が妨げられてウエーハの内部にレーザー光線が十分に集光できず、所望の改質層を形成することができないという問題がある。この問題を解消するために、特許文献3に記載された技術においては、ダイシングテープの裏面に液状樹脂を塗布してダイシングテープの裏面を平坦化する平坦化工程を実施し、該平坦化工程を実施した後にダイシングテープの裏面側からダイシングテープを通してウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点をウエーハの内部に位置付けて分割予定ラインに沿って照射している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3408805号公報
【特許文献2】特開2006−54246号公報
【特許文献3】特開2012−84618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
而して、特許文献3に記載された技術においては、ダイシングテープの裏面を平坦化するためにダイシングテープの裏面に液状樹脂を塗布しているが、液状樹脂を平坦面に形成することが困難であるという問題があるとともに、塗布装置をレーザー加工装置に装備する必要がある。
【0010】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、ダイシングテープの裏面を容易に平坦化することができ、ダイシングテープの裏面側からダイシングテープを通してウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点をウエーハの内部に位置付けて分割予定ラインに沿って照射することにより、ウエーハの内部に分割予定ラインに沿って所望の改質層を形成することができるレーザー加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、表面に複数のデバイスが形成されたウエーハを、該デバイスを区画する複数の分割予定ラインに沿って分割するウエーハの加工方法であって、
ウエーハの裏面に合成樹脂からなるダイシングテープの表面を貼着するとともにダイシングテープの外周部を環状のフレームによって支持するウエーハ支持工程と、
ウエーハが貼着されたダイシングテープの裏面を加熱してダイシングテープを軟化することによりダイシングテープの裏面を平坦化するダイシングテープ加熱工程と、
該ダイシングテープ加熱工程が実施されたダイシングテープの裏面側からダイシングテープを通してウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点をウエーハの内部に位置付けて分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に分割予定ラインに沿って改質層を形成する改質層形成工程と、を含む、
ことを特徴とするレーザー加工方法が提供される。
【0012】
上記ダイシングテープ加熱工程は、100℃以上の熱風によってダイシングテープの裏面を加熱する。
上記改質層形成工程を実施した後に、ウエーハに外力を付与し改質層が形成された分割予定ラインに沿ってウエーハを個々のデバイスに分割するウエーハ分割工程を実施する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるレーザー加工方法は、ウエーハの裏面に合成樹脂からなるダイシングテープの表面を貼着するとともにダイシングテープの外周部を環状のフレームによって支持するウエーハ支持工程を実施し、ウエーハが貼着されたダイシングテープの裏面を加熱してダイシングテープを軟化することによりダイシングテープの裏面を平坦化するダイシングテープ加熱工程を実施した後に、ダイシングテープの裏面側からダイシングテープを通してウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点をウエーハの内部に位置付けて分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に分割予定ラインに沿って改質層を形成する改質層形成工程を実施するので、改質層形成工程を実施する際にはダイシングテープの裏面は平坦化されているため、レーザー光線はウエーハの内部の所定位置に確実に集光されるので、ウエーハの内部に分割予定ラインに沿って所望の改質層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明によるレーザー加工方法によって加工される被加工物としての半導体ウエーハの斜視図。
図2】本発明によるレーザー加工方法におけるウエーハ支持工程が実施され半導体ウエーハを環状のフレームに装着されたダイシングテープの表面に貼着された状態を示す斜視図。
図3】本発明によるレーザー加工方法におけるダイシングテープ加熱工程の説明図。
図4】本発明によるレーザー加工方法における改質層形成工程を実施するためのレーザー加工装置の要部斜視図。
図5】本発明によるレーザー加工方法における改質層形成工程の説明図。
図6】本発明によるレーザー加工方法におけるウエーハ分割工程を実施するための分割装置の斜視図。
図7】本発明によるレーザー加工方法におけるウエーハ分割工程の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明によるレーザー加工方法について添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0016】
図1には、本発明に従って加工されるウエーハとしての半導体ウエーハの斜視図が示されている。図1に示す半導体ウエーハ2は、シリコンウエーハからなっており、表面2aに複数の分割予定ライン21が格子状に形成されているとともに、該複数の分割予定ライン21によって区画された複数の領域にIC、LSI等のデバイス22が形成されている。
【0017】
上述した半導体ウエーハ2を分割予定ライン21に沿って分割するために、先ず、半導体ウエーハ2の裏面2bに合成樹脂からなるダイシングテープの表面を貼着するとともにダイシングテープの外周部を環状のフレームによって支持するウエーハ支持工程を実施する。即ち、図2に示すように、環状のフレーム3の内側開口部を覆うように外周部が装着されたダイシングテープ30の表面30aに半導体ウエーハ2の裏面2bを貼着する。なお、ダイシングテープ30は、図示の実施形態においては塩化ビニール(PVC)シートによって形成されている。
【0018】
上述したウエーハ支持工程を実施したならば、半導体ウエーハ2が貼着されたダイシングテープ30の裏面を加熱してダイシングテープ30を軟化することによりダイシングテープ30の裏面30bを平坦化するダイシングテープ加熱工程を実施する。このダイシングテープ加熱工程は、図3に示すように環状のフレーム3に装着され表面30aに半導体ウエーハ2の裏面2bが貼着されたダイシングテープ30の裏面30bに、ヒーター4によって例えば250℃の熱風を作用せしめる。この結果、ダイシングテープ30は軟化して微細な凹凸が形成されている裏面30bが平坦化される。なお、ダイシングテープ30に作用せしめる熱風の温度は、100℃以上が望ましい。このように、ダイシングテープ加熱工程は、ダイシングテープ30の裏面を加熱してダイシングテープ30を軟化することによりダイシングテープ30の裏面30bを平坦化するので、ダイシングテープ30の裏面30bを確実に平坦化することができる。また、ダイシングテープ加熱工程は、ヒーター4によって熱風を作用せしめるので、必ずしも後述するレーザー加工装置に装備する必要はなく、専用の加熱装置によって多数のワークに対して効率的に実施することができる。
【0019】
上述したダイシングテープ加熱工程を実施したならば、ダイシングテープ30の裏面30b側からダイシングテープ30を通してウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を半導体ウエーハ2の内部に位置付けて分割予定ライン21に沿って照射し、半導体ウエーハ2の内部に分割予定ライン21に沿って改質層を形成する改質層形成工程を実施する。この改質層形成工程は、図4に示すレーザー加工装置5を用いて実施する。図4に示すレーザー加工装置5は、被加工物を保持するチャックテーブル51と、該チャックテーブル51上に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52と、チャックテーブル51上に保持された被加工物を撮像する撮像手段53を具備している。チャックテーブル51は、被加工物を吸引保持するように構成されており、図示しない加工送り手段によって図4において矢印Xで示す加工送り方向に移動せしめられるとともに、図示しない割り出し送り手段によって図4において矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられるようになっている。
【0020】
上記レーザー光線照射手段52は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング521を含んでいる。ケーシング521内には図示しないパルスレーザー光線発振器や繰り返し周波数設定手段を備えたパルスレーザー光線発振手段が配設されている。上記ケーシング521の先端部には、パルスレーザー光線発振手段から発振されたパルスレーザー光線を集光して照射する集光器522が装着されている。なお、レーザー光線照射手段52は、集光器522によって集光されるパルスレーザー光線の集光点位置を調整するための集光点位置調整手段(図示せず)を備えている。
【0021】
上記レーザー光線照射手段52を構成するケーシング521の先端部に装着された撮像手段53は、図示の実施形態においては可視光線によって撮像する通常の撮像素子(CCD)の外に、被加工物に赤外線を照射する赤外線照明手段と、該赤外線照明手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
【0022】
上述したレーザー加工装置5を用いて、ダイシングテープ30の裏面30b側からダイシングテープ30を通してウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を半導体ウエーハ2の内部に位置付けて分割予定ライン21に沿って照射し、半導体ウエーハ2の内部に分割予定ライン21に沿って改質層を形成する改質層形成工程について、図4および図5を参照して説明する。
先ず、上述した図4に示すレーザー加工装置5のチャックテーブル51上にダイシングテープ30に貼着された半導体ウエーハ2側を載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、半導体ウエーハ2をチャックテーブル51上に保持する(ウエーハ保持工程)。従って、チャックテーブル51に保持された半導体ウエーハ2に貼着されているダイシングテープ30は、裏面30bが上側となる。なお、図4においてはダイシングテープ30が装着された環状のフレーム3を省いて示しているが、環状のフレーム3はチャックテーブル51に配設された適宜のフレーム保持手段に保持される。このようにして、半導体ウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル51は、図示しない加工送り手段によって撮像手段53の直下に位置付けられる。
【0023】
チャックテーブル51が撮像手段53の直下に位置付けられると、撮像手段53および図示しない制御手段によって半導体ウエーハ2のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段53および図示しない制御手段は、半導体ウエーハ2の所定方向に形成されている分割予定ライン21と、該分割予定ライン21に沿ってレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52の集光器522との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、レーザー光線照射位置のアライメントを遂行する(アライメント工程)。また、半導体ウエーハ2に上記所定方向と直交する方向に形成された分割予定ライン21に対しても、同様にレーザー光線照射位置のアライメントが遂行される。このとき、半導体ウエーハ2の分割予定ライン21が形成されている表面2aは下側に位置しているが、撮像手段53が上述したように赤外線照明手段と赤外線を捕らえる光学系および赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成された撮像手段を備えているので、ダイシングテープ30および半導体ウエーハ2の裏面2bから透かして分割予定ライン21を撮像することができる。
【0024】
上述したアライメント工程を実施したならば、図5で示すようにチャックテーブル51をレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52の集光器522が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定の分割予定ライン21を集光器522の直下に位置付ける。このとき、図5の(a)で示すように半導体ウエーハ2は、分割予定ライン21の一端(図5の(a)において左端)が集光器522の直下に位置するように位置付けられる。次に、集光器522から照射されるパルスレーザー光線の集光点Pを半導体ウエーハ2の厚み方向中間部付近に位置付ける。そして、集光器522からシリコンウエーハに対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線を照射しつつチャックテーブル51を図5の(a)において矢印X1で示す方向に所定の送り速度で移動せしめる(改質層形成工程)。そして、図5の(b)で示すようにレーザー光線照射手段52の集光器522の照射位置に分割予定ライン21の他端(図5の(a)において右端)が達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル51の移動を停止する。この結果、半導体ウエーハ2の内部には分割予定ライン21に沿って改質層23が形成される。
【0025】
上記改質層形成工程における加工条件は、例えば次のように設定されている。
波長 :1064nmのパルスレーザー
繰り返し周波数 :80kHz
平均出力 :0.2W
加工送り速度 :180mm/秒
【0026】
上述したように所定の分割予定ライン21に沿って上記改質層形成工程を実施したら、チャックテーブル51を矢印Yで示す方向に半導体ウエーハ2に形成された分割予定ライン21の間隔だけ割り出し移動し(割り出し工程)、上記改質層形成工程を遂行する。このようにして所定方向に形成された全ての分割予定ライン21に沿って上記改質層形成工程を実施したならば、チャックテーブル51を90度回動せしめて、上記所定方向に形成された分割予定ライン21に対して直交する方向に延びる分割予定ライン21に沿って上記改質層形成工程を実行する。
【0027】
以上のように、改質層形成工程はダイシングテープ30の裏面30b側からダイシングテープ30を通してウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を半導体ウエーハ2の内部に位置付けて分割予定ライン21に沿って照射するが、ダイシングテープ30の裏面30bは上記ダイシングテープ加熱工程を実施することにより平坦化されているので、レーザー光線は半導体ウエーハ2の内部の所定位置に確実に集光されるため、半導体ウエーハ2の内部に分割予定ライン21に沿って所望の改質層23を形成することができる。
【0028】
上述した改質層形成工程を実施したならば、半導体ウエーハ2に外力を付与し改質層23が形成された分割予定ライン21に沿って半導体ウエーハ2を個々のデバイスに分割するウエーハ分割工程を実施する。ウエーハ分割工程は、図6に示す分割装置6を用いて実施する。図6に示す分割装置6は、上記環状のフレーム3を保持するフレーム保持手段61と、該フレーム保持手段61に保持された環状のフレーム3に装着されたダイシングテープ30を拡張するテープ拡張手段62と、ピックアップコレット63を具備している。フレーム保持手段61は、環状のフレーム保持部材611と、該フレーム保持部材611の外周に配設された固定手段としての複数のクランプ612とからなっている。フレーム保持部材611の上面は環状のフレーム3を載置する載置面611aを形成しており、この載置面611a上に環状のフレーム3が載置される。そして、載置面611a上に載置された環状のフレーム3は、クランプ612によってフレーム保持部材611に固定される。このように構成されたフレーム保持手段61は、テープ拡張手段62によって上下方向に進退可能に支持されている。
【0029】
テープ拡張手段62は、上記環状のフレーム保持部材611の内側に配設される拡張ドラム621を具備している。この拡張ドラム621は、環状のフレーム3の内径より小さく該環状のフレーム3に装着されたダイシングテープ30に貼着される半導体ウエーハ2の外径より大きい内径および外径を有している。また、拡張ドラム621は、下端に支持フランジ622を備えている。図示の実施形態におけるテープ拡張手段62は、上記環状のフレーム保持部材611を上下方向に進退可能な支持手段623を具備している。この支持手段623は、上記支持フランジ622上に配設された複数のエアシリンダ623aからなっており、そのピストンロッド623bが上記環状のフレーム保持部材611の下面に連結される。このように複数のエアシリンダ623aからなる支持手段623は、図7の(a)に示すように環状のフレーム保持部材611を載置面611aが拡張ドラム621の上端と略同一高さとなる基準位置と、図7の(b)に示すように拡張ドラム621の上端より所定量下方の拡張位置の間を上下方向に移動せしめる。
【0030】
以上のように構成された分割装置6を用いて実施する分割工程について図7を参照して説明する。即ち、半導体ウエーハ2が貼着されているダイシングテープ30が装着された環状のフレーム3を、図7の(a)に示すようにフレーム保持手段61を構成するフレーム保持部材611の載置面611a上に載置し、クランプ612によってフレーム保持部材611に固定する(フレーム保持工程)。このとき、フレーム保持部材611は図7の(a)に示す基準位置に位置付けられている。次に、テープ拡張手段62を構成する支持手段623としての複数のエアシリンダ623aを作動して、環状のフレーム保持部材611を図7の(b)に示す拡張位置に下降せしめる。従って、フレーム保持部材611の載置面611a上に固定されている環状のフレーム3も下降するため、図7の(b)に示すように環状のフレーム3に装着されたダイシングテープ30は拡張ドラム621の上端縁に接して拡張せしめられる(テープ拡張工程)。この結果、ダイシングテープ30に貼着されている半導体ウエーハ2には放射状に引張力が作用するため、改質層23が形成され強度が低下せしめられた分割予定ライン21に沿って個々のデバイス22に分離されるとともにデバイス間に間隔Sが形成される。
【0031】
次に、図7の(c)に示すようにピックアップコレット63を作動してデバイス22を吸着し、ダイシングテープ30から剥離してピックアップし、図示しないトレーまたはダイボンディング工程に搬送する。なお、ピックアップ工程においては、上述したようにダイシングテープ30に貼着されている個々のデバイス22間の隙間Sが広げられているので、隣接するデバイス22と接触することなく容易にピックアップすることができる。
【符号の説明】
【0032】
2:半導体ウエーハ
21:分割予定ライン
22:デバイス
23:改質層
3:環状のフレーム
30:ダイシングテープ
4:ヒーター
5:レーザー加工装置
51:チャックテーブル
52:レーザー光線照射手段
522:集光器
6:分割装置
61:フレーム保持手段
62:テープ拡張手段
63:ピックアップコレット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7