特許第6054279号(P6054279)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6054279金属配線層形成方法、金属配線層形成装置および記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054279
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】金属配線層形成方法、金属配線層形成装置および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/288 20060101AFI20161219BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20161219BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20161219BHJP
   C23C 18/32 20060101ALI20161219BHJP
   C23C 18/18 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H01L21/288 E
   H01L21/90 B
   H01L21/288 M
   C23C18/32
   C23C18/18
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-216745(P2013-216745)
(22)【出願日】2013年10月17日
(65)【公開番号】特開2015-79885(P2015-79885A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年1月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】田 中 崇
(72)【発明者】
【氏名】水 谷 信 崇
(72)【発明者】
【氏名】岩 下 光 秋
【審査官】 河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−104350(JP,A)
【文献】 特開2011−151216(JP,A)
【文献】 特開2010−103151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/288
C23C 18/18
C23C 18/32
H01L 21/768
H01L 23/522
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して金属配線層を形成する金属配線層形成方法において、
絶縁層を含む凹部を有するとともに凹部の底面にタングステン層が形成された基板を準備する工程と、
基板の凹部内にシリル化剤を付与して、凹部の絶縁層の表面にカップリング剤が付着することなく底面のタングステン層にカップリング剤が付着する状態とする工程と、
基板の凹部内にカップリング剤を付与して凹部の絶縁層の表面に密着層を形成することなく、凹部の底面のタングステン層に密着層を形成する工程と、
凹部の側面に触媒層を形成することなく、凹部の底面のタングステン層上に触媒層を形成する工程と、
凹部内の触媒層上に金属配線層をめっき処理により形成する工程とを備えたことを特徴とする金属配線層形成方法。
【請求項2】
基板の凹部内にシリル化剤を付与する前に、タングステン層表面の酸化膜を除去することを特徴とする請求項記載の金属配線層形成方法。
【請求項3】
凹部の底面のタングステン層上に触媒層を形成した後に、触媒層を焼成して固めることを特徴とする請求項または記載の金属配線層形成方法。
【請求項4】
触媒層はパラジウム系触媒層からなり、金属配線層はNi系配線層からなることを特徴とする請求項乃至のいずれか記載の金属配線層形成方法。
【請求項5】
基板に対して金属線層を形成する金属配線層形成装置において、
底面と側面とを含む凹部を有するとともに凹部の底面にタングステン層が形成された基板に対し、基板の凹部内にシリル化剤を付与して、凹部の絶縁層の表面にカップリング剤が付着することなく底面のタングステン層にカップリング剤が付着する状態とするシリル化剤付与部と、
基板の凹部内にカップリング剤を付与して凹部の側面に密着層を形成することなく、凹部の底面のタングステン層に密着層を形成する密着層形成部と、
凹部の側面に触媒層を形成することなく、凹部の底面のタングステン層上に触媒層を形成する触媒層形成部と、
凹部内の触媒層上に金属配線層をめっき処理により形成する金属配線層形成部と、を備えたことを特徴とする金属配線層形成装置。
【請求項6】
シリル化剤付与部の前段に、タングステン層表面の酸化膜を除去する酸化膜除去部を設けたことを特徴とする請求項記載の金属配線層形成装置。
【請求項7】
触媒層形成部と金属配線層形成部との間に、触媒層を焼成して固める触媒層焼成部を設けたことを特徴とする請求項または記載の金属配線層形成装置。
【請求項8】
コンピュータに金属配線層形成方法を実行させるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体において、
金属配線層形成方法は、
底面と側面とを含む凹部を有するとともに凹部の底面にタングステン層が形成された基板を準備する工程と、
基板の凹部内にシリル化剤を付与して、凹部の側面にカップリング剤が付着することなく底面のタングステン層にカップリング剤が付着する状態とする工程と、
基板の凹部内にカップリング剤を付与して凹部の側面に密着層を形成することなく、凹部の底面のタングステン層に密着層を形成する工程と、
凹部の側面に触媒層を形成することなく、凹部の底面のタングステン層上に触媒層を形成する工程と、
凹部内の触媒層上に金属配線層をめっき処理により形成する工程とを備えたことを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板に対して金属配線層を形成する金属配線層形成方法、金属配線層形成装置および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIなどの半導体装置は、実装面積の省スペース化や処理速度の改善といった課題に対応するべく、より一層高密度化することが求められている。高密度化を実現する技術の一例として、複数の配線基板を積層することにより三次元LSIなどの多層基板を作製する多層配線技術が知られている。
【0003】
多層配線技術においては一般に、配線基板間の導通を確保するため、配線基板を貫通するとともに銅(Cu)などの導電性材料が埋め込まれた貫通ビアホールが配線基板に設けられている。
【0004】
ところで配線基板を作製する場合、導電性材料としてCuを用い、基板の凹部にCuを埋め込んでいるが、この場合、凹部内にCu拡散防止膜としてのバリア膜を形成し、このバリア膜上にシード膜を無電解Cuめっきにより形成する必要がある。このため配線層の配線容積が低下したり、埋め込まれたCu中にボイドが発生することがある。一方、基板の凹部内にCuの代わりにNi系金属を無電解めっき法により埋め込んで配線層として用いる技術が開発されている。
【0005】
しかしながら、基板の凹部内にNi系金属を埋め込む場合、Ni系金属が凹部外方に形成されることがあり、この場合はNi系金属のうち凹部外方に形成された部分は、その後の化学機械研磨方法を用いて除去する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−185113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、基板の凹部内にめっき処理により金属配線層を容易かつ簡単に形成することができ、凹部内に形成された金属配線層は凹部の外方に形成されることがない金属配線層形成方法、金属配線層形成装置、および記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、基板に対して金属配線層を形成する金属配線層形成方法において、絶縁層を含む凹部を有するとともに、凹部の底面にタングステン層が形成された基板を準備する工程と、凹部の絶縁層の表面に触媒層を形成することなく、凹部の底面のタングステン層上に触媒層を形成する工程と、凹部内の触媒層上に金属配線層をめっき処理により形成する工程とを備えたことを特徴とする金属配線層形成方法である。
【0009】
本発明は、基板に対して金属配線層を形成する金属配線層形成方法において、絶縁層を含む凹部を有するとともに凹部の底面にタングステン層が形成された基板を準備する工程と、基板の凹部内にシリル化剤を付与して、凹部の絶縁層の表面にカップリング剤が付着することなく底面のタングステン層にカップリング剤が付着する状態とする工程と、基板の凹部内にカップリング剤を付与して凹部の絶縁層の表面に密着層を形成することなく、凹部の底面のタングステン層に密着層を形成する工程と、凹部の側面に触媒層を形成することなく、凹部の底面のタングステン層上に触媒層を形成する工程と、凹部内の触媒層上に金属配線層をめっき処理により形成する工程とを備えたことを特徴とする金属配線層形成方法である。
【0010】
本発明は、基板に対して金属線層を形成する金属配線層形成装置において、絶縁層を含む凹部を有するとともに、凹部の底面にタングステン層が形成された基板に対し、凹部の絶縁層の表面に触媒層を形成することなく、凹部の底面のタングステン層上に触媒層を形成する触媒層形成部と、凹部内の触媒層上に金属配線層をめっき処理により形成する金属配線層形成部とを備えたことを特徴とする金属配線層形成装置である。
【0011】
本発明は、基板に対して金属線層を形成する金属配線層形成装置において、底面と側面とを含む凹部を有するとともに凹部の底面にタングステン層が形成された基板に対し、基板の凹部内にシリル化剤を付与して、凹部の絶縁層の表面にカップリング剤が付着することなく底面のタングステン層にカップリング剤が付着する状態とするシリル化剤付与部と、基板の凹部内にカップリング剤を付与して凹部の側面に密着層を形成することなく、凹部の底面のタングステン層に密着層を形成する密着層形成部と、凹部の側面に触媒層を形成することなく、凹部の底面のタングステン層上に触媒層を形成する触媒層形成部と、凹部内の触媒層上に金属配線層をめっき処理により形成する金属配線層形成部と、を備えたことを特徴とする金属配線層形成装置である。
【0012】
本発明は、コンピュータに金属配線層形成方法を実行させるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体において、金属配線層形成方法は、底面と側面とを含む凹部を有するとともに、凹部の底面にタングステン層が形成された基板を準備する工程と、凹部の側面に触媒層を形成することなく、凹部の底面のタングステン層上に触媒層を形成する工程と、凹部内の触媒層上に金属配線層をめっき処理により形成する工程とを備えたことを特徴とする記憶媒体である。
【0013】
本発明は、コンピュータに金属配線層形成方法を実行させるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体において、金属配線層形成方法は、底面と側面とを含む凹部を有するとともに凹部の底面にタングステン層が形成された基板を準備する工程と、基板の凹部内にシリル化剤を付与して、凹部の側面にカップリング剤が付着することなく底面のタングステン層にカップリング剤が付着する状態とする工程と、基板の凹部内にカップリング剤を付与して凹部の側面に密着層を形成することなく、凹部の底面のタングステン層に密着層を形成する工程と、凹部の側面に触媒層を形成することなく、凹部の底面のタングステン層上に触媒層を形成する工程と、凹部内の触媒層上に金属配線層をめっき処理により形成する工程とを備えたことを特徴とする記憶媒体である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基板の凹部内に金属配線層を容易かつ簡単に形成することができ、形成された金属配線層が凹部外方に形成されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態における金属配線層形成方法を示すフローチャート。
図2図2は、本発明の第1の実施の形態における金属配線層形成方法を示す模式図。
図3図3(a)〜(e)は、本発明の第1の実施の形態における金属配線層形成方法が施される基板を示す図。
図4図4は、本発明の第1の実施の形態における金属配線層形成装置を示すブロック図。
図5図5は、本発明の第2の実施の形態における金属配線層形成方法を示すフローチャート。
図6図6は、本発明の第2の実施の形態における金属配線層形成装置を示すブロック図。
図7図7は、比較例としての金属配線層形成方法を示すフローチャート。
図8図8は、比較例としての金属配線層形成方法を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の実施の形態
以下、図1乃至図4により本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0017】
本発明による金属配線層形成方法は、図2(a)(b)(c)に示すように、凹部3を有する半導体ウエハ等からなるシリコン基板(以下、基板ともいう)2に対して金属配線層を形成するものである。
【0018】
図2(a)(b)(c)に示すように、基板2には底面3aと側面3bとを有する凹部3が形成されている。
【0019】
この場合、基板2はSiからなる基板本体2aと、基板本体2a上に形成されたTEOS層2bと、TEOS層2b上に形成されたSiN層2cと、SiN層2c上に形成されたTEOS層2dとを有している。またTEOS層2bには貫通孔が形成され、この貫通孔内にタングステン層Wが埋め込まれている(図2(a)参照)。
【0020】
なお、上述したTEOS層2bと、SiN層2cと、TEOS層2dは絶縁層により形成される。
【0021】
このような構成からなる基板2は、公知の方法により得ることができる。例えばこのような基板2は、図3(a)〜(e)に示す手法によって得られる。
【0022】
まずSiからなる基板本体2aを有する基板2を準備する(図3(a)参照)。次にシリコン基板2の基板本体2a上にTEOS層2bがCVDにより形成され、TEOS層2bにエッチングにより貫通孔2eが形成される(図3(b)参照)。
【0023】
その後図3(c)に示すようにTEOS層2bの貫通孔2e内にCVDによりタングステン層Wが埋め込まれる。
【0024】
次に図3(d)に示すように、TEOS層2bおよびタングステン層W上に、SiN層2cおよびTEOS層2dが順次CVDにより形成される。
【0025】
その後、タングステン層W上のSiN層2cおよびTEOS層2dがエッチングにより除去されて、底面3aを有する絶縁層を含む凹部3が形成された基板2が得られる(図3(e)参照)。
【0026】
図3(e)において、基板2に凹部3が形成され、凹部3の底面にタングステン層Wが形成されている。
【0027】
次に上述した凹部3を有する基板2に対して金属配線層を形成する金属配線層形成装置10について、図4により説明する。
【0028】
このような金属配線層形成装置10は、基板2の凹部3の底面3aのタングステン層W表面の酸化膜を除去する酸化膜除去部11と、酸化膜除去部11の後段に設けられ、凹部3の絶縁層の表面3bに触媒層5を形成することなく、凹部3の底面3aのタングステン層W上に触媒層5(図2(a)(b)(c)参照)を形成する触媒層形成部12と、触媒層形成部12の後段に設けられ、触媒層5を焼成して固める触媒層焼成部13とを備えている。また触媒層焼成部13の後段に、凹部3内の触媒層5上に金属配線層7をめっき処理により形成する金属配線層形成部14が設けられている。
【0029】
また上述した金属配線層形成装置10の各構成部材、例えば酸化膜除去部11、触媒層形成部12、触媒層焼成部13、金属配線層形成部14は、いずれも制御装置20に設けられた記憶媒体21に記録された各種のプログラムに従って制御装置20で駆動制御され、これによって基板2に対する様々な処理が行われる。ここで、記憶媒体21は、各種の設定データや後述する金属配線層形成プログラム等の各種のプログラムを格納している。記憶媒体21としては、コンピューターで読み取り可能なROMやRAMなどのメモリーや、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROMやフレキシブルディスクなどのディスク状記憶媒体などの公知のものが使用されうる。
【0030】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について、図1乃至図3により説明する。
【0031】
上述のように図3(a)〜(e)に示す前工程において、半導体ウエハ等からなる基板(シリコン基板)2に対して凹部3が形成され、凹部3が形成された基板2が本発明による金属配線層形成装置10内に搬送される。この場合、基板2はSiからなる基板本体2aと、TEOS層2bと、SiN層2cと、TEOS層2dとを有し、基板2には底面3aを有する絶縁層を含む凹部3が形成されている。
【0032】
そして基板2の凹部3の底面3aは、タングステン層Wが形成されている(図2(a)参照)。
【0033】
ここで基板2に凹部3を形成する方法としては、従来公知の方法から適宜採用することができる。具体的には、例えば、ドライエッチング技術として、弗素系又は塩素系ガス等を用いた汎用的技術を適用できるが、特にアスペクト比(孔の深さ/孔の径)の大きな孔を形成するには、高速な深掘エッチングが可能なICP−RIE(Inductively Coupled Plasma Reactive Ion Etching:誘導結合プラズマ−反応性イオンエッチング)の技術の採用した方法をより好適に採用でき、特に、六フッ化硫黄(SF6)を用いたエッチングステップとC4F8などのテフロン(登録商標)系ガスを用いた保護ステップとを繰り返しながら行うボッシュプロセスと称される方法を好適に採用できる。
【0034】
次に金属配線層形成装置10内において、図1に示すように凹部3を有する基板2が酸化膜除去部11に送られ、この酸化膜除去部11において、DHF溶液を用いた洗浄処理により凹部3の底面3aに形成されたタングステン層W表面の酸化膜が除去される。
【0035】
次に基板2は触媒層形成部12に送られ、この触媒層形成部12において凹部3の絶縁層の表面3bに触媒層5を形成することなく、凹部3の底面3aに形成されたタングステン層W表面のみに触媒層5が形成される(図2(b)参照)。
【0036】
上述のように触媒層形成部12の前段に設けられた酸化膜除去部11においては、基板2の凹部3の底面3aに形成されたタングステン層W表面の酸化膜がDHF溶液を用いた洗浄処理により除去される。この場合、酸化膜除去部11から触媒層形成部12に送られる基板2に対して、凹部3およびその周縁にカップリング剤を用いた密着層形成工程が行なわれることはない。一方、酸化膜除去部11においては、凹部3の底面3aに形成されたタングステン層W上の酸化膜が除去される。
【0037】
上述のように凹部3の絶縁層の表面3bは、主としてSiN層2cおよびTEOS層2dからなる絶縁層により形成されているため、密着層が形成されない限り触媒層形成部12において凹部3の絶縁層の表面3bに触媒層5が形成されることはない。このため触媒層形成部12において、表面から酸化膜が除去されたタングステン層W上のみに触媒層が形成される。
【0038】
次に触媒層形成部12における触媒形成工程について更に述べる。
【0039】
図2(b)に示すように、触媒形成工程においては、例えば、基板2に対して塩化パラジウム水溶液をノズルにより吹付け、触媒となるPdイオンを基板2の表面に吸着させる処理を採用することができる。具体的には、基板2に対して塩化スズ溶液を吹付け、スズイオンを基板2表面に吸着し、次に、基板2に塩化パラジウム水溶液を吹付けてスズイオンをPdイオンと置換してPdイオンを吸着させ、さらに、基板2に水酸化ナトリウムを吹付けて余分なスズイオンを取り除く。このようにして基板2の凹部3の底面3aに形成されたタングステン層W上のみに、触媒層5を設けることができる。
【0040】
あるいは基板2の凹部3のタングステン層W上に触媒層5を形成する場合、めっき反応を促進することができる触媒作用を有する触媒、例えばナノ粒子からなる触媒を含む触媒溶液を用いてもよい。ここでナノ粒子とは、触媒作用を有する粒子であって、平均粒径が20nm以下、例えば0.5nm〜20nmの範囲内となっている粒子のことである。ナノ粒子を構成する元素としては、例えば、パラジウム、金、白金などが挙げられる。
【0041】
また、ナノ粒子を構成する元素として、ルテニウムが用いられてもよい。
【0042】
ナノ粒子の平均粒径を測定する方法が特に限られることはなく、様々な方法が用いられ得る。例えば、触媒溶液内のナノ粒子の平均粒径を測定する場合、動的光散乱法などが用いられ得る。動的光散乱法とは、触媒溶液内に分散しているナノ粒子にレーザー光を照射し、その散乱光を観察することにより、ナノ粒子の平均粒径などを算出する方法である。また、基板2の凹部3に吸着したナノ粒子の平均粒径を測定する場合、TEMやSEMなどを用いて得られた画像から、所定の個数のナノ粒子、例えば20個のナノ粒子を検出し、これらのナノ粒子の粒径の平均値を算出することもできる。
【0043】
次に、ナノ粒子からなる触媒が含まれる触媒溶液について説明する。触媒溶液は、触媒となるナノ粒子を構成する金属のイオンを含有するものである。例えばナノ粒子がパラジウムから構成されている場合、触媒溶液には、パラジウムイオン源として、塩化パラジウムなどのパラジウム化合物が含有されている。
【0044】
触媒溶液の具体的な組成は特には限られないが、好ましくは、触媒溶液の粘性係数が0.01Pa・s以下となるよう触媒溶液の組成が設定されている。触媒溶液の粘性係数を上記範囲内とすることにより、基板2の凹部3の直径が小さい場合であっても、基板2の凹部3の底面3aにまで触媒溶液を十分に行き渡らせることができる。このことにより、基板2の凹部3の底面3aにまで触媒をより確実に吸着させることができる。
【0045】
好ましくは、触媒溶液中の触媒は、分散剤によって被覆されている。これによって、触媒の界面における界面エネルギーを小さくすることができる。従って、触媒溶液内における触媒の拡散をより促進することができ、このことにより、基板2の凹部3の底面3aにまで触媒をより短時間で到達させることができると考えられる。また、複数の触媒が凝集してその粒径が大きくなることを防ぐことができ、このことによっても、触媒溶液内における触媒の拡散をより促進することができると考えられる。
【0046】
分散剤で被覆された触媒を準備する方法が特に限られることはない。例えば、予め分散剤で被覆された触媒を含む触媒溶液を用いてもよい。
【0047】
分散剤としては、具体的には、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリエチレンイミン(PEI)、テトラメチルアンモニウム(TMA)、クエン酸等が好ましい。
【0048】
その他、特性を調整するための各種薬剤が触媒溶液に添加されていてもよい。
【0049】
このようにして触媒層形成部12において、凹部3の底面3aに形成されたタングステン層W表面のみに触媒層5が形成される。
【0050】
このようにタングステン層W表面に触媒層5が形成された基板2は、触媒層焼成部13に送られ、この触媒層焼成部13内で基板2が加熱される。このようにして凹部3の底面3aに形成されたタングステン層W表面の触媒層5が焼成されて固められる。
【0051】
金属ナノ粒子により触媒層5が形成される場合、触媒層5を焼成することにより、触媒層5をより効果的に固めることができる。
【0052】
次に基板2は触媒層焼成部13から金属配線層形成部14に送られる。そしてこの金属配線層形成部14において、基板2の凹部3内に、例えば無電解NiBめっき液が供給されてめっき処理が施され、このようにしてタングステン層W上の触媒層5上に無電解NiBめっき層からなる金属配線層7が形成される。
【0053】
本実施の形態において、触媒層5上に形成される金属配線層7としては、Ni、NiB、NiP、Co、CoB、CoP等からなる金属配線層7が考えられる。
【0054】
以上のように本実施の形態によれば、基板2の凹部3の底面3aに設けられたタングステン層W表面のみに触媒層5を形成するとともに、凹部3の絶縁層の表面3bには触媒層5が形成されないので、凹部3内のみに金属配線層7を設けることができる。この場合、金属配線層7が凹部3の外方に形成されることはなく、このため凹部3の外方に形成された金属配線層7を化学機械研磨により除去する必要はない。
【0055】
次に図7および図8により、比較例としての金属配線層形成方法について述べる。
【0056】
図7および図8に示す比較例において、まず、底面3aを含む凹部3を有する基板2を準備する(図8(a)参照)。この場合、凹部3の底面3aにはタングステン層Wが設けられている。
【0057】
次に基板2に対してプラズマ処理を含む水酸化処理が施されて、凹部3の底面3a、絶縁層の表面3bが水酸化される。
【0058】
次に基板2の凹部3の底面3a(タングステン層W)および絶縁層の表面3bにシランカップリング剤が付与されて、凹部3の底面3a、絶縁層の表面3bに密着層が形成され、その後密着層上にPdからなる触媒層が形成される(図8(b)参照)。図8(b)において、基板2上の密着層および触媒層が、符号8で示されている。
【0059】
その後図8(c)に示すように基板2に対してめっき処理が施され、凹部3内に例えば無電解NiBめっき層からなる金属配線層7が形成される。図8(c)に示す比較例において、基板2の凹部3の底部3a、絶縁層の表面3bにも、密着層および触媒層8が形成されるため、金属配線層7は凹部3の外方に形成される。
【0060】
このため、図8(c)において、金属配線層7のうち基板2の凹部3の外方に形成された部分は、化学機械研磨により除去する必要がある。
【0061】
これに対して本実施の形態によれば、基板2の凹部3の底面に設けられたタングステン層W表面のみに触媒層5を設けるため、触媒層5上に形成された金属配線層7を凹部3内に止めることができる。このため凹部3内に金属配線層7を形成した後、凹部3の外方に形成された金属配線層7を化学機械研磨により除去する工程を除くことができる。
【0062】
このため金属配線層形成工程の単純化および効率化を図ることができる。
【0063】
第2の実施の形態
次に図5および図6により本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0064】
図5および図6に示す第2の実施の形態による金属配線層形成装置10は、タングステン層W表面の酸化膜を除去する酸化膜除去部11と、触媒層12を形成する触媒層形成部12との間に、シリル化剤付与部16と、密着層形成部17とを設けたものであり、他の構成は図1乃至図4に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0065】
図5および図6に示す第2の実施の形態において、図1乃至図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0066】
図5および図6に示す第2の実施の形態において、シリル化剤付与部16は、基板2の凹部3内にシリル化剤を付与して、凹部3の絶縁層の表面3bに後述するカップリング剤が付着することなく、底面3aのタングステン層W表面のみにカップリング剤が付着する状態とするものである。また密着層形成部17は、基板2の凹部3内にカップリング剤を付与して凹部3の絶縁層の表面3bに密着層を形成することなく、底面3aのタングステン層Wのみに密着層を形成するものである。
【0067】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。金属配線層形成装置10内において、図5に示すように、凹部3を有する基板2(図2(a)参照)が酸化膜除去部11に送られ、この酸化膜除去部11において、DHF溶液を用いた洗浄処理により凹部3の底面3aに形成されたタングステン層W表面の酸化膜が除去される。同時に凹部3の絶縁層からなる表面3bが水酸化される。
【0068】
次に基板2はシリル化剤付与部16に送られ、このシリル化剤付与部16において、基板2に対してシリル化剤が付与される。このようなシリル化剤としてはTMSDMAなどが考えられる。
【0069】
このように基板2に対してシリル化剤を付与することにより、凹部3の絶縁層の表面3bにおいて水酸基が除去されて、絶縁層の表面3bを後述するシランカップリング剤が付着しない状態とすることができる。
【0070】
この際、凹部3の底面3aに形成されたタングステン層W上には水酸基が残り、このタングステン層W上はシランカップリング剤が付着する状態を維持する。
【0071】
次に基板2は密着層形成部17に送られ、この密着層形成部17において基板2に対してシランカップリング剤等のカップリング剤が付与される。このとき、凹部3の絶縁層の表面3bは水酸基が除去されているため、シランカップリング剤が付着しにくい状態となっている。他方、凹部3の底面3aに形成されたタングステン層Wはシランカップリング剤が付着する状態を維持しているため、シランカップリング剤は凹部3の底面3aに形成されたタングステン層W上のみに付着する。
【0072】
なお、シリル化剤付与部16においてシリル化剤が付与された基板2を、密着層形成部17に送る前に、基板2を加熱してタングステン層Wに対して加熱処理を施してもよい。この場合は、密着層形成部17においてタングステン層W上にシランカップリング剤を確実に付与することができる。
【0073】
次に密着層形成部17における作用を更に説明する。
【0074】
密着層形成部17は加熱部を有する真空室(図示せず)を有し、この密着層形成部17内において、凹部3を有する基板2上にシランカップリング剤等のカップリング剤が吸着され、このようにして凹部3のうち底面3aに形成されたタングステン層W上に密着層が形成される(SAM処理)。シランカップリング剤を吸着させて形成された密着層は、後述する触媒層5との密着性を向上させるものである。
【0075】
密着層形成部17において密着層が形成された基板2は、触媒層形成部12へ送られる。そしてこの触媒層形成部12において、基板2の密着層上に、例えば触媒となるPdイオンが吸着されて触媒層5が形成される(図2(b)参照)。
【0076】
この場合、基板2の密着層は凹部3の底面3aに形成されたタングステン層W上のみに設けられているため、触媒層5も凹部3の底面3aに形成されたタングステン層W上のみに形成され、触媒層5が凹部3の絶縁層の表面3bに形成されることはない。
【0077】
このようにして触媒層形成部12において、凹部3の底面3aに形成されたタングステン層W表面のみに触媒層5が形成される。
【0078】
このようにタングステン層W表面に触媒層5が形成された基板2は、触媒層焼成部13に送られ、この触媒層焼成部13内で基板2が加熱される。このようにして凹部3の底面3aに形成されたタングステン層W表面の触媒層5が焼成されて固められる。
【0079】
金属ナノ粒子により触媒層5が形成される場合、触媒層5を焼成することにより、触媒層5をより効果的に固めることができる。
【0080】
次に基板2は触媒層焼成部13から金属配線層形成部14に送られる。そしてこの金属配線層形成部14において、基板2の凹部3内に例えば無電解NiBめっき液が供給されてめっき処理が施され、このようにしてタングステン層W上の触媒層5上に無電解NiBめっき層からなる金属配線層7が形成される。
【0081】
本実施の形態において、触媒層5上に形成される金属配線層7としては、Ni、NiB、NiP、Co、CoB、CoP等からなる金属配線層7が考えられる。
【0082】
以上のように本実施の形態によれば、基板2の凹部3の底面3aに設けられたタングステン層W表面のみに触媒層5を形成するとともに、凹部3の絶縁層の表面3bには触媒層5が形成されないので、凹部3内のみに金属配線層7を設けることができる。この場合、金属配線層7が凹部3の外方に形成されることはなく、このため凹部3の外方に形成された金属配線層7を化学機械研磨により除去する必要はない。
【符号の説明】
【0083】
2 基板
3 凹部
3a 底面
3b 表面
5 触媒層
7 金属配線層
10 金属配線層形成装置
11 酸化膜除去部
12 触媒層形成部
13 触媒層焼成部
14 金属配線層形成部
16 シリル化剤付与部
17 密着層形成部
20 制御装置
21 記憶媒体
W タングステン層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8