特許第6054612号(P6054612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054612
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】半導体集積装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20161219BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20161219BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20161219BHJP
   H01L 23/60 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H01L27/04 H
   H01L27/04 A
   H01L21/92 602Z
   H01L23/56 B
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-48870(P2012-48870)
(22)【出願日】2012年3月6日
(65)【公開番号】特開2013-187218(P2013-187218A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 元彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147728
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 信司
(72)【発明者】
【氏名】渕上 千加志
【審査官】 宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−043035(JP,A)
【文献】 特開2005−085820(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/126468(WO,A1)
【文献】 特開2001−015547(JP,A)
【文献】 特開2001−284537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 21/60
H01L 23/60
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電気保護回路が主面に形成されている半導体基板と、前記主面に対して下面が対向する金属パッドと、前記金属パッドの上面に対向して形成されている導電性バンプと、を含む半導体集積装置であって、
前記静電気保護回路は、互いに隣接する第1の拡散領域及び第2の拡散領域を含み、
前記金属パッドと前記半導体基板の主面との間には絶縁層が形成されており、
前記絶縁層を貫通して前記金属パッドと前記第1の拡散領域とを電気的に接続する導電部材が設けられており、
前記導電性バンプは前記第1及び第2の拡散領域に対向する対向面を有する板状電極であり、前記対向面内の前記第1の拡散領域に対向する位置における前記導電部材が形成されている位置のみに前記金属パッドに接触する突起部が形成されていることを特徴とする半導体集積装置。
【請求項2】
前記対向面において前記突起部を除く領域と前記金属パッドとの間に絶縁膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体集積装置。
【請求項3】
前記第2の拡散領域が電源ライン又は接地ラインに接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体集積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップ、特にその表面に外部接続用のバンプが形成されている半導体集積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等の半導体チップをワイヤーを用いることなく直に基板上に実装する方法として、フリップチップ実装(以下、FC実装称する)が知られている。また、FC実装で用いられる半導体チップとして、その表面に外部端子としての電極パッドが形成されており、電極パッドの表面に外部接続用のバンプ電極が形成されたものが知られている(例えば、特許文献1の図3の(B)参照)。
【0003】
ここで、このような半導体チップには、静電気放電に伴う静電破壊を防ぐ為に、上記した電極パッドの近傍に、例えばダイオード素子からなる静電気保護回路が設けられている。
【0004】
しかしながら、静電気放電に伴ってサージ電圧がバンプ電極に印加されると、ダイオード素子のアノード電極及びカソード電極の双方に同時に電圧が掛かってしまう場合があった。この際、静電気保護回路には電流が流れなくなるので、電流を流すことによって静電破壊を防止するという静電気保護回路本来の動作が為されず、静電気保護回路自体が損傷してしまう虞れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−135486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、静電気破壊を確実に防止することが可能な半導体集積装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体集積装置は、静電気保護回路が主面に形成されている半導体基板と、前記主面に対して下面が対向する金属パッドと、前記金属パッドの上面に対向して形成されている導電性バンプと、を含む半導体集積装置であって、前記静電気保護回路は、互いに隣接する第1の拡散領域及び第2の拡散領域を含み、前記金属パッドと前記半導体基板の主面との間には絶縁層が形成されており、前記絶縁層を貫通して前記金属パッドと前記第1の拡散領域とを電気的に接続する導電部材が設けられており、前記導電性バンプは前記第1及び第2の拡散領域に対向する対向面を有する板状電極であり、前記対向面内の前記第1の拡散領域に対向する位置における前記導電部材が形成されている位置のみに前記金属パッドに接触する突起部が形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、導電性バンプにおける金属パッドとの対向面に、半導体基板に形成されている第2拡散領域に囲まれた局所領域である第1拡散領域に対向する範囲のみが金属パッドに接触する突起部を設けるようにしたものである。かかる構成において、静電気放電に伴うサージ電圧が導電性バンプに印加されると、このサージ電圧が金属パッドを介して直接、静電気保護回路の第1拡散領域に印加されると共に、第2拡散領域にも、半導体基板の主面に形成されている電源ライン(又は接地ライン)と導電性バンプとの間に寄生する寄生容量を介してサージ電圧が印加される。ただし、第2拡散領域の上方では、導電性バンプと金属パッドとが離間した状態となるので、上記した寄生容量は、電源ライン(又は接地ライン)及び金属パッド間での第1寄生容量と、金属パッド及び導電性バンプ間での第2寄生容量との直列の合成容量となる。よって、この合成容量は、上記した第1寄生容量よりも低くなるので、第1寄生容量だけの場合に比して、寄生容量を介して第2の拡散領域に印加されるサージ電圧が低下する。
【0009】
これにより、静電気保護回路の第1及び第2の拡散領域間に電位差が生じるので、例えこれら第1及び第2の拡散領域に同時にサージ電圧が印加されても、静電気保護回路は、静電放電に伴う電流を電源ライン(又は接地ライン)に流し込んでこれを消費させることが可能となる。
【0010】
よって、本発明によれは、静電気保護回路自体の破壊を招くことなく、半導体チップの内部回路に対する静電気破壊を確実に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】半導体集積装置としての半導体チップ1の上面を示す上面図である。
図2】半導体チップ1の構造を示す図である。
図3図2に示される静電気保護回路HCa及びHCbの等価回路を示す回路図である。
図4】静電気保護回路HCa及びHCbの上方領域で形成される寄生容量C1及びC2を示す図である。
図5】半導体チップ1の変形例を示す断面図である。
図6】半導体チップ1の他の実施例を示す図である。
図7図2に示される静電気保護回路HCa及びHCbの等価回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、第1の拡散領域(12、14、52、62)を囲む第2の拡散領域(13、15、53、54、63、64)を含む静電気保護回路(HCa、HCb)が主面に形成されている半導体基板(10)と、この主面に対向する金属パッド(21)と、金属パッドの上面に対向する導電性バンプ(20)と、を備え、導電性バンプにおける金属パッドとの対向面に、上記した第1の拡散領域に対向する範囲内に金属パッドに接触する突起部(2a、2b)を設ける。
【実施例】
【0013】
図1は、半導体集積装置としての半導体チップ1の上面を示す上面図である。
【0014】
図1に示すように、半導体チップ1の表面には、外部端子としての複数の導電性のバンプ20が形成されている。
【0015】
図2(a)は、図1に示されるW−W線での半導体チップ1の断面を示す断面図であり、図2(b)は、半導体チップ1の表面上におけるバンプ20に対応した領域の構造を示す上面図である。
【0016】
バンプ20は、ハンダ又は金(Au)等の導電性の板状電極であり、その上面(外部に露出している面)が、実装基板又は他のチップの端子に接合される接合面となる。バンプ20の下面には図2(a)及び図2(b)に示す如き突起部2a、2bが形成されており、これら突起部2a、2bの頂上面が板状の金属パッド21に当接されている。バンプ20及び金属パッド21間には、酸化膜、窒化膜、ポリイミド等の絶縁材料からなるパッシベーション膜22が形成されている。すなわち、上記した突起部2a及び2bは、夫々がパッシベーション膜22を貫通して金属パッド21の一方の面に当接されているのである。つまり、バンプ20における金属パッド21との対向面において上記した突起部2a及び2bを除く領域と、金属パッド21との間に絶縁膜としてのパッシベーション膜22が形成されているのである。金属パッド21の他方の面と、半導体チップ1の表面との間には、二酸化ケイ素等からなる絶縁層23が形成されている。絶縁層23における突起部2a及び2b各々に対応した位置にはスルーホールが設けられており、各スルーホールには、金属パッド21と半導体チップ1の表面とを電気的に接続する導電部材24a及び24bが充填又は挿入されている。
【0017】
半導体チップ1の表面近傍及び表面(以下、主面と称する)中におけるバンプ20の真下の領域には、静電気放電に伴う静電破壊を防ぐ為の静電気保護回路HCa及びHCbが形成されている。
【0018】
静電気保護回路HCaは、pチャネル型の半導体基板10の主面に形成されているnウェル領域11と、このnウェル領域11内に形成されているpチャネル型の拡散領域12及びnチャネル型の拡散領域13と、からなる。拡散領域12は、バンプ20の突起部2aの頂上面の真下の位置に形成されており、その上面が導電部材24aに当接されている。尚、拡散領域12の上面領域は、図2(b)の破線にて示す如き突起部2aの頂上面の大きさよりも僅かに大である。つまり、バンプ20の上面側から真下に向かって、突起部2aの頂上面及び拡散領域12の上面領域を眺めた場合に、図2(b)の破線にて示す如き突起部2aの頂上面が、拡散領域12の上面領域内に含まれるように、拡散領域12の上面領域の大きさ及び突起部2aの頂上面の大きさが設定されているのである。拡散領域13は、図2(b)に示す如く、拡散領域12を環状に囲むように、nウェル領域11の主面に形成されている。拡散領域13は、半導体基板10の主面に形成されている電源ライン(図示せぬ)に接続されている。
【0019】
すなわち、静電気保護回路HCaは、図3に示すように、そのアノード端子がバンプ20に接続されており、且つカソード端子が電源電圧を供給する為の電源ラインL1に接続されているダイオード素子である。
【0020】
静電気保護回路HCbは、pチャネル型の半導体基板10の主面に形成されているnチャネル型の拡散領域14及びpチャネル型の拡散領域15と、からなる。拡散領域14は、バンプ20の突起部2bの頂上面の真下の位置に形成されており、その上面が導電部材24bに当接されている。尚、拡散領域14の上面領域は、図2(b)の破線にて示す如き突起部2bの頂上面の大きさよりも僅かに大である。つまり、バンプ20の上面側から真下に向かって、突起部2bの頂上面及び拡散領域14の上面領域を眺めた場合に、図2(b)の破線にて示す如き突起部2bの頂上面が、拡散領域14の上面領域内に含まれるように、拡散領域14の上面領域の大きさ及び突起部2bの頂上面の大きさが設定されているのである。拡散領域15は、図2(b)に示す如く、拡散領域14を環状に囲むように、半導体基板10の主面に形成されている。拡散領域15は、半導体基板10の主面に形成されている接地ライン(図示せぬ)に接続されている。
【0021】
すなわち、静電気保護回路HCbは、図3の等価回路に示されるように、そのカソード端子がバンプ20に接続されており、且つアノード端子が接地ラインL2に接続されているダイオード素子である。
【0022】
以下に、静電気保護回路HCa及びHCbによる保護動作について説明する。
【0023】
先ず、静電気放電に伴ってサージ電圧がバンプ20に印加されると、かかるサージ電圧は、バンプ20の突起部2a、金属パッド21、及び導電部材24aなる経路、或いは突起部2b、金属パッド21、及び導電部材24bなる経路を介して、拡散領域12又は14に印加される。すなわち、バンプ20に印加されたサージ電圧は、図3に示す如き静電気保護回路HCaとしてのダイオード素子のアノード端子、又は静電気保護回路HCbとしてのダイオード素子のカソード端子に印加される。これにより、静電気保護回路HCa又はHCbのダイオード素子がオン状態となり、サージ電圧に伴う電流が電源ラインL1又は接地ラインL2に流れ込んで消費される。よって、半導体チップ1に構築されている回路網(図示せぬ)にサージ電圧に伴う大電流が流れ込むことはないので、この回路網が静電破壊から保護される。
【0024】
ところで、バンプ20に印加されたサージ電圧は静電気保護回路HCa(HCb)のアノード端子(カソード端子)に印加されるだけでなく、金属パッド21、絶縁層23及び電源ラインL1(接地ラインL2)による寄生容量を介して、静電気保護回路HCa(HCb)のカソード端子(アノード端子)にも同時に印加される場合がある。すなわち、サージ電圧は、突起部2a又は2bを介して拡散領域12又は14に直接印加されると同時に、図4に示す如き寄生容量C1を介して拡散領域13又は15にも印加されるのである。この際、静電気保護回路としてのダイオードの両端にサージ電圧が印加されることになるので、このダイオードに電流が流れなくなり、静電気保護回路HCa又はHCb自体の破壊を招く虞が生じる。
【0025】
そこで、本発明に係る半導体集積装置では、バンプ20の下面に突起部2a及び2bを設け、バンプ20と金属パッド21とを突起部2a及び2bによって接合することにより、突起部2a及び2b以外のバンプ20の下面を、図4に示す如く金属パッド21の表面から距離DQの分だけ離間させるようにしている。更に、突起部2a(2b)の頂上面の真下の領域に、ダイオードのアノード端子(カソード端子)を担う拡散領域12(14)を形成し、突起部2a(2b)の真下の領域を除く領域にダイオードのカソード端子(アノード端子)を担う拡散領域13(15)を形成するようにしている。すなわち、第1の拡散領域(12、14)は第2の拡散領域(13、15)に囲まれた領域内に存在する局所領域であり、導電性バンプ20の金属パッド21との対向面には、上記第1の拡散領域に対向する範囲のみに金属パッド21に接触する突起部(2a、2b)が設けられている。
【0026】
これにより、拡散領域13及び15各々の上方の領域での寄生容量は、図4に示す如きバンプ20の下面及び金属パッド21間に寄生する寄生容量C2と、上記した寄生容量C1との直列の合成容量となる。よって、寄生容量C1及びC2の合成容量は、C1よりも小さくなるので、静電気放電に伴って拡散領域13(15)に印加されるサージ電圧は、拡散領域12(14)に印加されるサージ電圧よりも低くなる。つまり、静電気保護回路HCa(HCb)としてのダイオードの両端に電位差が生じるようになる。
【0027】
従って、例え静電気放電に伴うサージ電圧が静電気保護回路としてのダイオードの両端に印加されてもこのダイオードには電流が流れるので、静電気保護回路自体の破壊を招くことなく、半導体チップ1の内部回路の破壊防止を行うことが可能となる。
【0028】
又、上記実施例においては、金属パッド21と拡散領域12(14)とを電気的に接続すべく、図2(a)に示すようにバンプ20の突起部2a及び2b各々の真下の位置に導電部材24a、24bを夫々設けるようにしているが、かかる方法に限定されない。例えば、絶縁層23及び半導体基板10の表面をアルミ配線等の金属配線で引き回すことにより、金属パッド21と拡散領域12及び14とを電気的に接続するようにしても良い。この際、図5に示す如く絶縁層23内には、スルーホール及び導電部材24a、24bが存在しない状態となる。
【0029】
また、上記実施例では、静電気保護回路HCa、HCbはダイオードであったが、これをMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のトランジスタで実現するようにしても良い。
【0030】
図6(a)及び図6(b)は、かかる点に鑑みて為された半導体チップ1の構造の他の一例を示す図である。尚、図6(a)は、図1に示されるW−W線での半導体チップ1の断面を示す断面図であり、図6(b)は、半導体チップ1の表面上におけるバンプ20に対応した領域の構造を示す上面図である。また、図6(a)において、バンプ20、金属パッド21、パッシベーション膜22、絶縁層23については、図2(a)に示すものと同一である。
【0031】
図6(a)及び図6(b)において、静電気保護回路HCaは、pチャネル型の半導体基板10の主面に形成されているnウェル領域51と、このnウェル領域51内に形成されているpチャネル型の拡散領域52〜54と、nウェル領域51の表面上に形成されているゲート酸化膜55及び56と、からなる。拡散領域52〜54は、nウェル領域51の主面において並列に形成されている。ゲート酸化膜55は、互いに隣接する拡散領域52及び53各々の表面の一部に当接されており、ゲート酸化膜56は、互いに隣接する拡散領域52及び54各々の表面の一部に当接されている。この際、拡散領域53、54、ゲート酸化膜55及び56は夫々電源ラインL1に接続されており、拡散領域52は図示せぬ金属配線を介して金属パッド21に接続されている。よって、ゲート酸化膜55及び56がpチャネルMOS型トランジスタのゲート、拡散領域53及び54がソース領域、拡散領域52がドレイン領域となる。尚、ドレイン領域としての拡散領域52は、バンプ20の突起部2aの頂上面の真下の位置に形成されており、その上面領域の大きさは、図6(b)の破線にて示す如き突起部2aの頂上面の大きさよりも僅かに大である。つまり、バンプ20の上面側から真下に向かって、突起部2aの頂上面及び拡散領域52の上面領域を眺めた場合に、図6(b)の破線にて示す如き突起部2aの頂上面が、拡散領域52の上面領域内に含まれるように、拡散領域52の上面領域の大きさ及び突起部2aの頂上面の大きさが設定されているのである。
【0032】
静電気保護回路HCaは、図7の等価回路に示すように、そのドレイン端子がバンプ20に接続されており、且つゲート端子及びソース端子が、電源電圧を供給する為の電源ラインL1に接続されているpチャネルMOS型のトランジスタである。
【0033】
また、図6(a)及び図6(b)において、静電気保護回路HCbは、pチャネル型の半導体基板10の主面内に形成されているnチャネル型の拡散領域62〜64と、ゲート酸化膜65及び66と、からなる。拡散領域62〜64は、半導体基板10の主面において並列に形成されている。ゲート酸化膜65は、互いに隣接する拡散領域62及び63各々の表面の一部に当接されており、ゲート酸化膜66は、互いに隣接する拡散領域62及び64各々の表面の一部に当接されている。この際、拡散領域63、64、ゲート酸化膜65及び66は夫々接地ラインL2に接続されており、拡散領域62は図示せぬ金属配線を介して金属パッド21に接続されている。よって、ゲート酸化膜65及び66がnチャネルMOS型トランジスタのゲート、拡散領域63及び64がソース領域、拡散領域62がドレイン領域となる。尚、ドレイン領域としての拡散領域62は、バンプ20の突起部2bの頂上面の真下の位置に形成されており、その上面領域の大きさは、図6(b)の破線にて示す如き突起部2bの頂上面の大きさよりも僅かに大である。つまり、バンプ20の上面側から真下に向かって、突起部2bの頂上面及び拡散領域62の上面領域を眺めた場合に、図6(b)の破線にて示す如き突起部2aの頂上面が、拡散領域62の上面領域内に含まれるように、拡散領域62の上面領域の大きさ及び突起部2bの頂上面の大きさが設定されているのである。
【0034】
静電気保護回路HCbは、図7の等価回路に示すように、そのドレイン端子がバンプ20に接続されており、且つゲート端子及びソース端子が接地ラインL2に接続されているnチャネルMOS型のトランジスタである。
【0035】
よって、図6(a)及び図6(b)に示す構造を有する半導体チップ1に対して、静電気放電に伴うサージ電圧がバンプ20に印加されると、このサージ電圧は、バンプ20の突起部2a及び金属パッド21、或いは突起部2b及び金属パッド21を介して、拡散領域52又は62に印加される。すなわち、バンプ20に印加されたサージ電圧は、図7に示す如き静電気保護回路HCaとしてのpチャネルMOS型トランジスタのドレイン端子、又は静電気保護回路HCbとしてのnチャネルMOS型トランジスタのドレイン端子に印加される。これにより、静電気保護回路HCa又はHCbがオン状態となり、サージ電圧に伴う電流が電源ラインL1又は接地ラインL2に流れ込んで消費される。よって、半導体チップ1に構築されている回路網(図示せぬ)にサージ電圧に伴う大電流が流れ込むことはないので、この回路網が静電破壊から保護される。
【0036】
ところで、バンプ20に印加されたサージ電圧は静電気保護回路HCa(HCb)のドレイン端子に印加されるだけでなく、金属パッド21、絶縁層23及び電源ラインL1(接地ラインL2)からなる寄生容量を介して、静電気保護回路HCa(HCb)のゲート端子及びソース端子にも同時に印加される場合がある。すなわち、サージ電圧は、突起部2a(2b)を介して静電気保護回路HCa(HCb)の拡散領域52(62)に印加されると同時に、図6(a)に示す如き寄生容量C1を介してゲート酸化膜55(65)及び56(66)にも印加されるのである。すると、静電気保護回路HCa(HCb)としてのMOSトランジスタの全ての端子に同時にサージ電圧が印加されることになるので、このMOSトランジスタに電流が流れなくなり、静電気保護回路HCa(HCb)自体の破壊を招く虞が生じる。
【0037】
そこで、図6(a)及び図6(b)に示す構造を有する半導体チップ1では、バンプ20の下面に設けた突起部2a及び2bによってバンプ20と金属パッド21とを接合することにより、突起部2a及び2b以外のバンプ20の下面を図6(a)に示す如く金属パッド21の表面から距離DQだけ離間させるようにしている。更に、突起部2a(2b)の真下に、MOSトランジスタのドレイン端子を担う拡散領域52(62)を形成し、突起部2a(2b)の頂上面の真下を除く領域にMOSトランジスタのゲート端子を担うゲート酸化膜55、56(65、66)を形成するようにしている。
【0038】
すなわち、第1の拡散領域(52、62)は第2の拡散領域(53、54、63、64)に囲まれた局所領域であり、導電性バンプ20の金属パッド21との対向面には、上記第1の拡散領域に対向する範囲のみに金属パッド21に接触する突起部(2a、2b)が設けられているのである。
【0039】
これにより、ゲート酸化膜各々の上方の領域での寄生容量は、図6(a)に示す如き金属パッド21、絶縁層23及び電源ラインL1(接地ラインL2)による寄生容量C1と、バンプ20の下面及び金属パッド21間に寄生する寄生容量C2との直列の合成容量となる。よって、寄生容量C1及びC2の合成容量はC1よりも小さくなるので、静電気放電に伴ってゲート酸化膜55、56、65又は66に印加されるサージ電圧は、拡散領域52又は62に印加されるサージ電圧よりも低くなる。この際、MOSトランジスタのゲート端子を担うゲート酸化膜55及び56(65、66)は、図7に示す如く、MOSトランジスタのソース端子を担う拡散領域53、54(63、64)に電気的に接続されている。よって、静電気保護回路HCa(HCb)としてのMOSトランジスタのドレイン端子及びソース端子間には電位差が生じるようになる。
【0040】
従って、例え静電気放電に伴うサージ電圧が静電気保護回路としてのMOSトランジスタのゲート端子、ドレイン端子及びソース端子に同時に印加されてもこのMOSトランジスタには電流が流れるので、静電気保護回路自体の破壊を招くことなく、半導体チップ1の内部回路の破壊防止を行うことが可能となる。
【0041】
以上の如く、本発明による半導体集積装置は、局所領域としての第1の拡散領域(12、14、52、62)を囲む第2の拡散領域(13、15、53、54、63、64)を含む静電気保護回路HCa、HCbが主面に形成されている半導体基板10と、この主面に対向する金属パッド21と、金属パッド21の上面に対向する導電性バンプ20と、を備え、導電性バンプ20における金属パッド21との対向面に、上記した第1の拡散領域に対向する範囲内に金属パッド21に接触する突起部2a、2bを設けたものである。
【0042】
かかる構造により、第2の拡散領域の上方では、導電性バンプ20と金属パッド21とが離間した状態となる。よって、導電性バンプ20及び金属パッド21間の寄生容量は、電源ライン(又は接地ライン)及び金属パッド21間での第1寄生容量C1と、金属パッド21及び導電性バンプ20間での第2寄生容量との直列の合成容量となる。従って、この合成容量は、上記した第1寄生容量C1よりも低くなるので、第1寄生容量C1だけの場合に比して、寄生容量を介して第2の拡散領域に印加されるサージ電圧が低下する。これにより、静電気保護回路HCa及びHCbの第1及び第2の拡散領域間に電位差が生じるので、例えこれら第1及び第2の拡散領域に同時にサージ電圧が印加されても、静電気保護回路は、静電放電に伴う電流を電源ライン(又は接地ライン)に流し込んでこれを消費させることが可能となる。
【0043】
よって、本発明によれは、静電気放電の発生時において、静電気保護回路自体の破壊を招くことなく、半導体チップの内部回路の破壊防止を確実に行うことが可能となる。
【0044】
尚、上記実施例においては、バンプ20と金属パッド21との間に酸化膜、窒化膜、ポリイミド等の絶縁膜からなるパッシベーション膜22を設けるようにしているが、このパッシベーション膜22を設けず、バンプ20と金属パッド21との間を空間としても良い。
【符号の説明】
【0045】
1 半導体チップ
10 半導体基板
20 バンプ
21 金属パッド
HCa、HCb 静電気保護回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7