(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の接触型セルフクリーニング機構は、一旦除去された処理屑がブラシまたはプレートからスクラブ洗浄具に移り、スクラブ洗浄具および基板を逆汚染するという問題がある。
【0006】
本発明は、上述したような従来の問題点を解決するためになされたもので、スクラブ洗浄具および基板の逆汚染を起こさずにスクラブ洗浄具を洗浄することができるセルフクリーニング機構を備えた基板洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、基板を水平に保持して回転させる基板保持部と、前記基板の表面に摺接する円柱状のスクラブ洗浄具と、前記スクラブ洗浄具をその軸心まわりに回転させる回転機構と、前記スクラブ洗浄具を洗浄するセルフクリーニング機構とを備え、前記セルフクリーニング機構は、前記スクラブ洗浄具の外周面に沿った形状の内周面を有するクリーニング本体部と、前記スクラブ洗浄具の外周面と前記クリーニング本体部の内周面との間の隙間を通じて、洗浄流体を前記スクラブ洗浄具の外周面に向かって噴射する少なくとも1つの洗浄ノズルと
、前記隙間を通じて気体を前記スクラブ洗浄具の外周面に向かって噴射するブローノズルとを備え、前記ブローノズルは、前記スクラブ洗浄具の回転方向において、前記洗浄ノズルの下流側に配置されていることを特徴とする基板洗浄装置である。
【0008】
本発明の好ましい態様は、前記少なくとも1つの洗浄ノズルは、前記スクラブ洗浄具の両側に配置された第1の洗浄ノズルと第2の洗浄ノズルであることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記洗浄ノズルは、前記スクラブ洗浄具の軸心に沿って配列された複数のスリットノズルから構成されていることを特徴とす
る。
【0009】
本発明の好ましい態様は、前記洗浄ノズルは、下方に傾斜していることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記洗浄流体は、洗浄液と高圧の気体との混合からなることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記洗浄流体は、高圧の洗浄液からなることを特徴とする。
本発明の
他の態様は、
基板を水平に保持して回転させる基板保持部と、前記基板の表面に摺接する円柱状のスクラブ洗浄具と、前記スクラブ洗浄具をその軸心まわりに回転させる回転機構と、前記スクラブ洗浄具を洗浄するセルフクリーニング機構とを備え、前記セルフクリーニング機構は、前記スクラブ洗浄具の外周面に沿った形状の内周面を有するクリーニング本体部と、前記スクラブ洗浄具の外周面と前記クリーニング本体部の内周面との間の隙間を通じて、洗浄流体を前記スクラブ洗浄具の外周面に向かって噴射する少なくとも1つの洗浄ノズルと、前記隙間から気体を吸引するための吸引流路
とを備えたことを特徴とす
る基板洗浄装置である。
本発明の好ましい態様は、前記セルフクリーニング機構は、前記クリーニング本体部の内周面内に流体入口を有するドレインをさらに備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の
他の態様は、
基板を水平に保持して回転させる基板保持部と、前記基板の表面に摺接する円柱状のスクラブ洗浄具と、前記スクラブ洗浄具をその軸心まわりに回転させる回転機構と、前記スクラブ洗浄具を洗浄するセルフクリーニング機構とを備え、前記セルフクリーニング機構は、前記スクラブ洗浄具の外周面に沿った形状の内周面を有するクリーニング本体部と、前記スクラブ洗浄具の外周面と前記クリーニング本体部の内周面との間の隙間を通じて、洗浄流体を前記スクラブ洗浄具の外周面に向かって噴射する少なくとも1つの洗浄ノズルとを備え、前記少なくとも1つの洗浄ノズルは、前記スクラブ洗浄具の両側に配置された第1の洗浄ノズルおよび第2の洗浄ノズルと、前記第1の洗浄ノズルの下方に配置された第3の洗浄ノズルと、前記第2の洗浄ノズルの下方に配置された第4の洗浄ノズルであることを特徴とする
基板洗浄装置である。
本発明の好ましい態様は、前記スクラブ洗浄具は、前記基板の下面に摺接するように配置され、前記セルフクリーニング機構は、前記スクラブ洗浄具の下方に配置されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記スクラブ洗浄具を前記セルフクリーニング機構に搬送する搬送機構をさらに備え、前記スクラブ洗浄具は、前記基板の上面に摺接するように配置され、前記セルフクリーニング機構は、前記基板保持部に隣接して設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、洗浄流体の噴流がスクラブ洗浄具の外周面に当たることで該スクラブ洗浄具を洗浄する。このように非接触でスクラブ洗浄具が洗浄されるので、ブラシやプレートを用いた従来の接触型セルフクリーニング機構とは異なり、スクラブ洗浄具および基板の逆汚染が起こらない。セルフクリーニング機構はスクラブ洗浄具の直下に配置することもできる。この場合は、スクラブ洗浄具を搬送する必要がないので、基板処理全体のスループットを向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、研磨ユニット、洗浄ユニット、および乾燥ユニットを備えた研磨装置を示す図である。この研磨装置は、ウェーハ(基板)を研磨し、洗浄し、乾燥させる一連の工程を行うことができる装置である。
図1に示すように、研磨装置は、略矩形状のハウジング2を備えており、ハウジング2の内部は隔壁2a,2bによってロード/アンロード部6と研磨部1と洗浄部8とに区画されている。研磨装置は、ウェーハ処理動作を制御する動作制御部10を有している。
【0014】
ロード/アンロード部6は、多数のウェーハをストックするウェーハカセットが載置されるロードポート12を備えている。このロード/アンロード部6には、ロードポート12の並びに沿って走行機構14が敷設されており、この走行機構14上にウェーハカセットの配列方向に沿って移動可能な搬送ロボット(ローダー)16が設置されている。搬送ロボット16は走行機構14上を移動することによってロードポート12に搭載されたウェーハカセットにアクセスできるようになっている。
【0015】
研磨部1は、ウェーハの研磨が行われる領域であり、第1研磨ユニット1A、第2研磨ユニット1B、第3研磨ユニット1C、第4研磨ユニット1Dを備えている。第1研磨ユニット1Aは、研磨面を有する研磨パッド20が取り付けられた第1研磨テーブル22Aと、ウェーハを保持しかつウェーハを第1研磨テーブル22A上の研磨パッド20に押圧しながら研磨するための第1トップリング24Aと、研磨パッド20に研磨液(例えばスラリ)やドレッシング液(例えば、純水)を供給するための第1研磨液供給ノズル26Aと、研磨パッド20の研磨面のドレッシングを行うための第1ドレッシングユニット28Aと、液体(例えば純水)と気体(例えば窒素ガス)の混合流体、または液体(例えば純水)を霧状にして研磨面に噴射する第1アトマイザ30Aとを備えている。
【0016】
同様に、第2研磨ユニット1Bは、研磨パッド20が取り付けられた第2研磨テーブル22Bと、第2トップリング24Bと、第2研磨液供給ノズル26Bと、第2ドレッシングユニット28Bと、第2アトマイザ30Bとを備えており、第3研磨ユニット1Cは、研磨パッド20が取り付けられた第3研磨テーブル22Cと、第3トップリング24Cと、第3研磨液供給ノズル26Cと、第3ドレッシングユニット28Cと、第3アトマイザ30Cとを備えており、第4研磨ユニット1Dは、研磨パッド20が取り付けられた第4研磨テーブル22Dと、第4トップリング24Dと、第4研磨液供給ノズル26Dと、第4ドレッシングユニット28Dと、第4アトマイザ30Dとを備えている。
【0017】
第1研磨ユニット1Aおよび第2研磨ユニット1Bに隣接して、第1リニアトランスポータ40が配置されている。この第1リニアトランスポータ40は、4つの搬送位置(第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4)の間でウェーハを搬送する機構である。また、第3研磨ユニット1Cおよび第4研磨ユニット1Dに隣接して、第2リニアトランスポータ42が配置されている。この第2リニアトランスポータ42は、3つの搬送位置(第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6、第7搬送位置TP7)の間でウェーハを搬送する機構である。
【0018】
第1搬送位置TP1に隣接して、搬送ロボット16からウェーハを受け取るためのリフタ44が配置されている。ウェーハはこのリフタ44を介して搬送ロボット16から第1リニアトランスポータ40に渡される。リフタ44と搬送ロボット16との間に位置して、シャッタ(図示せず)が隔壁2aに設けられており、ウェーハの搬送時にはシャッタが開かれて搬送ロボット16からリフタ44にウェーハが渡されるようになっている。
【0019】
ウェーハは、搬送ロボット16によってリフタ44に渡され、さらにリフタ44から第1リニアトランスポータ40に渡され、そして第1リニアトランスポータ40によって研磨ユニット1A,1Bに搬送される。第1研磨ユニット1Aのトップリング24Aは、そのスイング動作により第1研磨テーブル22Aの上方位置と第2搬送位置TP2との間を移動する。したがって、トップリング24Aへのウェーハの受け渡しは第2搬送位置TP2で行われる。
【0020】
同様に、第2研磨ユニット1Bのトップリング24Bは研磨テーブル22Bの上方位置と第3搬送位置TP3との間を移動し、トップリング24Bへのウェーハの受け渡しは第3搬送位置TP3で行われる。第3研磨ユニット1Cのトップリング24Cは研磨テーブル22Cの上方位置と第6搬送位置TP6との間を移動し、トップリング24Cへのウェーハの受け渡しは第6搬送位置TP6で行われる。第4研磨ユニット1Dのトップリング24Dは研磨テーブル22Dの上方位置と第7搬送位置TP7との間を移動し、トップリング24Dへのウェーハの受け渡しは第7搬送位置TP7で行われる。
【0021】
第1リニアトランスポータ40と、第2リニアトランスポータ42と、洗浄部8との間にはスイングトランスポータ46が配置されている。ウェーハは、スイングトランスポータ46によって第1リニアトランスポータ40から第2リニアトランスポータ42に搬送される。さらに、ウェーハは、第2リニアトランスポータ42によって第3研磨ユニット1Cおよび/または第4研磨ユニット1Dに搬送される。
【0022】
スイングトランスポータ46の側方には、図示しないフレームに設置されたウェーハの仮置き台48が配置されている。この仮置き台48は、
図1に示すように、第1リニアトランスポータ40に隣接して配置されており、第1リニアトランスポータ40と洗浄部8との間に位置している。スイングトランスポータ46は、第4搬送位置TP4、第5搬送位置TP5、および仮置き台48の間でウェーハを搬送する。
【0023】
仮置き台48に載置されたウェーハは、洗浄部8の第1の搬送ロボット50によって洗浄部8に搬送される。洗浄部8は、研磨されたウェーハを洗浄液で洗浄する一次洗浄ユニット52および二次洗浄ユニット54と、洗浄されたウェーハを乾燥する乾燥ユニット56とを備えている。第1の搬送ロボット50は、ウェーハを仮置き台48から一次洗浄ユニット52に搬送し、さらに一次洗浄ユニット52から二次洗浄ユニット54に搬送するように動作する。二次洗浄ユニット54と乾燥ユニット56との間には、第2の搬送ロボット58が配置されている。この第2の搬送ロボット58は、ウェーハを二次洗浄ユニット54から乾燥ユニット56に搬送するように動作する。
【0024】
乾燥されたウェーハは、搬送ロボット16により乾燥ユニット56から取り出され、ウェーハカセットに戻される。このようにして、研磨、洗浄、および乾燥を含む一連の処理がウェーハに対して行われる。
【0025】
第1研磨ユニット1A、第2研磨ユニット1B、第3研磨ユニット1C、および第4研磨ユニット1Dは互いに同一の構成を有している。したがって、以下、第1研磨ユニット1Aについて説明する。
図2は、第1研磨ユニット1Aを示す斜視図である。
図2に示すように、第1研磨ユニット1Aは、研磨パッド20を支持する研磨テーブル22Aと、ウェーハWを研磨パッド20に押し付けるトップリング24Aと、研磨パッド20に研磨液(スラリー)を供給するための研磨液供給ノズル26Aとを備えている。
図2において、第1ドレッシングユニット28Aと第1アトマイザ30Aは省略されている。
【0026】
研磨テーブル22Aは、テーブル軸23を介してその下方に配置されるテーブルモータ25に連結されており、このテーブルモータ25により研磨テーブル22Aが矢印で示す方向に回転されるようになっている。研磨パッド20は研磨テーブル22Aの上面に貼付されており、研磨パッド20の上面がウェーハWを研磨する研磨面20aを構成している。トップリング24Aはトップリングシャフト27の下端に固定されている。トップリング24Aは、その下面に真空吸着によりウェーハWを保持できるように構成されている。トップリングシャフト27は、トップリングアーム31内に設置された図示しない回転機構に連結されており、トップリング24Aはこの回転機構によりトップリングシャフト27を介して回転駆動されるようになっている。
【0027】
ウェーハWの表面の研磨は次のようにして行われる。トップリング24Aおよび研磨テーブル22Aをそれぞれ矢印で示す方向に回転させ、研磨液供給ノズル26Aから研磨パッド20上に研磨液(スラリー)を供給する。この状態で、トップリング24AによりウェーハWを研磨パッド20の研磨面20aに押し付ける。ウェーハWの表面は、研磨液に含まれる砥粒の機械的作用と研磨液に含まれる化学成分の化学的作用により研磨される。
【0028】
一次洗浄ユニット52および二次洗浄ユニット54は、互いに同じ構成を有している。したがって、以下、一次洗浄ユニット52についてのみ説明する。
図3は、一次洗浄ユニット(基板洗浄装置)52を示す斜視図である。
図3に示すように、第1洗浄ユニット52は、ウェーハWを水平に保持して回転させる4つの保持ローラ(基板保持部)71,72,73,74と、ウェーハWの上下面に接触する円柱状のロールスポンジ(スクラブ洗浄具)77,78と、これらのロールスポンジ77,78を回転させる回転機構80,81と、ウェーハWの上面に純水(好ましくは、超純水)を供給する上側純水供給ノズル85,86と、ウェーハWの上面に洗浄液(薬液)を供給する上側洗浄液供給ノズル87,88とを備えている。図示しないが、ウェーハWの下面(絶縁膜、または金属膜、または絶縁膜および金属膜を含むデバイスなどの構造体が形成されている面)に純水を供給する下側純水供給ノズルと、ウェーハWの下面に洗浄液(薬液)を供給する下側洗浄液供給ノズルが設けられている。
【0029】
保持ローラ71,72,73,74は図示しない駆動機構(例えばエアシリンダ)によって、ウェーハWに近接および離間する方向に移動可能となっている。上側のロールスポンジ77を回転させる回転機構80は、その上下方向の動きをガイドするガイドレール89に取り付けられている。また、この回転機構80は昇降駆動機構82に支持されており、回転機構80および上側のロールスポンジ77は昇降駆動機構82により上下方向に移動されるようになっている。なお、図示しないが、下側のロールスポンジ78を回転させる回転機構81もガイドレールに支持されており、昇降駆動機構によって回転機構81および下側のロールスポンジ78が上下動するようになっている。昇降駆動機構としては、例えばボールねじを用いたモータ駆動機構またはエアシリンダが使用される。ウェーハWの洗浄時には、ロールスポンジ77,78は互いに近接する方向に移動してウェーハWの上下面に接触する。スクラブ洗浄具として、ロールスポンジに代えて、ロールブラシが使用されることもある。
【0030】
次に、ウェーハWを洗浄する工程について説明する。まず、ウェーハWをその軸心まわりに回転させる。次いで、上側洗浄液供給ノズル87,88および図示しない下側洗浄液供給ノズルからウェーハWの上面及び下面に洗浄液が供給される。この状態で、ロールスポンジ77,78がその水平に延びる軸心周りに回転しながらウェーハWの上下面に摺接することによって、ウェーハWの上下面をスクラブ洗浄する。
【0031】
スクラブ洗浄後、回転するウェーハWに純水を供給することによってウェーハWの濯ぎ(リンス)が行われる。ウェーハWのリンスは、ロールスポンジ77,78をウェーハWの上下面に摺接させながら行なってもよいし、ロールスポンジ77,78をウェーハWの上下面から離間させた状態で行なってもよい。
【0032】
研磨部1によって研磨されたウェーハWは、一次洗浄ユニット52および二次洗浄ユニット54により上述のようにして洗浄される。3つ以上の洗浄ユニットにより、多段階の洗浄が行われてもよい。
【0033】
上記一次洗浄ユニット52では、デバイスなどの構造体が形成されている面が下向きとなるように保持ローラ71,72,73,74によってウェーハWが保持される。下側のロールスポンジ(スクラブ洗浄具)78はウェーハWの下面に摺接されるため、このロールスポンジ78の外周面には、研磨屑やスラリーに含まれる砥粒などの処理屑が堆積する。そこで、ロールスポンジ78の外周面を洗浄するために、セルフクリーニング機構110が下側のロールスポンジ78の直下に設けられている。
【0034】
図4は、セルフクリーニング機構110を示す断面図である。セルフクリーニング機構110は、ロールスポンジ78に沿って延びるクリーニング本体部115と、このクリーニング本体部115に設けられた第1の洗浄ノズル121および第2の洗浄ノズル122とを備えている。クリーニング本体部115は、ロールスポンジ78の外周面に沿った形状の内周面115aを有している。このクリーニング本体部115の内周面115aは半円筒形状を有しており、ロールスポンジ78の外周面の下半分に対向するように配置されている。クリーニング本体部115の内周面115aは、ロールスポンジ78の直径よりもやや大きい直径を有している。第1の洗浄ノズル121および第2の洗浄ノズル122は、クリーニング本体部115の内周面115a内に開口端をそれぞれ有しており、ロールスポンジ78の外周面とクリーニング本体部115の内周面115aとの間に形成される隙間を通じて洗浄流体をロールスポンジ78の外周面に向けて噴射するようになっている。
【0035】
第1の洗浄ノズル121および第2の洗浄ノズル122は、ロールスポンジ78の両側に配置されている。より具体的には、ロールスポンジ78の回転方向において、第1の洗浄ノズル121は第2の洗浄ノズル122の上流側に配置されている。第1の洗浄ノズル121および第2の洗浄ノズル122は、それぞれ、ロールスポンジ78の軸心(軸方向)に沿って配列された複数のスリットノズルから構成されている。第1の洗浄ノズル121は第1の流体流路131に接続され、第2の洗浄ノズル122は第2の流体流路132に接続されている。第1の流体流路131および第2の流体流路132は、洗浄流体供給源141に接続されている。
【0036】
洗浄流体は、洗浄流体供給源141から流体流路131,132を通じて洗浄ノズル121,122に供給され、そして、洗浄ノズル121,122から流体噴流としてロールスポンジ78の外周面に供給される。洗浄流体の例としては、洗浄液(例えば純水)と高圧ガス(例えば高圧窒素ガス)との混合、または高圧の洗浄液(例えば高圧の純水)が挙げられる。したがって、第1の洗浄ノズル121および第2の洗浄ノズル122からは、2流体噴流または液体噴流がロールスポンジ78の外周面に供給される。
【0037】
第2の洗浄ノズル122の上方には、窒素ガスなどの不活性ガスまたは空気からなる気体をロールスポンジ78の外周面に噴射するブローノズル126が配置されている。ロールスポンジ78の回転方向において、ブローノズル126は第2の洗浄ノズル122の下流側に配置されている。ブローノズル126は、クリーニング本体部115に設けられており、ガス流路136を通じてガス供給源142に接続されている。このブローノズル126は、洗浄ノズル121,122と同様に、クリーニング本体部115の内周面115aに開口端を有しており、ロールスポンジ78の外周面とクリーニング本体部115の内周面115aとの間の隙間を通じて高圧の気体をロールスポンジ78の外周面に向けて噴射するようになっている。
【0038】
第1の洗浄ノズル121および第2の洗浄ノズル122は、ロールスポンジ78の軸心よりも下方に配置されている。これら洗浄ノズル121,122は、水平方向に対して下方に傾斜しており、ロールスポンジ78の外周面に向かって斜め下方に洗浄流体を噴射する。洗浄流体は、ロールスポンジ78の外周面の下側領域に鋭角に当たり、これによりロールスポンジ78を洗浄する。洗浄流体は、ロールスポンジ78の外周面とクリーニング本体部115の内周面115aとの間の隙間を下方に流れ、この隙間に連通するドレイン117を通じて排出される。このドレイン117は、クリーニング本体部115に設けられており、クリーニング本体部115の内周面115aに流体入口を有している。
【0039】
洗浄ノズル121,122と同様に、ブローノズル126は、ロールスポンジ78の軸心よりも下方に配置されている。ブローノズル126は、水平方向に対して下方に傾斜しており、ロールスポンジ78の外周面に向かって斜め下方に気体を噴射する。気体は、ロールスポンジ78の外周面の下側領域に鋭角に当たり、これによりロールスポンジ78から洗浄液を除去する。気体は、ロールスポンジ78の外周面とクリーニング本体部115の内周面115aとの間の隙間を、ロールスポンジ78の回転方向と対抗する方向に進み、ドレイン117を通じて排出される。
【0040】
クリーニング本体部115内には、ドレイン117から分岐する吸引流路137が設けられている。この吸引流路137は、真空ポンプなどの真空源を備えた真空排気ライン138に接続されており、吸引流路137は、ドレイン117を通じて、ロールスポンジ78の外周面とクリーニング本体部115の内周面115aとの間の隙間から気体を吸引している。このため、
図4に示すように、ロールスポンジ78の周囲の空気は、上記隙間に引き込まれて下降流を形成する。この下降流は、洗浄液の飛び散りを防止するとともに、ロールスポンジ78から除去された処理屑(砥粒や研磨屑など)が再びロールスポンジ78に付着することを防止することができる。
【0041】
ロールスポンジ78の洗浄は、ロールスポンジ78を回転させながら行われる。ロールスポンジ78の洗浄時におけるロールスポンジ78の回転速度は、ロールスポンジ78の直径が100mm以下の条件下において、好ましくは5min
−1以上50min
−1以下であり、さらに好ましくは5min
−1以上10min
−1以下である。ロールスポンジ78が一回転するたびに、第1の洗浄ノズル121からの洗浄流体、第2の洗浄ノズル122からの洗浄流体、およびブローノズル126からの気体がこの順にロールスポンジ78の外周面に当たり、これによって、ロールスポンジ78の外周面から処理屑を除去し、さらにロールスポンジ78から洗浄液を除去する。このように、セルフクリーニング機構110は、洗浄流体の高圧噴流でロールスポンジ78を洗浄するので、従来の接触型セルフクリーニング機構とは異なり、ロールスポンジ78およびウェーハの逆汚染が起こらない。ロールスポンジ78の洗浄は、薬液をロールスポンジ78に供給しながら行ってもよい。
【0042】
ロールスポンジ78は、図示しない昇降駆動機構によって上下動可能となっている。
図5に示すように、ウェーハWの洗浄時には、ロールスポンジ78は上昇位置にあり、ロールスポンジ78の洗浄時には、
図6に示すように、ロールスポンジ78は下降位置にある。ロールスポンジ78が下降位置にあるとき、ロールスポンジ78の外周面と、セルフクリーニング機構110の内周面115aとの間には、ほぼ均一な隙間が形成される。セルフクリーニング機構110は、ロールスポンジ78の直下に配置されているので、ロールスポンジ78を下方にわずかに移動させるだけで、ロールスポンジ78をセルフクリーニング機構110の所定の洗浄位置にセットすることができる。したがって、ロールスポンジ78の搬送を含めた洗浄工程をより短い時間で実行することができ、結果としてスループットを向上させることができる。
【0043】
図7は、ロールスポンジ78の外周面の模式拡大図である。
図7に示すように、ロールスポンジ78の外周面は、多数の突起部79から構成されている。
図8は、ロールスポンジ78の外周面を構成する突起部79の断面図である。各突起部79の基部79aおよび頂部79bは樹脂または不織布などから構成されている。例えば、基部79aおよび頂部79bはPVA(ポリビニルアルコール)スポンジから構成することができる。
図9は突起部79の頂部79bの拡大写真であり、
図10は突起部79の基部79aの拡大写真である。
図9および
図10から分かるように、突起部79の頂部79bは密度の高い構造となっているが、突起部79の基部79a内には比較的大きな空隙が形成されている。このため、
図11に示すように、突起部79の基部79b内には処理屑が溜まりやすい。
【0044】
本実施形態に係るセルフクリーニング機構110は、高圧の洗浄流体をロールスポンジ78の外周面にその略接線方向から供給するように構成される。したがって、
図12に示すように、洗浄流体の高圧噴流は各突起部79に横方向から当たり、突起部79内に溜まった処理屑を除去することができる。
【0045】
図13に示すように、第1の洗浄ノズル121の下方に第3の洗浄ノズル123を配置し、第2の洗浄ノズル122の下方に第4の洗浄ノズル124を配置してもよい。これら第3の洗浄ノズル123および第4の洗浄ノズル124は、それぞれ第3の流体流路133および第4の流体流路134を通じて上述した洗浄流体供給源141に接続されている。これら第3の流体流路133および第4の流体流路134も、それぞれ、ロールスポンジ78の軸心に沿って配列された複数のスリットノズルから構成されている。
【0046】
第3の洗浄ノズル123および第4の洗浄ノズル124は、ロールスポンジ78の両側に配置されている。第3の洗浄ノズル123は、水平方向に対して上方に傾斜しており、第4の洗浄ノズル124は、ほぼ水平方向を向いている。これら洗浄ノズル123,124から噴射された洗浄流体は、ロールスポンジ78の外周面の下側領域に鋭角に当たり、ロールスポンジ78から処理屑を除去することができる。
【0047】
図14は、第1の洗浄ノズル121と第3の洗浄ノズル123の配置を模式的に示す上面図である。第1の洗浄ノズル121および第3の洗浄ノズル123は、それぞれロールスポンジ78の軸心に沿って所定の間隔で配列された複数のスリットノズル121a,123aから構成されている。これは、次の理由による。各洗浄ノズル121,123が長い単一のスリットノズルであると、このスリットノズル121,123から噴出した洗浄流体が、ロールスポンジ78の外周面とクリーニング本体部115の内周面115aとの間の隙間を流れる気流(
図13参照)を妨げてしまうことがある。さらに、第1の洗浄ノズル121から噴射された洗浄流体に含まれる洗浄液(例えば純水)が、第1の洗浄ノズル121の下方に配置された第3の洗浄ノズル123を塞いでしまうことがある。このような問題を回避するために、第1の洗浄ノズル121および第3の洗浄ノズル123は、それぞれ複数のスリットノズル121a,123aから構成されている。さらに、
図14に示すように、第1の洗浄ノズル121を構成するスリットノズル121aと、第3の洗浄ノズル123を構成するスリットノズル123aは、ロールスポンジ78の軸方向において交互に配列されている。同様の理由から、
図15に示すように、第2の洗浄ノズル122および第4の洗浄ノズル124も、それぞれロールスポンジ78の軸心に沿って配列された複数のスリットノズル122a,124aから構成され、第2の洗浄ノズル122を構成するスリットノズル122aと、第4の洗浄ノズル124を構成するスリットノズル124aは、ロールスポンジ78の軸方向において交互に配列されている。
【0048】
これに対し、ブローノズル126は、
図16に示すように、ロールスポンジ78の軸心に沿って延びる単一のスリットノズル126aであってもよいし、
図17に示すように、ロールスポンジ78の軸心に沿って配列された複数のスリットノズル126bであってもよい。
【0049】
図13に示す実施形態によれば、ロールスポンジ78が一回転するたびに、第1の洗浄ノズル121からの洗浄流体、第3の洗浄ノズル123からの洗浄流体、第4の洗浄ノズル124からの洗浄流体、第2の洗浄ノズル122からの洗浄流体、およびブローノズル126からの気体がこの順にロールスポンジ78の外周面に当たり、これによって、ロールスポンジ78の外周面から処理屑を除去し、さらにロールスポンジ78から洗浄液を除去する。
【0050】
上述した実施形態では、ウェーハの下面に摺接される下側のロールスポンジ78を洗浄するセルフクリーニング機構110について説明したが、上記セルフクリーニング機構110に代えて、または加えて、ウェーハの上面に摺接される上側のロールスポンジ77を洗浄するためのセルフクリーニング機構を設けてもよい。
【0051】
図18は、上記セルフクリーニング機構110に代えて、上側のロールスポンジ77を洗浄するためのセルフクリーニング機構112を備えた基板洗浄装置を示す模式図である。
図18に示すように、セルフクリーニング機構112は、保持ローラ(基板保持部)71,72,73,74に隣接して配置されている。この基板洗浄装置は、ロールスポンジ77の搬送機構150を備えており、搬送機構150はウェーハの洗浄が終わったロールスポンジ77をセルフクリーニング機構112にまで搬送するように構成されている。搬送機構150は、エアシリンダ、またはボールねじ機構とサーボモータとの組み合わせなどから構成されている。
図18に示すセルフクリーニング機構112は、上述したセルフクリーニング機構110と同一の構成を有している。
【0052】
図19は、下側のロールスポンジ78を洗浄するためセルフクリーニング機構110に加えて、上側のロールスポンジ77を洗浄するためのセルフクリーニング機構112を備えた基板洗浄装置を示す模式図である。
図19に示す基板洗浄装置は、
図6に示すセルフクリーニング機構110と、
図18に示すセルフクリーニング機構112を備えている。この実施形態によれば、ウェーハWの両面に摺接されるロールスポンジ77,78を洗浄することができる。したがって、ロールスポンジ77,78が接触するウェーハWの両面の清浄度を高めることができる。
【0053】
デバイスの生産性向上の観点から、ウェーハの直径は大きくなる傾向にある。このような傾向の下で、将来的にはウェーハの直径は450mmになると予想されている。大径のウェーハの裏面(デバイス形成面の反対側の面)は、従来にも増してより高い清浄度が必要とされている。これは、ウェーハの裏面にダストやパーティクルが付着していると、露光装置のステージ上に置かれたウェーハが傾き、露光装置が光線の焦点をウェーハ表面の全体に合わせることができなくなるからである。
図19に示す実施形態によれば、上下のロールスポンジ77,78は、それぞれ対応するセルフクリーニング機構112,110によって清浄に保たれる。したがって、上下のロールスポンジ77,78は、逆汚染を起こすことなく、ウェーハの両面を洗浄することができる。
【0054】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。