特許第6054856号(P6054856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054856
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】絶縁領域の形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20161219BHJP
   H01L 21/308 20060101ALI20161219BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20161219BHJP
   H01L 21/76 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H01L21/316 G
   H01L21/308 E
   H01L21/306 D
   H01L21/76 L
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-267628(P2013-267628)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-126020(P2015-126020A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2015年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 寛之
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−257850(JP,A)
【文献】 特開2007−173765(JP,A)
【文献】 特開平02−237030(JP,A)
【文献】 特開2011−009685(JP,A)
【文献】 特開平09−232538(JP,A)
【文献】 特開平03−072657(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0330906(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306−21/3063、21/308、
21/312−21/3213、21/465−21/467、
21/47−21/475、21/70−21/768、
23/52−23/522
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹部を有する基板にシリコン系の絶縁材料の溶液を塗布すること、
前記基板に塗布された前記絶縁材料の溶液を乾燥させること、
前記絶縁材料の溶液を乾燥させた後に、前記基板にエッチング液を供給して前記絶縁材料の余分を除去すること、
前記絶縁材料の余分を除去した後に、前記基板に残った前記絶縁材料を焼成することで、シリコン酸化物を含有する絶縁体を前記凹部内に形成すること、を含み、
前記凹部内に残った前記絶縁材料の表面の側縁部分が中央部分に比べ陥没した状態となるように、前記エッチング液による前記絶縁材料の除去を行い、当該状態にて前記絶縁材料を焼成する、絶縁領域の形成方法。
【請求項2】
ポリシラザンを含有する前記絶縁材料を用いる、請求項1記載の絶縁領域の形成方法。
【請求項3】
アルカリ性の前記エッチング液を用いる、請求項1又は2記載の絶縁領域の形成方法。
【請求項4】
前記アルカリ性のエッチング液として、水酸化アンモニウム水溶液、水酸化カリウム水溶液及びアンモニア過水のいずれか一種を用いる、請求項3記載の絶縁領域の形成方法。
【請求項5】
前記基板に塗布された前記絶縁材料の溶液を乾燥させた後、当該基板に前記エッチング液を供給する前に、前記基板に付着した前記絶縁材料を研磨することを更に含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の絶縁領域の形成方法。
【請求項6】
前記凹部内に形成された前記絶縁体の上に、化学気相成長によって絶縁体を積層することを更に含む、請求項1〜のいずれか一項記載の絶縁領域の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁領域の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板の表面には、様々な半導体素子が形成されると共に、素子同士の間を絶縁するための領域が形成される。絶縁領域を形成する方法として、例えば特許文献1には、シャロー・トレンチ・アイソレーションプロセスが開示されている。シャロー・トレンチ・アイソレーションプロセスでは、表面にトレンチが形成された基板に、絶縁材料を含む組成物が塗布される。次に、絶縁材料の焼成により、基板の表面に絶縁体の層が形成される。次に、研磨及びウェットエッチングにより余分な絶縁体が除去され、トレンチごとに絶縁領域が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−9685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記方法では、絶縁領域の高さが形成位置に応じてばらつく場合がある。このばらつきが大きくなると、絶縁領域の高さが部分的に不足するおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、基板の表面の凹部ごとに絶縁領域を形成する際に、形成位置に応じた絶縁領域の高さのばらつきを抑制できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、絶縁領域の高さが形成位置に応じてばらつく現象について詳細に調査研究を行った結果、凹部の幅に応じて絶縁領域の高さに差異が生じる傾向を見出した。具体的に、幅が狭い凹部内では、幅が広い凹部内に比べ、絶縁領域の高さが低くなる傾向がある。この要因として、凹部の幅が狭くなるのに応じて、焼成時に絶縁材料に生じる応力が大きくなり、エッチング液に対する絶縁体の耐性が低下することが考えられる。
【0007】
そこで本発明に係る絶縁領域の形成方法は、表面に凹部を有する基板にシリコン系の絶縁材料の溶液を塗布すること、基板に塗布された絶縁材料の溶液を乾燥させること、絶縁材料の溶液を乾燥させた後に、基板にエッチング液を供給して絶縁材料の余分を除去すること、絶縁材料の余分を除去した後に、基板に残った絶縁材料を焼成することで、シリコン酸化物を含有する絶縁体を凹部内に形成すること、を含む。
【0008】
この絶縁領域の形成方法では、エッチング(エッチング液の供給による余分の除去)が絶縁材料の焼成前に行われる。このため、エッチング液に対する耐性のばらつきが抑制された状態で、絶縁材料の高さが調整される。これにより、エッチング後における絶縁材料の高さのばらつきが抑制され、焼成後における絶縁体の高さのばらつきも抑制される。従って、形成位置に応じた絶縁領域の高さのばらつきを抑制できる。
【0009】
ポリシラザンを含有する絶縁材料を用いてもよく、アルカリ性のエッチング液を用いてもよい。アルカリ性のエッチング液として、水酸化アンモニウム水溶液、水酸化カリウム水溶液及びアンモニア過水のいずれか一種を用いてもよい。
【0010】
基板に塗布された絶縁材料の溶液を乾燥させた後、当該基板にエッチング液を供給する前に、基板に付着した絶縁材料を研磨することを更に含んでもよい。この場合、エッチング液を供給する前に、絶縁材料の表面を研磨によって平滑化することで、焼成前における絶縁材料の高さのばらつきが更に抑制される。従って、形成位置に応じた絶縁領域の高さのばらつきを更に抑制できる。
【0011】
凹部内に残った絶縁材料の表面の側縁部分が中央部分に比べ陥没した状態となるように、エッチング液による絶縁材料の除去を行ってもよい。この場合、絶縁材料の表面の側縁部分と中央部分とで高さが等しい場合に比べ、凹部の内面と絶縁材料との接触面積が小さくなる。これにより、焼成時に凹部の内面から絶縁材料に作用する力が低減されるので、焼成後の絶縁領域の強度を高めることができる。
【0012】
凹部内に形成された絶縁体の上に、化学気相成長によって絶縁体を積層することを更に含んでもよい。化学気相成長により積層される絶縁体の強度は、絶縁材料の焼成により形成される絶縁体の強度に比べ高くなる傾向がある。一方、化学気相成長では、絶縁材料を塗布して焼成するのに比べ、凹部の底面側に絶縁体を充填し難い傾向がある。絶縁材料の焼成と化学気相成長とを組み合わせることにより、絶縁体の充填性と強度との両立を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基板の表面の凹部ごとに絶縁領域を形成する際に、形成位置に応じた絶縁領域の高さのばらつきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る形成手順を示すフローチャートである。
図2】第1実施形態に係る形成手順に応じた絶縁領域の形成過程を示す模式図である。
図3】第1実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す斜視図である。
図4図3中のIV−IV線に沿う断面図である。
図5図4中のV−V線に沿う断面図である。
図6図4中のVI−VI線に沿う断面図である。
図7】第2実施形態に係る形成手順を示すフローチャートである。
図8】第2実施形態に係る形成手順に応じた絶縁領域の形成過程を示す模式図である。
図9】第2実施形態に係る塗布・エッチング装置の断面図である。
図10】第3実施形態に係る形成手順を示すフローチャートである。
図11】第3実施形態に係る形成手順に応じた絶縁領域の形成過程を示す模式図である。
図12】第3実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す斜視図である。
図13】比較例に係る絶縁領域の電子顕微鏡写真である。
図14】実施例に係る絶縁領域の電子顕微鏡写真である。
図15】実施例及び比較例に係る絶縁領域の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
〔第1実施形態〕
(絶縁領域の形成方法)
第1実施形態に係る絶縁領域の形成方法は、半導体のウェハ(基板)Wの表面Waに形成されたトレンチ(凹部)Wt内に、絶縁領域を形成する方法である。この方法では、まず表面WaにトレンチWtが形成されたウェハWを準備し、表面Waにシリコン系の絶縁材料の溶液を塗布する(ステップS01)。シリコン系の絶縁材料としては、例えばポリシラザン等が挙げられる。また、塗布方法としては、水平に設置したウェハWを回転させながら、表面Wa上に溶液を供給することが挙げられる。
【0017】
次に、ウェハWを加熱することで、絶縁材料IMの溶液の溶剤を揮発させる。すなわち、ウェハWに塗布された絶縁材料IMの溶液を乾燥させる(ステップS02)。加熱条件としては、例えば100〜250℃の熱板上に60〜180秒間載置することが挙げられる。乾燥後に表面Wa上に残った絶縁材料IMは、トレンチWtに入り込むと共に、表面Wa上に膜を構成する(図2(a)参照)。
【0018】
次に、表面Wa上にエッチング液を供給し、エッチング液の浸食作用により絶縁材料IMの余分を除去する(ステップS03)。以下、エッチング液の供給による余分の除去を「エッチング」という。エッチングの継続により、少なくともトレンチWt外の絶縁材料IMを除去する。エッチング液の具体例としては、例えば水酸化アンモニウム水溶液、水酸化カリウム水溶液又はアンモニア過水等のアルカリ性の液体が挙げられる。アンモニア過水は、水酸化アンモニウム水溶液と過酸化水素水との混合物である。エッチング液の供給方法としては、水平に設置したウェハWを回転させながら、表面Wa上にエッチング液を供給することが挙げられる。
【0019】
次に、表面Wa上にリンス液を供給し、エッチング液及びエッチング液による溶解物を洗い流す(ステップS04)。リンス液としては、純水又はDIW(Deionized Water)が挙げられる。リンス液の供給方法としては、水平に設置したウェハWを回転させながら、表面Wa上にリンス液を供給することが挙げられる。
【0020】
次に、加熱によりリンス液を揮発させ、ウェハWを乾燥させる(ステップS02)。加熱条件としては、例えば80〜120℃の熱板上に20〜40分間載置することが挙げられる。
【0021】
乾燥後には、トレンチWt内のみに絶縁材料IMが残留した状態となる(図2(b)参照)。なお、エッチングにおいて、エッチング液がトレンチWt内の絶縁材料IMに到達した後には、トレンチWt内の中央部に比べ、トレンチWt内の周縁部において絶縁材料IMの溶解が早く進行する傾向がある。この性質を利用して、絶縁材料IMの表面Fの側縁部分F2が中央部分F1に比べ陥没した状態となるようにエッチングを行ってもよい。
【0022】
次に、ウェハWを焼成炉内に入れて加熱し、絶縁材料IMを焼成する(ステップS06)。加熱条件としては、例えば200〜600℃の炉内に2〜5分間放置することが挙げられる。絶縁材料IMは、焼成により、シリコン酸化物(例えば2酸化ケイ素)を含有する絶縁体IB1となる。絶縁体IB1は、絶縁領域IAを構成する。以上で絶縁領域IAの形成が完了する。
【0023】
仮に、エッチングを絶縁材料IMの焼成後に行う場合、トレンチWtの幅に応じて絶縁領域IAの高さに差異が生じる傾向がある。具体的には、幅が狭いトレンチWt内では、幅が広いトレンチWt内に比べ、絶縁領域IAの高さが低くなる傾向がある。この要因として、トレンチWtの幅が狭くなるのに応じて、焼成時に絶縁材料IMに生じる応力が大きくなり、エッチング液に対する絶縁体IB1の耐性が低下することが考えられる。
【0024】
これに対し、上述した形成方法では、エッチングが絶縁材料IMの焼成前に行われる。このため、エッチング液に対する耐性のばらつきが抑制された状態で、絶縁材料IMの高さが調整される。これにより、エッチング後における絶縁材料IMの高さのばらつきが抑制され、焼成後における絶縁体IB1の高さのばらつきも抑制される。従って形成位置に応じた絶縁領域IAの高さのばらつきを抑制できる。
【0025】
上述したように、トレンチWt内に残った絶縁材料IMの表面Fの側縁部分F2が中央部分F1に比べ陥没した状態となるように、エッチングを行ってもよい。この場合、表面Fの側縁部分F2と中央部分F1とで高さが等しい場合(図2(b)中の2点鎖線参照)に比べ、トレンチWtの内面と絶縁材料IMとの接触面積が小さくなる。これにより、焼成時にトレンチWtの内面から絶縁材料IMに作用する力が低減されるので、焼成後の絶縁領域IAの強度を高めることができる。
【0026】
(基板処理システム)
図3に示す基板処理システムは、上述した絶縁領域の形成方法を実行するシステムの一例であり、塗布・エッチング装置2と焼成炉3とを備える。焼成炉3は、上述した絶縁領域IAの形成方法における絶縁材料IMの焼成を行うための装置であり、ウェハWを収容して加熱する。
【0027】
塗布・エッチング装置(基板処理装置)2は、上述した絶縁領域IAの形成方法における絶縁材料IMの焼成以外の全手順を行うための装置である。図4図6に示すように、塗布・エッチング装置(基板処理装置)2は、キャリアブロックP1と、処理ブロックP2とを備える。
【0028】
キャリアブロックP1は、キャリアステーション20と搬入・搬出部21とを有する。キャリアステーション20は、複数のキャリア10を支持する。キャリア10は、複数枚のウェハWを密封状態で収容し、ウェハWを出し入れするための開閉扉(不図示)を一側面10a側に有する。キャリア10は、側面10aが搬入・搬出部21側に面するように、キャリアステーション20上に設置される。
【0029】
搬入・搬出部21は、キャリアステーション20に隣接している。搬入・搬出部21は、キャリアステーション20上のキャリア10にそれぞれ対応する複数の開閉扉21aを有する。側面10aの開閉扉と開閉扉21aとを同時に開放することで、キャリア10内と搬入・搬出部21内とが連通する。搬入・搬出部21はアームA1を内蔵している。アームA1は、キャリア10からウェハWを取り出して処理ブロックP2に渡し、処理ブロックP2からウェハWを受け取ってキャリア10内に戻す。
【0030】
処理ブロックP2は、上下に並ぶ塗布部22とエッチング部23とを有し、搬入・搬出部21に隣接している。塗布部22は、塗布ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにウェハWを搬送するアームA2とを内蔵している。塗布ユニットU1は、絶縁材料IMの溶液をウェハWの表面Wa上に塗布する。熱処理ユニットU2は、熱板及び冷却板を有する。熱板は、ウェハWに塗布された絶縁材料IMの溶液を乾燥させるためにウェハWを加熱する。冷却板は加熱後のウェハWを冷却する。
【0031】
エッチング部23は、エッチングユニットU3と、熱処理ユニットU4と、これらのユニットにウェハWを搬送するアームA3とを内蔵している。エッチングユニットU3は、ウェハWの表面Wa上にエッチング液及びリンス液を順に供給する。熱処理ユニットU4は、熱板及び冷却板を有する。熱板は、リンス液を揮発させるためにウェハWを加熱する。冷却板は加熱後のウェハWを冷却する。
【0032】
処理ブロックP2内において、搬入・搬出部21側には棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、床面から塗布部22に至るように設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には、アームA4が設けられている。アームA4は、棚ユニットU10の複数のセル間でウェハWを搬送する。
【0033】
このように、塗布・エッチング装置2は、表面WaにトレンチWtを有するウェハWにシリコン系の絶縁材料IMの溶液を塗布する塗布ユニットU1と、ウェハWに塗布された絶縁材料IMの溶液を乾燥させるための熱処理ユニットU2と、絶縁材料IMを焼成する前に、ウェハWにエッチング液を供給して絶縁材料IMの余分を除去するエッチングユニットU3と、を備える。
【0034】
塗布・エッチング装置2は、次のように用いられる。まず、複数のウェハWを収容したキャリア10が、側面10aを搬入・搬出部21側に向けた状態でキャリアステーション20上に設置される。キャリア10内のウェハWの表面Waには、予めトレンチWtが形成されている。次に、キャリア10の開閉扉と開閉扉21aとが共に開放され、アームA1により、キャリア10内のウェハWが取り出され、棚ユニットU10のいずれかのセルに順次搬送される。
【0035】
棚ユニットU10のいずれかのセルに搬送されたウェハWは、塗布部22に対応するセルにアームA4によって搬送される。このウェハWは、アームA2によって塗布ユニットU1に搬送される。塗布ユニットU1においては、ウェハWの表面Waに絶縁材料IMの溶液を塗布する塗布処理が行われる。塗布処理を施されたウェハWは、アームA2によって熱処理ユニットU2に搬送される。熱処理ユニットU2においては、ウェハWの加熱により絶縁材料IMの溶液を乾燥させ、加熱後のウェハWを冷却させる熱処理が行われる。熱処理を施されたウェハWは、アームA2によって棚ユニットU10のセルに戻される。
【0036】
棚ユニットU10のセルに戻されたウェハWは、エッチング部23に対応するセルにアームA4によって搬送される。このウェハWは、アームA3によってエッチングユニットU3に搬送される。エッチングユニットU3においては、ウェハWの表面Waにエッチング液を供給するエッチング処理と、表面Waにリンス液を供給するリンス処理とが順に行われる。エッチング処理及びリンス処理を施されたウェハWは、アームA3によって熱処理ユニットU4に搬送される。熱処理ユニットU4においては、ウェハWを加熱により乾燥させ、加熱後のウェハWを冷却させる熱処理が行われる。熱処理を施されたウェハWは、アームA3によって棚ユニットU10のセルに戻される。
【0037】
棚ユニットU10のセルに戻されたウェハWは、アームA1がアクセス可能なセルにアームA4によって搬送された後に、アームA1によってキャリア10内に戻される。
【0038】
基板処理システム1によれば、絶縁材料IMの焼成の直前までの全ての工程を塗布・エッチング装置2のみで実行できる。このため、上述した絶縁領域IAの形成方法を高効率に実行できる。
【0039】
なお、基板処理システム1の構成は一例に過ぎず、様々な変更が可能である。例えば、塗布・エッチング装置2の各ユニットのレイアウトは適宜変更可能である。また、塗布・エッチング装置2と焼成炉3とを一体化してもよいし、塗布・エッチング装置2の機能を複数の装置に分散させてもよい。
【0040】
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係る絶縁領域の形成方法は、ウェハWに付着した絶縁材料IMを研磨する工程を追加した点で、第1実施形態に係る絶縁領域の形成方法と異なる。
【0041】
図7に示すように、第2実施形態に係る絶縁領域の形成方法では、まず、第1実施形態のステップS01,S02と同様に、ウェハWの表面Waにシリコン系の絶縁材料の溶液を塗布し(ステップS11)、その溶液を乾燥させる(ステップS12)。これにより、ウェハWの表面Wa上に絶縁材料IMの膜が形成される(図8(a)参照)。
【0042】
次に、ウェハWの表面Wa上に付着した絶縁材料IMを、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)により研磨する(ステップS13)。これにより、絶縁材料IMの膜の表面が平滑化される(図8(b)参照)。なお、CMPには公知の手法を利用可能である。
【0043】
次に、第1実施形態のステップS03〜S05と同様に、エッチング液の供給(ステップS14)、リンス液の供給(ステップS15)、ウェハWの乾燥(ステップS16)を行う。これにより、トレンチWt内のみに絶縁材料IMが残留した状態となる(図8(c)参照)。
【0044】
次に、第1実施形態のステップS06と同様に、絶縁材料IMの焼成を行う(ステップS17)。これにより、シリコン酸化物を含有する絶縁体IB1がトレンチWt内に形成される(図8(d)参照)。絶縁体IB1は、絶縁領域IAを構成する。
【0045】
このように、第2実施形態に係る絶縁領域の形成方法は、ウェハWに塗布された絶縁材料IMの溶液を乾燥させた後、ウェハWにエッチング液を供給する前に、ウェハWに付着した絶縁材料を研磨することを更に含む。
【0046】
第2実施形態に係る絶縁領域の形成方法では、エッチング液を供給する前に、絶縁材料IMの表面を研磨によって平滑化することで、焼成前における絶縁材料IMの高さのばらつきが更に抑制される。従って、形成位置に応じた絶縁領域IAの高さのばらつきを更に抑制できる。
【0047】
なお、第2実施形態に係る絶縁領域の形成方法を実行する基板処理システムとしては、例えば、基板処理システム1において、CMPを行うための公知のCMPユニットU5を塗布・エッチング装置2の塗布部22に追加したものが挙げられる(図9参照)。CMPユニットU5をエッチング部23に追加してもよい。
【0048】
〔第3実施形態〕
第3実施形態に係る絶縁領域の形成方法は、トレンチWt内に形成された絶縁体IB1の上に、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)により絶縁体を積層する工程を追加した点で、第1実施形態に係る絶縁領域の形成方法と異なる。
【0049】
図10に示すように、第3実施形態に係る絶縁領域の形成方法では、まず、第1実施形態のステップS01〜S06と同様に、絶縁材料の溶液の塗布(ステップS21)、溶液の乾燥(ステップS22)、エッチング液の供給(ステップS23)、リンス液の供給(ステップS24)、ウェハWの乾燥(ステップS25)及び絶縁材料IMの焼成(ステップS26)を行う。これにより、シリコン酸化物を含有する絶縁体IB1がトレンチWt内に形成される(図11(a)〜(c)参照)。次に、CVD処理を行い(ステップS27)、絶縁体IB1の上に絶縁体IB2を積層させる(図11(d)参照)。なお、CVDには、例えば公知の高密度プラズマ(High Density Plasma:HDP)CVDを利用可能である。また、CVDにより積層される絶縁体IB2としては、絶縁体IB1と同様にシリコン酸化物(例えば2酸化ケイ素)を含有するものが挙げられる。絶縁体IB1と絶縁体IB2とは一体化して絶縁領域IAを構成する。
【0050】
CVDにより積層される絶縁体IB2の強度は、絶縁材料IMの焼成により形成される絶縁体IB1の強度に比べ高くなる傾向がある。一方、CVDでは、絶縁材料IMを塗布して焼成するのに比べ、トレンチWtの底面側に絶縁体を充填し難い傾向がある。絶縁材料IMの焼成とCVDとを組み合わせることにより、絶縁領域IAの充填性と強度との両立を図ることができる。
【0051】
なお、第3実施形態に係る絶縁領域の形成方法を実行する基板処理システムとしては、例えば図12に示すように、塗布・エッチング装置2及び焼成炉3に加え、CVDを行うための公知のCVD装置4を更に備える基板処理システム1Aが挙げられる。
【0052】
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、絶縁材料は、焼成によりシリコン酸化物を構成するものであればよく、ポリシラザンに限定されない。また、エッチング液は、シリコン系の絶縁材料を溶解可能なものであればよく、水酸化アンモニウム水溶液、水酸化カリウム水溶液又はアンモニア過水に限定されない。
【実施例】
【0053】
以下、実施例及び比較例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
〔サンプルの作製〕
(実施例1)
互いに幅が異なる複数種類のトレンチが表面に形成されたウェハを準備した。各トレンチの深さは約300nmである。このウェハの表面にポリシラザンの溶液を塗布し、乾燥させた。乾燥後にウェハに付着したポリシラザンの厚さは、トレンチの底面を基準にして約350nmであった。次に、アンモニアを約29%の濃度で含む水酸化アンモニウム水溶液を20分間供給し、ポリシラザンの余分を除去した。次に、約300℃の炉内に約2分間ウェハを放置してポリシラザンを焼成し、トレンチ内にシリコン酸化物を含有する絶縁体を形成した。
【0055】
(実施例2)
幅約80nm、深さ約300nmの複数のトレンチが表面に形成されたウェハを準備した。このウェハの表面にポリシラザンの溶液を塗布し、乾燥させた。乾燥後にウェハに付着したポリシラザンの厚さは、トレンチの底面を基準にして約350nmであった。次に、アンモニアを約29%の濃度で含む水酸化アンモニウム水溶液を用いてエッチングを行い、ポリシラザンの余分を除去した。エッチングにおいては、トレンチ内に残った絶縁材料の表面の側縁部分が中央部分に比べ陥没した状態となるように、エッチング液の供給時間を調整した。エッチング液の供給時間は約30秒であった。次に、約300℃の炉内に約2分間ウェハを放置してポリシラザンを焼成し、トレンチ内にシリコン酸化物を含有する絶縁体を形成した。
【0056】
(比較例1)
互いに幅が異なる複数種類のトレンチが表面に形成されたウェハを準備した。各トレンチの深さは約300nmである。このウェハの表面にポリシラザンの溶液を塗布し、乾燥させた。乾燥後にウェハに付着したポリシラザンの厚さは、トレンチの底面を基準にして約350nmであった。次に、約300℃の炉内に約2分間ウェハを放置してポリシラザンを焼成し、シリコン酸化物を含有する絶縁体を形成した。次に、フッ酸を主成分とするエッチング液を約30秒間供給し、絶縁体の余分を除去した。
【0057】
(比較例2)
幅約80nm、深さ約300nmの複数のトレンチが表面に形成されたウェハを準備した。このウェハの表面にポリシラザンの溶液を塗布し、乾燥させた。乾燥後にウェハに付着したポリシラザンの厚さは、トレンチの底面を基準にして約350nmであった。次に、約300℃の炉内に約2分間ウェハを放置してポリシラザンを焼成し、シリコン酸化物を含有する絶縁体を形成した。次に、フッ酸を主成分とするエッチング液を供給してエッチングを行い、絶縁体の余分を除去した。エッチングにおいては、トレンチ内に残る絶縁体の高さが、実施例2により形成される絶縁体の高さと同等になるようにエッチング液の供給時間を調整した。エッチング液の供給時間は約30秒であった。
【0058】
〔絶縁領域の高さの比較〕
実施例1及び比較例1のそれぞれについて、トレンチ内に形成された絶縁領域の高さを測定した。比較例1については、図13に示すように、幅約200nmのトレンチWt1内に形成された絶縁領域IA1の高さは約310nmであり、幅約150nmのトレンチWt2内に形成された絶縁領域IA2の高さは約280nmであり、幅約100nmのトレンチWt3内に形成された絶縁領域IA3の高さは約150nmであった。すなわち、トレンチの幅が狭くなるのに応じて絶縁領域の高さが低くなる傾向が明らかであった。
【0059】
実施例1については、図14に示すように、幅約70nmのトレンチWt4内に形成された絶縁領域IA4の高さは約190nmであり、幅約80nmのトレンチWt5内に形成された絶縁領域IA5の高さは約185nmであった。すなわち、幅70nm,80nmのトレンチ内にそれぞれ形成された絶縁領域の高さの差はほとんどなかった。更に、これらのトレンチWt4,Wt5の幅に比べ大きい幅約700nmのトレンチWt6内に形成されたに形成された絶縁領域IA6の高さは約131nmであり、トレンチWt4,Wt5内に形成された絶縁領域IA4,IA5の高さに比べ低かった。これらのことから、トレンチの幅が狭くなるのに応じて絶縁領域の高さが低くなる傾向はなかった。この結果から、エッチングを絶縁材料の焼成前に行うことにより、形成位置に応じた絶縁領域の高さのばらつきを抑制できることが推定される。
【0060】
〔絶縁領域の耐性の比較〕
実施例2の絶縁体及び比較例2の絶縁体のそれぞれに、フッ酸を主成分とするエッチング液を同じ時間に亘って供給し、トレンチ内に残留した絶縁領域の状態を確認した。図15に示すように、比較例2のトレンチWt7内に残留した絶縁領域IA7の高さの平均値は約120nmであるのに対し、実施例2のトレンチWt8内に残留した絶縁領域IA8の高さの平均値は約150nmであった。すなわち、絶縁領域IA7の残留量に比べ絶縁領域IA8の残留量が多かった。また、絶縁領域IA7の高さにはトレンチごとのばらつきがあるのに対し、絶縁領域IA8の高さにはトレンチごとのばらつきがほとんどなかった。これらのことから、エッチングを絶縁材料の焼成前に行うのに加え、トレンチ内に残った絶縁材料の表面の側縁部分が中央部分に比べ陥没した状態となるようにエッチングを行うことにより、絶縁領域の強度を高められることが確認された。更に、形成位置に応じた絶縁領域の強度のばらつきを抑制できることも確認された。
【符号の説明】
【0061】
F…表面、F1…中央部分、F2…側縁部分、IA…絶縁領域、IB1…絶縁体、IB2…絶縁体、IM…絶縁材料、W…ウェハ、Wa…表面、Wt…トレンチ。
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