特許第6055229号(P6055229)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055229
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】被処理体の搬送機構および真空処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20161219BHJP
   B65G 49/06 20060101ALI20161219BHJP
   B65G 13/02 20060101ALI20161219BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   B65G49/06 Z
   B65G13/02
   B65G47/52 D
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-177394(P2012-177394)
(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公開番号】特開2014-36159(P2014-36159A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】早坂 智洋
(72)【発明者】
【氏名】高橋 康司
(72)【発明者】
【氏名】清川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】矢作 渉
【審査官】 ▲高▼須 甲斐
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−218355(JP,A)
【文献】 特開昭54−110560(JP,A)
【文献】 特開2005−340425(JP,A)
【文献】 特開平11−131232(JP,A)
【文献】 特開2011−129332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 13/02
B65G 47/52
B65G 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
往路となる第1の搬送経路と、該第1の搬送経路に並設されて復路となる第2の搬送経路とに対して、被処理体を載置して往復搬送する被処理体の搬送機構であって、
前記搬送経路の搬送方向に直交して複数並設された搬送軸を有し、
該搬送軸には、駆動源に接続されて前記被処理体に駆動力を伝達可能に設けられる駆動ローラーと、該駆動ローラーと同軸に並設されるとともに前記駆動ローラーと異なる回転状態が可能とされる支持ローラーと、が設けられるとともに、
往路となる前記第1の搬送経路で搬送駆動する往路駆動ローラーと復路支持ローラーとを有する第1の搬送軸と、復路となる前記第2の搬送経路で搬送駆動する復路駆動ローラーと往路支持ローラーとを有する第2の搬送軸と、によって前記第1の搬送経路と第2の搬送経路とが形成され、
前記復路支持ローラーは復路を搬送される前記被処理体の移動に追従して回転し、
前記往路支持ローラーは往路を搬送される前記被処理体の移動に追従して回転してなることを特徴とする被処理体の搬送機構。
【請求項2】
前記搬送経路に対して、立位の平板状とされる被処理体を載置して被処理面の面内方向に往復搬送することを特徴とする請求項1記載の被処理体の搬送機構。
【請求項3】
立位の平板状とされる被処理体を真空処理するプロセス室と、
前記プロセス室側と大気側とで前記立位の被処理体を搬入・搬出するL/UL室と、
前記被処理体を前記L/UL室側から前記プロセス室側に搬送する往路となる前記第1の搬送経路と、
該第1の搬送経路に並設されて前記被処理体を前記プロセス室側から前記L/UL室側に搬送する復路となる前記第2の搬送経路の2つの搬送経路と、
前記被処理体を往路となる前記第1の搬送経路から、復路となる前記第2の搬送経路に移載するTRエリアと、を備え、
これら前記プロセス室と前記L/UL室と前記TRエリアには、請求項2記載の被処理体の搬送機構が設けられていることを特徴とする真空処理装置。
【請求項4】
前記プロセス室に隣接してバッファ室が設けられ、該バッファ室には、請求項2記載の被処理体の搬送機構が設けられていることを特徴とする請求項3記載の真空処理装置。
【請求項5】
前記プロセス室には、前記第1の搬送経路で搬送される前記被処理体を真空処理する第1の処理手段が設けられるとともに、前記第1の搬送経路と前記第2の搬送経路との間には、前記搬送機構の搬送軸より上側に前記第2の搬送経路で搬送される前記被処理体への影響を防止する防着板が設けられることを特徴とする請求項4記載の真空処理装置。
【請求項6】
前記プロセス室には、前記第1の処理手段に対向して、前記第2の搬送経路で搬送される前記被処理体を真空処理する第2の処理手段が設けられることを特徴とする請求項5記載の真空処理装置。
【請求項7】
前記TRエリアには、前記被処理体を横移動して前記第1の搬送経路から前記第2の搬送経路に移載する手段か、または、前記被処理体を裏返しに反転移動して前記第1の搬送経路から前記第2の搬送経路に移載する手段が設けられることを特徴とする請求項3記載の真空処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理体の搬送機構および真空処理装置に係り、特に、いわゆるインライン式の成膜装置に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶ディスプレイに用いられるガラス基板や、フィルム基板を加工するには、真空下において、所望の温度まで昇温させる加熱工程や、スパッタリング、CVD、或いは、エッチング等の加工手段で単層あるいは複数層の成膜をおこなう種々の成膜工程等が必要である。
従来より、種々の成膜工程に対応して様々な装置が実用に供されている。近年では、基板を略直立させて成膜等を行う縦型方式の成膜装置が用いられている。このような成膜装置としては、処理済みキャリア(基板トレー)を入り口であるL/UL(Load/Unload :仕込/取出)室側に戻すために、特許文献1の図5に示すように、処理ラインとは別のラインを大気中に設けたものがある。これに対して、特許文献1の図6に示すように、装置のボリュームを削減可能なため2ラインを処理室内(処理雰囲気内)に設けたもののほうが好ましい。
【0003】
図7は、従来の成膜装置の一例の基本構成を示す図である。
従来の成膜装置100は、基板着脱室120、1線路(ライン)上に連結された第一乃至第三の3つの真空処理室(加熱室や成膜室を指す)200、220、240、基板トレーを大気側と真空処理室200、220、240間で搬送、搬送するL/UL(Load/Unload :仕込/取出)室140と、を備えた構成である。
また、L/UL室140内及び各真空処理室200、220、240内には、基板トレー0がL/UL室140から各真空処理室200、220、240に搬送される往路となる第一の搬送経路160と、各真空処理室200、220、240を経てL/UL室140に搬送される復路となる第二の搬送経路180の2つの搬送経路160、180が設けられている。
【0004】
さらに、成膜装置100は、最後部の第三の真空処理室240が、基板トレーを往路160から復路180に、2つの搬送経路160、180に対して横方向に移動させて移載する移載機構(図示せず)を備えている。この移載機構は、往路160上の基板トレーを一旦持ち上げ、復路180に移載する機構を有している。
なお、L/UL室140には真空排気装置300が、加熱室には加熱装置及び真空排気装置300が、各真空処理室200、220、240には、スパッタリング装置等の成膜装置210、230、250及び真空排気装置300がそれぞれ取り付けられている。
【0005】
このような従来の成膜装置100の基本動作について説明する。
基板着脱室120で、基板トレーに基板を載置されると、この基板トレーは、L/UL室140に搬送され、このL/UL室140が真空排気され、高真空化された後に、真空処理室200内に用意されている、往路となる第一の搬送経路160に搬送される。
基板キャリアは、往路160を搬送されながら、真空処理室200、222、240において、載置された基板が加熱や成膜等の真空処理を施される。
真空処理室240で基板が真空処理された後、基板キャリアは、図示しない移載機構により、復路となる第二の搬送経路180に移載され、真空処理室200、220、240においてそれぞれ成膜等の真空処理がなされてL/UL室140に戻り、この基板キャリアは、真空処理された基板を載置した状態で、L/UL室140を経て、基板着脱室120で基板が取り外される。
【0006】
しかし、往路用搬送経路160と復路用搬送経路180とでは、各基板トレーの成膜状態および製造工程上のステップに従って、これら基板トレーの位置および速度の制御を各個におこなうことが必要である。このため、往路用搬送経路160と復路用搬送経路180とのそれぞれに駆動系が設けられる。つまり、基板トレーの位置・速度制御を精細におこなうために、図8に示すように、往路用搬送経路160および復路用搬送経路180となる回転軸161および回転軸181のそれぞれに駆動ローラー162および駆動ローラー182を設けるとともに、これら駆動ローラー162および駆動ローラー182が、すべて、搬送経路の外側位置となるL/UL室140および真空処理室200、222、240の両外側位置に設けられた駆動源(駆動モータ)等に接続される必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−340425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、装置占有空間を削減する小型化と、装置コスト・製造コスト削減とに対する要求は未だ高いものがある。
【0009】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、省スペース化を図るとともに、基板の搬送システムを改良し、生産性を向上させた成膜装置を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の被処理体の搬送機構は、
往路となる第1の搬送経路と、該第1の搬送経路に並設されて復路となる第2の搬送経路とに対して、被処理体を載置して往復搬送する被処理体の搬送機構であって、
前記搬送経路の搬送方向に直交して複数並設された搬送軸を有し、
該搬送軸には、駆動源に接続されて前記被処理体に駆動力を伝達可能に設けられる駆動ローラーと、該駆動ローラーと同軸に並設されるとともに前記駆動ローラーと異なる回転状態が可能とされる支持ローラーと、が設けられるとともに、
往路となる前記第1の搬送経路で搬送駆動する往路駆動ローラーと復路支持ローラーとを有する第1の搬送軸と、復路となる前記第2の搬送経路で搬送駆動する復路駆動ローラーと往路支持ローラーとを有する第2の搬送軸と、によって前記第1の搬送経路と第2の搬送経路とが形成され、前記復路支持ローラーは復路を搬送される前記被処理体の移動に追従して回転し、前記往路支持ローラーは往路を搬送される前記被処理体の移動に追従して回転してなることにより上記課題を解決した。
本発明は、前記搬送経路に対して、立位の平板状とされる被処理体を載置して被処理面の面内方向に往復搬送することができる。
本発明の真空処理装置は、
立位の平板状とされる被処理体を真空処理するプロセス室と、
前記プロセス室側と大気側とで前記立位の被処理体を搬入・搬出するL/UL室と、
前記被処理体を前記L/UL室側から前記プロセス室側に搬送する往路となる前記第1の搬送経路と、
該第1の搬送経路に並設されて前記被処理体を前記プロセス室側から前記L/UL室側に搬送する復路となる前記第2の搬送経路の2つの搬送経路と、
前記被処理体を往路となる前記第1の搬送経路から、復路となる前記第2の搬送経路に移載するTRエリアと、を備え、
これら前記プロセス室と前記L/UL室と前記TRエリアには、上記の被処理体の搬送機構が設けられていることにより上記課題を解決した。
本発明の前記プロセス室に隣接してバッファ室が設けられ、該バッファ室には、上記の被処理体の搬送機構が設けられていることができる。
本発明の前記プロセス室には、前記第1の搬送経路で搬送される前記被処理体を真空処理する第1の処理手段が設けられるとともに、前記第1の搬送経路と前記第2の搬送経路との間には、前記搬送機構の搬送軸より上側に前記第2の搬送経路で搬送される前記被処理体への影響を防止する防着板が設けられることが好ましい。
本発明の前記プロセス室には、前記第1の処理手段に対向して、前記第2の搬送経路で搬送される前記被処理体を真空処理する第2の処理手段が設けられることができる。
本発明の前記TRエリアには、前記被処理体を横移動して前記第1の搬送経路から前記第2の搬送経路に移載する手段か、または、前記被処理体を裏返しに反転移動して前記第1の搬送経路から前記第2の搬送経路に移載する手段が設けられることができる。


【0011】
本発明の被処理体の搬送機構は、
往路となる第1の搬送経路と、該第1の搬送経路に並設されて復路となる第2の搬送経路とに対して、被処理体を載置して往復搬送する被処理体の搬送機構であって、
前記搬送経路の搬送方向に直交して複数並設された搬送軸を有し、
該搬送軸には、駆動源に接続されて前記被処理体に駆動力を伝達可能に設けられる駆動ローラーと、該駆動ローラーと同軸に並設されるとともに前記駆動ローラーと異なる回転状態が可能とされる支持ローラーと、が設けられるとともに、
往路となる前記第1の搬送経路で搬送駆動する往路駆動ローラーと復路支持ローラーとを有する第1の搬送軸と、復路となる前記第2の搬送経路で搬送駆動する復路駆動ローラーと往路支持ローラーとを有する第2の搬送軸と、によって前記第1の搬送経路と第2の搬送経路とが形成されてなることにより、全ての前記搬送軸に対して前記駆動源を前記往路側または復路側となる搬送経路の一方側に設けることができる。これにより、第1の搬送経路と第2の搬送経路の搬送軸をそれぞれ別々に設けた場合や、駆動源を搬送経路の両側に配した場合に比べて、駆動源の設置数を大幅に削減することができる。従って、省スペース化を図り、同時にコスト削減を図ることができる。
さらに、前記搬送経路に対して、立位の平板状とされる被処理体を載置して被処理面の面内方向に往復搬送することで、駆動源の設置数を大幅に削減することができる。
【0012】
本発明の真空処理装置は、
立位の平板状とされる被処理体を真空処理するプロセス室と、
前記プロセス室側と大気側とで前記立位の被処理体を搬入・搬出するL/UL室と、
前記被処理体を前記L/UL室側から前記プロセス室側に搬送する往路となる前記第1の搬送経路と、
該第1の搬送経路に並設されて前記被処理体を前記プロセス室側から前記L/UL室側に搬送する復路となる前記第2の搬送経路の2つの搬送経路と、
前記被処理体を往路となる前記第1の搬送経路から、復路となる前記第2の搬送経路に移載するTRエリアと、を備え、
これら前記プロセス室と前記L/UL室と前記TRエリアには、前述の被処理体の搬送機構が設けられていることにより、駆動源の設置数を大幅に削減するとともに、真空雰囲気であるチャンバ内に配置される駆動ローラーへ外部から駆動力を伝える駆動軸(搬送軸)がチャンバ壁を貫通する箇所を削減して、リークの発生機会を低減し、処理雰囲気の設定を維持して、被処理体の製造歩留まりを改善し、被処理体の製造コストの削減を図ることができる。
【0013】
本発明の前記プロセス室に隣接してバッファ室が設けられ、該バッファ室には、前述の被処理体の搬送機構が設けられていることで、駆動源の設置数を大幅に削減して、真空雰囲気内に配置される駆動ローラーへ外部から駆動力を伝える駆動軸(搬送軸)が連通する箇所を削減できるので、リーク発生の可能性低減、真空度の維持向上、被処理体製造歩留まり改善、被処理体の製造コスト削減を図ることができる。
【0014】
本発明の前記プロセス室には、前記第1の搬送経路で搬送される前記被処理体を真空処理する第1の処理手段が設けられるとともに、前記第1の搬送経路と前記第2の搬送経路との間には、前記搬送機構の搬送軸より上側に前記第2の搬送経路で搬送される前記被処理体への影響を防止する防着板が設けられることにより、前記プロセス室内部において第1の処理をおこなう往路とそうでない復路が単一のチャンバ空間とされて、共通の真空排気系で前記プロセス室内部の排気をおこなうことが可能となる。
【0015】
本発明の前記プロセス室には、前記第1の処理手段に対向して、前記第2の搬送経路で搬送される前記被処理体を真空処理する第2の処理手段が設けられることにより、少なくとも防着板の両側位置で、往路での第1処理と、復路とされる搬送経路によって搬送される被処理体に第2の真空処理と、をそれぞれおこなうことが可能となる。
【0016】
本発明の前記TRエリアには、前記被処理体を横移動して前記第1の搬送経路から前記第2の搬送経路に移載する手段が設けられることにより、前記プロセス室に第2の処理手段が設けられた場合に両面処理をおこなうことができ、または、前記TRエリアには、前記被処理体を裏返しに反転移動して前記第1の搬送経路から前記第2の搬送経路に移載する手段が設けられることにより、前記プロセス室に第2の処理手段が設けられた場合に片面に複数回処理をおこなうことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、省スペース化を図り、同時にコスト削減することができるという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る真空処理装置の一実施形態を示す斜視図である。
図2】本発明に係る真空処理装置の一実施形態を示す模式側断面図(a)、平断面図(b)、被処理体の動きを示す平断面図(c)である。
図3】本発明に係る搬送機構の一実施形態を示す斜視図である。
図4図1のL/UL室を示す模式正断面図である。
図5図1のプロセス室を示す模式正断面図である。
図6図1のTRエリアを示す模式正断面図である。
図7】従来の真空処理装置を示す模式図である。
図8】従来の搬送機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る真空処理装置の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために、例を挙げて説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明に用いる図面は、本発明の特徴を分かりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、本発明の特徴を分かりやすくするために、便宜上、省略した部分がある。
【0020】
図1は、本実施形態における真空処理装置を示す斜視図であり、図2は、本実施形態における真空処理装置を示す模式側断面図(a)、平断面図(b)、キャリアの動きを示す平断面図(c)であり、図において、符号10は、真空処理装置である。
【0021】
本実施形態の真空処理装置10は、図1に示すように、基板着脱室11、L/UL(Load/Unload :仕込/取出室)室12、バッファ室13、プロセス室(スパッタ法を用いた成膜室)14、TRエリア15を備えた構成である。
真空処理装置10にはキャリア(被処理体)16を往復搬送するための搬送機構20として、往路となる搬送経路(第1の搬送経路)20Aと、搬送経路20Aに並設されて復路となる搬送経路(第2の搬送経路)20Bとが設けられる。
【0022】
図1図2に示すように、基板着脱室11、L/UL室12、バッファ室13、プロセス室14、TRエリア15は、この順で直列に設置されるとともに、基板着脱室11とL/UL室12、L/UL室12とバッファ室13、バッファ室13とプロセス室14との間は開口によって連通され被処理体とされる基板を載置したキャリア16がこれらの間を貫通する搬送機構20により移動可能とされている。
プロセス室14は、バッファ室13側の加熱エリア14Aと、加熱エリア14Aに続いて真空処理をおこなう処理エリア14Bと、処理エリア14Bに続くTRエリア15とに別れているが、これらが連通した単一の空間を有するチャンバとされており、この中にはバルブが設けられていない。
【0023】
搬送機構20としては、図2に示すように、基板着脱室11から、L/UL室12、バッファ室13、プロセス室14、TRエリア15へと移動する方向が往路20Aとされ、TRエリア15から、プロセス室14、バッファ室13、L/UL室12、基板着脱室11へと移動する方向が復路20Bとされる。
本実施形態では、往路20Aと復路20Bとは左側通行となっている。
【0024】
搬送機構20としては、図2に示すように、搬送経路20A,搬送経路20Bの搬送方向に直交して並設された搬送軸(第1の搬送軸)21A,搬送軸(第2の搬送軸)21Bが複数設けられる。
これら搬送軸21Aと搬送軸21Bとは、いずれも搬送経路20A側のチャンバ壁10Aを貫通した外側に位置する図示しない駆動源によって回転駆動可能とされている。搬送軸21Aと搬送軸21Bとは、いずれも搬送経路20B側のチャンバ壁10Bとは接触しないようになっている。
【0025】
搬送軸21Aは、図2図3に示すように、往路で搬送されるキャリア16を駆動するものとされ、基端21Aa側が往路側の真空処理装置10チャンバ壁10Aを貫通して支持され、チャンバ壁10A外側に配された駆動源に接続されてキャリア16に駆動力を伝達可能となるよう駆動軸(搬送軸)21Aと一体として駆動ローラー(往路駆動ローラー)22Aが回転可能に固定されている。
搬送軸21Aの駆動ローラー22Aより先端21Ab側には、復路となる搬送経路20Bでキャリア16を支持するように、搬送軸21Aの駆動回転とは関係なく回転可能とされた支持ローラー(復路支持ローラー)23Aが設けられている。
【0026】
搬送軸21Bは、図2図3に示すように、復路で搬送されるキャリア16を駆動するものとされ、基端21Ba側が往路側の真空処理装置10チャンバ壁10Aを貫通して支持され、チャンバ壁10A外側に配された駆動源に接続されてキャリア16に駆動力を伝達可能となるよう駆動軸(搬送軸)21Bと一体として駆動ローラー(復路駆動ローラー)22Bが搬送軸21Bの先端21Bb側に回転可能に固定されている。
搬送軸21Bの駆動ローラー22B側より基端21Ba側の軸方向中程には、往路となる搬送経路20Aでキャリア16を支持するように、搬送軸21Bの駆動回転とは関係なく回転可能とされた支持ローラー(往路支持ローラー)23Bが設けられている。
【0027】
搬送軸21Aと搬送軸21Bとは、図2図3に示すように、搬送方向に交互に配されるとともに、各処理室におけるキャリア16の入口側には駆動ローラー22A、駆動ローラー22Bが位置するように配される。
具体的には、図2(b)で左側位置となる、L/UL室12、バッファ室13、SP室14、TR室15への第1の搬送経路20Aにおける進入位置(入口位置)には、いずれも、駆動ローラー22Aが位置するよう搬送軸21Aが配設され、図2(b)で右側位置となる、L/UL室12、バッファ室13、SP室14、TR室15への第2の搬送経路20Bにおける進入位置(入口位置)には、いずれも、駆動ローラー22Bが位置するよう搬送軸21Bが配設される。
【0028】
従って、図2(b)で右側位置となる、L/UL室12、バッファ室13、プロセス室14、TRエリア15への第1の搬送経路20Aにおける退出位置(出口位置)には、いずれも、支持ローラー23Bが位置するよう搬送軸21Bが配設され、図2(b)で左側位置となる、L/UL室12、バッファ室13、プロセス室14、TRエリア15への第2の搬送経路20Bにおける退出位置(出口位置)には、いずれも、支持ローラー23Aが位置するよう搬送軸21Aが配設される。
【0029】
駆動ローラー22Aには、図3に示すように、軸方向外側位置の枠フランジ22Aaおよび枠フランジ22Abに挟まれたローラー溝中央位置にピニオン22Acが設けられており、ピニオン22Acがキャリア16底部に設けられた図示しないラックと噛み合うようになっている。駆動ローラー22Aは、枠フランジ22Aaおよび枠フランジ22Abによって、搬送経路20A内におけるキャリア16搬送位置を規定するとともに、ピニオン22Acにより搬送軸21Aの駆動力をキャリア16に伝達可能とされている。
【0030】
駆動ローラー22Bも同様に、図3に示すように、軸方向外側位置の枠フランジ22Baおよび枠フランジ22Bbに挟まれたローラー溝中央位置にピニオン22Bcが設けられており、ピニオン22Bcがキャリア16底部に設けられた図示しないラックと噛み合うようになっている。駆動ローラー22Bは、枠フランジ22Baおよび枠フランジ22Bbによって、搬送経路20B内におけるキャリア16搬送位置を規定するとともに、ピニオン22Bcにより搬送軸21Bの駆動力をキャリア16に伝達可能とされている。
【0031】
なお、搬送機構20としては、ラック&ピニオン以外にも、駆動力をキャリア16に伝達可能なものであればスライダシャフト&ローラー方式等、他の構成とすることも可能である。
【0032】
支持ローラー23Aおよび支持ローラー23Bは、搬送軸21Aおよび搬送軸21Bの駆動力をキャリア16に伝達しないように、例えば、転がり軸受け、ボール軸受けなどで、搬送軸21A,搬送軸21Bに回転自在に接続されている。従って、搬送軸21A,搬送軸21Bが駆動源によって回転駆動された場合でも、駆動ローラー22Aおよび駆動ローラー22Bとは異なり、支持ローラー23Aおよび支持ローラー23Bは駆動されないようになっている。従って、キャリア16の移動に伴って支持ローラー23Aおよび支持ローラー23Bは回転することができる。
【0033】
真空処理装置10には、図2に示すように、真空処理室であるプロセス室14と、バッファ室13と、L/UL(ロード・アンロード)室12との間に、それぞれの空間内を気密に保つ仕切りバルブ(ドアバルブ)17b,17cが設けられている。また、L/UL室12と基板着脱室11との間にも、L/UL室12内を気密に保つ仕切りバルブ(ドアバルブ)17aが設けられている。これら仕切りバルブ17a,17b,17cは、キャリア16の移動時には開放され、キャリア16の移動時以外は閉塞した状態とされる。
【0034】
平板状の被処理体を真空処理装置10内で移動させるキャリア16は、平板状被処理体の一面が鉛直方向(図4図6参照)に沿うように被処理体(基板)を立位で垂直保持する、いわゆる縦型キャリアとされている。キャリア16は、例えばガラスや、フィルム(シート)、シリコンなどからなる基板とされる被処理体のエッジ部分を保持して、ほぼ鉛直方向に立てた状態で搬送可能に保持するものとされる。
【0035】
基板着脱室11では、図1に示すように、寝た状態で外部から運ばれてきた基板(被処理体)の取り付けられたキャリア16を略直立させて搬送経路20Aのトレー16aに固定保持し、その後、回転機構11bによりL/UL室12方向に方向転換され、L/UL室12に往路となる第1の搬送経路20Aにより平行に搬入する。
また、後述するように、基板着脱室11では、真空処理が終了された基板を載置したキャリア16が、L/UL室12から復路となる第2の搬送経路20Bによって搬送されて来るので、このキャリア16を搬送経路20Bのトレー16aから取り外す。キャリア16が取り外されたトレー16aは、次キャリア16の搬送に利用される。なお、トレー11aとキャリア16とは一体とされていてもよい。
【0036】
L/UL室12は、大気圧に開放された状態において、基板着脱室11との間でキャリア16の仕込みと取り出しを行う。L/UL室12には、その内部を真空排気するための図示しない真空排気手段が設けられている。一般に、L/UL室では、キャリア16の搬入搬出の他に、真空排気と大気圧開放が行われる。L/UL室におけるこの作業時間がプロセス室(加熱エリア14A及び処理エリア14B)における真空処理(加熱、成膜)に要する加工時間よりも大幅に長い場合は、L/UL室12と、加熱エリア14A、処理アリア14Bに送られるキャリア16、及び、L/UL室12に送り出されるキャリア16を一時的に貯蔵しておく手段として、バッファ室13を設置することもできる。また、バッファ室13には加熱手段を設け、プロセス室14の前処理としてキャリア16を加熱することもできる。
【0037】
プロセス室14は、L/UL室12側から往路となる搬送経路20Aの搬送方向に向かって、加熱エリア14A、処理エリア14B、TRエリア15を順に有する。
本実施形態におけるプロセス室14でおこなう処理としては、真空処理としてスパッタによる成膜をおこなうが、これ以外にも、CVDによる成膜、蒸着による成膜、エッチング、アッシング、クリーニング、熱処理等を適用することができる。
【0038】
加熱エリア14Aには、図2図4に示すように、加熱手段としてシースヒータやランプヒータなどが採用されるヒータ18aが設けられており、往路である搬送経路20Aで搬送されるキャリア16をその両サイドから挟むように加熱して真空処理(成膜)に適した温度まで昇温する。加熱エリア14A には、その内部を真空排気するための真空排気手段が設けられるが、これはプロセス室14全体と共通の排気手段とされている。
【0039】
処理エリア14Bでは、図2図5に示すように、成膜手段(処理手段)18b,18cにより、キャリア16に成膜処理をおこなう。
成膜手段18b,18cは、スパッタ用のカソードとされるが、これに限定されるものではなく、真空処理によって、例えば、CVD用の平行平板型の電極とすることなどもできる。成膜手段18bによる処理条件と、成膜手段18cによる処理条件とは、同一とすることもできるが、異なるものとすることもできる。この場合、連通したチャンバとされる処理エリア14B内部において、防着板18dで分離された搬送経路20A上と搬送経路20B上における条件を制御可能な範囲で異なる処理条件を選択できる。
【0040】
スパッタ用のカソード(成膜手段)18bは、往路である搬送経路20Aにより搬送されるキャリア16を移動しながら成膜処理するものとされ、カソード(成膜手段)18cは、復路である搬送経路20Bにより搬送されるキャリア16を移動しながら成膜処理するものとされる。
処理エリア14Bの両サイドに配置されたスパッタ用のカソード18b,18cの中間位置には、平板状の防着板18dが設けられる。
【0041】
防着板18dは、図2(c)に示すように、処理エリア14Bの搬送方向ほぼ全長にわたって搬送経路20Aと搬送経路20Bとの間とされる位置に設けられる。同時に、防着板18dは、往路である搬送経路20Aにより搬送されるキャリア16へのカソード18cからの影響を排除し、また、復路である搬送経路20Bにより搬送されるキャリア16へのカソード18bからの影響を排除するように、防着板18dの上方向端部位置が、少なくともカソード18b,18cの上位置より上側となるよう側面視してカソード18b,18cを覆うように設けられる。
【0042】
また、防着板18dの下端18eは、図5に示すように、搬送軸21A,21Bの列よりも上側に位置するとともに、駆動ローラー22A,22B、および、支持ローラー23A,23Bの上端よりも下側に位置するよう設けられる。つまり、枠フランジ22Aa,22Ab,22Ba,22Bb,23Aa,23Ab,23Ba,23Bbの上端と、搬送軸21A,21Bとの間に防着板18dの下端18eが位置する。
これにより、少なくともカソード18bを復路である搬送経路20Bで搬送されるキャリア16から隠すとともに、また、カソード18cを往路である搬送経路20Aで搬送されるキャリア16から隠して、これらカソード18b,18cからの不必要な成膜をおこなわないように設定される。
【0043】
TRエリア15は、図2図6に示すように、往路である搬送経路20Aから復路である搬送経路20Bへキャリア16を載置換えするトラバース機構(移載手段)19を備えている。
トラバース機構19は、搬送経路20A位置と搬送経路20B位置との間で搬送方向に対してキャリア16を横移動させる横移動手段19Aと、搬送経路20A位置と搬送経路20B位置とに対してキャリア16の高さ位置を移動させる上下移動手段19Bとを有する。
【0044】
横移動手段19Aは、図6に示すように、平面視して、駆動ローラー22Aおよび支持ローラ23Bに載置された位置にあるキャリア16を駆動ローラー22Bおよび支持ローラ23Aに載置された位置に横移動するものとされ、キャリア16を載置可能な支持部19aと、この支持部19aを真空を破らずに横移動可能に駆動するためにベローズ19c等を介して図示しないチャンバ外部の駆動シリンダに接続された横軸19dとを有する。
【0045】
上下移動手段19Bは、図6に示すように、駆動ローラー22A,22Bおよび支持ローラー23A,23Bに載置された高さからキャリア16を浮き上がらせるとともに、支持部19aが横移動可能な高さとなるように持ち上げたキャリア16を保持可能とするとともに、支持部19aに載置された高さからキャリア16を浮かせて支持部19aが横移動可能な高さとなるように持ち上げたキャリア16を保持可能とする支持部19bと、この支持部19bを真空を破らずに上下動可能に駆動するためにベローズ19c等を介して図示しないチャンバ外部の駆動シリンダに接続された上下軸19eとを有する。
【0046】
トラバース機構19は、往路である搬送経路20Aにおいて駆動ローラー22Aおよび支持ローラー23Bに載置されたキャリア16に対して、上下移動手段19Bの上下軸19eを駆動して、支持部19bを搬送軸21A,21Bの間から上昇させ、この支持部19bに平面視して搬送経路20A位置としてキャリア16を載置する。
次いで、横移動手段19Aの横軸19dを駆動して、支持部19aを支持部19bより低い状態で、この支持部19aを搬送軸21A,21Bの間に侵入させる。この状態で、上下移動手段19Bの上下軸19eを駆動して、支持部19bを支持部19aより低い位置まで下降させて、キャリアを支持部19aに載置する。
【0047】
次いで、横移動手段19Aの横軸19dを駆動して、支持部19aを平面視して搬送経路20A位置から平面視して搬送経路20B位置、つまり、駆動ローラー22Bおよび支持ローラー23Aの位置まで横移動させる。
次いで、上下移動手段19Bの上下軸19eを駆動して、支持部19bを支持部19aより高く上昇させて、キャリア16を支持部19bに載置する。この状態で横移動手段19Aの横軸19dを駆動して支持部19aを搬送軸21A,21Bの間から搬送経路外の位置まで退避させる。
【0048】
最後に上下移動手段19Bの上下軸19eを駆動して、支持部19bを駆動ローラー22Bおよび支持ローラー23Aより低い位置まで下降させて、復路である搬送経路20Bへのキャリア16の移載を完了する。
【0049】
なお、トラバース機構19は上記の構成に限定されるものではない。
【0050】
例えば、上記の構成であると、キャリア16はその面の向いた方向を変化させずに往路である搬送経路20Aから復路である搬送経路20Bに移載に移載され、カソード18bによるキャリア16の処理面と、カソード18cによるキャリア16の処理面とが異なっている。この場合、キャリア16の表面に往路20Aで搬送中に処理するとともに、キャリア16の裏面を復路20Bで搬送中に処理することができる。
【0051】
これに対し、キャリア16の面を裏返すように移載可能な構成としてもよい。この場合には、キャリア回転手段として、図1に示した回転機構11bに対応する構成を備えることが可能である。この構成であると、キャリア16はその面を反転して往路である搬送経路20Aから復路である搬送経路20Bに移載に移載され、カソード18bによるキャリア16の処理面と、カソード18cによるキャリア16の処理面とが同一面となる。この場合、キャリア16の表面に往路20Aで搬送中に処理するとともに、回転してキャリア16の処理面に重ねて復路20Bで搬送中に処理おこない、複数の層を積層することや、同一構造の層を積層して、厚さを大きくする成膜処理をおこなうことに対応できる。
【0052】
次に、本実施形態の真空処理装置10を用いて、キャリア16に搭載された基板に成膜する際の動作を図に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、プロセス室14において往路20Aおよび復路20Bで成膜処理が施されるキャリア16の移動について説明するが、復路20Bで成膜処理を施さないこともできる。復路20Bで成膜処理を施さない場合には、スパッタによる基板の温度上昇を抑制することなどができる。
【0053】
まず、図1に示すように、基板がセットされたキャリア16が他所から水平状態で真空処理装置10の基板着脱室11まで搬送されてくる。その後、横倒し(寝かせた)の状態とされたキャリア16を垂直状態になるように立ち上げ、往路となる搬送経路20Aのトレー16aに載置する。
【0054】
キャリア16が搭載されたトレー16aが、復路となる搬送経路20Bにあった場合には、回転機構11bを介して搬送経路20Aへと搬送する。これによりキャリア16をL/UL室12へと搬送可能な方向にする。
【0055】
そして、L/UL室12のドアバルブ17aを開状態にした後、キャリア16を往路となる搬送経路20AによってL/UL室12内部へと搬送する。
同時に、ドアバルブ17bの開状態では、復路となる搬送経路20Bにおいて、後述するように、真空処理が終了したキャリア16がL/UL室12に搬送されて来ており、この処理が終了したキャリア16を復路となる搬送線路20Bにて基板着脱室11へと搬送する。
【0056】
このとき、往路となる搬送経路20Aでは、キャリア16を基板着脱室11からL/UL室12へ搬送する場合、搬送軸21Aを介して駆動源からの駆動力を駆動ローラー22Aに伝達しつつ、搬送軸21Bの駆動されない支持ローラー23Bは往路のキャリア16の移動に追従して回転するが、往路のキャリア16を支持するのみで、往路駆動ローラー22Aの駆動に影響を与えることはない。同時に、搬送軸21Aの駆動されない支持ローラー23Aは復路を搬送されるキャリア16の移動に追従して回転するが、復路のキャリア16を支持するのみで、同軸とされる駆動ローラー22Aの駆動状態に影響を与えることはない。
【0057】
また、復路となる搬送経路20Bでは、キャリア16をL/UL室12から基板着脱室11へ搬送する場合、搬送軸21Bを介して駆動源からの駆動力を駆動ローラー22Bに伝達しつつ、搬送軸21Aの駆動されない支持ローラー23Aは復路を搬送されるキャリア16の移動に追従して回転するが、復路のキャリア16を支持するのみで、復路駆動ローラー22Bに影響を与えることはない。同時に、搬送軸21Bの駆動されない支持ローラー23Bは往路のキャリア16の移動に追従して回転するが、往路のキャリア16を支持するのみで、同軸とされる駆動ローラー22Bの駆動状態に影響を与えることはない。
【0058】
往路となる搬送経路20Aでは、L/UL室12に侵入したキャリア16を最初に支持するのが搬送軸21Aであり、この搬送軸21Aの駆動ローラー22Aが最初にL/UL室12に侵入したキャリア16を搬送方向(図2の右方向)に駆動する。
【0059】
復路となる搬送経路20Bでは、L/UL室12に侵入したキャリア16を最初に支持するのが搬送軸21Bであり、この搬送軸21Bの駆動ローラー22Bが最初にL/UL室12に侵入したキャリア16を搬送方向(図2の左方向)に駆動する。
【0060】
往路20Aのキャリア16がL/UL室12へ搬送されると、ドアバルブ17aを閉状態にし、その後、図示しない真空排気手段によりL/UL室12内を排気して、L/UL室12を真空状態にする。L/UL室12内が真空状態になった後、隣のバッファ室13とのドアバルブ17bを開状態にして、キャリア16を搬送経路20Aによってバッファ室13へと搬送する。
同時に、ドアバルブ17bの開状態では、復路20Bにおいて、後述するように、真空処理が終了したキャリア16がバッファ室13に搬送されて来ており、この処理が終了したキャリア16を復路となる搬送線路20BにてL/UL室12へと搬送する。
【0061】
L/UL室12では、キャリア16の搬送後は、バッファ室13とのドアバルブ17bを閉状態にし、再度大気圧に戻され、次のキャリア16の搬送がおこなわれる。この際、L/UL室12は、バッファ室13とのドアバルブ17bが閉じられた後に、大気圧に開放されるため、バッファ室13の高真空は保たれる。
【0062】
往路20Aのキャリア16がバッファ室13へ搬送されると、ドアバルブ17bを閉状態にし、その後、必要であれば図示しない真空排気手段によりバッファ室13内を排気し、バッファ室13を真空状態にする。バッファ室13内が真空状態になった後、隣のプロセス室14とのドアバルブ17cを開状態にして、キャリア16を搬送経路20Aにてプロセス室14へと搬送する。
同時に、ドアバルブ17cの開状態では、復路20Bに、後述するように、真空処理が終了したキャリア16がプロセス室14にあり、この処理が終了したキャリア16を復路となる搬送線路20Bにてバッファ室13へと搬送する。
【0063】
往路20Aのキャリア16がプロセス室14の加熱エリア14Aへ搬送されると、ドアバルブ17cを閉状態にする。図示しないガス制御手段によりプロセス室14内の雰囲気ガスを所定の状態となるよう制御する。
その後、加熱エリア14Aでは、往路20Aのキャリア16をシースヒータ18a,18aによって成膜に適した温度まで加熱する。キャリア16が所定の状態に加熱されると、往路20Aのキャリア16を往路20Aによって処理エリア14Bまで搬送するとともに、処理エリア14Bにおいては、成膜手段18bにより、キャリア16を成膜処理する。
ここで、この真空処理装置10では、成膜室である処理エリア14Bにおける成膜工程はキャリア16を移動搬送させて成膜を行う連続成膜方式を採用している。この際、防着板18dによって、復路20Bのキャリア16に対して成膜手段18bから成膜がおこなわれることを防止する。
【0064】
処理エリア14Bにおいてカソード18bに対応する成膜エリアを通過したキャリア16は、カソード18bにより成膜処理が終了するとともに、往路となる搬送経路20AによってTRエリア15へと搬送される。なお、プロセス室14内部において、往路20Aのキャリア16は、所定の値に設定された速度として加熱エリア14Aから処理エリア14Bを介してTRエリアまで搬送経路20Aをずっと搬送されている。
TRエリア15においては、上述したトラバース機構19によって、キャリア16を往路となる搬送経路20Aから復路となる搬送経路20Bに横移動して移載させるトラバース処理をおこなう。
【0065】
その後、キャリア16は、復路となる搬送経路20Bを搬送されて、処理エリア14Bでは、カソード(成膜手段)18cによりキャリア16が成膜処理される。この際、カソード18cによる成膜処理の前に、TRエリア15にこのキャリア16を加熱する加熱手段を設けることもできる。
処理エリア14Bにおいてカソード18cに対応する成膜エリアを通過したキャリア16は、同時にカソード18cにより成膜処理が終了し、復路となる搬送経路20Bにより加熱エリア14Aへとプロセス室14内を搬送される。搬送経路20Bにおける加熱エリア14Aでは、キャリア16は加熱されない。プロセス室14内部において、復路20Bのキャリア16は、所定の値に設定された速度として搬送経路20Bをずっと搬送されている。
【0066】
その後、キャリア16は復路となる搬送経路20Bを搬送されて、ドアバルブ17cを開状態として、キャリア16をプロセス室14からバッファ室13へと搬送する。ドアバルブ17cを閉状態とした後ドアバルブ17bを開状態として、キャリア16をバッファ室13からL/UL室12へと搬送する。
キャリア16がL/UL室12へ搬送されると、ドアバルブ17bを閉状態とする。
【0067】
キャリア16をバッファ室13からL/UL室12に搬送する際は、L/UL室12は真空排気手段により高真空に維持されているが、キャリア16の搬送後は、バッファ室13とのドアバルブ17bが閉じられ、その後、L/UL室12は大気圧に開放される。L/UL室12が大気圧に戻ると、キャリア16は、基板着脱室11に搬送される。この際、L/UL室12は、バッファ室13とのドアバルブ17bが閉じられてから大気圧に開放されるために、バッファ室13の高真空は保たれる。
基板着脱室11へと搬送された成膜済み基板のセットされたキャリア16は、外部へと運び出される。
【0068】
なお、搬送機構20として、必要に応じて、支持ローラー23Aおよび支持ローラー23Bが設けられた駆動されない搬送軸を設けることも可能である。
【0069】
本実施形態における真空処理装置10においては、搬送機構20によって、被処理体である基板の載置されたキャリア16を並行した往路と復路とに搭載して搬送しながら、このキャリア16に加熱や成膜などの真空処理を施すことができる。
【0070】
本実施形態の搬送機構20は、駆動ローラー22A,22Bの回転駆動に対して、支持ローラー23A,23Bが回転フリーとなるように搬送軸21A,21Bに取り付けられているので、往路となる搬送経路20Aおよび復路となる搬送経路20Bにおいて確実にキャリア16を支持しつつ、キャリア16の駆動を確実におこなうことが可能となる。しかもこのような構成を搬送軸21Aと搬送軸21Bとの2種類のみの単純な構成要素を複数配するだけで実現できる。
【0071】
本実施形態の搬送機構20は、真空処理装置10において、大気中である基板着脱室11、大気中/真空中であるL/UL室12、真空中であるバッファ室13、真空中で加熱状態であるプロセス室14の加熱エリア14Aおよび処理エリア14B、キャリア16をトラバースさせるTRエリア15の全てにわたって、搬送軸21Aと搬送軸21Bとを交互に配するだけで、様々な搬送状態に対応してキャリア16の搬送を確実におこなうとともに、搬送軸21Aと搬送軸21Bの配置を設定するだけで、異なる搬送状態に対応することが可能となる。
【0072】
本実施形態の搬送機構20は、従来の搬送経路に対して、駆動源を半減させることができる。これにより、搬送機構20の製造コストを抑制することが可能となる。同時に、従来の搬送経路に対して、チャンバ壁10Aを貫通する箇所を半減することができる。これにより、密閉手段を設ける個数を削減でき、搬送機構20の製造コストを抑制するとともに、真空状態の維持を容易におこなうことが可能となり、製品の歩留まりを向上することができる。
また、搬送経路20B側となるチャンバの片側の全長にわたって、搬送機構20の駆動源を設ける必要がないため、省スペース化を図ることができ、また、メンテナンスの作業量の低減を図ることができる。さらに、このチャンバ壁10Bをチャンバ内部のメンテナンス用に開閉可能な構成とすることも可能となる。
【0073】
本実施形態の真空処理装置10においては、各処理室12,13,14における真空排気手段を、往路20Aと復路20Bで共通として、各処理室に対応する個数設ければすむので、装置の製造コストを削減できる。
【0074】
本実施形態では、上述したように往路20Aと復路2Bとを有する搬送機構20を設けることにより、キャリア16の搬送効率を向上することができる。また、L/UL室12におけるキャリア16の仕込みや取出を短時間で行うことができ、タクトを短縮することができる。これにより本実施形態の真空処理装置10では、生産性を向上することができる。
【0075】
また、本実施形態の真空処理装置10では、プロセス室14において防着板18dの両側でそれぞれ成膜処理を行うことができるので、2枚のキャリア16に対して同時に(並行して)成膜処理をおこなうことができ、生産性を向上することができる。また、装置を増設する必要がなく、装置の低コスト化、省スペース化を図ることができる。
その結果、本実施形態の真空処理装置10は、省スペース化を図るとともに、キャリア16の搬送システムを改良し、生産性を向上することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、基板を縦型搬送するインライン式の成膜装置に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
10…真空処理装置、
12…L/UL室、
13…バッファ室、
14…プロセス室、
15…TRエリア、
16…キャリア(被処理体)、
18d…防着板、
19…トラバース機構(移載手段)、
20…搬送機構、
20A…搬送経路(往路)、
20B…搬送経路(復路)、
21A…搬送軸(第1の搬送軸)、
21B…搬送軸(第2の搬送軸)、
22A…駆動ローラー(往路駆動ローラー)、
22B…駆動ローラー(復路駆動ローラー)、
23A…支持ローラー(復路支持ローラー)、
23B…支持ローラー(往路支持ローラー)、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8