特許第6055398号(P6055398)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電信電話株式会社の特許一覧
特許6055398出力決定方法、出力決定装置及び出力決定プログラム
<>
  • 特許6055398-出力決定方法、出力決定装置及び出力決定プログラム 図000002
  • 特許6055398-出力決定方法、出力決定装置及び出力決定プログラム 図000003
  • 特許6055398-出力決定方法、出力決定装置及び出力決定プログラム 図000004
  • 特許6055398-出力決定方法、出力決定装置及び出力決定プログラム 図000005
  • 特許6055398-出力決定方法、出力決定装置及び出力決定プログラム 図000006
  • 特許6055398-出力決定方法、出力決定装置及び出力決定プログラム 図000007
  • 特許6055398-出力決定方法、出力決定装置及び出力決定プログラム 図000008
  • 特許6055398-出力決定方法、出力決定装置及び出力決定プログラム 図000009
  • 特許6055398-出力決定方法、出力決定装置及び出力決定プログラム 図000010
  • 特許6055398-出力決定方法、出力決定装置及び出力決定プログラム 図000011
  • 特許6055398-出力決定方法、出力決定装置及び出力決定プログラム 図000012
  • 特許6055398-出力決定方法、出力決定装置及び出力決定プログラム 図000013
  • 特許6055398-出力決定方法、出力決定装置及び出力決定プログラム 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055398
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】出力決定方法、出力決定装置及び出力決定プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/18 20090101AFI20161219BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20161219BHJP
【FI】
   H04W16/18
   H04W84/12
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-249882(P2013-249882)
(22)【出願日】2013年12月3日
(65)【公開番号】特開2015-106911(P2015-106911A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100129230
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 理恵
(72)【発明者】
【氏名】成松 宏美
(72)【発明者】
【氏名】水野 理
(72)【発明者】
【氏名】小川 智明
(72)【発明者】
【氏名】北村 和夫
【審査官】 篠田 享佑
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−304255(JP,A)
【文献】 特開2013−046362(JP,A)
【文献】 特開2005−080141(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0049319(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行う複数のアクセスポイントそれぞれの送信出力を決定するコンピュータにより実行される出力決定方法であって、
前記アクセスポイントを設置する場所のマップ情報を入力するステップと、
前記アクセスポイントの設置場所を含むアクセスポイント情報を入力するステップと、
前記複数のアクセスポイントの送信出力の組み合わせ全てについて、前記マップ情報上の各地点における各アクセスポイントの受信電界強度を計算するステップと、
前記受信電界強度が所定の値以上のアクセスポイントが存在しない未カバー地点の数及び前記受信電界強度が所定の値以上のアクセスポイントが複数存在する重複地点の数をカウントするステップと、
前記未カバー地点の数が最も少ない組み合わせのうち、前記重複地点の数が最も少ない組み合わせを各アクセスポイントの最適な送信出力の組み合わせとして決定するステップと、
を有することを特徴とする出力決定方法。
【請求項2】
無線通信を行う複数のアクセスポイントそれぞれの送信出力を決定するコンピュータにより実行される出力決定方法であって、
前記アクセスポイントを設置する場所のマップ情報を入力するステップと、
前記アクセスポイントの設置場所を含むアクセスポイント情報を入力するステップと、
前記マップ情報上の周囲の地点及び前記アクセスポイント間の中間の地点を受信電界強度を算出する対象の算出地点として抽出し、前記算出地点それぞれについて、算出地点からの距離が最も近い前記アクセスポイントを当該算出地点をカバーするアクセスポイントである担当アクセスポイントとして設定するステップと、
前記算出地点と前記担当アクセスポイントとの間の距離が最も近い担当アクセスポイントを選択し、選択した担当アクセスポイントがカバーする算出地点の中で当該担当アクセスポイントと前記算出地点との距離が最も遠い算出地点における当該担当アクセスポイントの受信電界強度を当該アクセスポイントの送信出力を最小値から増加させつつ順次計算し、前記受信電界強度が所定の値以上となる送信出力を当該担当アクセスポイントの送信出力として決定するステップと、
を有することを特徴とする出力決定方法。
【請求項3】
無線通信を行う複数のアクセスポイントそれぞれの送信出力を決定する出力決定装置であって、
前記アクセスポイントを設置する場所のマップ情報を入力するマップ情報入力手段と、
前記アクセスポイントの設置場所を含むアクセスポイント情報を入力するアクセスポイント情報入力手段と、
前記複数のアクセスポイントの送信出力の組み合わせ全てについて、前記マップ情報上の各地点における各アクセスポイントの受信電界強度を計算し、前記受信電界強度が所定の値以上のアクセスポイントが存在しない未カバー地点の数及び前記受信電界強度が所定の値以上のアクセスポイントが複数存在する重複地点の数をカウントする受信強度算出手段と、
前記未カバー地点の数が最も少ない組み合わせのうち、前記重複地点の数が最も少ない組み合わせを各アクセスポイントの最適な送信出力の組み合わせとして決定する送信出力決定手段と、
を有することを特徴とする出力決定装置。
【請求項4】
無線通信を行う複数のアクセスポイントそれぞれの送信出力を決定する出力決定装置であって、
前記アクセスポイントを設置する場所のマップ情報を入力するマップ情報入力手段と、
前記アクセスポイントの設置場所を含むアクセスポイント情報を入力するアクセスポイント情報入力手段と、
前記マップ情報上の周囲の地点及び前記アクセスポイント間の中間の地点を受信電界強度を算出する対象の算出地点として抽出し、前記算出地点それぞれについて、算出地点からの距離が最も近い前記アクセスポイントを当該算出地点をカバーするアクセスポイントである担当アクセスポイントとして設定する算出地点抽出手段と、
前記算出地点と前記担当アクセスポイントとの間の距離が最も近い担当アクセスポイントを選択し、選択した担当アクセスポイントがカバーする算出地点の中で当該担当アクセスポイントと前記算出地点との距離が最も遠い算出地点における当該担当アクセスポイントの受信電界強度を当該アクセスポイントの送信出力を最小値から増加させつつ順次計算し、前記受信電界強度が所定の値以上となる送信出力を当該担当アクセスポイントの送信出力として決定する送信出力決定手段と、
を有することを特徴とする出力決定装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載の出力決定方法をコンピュータに実行させることを特徴とする出力決定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANのアクセスポイントの設定配置を補助する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線LANを設置する際、工事保守者はできる限り他の無線LANとの干渉が起きないようにアクセスポイントを設置するために、アクセスポイントを設置した状態でフロアの電波伝搬状況を実測し、干渉状況を確認した上で、再設定を行うという手順を繰り返していた。電波伝搬状況を計測するには非特許文献1のツールを用いて、工事保守者がフロア全体を歩いて電波環境等を観測していた。そのため、無線LANを再設定した後は、再びフロア全体で電波の再計測を行う必要があった。
【0003】
再設定の手間を省くために、特許文献1では、アクセスポイント間で互いに電波を観測し、同一チャネルの電波が観測された場合には、各アクセスポイントが送信出力を自律的に下げる手法が提案されている。
【0004】
また、非特許文献2には、無線LANの状況をリアルタイムに観測し、アクセスポイントの送信電力を動的に制御することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−98856号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“HeatMapper”、[online]、Ekahau, Inc.、[平成25年11月11日検索]、インターネット〈 URL:http://www.ekahau.com/products/heatmapper/overview.html〉
【非特許文献2】“Cisco Wireless LAN Controller コンフィギュレーション ガイド リリース 7.3 - Radio Resource Management の設定 - Cisco Systems”、[online]、シスコシステムズ合同会社、[平成25年11月11日検索]、インターネット〈 URL:http://www.cisco.com/cisco/web/support/JP/docs/WL/WLLANCntrller/5500WLCntrllers/CG/003/b_cg73_chapter_01100.html?bid=0900e4b182f76b39#ID70 〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
人手による設定は、所望の電波環境が得られるまで、観測、再設定を繰り返し行う必要があり、非常に時間がとられるという問題があった。
【0008】
また、電界強度観測に基づく自律的な制御は、干渉の影響が小さくなるように出力を下げる方向の制御が働くため、エリア全体がカバーされない可能性があるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、無線アクセスポイントの送信出力を、出来る限り設置場所全体をカバーするとともに、干渉エリアが少なくなるように設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明に係る出力決定方法は、無線通信を行う複数のアクセスポイントそれぞれの送信出力を決定するコンピュータにより実行される出力決定方法であって、前記アクセスポイントを設置する場所のマップ情報を入力するステップと、前記アクセスポイントの設置場所を含むアクセスポイント情報を入力するステップと、前記複数のアクセスポイントの送信出力の組み合わせ全てについて、前記マップ情報上の各地点における各アクセスポイントの受信電界強度を計算するステップと、前記受信電界強度が所定の値以上のアクセスポイントが存在しない未カバー地点の数及び前記受信電界強度が所定の値以上のアクセスポイントが複数存在する重複地点の数をカウントするステップと、前記未カバー地点の数が最も少ない組み合わせのうち、前記重複地点の数が最も少ない組み合わせを各アクセスポイントの最適な送信出力の組み合わせとして決定するステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
第2の本発明に係る出力決定方法は、無線通信を行う複数のアクセスポイントそれぞれの送信出力を決定するコンピュータにより実行される出力決定方法であって、前記アクセスポイントを設置する場所のマップ情報を入力するステップと、前記アクセスポイントの設置場所を含むアクセスポイント情報を入力するステップと、前記マップ情報上の周囲の地点及び前記アクセスポイント間の中間の地点を受信電界強度を算出する対象の算出地点として抽出し、前記算出地点それぞれについて、算出地点からの距離が最も近い前記アクセスポイントを当該算出地点をカバーするアクセスポイントである担当アクセスポイントとして設定するステップと、前記算出地点と前記担当アクセスポイントとの間の距離が最も近い担当アクセスポイントを選択し、選択した担当アクセスポイントがカバーする算出地点の中で当該担当アクセスポイントと前記算出地点との距離が最も遠い算出地点における当該担当アクセスポイントの受信電界強度を当該アクセスポイントの送信出力を最小値から増加させつつ順次計算し、前記受信電界強度が所定の値以上となる送信出力を当該担当アクセスポイントの送信出力として決定するステップと、を有することを特徴とする。
【0012】
第3の本発明に係る出力決定装置は、無線通信を行う複数のアクセスポイントそれぞれの送信出力を決定する出力決定装置であって、前記アクセスポイントを設置する場所のマップ情報を入力するマップ情報入力手段と、前記アクセスポイントの設置場所を含むアクセスポイント情報を入力するアクセスポイント情報入力手段と、前記複数のアクセスポイントの送信出力の組み合わせ全てについて、前記マップ情報上の各地点における各アクセスポイントの受信電界強度を計算し、前記受信電界強度が所定の値以上のアクセスポイントが存在しない未カバー地点の数及び前記受信電界強度が所定の値以上のアクセスポイントが複数存在する重複地点の数をカウントする受信強度算出手段と、前記未カバー地点の数が最も少ない組み合わせのうち、前記重複地点の数が最も少ない組み合わせを各アクセスポイントの最適な送信出力の組み合わせとして決定する送信出力決定手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
第4の本発明に係る出力決定装置は、無線通信を行う複数のアクセスポイントそれぞれの送信出力を決定する出力決定装置であって、前記アクセスポイントを設置する場所のマップ情報を入力するマップ情報入力手段と、前記アクセスポイントの設置場所を含むアクセスポイント情報を入力するアクセスポイント情報入力手段と、前記マップ情報上の周囲の地点及び前記アクセスポイント間の中間の地点を受信電界強度を算出する対象の算出地点として抽出し、前記算出地点それぞれについて、算出地点からの距離が最も近い前記アクセスポイントを当該算出地点をカバーするアクセスポイントである担当アクセスポイントとして設定する算出地点抽出手段と、前記算出地点と前記担当アクセスポイントとの間の距離が最も近い担当アクセスポイントを選択し、選択した担当アクセスポイントがカバーする算出地点の中で当該担当アクセスポイントと前記算出地点との距離が最も遠い算出地点における当該担当アクセスポイントの受信電界強度を当該アクセスポイントの送信出力を最小値から増加させつつ順次計算し、前記受信電界強度が所定の値以上となる送信出力を当該担当アクセスポイントの送信出力として決定する送信出力決定手段と、を有することを特徴とする出力決定装置。
【0014】
第5の本発明に係る出力決定プログラムは、上記出力決定方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、無線アクセスポイントの送信出力を、出来る限り設置場所全体をカバーするとともに、干渉エリアが少なくなるように設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態における出力決定装置の構成を示す機能ブロック図である。
図2】マップ情報の例を示す図である。
図3】アクセスポイント情報の例を示す図である。
図4】第1の実施の形態における出力決定装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図5】フロアを単位区間に分割した例を示す図である。
図6】アクセスポイント情報にパラメータを付与した例を示す図である。
図7】レベルと送信出力との関係を示す図である。
図8】アクセスポイントの組み合わせ毎に重複する単位区間の数を集計した例を示す図である。
図9】本実施の形態における出力決定装置が送信出力送受信部を備えた構成を示す機能ブロック図である。
図10】第2の実施の形態における出力決定装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図11】単位区間リストに追加された単位区間を示す図である。
図12】単位区間リストの単位区間に担当アクセスポイントを割り当てた例を示す図である。
図13】単位区間リストの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施の形態]
図1は、本実施の形態における出力決定装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示す出力決定装置1は、ユーザインタフェース11、マップ情報登録部12、パラメータ登録部13、送信出力決定部14、およびデータベース15を備える。出力決定装置が備える各部は、演算処理装置、記憶装置等を備えたコンピュータにより構成して、各部の処理がプログラムによって実行されるものとしてもよい。このプログラムは出力決定装置が備える記憶装置に記憶されており、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0018】
本出力決定装置1は、無線LANのアクセスポイントを配置したフロアのマップ情報及びアクセスポイントの情報を入力し、無線電波が届かない場所や無線電波が重複する場所が少なくなるように各アクセスポイントの出力を決定する装置である。以下、各部について説明する。
【0019】
ユーザインタフェース11は、ユーザからの入力を受け付け、またアクセスポイント毎に算出した最適な出力の提示を行う。ユーザから入力するデータとしては、アクセスポイントを設置したフロアに関するマップ情報、アクセスポイントに関するアクセスポイント情報およびアクセスポイントのパラメータ情報がある。
【0020】
マップ情報登録部12は、ユーザインタフェース11からマップ情報とアクセスポイント情報を取得してデータベース15に格納する。図2にマップ情報の例、図3にアクセスポイント情報の例を示す。図2に示すマップ情報は、任意の地点を原点としたときのフロアに存在する壁の始点座標及び終点座標に加えて、その壁がフロアの外周であるか否か、および壁の材質を保持する。図3に示すアクセスポイント情報は、アクセスポイントの識別情報とマップ情報上におけるアクセスポイントの配置座標に加えて、設定できるレベルと送信出力(dBm)との関係を保持する。
【0021】
パラメータ登録部13は、ユーザインタフェース11からアクセスポイントのパラメータ情報を取得してデータベース15に格納する。パラメータ情報としては、設定できるレベルと送信出力の関係、アクセスポイントが利用する周波数、チャネルなどがある。
【0022】
送信出力決定部14は、データベース15に格納されたマップ情報に基づいてフロアを単位区間に分割し、アクセスポイントの送信出力の組み合わせそれぞれについて、単位区間毎に各アクセスポイントから受ける電界強度を算出し、無線電波の重複カバーエリア、未カバーエリアを特定する。
【0023】
データベース15は、マップ情報、アクセスポイント情報およびパラメータ情報などアクセスポイントの送信出力を決定するために必要な情報を格納する。
【0024】
次に、本実施の形態における出力決定装置の処理の流れについて説明する。
【0025】
図4は、本実施の形態における出力決定装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0026】
ユーザインタフェース11がマップ情報の入力を受け付けて、マップ情報登録部12がデータベース15にマップ情報を格納する(ステップS11)。
【0027】
また、ユーザインタフェース11がアクセスポイント情報及びパラメータ情報の入力を受け付けて、マップ情報登録部12及びパラメータ登録部13がデータベース15にアクセスポイント情報及びパラメータ情報を格納する(ステップS12)。予め定められた値をパラメータ情報としてデータベース15に格納してもよい。
【0028】
送信出力決定部14は、マップ情報に基づいて、フロアを所定の広さの単位区間に分割する(ステップS13)。図5にフロアを単位区間に分割した例を示す。同図では、丸印でアクセスポイントの位置を示した。同図の周囲がフロアの外周に該当する。なお、外周ではない壁は図示していない。
【0029】
送信出力決定部14は、アクセスポイント情報に基づいて、各アクセスポイントの送信出力レベルの組み合わせを総当りで作成する(ステップS14)。例えば、アクセスポイントがAP1,AP2,AP3の3つで、各アクセスポイントとも送信出力レベルが1〜3に設定できる場合、アクセスポイントと送信出力レベルの組み合わせは、{AP1:1,AP2:1,AP3:1},{AP1:1,AP2:1,AP3:2},{AP1:1,AP2:1,AP3:3},{AP1:1,AP2:2,AP3:1},・・・,{AP1:3,AP2:3,AP3:3}の27通りとなる。
【0030】
そして、組み合わせそれぞれについて、単位区間毎に、各アクセスポイントから受信する電波の受信電界強度を算出する(ステップS15)。次式で求める減衰L(d)(dB)をアクセスポイントの送信出力(dBm)から引いたものを該当単位区間におけるアクセスポイントの受信電界強度とする。
【0031】
例えば、IEEE802.11−03/940r4で示された、アクセスポイントと端末間の距離に対する減衰を確率的に示した式によると、減衰L(d)は次のように算出される。
【0032】
L(d)=LFS(d) ※d≦dBPのとき
L(d)=LFS(dBP)+35log10(d/dBP) ※d>dBPのとき
FS(d)=20log10(d)+20log10(f)−147.5
ここで、dは単位区間とアクセスポイントの間のユークリッド距離、dBPはブレークポイント(約3mの高さに設置したとき5m)、LFS(d)は自由空間における減衰(dB)、fは周波数を表す。周波数fは、2.4GHz帯か5GHz帯で大きく変わり、使用チャネルに応じても少し変化するため、予めアクセスポイント情報に持っておく必要がある。アクセスポイントによってパラメータ(周波数、ブレークポイント)が異なる場合は、図6に示すように、アクセスポイント情報にパラメータを付与しておく。本実施例では、設定できるレベル毎の送信出力をアクセスポイント情報に含めているが、レベル毎の送信出力が固定である場合は、図7に示すような各アクセスポイントで共通のレベルと送信出力との関係を保持してもよい。なお、単位区間における各アクセスポイントからの受信電界強度を計算する際、単位区間とアクセスポイントとの間に壁が存在する場合には、壁の影響を考慮して受信電界強度を減衰させる。
【0033】
単位区間における各アクセスポイントの受信電界強度を算出した後、重複カバーエリアとなる単位区間数を表すパラメータDを算出する(ステップS16)。単位区間におけるアクセスポイントからの受信電界強度が受信電界強度下限値と同じもしくはそれよりも大きい場合には、その単位区間は当該アクセスポイントのカバーエリア内であると判断する。複数のアクセスポイントのカバーエリア内となる単位区間の数をカウントしてパラメータDを求める。このとき、図8に示すように、アクセスポイント毎に、カバーエリアが重複するアクセスポイントの数をアクセスポイントの組み合わせで集計してもよい。
【0034】
また、未カバーエリアの単位区間数を表すパラメータBを算出する(ステップS17)。どのアクセスポイントのカバーエリアにもなっていない単位区間の数をカウントしてパラメータBを求める。
【0035】
ステップS14で決定した各アクセスポイントの送信出力レベルの組み合わせの全てについて、ステップS15〜S17までの処理を行う(ステップS18)。
【0036】
全ての組み合わせについて処理した場合は(ステップS18のYES)、パラメータB(未カバーエリアの単位区間数)が最小となる組み合わせのうち、パラメータD(重複カバーエリアの単位区間数)が最小となる組み合わせを最適な組み合わせであると決定する(ステップS19)。
【0037】
以上の処理により決定した最適な各アクセスポイントの送信出力レベルをユーザインタフェース11を通じてユーザに提示する。
【0038】
あるいは、図9に示すように、出力決定装置1に送信出力送受信部16を備えて、各アクセスポイントに最適な送信出力レベルを送信してもよい。図9のシステムでは、各アクセスポイント2の送受信部21が出力決定装置1から送信出力レベルを受信し、取得部23が現在の送信出力レベルを取得し、受信した送信出力レベルと現在の送信出力レベルが異なる場合は、設定部22が無線電波の出力を受信した送信出力レベルに設定する。
【0039】
続いて、各アクセスポイントが利用するチャネルの決定について説明する。
【0040】
チャネルの決定には、図8に示した、アクセスポイントの組み合わせ毎に重複する単位区間の数を集計したデータを用いる。
【0041】
例えば、利用できるチャネルが2つであるとする。図8中の最もカバーエリアの重複数が多いAP1とAP4をチャネル1、チャネル2として設定する。続いて、重複数が多いAP4について、AP1の次に重複数が多いAP3をチャネル1として設定する。最後に、AP2について、重複数が多いAP3とは異なるチャネル2として設定する。その結果、AP1,AP2,AP3,AP4のチャネルは、チャネル1,チャネル2,チャネル1,チャネル2と決まる。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態によれば、マップ情報、アクセスポイント情報を入力し、マップ情報に基づいてフロアを単位区間に分割し、アクセスポイントの送信出力の組み合わせ全てについて、単位区間における受信電界強度を計算し、未カバーエリアと重複カバーエリアの数をカウントし、未カバーエリアの数が最も少ない組み合わせのうち、重複カバーエリアの数が最も少ない組み合わせを各アクセスポイントの最適な送信出力として決定することで、出来る限りフロア全体をカバーするとともに、干渉エリアが少なくなるように各アクセスポイントの送信出力を設定することができる。また、アクセスポイントの最適な送信出力を決めるために、送信出力の設定と電波の観測を行う必要がなくなる。
【0043】
さらに、出力決定装置1が算出した受信電界強度を可視化することで、未カバーエリアと重複カバーエリアがフロアのどの辺りかを把握することが可能である。工事保守者がフロア全体を調査する目的は、未カバーエリアとなる個所を探すことと、重複カバーエリアとなるところを探すことであるため、可視化された結果に基づき、未カバーエリアと重複カバーエリアとして示された周辺のエリアにおいて電界強度を測定すれば良いことになり、フロア全体で測定する場合に比べて作業時間が削減できる。
【0044】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は計算量を減らした例について説明する。第2の実施の形態の出力決定装置の構成は第1の実施の形態と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0045】
図10は、本実施の形態における出力決定装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0046】
マップ情報、アクセスポイント情報及びパラメータ情報を入力してデータベース15に格納するとともに、フロアを単位区間に分割する(ステップS21〜S23)。
【0047】
単位区間の中から外周の単位区間に相当するものと、互いに近接するアクセスポイント間の中間に位置するものとを合わせて、カバーすべき単位区間リストとしてデータベース15に保持する(ステップS24)。図11に、単位区間リストに追加された単位区間を示す。同図において網掛けされた単位区間が単位区間リストに追加された単位区間である。
【0048】
単位区間リストの各単位区間について、全てのアクセスポイントまでの距離を算出し、最も近いアクセスポイントを当該単位区間をカバーすべき担当アクセスポイントとして、アクセスポイントの識別情報と単位区間とアクセスポイントの間の距離を単位区間リストに保持する(ステップS25)。単位区間とアクセスポイントとの間のユークリッド距離dについて、単位区間とアクセスポイントとの間に壁を挟む場合には、次式のように壁の減衰率に相当する距離を加算する。
【0049】
d=ユークリッド距離+α(壁を挟んだ場合の仮想距離)
αは、壁の減衰率に依存して変動する値とする。
【0050】
図12に、単位区間リストの単位区間に担当アクセスポイントを割り当てた例を示す。同図において、2種類の模様で網掛けされた単位区間は2つのアクセスポイントからも等距離であり、いずれのアクセスポイントが担当してもよい単位区間を示す。図13に、データベース15に格納された単位区間リストの例を示す。同図に示す単位区間リストは、単位区間を識別するためのインデックスとその中心座標、その単位区間から最も近いアクセスポイントの識別情報と距離を保持している。
【0051】
単位区間リストの中から、単位区間とアクセスポイントとの距離が最小のアクセスポイントを選択し(ステップS26)、選択したアクセスポイントがカバーすべき単位区間のうち最も距離が遠い単位区間を単位区間リストから検索し、当該アクセスポイントの送信出力レベルを最小出力から段階的に増加させて、検索した単位区間における受信電界強度を計算し、計算した受信電界強度が受信電界強度下限値よりも大きくなったときの送信出力レベルを当該アクセスポイントの送信出力レベルとして決定する(ステップS27)。
【0052】
ステップS26で選択したアクセスポイントにカバーされている範囲内にある単位区間を単位区間リストから削除する、あるいはカバー済を示すフラグを設定する(ステップS28)。具体的には、単位区間リストの担当アクセスポイントにステップS26で選択したアクセスポイントが記載されている単位区間については、カバー済として単位区間リストから削除するか、フラグを設定する。
【0053】
単位区間リストが空あるいは全てカバー済であるか否か調べ(ステップS29)、単位区間リストが空でない場合、あるいはカバー済のフラグが設定されていない単位区間が存在する場合は(ステップS29のNO)、ステップS26に戻り、次のアクセスポイントを選択して処理を続ける。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態によれば、マップ情報上から受信電界強度を算出すべき単位区間を抽出して担当アクセスポイントを割り当てて単位区間リストに保持し、単位区間リストの単位区間と担当アクセスポイントとの距離が最も短いアクセスポイントについて、そのアクセスポイントが担当する単位区間のうち最も遠い単位区間で電波が受信できるように送信出力を決定することで、より少ない計算量で最適な送信出力を決定することができる。
【符号の説明】
【0055】
1…出力決定装置
11…ユーザインタフェース
12…マップ情報登録部
13…パラメータ登録部
14…送信出力決定部
15…データベース
16…送信出力送受信部
2…アクセスポイント
21…送受信部
22…設定部
23…取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13