特許第6055768号(P6055768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーエルエー−テンカー コーポレイションの特許一覧

<>
  • 特許6055768-焦点補正値汚染検査 図000002
  • 特許6055768-焦点補正値汚染検査 図000003
  • 特許6055768-焦点補正値汚染検査 図000004
  • 特許6055768-焦点補正値汚染検査 図000005
  • 特許6055768-焦点補正値汚染検査 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055768
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】焦点補正値汚染検査
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   G01N21/956 A
【請求項の数】18
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-533958(P2013-533958)
(86)(22)【出願日】2011年10月12日
(65)【公表番号】特表2013-539866(P2013-539866A)
(43)【公表日】2013年10月28日
(86)【国際出願番号】US2011055891
(87)【国際公開番号】WO2012051245
(87)【国際公開日】20120419
【審査請求日】2014年10月9日
(31)【優先権主張番号】13/251,975
(32)【優先日】2011年10月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/413,471
(32)【優先日】2010年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/392,358
(32)【優先日】2010年10月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘス カール イー
【審査官】 神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−514670(JP,A)
【文献】 米国特許第06327033(US,B1)
【文献】 特開平04−328549(JP,A)
【文献】 特開2007−155982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レチクル上の欠陥を検出するための方法であって、
前記レチクルを撮像するための最適焦点設定を決定するステップと、
互いに異なる焦点設定において前記レチクル上の少なくとも一部分を撮像した一連の画像を取得するステップと、
前記一連の画像が焦点設定に応じて対称的に劣化するか、非対称的に劣化するかを決定するステップと、
第1の補正値及び第2の補正値を決定するステップであって、前記一連の画像が対称的に劣化する場合は、前記第1の補正値と前記第2の補正値を同じ値に設定し、前記一連の画像が非対称的に劣化する場合は、前記第1の補正値と前記第2の補正値を異なる値に設定するステップと、
前記最適焦点設定に前記第1の補正値を加算した焦点設定で前記レチクルの少なくとも一部の第1の画像を取得するステップと、
前記最適焦点設定から前記第2の補正値を減算した焦点設定で前記レチクルの前記少なくとも一部の第2の画像を取得するステップと、
前記第1の画像と前記第2の画像との差分である差分画像を生成するステップと、
前記差分画像に基づいて前記レチクル上の欠陥を識別するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の画像および前記第2の画像は、前記レチクルの前記少なくとも一部の空中画像である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の画像および前記第2の画像は透過光画像である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の画像および前記第2の画像は反射光画像である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の画像と前記第2の画像とは同時に取得される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
レチクル上の欠陥を検出するための方法であって、
前記レチクルを撮像するための最適焦点設定を決定するステップと、
互いに異なる焦点設定において前記レチクル上の少なくとも一部分を撮像した一連の画像を取得するステップと、
前記一連の画像に基づいて、画像劣化特性を決定するステップと、
前記画像劣化特性に基づいて第1の補正値及び第2の補正値を決定するステップであって、前記一連の画像が焦点設定に応じて非対称的に劣化する場合は、前記第1の補正値と前記第2の補正値を異なる値に設定するステップと、
前記最適焦点設定に第1の補正値を加算した焦点設定で前記レチクルの少なくとも一部の第1の画像を取得するステップと、
前記最適焦点設定から第2の補正値を減算した焦点設定で前記レチクルの前記少なくとも一部の第2の画像を取得するステップと、
前記第1の画像と前記第2の画像との差分である差分画像を生成するステップと、
前記差分画像に基づいて前記レチクル上の欠陥を識別するステップと、
を含む、方法。
【請求項7】
前記第1の画像および前記第2の画像は、前記レチクルの前記少なくとも一部の空中画像である、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の画像および前記第2の画像は透過光画像である、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の画像および前記第2の画像は反射光画像である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の画像と前記第2の画像とは同時に取得される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の補正値と前記第2の補正値とは前記第1の画像を取得する前の較正処理を利用して決定される、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記一連の画像が焦点設定に応じて対称的に劣化する場合は、前記第1の補正値と前記第2の補正値とは同じ値である、請求項に記載の方法。
【請求項13】
レチクル上の欠陥を検出するための検査システムであって、
最適焦点設定に第1の補正値を加算した焦点設定で前記レチクルの少なくとも一部の第1の画像を取得するように構成され、前記最適焦点設定から第2の補正値を減算した焦点設定で前記レチクルの前記少なくとも一部の第2の画像を取得するように構成された撮像装置と、
前記第1の画像と前記第2の画像との差分である差分画像を生成するように構成された画像プロセッサと、
前記差分画像を提示するように構成されたユーザインターフェースと、
を含
前記第1の補正値及び前記第2の補正値は、前記第1の画像及び前記第2の画像から算出される画像劣化特性に基づいて決定され、前記画像劣化特性が焦点設定に応じて対称性を示す場合は、前記第1の補正値と前記第2の補正値を同じ値に設定され、前記画像劣化特性が焦点設定に応じて非対称性を示す場合は、前記第1の補正値と前記第2の補正値を異なる値に設定される、
ことを特徴とする検査システム。
【請求項14】
前記画像プロセッサは、互いに異なる焦点設定において前記レチクル上の少なくとも一部分を撮像した一連の画像に基づいて、前記画像劣化特性を決定する、請求項13に記載の検査システム。
【請求項15】
前記撮像装置は、連続的または同時的の少なくともいずれかで前記第1の画像および前記第2の画像を取得するように構成される、請求項13に記載の検査システム。
【請求項16】
前記撮像装置は、前記レチクルの前記少なくとも一部の空中画像を取得するように構成される、請求項13に記載の検査システム。
【請求項17】
前記撮像装置は透過光画像を取得するように構成される、請求項13に記載の検査システム。
【請求項18】
前記撮像装置は反射光画像を取得するように構成される、請求項13に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)の下で2010年10月12日に出願された米国仮特許出願第61/392,358号に基づく優先権を主張する。該米国仮特許出願第61/392,358号は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、米国特許法第119条(e)の下で2010年11月14日に出願された米国仮特許出願第61/413,471号に基づく優先権を主張する。該米国仮特許出願第61/413,471号は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、一般に汚染検査の分野に関し、詳細には単一ダイまたは複数ダイレチクル上の汚染欠陥を検出するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0004】
フォトマスクは穴または透過部を備えたプレートであり、光は、この穴または透過部を通過して画定されたパターンで光る。フォトマスクは、集積回路装置の製造に利用され得る。例えば、フォトマスク上の画定されたパターンは半導体ウエハ上に配置されたレジストに転写され得る。フォトマスクはフォトレチクルまたはレチクルと呼ばれる。
【0005】
レチクル上の汚染(非パターン)欠陥を発見するために様々な検査技術が利用され得る。例えば、複数の同一ダイスを含むレチクルについて、それらの1つが基準として利用され、汚染の可能性を検出するために同じパターンを有する別のダイと比較するために使用され得る。しかしながら、そのようなタイプの検査は複数の同一ダイスが利用可能である場合のみで有効である。レチクルが単一ダイレチクルの場合、基準が利用可能でないので、このような検査技術は適用できない。
【0006】
異なる検査技術がダイスの繰り返し構造のないレチクルについて利用され得る。一例として、与えられたレチクルの設計情報が利用可能である場合、汚染の可能性を検出するために、レチクルの高分解能走査が、設計情報と比較され得る。しかしながら、高分解能走査は集中的な計算である上、設計情報は常に利用可能および/またはアクセス可能であるとは限らない。
【0007】
セル間検査は、ダイスの繰り返し構造のないレチクルに使用し得る別の技術である。汚染の可能性を検出するための局所的基準として、(利用可能な場合)局所的繰り返しセルが使用され得る。しかしながら、セル間検査は(存在する場合)パターンの繰り返しセルを有するレチクルの一部でのみ可能である。
【0008】
別の例として、米国カリフォルニア州ミルピタス所在のKLAテンコール社により提供されるSTARlight(登録商標)検査手法がある。STARlight検査ツールは、汚染の可能性を検出するための基準として材料の透過および反射特性を直接的または間接的に使用し得る。しかしながら、そのようなタイプの検査手法は比較的遅い上、小さな特徴を有する非常に複雑なパターンでは困難となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,327,033号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、単一ダイまたは複数ダイレチクルの汚染欠陥を検出するための迅速かつ効果的な方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、レチクルの欠陥を検出するための方法を対象とする。当該方法は、レチクルを撮像するための最適焦点設定を決定するステップと、互いに異なる焦点設定において前記レチクル上の少なくとも一部分を撮像した一連の画像を取得するステップと、前記一連の画像が焦点設定に応じて対称的に劣化するか、非対称的に劣化するかを決定するステップと、第1の補正値及び第2の補正値を決定するステップであって、前記一連の画像が対称的に劣化する場合は、前記第1の補正値と前記第2の補正値を同じ値に設定し、前記一連の画像が非対称的に劣化する場合は、前記第1の補正値と前記第2の補正値を異なる値に設定するステップと、最適焦点設定に前記第1の補正値を加算した焦点設定でレチクルの少なくとも一部の第1の画像を取得するステップと、最適焦点設定から前記第2の補正値を減算した焦点設定でレチクルの少なくとも一部の第2の画像を取得するステップと、第1の画像と第2の画像との差分である差分画像を生成するステップと、該差分画像に基づいてレチクル上の欠陥を識別するステップと、を含む。本開示に係る方法は、また、レチクルの少なくとも一部にある欠陥を検出するために利用されてよい。
【0012】
本開示のさらなる実施形態は、レチクル上の欠陥を検出するための検査システムを対象とする。検査システムは、レチクルの少なくとも一部の一組の画像を取得するための撮像装置を備えてもよい。第1の画像は、最適焦点設定に所定の補正値を加算した焦点設定で取得されてよく、第2の画像は、最適焦点設定から所定の補正値を減算した焦点設定で取得されてよい。検査システムは、また、第1の画像と第2の画像との差分である差分画像を生成するための画像プロセッサを備えてもよい。また、検査システムは、差分画像を提示するためのユーザインターフェースをさらに備えてもよい。また、前記第1の補正値及び前記第2の補正値は、前記第1の画像及び前記第2の画像から算出される画像劣化特性に基づいて決定され、前記画像劣化特性が焦点設定に応じて対称性を示す場合は、前記第1の補正値と前記第2の補正値を同じ値に設定され、前記画像劣化特性が焦点設定に応じて非対称性を示す場合は、前記第1の補正値と前記第2の補正値を異なる値に設定される。
【0013】
上記の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方が単に例示的および注釈的であり、本開示を必ずしも制限するものでないことが理解されるべきである。明細書の一部に組み込まれ、または明細書を構成する添付の図面は本開示の主題を示す。併せて、説明および図面は本開示の原理を説明する役割を果たす。
【0014】
本開示の多くの利点は、添付の図面を参照することにより当業者によってより理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】例示的なレチクルの局所領域上の所望のパターンを示す図である。
図2】最適焦点設定に所定の補正値を加算した箇所で取得したレチクルの第1の画像を示す図である。
図3】最適焦点設定から所定の補正値を減算した箇所で取得したレチクルの第2の画像を示す図である。
図4】第1の画像と第2の画像との較正差分を提示する差分画像を示す図である。
図5】本開示に係る検査システムを示すブロック図である。
図6】本開示に係るレチクル上の欠陥を検出するための方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面で示された、開示された主題が詳細に参照される。
【0017】
図1を参照して、例示的なレチクル(フォトマスクとも呼ばれる)100の局所領域上の所望のパターン102を示す図が示されている。所望のパターン102を示す線は単に説明の目的に過ぎず、一定の縮尺で図示されているわけでないことが理解されるべきである。6インチ×6インチの例示的なレチクルの場合、線は、約200nmのオーダーであり得る。このような寸法が本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく変化し得ることが理解されるべきである。
【0018】
図1に示すように、汚染の欠陥104がレチクル100上に存在し得る。本開示は、レチクル上の汚染の欠陥を検出するためのシステムおよび方法を対象とする。本開示に係る方法は、汚染の欠陥を識別/検出するために異なる焦点設定でキャプチャ/取得される同じレチクルの画像を利用する。本開示に係る方法は、任意の存在する検査ツールが必要とする任意の基準レチクルまたは設計情報を必要としない。また、本開示に係る方法は、比較的速く実行され、複雑なパターンを効果的に扱うことができる。
【0019】
より具体的には、図2および3に示すように、レチクル100の2画像が異なる焦点設定で取得されてよい。例えば、第1の画像200は、最適焦点設定に所定の補正値を加算した箇所で取得され得ると同時に、第2の画像300は、最適焦点設定から所定の補正値を減算した箇所で取得され得る。最適焦点設定は、レチクル100が最適に焦点の合う焦点設定(例えば、レチクル100の焦点が合う設定)である。従って、所定の補正値を加算または減算した最適焦点設定で取得された2画像は、両方ともわずかに劣化している(例えば、焦点がわずかにずれたように見える)。
【0020】
一般に不透明なパターン102の画像は、焦点補正値に応じて対称的に劣化し得る。つまり、所定の補正値を加算した最適焦点設定(すなわち、レチクル100の背面に焦点が合わせられた、バックフォーカスとも呼ばれる)で取得された所望のパターン102の画像は、所定の補正値を減算した最適焦点設定(すなわち、レチクルの前面に焦点が合わせられた、フロントフォーカスとも呼ばれる)で取得された所望の画像102と実質的に同じように劣化し得る。従って、2画像で補足された所望のパターン102は、焦点がわずかにずれたように見えるが、第1の画像200および第2の画像300の両方で実質的に同一である(任意のわずかな差が存在し得ることは理解されるべきである)。
【0021】
一方、汚染のほとんどの形式は、それらの透過に位相成分を有する。そのような位相成分は、焦点補正値(デフォーカス)に対して非対称な応答を有する。すなわち、図1に示す欠陥104などの汚染欠陥に対して、最適焦点設定に所定の補正値を加算した箇所で取得された画像は、最適焦点設定から所定の補正値を減算した箇所で取得された画像と比較して異なる形式で劣化し得る。従って、欠陥104は、第2の画像300と比較して第1の画像200では異なって見える。
【0022】
差分画像は、取得した2画像に基づいて生成され得る。図4に示すように、例示的な差分画像400は、第1の画像200と第2の画像300との差分である。所望のパターン102は、両方の画像200、300で実質的に同一であるように見えるので、差分画像400で相互に打ち消す。任意の欠陥の位置は、一方では、差分画像400で示す(および強調される)傾向がある。そして、そのような位置は、レチクル100上に存在し得る汚染の欠陥の可能性を識別/検出するために利用されてよい。
【0023】
図5は、本開示に係る検査システム500を示す。検査システム500は、上記記載のレチクル100の画像200,300を取得するために構成された撮像装置(例えば、スキャナ、顕微鏡など)502を含み得る。例えば、撮像装置502は、連続して(特定の順序は問題でない)レチクル100の空中画像(例えば、平面図)をキャプチャしてもよい。しかしながら、異なる焦点設定で同時の画像をキャプチャ可能な撮像装置も利用されてよいことは、考慮される。また、検査システム500は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく1以上の撮像装置を備えてもよい。さらに、撮像装置502は、ハードウェア/光学焦点オフセットと同等の方法で画像を修正するためのソフトウェア処理技術を利用してもよい。撮像装置502は、また、同時にレチクル100の部分/領域の画像を取得するように構成されてもよい。これは、様々な状況、例えば、レチクル100の一部分のみを検査する必要がある場合、またはレチクル100が大きすぎて一度に全てを検査できない場合に価値を有し得る。
【0024】
検査システム500は、また、取得した画像を処理するために構成された画像プロセッサ504を備えてもよい。画像プロセッサ504は、任意の独立型または組込み型のコンピューティングデバイス(例えば、コンピュータ、処理ユニット/回路など)を利用して実行され得る。撮像装置502から画像200,300を受信すると、画像プロセッサ504は、第1の画像200と第2の画像300との差分である差分画像400を生成し得る。そして、差分画像400は、ユーザインターフェース506を介してユーザに提示され得る。
【0025】
画像プロセッサ504は、さらに汚染の欠陥の可能性を識別するための特定の診断/分析機能を提供するように構成され得る。画像プロセッサ504は、差分画像400に基づいて欠陥の可能性の位置、大きさおよび他の関連する情報を識別し得る。例えば、その周囲と異なるように見える範囲402は、汚染の欠陥の可能性として識別され得る。また、閾値は画像200と300との間に存在し得るいくつかのわずかな差分に適用するために定義され得る。閾値は、大きさ、色差および/または様々な他の要因の内1以上に基づいて定義され得る。このように、閾値よりも大きな量を持つことで周囲とは異なる範囲のみが汚染の欠陥の可能性として考えられる。識別された汚染の欠陥は、差分画像400に加えて(例えば、レポートとして)、それと併せて(例えば、マークアップとして)、またはその代わりにユーザに提示し得る。
【0026】
本開示に係る検査処理に基づく焦点補正値が撮像装置502に比較的低解像度で(例えば、125nmのピクセルサイズで)レチクル100の画像を取得させることが考えられる。従って、検査処理は、より高解像度(例えば、55nmピクセルサイズ)の走査を必要とする従来の技術と比べて比較的速く実行し得る。また、低解像度イメージングが高解像度イメージングよりもはるかに大きな焦点の深度を有し、低解像度イメージングの利用は、撮像装置502の焦点の深度に関連した優れた焦点制御を提供する。このことは、画像の良質な打ち消しを達成するために価値を有し得る。しかしながら、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、特定の解像度の設定を(例えば、低解像度と高解像度との間の範囲を)変えてもよいことが考えられる。
【0027】
本開示に係る検査処理は、任意の基準ダイまたは設計情報を使用することなく任意の単一ダイまたは複数ダイレチクルの検査のために利用されてよい。さらに、本開示に係る検査処理に基づく焦点補正値の別の利点として、複雑なパターンでレチクルを効果的に検査する能力が挙げられる。検査処理に基づく差分画像は、パターンの微細構造を分解し、または取得された画像の修正を実行する必要がない。最小限の処理で異なる焦点設定で取得された一対の画像を生成する材料の物理的特性である。リソグラフィ処理ウィンドウ内の焦点補正値と共に、リソグラフィの正確な照明および画像の使用は、解像度およびコントラストがレチクル設計に適しているであろうことを保証する。
【0028】
レチクルの所望のパターンを形成するために使用される材料が不透明であることが必要とされることが考えられる。ケイ化モリブデンなどの部分的に透過性のある材料の特定のタイプがレチクルを形成するために利用され得る。そのようなタイプの材料は特定の位相ずれ特性を有し得るので、異なる焦点補正値で撮像された所望のパターンの画像は完全な対称形式で劣化しない。従って、そのような位相ずれ特性に適応するために、画像に調整が適用され得る。特定の調整値が他の様々な要因と同様に、材料のタイプ、焦点補正値設定に基づいて予め計算され得ることはが理解されるべきである。また、他の調整/補正技術(例えば、画像較正など)が本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく利用されてよいことも理解されるべきである。
【0029】
また、較正処理が第1と第2の画像との間の適した打ち消しを提供するのに必要とされる特定の焦点補正値を決定するのを助け得ることが考えられる。例えば、較正処理は、それぞれ異なる焦点補正値を有するレチクルの局所領域の全体の一連の画像を取ることを含んでよい。いくつかの非欠陥領域の画像の組の差分を取ることによって、較正処理は、所望のターンを最適に打ち消す実質的に異なる焦点補正値で画像を決定することができる。さらに、利用される焦点補正値の範囲は、特定の光学的構成の焦点の深度に基づく。例えば、焦点補正値は、最適焦点から最大で焦点の1または2深度であってよい。
【0030】
また、較正処理は、画像が撮像された一連の画像に基づいて対称の形式で劣化しているかどうか、および調整がオフセット値に適用される必要があるかどうかを決定し得る。例えば、較正処理は、加算オフセットとして使用される第1のオフセット値および減算オフセットとして使用される第2のオフセット値を決定し得る。しかしながら、差分オフセット値は、上記に記載のように位相ずれ特性の可能性に適応するために使用され得る。すなわち、加算焦点補正値および減算焦点補正値は、同じ大きさで存在する必要はない。
【0031】
さらに、本開示に係る検査システムが透過光または反射光のいずれかを利用してよいことが考えられる。例えば、透過光が利用される場合、撮像装置502は、レチクル100を通って透過した光に基づいて画像を取得するように構成され得る。一方、反射光が利用される場合、撮像装置502は、レチクル100によって反射した光(例えば、極紫外(EUV)光)に基づいて画像を取得するように構成され得る。撮像装置502の特定の実施が本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく変更してよいことは、理解されるべきである。
【0032】
図6を参照して、レチクル上の欠陥を検出するための方法600を示す。ステップ602は、レチクル(またはレチクルの一部)を撮像するための最適焦点設定を決定し得る。ステップ604は、最適焦点設定に所定の補正値を加算した箇所でレチクルの第1の画像を取得し、ステップ606は、最適焦点設定から所定の補正値を減算した箇所でレチクルの第2の画像を取得し得る。ステップ604および606は、連続してまたは同時に実行してよい。そして、ステップ608は、取得した第1および第2の画像に基づいて差分画像を生成し得る。差分画像は、2画像の差分である。ステップ610は、上記記載の差分画像に基づいてレチクル上の潜在的な汚染の結果を識別し得る。
【0033】
本開示がソフトウェア/ファームウェアパッケージの形式で実施され得ることは、理解されるべきである。そのようなパッケージは、本開示の開示された機能および処理を実行するためのコンピュータのプログラムを作るために使用される保存したコンピュータコードを含むコンピュータ可読の記憶媒体/装置を採用するコンピュータプログラム製品であってよい。コンピュータ可読の媒体は、従来のフロッピー(登録商標)ディスクの任意のタイプ、光ディスク、CD−ROM、磁気ディスク、ハードドライブ、光磁気ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、磁気または光カード、あるいは電子命令を格納する他の任意の適切な媒体を含むが、これらに限定しない。
【0034】
開示された方法は、単一の生産装置を介して、および/または複数の生産装置を介して、一連の命令として実行され得る。さらに、開示された方法における工程の特定の順序または階層が例示的なアプローチの一例であることが、理解されるべきである。設計の嗜好に基づいて、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、上記方法における工程の特定の順序または階層が再配置可能であることは、理解されるべきである。添付の方法の特許請求の範囲は、見本の順序における様々な工程の要素を提示し、提示された特定の順序または階層に限定する意図は必要ない。
【0035】
本開示のシステムおよび方法並びに多くのその付属する利点が前述の説明によって理解され、開示された主題から逸脱することなく、またはその物質的な利点の全てを犠牲にすることない形式、構造および配置で作られてよいことが明らかであることが考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5