特許第6055815号(P6055815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055815
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】色素増感太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/20 20060101AFI20161219BHJP
   C07D 209/18 20060101ALI20161219BHJP
   C07D 209/58 20060101ALN20161219BHJP
   C07D 417/14 20060101ALN20161219BHJP
   C07D 209/24 20060101ALN20161219BHJP
【FI】
   H01G9/20 113C
   H01G9/20 113Z
   H01G9/20 113A
   H01G9/20 113D
   C07D209/18
   H01G9/20 111E
   H01G9/20 111D
   H01G9/20 111Z
   H01G9/20 111C
   H01G9/20 111B
   H01G9/20 107C
   H01G9/20 303A
   !C07D209/58
   !C07D417/14
   !C07D209/24
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-507980(P2014-507980)
(86)(22)【出願日】2013年3月27日
(86)【国際出願番号】JP2013059113
(87)【国際公開番号】WO2013146933
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2016年1月6日
(31)【優先権主張番号】特願2012-82726(P2012-82726)
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
(74)【代理人】
【識別番号】100143856
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 廣己
(74)【代理人】
【識別番号】100161698
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 知子
(74)【代理人】
【識別番号】100171217
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 望
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 貞一
(72)【発明者】
【氏名】岡本 俊紀
(72)【発明者】
【氏名】松根 未和
(72)【発明者】
【氏名】矢野 亨
(72)【発明者】
【氏名】長田 広幸
(72)【発明者】
【氏名】青山 洋平
【審査官】 近藤 政克
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−181286(JP,A)
【文献】 特開2000−268892(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/038589(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/20
C07D 209/18
C07D 209/24
C07D 209/58
C07D 417/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明導電層が形成された基板の前記透明導電層上に、金属酸化物粒子からなる金属酸化物多孔質層が積層され、前記金属酸化物多孔質層に増感色素が担持された光電極を有し、
前記増感色素は、シアニン系有機色素及びインドリン骨格含有色素を含有し、
前記シアニン系有機色素及びインドリン骨格含有色素が多段階に金属酸化物多孔質層に担持されており、かつ、
前記金属酸化物粒子の表面において、前記シアニン系有機色素が前記インドリン骨格含有色素よりも高い濃度で存在する色素増感太陽電池の製造方法であって、
透明導電層が形成された基板の前記透明導電層上に、金属酸化物粒子からなる金属酸化物多孔質層を形成する工程、
前記金属酸化物多孔質層にシアニン系有機色素を担持させる工程、及び、
前記シアニン系有機色素を担持させた金属酸化物多孔質層に、インドリン骨格含有色素を担持させる工程を有する色素増感太陽電池の製造方法。
【請求項2】
シアニン系有機色素及びインドリン骨格含有色素は、カルボキシ基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、フォスフォノ基及びフォスフィニコ基から選択される少なくとも1種の基を有することを特徴とする請求項1に記載の色素増感太陽電池の製造方法
【請求項3】
シアニン系有機色素は、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする請求項1又は2記載の色素増感太陽電池の製造方法
【化1】

(一般式(1)中、A、Bは互いに独立した置換基を有してもよいベンゼン環又はナフタレン環、R1〜R4は互いに独立した炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有してよいベンジル基、R5は、シアノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、nは互いに独立した1〜3の整数、pは1又は2の整数、qは0〜2の整数を表す。)
【請求項4】
インドリン骨格含有色素は、下記一般式(2)で表される構造を有する請求項1、2又は3記載の色素増感太陽電池の製造方法
【化2】

(一般式(2)中、R21とR22は水素原子又はアルキル基を示し、両者が連結してシクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成しても良い。R23は、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。Y2は、カルボキシ基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、フォスフォノ基及びフォスフィニコ基から選択される少なくとも1種の基を示す。R24は、脂肪族炭化水素残基、芳香族炭化水素残基又は複素環残基を示す。R25は、アルキル基またはアラルキル基を示す。但し、R24、R25の少なくとも一方は、炭素数4以上のアルキレン基を介して結合したカルボキシ基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、フォスフォノ基及びフォスフィニコ基から選択される少なくとも1種の基を含有する。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属錯体色素を用いずに、光吸収波長範囲を大幅に拡大させることが可能となり、優れた光電変換特性を実現することが可能な色素増感太陽電池及び色素増感太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
色素増感太陽電池は、身近な材料である金属酸化物半導体多孔膜を利用した太陽電池であり、シリコン太陽電池に比べて、高価な材料やプロセスを必要とせず、安価な太陽電池を実現できるデバイスとして実用化が期待されている。
【0003】
このような色素増感太陽電池の基本原理は、特許文献1に開示されているように、以下の通りである。まず、色素増感太陽電池に光が照射されると、金属酸化物半導体多孔質層表面に吸着された増感色素が光を吸収し、色素分子内の電子が励起され、電子が半導体へ渡される。これにより、光電極側で電子が発生し、この電子が電気回路を通じて、正電極に移動する。そして、正電極に移動した電子は、電解質層を通じて光電極に戻る。このような過程が繰り返されることで、電気エネルギーが生じ、高い光電変換効率が実現されている。
【0004】
色素増感太陽電池の光電変換効率は、増感色素の光吸収特性に大きく影響される。増感色素の吸収波長域は、増感色素が有する化学構造が関係するが、可視光全域から近赤外線領域に渡って光吸収効率の高い増感色素は得られていないのが現状である。
これに対して、光吸収特性の異なる複数の増感色素を金属酸化物半導体多孔膜に担持させることで、色素増感太陽電池の光電変換効率を向上させる方法が、特許文献2、3、4等に開示されている。
具体的には、特許文献2には、金属酸化物半導体ナノ多孔膜中に、酸化還元電位の異なる2種以上の増感色素を酸化還元電位の小さい順に積層吸着させることで、光電変換効率を向上させる方法が記載されている。
また、特許文献3には、2種以上の増感色素を化学吸着させながら金属酸化物半導体ナノ多孔膜に吸着させることで高特性を得る方法が記載されている。
更に、特許文献4には、金属酸化物半導体ナノ多孔膜の表面の異なる部位に2種の色素を吸着させることで、特性向上させる方法が記載されている。
【0005】
これらの方法は、何れも金属錯体色素と有機色素とを併用して担持させる方法であるが、有機色素は金属酸化物半導体多孔膜との吸着性が高いため、金属錯体色素と有機色素とを制御良く担持させることで、光吸収波長範囲を拡大させて、光電変換特性を向上させることは困難であった。また、金属錯体色素はルテニウム等の希少金属の錯体である場合が多く、資源不足になる可能性があり、高価でもある。更に、金属酸化物半導体が酸化亜鉛の場合には、ルテニウム錯体色素が酸化亜鉛膜から溶出しやすい等の問題が発生していた。従って、金属錯体色素を用いずに、光吸収波長範囲を拡大させることが可能な色素増感太陽電池が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2664194号公報
【特許文献2】特許第3505414号公報
【特許文献3】特許第4574897号公報
【特許文献4】特開2009−032547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、金属錯体色素を用いずに、光吸収波長範囲を大幅に拡大させることが可能となり、優れた光電変換特性を実現することが可能な色素増感太陽電池及び色素増感太陽電池の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、透明導電層が形成された基板の前記透明導電層上に、金属酸化物粒子からなる金属酸化物多孔質層が積層され、前記金属酸化物多孔質層に増感色素が担持された光電極を有し、
前記増感色素は、シアニン系有機色素及びインドリン骨格含有色素を含有し、
前記シアニン系有機色素及びインドリン骨格含有色素が多段階に金属酸化物多孔質層に担持されており、かつ、
前記金属酸化物粒子の表面において、前記シアニン系有機色素が前記インドリン骨格含有色素よりも高い濃度で存在する色素増感太陽電池の製造方法であって、
透明導電層が形成された基板の前記透明導電層上に、金属酸化物粒子からなる金属酸化物多孔質層を形成する工程、
前記金属酸化物多孔質層にシアニン系有機色素を担持させる工程、及び、
前記シアニン系有機色素を担持させた金属酸化物多孔質層に、インドリン骨格含有色素を担持させる工程を有する色素増感太陽電池の製造方法である。
【0009】
本発明者らは鋭意検討した結果、金属酸化物多孔質層に、シアニン系有機色素及びインドリン骨格含有色素を含有する増感色素を多段階に担持することにより、金属錯体色素を用いずに、光吸収波長範囲を大幅に拡大させることが可能となり、高い光電変換特性を有する色素増感太陽電池が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
図1は、本発明の色素増感太陽電池の一例を示す模式図である。
本発明の色素増感太陽電池は、透明基板1、透明電極2、金属酸化物多孔質層5をこの順で有する光電極と正電極12とが周縁部に形成されたシール11を介して積層された構造となっており、色素増感太陽電池の内部には電解質溶液10が内包されている。また、金属酸化物多孔質層5は、色素担持金属酸化物粒子6からなるものであり、孔部に増感色素が担持されている。
色素担持金属酸化物粒子6の拡大模式図を図2に示す。本発明では、シアニン系有機色素(第1色素)8及びインドリン骨格含有色素(第2色素)9が金属酸化物粒子7に多段階に担持されており、金属酸化物粒子7に対して、シアニン系有機色素8がその近傍に存在し、インドリン骨格含有色素9が金属酸化物粒子7から遠い位置に存在している。即ち、金属酸化物粒子7の表面において、シアニン系有機色素8がインドリン骨格含有色素9よりも高い濃度で存在している。なお、本明細書では、最初に担持された増感色素を第1色素といい、以下担持した順に第2色素、第3色素、…という。
また、多段階とは、2段階以上を意味し、2〜3段階とすることが好ましい。
【0011】
本発明の色素増感太陽電池に用いられる基板としては、入射する光を妨げず、適度な強度を有するものであれば特に限定されず、例えば、ガラス、透明樹脂からなるシート、フィルム等が挙げられる。
上記透明樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスルフォン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、環状ポリオレフィン等の耐熱性を有する透明性樹脂からなるものが挙げられる。
上記基板の厚みの好ましい下限は20μm、好ましい上限は1mmである。基板の厚みを上記範囲内にすることで、適度なハンドリング性と剛性と柔軟性をもたせることが可能となる。
【0012】
上記の透明電極としては、例えば、ITO、SnO、ZnO、GZO、AZO、FTO等の透明性のある酸化物半導体からなるものが挙げられる。ITOは、抵抗率が小さく安定であり、透明性が高いため好ましい。透明電極は、スパッタリング、CVD、蒸着、イオンプレーティングなどのドライ成膜法や、上記の酸化物半導体から成る微粒子を溶媒に分散して塗布成膜するウェット成膜法によって形成することができる。
【0013】
また、溶媒に分散させた金属微粒子を塗布や印刷することにより、金属細線によるメッシュ状の電極を透明電極としても良い。金属細線の無い部分を光が通過し、金属細線は電極として機能する。スパッタリングなどと比べて、真空チャンバーなどの成膜装置が必要でなく、製造が非常に容易である。その場合には金属細線の表面に耐食性の保護層を形成するか、チタンやステンレスなどの耐食性のある金属を使用することが好ましい。
また、透明樹脂フィルムと透明電極との間には、透明電極の密着性向上や傷つき防止のためにハードコート層を形成しても良い。
【0014】
本発明の色素増感太陽電池は、上記透明導電層が形成された基板の透明導電層上に、金属酸化物粒子からなる金属酸化物多孔質層が積層された光電極を有する。
【0015】
上記光電極は、金属酸化物多孔質層を有する。上記金属酸化物多孔質層は、金属酸化物粒子からなることで、ナノサイズの微小孔が内部に網目状に形成されたメソポーラスな半導体膜である。
上記金属酸化物粒子の材料としては酸化亜鉛や酸化チタン等が挙げられる。上記酸化亜鉛を用いる場合、酸化亜鉛微粒子の塗布成膜法や酸化亜鉛の電析法によって、金属酸化物多孔質層を形成することができる。
上記酸化亜鉛微粒子の塗布成膜法としては、酸化亜鉛微粒子を溶媒とバインダーに分散してペースト化し、スピンコートやバーコート等によって塗布成膜する方法や、スクリーン印刷法等で成膜した後に溶媒乾燥して成膜する方法等が挙げられる。上記酸化亜鉛の電析法は、酸素バブリングした塩化亜鉛水溶液中で、透明電極基板に所定の電圧を印加して酸化亜鉛をめっきする方法であり、テンプレート材料を併用して膜の多孔性を制御することができる。
特に、上記金属酸化物多孔質層の材質が、酸化亜鉛である場合は、成膜後に温水処理することで、酸化亜鉛微粒子間の固着性を向上させることができる。
【0016】
上記金属酸化物多孔質層の膜厚は、2〜20μmであることが好ましい。
上記膜厚が2μm未満であると、色素担持量が少なくなるために、色素増感太陽電池の光電変換特性が低下することがあり、20μmを超えると、上記金属酸化物多孔質層の電子拡散長が限られているため、光電変換に寄与しない部分が発生したり、上記金属酸化物多孔質層中への電解液の浸入が困難になることもあり、光電変換特性が低下したりすることがある。
【0017】
上記金属酸化物多孔質層の空孔率は50〜95%が好ましく、より好ましくは60〜90%である。空孔率が50%未満であると、電解質溶液が金属酸化物多孔質層中に充分に浸透しにくくなり発電特性が低下する。また、空孔率が95%を超えると、金属酸化物多孔質層の強度が低下して、外力により破断しやすくなる。ここで、空孔率は次式で定義される。
空孔率=(1−金属酸化物多孔質層の実重量/(金属酸化物多孔質層体積×比重))
×100 (%)
【0018】
上記金属酸化物多孔質層には、増感色素が担持されている。これにより、光照射によって起電力を発生させる色素増感太陽電池用の光電極として用いることができる。
【0019】
上記増感色素は、シアニン系有機色素及びインドリン骨格含有色素という吸収波長が互いに異なる2種以上の有機色素を含有し、これらの有機色素が多段階に金属酸化物多孔質層に担持され、増感色素からなる層を形成している。
これにより、それぞれの増感色素の光吸収特性を互いに阻害することなく加算的に光吸収波長を拡大することができる。その結果、幅広い波長範囲で発電が可能となり、優れた光電変換特性を実現することができる。
なお、多段階に金属酸化物多孔質層に担持とは、シアニン系有機色素及びインドリン骨格含有色素を含有する増感色素が、2回以上の工程で金属酸化物多孔質層に担持されていることをいい、シアニン系有機色素及びインドリン骨格含有色素が金属酸化物粒子に積層した状態で担持されていることをいう。
【0020】
本発明は、シアニン系有機色素及びインドリン骨格含有色素が多段階に金属酸化物多孔質層に担持されたものであるが、特に、シアニン系有機色素が金属酸化物粒子の近傍に担持されており、インドリン骨格含有色素は、その色素骨格と金属酸化物粒子との間がアルキレン鎖を介して担持されていることが好ましい。
これにより、互いの増感色素が吸収波長域を補完し合うことで、加算したもの以上に光吸収波長を拡大する強色効果を得ることができる。このことは、例えば、得られた色素増感太陽電池セルの量子効率(IPCE)において、700nm付近のピーク値が各単体の値を加算したものよりも大きくなっていることで確認することができる。
【0021】
上記シアニン系有機色素及びインドリン骨格含有色素を含有する増感色素は、可視光波長全域(400〜800nm)に吸収を持つことが好ましく、少なくとも1種の増感色素の吸収ピークは500nm付近にあり、他方の増感色素の吸収ピークは700nm付近にあることが生産が容易であるため好ましい。増感色素の吸収ピークがそれより短波長や長波長側にあると、太陽光に多く含まれる可視光範囲の波長の光を充分に活用できないおそれがある。
【0022】
また、上記シアニン系有機色素及びインドリン骨格含有色素を含有する増感色素のうち、低波長側に吸収ピークを有する増感色素と、長波長側に吸収ピークを有する増感色素とのピーク波長の差は100〜300nmであることが好ましい。上記範囲外であると、本願発明による色素吸収波長範囲の拡大効果が小さくなる。
【0023】
本発明の色素増感太陽電池の光電極では、シアニン系有機色素及びインドリン骨格含有色素という有機色素を用いる。このような有機色素は、金属錯体色素等と比較して希少金属を含まないため、資源的な制約がないばかりか、多色性が可能となり、安価で意匠性に優れた太陽電池の製造が可能となる。
【0024】
上記増感色素は、シアニン系有機色素を含有する。
上記シアニン系有機色素は、モル吸光係数が大きいことから、少量の担持でも入射光を充分に吸収することができ、得られる色素増感太陽電池は優れた発電効率を示す。
【0025】
上記シアニン系有機色素としては、ペンタメチン鎖の両端にインドレニン骨格を有し、かつ、シアノ基又はクロロ基を有するものが好ましい。ペンタメチン鎖を有するシアニン系有機色素は、700〜800nmの長波長領域に光吸収があり好適に使用できる。
また、上記シアニン系有機色素としては、カルボキシ基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、フォスフォノ基及びフォスフィニコ基から選択される少なくとも1種の基を有することが好ましい。更に、上記シアニン系有機色素としては、下記一般式(1)に示す構造を有するものが好ましい。
【0026】
【化1】
(一般式(1)中、A、Bは互いに独立した置換基を有してもよいベンゼン環又はナフタレン環、R1〜R4は互いに独立した炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有してよいベンジル基、R5は、シアノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、nは互いに独立した1〜3の整数、pは1又は2の整数、qは0〜2の整数を表す。)
【0027】
一般式(1)中、A、Bにおける置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子(F、Cl、Br等)、炭素数1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等)、炭素数1〜4以下のハロゲン化アルキル基(CF、CCl等)、炭素数1〜4のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、第2ブチルオキシ基、第3ブチルオキシ基等)、炭素数1〜4のハロゲン化アルコキシ基等が挙げられる。
また、R1〜R4における置換基としても、A、Bと同様のものを用いることができる。
【0028】
一般式(1)で表される化合物の中でも、R1〜R4のうち少なくとも一つがベンジル基であるものが好ましく、R1、R2の何れか及びR3、R4の何れかがベンジル基であるものがより好ましく、R1〜R4が全てベンジル基であるものは、発電特性に優れるため更に好ましい。
【0029】
一般式(1)中、Anp−はp価のアニオンである。
上記Anp−に示すアニオンとしては、例えば、フッ化物イオン(F)、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)或いはヨウ化物イオン(I)等のハロゲン化物イオンや、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF)、過塩素酸イオン(ClO)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF)、塩素酸イオン或いはチオシアン酸イオン等の無機系陰イオンや、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ジフェニルアミン−4−スルホン酸イオン、2−アミノ−4−メチル−5−クロロベンゼンスルホン酸イオン、2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸イオン、N−アルキルジフェニルアミン−4−スルホン酸イオン或いはN−アリールジフェニルアミン−4−スルホン酸イオン等の有機スルホン酸系陰イオンや、オクチルリン酸イオン、ドデシルリン酸イオン、オクタデシルリン酸イオン、フェニルリン酸イオン、ノニルフェニルリン酸イオン或いは2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスホン酸イオン等の有機リン酸系陰イオンや、その他にビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオン、ビスパーフルオロブタンスルホニルイミドイオン、パーフルオロ−4−エチルシクロヘキサンスルホン酸イオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン或いはトリス(フルオロアルキルスルホニル)カルボアニオン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
また、一般式(1)中のAnp−において、p=2の場合のアニオン(2価のアニオン;An2−)としては、例えば、硫酸イオン(SO2−)、ベンゼンジスルホン酸イオン或いはナフタレンジスルホン酸イオン等が挙げられる。
なお、qは化合物の電荷を中性に保つ係数であり、0〜2の整数である。
【0030】
上記増感色素は、インドリン骨格含有色素を含有する。
上記インドリン骨格含有色素は、可視光域での広い波長範囲に渡って光吸収が大きく、モル吸光係数が大きいことから、少量の担持でも入射光を充分に吸収することができ、得られる色素増感太陽電池は優れた発電効率を示す。
【0031】
上記インドリン骨格含有色素としては、吸収ピークが500nm付近にあり、金属酸化物多孔質層に吸着する酸性基と色素骨格との間が炭素原子数4〜22のアルキレン鎖によって連結されているものが好ましい。
上記インドリン骨格含有色素としては、カルボキシ基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、フォスフォノ基及びフォスフィニコ基から選択される少なくとも1種の基を有するインドリン骨格含有色素が好ましく、中でも下記一般式(2)で表されるインドリン骨格含有色素が好ましい。
【0032】
【化2】
(一般式(2)中、R21とR22は水素原子又はアルキル基を示し、両者が連結してシクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成しても良い。R23は、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。Y2は、カルボキシ基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、フォスフォノ基及びフォスフィニコ基から選択される少なくとも1種の基を示す。R24は、脂肪族炭化水素残基、芳香族炭化水素残基または複素環残基を示す。R25は、アルキル基またはアラルキル基を示す。但し、R24、R25の少なくとも一方は、炭素数4以上のアルキレン基を介して結合したカルボキシ基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、フォスフォノ基及びフォスフィニコ基から選択される少なくとも1種の基を含有する。)
【0033】
一般式(2)において、R21、R22のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−オクチル基等が挙げられる。また、R21とR22とが連結してシクロペンタン環又はシクロヘキサン環を形成しても良い。
【0034】
上記R23は、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。中でも特に好ましいものは、炭素数1〜2のアルキレン基である。
上記Y2は、pKaが6未満の酸性基を示す。pKaが6未満の酸性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、フォスフォノ基及びフォスフィニコ基から選択される少なくとも1種の基が好ましい。中でも、カルボキシ基が特に好ましい。
【0035】
上記R24は脂肪族炭化水素残基、芳香族炭化水素残基又は複素環残基を示す。
上記脂肪族炭化水素残基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基等のアルキル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、プロパギル基等のアルキニル基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基を挙げられる。
上記芳香族炭化水素残基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記複素環残基としては、例えば、インドリル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基等が挙げられる。
これらの中では、芳香族炭化水素残基が特に好ましい。
上記脂肪族炭化水素残基、芳香族炭化水素残基又は複素環残基は、更に種々の置換基によって置換されても良い。置換基の好ましい例としては、上述の脂肪族炭化水素残基、芳香族炭化水素残基、複素環残基に加えて、アミノ基、ビニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、pKaが6未満の酸性基等が挙げられる。
【0036】
上記R24に示す芳香族炭化水素残基の具体例の中でも特に好ましい例としては、以下のAS−1〜AS−25に示すものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
【化3】
【0038】
【化4】
【0039】
上記芳香族炭化水素残基の中でも、光電変換効率の観点から、AS−5、AS−10〜AS−15、AS−20〜AS−22を用いることが好ましい。
【0040】
上記R25は、アルキル基又はアラルキル基を示す。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。これらは直鎖構造であっても、分枝構造であっても良い。なかでも、炭素数5〜14で直鎖構造のアルキル基が好ましい。
上記アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0041】
上記R24、R25の少なくとも一方は、炭素数4以上のアルキレン基を介して結合したpKaが6未満の酸性基を含有する。上記炭素数4以上のアルキレン基を介して結合したpKaが6未満の酸性基の例としては、以下のAC−41〜AC−60に示すものが挙げられる。上記炭素数の好ましい上限は22である。
なかでも、炭素数4〜14で直鎖構造のアルキレン基を介して結合したpKaが6未満の酸性基が好ましい。pKaが6未満の酸性基の具体例は、上述したものと同様である。
【0042】
【化5】
【0043】
上記増感色素には、シアニン系有機色素、インドリン骨格含有色素以外の有機色素を含有していてもよい。シアニン系有機色素、インドリン骨格含有色素以外の有機色素としては、光エネルギーを吸収して電子を発生し、それを速やかに金属酸化物多孔質層に注入する機能を有するものであれば特に限定されないが、金属酸化物多孔質層に強固に吸着させるために官能基を有するものが好ましい。
上記官能基としては例えば、カルボキシ基、カルボン酸無水基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、スルホ基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基等が挙げられる。
上記有機色素としては、具体的には例えば、エオシンY、フルオレセイン、エリスロシンB、フロキシンB、ローズベンガル、フルオレクソン、マーキュロクロム、ジブロモフルオレセイン、ピロガロールレッド等のキサンテン系色素;クマリン343等のクマリン系色素;ブロモフェノールブルー、ブロモチモールブルー、フェノールフタレイン等のトリフェニルメタン系色素;インジゴ系色素、オキソノール系色素、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、スクアリリウム系色素、ペリレンテトラカルボン酸誘導体;アントシアニン、クチナシ色素、ウコン色素、ベニバナ色素、カロテノイド色素、コチニール色素、パプリカ色素等の天然色素等が挙げられる。
【0044】
上記光電極と電解質層と正電極とをこの順で積層することにより色素増感太陽電池を製造することができる。具体的には例えば、電解質を含有する溶液を光電極上に滴下や塗工し、電解質層を形成した後、正電極を積層する方法や、光電極と電解質溶液注入口を有する正電極を積層した後、上記電解質溶液注入口から電解質溶液を注入する方法等により製造することができる。
【0045】
上記電解質層は、電解質溶液からなるものであってもよく、電解質溶液をゲル化剤によって半固体化したものであってもよい。また、上記電解質層としては、電子、ホール、イオン等を輸送できる物質であれば特に限定されず、たとえば、CuI、CuSCN、NiO、CuO、KI等のp型半導体固体ホール輸送材料や、ヨウ素/ヨウ化物、臭素/臭化物等の酸化還元電解質を有機溶媒に溶解した溶液を用いることができる。これらの中では、金属酸化物多孔質層の内部にまで浸透しやすく、金属酸化物多孔質層に吸着した色素が脱離しにくいことから、酸化還元電解質を有機溶媒に溶解した溶液が好ましい。
【0046】
上記ゲル化剤としては、ジベンジリデン−D−ソルビトール、コレステロール誘導体、アミノ酸誘導体、トランス−(1R,2R)−1,2−シクロヘキサンジアミンのアルキルアミド誘導体、アルキル尿素誘導体、N−オクチル−D−グルコンアミドベンゾエート、双頭型アミノ酸誘導体、4級アンモニウム誘導体;スメクタイト系粘土鉱物や膨潤性のマイカ等の層状粘土鉱物(例えば、特許第4692694号公報の段落番号[0044]〜[0065]等);アクリル酸モノマー等の光重合性モノマー;等が挙げられる。
【0047】
上記有機溶媒としては、例えばニトリル系のアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、ブチロニトリル、メトキシアセトニトリル、バレロニトリル等や炭化水素系のプロピレンカルボナート、ジエチルカルボナート、γ―ブチロラクタン、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート、1,4−ジオキサン等やアルコール系のブタノール、ペンタノール、ポリエチレングリコール等やN,N−ジメチルホルムアミド、キノリン等が挙げられ、さらに、イミダゾリウム塩、ピロリジニウム塩、ピペリジニウム塩、ピリジニウム塩等のイオン液体等が挙げられる。これらの有機溶媒は、いずれか1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0048】
上記酸化還元電解質としては、公知の電解質(電解液)を用いることができる。例えば、酸化還元対を有するレドックス電解質を含有するものが挙げられ、上記レドックス電解質としては、例えば、I/I系、Br/Br系、キノン/ハイドロキノン系、Co錯体系又はニトロキシラジカル化合物系等が挙げられる。具体的には、ヨウ化物塩とヨウ素単体とを組み合わせたもの、又は臭化物塩と臭素とを組み合わせたもの等のハロゲン化物塩とハロゲン単体とを組み合わせたもの等である。このハロゲン化物塩としては、ハロゲン化セシウム、ハロゲン化四級アルキルアンモニウム類、ハロゲン化イミダゾリウム類、ハロゲン化チアゾリウム類、ハロゲン化オキサゾリウム類、ハロゲン化キノリニウム類あるいはハロゲン化ピリジニウム類等が挙げられる。具体的には、これらのヨウ化物塩としては、例えば、ヨウ化セシウムや、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラペンチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラへプチルアンモニウムヨージドあるいはトリメチルフェニルアンモニウムヨージド等の4級アルキルアンモニウムヨージド類や、3−メチルイミダゾリウムヨージドあるいは1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨージド等のイミダゾリウムヨージド類や、3−エチル−2−メチル−2−チアゾリウムヨージド、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムヨージドあるいは3−エチル−2−メチルベンゾチアゾリウムヨージド等のチアゾリウムヨージド類や、3−エチル−2−メチル−ベンゾオキサゾリウムヨージド等のオキサゾリウムヨージド類や、1−エチル−2−メチルキノリニウムヨージド等のキノリニウムヨージド類や、ピリジニウムヨージド類等が挙げられる。また、臭化物塩としては、例えば、四級アルキルアンモニウムブロミド等が挙げられる。ハロゲン化物塩とハロゲン単体とを組み合わせたものの中でも、上記したヨウ化物塩のうちの少なくとも1種とヨウ素単体との組み合わせが好ましい。
【0049】
また、上記酸化還元電解質は、例えば、イオン性液体とハロゲン単体とを組み合わせたものでもよい。この場合には、さらに上記したハロゲン化物塩等を含んでいてもよい。
上記イオン性液体としては、電池や太陽電池等において使用可能なものが挙げられ、例えば、「Inorg.Chem」1996,35,p1168〜1178、「Electrochemistry」2002,2,p130〜136、特表平9−507334号公報、又は特開平8−259543号公報等に開示されているものが挙げられる。中でも、イオン性液体としては、室温(25℃)より低い融点を有する塩、又は室温よりも高い融点を有していても他の溶融塩等と溶解することにより室温で液状化する塩が好ましい。このイオン性液体の具体例としては、以下に示したアニオン及びカチオン等が挙げられる。
【0050】
上記イオン性液体のカチオンとしては、例えば、アンモニウム、イミダゾリウム、オキサゾリウム、チアゾリウム、オキサジアゾリウム、トリアゾリウム、ピロリジニウム、ピリジニウム、ピペリジニウム、ピラゾリウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、トリアジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、カルバゾリウム、インドリウム、又はそれらの誘導体が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、複数種を混合して用いられてもよい。具体的には、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムあるいは1−エチル−3−メチルイミダゾリウム等が挙げられる。
【0051】
上記イオン性液体のアニオンとしては、AlClあるいはAlCl等の金属塩化物や、PF、BF、CFSO、N(CFSO、F(HF)あるいはCFCOO等のフッ素含有物イオンや、NO、CHCOO、C11COO、CHOSO、CHOSO、CHSO、CHSO、(CHO)PO、N(CN)あるいはSCN等の非フッ素化合物イオンや、ヨウ化物イオンあるいは臭化物イオン等のハロゲン化物イオンが挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、複数種を混合して用いられてもよい。中でも、このイオン性液体のアニオンとしては、ヨウ化物イオンが好ましい。
【0052】
また、電解質層には、光電変換素子の発電効率向上、耐久性向上等の目的で、非円環状糖類(特開2005−093313号公報)、ピリジン系化合物(特開2003−331936号公報)、尿素誘導体(特開2003−168493号公報)等を添加してもよい。
【0053】
上記の正電極としては、特に限定されず、例えば、光電極と同様の基板と透明電極と触媒層を順に積層したものを用いることができる。なお、上記の正電極の電極には、必ずしも透明性は必要でなく、チタンやタングステン等の耐食性のある金属やカーボン、グラファイト等の炭素材料やPEDOT/PSS等の導電性高分子も用いることができる。触媒層は、白金、カーボン、ポリチオフェンやポリアニリン等の導電性ポリマーを用いることができる。
【0054】
上記光電極と正電極とを貼り合せてセルを構成し、その内部に電解質液を保持するため、セル周辺部にシール部を形成する。シールを構成する材料としては、各種の接着剤や粘着剤が使用可能であるが、電解質液と反応せず、電解質液の溶媒に対して不活性な材料が必要であり、フィルム基板と密着性の良いシリコーン系やフッ素系の接着剤、粘着剤が好適に使用できる。また、アイオノマー樹脂フィルムによる熱融着も好適に使用される。
【0055】
本発明の色素増感太陽電池の製造方法としては、シアニン系有機色素及びインドリン骨格含有色素を含有する増感色素を多段階に金属酸化物多孔質層に担持する工程を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、透明導電層が形成された基板の前記透明導電層上に、金属酸化物粒子からなる金属酸化物多孔質層を形成する工程、前記金属酸化物多孔質層にシアニン系有機色素を担持させる工程、及び、前記シアニン系有機色素を担持させた金属酸化物多孔質層に、インドリン骨格含有色素を担持させる工程を有する製造方法によって製造することができる。このような色素増感太陽電池の製造方法もまた、本発明の1つである。
【0056】
本発明の色素増感太陽電池の製造方法では、まず、透明導電層が形成された基板の前記透明導電層上に、金属酸化物多孔質層を形成する工程を行う。具体的には、酸化亜鉛微粒子を溶媒、バインダーに混合分散してペーストを作製した後、透明導電層上に印刷し、溶媒を乾燥させる方法等が挙げられる。
また、亜鉛塩及びテンプレート化合物を含有する電析液中に透明電極を形成した基板を浸漬し、作用極に透明電極、対向極に亜鉛を配置し、酸素をバブリングしながら参照電極に対して負の定電圧を印加する3電極法等が挙げられる。
【0057】
上記亜鉛塩としては、特に限定されず、例えば、ZnCl、ZnBr、ZnI等が挙げられる。上記亜鉛塩の電析液中の濃度の好ましい下限は1mM/L、好ましい上限は50mM/Lである。1mM/L未満であると、充分な酸化亜鉛緻密層用薄膜及び酸化亜鉛多孔質層用薄膜を形成できないことがあり、50mM/Lを超えると、亜鉛に対する酸素の供給が不充分となり亜鉛金属の析出が発生することがある。
【0058】
上記テンプレート化合物とは、亜鉛塩とともに電析液中に添加し、電析成膜することによって、金属酸化物多孔質層の内部表面に吸着され、かつ、所定の脱着手段によって脱着可能な化合物のことをいう。上記テンプレート化合物は、上述の性質を有し、亜鉛塩の水溶液等の電析液に溶解しやすいものであれば特に限定されないが、電気化学的に還元性を有する芳香族化合物のようなπ電子を有する有機化合物が好適である。特に、有機色素であるキサンテン系色素が好適であり、具体的には例えば、エオシンY、エリスロシンY、フロキシンB、ローズベンガル、ローダミンB等が挙げられる。
【0059】
上記亜鉛塩とテンプレート化合物とを含有する電析液には、上記亜鉛塩及びテンプレート化合物に加えて、凝集防止等を目的として、界面活性剤等の適当な添加剤を配合してもよい。
本発明では、次いで、テンプレート化合物を脱着することにより、金属酸化物多孔質層を形成する。上記テンプレート化合物を脱着する方法としては特に限定されず、使用するテンプレート化合物によって種々の方法を用いることができる。具体的には例えば、テンプレート化合物がカルボキシル基、スルホン酸基又はリン酸基等のアンカー基を有する化合物である場合、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ溶液を用いて洗浄することによってテンプレート化合物の脱着を行うことができる。
【0060】
本発明では、上記金属酸化物多孔質層にシアニン系有機色素を担持させる工程、及び、上記シアニン系有機色素を担持させた金属酸化物多孔質層に、インドリン骨格含有色素を担持させる工程を行うことが好ましい。
【0061】
これらの工程において、シアニン系有機色素としては、上記一般式(1)に示す構造を有するシアニン系有機色素を用いることが好ましい。
また、上記インドリン骨格含有色素としては、長鎖アルキルの末端に結合基をもつインドリン骨格含有色素を用いることが好ましく、特に、上記一般式(2)に示す構造を有するインドリン骨格含有色素を用いることが好ましい。通常、有機色素を担持させた後に、他の異なる有機色素を担持させることは困難であるが、上記一般式(2)に示す構造を有するインドリン骨格含有色素は、長鎖アルキル末端に結合基を有することで、前工程で担持させた増感色素(シアニン系有機色素)の特性を阻害せずに好適に担持させることができる。
【0062】
上記増感色素を担持させる方法としては、例えば、上記増感色素を含有する溶液に、上記金属酸化物多孔質層が形成された樹脂フィルム基板を浸漬した後、乾燥を行い、この方法を担持する回数に応じて繰り返す方法等が挙げられる。
【0063】
上記増感色素を含有する溶液の濃度は、0.05〜3.0mMが好ましく、0.1〜1.0mMがより好ましい。上記濃度が0.05mM未満であると、色素担持量が少なくなり、充分な特性が得られないことがあり、3.0mMを超えると、増感色素が凝集吸着する恐れがある。
【0064】
上記色素を含有する溶液に用いる溶媒としては、色素を溶解することができ、基板を劣化させないものであれば特に限定されず、例えば、エタノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル等のエーテル類、アセトニトリル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。なかでも、エタノール、ブタノールとアセトニトリルの混合溶媒が好ましい。
【発明の効果】
【0065】
本発明では、金属酸化物多孔質層に、シアニン系有機色素を有する2種以上の有機色素を多段階に担持することにより、金属錯体色素を用いずに、光吸収波長範囲を大幅に拡大させることが可能となり、高い光電変換特性を有する色素増感太陽電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】本発明の色素増感太陽電池の一例を示す模式図である。
図2】本発明の色素増感太陽電池の一例を示す拡大模式図である。
図3】実施例1、比較例1及び比較例2で得られた色素増感太陽電池セルの量子効率(IPCE)測定グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下に本発明の実施例を挙げて更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0068】
(実施例1)
(酸化亜鉛多孔質層形成工程)
透明樹脂基板としてPENフィルム(帝人デュポン社製、厚み200μm)を用い、その上に、DCスパッタリング法によってITO透明電極を形成した。DCスパッタリング法の条件は、アルゴンガス流量50sccm、酸素ガス流量1.5sccm、電圧370V、電流2Aとし、20分間成膜した。なお、得られたITO透明電極の表面抵抗は21Ω/□であった。
次に、酸化亜鉛微粒子(テイカ社製、MZ−500、平均粒子径25nm)を溶媒テルピネオールとバインダーエチルセルロースに混合分散してペーストを作製した後、ITO透明電極上にスクリーン印刷し、溶媒を乾燥させた。ここではφ6mmの円を15面並べたパターンでスクリーン印刷を行い、溶媒の乾燥は100℃、30分で行った。得られた酸化亜鉛多孔質層の厚みは10μmであった。また、空孔率は61.3%であった。
60℃の温水に10分間浸漬した後に、100℃30分で乾燥させて温水処理を行った。その後、低圧水銀ランプで紫外線(波長254nm)洗浄を行った。
【0069】
(増感色素担持工程)
次いで、下記一般式(3)に示すシアニン系有機色素1(ADEKA社製、青色色素、吸収ピーク680nm)をエタノール溶媒に溶解させることで、0.2mMの第1色素溶液を作製し、酸化亜鉛多孔質層を形成した基板を第1色素溶液に120分間浸漬することで、酸化亜鉛多孔質層に第1色素を担持した。
その後、下記一般式(4)に示すインドリン骨格含有色素1(ケミクレア社製、赤色色素、吸収ピーク540nm)及びコール酸をt−ブタノールとアセトニトリルの1:1混合溶媒に溶解させることで、インドリン骨格含有色素1 0.2mM、コール酸0.4mMの第2色素溶液を作製し、酸化亜鉛多孔質層を形成した基板を第2色素溶液に120分間浸漬することで、酸化亜鉛多孔質層に第2色素を担持することで、光電極を作製した。
【0070】
【化6】
【0071】
【化7】
【0072】
(増感色素担持状態の確認)
増感色素を担持した酸化亜鉛多孔質層について、分光測色計(CM−3600d、コニカミノルタ社製)を用いて色度(a)を測定した後、更に、N,N−ジメチルアセトアミドに30時間浸漬した後の色度(a)を測定し、色度差(Δa)を算出した。得られた色度差(Δa)から、赤色色素の脱離の程度を確認することにより、増感色素担持状態を評価した。
その結果、実施例1の(増感色素担持工程)で得られた酸化亜鉛多孔質層では、色度差(Δa)が−17.64であり、色度(a)が著しく低下していることから、赤色色素の脱離現象が見られた。このことから、得られた酸化亜鉛多孔質層は、インドリン骨格含有色素1がシアニン系有機色素1よりも外側に担持されており、粒子表面において、シアニン系有機色素1がインドリン骨格含有色素1よりも高い濃度で存在しているものと判断された。
また、増感色素を担持した酸化亜鉛多孔質層について、SEMのエネルギー分散型X線分析(EDX)によって、酸化亜鉛多孔質層界面からの距離(深さ)別の元素分析を行うことにより、インドリン骨格含有色素のインドリン骨格に含まれるイオウ元素の割合を酸化亜鉛多孔質層の深さ毎に調べた。その結果、酸化亜鉛多孔質層の界面付近(外側)でイオウ元素が相対的に多く検出され、界面からの距離が大きい部分(内側)ではイオウ元素が相対的に少なく検出されることがわかった。これにより、インドリン骨格含有色素が酸化亜鉛多孔質層の外側に多く、多孔質層の内側になる酸化亜鉛粒子表面では少なく存在していることがわかる。この結果からも、酸化亜鉛粒子表面では、他方のシアニン系有機色素1がこのインドリン骨格含有色素1に較べてより高い濃度で存在していると判断された。
【0073】
(色素増感太陽電池セルの組立)
得られた光電極に、UV硬化接着剤(スリーボンド社製、TB3035B)を、酸化亜鉛多孔質層を囲む所定のパターンで印刷した。
これとは別に、正電極を作製した。具体的には、PENフィルムにITO電極を成膜したものに、白金触媒層をDCスパッタリング法により成膜した。成膜条件は、アルゴンガス流量30sccm、電圧560V、電流2.8Aで1分間成膜した。なお、表面抵抗は7Ω/□であった。この基板を所定の形状にカットして正電極を作製した。
得られた光電極の酸化亜鉛多孔質層に所定量の電解液(ヨウ素0.1mol/L、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオダイド1.0mol/L、溶媒としてイミダゾリウム塩のイオン液体(第一工業製薬社製、IL120)含有)をマイクロピペットで滴下した後に、得られた正電極を貼り合せることにより、大きさ35×35mm、発電部φ8mmの色素増感太陽電池セルを製造した。
【0074】
(実施例2)
実施例1の(増感色素担持工程)において、インドリン骨格含有色素1に代えて、下記式(5)に示すインドリン骨格含有色素2(D131、ケミクレア社製、吸収ピーク440nm)を用いた以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池セルを製造した。
【0075】
【化8】
【0076】
(実施例3)
実施例1の(増感色素担持工程)において、シアニン系有機色素1及びインドリン骨格含有色素1をt−ブタノールとアセトニトリルの1:1混合溶媒に溶解することにより、シアニン系有機色素1が0.2mM、インドリン骨格含有色素1が0.2mMの混合溶液を調製した後、酸化亜鉛多孔質層を形成した基板を混合溶液に120分間浸漬することで、酸化亜鉛多孔質層に増感色素を担持させた以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池セルを製造した。
【0077】
(増感色素担持状態の確認)
実施例1と同様にして増感色素担持状態の確認を行った。
その結果、実施例3で得られた酸化亜鉛多孔質層は、色度差(Δa)が−16.95であり、色度(a)が著しく低下していることから、赤色色素の脱離現象が見られた。このことから、得られた酸化亜鉛多孔質層は、インドリン骨格含有色素1がシアニン系有機色素1よりも外側に担持されており、粒子表面において、シアニン系有機色素1がインドリン骨格含有色素1よりも高い濃度で存在しているものと判断された。
また、実施例1と同様に、SEMのエネルギー分散型X線分析(EDX)によって、酸化亜鉛多孔質層の深さ方向に対する、インドリン骨格含有色素に含まれるイオウ元素の元素分析を行うことで、インドリン骨格含有色素が酸化亜鉛多孔質層の外側で多く、内側に少ないことを確認した。この結果からも、酸化亜鉛粒子表面では他方のシアニン系有機色素1が相対的に高い濃度で分布していると判断された。
【0078】
(実施例4)
実施例1の(増感色素担持工程)において、シアニン系有機色素1に代えて、下記式(6)に示す構造を有するシアニン系有機色素2(ADEKA社製、吸収ピーク680nm)を用いた以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池セルを製造した。
【0079】
【化9】
【0080】
(比較例1)
実施例1の(増感色素担持工程)において、酸化亜鉛多孔質層にシアニン系有機色素1のみを担持させ、インドリン骨格含有色素1を担持させなかった以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池セルを製造した。
【0081】
(比較例2)
実施例1の(増感色素担持工程)において、酸化亜鉛多孔質層にインドリン骨格含有色素1のみを担持させ、シアニン系有機色素1を担持させなかった以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池セルを製造した。
【0082】
(比較例3)
実施例1の(増感色素担持工程)において、以下の工程で増感色素を担持した以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池セルを製造した。
【0083】
インドリン骨格含有色素1(ケミクレア社製)及びコール酸をt−ブタノールとアセトニトリルの1:1混合溶媒に溶解させることで、インドリン骨格含有色素1 0.2mM、コール酸0.4mMの第1色素溶液を作製し、酸化亜鉛多孔質層を形成した基板を第1色素溶液に120分間浸漬することで、酸化亜鉛多孔質層に第1色素を担持した。
その次に、シアニン系有機色素1(ADEKA社製)をエタノール溶媒に溶解させることで、0.2mMの第2色素溶液を作製し、酸化亜鉛多孔質層を形成した基板を第2色素溶液に120分間浸漬することで、酸化亜鉛多孔質層に第2色素を担持することで、光電極を作製した。
【0084】
(増感色素担持状態の確認)
実施例1と同様にして増感色素担持状態の確認を行った。
その結果、比較例3で得られた酸化亜鉛多孔質層は、色度差(Δa)が15.27であり、色度(a)が著しく増加していることから、赤色色素の脱離減少は見られず、青色色素の脱離現象が想定される。このことから、得られた酸化亜鉛多孔質層は、シアニン系有機色素1がインドリン骨格含有色素1よりも外側に担持されており、粒子表面において、インドリン骨格含有色素1がシアニン系有機色素1よりも高い濃度で存在しているものと判断された。
また、実施例1と同様に、SEMのエネルギー分散型X線分析(EDX)によって、酸化亜鉛多孔質層の深さ方向に対する、インドリン骨格含有色素に含まれるイオウ元素の元素分析を行うことで、インドリン骨格含有色素が酸化亜鉛多孔質層の外側で少なく、内側に多いことを確認した。この結果からも、酸化亜鉛粒子表面ではインドリン骨格含有色素1が相対的に高い濃度で分布していると判断された。
【0085】
(比較例4)
実施例2の(増感色素担持工程)において、酸化亜鉛多孔質層にインドリン骨格含有色素2のみを担持させ、シアニン系有機色素1を担持させなかった以外は、実施例2と同様にして色素増感太陽電池セルを製造した。
【0086】
(比較例5)
実施例4の(増感色素担持工程)において、酸化亜鉛多孔質層にシアニン系色素のシアニン系有機色素2のみを担持させ、インドリン骨格含有色素1を担持させなかった以外は、実施例4と同様にして色素増感太陽電池セルを製造した。
【0087】
(評価)
以下の手順で評価を行った。結果を表1に示した。
【0088】
(1)光電変換特性
実施例及び比較例において得られた色素増感太陽電池セルについて、光源強度が1SUN(100mW/cm)であるソーラーシミュレーターを用いて光電変換特性(開放電圧Voc、短絡電流Jsc、曲線因子FF、変換効率η)を測定した。
また、実施例1、比較例1及び比較例2で得られた色素増感太陽電池セルについて、分光感度特性測定装置を用いて、量子効率(IPCE)を測定した。結果を図3に示す。なお、参考までにシアニン系有機色素1を単独で担持した場合(比較例1)、及び、インドリン骨格含有色素1を単独で担持した場合(比較例2)のIPCEを併記した。
【0089】
【表1】
【0090】
表1に示すように、実施例1〜4で得られた色素増感太陽電池セルは、高い光電変換効率が得られた。また、実施例1で得られた色素増感太陽電池の量子効率の波長依存性は、各増感色素単独の場合を加算的に合成した以上の高い量子効率になっており、銀塩写真の技術に使用される強色効果(又は超色効果)が得られることが分かる。
これに対して、比較例1〜5で得られた色素増感太陽電池セルは、セルの光電変換特性が不充分なものとなっていた。
特に、比較例3で得られた色素増感太陽電池セルの光電変換特性が低い理由は、インドリン骨格含有色素を先に担持させたことで、シアニン系有機色素の担持が妨げられ、その結果、金属酸化物粒子表面におけるインドリン骨格含有色素の濃度がシアニン系有機色素の濃度よりも高くなったためであると考えられる。
これに対して、実施例3で得られた色素増感太陽電池セルの光電変換特性が高い理由は、シアニン系有機色素が金属酸化物粒子表面に直接担持され、インドリン骨格含有色素が長鎖アルキル基を介して金属酸化物粒子表面に担持されることで、金属酸化物粒子表面におけるシアニン系有機色素の濃度がインドリン骨格含有色素の濃度よりも高くなったためであると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明によれば、金属錯体色素を用いずに、光吸収波長範囲を大幅に拡大させることが可能となり、優れた光電変換特性を実現することが可能な色素増感太陽電池及び色素増感太陽電池の製造方法を提供できる。
【符号の説明】
【0092】
1 透明基板
2 透明電極
5 金属酸化物多孔質層
6 色素担持金属酸化物粒子
7 金属酸化物粒子
8 シアニン系有機色素
9 インドリン骨格含有色素
10 電解質溶液
11 シール
12 正電極
図1
図2
図3