特許第6056752号(P6056752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6056752
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】液晶配向剤及びそれを用いた液晶配向膜
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20161226BHJP
   C08L 79/08 20060101ALI20161226BHJP
   C08K 5/42 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   G02F1/1337 525
   C08L79/08 A
   C08K5/42
【請求項の数】10
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2013-507818(P2013-507818)
(86)(22)【出願日】2012年3月30日
(86)【国際出願番号】JP2012058693
(87)【国際公開番号】WO2012133829
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年3月26日
(31)【優先権主張番号】特願2011-78688(P2011-78688)
(32)【優先日】2011年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090918
【弁理士】
【氏名又は名称】泉名 謙治
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(72)【発明者】
【氏名】野口 勇歩
(72)【発明者】
【氏名】作本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】飯沼 洋介
(72)【発明者】
【氏名】堀 隆夫
【審査官】 高松 大
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−087017(JP,A)
【文献】 特開平07−319162(JP,A)
【文献】 特開平07−138479(JP,A)
【文献】 特開2011−100032(JP,A)
【文献】 特開2007−248622(JP,A)
【文献】 特開2003−076012(JP,A)
【文献】 特開2003−322860(JP,A)
【文献】 特開2007−206241(JP,A)
【文献】 特開2008−250189(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/010635(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
C08K 5/42
C08L 79/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種類の重合体、下記式(2)で表されるスルホン酸エステルと、有機溶媒とを含有することを特徴とする液晶配向剤。
【化1】
(式(1)において、Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基であり、Rは水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基であり、A及びAそれぞれ独立して水素原子、又は置換基を有してもよい炭素数1〜10を有する、アルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基である。)
【化2】
(式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭素数1〜30の1価の有機基であり、RとRが互いに結合し環構造を形成してもよい。)
【請求項2】
前記スルホン酸エステルの含有量が前記重合体100質量部に対して0.01質量部〜30質量部である請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項3】
が置換基を有してよいメチル基である請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
【請求項4】
がメチル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【請求項5】
前記スルホン酸エステルが、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、又はトリフルオロメタンスルホン酸エチルである請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
【請求項6】
前記重合体の重量平均分子量が、5,000〜300,000である請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【請求項7】
前記重合体の含有量が、有機溶媒に対して0.5質量%〜20質量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶配向剤を塗布、焼成し、得られる被膜に、偏光させた放射線を照射する液晶配向膜の製造方法
【請求項10】
請求項8に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向膜を作製するための液晶配向剤、及びこの液晶配向剤から得られる液晶配向膜に関する。詳しくは、直流電圧による残留電荷の緩和速度の早い液晶表示素子が得られる液晶配向膜、及び液晶配向膜を得るための液晶配向剤を提供することにある。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビ、液晶ディスプレイなどに用いられる液晶表示素子は、通常、液晶の配列状態を制御するための液晶配向膜が素子内に設けられている。液晶配向膜としては、これまで、ポリアミック酸(ポリアミド酸)などのポリイミド前駆体や可溶性ポリイミドの溶液を主成分とする液晶配向剤をガラス基板等に塗布し焼成したポリイミド系の液晶配向膜が主として用いられている。
【0003】
液晶表示素子の高精細化に伴い、液晶表示素子のコントラスト低下の抑制や残像現象の低減といった要求から、液晶配向膜においては、優れた液晶配向性や安定したプレチルト角の発現に加えて、高い電圧保持率、交流駆動により発生する残像の抑制、直流電圧を印加した際の少ない残留電荷、及び/又は直流電圧による蓄積した残留電荷の早い緩和といった特性が次第に重要となっている。
【0004】
ポリイミド系の液晶配向膜においては、上記のような要求にこたえるために、種々の提案がなされてきている。例えば、直流電圧によって発生する残像が消えるまでの時間の短い液晶配向膜として、ポリアミド酸やイミド基含有ポリアミド酸に加えて、特定構造の3級アミンを含有する液晶配向剤を使用したもの(例えば、特許文献1参照)や、ピリジン骨格などを有する特定ジアミン化合物を原料に使用した可溶性ポリイミドを含有する液晶配向剤を使用したもの(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
【0005】
また、電圧保持率が高く、かつ直流電圧によって発生した残像が消えるまでの時間が短い液晶配向膜として、ポリアミド酸やそのイミド化重合体などに加えて、分子内に1個のカルボン酸基を含有する化合物、分子内に1個のカルボン酸無水物基を含有する化合物及び分子内に1個の3級アミノ基を含有する化合物から選ばれる化合物を極少量含有する液晶配向剤を使用したもの(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本特開平9−316200号公報
【特許文献2】日本特開平10−104633号公報
【特許文献3】日本特開平8−76128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、液晶ディスプレイの残像を抑制する手法は種々検討されている。しかし、近年では大画面で高精細の液晶テレビが主体となり、残像に対する要求はより厳しくなり、且つ過酷な使用環境での長期使用に耐えうる特性が要求されるようになってきている。本発明は、上記の事情によりなされたものであり、その目的は、直流電圧による残留電荷の緩和時間が早い液晶表示素子を作製できる液晶配向膜、及び該配向膜を得るための液晶配向剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者の研究によると、ポリイミド前駆体及び/又は該ポリイミド前駆体のイミド化重合体とともに、特定のスルホン酸エステルを特定量含有する液晶配向剤から形成された液晶配向膜は、他の特性を損なうことなく、直流電圧による残留電荷の緩和時間を早めた液晶表示素子を得ることができるという新たな知見を得た。
【0009】
本発明は、かかる知見に基づくものであり、下記の要旨を有する。
1.下記式(1)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種類の重合体と、下記式(2)で表されるスルホン酸エステルと、有機溶媒とを含有することを特徴とする液晶配向剤。
【化1】
(式(1)において、Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基であり、Rは水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基であり、A及びAそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有してもよい炭素数1〜10を有する、アルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基である。)
【化2】
(式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭素数1〜30の1価の有機基であり、RとRが互いに結合し環構造を形成してもよい。)
【0010】
2.前記スルホン酸エステルの含有量が前記重合体100質量部に対して0.01質量部〜30質量部である上記1に記載の液晶配向剤。
3.Rが置換基を有してよいメチル基である上記1又は2に記載の液晶配向剤。
4.Rがメチル基である上記1〜3のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
5.前記スルホン酸エステルが、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、又はトリフルオロメタンスルホン酸エチルである上記1又は2に記載の液晶配向剤。
6.前記重合体の重量平均分子量が、5,000〜300,000である上記1〜5のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
7.前記重合体の含有量が、有機溶媒に対して0.5質量%〜20質量%である上記1〜6のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
8.上記1〜7のいずれか1項に記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜。
9.上記1〜7のいずれか1項に記載の液晶配向剤を塗布、焼成し、得られる被膜に、偏光させた放射線を照射する液晶配向膜の製造方法。
10.上記8に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。

【発明の効果】
【0011】
本発明による、ポリイミド前駆体及び/又は該ポリイミド前駆体のイミド化重合体とともに、特定のスルホン酸エステルを特定量含有する液晶配向剤から形成された液晶配向膜は、液晶表示素子の直流電圧による残留電荷の緩和時間を早めることができ、優れた液晶配向性や安定したプレチルト角の発現などとともに、優れた液晶表示素子が提供される。
【0012】
本発明の液晶配向剤により上記の効果が得られるメカニズムは、必ならずしも明確ではないが概ね次のように考えられる。本発明の液晶配向剤に含有される上記式(2)のスルホン酸エステルが存在した場合、液晶配向剤のポリイミド前駆体及び/又は該ポリイミド前駆体のイミド化重合体の有するカルボキシル基、又はアミノ基と反応し、下記式(3)で表されるアニオンを生成する。
【化3】
この式(3)で表されるアニオンが、液晶配向剤の塗膜を焼成して形成される液晶配向膜中に存在することにより、得られる液晶配向膜の比抵抗が低下し、かつ、液晶表示素子の直流電圧による残留電荷の緩和速度を向上させる効果が発現するものと考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<ポリイミド前駆体>
本発明に用いられるポリイミド前駆体は、加熱、又はイミド化触媒と反応させることによって下記に示すイミド化反応が可能な部位を有するポリマーである。下記式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5、好ましくは1〜2のアルキル基を表す。
【化4】
【0014】
また、本発明に用いられるイミド化重合体は、上記ポリイミド前駆体を加熱、又はイミド化触媒と反応させることによって得られる重合体である。
本発明の液晶配向剤が含有するポリイミド前駆体は、下記式(1)で表される構造単位を有する重合体である。
【化5】
【0015】
上記式(1)において、R1は、水素原子、又は炭素数1〜5、好ましくは1〜2のアルキル基である。Rがアルキル基の場合、アルキル基における炭素数が増えるに従ってイミド化が進行する温度が高くなる。そのため、R1は、熱によるイミド化のしやすさの観点から、水素原子、又はメチル基が特に好ましい。式(1)において、A及びAはそれぞれ独立して水素原子、又は置換基を有してもよい炭素数1〜10の、アルキル基、アルケニル基、若しくはアルキニル基である。上記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロヘキシル基などが挙げられる。アルケニル基としては、上記のアルキル基に存在する1つ以上のCH−CH構造を、C=C構造に置き換えたものが挙げられる。より具体的には、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。アルキニル基としては、前記のアルキル基に存在する1つ以上のCH−CH構造をC≡C構造に置き換えたものが挙げられ、より具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基などが挙げられる。
【0016】
上記のアルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基は、全体として炭素数が1〜10であれば置換基を有していてもよく、更には置換基によって環構造を形成してもよい。なお、置換基によって環構造を形成するとは、置換基同士又は置換基と母骨格の一部とが結合して環構造となることを意味する。
【0017】
この置換基の例としてはハロゲン基、水酸基、チオール基、ニトロ基、アリール基、オルガノオキシ基、オルガノチオ基、オルガノシリル基、アシル基、エステル基、チオエステル基、リン酸エステル基、アミド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基を挙げることができる。
置換基であるハロゲン基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
置換基であるアリール基としては、フェニル基が挙げられる。このアリール基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
【0018】
置換基であるオルガノオキシ基としては、O−Rで表される構造を示すことができる。このRは同一でも異なってもよく、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。オルガノオキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基などが挙げられる。
【0019】
置換基であるオルガノチオ基としては、−S−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。オルガノチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基などが挙げられる。
【0020】
置換基であるオルガノシリル基としては、−Si−(R)で表される構造を示すことができる。このRは同一でも異なってもよく、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。オルガノシリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリブチルシリル基、トリペンチルシリル基、トリヘキシルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基などが挙げられる。
【0021】
置換基であるアシル基としては、−C(O)−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。アシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ベンゾイル基などが挙げられる。
【0022】
置換基であるエステル基としては、−C(O)O−R、又は−OC(O)−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるチオエステル基としては、−C(S)O−R、又は−OC(S)−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。
【0023】
置換基であるリン酸エステル基としては、−OP(O)−(OR)2で表される構造を示すことができる。このRは同一でも異なってもよく、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアミド基としては、−C(O)NH、又は、−C(O)NHR、−NHC(O)R、−C(O)N(R)、−NRC(O)Rで表される構造を示すことができる。このRは同一でも異なってもよく、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。
【0024】
置換基であるアリール基としては、前述したアリール基と同じものを挙げることができる。このアリール基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアルキル基としては、前述したアルキル基と同じものを挙げることができる。このアルキル基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアルケニル基としては、前述したアルケニル基と同じものを挙げることができる。このアルケニル基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアルキニル基としては、前述したアルキニル基と同じものを挙げることができる。このアルキニル基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
【0025】
一般に、嵩高い構造を導入すると、アミノ基の反応性や液晶配向性を低下させる可能性があるため、A及びAとしては、水素原子、又は置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
【0026】
上記式(1)において、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基である。Xは4価の有機基であり、特に限定されるものではない。ポリイミド前駆体中、Xは、2種類以上が混在していてもよい。Xの具体例を示すならば、以下に示すX−1〜X−46が挙げられる。なかでも、モノマーの入手性から、Xは、X−1、X−2、X−3、X−4、X−5、X−6、X−8、X−16、X−19、X−21、X−25、X−26、X−27、X−28又はX−32が好ましい。
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
【化9】
【0031】
また、式(1)において、Yは2価の有機基であり、特に限定されるものではない。ポリイミド前駆体中、Yは、2種類以上が混在していてもよい。Yの具体例を示すと、下記のY−1〜Y−113が挙げられる。
なかでも、良好な液晶配向性を得るためには、直線性の高いジアミンをポリアミック酸エステルに導入することが好ましく、その場合のYとしては、Y−7、Y−10、Y−11、Y−12、Y−13、Y−21、Y−22、Y−23、Y−25、Y−26、Y−27、Y−41、Y−42、Y−43、Y−44、Y−45、Y−46、Y−48、Y−61、Y−63、Y−64、Y−71、Y−72、Y−73、Y−74、Y−75、Y−98、Y−100、Y−101、Y−102、Y−103、Y−0104、Y−105、Y−106、Y−107、Y−108、Y−109、又はY−110のジアミンがより好ましい。
【0032】
また、プレチルト角を高くしたい場合は、側鎖に長鎖アルキル基、芳香族環、脂肪族環、ステロイド骨格、又はこれらを組み合わせた構造を有するジアミンをポリアミック酸エステルに導入することが好ましく、その場合のYとしては、Y−76、Y−77、Y−78、Y−79、Y−80、Y−81、Y−82、Y−83、Y−84、Y−85、Y−86、Y−87、Y−88、Y−89、Y−90、Y−91、Y−92、Y−93、Y−94、Y−95、Y−96、又はY−97のジアミンがより好ましい。これらジアミンを全ジアミンの1〜50モル%添加することにより、任意のプレチルト角を発現させることができる。
【0033】
ポリイミド前駆体の体積抵抗率を低くすることで、直流電圧の蓄積による電荷の緩和速度をさらに早くすることができるため、ヘテロ原子を有する構造、多環芳香族構造、又はビフェニル骨格を有するジアミンをポリアミック酸に導入することが好ましく、その場合のYとしては、Y−19、Y−23、Y−25、Y−26、Y−27、Y−30、Y−31、Y−32、Y−33、Y−34、Y−35、Y−36、Y−40、Y−41Y−42、Y−44、Y−45、Y−49、Y−50、Y−51、Y−61、Y−110、Y−111、Y−112、又はY−113がより好ましい。
【0034】
【化10】
【0035】
【化11】
【0036】
【化12】
【0037】
【化13】
【0038】
【化14】
【0039】
【化15】
【0040】
【化16】
【0041】
【化17】
【0042】
【化18】
【0043】
【化19】
【0044】
【化20】
【0045】
【化21】
【0046】
【化22】
【0047】
【化23】
【0048】
【化24】
【0049】
【化25】
【0050】
【化26】
【0051】
【化27】
【0052】
【化28】
【0053】
<スルホン酸エステル>
本発明の液晶配向剤に含有されるスルホン酸エステルは、下記式(2)で表わされる。
【化29】
上記式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭素数1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の1価の有機基である。この有機基はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアリール基からなる群から選ばれ、R及びRで環構造を形成してもよい。
【0054】
上記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロヘキシル基などが挙げられる。アルケニル基としては、上記のアルキル基に存在する1つ以上のCH−CH構造を、C=C構造に置き換えたものが挙げられ、より具体的には、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。アルキニル基としては、前記のアルキル基に存在する1つ以上のCH−CH構造をC≡C構造に置き換えたものが挙げられ、より具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基などが挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基などが挙げられる。
【0055】
上記のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアリール基は、全体として炭素数が1〜20であれば置換基を有していてもよく、更には置換基によって環構造を形成してもよい。なお、置換基によって環構造を形成するとは、置換基同士又は置換基と母骨格の一部とが結合して環構造となることを意味する。
この置換基の例としてはハロゲン基、水酸基、チオール基、ニトロ基、オルガノオキシ基、オルガノチオ基、オルガノシリル基、アシル基、エステル基、チオエステル基、リン酸エステル基、アミド基、アリール基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基を挙げることができる。
【0056】
置換基であるハロゲン基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
置換基であるオルガノオキシ基としては、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基など−O−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。アルキルオキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ラウリルオキシ基などが挙げられる。
【0057】
置換基であるオルガノチオ基としては、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基など−S−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。アルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ラウリルチオ基などが挙げられる。
【0058】
置換基であるオルガノシリル基としては、−Si−(R)で表される構造を示すことができる。このRは同一でも異なってもよく、前述したアルキル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。アルキルシリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリブチルシリル基、トリペンチルシリル基、トリヘキシルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基などが挙げられる。
【0059】
置換基であるアシル基としては、−C(O)−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。アシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ベンゾイル基などが挙げられる。
【0060】
置換基であるエステル基としては、−C(O)O−R、又は−OC(O)−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるチオエステル基としては、−C(S)O−R、又は−OC(S)−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。
【0061】
置換基であるリン酸エステル基としては、−OP(O)−(OR)で表される構造を示すことができる。このRは同一でも異なってもよく、前述したアルキル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアミド基としては、−C(O)NH、−C(O)NHR、−NHC(O)R、−C(O)N(R)、又は−NRC(O)Rで表される構造を示すことができる。このRは同一でも異なってもよく、前述したアルキル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。
【0062】
置換基であるアリール基としては、前述したアリール基と同じものを挙げることができる。このアリール基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアルキル基としては、前述したアルキル基と同じものを挙げることができる。このアルキル基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアルケニル基としては、前述したアルケニル基と同じものを挙げることができる。このアルケニル基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアルキニル基としては、前述したアルキニル基と同じものを挙げることができる。このアルキニル基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
【0063】
スルホン酸エステルの分子量を小さくすることで、少ない添加量で効果が得られるために、上記式(2)においてRは、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基、又はフェニル基であることが好ましく、より好ましくは置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは置換基を有してよいメチル基である。
上記式(2)におけるRに置換してよい置換基としては、スルホン酸エステルより生成するアニオンの安定性を高めることができるという理由から、電子吸引性基であることが好ましい。電子吸引性基の具体的な例としては、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基などが挙げられ、より好ましくはハロゲン原子、更に好ましくはフッ素原子が挙げられる。
【0064】
また、上記式(2)におけるRは、上記と同様にスルホン酸エステルの分子量を小さくすることで、少ない添加量で効果が得られるという理由から、炭素数1〜4のアルキル基、又はフェニル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。
本発明に用いるスルホン酸エステルの好ましい具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸2,2,2−トリフルオロエチル、メタンスルホン酸2−メトキシエチル、プロパンスルトンが挙げられる。なかでも、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、又はトリフルオロメタンスルホン酸エチルがより好ましい。
【0065】
本発明の液晶配向剤におけるスルホン酸エステルの含有量は、少なすぎると効果が発現せず、過剰すぎてもその他の特性に悪影響を及ぼす可能性があるため、液晶配向剤のポリイミド前駆体及び/又は該ポリイミド前駆体のイミド化重合体からなる体重合体100質量部に対して0.01質量部〜30質量部が好ましく、より好ましくは0.1質量部〜10質量部であり、更に好ましくは0.1質量部〜5質量部である。
【0066】
<ポリアミック酸エステルの製造方法>
本発明のポリイミド前駆体がポリアミック酸エステルである場合、ポリアミック酸エステルは、下記式(4)〜(6)で表されるテトラカルボン酸誘導体のいずれかと、式(7)で表されるジアミン化合物との反応によって得ることができる。
【0067】
【化30】

(式中、X、Y、R、A及びAはそれぞれ上記式(1)中の定義と同じである。)
【0068】
上記式(1)で表されるポリイミド前駆体は、上記モノマーを用いて、以下に示す(1)〜(3)の方法で合成することができる。
(1)ポリアミック酸から合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンから得られるポリアミック酸をエステル化することによって合成することができる。
具体的には、ポリアミック酸とエステル化剤を有機溶剤の存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって合成することができる。
【0069】
エステル化剤としては、精製によって容易に除去できるものが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジプロピルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジネオペンチルブチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジ−t−ブチルアセタール、1−メチル−3−p−トリルトリアゼン、1−エチル−3−p−トリルトリアゼン、1−プロピル−3−p−トリルトリアゼン、4−(4,6−ジメトキシー1,3,5−トリアジンー2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドなどが挙げられる。エステル化剤の添加量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して、2〜6モル当量が好ましい。
【0070】
上記の反応に用いる溶媒は、ポリマーの溶解性からN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、又はγ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。合成時の濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
【0071】
(2)テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとの反応により合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンから合成することができる。
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとを塩基と有機溶剤の存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって合成することができる。
【0072】
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンなどが使用できるが、反応が穏和に進行するためにピリジンが好ましい。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという観点から、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドに対して、2〜4倍モルであることが好ましい。
上記の反応に用いる溶媒は、モノマー及びポリマーの溶解性からN−メチル−2−ピロリドン、又はγ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。合成時のポリマー濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。また、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドの加水分解を防ぐため、ポリアミック酸エステルの合成に用いる溶媒はできるだけ脱水されていることが好ましく、窒素雰囲気中で、外気の混入を防ぐのが好ましい。
【0073】
(3)テトラカルボン酸ジエステルとジアミンから合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを重縮合することにより合成することができる。
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを縮合剤、塩基、及び有機溶剤の存在下で0℃〜150℃、好ましくは0℃〜100℃において、30分〜24時間、好ましくは3〜15時間反応させることによって合成することができる。
【0074】
前記縮合剤には、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメトキシ−1,3,5−トリアジニルメチルモルホリニウム、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニルなどが使用できる。縮合剤の添加量は、テトラカルボン酸ジエステルに対して2〜3倍モルであることが好ましい。
【0075】
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミンなどの3級アミンが使用できる。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという観点から、ジアミン成分に対して2〜4倍モルが好ましい。
また、上記反応において、ルイス酸を添加剤として加えることで反応が効率的に進行する。ルイス酸としては、塩化リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化リチウムが好ましい。ルイス酸の添加量はジアミン成分に対して0〜1.0倍モルが好ましい。
【0076】
上記3つのポリアミック酸エステルの合成方法の中でも、高分子量のポリアミック酸エステルが得られるため、上記(1)又は上記(2)の合成法が特に好ましい。
上記のようにして得られるポリアミック酸エステルの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられる。
【0077】
<ポリアミック酸の製造方法>
本発明に用いられるポリイミド前駆がポリアミック酸である場合、該ポリアミック酸は、上記式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物と上記式(7)で表されるジアミン化合物との反応によって得ることができる。
具体的には、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを有機溶媒の存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜12時間反応させることによって合成できる。
【0078】
上記の反応に用いる有機溶媒は、モノマー及びポリマーの溶解性からN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、又はγ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。ポリマーの濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
【0079】
上記のようにして得られたポリアミック酸は、反応溶液をよく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させて回収することができる。また、析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥することで精製されたポリアミック酸の粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられる。
【0080】
<ポリイミドの製造方法>
本発明に用いられポリイミドは、前記ポリアミック酸エステル及び/又はポリアミック酸からなるポリイミド前駆体をイミド化することにより製造することができる。ポリアミック酸エステルからポリイミドを製造する場合、前記ポリアミック酸エステル溶液、又はポリアミック酸エステル樹脂粉末を有機溶媒に溶解させて得られるポリアミック酸溶液に塩基性触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の過程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
【0081】
化学的イミド化は、イミド化させたいポリアミック酸エステルを、有機溶媒中において塩基性触媒存在下で撹拌することにより行うことができる。有機溶媒としては前述した重合反応時に用いる溶媒を使用することができる。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。中でもトリエチルアミンは反応を進行させるのに充分な塩基性を持つので好ましい。
【0082】
イミド化反応を行うときの温度は、−20℃〜140℃、好ましくは0℃〜100℃であり、反応時間は1〜100時間で行うことができる。塩基性触媒の量はアミック酸エステル基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍である。得られる重合体のイミド化率は、触媒量、温度、反応時間を調節することで制御することができる。イミド化反応後の溶液には、添加した触媒等が残存しているので、以下に述べる手段により、得られたイミド化重合体を回収し、有機溶媒で再溶解して、本発明の液晶配向剤とすることが好ましい。
【0083】
ポリアミック酸からポリイミドを製造する場合、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応で得られた前記ポリアミック酸の溶液に触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の過程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
化学的イミド化は、イミド化させたい重合体を、有機溶媒中において塩基性触媒と酸無水物の存在下で攪拌することにより行うことができる。有機溶媒としては前述した重合反応時に用いる溶媒を使用することができる。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。また、酸無水物としては無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等を挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。
【0084】
イミド化反応を行うときの温度は、−20℃〜140℃、好ましくは0℃〜100℃であり、反応時間は1〜100時間で行うことができる。塩基性触媒の量はアミック酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量はアミック酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。得られる重合体のイミド化率は、触媒量、温度、反応時間を調節することで制御することができる。
ポリアミック酸エステル又はポリアミック酸のイミド化反応後の溶液には、添加した触媒等が残存しているので、以下に述べる手段により、得られたイミド化重合体を回収し、有機溶媒で再溶解して、本発明の液晶配向剤とすることが好ましい。
【0085】
上記のようにして得られるポリイミドの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、重合体を析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。
前記貧溶媒は、特に限定されないが、メタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。
【0086】
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、上記した式(1)で表わされるポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種類の重合体、上記した式(2)で表されるスルホン酸エステル、及び有機溶媒を含有する。本発明の液晶配向剤に含有される重合体としては、有機溶媒に対する溶解性の点から、ポリアミック酸エステル及び/又はポリアミック酸からなるポリイミド前駆体が好ましい。また、本発明に用いる重合体は2種類以上でもよい。
【0087】
本発明の液晶配向剤に含有される重合体の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜300,000であり、より好ましくは、10,000〜200,000である。また、数平均分子量は、好ましくは、2,500〜150,000であり、より好ましくは、5,000〜100,000である。本発明の液晶配向剤は、上記の重合体とスルホン酸エステルが有機溶媒中に溶解した溶液の形態であるのが好ましい。
【0088】
本発明の液晶配向剤における重合体及びスルホン酸エステルの含有量(濃度)は、形成させようとするポリイミド膜の厚みの設定によっても適宜変更することができるが、均一で欠陥のない塗膜を形成させるという点から、有機溶媒に対して、ポリマー成分の含有量は、0.5質量%〜以上が好ましく、溶液の保存安定性の点からは20質量%以下が好ましく、より好ましくは、1〜15質量%である。なお、この場合、予め、ポリマーの濃厚溶液を作製し、かかる濃厚溶液から液晶配向剤とする場合に希釈してもよい。かかるポリマー成分の濃厚溶液の濃度は10〜30質量%が好ましく、10〜15質量%がより好ましい。また、ポリマー成分の粉末を有機溶媒に溶解して溶液を作製する際に加熱してもよい。加熱温度は、20℃〜150℃が好ましく、20℃〜80℃が特に好ましい。
【0089】
本発明の液晶配向剤が含有する上記有機溶媒は、重合体及びスルホン酸エステルが均一に溶解するものであれば特に限定されない。その具体例を挙げるならば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。また、単独ではポリマー成分を均一に溶解できない溶媒であっても、ポリマーが析出しない範囲であれば、上記の有機溶媒に混合してもよい。
【0090】
本発明の液晶配向剤は、重合体及びスルホン酸エステルを溶解させるための有機溶媒の他に、液晶配向剤を基板へ塗布する際の塗膜均一性を向上させるための溶媒を含有してもよい。かかる溶媒には、一般的に上記有機溶媒よりも低表面張力の溶媒が用いられる。その具体例を挙げるならば、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステル等が挙げられる。これらの溶媒は2種類上を併用してもよい。
【0091】
本発明の液晶配向剤は、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、及びブチルセロソルブからなる群から選ばれる2種類以上の有機溶媒を含有するのが好ましく、N−メチル−2−ピロリドン及びブチルセロソルブを含有するのがさらに好ましく、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン及びブチルセロソルブを含有するのが特に好ましい。
【0092】
スルホン酸エステルは、上記の重合体の濃厚溶液若しくは希釈溶液に添加し、0℃〜100℃、好ましくは20℃〜50℃で撹拌し、液晶配向剤を調製することができる。撹拌時間は、1時間〜48時間が好ましく、1〜14時間がより好ましい。
本発明の液晶配向剤は、シランカップリング剤や架橋剤などの各種添加剤を含有してもよい。シランカップリング剤は、液晶配向剤が塗布される基板と、そこに形成される液晶配向膜との密着性を向上させる目的で添加される。
【0093】
<液晶配向膜>
本発明の液晶配向膜は、上記液晶配向剤を基板に塗布し、乾燥、焼成して得られる膜である。本発明の液晶配向剤を塗布する基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板、アクリル基板、ポリカーボネート基板等のプラスチック基板等を用いることができ、液晶駆動のためのITO電極等が形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の観点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極はアルミニウム等の光を反射する材料も使用できる。
【0094】
本発明の液晶配向剤の塗布方法としては、スピンコート法、印刷法、インクジェット法などが挙げられる。本発明の液晶配向剤を塗布した後の乾燥、焼成工程は、任意の温度と時間を選択することができる。通常は、含有される有機溶媒を十分に除去するために50℃〜120℃で1分〜10分乾燥させ、その後150℃〜300℃で5分〜120分焼成される。焼成後の塗膜の厚みは、特に限定されないが、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、5〜300nm、好ましくは10〜200nmである。
【0095】
得られた液晶配向膜を配向処理する方法としては、ラビング法、光配向処理法などが挙げられる。
光配向処理法の具体例としては、前記塗膜表面に、一定方向に偏向した放射線を照射し、場合によってはさらに150〜250℃の温度で加熱処理を行い、液晶配向能を付与する方法が挙げられる。放射線としては、100nm〜800nmの波長を有する紫外線及び可視光線を用いることができる。このうち、100nm〜400nmの波長を有する紫外線が好ましく、200nm〜400nmの波長を有するものが特に好ましい。また、液晶配向性を改善するために、塗膜基板を50〜250℃で加熱しつつ、放射線を照射してもよい。前記放射線の照射量は、1〜10,000mJ/cmが好ましく、100〜5,000mJ/cmが特に好ましい。上記のようにして作製した液晶配向膜は、液晶分子を一定の方向に安定して配向させることができる。
【実施例】
【0096】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、本実施例及び比較例で使用した化合物の略号、及び各特性の測定方法は、以下のとおりである。
1,3DMCBDE−Cl:ジメチル 1,3−ビス(クロロカルボニル)−1,3−ジメチルシクロブタン−2,4−ジカルボキシレート
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
GBL:ガンマブチロラクトン
BCS:ブチルセロソルブ
DAH−1:下記式(DAH−1)
【0097】
【化31】
【0098】
【化32】
【0099】
[粘度]
合成例において、ポリアミック酸エステル及びポリアミック酸溶液の粘度は、E型粘度計TVE−22H(東機産業社製)を用い、サンプル量1.1mL、コーンロータTE−1(1°34’、R24)、温度25℃で測定した。
【0100】
[分子量]
また、ポリアミック酸エステルの分子量はGPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド換算値として数平均分子量(以下、Mnとも言う。)と重量平均分子量(以下、Mwとも言う。)を算出した。
GPC装置:Shodex社製(GPC−101)
カラム:Shodex社製(KD803、KD805の直列)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(重量平均分子量(Mw) 約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(ピークトップ分子量(Mp)約12,000、4,000、1,000)。測定は、ピークが重なるのを避けるため、900,000、100,000、12,000、1,000の4種類を混合したサンプル、及び150,000、30,000、4,000の3種類を混合したサンプルの2サンプルを別々に測定した。
【0101】
[FFS駆動液晶セルの作製]
ガラス基板上に、第1層目に電極として形状の膜厚50nmのITO電極を、第2層目に絶縁膜として形状の膜厚500nmの窒化珪素を、第3層目に電極として櫛歯形状のITO電極(電極幅:3μm、電極間隔:6μm、電極高さ:50nm)を有するフリンジフィールドスィッチング(Fringe Field Switching:以下、FFSという)駆動用電極が形成されているガラス基板に、スピンコート塗布にて液晶配向剤を塗布した。80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、250℃の熱風循環式オーブンで60分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。この塗膜面に偏光紫外線の照射、又はラビング処理を施し、液晶配向膜付き基板を得た。また、対向基板として電極が形成されていない高さ4μmの柱状スペーサーを有するガラス基板にも、同様に塗膜を形成させ、配向処理を施した。
【0102】
上記、2枚の基板を一組とし、基板上にシール剤を印刷し、もう1枚の基板を、液晶配向膜面が向き合い配向方向が0°になるようにして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−2041(メルク社製)を注入し、注入口を封止して、FFS駆動液晶セルを得た。
[電荷緩和特性]
上記液晶セルを光源上に置き、V−T特性(電圧−透過率特性)を測定した後、±1.5V/60Hzの矩形波を印加した状態での液晶セルの透過率(Ta)を測定した。その後、±1.5V/60Hzの矩形波10分間印加した後、直流2Vを重畳し120分間駆動させた。 直流電圧を切り、再び±1.5V/60Hzの矩形波のみで0分、5分、10分、20分、60分駆動させた時の液晶セルの透過率(Tb)をそれぞれ測定し、各時間での透過率(Tb)と初期の透過率(Ta)の差(ΔT)から液晶表示素子内に残留した電圧により生じた透過率の差を算出した。
【0103】
(合成例1)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を5.89g(30.0mmol)取り、NMPを64.08g加えて、窒素を送りながら撹拌した。次に、反応容器内の液を撹拌しながらp−フェニレンジアミン(以下、p−PDAとも言う。)を3.04g(28.1mmol)添加し、更に固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸(PAA−1)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は171mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=12373、Mw=28957であった。
【0104】
(合成例2)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸を3.65g(24.0mmol)及びDA−4を1.46g(6.0mmol)取り、NMPを55.74g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を5.83g(29.7mmol)添加し、更に固形分濃度が15質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸(PAA−2)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は264mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=11630、Mw=30056であった。
【0105】
(合成例3)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸を20.08g(132mmol)及びDA−4を21.33g(88.0mmol)取り、NMPを268.48g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を42.49g(217mmol)添加し、更に固形分濃度が20質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸(PAA−3)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は2156mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=18794、Mw=63387であった。
【0106】
(合成例4)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸を3.65g(24.0mmol)取り、NMPを8.99g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。次に、DA−4を1.46g(6.01mmol)取り、GBLを15.75g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物を4.16g(21.0mmol)添加し、水冷下で2時間撹拌した。次に、GBLを11.18g加え、ピロメリット酸二無水物を1.96g(9.0mmol)加えた。更に固形分濃度が20質量%になるようにGBLを加え、室温で24時間撹拌した。得られたポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は1904mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=8509、Mw=16774であった。
更にこの溶液に3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランを0.03g加え、室温で24時間攪拌し、ポリアミック酸溶液(PAA−4)を得た。
【0107】
(合成例5)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、m−フェニレンジアミンを2.60g(24.0mmol)及びDA−4を1.45g(6.0mmol)取り、NMPを53.69g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらピロメリット酸二無水物を6.41g(39.4mmol)添加し、更に固形分濃度が15質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸(PAA−5)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は208mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=10671、Mw=22829であった。
【0108】
(合成例6)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを4.81g(24.0mmol)及びDA−5を1.56g(6.0mmol)取り、NMPを61.85g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を5.77g(29.4mmol)添加し、更に固形分濃度が15質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸(PAA−6)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は799mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=12569、Mw=27653であった。
【0109】
(合成例7)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸を3.65g(24.0mmol)及び2,6−ジアミノピリジンを0.66g(6.0mmol)取り、NMPを51.67g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を5.83g(29.7mmol)添加し、更に固形分濃度が15質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸(PAA−7)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は60mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=5090、Mw=7824であった。
【0110】
(合成例8)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、m−フェニレンジアミンを0.65g(6.0mmol)及びDA−6を1.57g(4.0mol)取り、NMPを35.29g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらピロメリット酸二無水物を2.14g(9.8mmol)添加し、更に固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸(PAA−8)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は219mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=15827、Mw=36626であった。
【0111】
(合成例9)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸を0.31g(2.0mmol)及び1,4−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジンを0.81g(3.0mmol)取り、NMPを33.70g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を0.97g(5.0mmol)添加し、更に固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸(PAA−9)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は375mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=14398、Mw=35294であった。
【0112】
(合成例10)
攪拌装置付きの300mL四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、m−フェニレンジアミンを1.51g(14.0mmol)及びDA−4を0.84g(3.5mol)入れ、NMPを115.36g、塩基としてピリジンを3.16g(40.0mmol)加え、攪拌して溶解させた。次にこのジアミン溶液を攪拌しながらジメチル 1,3−ビス(クロロカルボニル)シクロブタン−2,4−ジカルボキシレートを4.95g(16.7mmol)添加し、水冷下4時間反応させた。得られたポリアミック酸エステル溶液を607gの水に撹拌しながら投入し、析出した沈殿物をろ取し、続いて、607gの水で1回、607gのエタノールで1回、125gのエタノールで3回洗浄し、乾燥することでポリアミック酸エステル樹脂粉末を得た。
このポリアミック酸エステルの分子量はMn=5967、Mw=12346であった。
得られたポリアミック酸エステル樹脂粉末2.75gを100ml三角フラスコに取り、NMPを24.79g加え、室温で24時間撹拌し溶解させて、ポリアミック酸エステル溶液(PAE−1)を得た。
【0113】
(合成例11)
攪拌装置付きの300mL四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、3,5−ジアミノ安息香酸を2.01g(13.2mmol)及びDA−4を0.80g(3.3mol)入れ、NMPを120.31g、塩基としてピリジンを2.99g(37.9mmol)加え、攪拌して溶解させた。次にこのジアミン溶液を攪拌しながらジメチル 1,3−ビス(クロロカルボニル)シクロブタン−2,4−ジカルボキシレートを4.69g(15.8mmol)添加し、水冷下4時間反応させた。得られたポリアミック酸エステル溶液を633gの水に撹拌しながら投入し、析出した沈殿物をろ取し、続いて、633gの水で1回、633gのエタノールで1回、130gのエタノールで3回洗浄し、乾燥することでポリアミック酸エステル樹脂粉末を得た。
このポリアミック酸エステルの分子量はMn=6757、Mw=11827であった。
得られたポリアミック酸エステル樹脂粉末2.72gを100ml三角フラスコに取り、NMPを24.46g加え、室温で24時間撹拌し溶解させて、ポリアミック酸エステル溶液(PAE−2)を得た。
【0114】
(合成例12)
撹拌装置付きの300mL四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、p−フェニレンジアミンを2.01g(18.6mmol)、DA−4を1.12g(4.6mmol)を入れ、NMPを164.36g、塩基としてピリジンを4.21g(53.3mmol)加え、撹拌して溶解させた。次にこのジアミン溶液を撹拌しながら1,3DM−CBDE−Clを7.22g(22.2mmol)添加し、水冷下4時間反応させた。得られたポリアミック酸エステルの溶液を、865gの水に撹拌しながら投入し、析出した白色沈殿をろ取し、続いて865gの水で1回、865gのエタノールで1回、180gのエタノールで3回洗浄し、乾燥することで白色のポリアミック酸エステル樹脂粉末を得た。このポリアミック酸エステルの分子量はMn=14692、Mw=31251であった。
得られたポリアミック酸エステル樹脂粉末2.14gを50ml三角フラスコにとり、NMPを20.35g加え、室温で24時間撹拌し溶解させて、ポリアミック酸エステル溶液(PAE−3)を得た。
【0115】
(合成例13)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを5.40g(27.0mmol)及びDA−4を0.73g(3.0mmol)取り、NMPを65.23g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を6.66g(29.7mmol)添加し、更に固形分濃度が15質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は233mPa・sであった。
【0116】
次に100mlナス型フラスコに上記ポリアミック酸溶液を25.52g取り、NMPを37.53g加えて、固形分濃度6質量%とした。このポリアミック酸溶液に無水酢酸を16.93g、及びピリジンを7.91g加えて、50℃で3時間撹拌した。得られた反応溶液を、306gのメタノールに撹拌しながら投入し、析出した白色沈殿をろ取し、続いて306gのエタノールで2回、100gのエタノールで3回洗浄し、乾燥することで白色のポリイミド樹脂粉末を得た。このポリイミド樹脂のイミド化率は98%であった。また、このポリイミド樹脂の分子量はMn=10539、Mw=21428であった。
得られたポリイミド樹脂粉末2.32gを50ml三角フラスコにとり、NMPを20.92g加え、室温で24時間撹拌し溶解させて、ポリイミド溶液(SPI−1)を得た。
【0117】
(合成例14)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸を2.09g(13.7mmol)、DA−4を1.51g(6.2mmol)、DA−7を1.90g(5.0mmol)、及びNMPを41.22g加え、40℃で撹拌し溶解させた。次にこのジアミン溶液を撹拌しながら、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を4.79g(24.4mmol)を加え、40℃で24時間反応させ、ポリアミック酸溶液(PAA−10)を得た。このポリアミック酸の分子量はMn=15400、Mw=52600であった。
【0118】
(合成例15)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸を1.07g(7.0mmol)、DA−4を1.70g(7.0mmol)、DA−8を2.61g(6.0mmol)、及びNMPを27.37g加え、80℃で撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物を3.75g(15.0mmol)加えて、80℃で5時間反応させた。5時間後、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を0.95g(4.8mmol)、及びNMPを12.93g加え、40℃で6時間反応させ、ポリアミック酸溶液を得た。
【0119】
このポリアミック酸溶液20.0gにNMPを加えて、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸を4.04g、ピリジンを1.25g加え、100℃で3時間反応させた。この反応溶液を330gのメタノールに撹拌しながら投入し、析出した沈殿物をろ取し、続いて、150gのメタノールで2回洗浄し、乾燥することでポリイミド樹脂粉末を得た。このポリイミドのイミド化率は80%であった。このポリイミドの分子量は、Mn=19100、Mw=61600であった。
得られたポリイミド樹脂粉末5.02gを100ml三角フラスコに取り、NMPを33.60g加えて、室温で24時間撹拌し溶解させて、ポリイミド溶液(SPI−2)を得た。
【0120】
(合成例16)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、4,4’−ジアミノジフェニル−N−メチルアミンを0.43(2.0mmol)及び1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパンを2.07g(8.0mol)取り、NMPを37.68g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらピロメリット酸二無水物を2.05g(9.4mmol)添加し、更に固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸(PAA−11)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は214mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=17227、Mw=44964であった。
【0121】
(合成例17)
攪拌装置付きの300mL四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、p−フェニレンジアミンを2.81g(26.0mmol)、DA−1を1.10g(2.89mmol)入れ、NMPを51.99g、GBLを155.97g、塩基としてピリジンを5.16g(65.18mmol)加え、攪拌して溶解させた。次にこのジアミン溶液を攪拌しながらジメチル 1,3−ビス(クロロカルボニル)シクロブタン−2,4−ジカルボキシレートを8.83g(27.2mmol)添加し、水冷下4時間反応させた。4時間後、アクリロイルクロリドを0.75g(8.3mmol)加えて、水冷下で30分間反応させた。得られたポリアミド酸エステル溶液を905gの2−プロパノールに撹拌しながら投入し、析出した沈殿物をろ取し、続いて、448gの2−プロパノールで5回洗浄し、乾燥することでポリアミック酸エステル樹脂粉末を得た。
このポリアミック酸エステルの分子量はMn=15623、Mw=30510であった。
得られたポリアミック酸エステル樹脂粉末10.10gを100ml三角フラスコに取り、GBLを91.06g加え、室温で24時間撹拌し溶解させて、ポリアミック酸エステル溶液(PAE−4)を得た。
【0122】
(合成例18)
撹拌装置付きの300mL四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、p−PDAを2.03g(18.8mmol)、DA−3を1.23g(4.6mmol)入れ、NMPを167.80g、塩基としてピリジンを4.21g(53.3mmol)加え、撹拌して溶解させた。次にこのジアミン溶液を撹拌しながらジメチル 1,3−ビス(クロロカルボニル)シクロブタン−2,4−ジカルボキシレートを7.22g(22.2mmol)添加し、水冷下4時間反応させた。得られたポリアミック酸エステルの溶液を、885gの水に撹拌しながら投入し、析出した白色沈殿をろ取し、続いて、885gの水で1回、885gのエタノールで1回、220gのエタノールで3回洗浄し、乾燥することで白色のポリアミック酸エステル樹脂粉末を得た。このポリアミック酸エステルの分子量はMn=14116、Mw=27044であった。
得られたポリアミック酸エステル樹脂粉末7.26gを100ml三角フラスコに取り、GBLを65.35g加え、室温で24時間撹拌し溶解させて、ポリアミック酸エステル溶液(PAE−5)を得た。
【0123】
(合成例19)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの1L四つ口フラスコに、p−フェニレンジアミンを19.47g(180mmol)及びDA−2を4.47g(18.8mmol)取り、NMPを502.03g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を38.04g(194mmol)添加し、更に固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸(PAA−12)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は462mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=16976、Mw=43749であった。
【0124】
(合成例20)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸を3.65g(24.0mmol)取り、NMPを18.82g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。次に、DA−4を3.88g(16.0mmol)取り、GBLを18.81g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物を5.47g(27.6mmol)添加し、水冷下で2時間撹拌した。次に、GBLを4.71g加え、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物をを2.74g(12.2mmol)加えた。更に固形分濃度が25質量%になるようにGBLを加え、室温で24時間撹拌した。得られたポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は2142mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=6509、Mw=11481であった。
更にこの溶液に3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランを0.05g加え、室温で24時間攪拌し、ポリアミック酸溶液(PAA−13)を得た。
【0125】
(合成例21)
攪拌装置付きの300mL四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、p−フェニレンジアミンを4.00g(37.0mmol)及びDA−4を1.56g(4.11mol)入れ、NMPを76.32g、GBLを228.03g、塩基として2,4,6−トリメチルピリジンを11.2g(92.7mmol)加え、攪拌して溶解させた。次にこのジアミン溶液を攪拌しながらジメチル 1,3−ビス(クロロカルボニル)シクロブタン−2,4−ジカルボキシレートを12.56g(38.6mmol)添加し、水冷下4時間反応させた。4時間攪拌後、イソニコチン酸クロライドを0.878g(4.93mmol)加え、得られたポリアミック酸エステル溶液を1335gのエタノールに撹拌しながら投入し、析出した沈殿物をろ取し、続いて、661gのエタノールで5回洗浄し、乾燥することでポリアミック酸エステル樹脂粉末を得た。
このポリアミック酸エステルの分子量はMn=14983、Mw=34387であった。
得られたポリアミック酸エステル樹脂粉末3.45gを100ml三角フラスコに取り、GBLを30.94g加え、室温で24時間撹拌し溶解させて、ポリアミック酸エステル溶液(PAE−6)を得た。
【0126】
(合成例22)
攪拌装置付きの300mL四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、p−フェニレンジアミンを3.09g(28.6mmol)及びDA−4を1.21g(3.18mol)入れ、NMPを58.81g、GBLを176.42g、塩基としてピリジンを5.67g(71.7mmol)加え、攪拌して溶解させた。次にこのジアミン溶液を攪拌しながらジメチル 1,3−ビス(クロロカルボニル)シクロブタン−2,4−ジカルボキシレートを9.72g(29.9mmol)添加し、水冷下4時間反応させた。得られたポリアミック酸エステル溶液を1018gのエタノールに撹拌しながら投入し、析出した沈殿物をろ取し、続いて、504gのエタノールで5回洗浄し、乾燥することでポリアミック酸エステル樹脂粉末を得た。
このポリアミック酸エステルの分子量はMn=16701、Mw=33541であった。
得られたポリアミック酸エステル樹脂粉末0.40gを100ml三角フラスコに取り、GBLを3.60g加え、室温で24時間撹拌し溶解させて、ポリアミック酸エステル溶液(PAE−7)を得た。
【0127】
(実施例1)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例1で得られたポリアミック酸溶液(PAA−1)を6.12g取り、トリフルオロメタンスルホン酸メチルを0.0639g加えて、室温で4時間撹拌した。次に、NMPを1.76g、及びBCSを1.96g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−1)を得た。
【0128】
(実施例2)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例2で得られたポリアミック酸溶液(PAA−2)を6.23g取り、トリフルオロメタンスルホン酸メチルを0.0770g加えて、室温で4時間撹拌し、ポリアミック酸溶液(PAA−2S)を得た。次に、撹拌子を入れた別の50ml三角フラスコに、ポリアミック酸溶液(PAA−2S)を2.25g取り、NMPを2.57g、及びBCSを1.23g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−2)を得た。
【0129】
(実施例3)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例3で得られたポリアミック酸溶液(PAA−3)を4.53g取り、トリフルオロメタンスルホン酸メチルを0.1470g加えて、室温で4時間撹拌し、ポリアミック酸溶液(PAA−3S)を得た。次に、撹拌子を入れた別の50ml三角フラスコに、ポリアミック酸溶液(PAA−3S)を1.64g取り、NMPを3.24g、及びBCSを1.23g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−3)を得た。
【0130】
(実施例4)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例4で得られたポリアミック酸溶液(PAA−4)を4.82g取り、トリフルオロメタンスルホン酸メチルを0.0754g加えて、室温で4時間撹拌し、ポリアミック酸溶液(PAA−4S1)を得た。次に、撹拌子を入れた別の50ml三角フラスコに、ポリアミック酸溶液(PAA−4S1)を2.61g取り、NMPを2.21g、及びBCSを1.19g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−4)を得た。
【0131】
(実施例5)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例4で得られたポリアミック酸溶液(PAA−4)を4.82g取り、トリフルオロメタンスルホン酸メチルを0.0359g加えて、室温で4時間撹拌し、ポリアミック酸溶液(PAA−4S2)を得た。次に、撹拌子を入れた別の50ml三角フラスコに、ポリアミック酸溶液(PAA−4S2)を2.61g取り、NMPを2.22g、及びBCSを1.21g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−5)を得た。
【0132】
(実施例6)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例5で得られたポリアミック酸溶液(PAA−5)を7.27g取り、p−トルエンスルホン酸メチルを0.0856g加えて、室温で4時間撹拌し、ポリアミック酸溶液(PAA−5S)を得た。次に、撹拌子を入れた別の50ml三角フラスコに、ポリアミック酸溶液(PAA−5S)を2.61g取り、NMPを2.20g、及びBCSを1.23g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−6)を得た。
【0133】
(実施例7)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例6で得られたポリアミック酸溶液(PAA−6)を6.88g取り、メタンスルホン酸メチルを0.0553g加えて、室温で4時間撹拌し、ポリアミック酸溶液(PAA−6S)を得た。次に、撹拌子を入れた別の50ml三角フラスコに、ポリアミック酸溶液(PAA−6S)を2.46g取り、NMPを2.34g、及びBCSを1.24g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−7)を得た。
【0134】
(実施例8)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例7で得られたポリアミック酸溶液(PAA−7)を6.50g取り、トリフルオロメタンスルホン酸メチルを0.0836g加えて、室温で4時間撹拌し、ポリアミック酸溶液(PAA−7S1)を得た。次に、撹拌子を入れた別の50ml三角フラスコに、ポリアミック酸溶液(PAA−7S1)を2.33g取り、NMPを2.55g、及びBCSを1.20g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−8)を得た。
【0135】
(実施例9)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例7で得られたポリアミック酸溶液(PAA−7)を6.48g取り、メタンスルホン酸2,2,2−トリフルオロエチルを0.0462g加えて、室温で4時間撹拌し、ポリアミック酸溶液(PAA−7S2)を得た。次に、撹拌子を入れた別の50ml三角フラスコに、ポリアミック酸溶液(PAA−7S2)を2.34g取り、NMPを2.48g、及びBCSを1.24g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−9)を得た。
【0136】
(実施例10)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例8で得られたポリアミック酸溶液(PAA−8)を10.52g取り、メタンスルホン酸2−メトキシエチルを0.2204g加えて、室温で4時間撹拌し、ポリアミック酸溶液(PAA−8S)を得た。次に、撹拌子を入れた別の50ml三角フラスコに、ポリアミック酸溶液(PAA−8S)を3.77g取り、NMPを1.07g、及びBCSを1.22g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−10)を得た。
【0137】
(実施例11)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例9で得られたポリアミック酸溶液(PAA−9)を9.87g取り、トリフルオロメタンスルホン酸メチルを0.1875g加えて、室温で4時間撹拌し、ポリアミック酸溶液(PAA−9S)を得た。次に、撹拌子を入れた別の50ml三角フラスコに、ポリアミック酸溶液(PAA−9S)を3.57g取り、NMPを1.25g、及びBCSを1.22g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−11)を得た。
【0138】
(実施例12)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例10で得られたポリアミック酸エステル溶液(PAE−1)を10.01g取り、プロパンスルトンを0.0671g加えて、室温で4時間撹拌し、ポリアミック酸エステル溶液(PAE−1S)を得た。次に、撹拌子を入れた別の50ml三角フラスコに、ポリアミック酸エステル溶液(PAE−1S)を3.63g取り、NMPを1.20g、及びBCSを1.21g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−12)を得た。
【0139】
(実施例13)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例11で得られたポリアミック酸エステル溶液(PAE−2)を10.31g取り、トリフルオロメタンスルホン酸メチルを0.0813g加えて、室温で4時間撹拌し、ポリアミック酸エステル溶液(PAE−2S)を得た。次に、撹拌子を入れた別の50ml三角フラスコに、ポリアミック酸エステル溶液(PAE−2S)を3.62g取り、NMPを1.23g、及びBCSを1.21g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−13)を得た。
【0140】
(実施例14)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例13で得られたポリイミド溶液(SPI−1)を10.32g取り、トリフルオロメタンスルホン酸メチルを0.0352g加えて、室温で4時間撹拌し、ポリイミド溶液(SPI−1S)を得た。次に、撹拌子を入れた別の50ml三角フラスコに、ポリイミド溶液(SPI−1S)を3.61g取り、NMPを1.22g、及びBCSを1.20g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−14)を得た。
【0141】
(実施例15)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例14で得られたポリアミック酸溶液(PAA−10)を5.28g取り、トリフルオロメタンスルホン酸メチルを0.0813g加えて、室温で4時間撹拌し、ポリアミック酸溶液(PAA−10S)を得た。次に、撹拌子を入れた別の50ml三角フラスコに、ポリアミック酸溶液(PAA−10S)を1.85g取り、NMPを3.00g、及びBCSを1.21g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−15)を得た。
【0142】
(実施例16)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例15で得られたポリイミド溶液(SPI−2)を3.74g取り、トリフルオロメタンスルホン酸メチルを0.0539g加えて、室温で4時間撹拌し、ポリイミド溶液(SPI−2S)を得た。次に、NMPを0.32g、及びBCSを4.05g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−16)を得た。
【0143】
(実施例17)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例12で得られたポリアミック酸エステル溶液(PAE−3)を9.91g取り、トリフルオロメタンスルホン酸メチルを0.0909g加えて、室温で4時間撹拌し、ポリアミック酸エステル溶液(PAE−3S)を得た。次に、撹拌子を入れた別の50ml三角フラスコに、ポリアミック酸エステル溶液(PAE−3S)を3.60g取り、NMPを1.23g、及びBCSを1.22g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−17)を得た。
【0144】
(実施例18)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例16で得られたポリアミック酸溶液(PAA−11)を10.10g取り、トリフルオロメタンスルホン酸メチルを0.0619g加えて、室温で4時間撹拌し、ポリアミック酸溶液(PAA−11S)を得た。次に、撹拌子を入れた別の50ml三角フラスコに、ポリアミック酸溶液(PAA−11S)を3.69g取り、NMPを1.12g、及びBCSを1.22g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−18)を得た。
【0145】
(実施例19)
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、合成例19で得られたポリアミック酸溶液(PAA−12)を2.24g、実施例2で得られたポリアミック酸溶液(PAA−2S)を2.48g、NMPを3.33g、及びBCSを2.00g加えてマグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(A−19)を得た。
【0146】
(実施例20)
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、合成例18で得られたポリアミック酸エステル溶液(PAE−5)を2.41g、実施例4で得られたポリアミック酸溶液(PAA−3S1)を1.93g、NMPを0.43g、GBLを3.27g、BCSを2.00g、更にイミド化促進剤としてN−α−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−N−t−ブトキシカルボニル−L−ヒスチジン(以下、Fmoc−Hisと略す)を0.0844g加えてマグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(A−20)を得た。
【0147】
(実施例21)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例20で得られたポリアミック酸溶液(PAA−13)を30.70g取り、トリフルオロメタンスルホン酸メチルを0.9011g加えて、室温で4時間撹拌し、ポリアミック酸溶液(PAA−13S)を得た。次に、撹拌子を入れた別の50ml三角フラスコに、ポリアミック酸溶液(PAA−13S)を2.02g取り、NMPを4.68g、及びBCSを1.66g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−21)を得た。
【0148】
(実施例22)
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、合成例17で得られたポリアミック酸エステル溶液(PAE−4)を3.36g、実施例21で得られたポリアミック酸溶液(PAA−13S)を2.24g、NMPを1.37g、GBLを4.22g、BCSを2.81g、更にイミド化促進剤としてFmoc−Hisを0.1146g加えて、マグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(A−22)を得た。
【0149】
(実施例30)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例21で得られたポリアミック酸エステル溶液(PAE−6)を4.00g取り、トリフルオロメタンスルホン酸メチルを0.019g加えて、室温で4時間撹拌した。次に、GBLを2.41g、及びBCSを1.61g、Fmoc−Hisを0.1478g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−23)を得た。
【0150】
(実施例31)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例21で得られたポリアミック酸エステル溶液(PAE−6)を4.00g取り、トリフルオロメタンスルホン酸エチルを0.0205g加えて、室温で4時間撹拌した。次に、GBLを2.41g、及びBCSを1.61g、Fmoc−Hisを0.1425g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(A−24)を得た。
【0151】
(比較例1)
拌子を入れた20mlサンプル管に、合成例1で得られたポリアミック酸溶液(PAA−1)を4.66g、NMPを1.58g、BCSを1.57g加えてマグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(B−1)を得た。
【0152】
(比較例2)
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、合成例2で得られたポリアミック酸溶液(PAA−2)を2.46g、NMPを2.34g、BCSを1.21g加えてマグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(B−2)を得た。
【0153】
(比較例3)
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、合成例16で得られたポリアミック酸溶液(PAA−11)を3.67g、NMPを1.15g、BCSを1.21g加えてマグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(B−3)を得た。
【0154】
(比較例4)
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、合成例13で得られた可溶性ポリイミド溶液(SPI−1)を3.61g、NMPを1.22g、BCSを1.22g加えてマグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(B−4)を得た。
【0155】
(比較例5)
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、合成例19で得られたポリアミック酸溶液(PAA−12)を3.15g、合成例2で得られたポリアミック酸溶液(PAA−2)を3.46g、NMPを4.62g、BCSを2.81g加えてマグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(B−5)を得た。
【0156】
(比較例6)
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、合成例18で得られたポリアミック酸エステル溶液(PAE−5)を3.37g、合成例3で得られたポリアミック酸溶液(PAA−4)を2.69g、NMPを0.61g、GBLを4.56g、BCSを2.83g加えてマグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(B−6)を得た。
【0157】
(比較例7)
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、合成例17で得られたポリアミック酸エステル溶液(PAE−4)を3.37g、合成例20で得られたポリアミック酸溶液(PAA−13)を2.25g、NMPを1.39g、GBLを4.25g、BCSを2.80g加えてマグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(B−7)を得た。
【0158】
(比較例15)
50ml三角フラスコに撹拌子を入れ、合成例22で得られたポリアミック酸エステル溶液(PAE−7)を4.00g取り、GBLを2.41g、及びBCSを1.60g、Fmoc−Hisを0.1416g加えて、マグネチックスターラーで30分攪拌し、液晶配向剤(B−8)を得た。
【0159】
(実施例23)
実施例1で得られた液晶配向剤(A−1)を1.0μmのフィルターで濾過した後、ガラス基板上に、第1層目として膜厚50nmのITO電極を、第2層目として絶縁膜として膜厚500nmの窒化ケイ素を、第3層目として櫛歯形状のITO電極(電極幅:3μm、電極間隔:6μm、電極高さ:50nm)を有するFFS駆動用電極が形成されているガラス基板に、スピンコート塗布にて塗布した。80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、230℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。この塗膜面に偏光板を介して254nmの紫外線を1000mJ/cm照射し、液晶配向膜付き基板を得た。また、対向基板として電極が形成されていない高さ4μmの柱状スペーサーを有するガラス基板にも、同様に塗膜を形成させ、配向処理を施した。
【0160】
上記、2枚の基板を一組とし、基板上にシール剤を印刷し、もう1枚の基板を、液晶配向膜面が向き合い配向方向が0°になるようにして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−2041(メルク社製)を注入し、注入口を封止して、FFS駆動液晶セルを得た。
このFFS駆動液晶セルについて、電荷緩和特性を評価した結果、交流駆動0分、5分、10分、20分及び60分後のΔTは、それぞれ34%、0%、0%、0%及び0%であった。
【0161】
(実施例24)
実施例7で得られた液晶配向剤(A−7)を用い、光照射の代わりに、ローラー回転数700rpm、ステージ移動速度10mm/s、ラビング布押し込み圧0.3mmの条件でラビング処理を施した以外は、実施例23と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、電荷緩和特性を評価した結果、交流駆動0分、5分、10分、20分及び60分後のΔTは、それぞれ3%、2%、2%、1%及び0%であった。
【0162】
(実施例25)
実施例14で得られた液晶配向剤(A−14)を用い、光照射の代わりに、ローラー回転数700rpm、ステージ移動速度10mm/s、ラビング布押し込み圧0.3mmの条件でラビング処理を施した以外は、実施例23と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、電荷緩和特性を評価した結果、交流駆動0分、5分、10分、20分及び60分後のΔTは、それぞれ32%、0%、0%、0%及び0%であった。
【0163】
(実施例26)
実施例18で得られた液晶配向剤(A−18)を用い、100mJ/cmの偏光された紫外線を照射した以外は、実施例23と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、電荷緩和特性を評価した結果、交流駆動0分、5分、10分、20分及び60分後のΔTは、それぞれ27%、1%、1%、1%及び0%であった。
【0164】
(実施例27)
実施例19で得られた液晶配向剤(A−19)を用い、750mJ/cmの偏光された紫外線を照射した以外は、実施例23と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、電荷緩和特性を評価した結果、交流駆動0分、5分、10分、20分及び60分後のΔTは、それぞれ31%、0%、0%、0%及び0%であった。
【0165】
(実施例28)
実施例20で得られた液晶配向剤(A−20)を用い、500mJ/cmの偏光された紫外線を照射した以外は、実施例23と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、電荷緩和特性を評価した結果、交流駆動0分、5分、10分、20分及び60分後のΔTは、それぞれ29%、0%、0%、0%及び0%であった。
【0166】
(実施例29)
実施例22で得られた液晶配向剤(A−22)を用い、500mJ/cmの偏光された紫外線を照射した以外は、実施例23と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、電荷緩和特性を評価した結果、交流駆動0分、5分、10分、20分及び60分後のΔTは、それぞれ36%、0%、0%、0%及び0%であった。
【0167】
(実施例32)
実施例30で得られた液晶配向剤(A−23)を用い、500mJ/cmの偏光された紫外線を照射した以外は、実施例23と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、電荷緩和特性を評価した結果、交流駆動0分、5分、10分、20分及び60分後のΔTは、それぞれ30%、0%、0%、0%及び0%であった。
【0168】
(実施例33)
実施例31で得られた液晶配向剤(A−24)を用い、500mJ/cmの偏光された紫外線を照射した以外は、実施例23と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、電荷緩和特性を評価した結果、交流駆動0分、5分、10分、20分及び60分後のΔTは、それぞれ29%、0%、0%、0%及び0%であった。
【0169】
(比較例8)
比較例1で得られた液晶配向剤(B−1)を用い、実施例23と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、電荷緩和特性を評価した結果、交流駆動0分、5分、10分、20分及び60分後のΔTは、それぞれ36%、9%、4%、2%及び1%であった。
【0170】
(比較例9)
比較例2で得られた液晶配向剤(B−2)を用い、光照射の代わりに、ローラー回転数700rpm、ステージ移動速度10mm/s、ラビング布押し込み圧0.3mmの条件でラビング処理を施した以外は、実施例23と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、電荷緩和特性を評価した結果、交流駆動0分、5分、10分、20分及び60分後のΔTは、それぞれ4%、3%、2%、2%及び1%であった。
【0171】
(比較例10)
比較例3で得られた液晶配向剤(B−3)を用い、光照射の代わりに、ローラー回転数700rpm、ステージ移動速度10mm/s、ラビング布押し込み圧0.3mmの条件でラビング処理を施した以外は、実施例23と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、電荷緩和特性を評価した結果、交流駆動0分、5分、10分、20分及び60分後のΔTは、それぞれ30%、1%、1%、1%及び0%であった。
【0172】
(比較例11)
比較例4で得られた液晶配向剤(B−4)を用い、100mJ/cmの偏光された紫外線を照射した以外は、実施例23と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、電荷緩和特性を評価した結果、交流駆動0分、5分、10分、20分及び60分後のΔTは、それぞれ22%、6%、2%、1%及び0%であった。
【0173】
(比較例12)
比較例5で得られた液晶配向剤(B−5)を用い、750mJ/cmの偏光された紫外線を照射した以外は、実施例23と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、電荷緩和特性を評価した結果、交流駆動0分、5分、10分、20分及び60分後のΔTは、それぞれ28%、5%、5%、5%及び4%であった。
【0174】
(比較例13)
比較例6で得られた液晶配向剤(B−6)を用い、500mJ/cmの偏光された紫外線を照射した以外は、実施例23と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、電荷緩和特性を評価した結果、交流駆動0分、5分、10分、20分及び60分後のΔTは、それぞれ31%、8%、7%、7%及び4%であった。
【0175】
(比較例14)
比較例7で得られた液晶配向剤(B−7)を用い、500mJ/cmの偏光された紫外線を照射した以外は、実施例23と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、電荷緩和特性を評価した結果、交流駆動0分、5分、10分、20分及び60分後のΔTは、それぞれ38%、3%、3%、3%及び1%であった。
【0176】
(比較例16)
比較例15で得られた液晶配向剤(B−8)を用い、500mJ/cmの偏光された紫外線を照射した以外は、実施例23と同様の方法でFFS駆動液晶セルを作製した。このFFS駆動液晶セルについて、電荷緩和特性を評価した結果、交流駆動0分、5分、10分、20分及び60分後のΔTは、それぞれ29%、5%、2%、1%及び0%であった。
【0177】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0178】
本発明の液晶配向剤から得られる液晶配向膜は、直流電圧によって蓄積した液晶表示素子内の残留電荷の緩和速度を早くすることができる。その結果、TN素子、STN素子、TFT液晶素子、更には、垂直配向型の液晶表示素子などに広く有用である。
【0179】
なお、2011年3月31日に出願された日本特許出願2011−078688号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。