【実施例】
【0098】
以下に、本発明の実施例を比較例と共に示して本発明についてより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0099】
≪評価方法≫
下記実施例及び比較例にて得られた銅粉について、以下の方法により、形状の観察、BET比表面積の測定、比抵抗値の測定、電磁波シールド特性の評価を行った。
【0100】
(形状の観察)
走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製,JSM−7100F)により所定の倍率の視野で任意に20視野を観察し、その視野内に含まれる銅粉、銀コート銅粉を観察した。
【0101】
(BET比表面積)
BET比表面積については、比表面積・細孔分布測定装置(カンタクローム社製,QUADRASORB SI)を用いて測定した。
【0102】
(比抵抗値)
被膜の比抵抗値については、低抵抗率計(三菱化学株式会社製、Loresta−GP MCP−T600)を用いて四端子法によりシート抵抗値を測定し、一方で表面粗さ形状測定器(東京精密株式会社製,SURFCO M130A)により被膜の膜厚を測定して、シート抵抗値を膜厚で除することによって求めた。
【0103】
(電磁波シールド特性)
電磁波シールド特性の評価は、各実施例及び比較例にて得られた試料について、周波数1GHzの電磁波を用いて、その減衰率を測定することによって評価した。具体的には、比較例2にて作製した電磁波シールドのシールド特性レベルを『△』として、その比較例2のレベルよりも悪い場合を『×』とし、その比較例2のレベルよりも良好な場合を『○』とし、さらに優れている場合を『◎』として評価した。
【0104】
また、電磁波シールドの可撓性についても評価するために、作製した電磁波シールドを折り曲げて電磁波シールド特性が変化するか否かを確認した。
【0105】
≪実施例≫
<電解銅粉の作製>
[実施例1]
容量が100Lの電解槽に、電極面積が200mm×200mmのチタン製の電極板を陰極とし、電極面積が200mm×200mmの銅製の電極板を陽極として用いて、これに直流電流を通電して銅粉を陰極板上に析出させた。
【0106】
このとき、電解液としては、銅イオン濃度が10g/L、硫酸濃度が100g/Lである硫酸酸性の電解液を用いた。さらにこの電解液には、塩酸溶液(和光純薬工業株式会社製)を塩化物イオン(塩素イオン)濃度で50mg/Lなるように添加し、またアルキレンオキサイド誘導体としてポリオキシエチレンメチルグルコシド(付加モル数10)(日油株式会社製,商品名:マクビオブライドMG−10E)を、電解液中の濃度がそれぞれ0、50、100、200、500、1000、2000、5000、10000mg/Lとなるように変化させて添加した。
【0107】
上述のような濃度に調整したそれぞれの電解液を、10L/minの流量で循環しながら温度(電解液の液温)を30℃に保った条件で、陰極の電流密度が20A/dm
2になるように通電して陰極板上に銅粉を析出させた。陰極板上に析出した電解銅粉を機械的に掻き落として回収し、それを純水で洗浄した後に減圧乾燥器で乾燥させた。
【0108】
このようして得られた電解銅粉を、上述した走査型電子顕微鏡(SEM)による方法で倍率10,000倍の視野で観察した結果、樹枝状の形状をした銅粉(樹枝状銅粉)であることが確認された。
【0109】
次に、得られた樹枝状銅粉100gを3%酒石酸水溶液中で約1時間攪拌した後、ろ過、水洗して2リットルのイオン交換水中に分散させた。そして、ここに、酒石酸6g、ぶどう糖6g、エタノール60mlを加え、さらに28%アンモニア水60mlを加えて攪拌し、その後、硝酸銀70gをイオン交換水4.5リットルに溶かした水溶液と、ぶどう糖30g、酒石酸30g、エタノール300mlをイオン交換水900mlに溶かした水溶液と、28%アンモニア水300mlとを、それぞれ60分間にわたり徐々に添加した。なお、このときの浴温は25℃であった。
【0110】
各水溶液の添加が終了した後、粉末をろ過、水洗してエタノールを通じて乾燥させたところ、樹枝状銅粉の表面に銀が被覆された銀コート銅粉が得られた。
【0111】
得られた樹枝状銀コート銅粉をSEMにより倍率5,000倍の視野で観察した結果、銀被覆する前の樹枝状銅粉の表面に均一に銀が被覆された、樹枝状形状を呈した樹枝状銀コート銅粉であった。また、その樹枝状銀コート銅粉を回収して銀被覆量を測定したところ、当該銀コート銅粉全体の質量100%に対して銀被覆量は30.1質量%〜30.6質量%であった。
【0112】
また、
図1に、得られた樹枝状銀コート銅粉についてBET比表面積を測定した結果を示す。
図1の結果に示されるように、電解液に添加含有させるポリオキシエチレンメチルグルコシド(付加モル数10)の濃度によって、析出する樹枝状銀コート銅粉の比表面積が変化し、より微細な樹枝状銀コート銅粉を作製できることが分かった。
【0113】
[実施例2]
電解液に、アルキレンオキサイド誘導体としてポリオキシエチレンメチルグルコシド(付加モル数10)(日油株式会社製,商品名:マクビオブライドMG−10E)を電解液中の濃度で1000mg/Lになるように添加し、加えて塩酸溶液(和光純薬工業株式会社製)を、電解液中の塩化物イオン濃度がそれぞれ0、10、20、50、100、200、300、400、500mg/Lとなるように変化させて添加した。なお、それ以外は、実施例1と同じ条件で銅粉を析出させた。
【0114】
このようして得られた電解銅粉を、上述した走査型電子顕微鏡(SEM)による方法で倍率10,000倍の視野で観察した結果、樹枝状の形状をした銅粉(樹枝状銅粉)であることが確認された。
【0115】
次に、得られた樹枝状銅粉に対して、実施例1と同じ手順でその表面に銀を被覆したところ、樹枝状銅粉の表面に銀が被覆された銀コート銅粉が得られた。
【0116】
得られた銀コート銅粉をSEMにより倍率5,000倍の視野で観察した結果、銀被覆する前の樹枝状銅粉の表面に均一に銀が被覆された、樹枝状形状を呈した樹枝状銀コート銅粉であった。また、その樹枝状銀コート銅粉を回収して銀被覆量を測定したところ、当該銀コート銅粉全体の質量100%に対して銀被覆量は30.0質量%〜30.7質量%であった。
【0117】
また、
図2に、得られた樹枝状銀コート銅粉についてBET比表面積を測定した結果を示す。
図2に示されるように、電解液中に添加含有させる塩化物イオンの濃度によって、析出する樹枝状銅粉の比表面積が変化し、より微細な樹枝状銀コート銅粉を作製できることが分かった。
【0118】
[実施例3]
電解液に、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(付加モル数10)(日油株式会社製,商品名:マクビオブライドMG−10P)を、電解液中の濃度がそれぞれ0、50、100、200、500、1000、2000、5000、10000mg/Lとなるように変化させて添加し、加えて塩酸溶液(和光純薬工業株式会社製)を塩化物イオン濃度で100mg/Lとなるように添加した。なお、それ以外は、実施例1と同じ条件で銅粉を析出させた。
【0119】
このようして得られた電解銅粉を、上述した走査型電子顕微鏡(SEM)による方法で倍率10,000倍の視野で観察した結果、樹枝状の形状をした銅粉(樹枝状銅粉)であることが確認された。
【0120】
次に、得られた樹枝状銅粉100gを用いて、置換型無電解めっき液によりその銅粉表面に銀被覆を行った。置換型無電解めっき液としては、硝酸銀25g、クエン酸20g、エチレンジアミン10gをイオン交換水1リットルに溶かした組成の溶液を用い、その溶液中に樹枝状銅粉100gを投入して45分間攪拌して反応させた。なお、このときの浴温は30℃であった。
【0121】
反応が終了した後、粉末をろ過、水洗してエタノールを通じて乾燥させたところ、樹枝状銅粉の表面に銀が被覆された銀コート銅粉が得られた。
【0122】
得られた銀コート銅粉をSEMにより倍率5,000倍の視野で観察した結果、銀被覆する前の樹枝状銅粉の表面に均一に銀が被覆された、樹枝状形状を呈した樹枝状銀コート銅粉であった。また、その樹枝状銀コート銅粉を回収して銀被覆量を測定したところ、当該銀コート銅粉全体の質量100%に対して銀被覆量は10.3質量%〜10.6質量%であった。
【0123】
また、
図3に、得られた樹枝状銀コート銅粉についてBET比表面積を測定した結果を示す。
図3に示されるように、添加するポリオキシプロピレンメチルグルコシド(付加モル数10)の濃度によって、析出する樹枝状銀コート銅粉の比表面積が変化し、より微細な樹枝状銀コート銅粉を作製できることが分かった。
【0124】
[実施例4]
電解液に、アルキレンオキサイド誘導体としてポリオキシエチレンメチルグルコシド(付加モル数10)(日油株式会社製,商品名:マクビオブライドMG−10E)を電解液中の濃度が1000mg/Lとなるように、またポリオキシプロピレンメチルグルコシド(付加モル数10)(日油株式会社製、商品名:マクビオブライドMG−10P)を、電解液中の濃度がそれぞれ0、50、100、200、500、1000、2000、5000、10000mg/Lとなるように変化させて添加し、加えて塩酸溶液(和光純薬工業株式会社製)を塩化物イオン濃度が50mg/Lとなるように添加した。なお、それ以外は、実施例1と同じ条件で銅粉を析出させた。
【0125】
このようして得られた電解銅粉を、上述した走査型電子顕微鏡(SEM)による方法で倍率10,000倍の視野で観察した結果、樹枝状の形状をした銅粉(樹枝状銅粉)であることが確認された。
【0126】
次に、得られた樹枝状銅粉に対して、実施例1と同じ手順でその表面に銀を被覆したところ、樹枝状銅粉の表面に銀が被覆された銀コート銅粉が得られた。
【0127】
得られた銀コート銅粉をSEMにより倍率5,000倍の視野で観察した結果、銀被覆する前の樹枝状銅粉の表面に均一に銀が被覆された、樹枝状形状を呈した樹枝状銀コート銅粉であった。また、その樹枝状銀コート銅粉を回収して銀被覆量を測定したところ、当該銀コート銅粉全体の質量100%に対して銀被覆量は30.2質量%〜30.8質量%であった。
【0128】
また、
図4に、得られた樹枝状銀コート銅粉についてBET比表面積を測定した結果を示す。
図4に示されるように、添加する2種類のアルキレンオキサイド誘導体の濃度によって、析出する樹枝状銀コート銅粉の比表面積が変化し、より微細な樹枝状銀コート銅粉を作製できることが分かった。
【0129】
<導電性ペーストの作製>
[実施例5]
実施例1にてポリオキシエチレンメチルグルコシド(付加モル数10)(日油株式会社製,商品名:マクビオブライドMG−10E)の濃度が2000mg/L、塩化物イオンの濃度が50mg/Lとなるようにそれぞれ添加した電解液により得られ、銀コートした比表面積が1.8m
2/gの樹枝状銀コート銅粉55質量部に、フェノール樹脂(群栄化学株式会社製,PL−2211)15質量部、ブチルセロソルブ(関東化学株式会社製,鹿特級)10質量部を混合し、小型ニーダー(日本精機製作所製,ノンバブリングニーダーNBK−1)を用いて、1200rpm、3分間の混錬を3回繰り返すことでペースト化した。
【0130】
得られた導電ペーストを金属スキージでガラス上に印刷し、大気雰囲気中にて150℃、200℃でそれぞれ30分間硬化させた。
【0131】
硬化により得られた被膜の比抵抗値は、それぞれ、16×10
−6Ω・cm(硬化温度150℃)、3.4×10
−6Ω・cm(硬化温度200℃)であった。表1にこれらの結果をまとめて示す。
【0132】
[実施例6]
実施例1にてポリオキシエチレンメチルグルコシド(付加モル数10)(日油株式会社製、商品名:マクビオブライドMG−10E)の濃度が5,000mg/L、塩化物イオンの濃度が50mg/Lとなるようにそれぞれ添加した電解液により得られた、銀コートした比表面積が2.4m
2/gの樹枝状銀コート銅粉55質量部に、フェノール樹脂(群栄化学株式会社製,PL−2211)15質量部、ブチルセロソルブ(関東化学株式会社製,鹿特級)10質量部を混合し、小型ニーダー(日本精機製作所製,ノンバブリングニーダーNBK−1)を用いて、1200rpm、3分間の混錬を3回繰り返すことでペースト化した。
【0133】
得られた導電ペーストを金属スキージでガラス上に印刷し、大気雰囲気中にて150℃、200℃でそれぞれ30分間硬化させた。
【0134】
硬化により得られた被膜の比抵抗値は、それぞれ、15×10
−6Ω・cm(硬化温度150℃)、3.0×10
−6Ω・cm(硬化温度200℃)であった。表1にこれらの結果をまとめて示す。
【0135】
[実施例7]
実施例1にてポリオキシエチレンメチルグルコシド(付加モル数10)(日油株式会社製,商品名:マクビオブライドMG−10E)の濃度が500mg/L、塩化物イオンの濃度が50mg/Lとなるようにそれぞれ添加した電解液により得られ、銀コートした比表面積が0.9m
2/gの樹枝状銀コート銅粉(なお、表1にて樹枝状銀コート銅粉[1]と表記)と、実施例2にてポリオキシエチレンメチルグルコシド(付加モル数10)(日油株式会社製,商品名:マクビオブライドMG−10E)の濃度が1000mg/L、塩化物イオンの濃度が300mg/Lとなるようにそれぞれ添加した電解液により得られ、銀コートした比表面積が2.6m
2/gの樹枝状銀コート銅粉(なお、表1にて樹枝状銀コート銅粉[2]と表記)との、異なる2種類の樹枝状銅粉を、それぞれ質量比60%と40%の割合とした合計量55質量部に、フェノール樹脂(群栄化学株式会社製,PL−2211)15質量部、ブチルセロソルブ(関東化学株式会社製,鹿特級)10質量部を混合し、小型ニーダー(日本精機製作所製,ノンバブリングニーダーNBK−1)を用いて、1200rpm、3分間の混錬を3回繰り返すことでペースト化した。
【0136】
得られた導電ペーストを金属スキージでガラス上に印刷し、大気雰囲気中にて150℃、200℃でそれぞれ30分間硬化させた。
【0137】
硬化により得られた被膜の比抵抗値は、それぞれ、19×10
−6Ω・cm(硬化温度150℃)、3.8×10
−6Ω・cm(硬化温度200℃)であった。表1にこれらの結果をまとめて示す。
【0138】
[実施例8]
実施例1にてポリオキシエチレンメチルグルコシド(付加モル数10)(日油株式会社製,商品名:マクビオブライドMG−10E)の濃度が50mg/L、塩化物イオンの濃度が50mg/Lとなるようにそれぞれ添加した電解液により得られ、銀コートした比表面積が0.6m
2/gの樹枝状銀コート銅粉55質量部に、フェノール樹脂(群栄化学株式会社製,PL−2211)15質量部、ブチルセロソルブ(関東化学株式会社製,鹿特級)10質量部を混合し、小型ニーダー(日本精機製作所製,ノンバブリングニーダーNBK−1)を用いて、1200rpm、3分間の混錬を3回繰り返すことでペースト化した。
【0139】
得られた導電ペーストを金属スキージでガラス上に印刷し、大気雰囲気中にて150℃、200℃でそれぞれ30分間硬化させた。
【0140】
硬化により得られた被膜の比抵抗値は、それぞれ、33×10
−6Ω・cm(硬化温度150℃)、5.0×10
−6Ω・cm(硬化温度200℃)であった。表1にこれらの結果をまとめて示す。
【0141】
<電磁波シールド層の作製>
[実施例9]
実施例1にて、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(付加モル数10)(日油株式会社製,商品名:マクビオブライドMG−10E)の濃度を2000mg/L、塩化物イオンの濃度が50mg/Lとなるようにそれぞれ添加した電解液により得られ、銀コートした比表面積が1.8m
2/gの樹枝状銀コート銅粉を樹脂に分散させて電磁波シールド材とした。
【0142】
すなわち、実施例1にて得られた樹枝状銀コート銅粉40gに対して、塩化ビニル樹脂100gと、メチルエチルケトン200gとをそれぞれ混合し、小型ニーダーを用いて、1200rpm、3分間の混錬を3回繰り返すことによってペースト化した。ペースト化に際しては、樹枝状銀コート銅粉が凝集することなく、樹脂中に均一に分散した。これを、100μmの厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシートからなる基材の上にメイヤーバーを用いて塗布・乾燥し、厚さ25μmの電磁波シールド層を形成した。
【0143】
電磁波シールド特性については、周波数1GHzの電磁波を用いて、その減衰率を測定することによって評価した。表1に、特性評価の結果を示す。
【0144】
[実施例10]
実施例1にて、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(付加モル数10)(日油株式会社製,商品名:マクビオブライドMG−10E)の濃度が5000mg/L、塩化物イオンの濃度が50mg/Lとなるようにそれぞれ添加した電解液により得られ、銀コートした比表面積が2.4m
2/gの樹枝状銀コート銅粉を樹脂に分散させて電磁波シールド材とした。
【0145】
すなわち、実施例2にて得られた樹枝状銀コート銅粉40gに対して、塩化ビニル樹脂100gと、メチルエチルケトン200gとをそれぞれ混合し、小型ニーダーを用いて、1200rpm、3分間の混錬を3回繰り返すことによってペースト化した。ペースト化に際しては、銀コート銅粉が凝集することなく、樹脂中に均一に分散した。これを、100μmの厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシートからなる基材の上にメイヤーバーを用いて塗布・乾燥し、厚さ25μmの電磁波シールド層を形成した。
【0146】
電磁波シールド特性については、周波数1GHzの電磁波を用いて、その減衰率を測定することによって評価した。表1に、特性評価の結果を示す。
【0147】
[実施例11]
実施例1にて、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(付加モル数10)(日油株式会社製,商品名:マクビオブライドMG−10E)の濃度が50mg/L、塩化物イオンの濃度が50mg/Lとなるようにそれぞれ添加した電解液により得られ、銀コートした比表面積が0.6m
2/gの樹枝状銀コート銅粉(実施例8にて用いたものと同じ)を樹脂に分散させて電磁波シールド材とした。
【0148】
すなわち、実施例8にて用いたものと同じ樹枝状銀コート銅粉40gに対して、塩化ビニル樹脂100gと、メチルエチルケトン200gとをそれぞれ混合し、小型ニーダーを用いて、1200rpm、3分間の混錬を3回繰り返すことによってペースト化した。ペースト化に際しては、銀コート銅粉が凝集することなく、樹脂中に均一に分散した。これを、100μmの厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシートからなる基材の上にメイヤーバーを用いて塗布・乾燥し、厚さ25μmの電磁波シールド層を形成した。
【0149】
電磁波シールド特性については、周波数1GHzの電磁波を用いて、その減衰率を測定することによって評価した。表1に、特性評価の結果を示す。
【0150】
≪比較例≫
<電解銅粉の作製、導電性ペーストの作製>
[比較例1]
電解液にアルキレンオキサイド誘導体を添加しない条件としたこと以外は、実施例1と同じ条件で銅粉を析出させた。なお、得られた電解銅粉をSEMによる方法で観察した結果、樹枝状の形状をした銅粉(樹枝状銅粉)であることが確認された。
【0151】
次に、得られた樹枝状銅粉に対して、実施例1と同じ手順でその表面に銀を被覆したところ、樹枝状銅粉の表面に銀が被覆された樹枝状銀コート銅粉が得られた。
【0152】
得られた銀コート銅粉をSEMにより倍率5,000倍の視野で観察した結果、銀被覆する前の樹枝状銅粉の表面に均一に銀が被覆された、樹枝状形状を呈した樹枝状銀コート銅粉であった。また、その樹枝状銀コート銅粉を回収して銀被覆量を測定したところ、当該銀コート銅粉全体の質量100%に対して銀被覆量は30.2質量%〜30.5質量%であった。得られた樹枝状銀コート銅粉の比表面積を測定したところ、0.5m
2/gであった。
【0153】
そして、得られた比表面積が0.5m
2/gの樹枝状銀コート銅粉55質量部に、フェノール樹脂(群栄化学株式会社製,PL−2211)15質量部、ブチルセロソルブ(関東化学株式会社製,鹿特級)10質量部を混合し、小型ニーダー(日本精機製作所製,ノンバブリングニーダーNBK−1)を用いて、1200rpm、3分間の混錬を3回繰り返すことでペースト化した。
【0154】
得られた導電ペーストを金属スキージでガラス上に印刷し、大気雰囲気中にて150℃、200℃でそれぞれ30分間硬化させた。
【0155】
硬化により得られた被膜の比抵抗値は、それぞれ、52×10
−6Ω・cm(硬化温度150℃)、6.6×10
−6Ω・cm(硬化温度200℃)であった。表1にこれらの結果をまとめて示す。
【0156】
<電磁波シールド層の作製>
[比較例2]
比較例1にて作製した比表面積が0.5m
2/gの樹枝状銀コート銅粉を樹脂に分散させて電磁波シールド材とした。
【0157】
すなわち、アルキレンオキサイド誘導体を添加しない条件(その他は実施例1と同様)で作製した比表面積0.5m
2/gの樹枝状銀コート銅粉40gに対して、塩化ビニル樹脂100gと、メチルエチルケトン200gとをそれぞれ混合し、小型ニーダーを用いて、1200rpm、3分間の混錬を3回繰り返すことによってペースト化した。ペースト化に際しては、銅粉が凝集することなく、樹脂中に均一に分散した。これを、100μmの厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシートからなる基材の上にメイヤーバーを用いて塗布・乾燥し、厚さ25μmの電磁波シールド層を形成した。
【0158】
電磁波シールド特性については、周波数1GHzの電磁波を用いて、その減衰率を測定することによって評価した。表1に、特性評価の結果を示す。
【0159】
≪評価結果のまとめ≫
下記表1に、実施例5〜8及び比較例1の導電性ペーストの特性評価結果、並びに、実施例9〜11及び比較例2の電磁波シールドの特性評価結果を、まとめて示す。
【0160】
【表1】