【実施例】
【0042】
[核酸リンカーの合成1]
1−1 材料
下記2種のDNAオリゴマーの合成を日本バイオサービスに委託し、自動核酸合成装置を使用して、ホスホロアミダイト法に従って合成した。
(1)dI−Branch−Thiol−Segment
[配列:5’−(B)−(spc18)−AAAAA−(dI)−AAAAA−(C−CCC−5’)−X1−(T−NH
2)−CCT−3’]
X1は以下の配列を表す。
CCCCGCCGCCCCCCG(配列番号1:15mer)。
(2)Puromycin−segment
[配列:5’− (HO−C
6H
12−SS−C
6H
12)−TC(F)−(spc18)−(spc18)−(spc18)−CC−(Puromycin)−3’]
ここで、(B)は、[1−N−(4,4'−Dimethoxytrityl)−biotinyl−6−aminohexyl]−2−cyanoethyl−(N,N−diisopropyl)−phosphoramiditeを用いて合成したものを表す(Glen Research社製、商品名:5’−Biotin Phosphoramidite)。
(F)は、5'−Dimethoxytrityloxy−5−[N−((3',6'−dipivaloylfluoresceinyl)−aminohexyl]−3−acryimido]−2'−deoxyUridine−3'−succinoyl−long chain alkylaminoを用いて合成したものを表す(Glen Research社製、商品名:Fluorescein−dT)。
(spc18)は、18−O−Dimethoxytritylhexaethyleneglycol,1−[(2−cyanoethyl)−(N,N−diisopropyl)]−phosphoramiditeを用いて合成したものを表す(Glen Research社製、商品名:Spacer Phosphoramidite 18)。
(dI)は、デオキシイノシンを示し、5'−Dimethoxytrityl−2'−deoxyInosine,3'−[(2−cyanoethyl)−(N,N−diisopropyl)]−phosphoramiditeを用いて合成したものを表す(Glen Research社製、商品名:dI−CE Phosphoramidite)。
(C−CCC−5’)は、5'−Dimethoxytrityl−N4−(O−levulinyl−6−oxyhexyl)−5−Methyl−2'−deoxyCytidine,3’−[(2−cyanoethyl)−(N,N−diisopropyl)]−phosphoramiditeを用いて、塩基側分岐鎖にデオキシシトシンを3’→5’方向に3塩基縮合したものを表す(Glen Research社製、商品名:5−Me−dC Brancher Phosphoramidite)。
(T−NH
2)は、5'−Dimethoxytrityl−5−[N−(trifluoroacetylaminohexyl)−3−acrylimido]−2'−deoxyUridine,3'−[(2−cyanoethyl)−(N,N−diisopropyl))−phosphoramiditeを用いて合成したものを表す(Glen Research社製、商品名:Amino−Modifier C6 dT)。
(HO−C
6H
12−SS−C
6H
12)は、(1−O−Dimethoxytrityl−hexyl−disulfide,1’−[(2−cyanoethyl)−(N,N−diisopropyl)]−phosphoramidite)を用いて合成したものを表す(Glen Research社製、商品名:Thiol−Modifier C6 S−S)。
(Puromycin)は、5'-Dimethoxytrityl−N-trifluoroacetyl−puromycin,2'-succinoyl−long chain alkylamino−CPGを用いて合成したものを表す(Glen Research社製、商品名:Puromycin−CPG)。
【0043】
1−2 合成、精製方法
(mRNAの合成)
5’上流にT7プロモーター配列と翻訳促進配列、3’側下流にスペーサー領域及びdI−Branch−Biotin−Segmentとの相補鎖領域を有する配列を付加したProteinAのB−domain(以下、BDAという。配列番号2:367bp)をPCRにより増幅した。
【0044】
PCRにより得られたDNAからT7 RiboMAX Express Large Scale RNA Production System(プロメガ社製)を用いて、添付のプロトコールに従って5〜30pmol/μlのmRNAを合成した(337b)。
【0045】
(dI−Branch−Biotin−SegmentとmRNAのライゲーション及び逆転写)
前記mRNA20pmolと、前記dI−Branch−Biotin−Segment 40pmolをT4 RNA Ligase buffer (タカラバイオ社製)19μl中で混合し、90℃に加熱した後、15分間かけて25℃まで冷却した。この溶液に、0.5μlのT4ポリヌクレオチドキナーゼ(10U/μl、東洋紡績社製)と、0.5μlのT4 RNAリガーゼ(40U/μl、タカラバイオ社製)を加えて混合し、25℃で15分間反応させた。
反応産物を8M尿素5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し(200V、60℃、60分)、SybrGold(Invitrogen社製)にて染色した。結果を
図4に示す。
レーン1は100bp DNA ladder (プロメガ社製)、レーン2はmRNA(BDA)、レーン3はdI−Branch−Biotin−SegmentとmRNA(BDA)とのライゲーション産物、レーン4は前記ライゲーション産物の逆転写産物である。
dI−Branch−Biotin−SegmentとmRNAが連結し、高分子量側にバンドがシフトしていることが観察でき、合成した核酸リンカーがmRNAと連結する能力を有していることが確認できた。
更に、前記ライゲーション産物をRNeasy MiniElute Cleanup Kit (キアゲン社製)を用いて精製した。このライゲーション産物2pmolと2.5 mMのdNTP Mix (タカラバイオ社製) 4μlと、5xRTbuffer(東洋紡績社製) 2μlと、ReverTraAce(100U/μl、東洋紡社製) 0.5μlと、RNaseフリー水と、を混合し、10μlの混合液とした。この混合液を42℃で30分間反応させ、逆転写反応物を得た。この逆転写反応物を8M尿素5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し(200V、60℃、60分)、Sybrgold (Invitrogen社製)にて染色した。結果を
図4に示す。
レーン4においては、レーン3に示すライゲーション産物よりも高分子量側にバンドがシフトしており、逆転写反応が行われたことが確認された。
【0046】
(dI−Branch−Biotin−Linkerの固相結合能および被切断能の確認)
7.65μMのdI−Branch−Biotin−Segment2μlと0.1M PBSに溶解した2μMのストレプトアビジン (シグマ社製) 2μlを混合し、室温で10分間静置した。
この混合液2μlに10xNEBuffer4(New England BioLabs社製)と、EndonucleaseV (1U/μl、New England BioLabs社製)と、RNaseフリー水を加えて混合し、5μlの混合液とした。この混合液を37℃で10分間反応させた。この反応物を12%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し(200V、30℃、30分)、SybrGold(Invitrogen社製)で染色した。結果を
図5に示す。
レーン1は100bp DNA ladder (プロメガ社製)、レーン2はdI−Branch−Biotin−Segment、レーン3はdI−Branch−Biotin−Segmentとストレプトアビジンの混合液、レーン4はEndonucleaseV処理液である。
レーン3より、ストレプトアビジンと結合したdI−Branch−Biotin−Segmentが高分子量側にシフトしていることがわかる。よって、dI−Branch−Biotin−SegmentはBiotinを介して固相に結合する能力があることが確認された。
レーン4より、EndonucleaseVによってデオキシイノシンの近傍でDNA鎖の切断が為され、ストレプトアビジンからdI−Branch−Biotin−Segmentの切断断片が脱離して低分子量側にシフトしていることが分かる。よって、dI−Branch−Biotin−SegmentはEndonuclease Vによって切断され、固相から脱離される能力があることが確認された。
【0047】
(Puromycin−Segmentの還元)
3mMのPuromycin−Segment0.8μlを1Mリン酸バッファー(pH 9.0)11.3μlと混合し、1M DTTを1.25μl加え、室温で1時間反応させ、Puromycin−Segmentの5’側にあるジスルフィド基をチオール基に還元した。その後、20mMリン酸バッファー(pH 7.2)で平衡化したNAP−5 Columns(GEヘルスケア・ジャパン社製)を用いて、過剰なDTTを除去した。
【0048】
(dI−Branch−Thiol−SegmentのEMCS修飾)
0.77mMのdI−Branch−Biotin−Segment1.6μlを0.2Mリン酸バッファー(pH 7.2)25μlと混合し、0.1Mの二価性架橋剤EMCS (6−Maleimidohexanoic acid N−hydroxysuccinide ester)(同仁化学研究所社製)5μlを加えてよく撹拌し、37℃で30分間反応させた。その後、エタノール沈澱を行って、反応物を沈澱させ、未反応のEMCSを除去した。沈澱物を200μlの70%エタノールにて洗浄した。
【0049】
(Puromycin−SegmentとdI−Branch−Biotin−Segmentの架橋)
前記dI−Branch−Biotin−SegmentのEMCS架橋物の沈澱物を、還元後の前記Puromycin−Segmentの溶解液に溶解し、4℃で一晩放置した。次いで、1M DTTを10μl加えて混合し、室温で30分間撹拌することで架橋反応を停止した。
その後、エタノール沈澱を行って、反応物を沈澱させ、未反応のPuromycin−Segmentと過剰なDTTを除去し、沈澱物を200μlの70%エタノールにて洗浄した後、15μlの滅菌水に溶解し45μMに調整した。得られた架橋物を8M尿素12%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し(200V、60℃、30分)、SybrGold (Invitrogen社製)で染色した。
結果を
図6に示す。レーン1は10bp DNA step ladder (プロメガ社製)、レーン2はdI−Branch−Biotin−Segment、レーン3はPuromycin−SegmentとdI−Branch−Biotin−Segmentの架橋物、レーン4は架橋物のエタノール沈澱精製物、レーン5は架橋物のエタノール沈澱後の上清である。レーン4より、目的の架橋物(Puro−dI−Biotin−Linker)が得られていることが確認された。
【0050】
(Puro−dI−Biotin−LinkerとmRNAのライゲーション)
(mRNAの合成)で上述した方法により合成したBDAのmRNA20pmolと、前記Puro−dI−Biotin−Linker 40pmolをT4 RNA Ligase buffer (タカラバイオ社製)18μl中で混合し、90℃に加熱した後、15分間かけて25℃まで冷却した。この溶液に、1μlのT4ポリヌクレオチドキナーゼ(10U/μl、東洋紡績社製)と、1μlのT4RNAリガーゼ(40U/μl、タカラバイオ社製)を加えて混合し、25℃で15分間反応させた。反応産物を8M尿素8%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し(200V、60℃、40分)、SybrGold(Invitrogen社製)にて染色した。結果を
図7に示す。
レーン1は100bp DNA ladder (プロメガ社製)、レーン2はmRNA(BDA)、レーン3はPuro−dI−Biotin−LinkerとmRNA(BDA)とのライゲーション産物である。
Puro−di−Biotin−LinkerとmRNAがライゲーションし、高分子量側にバンドがシフトしていることが観察された。即ち、本実施形態の核酸リンカーがmRNAとライゲーションする能力を有していることが確認された。
【0051】
(Puro−dI−Biotin−Linkerを用いたタンパク質ディスプレイ)
上記のように合成した、核酸リンカー(Puro−di−Biotin−Linker)とmRNAのライゲーション産物を用いて翻訳反応を行った。1pmolのmRNA−核酸リンカーライゲーション産物(mRNA−Linkerライゲーション産物)と0.72μlの20x translation Mix(Ambion社製)と、10.2μlのウサギ網状赤血球の細胞溶解液であるRabbit Retic Lysate(Ambion社製)に、RNaseフリー水を加えて混合し、15μlの混合液とした。
この混合液を30℃にて20分間反応させた後、6μlの3M 塩化カルシウム溶液と1.8 μlの1 M 塩化マグネシウム溶液を加え、混合した。この混合液を更に37℃で30分間反応させ、BDA遺伝子のポリペプチド鎖を合成し、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体を形成させた。反応産物を8M尿素含有SDS−6%ポリアクリルアミドゲル電気泳動にて分離し、核酸リンカーに修飾されているFluoresceinの蛍光シグナルを検出した。
結果を
図8に示す。
レーン1はmRNA−Linkerライゲーション産物、レーン2は翻訳産物である。
この泳動結果より、レーン2においてmRNA−Linkerライゲーション産物の高分子量側にシフトしたバンドが検出されたことから、本実施形態の核酸リンカーがタンパク質をディスプレイする能力を有していることが確認された。
【0052】
[核酸リンカーの合成2]
2−1 材料
下記3種のDNAオリゴマーの合成を日本バイオサービスに委託し、自動核酸合成装置を使用して、ホスホロアミダイト法に従って合成した。
(1)PC−Branch−Thiol−Segment
[配列:5’−(HO−C
6H
12−SS−C
6H
12)−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTT−(PC)−TTT(C−CCC−5’)−X1−(T−NH
2)−CCT−3’]
X1は上記のとおりである。
(2)PC−Branch−Biotin−Segment
[配列:5’−(B)−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTT−(PC)−TTT(C−CCC−5’)−X1−(T−NH
2)−CCT−3’]
X1は上記のとおりである。
(3)Puromycin−segment
[配列:5’− (HO−C
6H
12−SS−C
6H
12)−TCT−(spc18)−(spc18)−(spc18)−CC−(Puromycin)−3’]
ここで、(HO−C
6H
12−SS−C
6H
12)、(C−CCC−5’)、(T−NH
2)、(B)、(spc18)、(Puromycin)は、上記のとおりである。
(PC)は、[4−(4,4’−Dimethoxytrityloxy)butyramidomethyl]−1−(2−nitrophenyl)−ethyl]−2−cyanoethyl−(N,N−diisopropyl)−phosphoramiditeを用いて合成したものを表す(Glen Research社製、商品名:PC Spacer Phosphoramidite)。
【0053】
2−2 合成、精製方法
(Puromycin−Segmentの還元)
2.5mMのPuromycin−Segment 18μlを1Mリン酸バッファー(pH 9.0)90μlと混合し、1M DTTを10μl加え、室温で1時間反応させ、Puromycin−Segmentの5’側にあるジスルフィド基をチオール基に還元した。その後、20mMリン酸バッファー(pH 7.2)で平衡化したNAP−5 Columns(GEヘルスケア・ジャパン社製)を用いて、過剰なDTTを除去した。
【0054】
(PC−Branch−Thiol−SegmentのEMCS修飾)
1mMのPC−Branch−Thiol−Segment10μlを0.2Mリン酸バッファー(pH 7.2)100μlと混合し、0.1Mの二価性架橋剤EMCS (6−Maleimidohexanoic acid N−hydroxysuccinide ester)(同仁化学研究所社製)を20μl加えてよく撹拌し、37℃で30分間反応させた。その後、エタノール沈澱を行って、反応物を沈澱させ、未反応のEMCSを除去した。沈澱物を200μlの70%エタノールにて洗浄した。
【0055】
(Puromycin−Segmentと、PC−Branch−Thiol−Segment又はPC−Branch−Biotin−Segmentとの架橋)
前記PC−Branch−Thiol−SegmentのEMCS架橋物の沈澱物、又は前記PC−Branch−Biotin−SegmentのEMCS架橋物の沈澱物を、還元後の前記Puromycin−Segmentの溶解液(約20nmol)に溶解し、4℃で一晩放置した。
その後、エタノール沈澱を行って、反応物を沈澱させた。沈澱物を200μlの70%エタノールにて洗浄した後、30μlの滅菌水に溶解した。得られた架橋物を8M尿素12%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、SybrGold (Invitrogen社製)で染色した。
結果を
図9に示す。レーン1は10bp DNA step ladder (プロメガ社製)、レーン2はPC−Branch−Thiol−Segment、レーン3はPC−Branch−Thiol−SegmentとPuromycin−Segmentの架橋物、レーン4はPC−Branch−Biotin−Segment、レーン5はPC−Branch−Biotin−SegmentとPuromycin−Segmentの架橋物である。レーン3,5より目的の架橋物(Puro−PC−Thiol−Linker、及びPuro−PC−Biotin−Linker)が得られていることが確認された。
【0056】
(Puro−PC−Thiol−Linker、及びPuro−PC−Biotin−LinkerのHPLC精製)
上記の様に合成したPuro−PC−Thiol−Linker及びPuro−PC−Biotin−LinkerをHPLCにより精製した。
【0057】
(mRNA−核酸リンカー複合体の合成)
上述した方法により合成したBDAmRNA5pmolと、前記Puro−PC−Thiol−Linker 10pmol又はPuro−PC−Biotin−Linker 10pmolをT4 RNA Ligase buffer (タカラバイオ社製)中で混合し、90℃に加熱した後、15分間かけて25℃まで冷却した。この溶液に、0.5μlのT4ポリヌクレオチドキナーゼ(10U/μl、東洋紡績社製)と、0.5μlのT4 RNAリガーゼ(40U/μl、タカラバイオ社製)を加えて混合し、25℃で15分間反応させた。
反応産物を8M尿素8%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、SybrGold(Invitrogen社製)にて染色した。結果を
図10に示す。
レーン1は100bp DNA ladder (プロメガ社製)、レーン2はmRNA(BDA)、レーン3はPuro−PC−Thiol−LinkerとmRNA(BDA)とのライゲーション産物、レーン4はPuro−PC−Biotin−LinkerとmRNA(BDA)とのライゲーション産物である。
Puro−PC−Thiol−Linker、Puro−PC−Biotin−LinkerともにmRNAと連結し、高分子量側にバンドがシフトしていることが観察でき、合成した核酸リンカーがmRNAと連結する能力を有していることが確認できた。
【0058】
図11に、mRNA(BDA)と、核酸リンカーをハイブリダイズさせたものの概略図を示す。
図11中、Pはピューロマイシン、PCは光切断性部位(ニトロベンジル基)を示す。大文字で示した部分はDNA部分、小文字で示した部分はmRNAを示す。Xは、5’−(B)−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTT−3’を示す。
【0059】
(無細胞翻訳系による翻訳)
上記のように合成した、核酸リンカーとmRNAのライゲーション産物を用いて翻訳反応を行った。1pmolのmRNA−核酸リンカーライゲーション産物(mRNA−Linkerライゲーション産物)と0.72μlの20x translation Mix(Ambion社製)と、10.2μlのウサギ網状赤血球の細胞溶解液であるRabbit Retic Lysate(Ambion社製)と0.3 μlのFluorotect(promega社製)に、RNaseフリー水を加えて混合し、15μlの混合液とした。
この混合液を30℃にて20分間反応させた後、6μlの3M 塩化カルシウム溶液と1.8 μlの1 M 塩化マグネシウム溶液を加え、混合した。この混合液を更に37℃で30分間反応させ、BDA遺伝子のポリペプチド鎖を合成し、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体を形成させた。反応産物を8M尿素含有SDS−6%ポリアクリルアミドゲル電気泳動にて分離し、タンパク質中に取り込まれたFluorotectの蛍光シグナルを検出した。
更に、反応産物をSybrGold(Invitrogen社製)にて染色し、mRNAを検出した。結果を
図12に示す。
レーン1はPuro−PC−Thiol−LinkerとmRNA(BDA)とのライゲーション産物、レーン2はPuro−PC−Thiol−LinkerとmRNA(BDA)とのライゲーション産物の翻訳産物、レーン3は、Puro−PC−Biotin−LinkerとmRNA(BDA)とのライゲーション産物、レーン4は、Puro−PC−Biotin−LinkerとmRNA(BDA)とのライゲーション産物の翻訳産物である。
この泳動結果より、mRNAより高分子量側に蛍光シグナルを示すmRNA−タンパク質複合体のバンドを確認でき、合成された本実施形態の核酸リンカーがタンパク質ディスプレイ能を有していることが確認された。
【0060】
以上の結果から、本実施形態の核酸リンカーは、固相上の固定化に最適で、高機能な分子操作を可能にすることが明らかである。