(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6058324
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】ターゲット供給装置の制御方法、および、ターゲット供給装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20161226BHJP
H05G 1/00 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
H05G1/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-199775(P2012-199775)
(22)【出願日】2012年9月11日
(65)【公開番号】特開2014-56891(P2014-56891A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】300073919
【氏名又は名称】ギガフォトン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001988
【氏名又は名称】特許業務法人小林国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薮 隆之
(72)【発明者】
【氏名】植野 能史
(72)【発明者】
【氏名】児玉 健
【審査官】
佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−166041(JP,A)
【文献】
特開2012−169359(JP,A)
【文献】
特開2011−003887(JP,A)
【文献】
特表2008−532286(JP,A)
【文献】
特開2010−062141(JP,A)
【文献】
特開2004−111907(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/137625(WO,A1)
【文献】
特表2008−532228(JP,A)
【文献】
特開2000−340395(JP,A)
【文献】
特開2013−073733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20 − 7/24 、 9/00 − 9/02 、
H01L21/027、21/30
H05G 1/00 − 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージセンサを含むEUV光生成装置に備えられ、ノズルを有し、内部にターゲット物質を収容するターゲット生成器と、
前記ターゲット生成器内部の圧力を制御する圧力制御部と、を含むターゲット供給装置を用い、
前記圧力制御部が前記ターゲット生成器内部を加圧することで、前記ターゲット生成器内のターゲット物質を前記ノズルのノズル孔から出力することと、
前記イメージセンサが検出した前記ノズル孔から出力するターゲット物質の出力方向と設定方向との差が、所定範囲に入っているか否かを判断することと、
前記出力方向と前記設定方向との差が前記所定範囲に入るまで、前記圧力制御部が前記ターゲット生成器内部の圧力を維持することと、を含むターゲット供給装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載のターゲット供給装置の制御方法において、
前記ターゲット生成器内のターゲット物質を前記ノズルのノズル孔から出力することは、前記ターゲット物質をジェット状に出力することにより行われ、
前記ターゲット物質の出力方向と設定方向との差が、所定範囲に入っているか否かを判断することは、前記ジェット状に出力するターゲット物質の軌道と設定軌道との差が、所定範囲に入っているか否かを判断することにより行われるターゲット供給装置の制御方法。
【請求項3】
イメージセンサを含むEUV光生成装置に備えられ、ノズルを有し、内部にターゲット物質を収容するターゲット生成器と、
前記ターゲット生成器内部の圧力を制御する圧力制御部と、
前記圧力制御部を制御する制御部であって、前記ターゲット生成器内部を加圧することで、前記ターゲット生成器内のターゲット物質を前記ノズルのノズル孔から出力することと、前記イメージセンサが検出した前記ノズル孔から出力するターゲット物質の出力方向と設定方向との差が、所定範囲に入っているか否かを判断することと、前記出力方向と前記設定方向との差が前記所定範囲に入るまで、前記ターゲット生成器内部の圧力を維持することとを行う制御部とを含むターゲット供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載のターゲット供給装置において、
前記制御部は、
前記ターゲット生成器内のターゲット物質を前記ノズル孔から出力することを、前記ターゲット物質をジェット状に出力することにより行い、
前記ターゲット物質の出力方向と設定方向との差が、所定範囲に入っているか否かを判断することを、前記ジェット状に出力するターゲット物質の軌道と設定軌道との差が、所定範囲に入っているか否かを判断することにより行うターゲット供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ターゲット供給装置の制御方法、および、ターゲット供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、70nm〜45nmの微細加工、さらには32nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、例えば32nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度の極端紫外光(以下、EUV光という場合がある。)を生成するための装置と縮小投影反射光学系とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマを用いたLPP(Laser Produced Plasma)方式の装置と、放電によって生成されるプラズマを用いたDPP(Discharge Produced Plasma)方式の装置と、軌道放射光を用いたSR(Synchrotron Radiation)方式の装置との3種類の装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7405416号明細書
【0005】
本開示の一態様によるターゲット供給装置の制御方法は、イメージセンサを含むEUV光生成装置に備えられ、ノズルを有し、内部にターゲット物質を収容するターゲット生成器と、前記ターゲット生成器内部の圧力を制御する圧力制御部と、を含むターゲット供給装置を用い、前記圧力制御部が前記ターゲット生成器内部を加圧することで、前記ターゲット生成器内のターゲット物質を前記ノズルのノズル孔から出力することと、前記イメージセンサが検出した前記ノズル孔から出力するターゲット物質の出力方向と設定方向との差が、所定範囲に入っているか否かを判断することと、前記出力方向と前記設定方向との差が前記所定範囲に入るまで、前記圧力制御部が前記ターゲット生成器内部の圧力を維持することと、を含んでもよい。
【0006】
本開示の一態様によるターゲット供給装置は、イメージセンサを含むEUV光生成装置に備えられ、ノズルを有し、内部にターゲット物質を収容するターゲット生成器と、前記ターゲット生成器内部の圧力を制御する圧力制御部と、前記圧力制御部を制御する制御部であって、前記ターゲット生成器内部を加圧することで、前記ターゲット生成器内のターゲット物質を前記ノズルのノズル孔から出力することと、前記イメージセンサが検出した前記ノズル孔から出力するターゲット物質の出力方向と設定方向との差が、所定範囲に入っているか否かを判断することと、前記出力方向と前記設定方向との差が前記所定範囲に入るまで、前記ターゲット生成器内部の圧力を維持することとを行う制御部とを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
【
図1】
図1は、例示的なLPP方式のEUV光生成装置の構成を概略的に示す。
【
図2】
図2は、第1実施形態および第2実施形態に係るターゲット供給装置を含むEUV光生成装置の構成を概略的に示す。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るターゲット供給装置の構成を概略的に示す。
【
図4A】
図4Aは、第1実施形態の課題を説明するための図であり、ターゲット供給装置がジェットを出力していないときの状態を示す。
【
図4B】
図4Bは、前記課題を説明するための図であり、ターゲット供給装置がジェットを出力しているときの状態を示す。
【
図5】
図5は、ターゲット供給装置の制御方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、ターゲット供給装置の制御方法を示すタイミングチャートである。
【
図7A】
図7Aは、ターゲット供給装置がジェットを出力していないときの状態を示す。
【
図7B】
図7Bは、ターゲット供給装置がジェットを出力しているときの状態であって、ジェットの軌道が設定軌道からずれている状態を示す。
【
図7C】
図7Cは、ターゲット供給装置がジェットを出力しているときの状態であって、ジェットの軌道が設定軌道とほぼ一致している状態を示す。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係るターゲット供給装置の構成を概略的に示す。
【
図9】
図9は、ターゲット供給装置のノズルの構成を概略的に示す。
【
図10A】
図10Aは、第2実施形態の課題を説明するための図であり、ターゲット供給装置がドロップレットを生成していないときの状態を示す。
【
図10B】
図10Bは、前記課題を説明するための図であり、ターゲット供給装置が生成したドロップレットが静電引出部で放出される前の状態を示す。
【
図11】
図11は、ターゲット供給装置の制御方法を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、ターゲット供給装置の制御方法を示すフローチャートであって、
図11に続く処理を表す。
【
図13】
図13は、ターゲット供給装置の制御方法を示すタイミングチャートである。
【
図14A】
図14Aは、ターゲット供給装置がドロップレットを生成していないときの状態を示す。
【
図14B】
図14Bは、ターゲット供給装置が生成したドロップレットが静電引出部で放出される前の状態であって、ドロップレットの中心位置がノズル孔の中心軸からずれている状態を示す。
【
図14C】
図14Cは、ターゲット供給装置が生成したドロップレットが静電引出部で放出される前の状態であって、ドロップレットの中心位置がノズル孔の中心軸とほぼ一致している状態を示す。
【0008】
内容
1.概要
2.EUV光生成装置の全体説明
2.1 構成
2.2 動作
3.ターゲット供給装置を含むEUV光生成装置
3.1 第1実施形態
3.1.1 概略
3.1.2 構成
3.1.3 動作
3.2 第2実施形態
3.2.1 概略
3.2.2 構成
3.2.3 動作
3.3 変形例
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成および動作の全てが本開示の構成および動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
1.概要
本開示の実施形態においては、ターゲット供給装置の制御方法は、イメージセンサを含むEUV光生成装置に備えられ、ノズルを有し、内部にターゲット物質を収容するターゲット生成器と、前記ターゲット生成器内部の圧力を制御する圧力制御部と、を含むターゲット供給装置を用い、前記圧力制御部が前記ターゲット生成器内部を加圧することで、前記ターゲット生成器内のターゲット物質を前記ノズルのノズル孔から出力することと、前記イメージセンサが検出した前記ノズル孔から出力するターゲット物質の出力方向と設定方向との差が、所定範囲に入っているか否かを判断することと、前記出力方向と前記設定方向との差が前記所定範囲に入るまで、前記圧力制御部が前記ターゲット生成器内部の圧力を維持することと、を含んでもよい。
【0011】
本開示の実施形態においては、ターゲット供給装置は、イメージセンサを含むEUV光生成装置に備えられ、ノズルを有し、内部にターゲット物質を収容するターゲット生成器と、前記ターゲット生成器内部の圧力を制御する圧力制御部と、前記圧力制御部を制御する制御部であって、前記ターゲット生成器内部を加圧することで、前記ターゲット生成器内のターゲット物質を前記ノズルのノズル孔から出力することと、前記イメージセンサが検出した前記ノズル孔から出力するターゲット物質の出力方向と設定方向との差が、所定範囲に入っているか否かを判断することと、前記出力方向と前記設定方向との差が前記所定範囲に入るまで、前記ターゲット生成器内部の圧力を維持することとを行う制御部とを含んでもよい。
【0012】
2.EUV光生成装置の全体説明
2.1 構成
図1は、例示的なLPP方式のEUV光生成装置1の構成を概略的に示す。EUV光生成装置1は、少なくとも1つのレーザ装置3と共に用いられてもよい。EUV光生成装置1およびレーザ装置3を含むシステムを、以下、EUV光生成システム11と称する。
図1を参照に、以下に詳細に説明されるように、EUV光生成装置1は、チャンバ2を含んでもよい。チャンバ2は、密閉可能であってもよい。EUV光生成装置1は、ターゲット供給装置7をさらに含んでもよい。ターゲット供給装置7は、例えばチャンバ2に取り付けられていてもよい。ターゲット供給装置7から供給されるターゲットの材料は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、キセノン、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せ等を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0013】
チャンバ2の壁には、少なくとも1つの貫通孔が設けられていてもよい。その貫通孔をレーザ装置3から出力されたパルスレーザ光32が通過するように、レーザ装置3等が配置されてもよい。あるいは、チャンバ2には、その貫通孔を塞ぐように、かつ、レーザ装置3から出力されたパルスレーザ光32が透過するように、少なくとも1つのウインドウ21が設けられてもよい。チャンバ2の内部には例えば、回転楕円面形状の反射面を有するEUV集光ミラー23が配置されてもよい。EUV集光ミラー23は、第1焦点および第2焦点を有し得る。EUV集光ミラー23の表面には例えば、モリブデンとシリコンとが交互に積層された多層反射膜が形成されてもよい。EUV集光ミラー23は、例えば、その第1焦点がプラズマ生成位置またはその近傍のプラズマ生成領域25に位置し、その第2焦点が露光装置の仕様によって規定される所望の集光位置(中間焦点(IF)中間焦点292)に位置するように配置されるのが好ましい。所望の集光位置は中間焦点(IF)292と呼んでもよい。なお、プラズマの生成については、後に説明する。EUV集光ミラー23の中央部には、貫通孔24が設けられてもよい。EUV集光ミラー23は、パルスレーザ光33が貫通孔24を通過するように配置されてもよい。
【0014】
EUV光生成装置1は、EUV光生成制御システム5を含んでいてもよい。また、EUV光生成装置1は、ターゲットセンサ4を含んでもよい。ターゲットセンサ4は、ターゲットの存在、軌道、位置等を検出してもよい。ターゲットセンサ4は、撮像機能を有してもよい。
【0015】
さらに、EUV光生成装置1は、チャンバ2内部と露光装置6内部とを連通させるための接続部29を含んでもよい。接続部29内部には、アパーチャが形成された壁291が設けられてもよい。壁291は、そのアパーチャがEUV集光ミラー23の第2焦点位置に位置するように配置されてもよい。
【0016】
さらに、EUV光生成装置1は、レーザ光進行方向制御部34、レーザ光集光光学系22、ドロップレット27を回収するためのターゲット回収装置28等を含んでもよい。レーザ光進行方向制御部34は、レーザ光の進行方向を規定するための光学素子と、この光学素子の位置や姿勢等を調節するためのアクチュエータとを備えてもよい。
【0017】
2.2 動作
図1を参照すると、レーザ装置3から出力されたパルスレーザ光31は、レーザ光進行方向制御部34を経て、パルスレーザ光32としてウインドウ21を透過して、チャンバ2に入射してもよい。パルスレーザ光32は、少なくとも1つのレーザ光経路に沿ってチャンバ2内に進み、レーザ光集光光学系22で反射されて、パルスレーザ光33として少なくとも1つのドロップレット27に照射されてもよい。
【0018】
ターゲット供給装置7からは、ドロップレット27がチャンバ2内部のプラズマ生成領域25に向けて出力されてもよい。ドロップレット27には、パルスレーザ光33に含まれる少なくとも1つのパルスレーザ光が照射され得る。パルスレーザ光33が照射されたドロップレット27はプラズマ化し、そのプラズマからEUVを含む光251(以下、「EUV光を含む光」を「EUV光」と表現する場合がある)が放射され得る。EUV光251は、EUV集光ミラー23によって集光されるとともに反射されてもよい。EUV集光ミラー23で反射されたEUV光252は、中間焦点292を通って露光装置6に出力されてもよい。なお、1つのドロップレット27に、パルスレーザ光33に含まれる複数のパルスレーザ光が照射されてもよい。
【0019】
EUV光生成制御システム5は、EUV光生成システム11全体の制御を統括してもよい。EUV光生成制御システム5は、ターゲットセンサ4によって撮像されたドロップレット27のイメージデータ等を処理してもよい。EUV光生成制御システム5は、例えば、ドロップレット27を出力するタイミングやドロップレット27の出力速度等を制御してもよい。また、EUV光生成制御システム5は、例えば、レーザ装置3のレーザ発振タイミングやパルスレーザ光32の進行方向やパルスレーザ光33の集光位置等を制御してもよい。上述の様々な制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて他の制御を追加してもよい。
【0020】
3.ターゲット供給装置を含むEUV光生成装置
3.1 第1実施形態
3.1.1 概略
本開示の第1実施形態のターゲット供給装置の制御方法において、前記ターゲット生成器内のターゲット物質を前記ノズルのノズル孔から出力することは、前記ターゲット物質をジェット状に出力することにより行われ、前記ターゲット物質の出力方向と設定方向との差が、所定範囲に入っているか否かを判断することは、前記ジェット状に出力するターゲット物質の軌道と設定軌道との差が、所定範囲に入っているか否かを判断することにより行われてもよい。
本開示の第1実施形態のターゲット供給装置において、前記制御部は、前記ターゲット生成器内のターゲット物質を前記ノズル孔から出力することを、前記ターゲット物質をジェット状に出力することにより行い、前記ターゲット物質の出力方向と設定方向との差が、所定範囲に入っているか否かを判断することを、前記ジェット状に出力するターゲット物質の軌道と設定軌道との差が、所定範囲に入っているか否かを判断することにより行ってもよい。
【0021】
3.1.2 構成
図2は、第1実施形態および後述する第2実施形態に係るターゲット供給装置を含むEUV光生成装置の構成を概略的に示す。
図3は、第1実施形態に係るターゲット供給装置の構成を概略的に示す。
EUV光生成装置1Aは、
図2に示すように、チャンバ2と、ターゲット供給装置7Aとを備えてもよい。ターゲット供給装置7Aは、ターゲット生成部70Aと、ターゲット制御装置80Aとを備えてもよい。ターゲット制御装置80Aには、レーザ装置3と、EUV光生成制御システム5Aとが電気的に接続されてもよい。
【0022】
ターゲット生成部70Aは、
図2および
図3に示すように、ターゲット生成器71Aと、圧力制御部72Aと、温度制御部73Aと、ピエゾ部75Aとを備えてもよい。
ターゲット生成器71Aは、内部にターゲット物質270を収容するためのタンク711Aを備えてもよい。タンク711Aは、筒状であってもよい。タンク711Aには、当該タンク711A内のターゲット物質270を、ドロップレット27としてチャンバ2内に出力するためのノズル712Aが設けられていてもよい。ターゲット生成器71Aは、タンク711Aがチャンバ2外部に位置し、ノズル712Aがチャンバ2内部に位置するように設けられてもよい。
ノズル712Aは、ターゲット物質270との濡れ性が低い材料で構成されるのが好ましい。具体的には、ターゲット物質270との濡れ性が低い材料とは、ターゲット物質270との接触角が90°を超える材料であってもよい。接触角が90°以上の材料は、SiC、SiO
2、Al
2O
3、モリブデン、タングステン、タンタルのいずれかであってもよい。
ノズル712Aのノズル孔713Aは、内壁面714A(
図4(A)参照)と、開口部715A(
図4(A)参照)とを備えてもよい。内壁面714Aは、ノズル孔713Aの軸がノズル712Aの軸と一致する筒状に形成されてもよい。開口部715Aは、ノズル孔713Aの第1の端に設けられてもよい。
【0023】
チャンバ2の設置形態によっては、予め設定されるドロップレット27の出力方向(ノズル712Aの軸方向(設定出力方向10Aと称する))は、必ずしも重力方向10Bと一致するとは限らない。重力方向10Bに対して、斜め方向や水平方向に、ドロップレット27が出力されるよう構成されてもよい。なお、第1実施形態では、設定出力方向10Aが重力方向10Bと一致するようにチャンバ2が設置されてもよい。
【0024】
タンク711Aの端部719Aには、
図2および
図3に示すように、配管727Aを介して不活性ガスボンベ721Aが接続されてもよい。配管727Aは、第1の端が不活性ガスボンベ721Aに連結されてもよい。配管727Aは、第2の端がタンク711A内に位置するように、端部719Aに連結されてもよい。このような構成によって、不活性ガスボンベ721A内の不活性ガスが、ターゲット生成器71A内に供給され得る。
【0025】
配管727Aには、圧力制御部72Aが設けられてもよい。圧力制御部72Aは、第1バルブV1と、第2バルブV2と、圧力センサ722Aとを備えてもよい。
第1バルブV1は、配管727Aに設けられてもよい。
配管727Aにおける第1バルブV1よりタンク711A側には、配管728Aが連結されてもよい。配管728Aは、第1の端が配管727Aの側面に連結されてもよい。配管728Aは、第2の端が開放されてもよい。第2バルブV2は、配管728Aの途中に設けられてもよい。
第1バルブV1および第2バルブV2は、ゲートバルブ、ボールバルブ、バタフライバルブなどのいずれかであってもよい。第1バルブV1と第2バルブV2とは、同じ種類のバルブであってもよいし、異なる種類のバルブであってもよい。
第1バルブV1および第2バルブV2には、ターゲット制御装置80Aが電気的に接続されてもよい。第1バルブV1および第2バルブV2は、ターゲット制御装置80Aから送信される信号に基づいて、それぞれ独立して開閉を切り替えられてもよい。
【0026】
第1バルブV1が開くと、不活性ガスボンベ721A内の不活性ガスが、配管727Aを介してターゲット生成器71A内に供給され得る。第2バルブV2が閉じると、配管727A内に存在する不活性ガスが、配管728Aの第2の端から当該配管727Aの外部に排出されることを防止し得る。このことにより、第1バルブV1が開くとともに、第2バルブV2が閉じると、ターゲット生成器71A内の圧力が、不活性ガスボンベ721A内の圧力まで上がり得る。その後、ターゲット生成器71A内の圧力は、不活性ガスボンベ721A内の圧力で維持され得る。
第1バルブV1が閉じると、不活性ガスボンベ721A内の不活性ガスが、配管727Aを介してターゲット生成器71A内に供給されることを防止し得る。第2バルブV2が開くと、配管727Aの内部と当該配管727Aの外部との間の圧力差によって、配管727A内に存在する不活性ガスが、配管728Aの第2の端から当該配管727Aの外部に排出され得る。このことにより、第1バルブV1が閉じるとともに、第2バルブV2が開くと、ターゲット生成器71A内の圧力が下がり得る。
【0027】
配管727Aにおける配管728Aよりタンク711A側には、配管729Aが連結されてもよい。配管729Aは、第1の端が配管727Aの側面に連結されてもよい。配管728Aの第2の端には、圧力センサ722Aが設けられてもよい。圧力センサ722Aには、ターゲット制御装置80Aが電気的に接続されてもよい。圧力センサ722Aは、配管729A内に存在する不活性ガスの圧力を検出して、この検出した圧力に対応する信号をターゲット制御装置80Aに送信してもよい。配管729A内の圧力は、配管727Aの圧力およびターゲット生成器71A内の圧力とほぼ同一の圧力となり得る。
【0028】
温度制御部73Aは、タンク711A内のターゲット物質270の温度を制御するよう構成されてもよい。温度制御部73Aは、ヒータ731Aと、ヒータ電源732Aと、温度センサ733Aと、温度コントローラ734Aとを備えてもよい。ヒータ731Aは、タンク711Aの外周面に設けられてもよい。ヒータ電源732Aは、温度コントローラ734Aからの信号に基づいて、ヒータ731Aに電力を供給してヒータ731Aを発熱させてもよい。それにより、タンク711A内のターゲット物質270が、タンク711Aを介して加熱され得る。
温度センサ733Aは、タンク711Aの外周面におけるノズル712A側に設けられてもよいし、タンク711A内に設けられてもよい。温度センサ733Aは、タンク711Aにおける主に温度センサ733Aの設置位置およびその近傍の位置の温度を検出して、当該検出した温度に対応する信号を温度コントローラ734Aに送信するよう構成されてもよい。温度センサ733Aの設置位置およびその近傍の位置の温度は、タンク711A内のターゲット物質270の温度とほぼ同一の温度となり得る。
温度コントローラ734Aは、温度センサ733Aからの信号に基づいて、ターゲット物質270の温度を所定温度に制御するための信号をヒータ電源732Aに出力するよう構成されてもよい。
【0029】
ピエゾ部75Aは、ピエゾ素子751Aと、電源752Aとを備えてもよい。ピエゾ素子751Aは、チャンバ2内において、ノズル712Aの外周面に設けられてもよい。ピエゾ素子751Aの代わりに、高速でノズル712Aに振動を加えることが可能な機構が設けられてもよい。電源752Aは、フィードスルー753Aを介してピエゾ素子751Aに電気的に接続されてもよい。電源752Aは、ターゲット制御装置80Aに電気的に接続されてもよい。
ターゲット生成部70Aは、コンティニュアスジェット方式でジェット27Aを生成し、ノズル712Aから出力したジェット27Aを振動させることで、ドロップレット27を生成するよう構成されてもよい。
【0030】
チャンバ2には、
図3に示すように、第1ターゲットセンサ41Aと、第2ターゲットセンサ42Aとが設けられてもよい。第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42Aは、本開示のイメージセンサであってもよい。
第1ターゲットセンサ41Aは、ターゲット生成器71Aに対して−X方向側(
図3における左側)に設けられてもよい。第2ターゲットセンサ42Aは、ターゲット生成器71Aに対して−Y方向側(
図3における紙面奥側)に設けられてもよい。第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42Aは、ノズル712Aから出力するジェット27Aを、−X方向側および−Y方向側からそれぞれ検出できるように設けられてもよい。
第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42Aは、ターゲット制御装置80Aに電気的に接続されてもよい。第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42Aは、検出したジェット27Aの形状に対応する信号をターゲット制御装置80Aに送信してもよい。
【0031】
ターゲット制御装置80Aは、本開示の制御部であってもよい。ターゲット制御装置80Aには、タイマ81Aが電気的に接続されてもよい。ターゲット制御装置80Aは、温度コントローラ734Aに信号を送信して、ターゲット生成器71A内のターゲット物質270の温度を制御してもよい。ターゲット制御装置80Aは、圧力制御部72Aの第1バルブV1および第2バルブV2に信号を送信して、ターゲット生成器71A内の圧力を制御してもよい。
【0032】
3.1.3 動作
図4Aは、第1実施形態の課題を説明するための図であり、ターゲット供給装置がジェットを出力していないときの状態を示す。
図4Bは、前記課題を説明するための図であり、ターゲット供給装置がジェットを出力しているときの状態を示す。
図5は、ターゲット供給装置の制御方法を示すフローチャートである。
図6は、ターゲット供給装置の制御方法を示すタイミングチャートである。
図7Aは、ターゲット供給装置がジェットを出力していないときの状態を示す。
図7Bは、ターゲット供給装置がジェットを出力しているときの状態であって、ジェットの軌道が設定軌道からずれている状態を示す。
図7Cは、ターゲット供給装置がジェットを出力しているときの状態であって、ジェットの軌道が設定軌道とほぼ一致している状態を示す。
図7Dは、
図7Cの状態からジェットの出力を停止した状態を示す。
なお、以下において、ターゲット物質270がスズの場合を例示して、ターゲット供給装置7Aの制御方法を説明する。ターゲット制御装置80Aは、圧力センサ722Aから送信される信号を受信して、この受信した信号に基づいて、ターゲット生成器71A内の圧力を判断してもよい。ターゲット制御装置80Aは、タイマ81Aから送信される信号を受信して、この受信した信号に基づいて、時刻を判断してもよい。
【0033】
まず、第1実施形態のターゲット供給装置の制御方法が解決しようとする課題について説明する。
EUV光生成装置1の作業者は、新しいターゲット生成器71Aあるいはメンテナンスを行ったターゲット生成器71Aをチャンバ2に取り付けてもよい。
ターゲット供給装置7Aのターゲット制御装置80Aは、温度制御部73Aを制御して、
図4Aに示すように、ターゲット物質270が溶融するまでターゲット物質270を加熱してもよい。ターゲット制御装置80Aは、ジェット27Aを出力するために、ターゲット生成器71A内の圧力を圧力PJに設定してもよい。圧力PJは、1MPa以上、10MPa以下であってもよい。ターゲット生成器71A内の圧力が圧力PJに到達すると、
図4Bに示すように、ノズル712Aのノズル孔713Aからジェット27Aが出力し得る。
【0034】
このとき、ジェット27Aの軌道C1が設定軌道CAからずれることがあり得る。設定軌道CAは、ノズル712Aの中心軸と一致するように設定されてもよい。この軌道C1が設定軌道CAからずれる原因は、以下のように推測し得る。
ターゲット生成器71A内の圧力によって、ターゲット物質270が
図4Aに示す状態から押し出されるとき、ノズル712Aの内壁面714Aには、ターゲット物質270と接触する領域と、ターゲット物質270と接触しない領域とが存在し得る。この場合、内壁面714Aのうちターゲット物質270と接触した領域は、ターゲット物質270が濡れやすくなり得る。その結果、ターゲット物質270が内壁面714Aの一部のみを伝って、開口部715Aの一部のみに到達し得る。例えば、ターゲット物質270が内壁面714Aのうち
図4Bにおける右側の領域のみを伝って、開口部715Aのうち右側の領域のみに到達し得る。この右側の領域のみ到達した当該ターゲット物質270が、ジェット27Aとして出力するとき、当該ジェット27Aの軌道C1が設定軌道CAから右側にずれ得る。
この設定軌道CAから軌道C1にずれたジェット27Aが出力している状態において、ターゲット制御装置80Aがピエゾ部75Aを制御してノズル712Aに振動を加えると、この振動により生成されたドロップレット27が意図しない方向に出力され得る。
このような課題を解決するため、EUV光を生成するためのドロップレット27の出力処理を開始する前に、
図5および
図6に示すターゲット供給装置7Aの制御方法を行ってもよい。
【0035】
ターゲット供給装置7Aのターゲット制御装置80Aは、ノズル712Aがチャンバ2内部に位置し、かつ、チャンバ2内部が真空の状態において、ドロップレット27を生成する処理の前処理として、
図5に示すような処理を行ってもよい。
ターゲット制御装置80Aは、ターゲット生成器71A内の圧力を圧力PLに設定してもよい(ステップS1)。ターゲット制御装置80Aは、圧力制御部72Aの第1バルブV1と第2バルブV2とに信号を送信して、第1バルブV1と第2バルブV2との開度を調整してもよい。これにより、不活性ガスボンベ721A内の不活性ガスがターゲット生成器71A内に供給され、
図6に示すように、時刻T0において、ターゲット生成器71A内の圧力が圧力PLまで上がり得る。圧力PLは、
図7Aに示すように、ターゲット物質270の端部がノズル孔713Aにおける開口部715Aと反対の端(上端)に位置する大きさであってもよい。圧力PLは、例えば大気圧以下であってもよく、0.05MPaであってもよい。
【0036】
ターゲット制御装置80Aは、
図5に示すように、温度コントローラ734Aにスズの融点Tm以上の目標温度Tsを設定してもよい(ステップS2)。スズの融点Tmは、232℃であってもよい。目標温度Tsは、280℃〜350℃であってもよい。このステップS2の処理により、ターゲット生成器71A内のターゲット物質270の温度Tが上がり得る。
ターゲット制御装置80Aは、ターゲット生成器71A内のターゲット物質270の温度Tが所定の温度範囲内にあるか否かを判断してもよい(ステップS3)。所定の温度範囲は、下限温度Tsmin以上、上限温度Tsmax以下であってもよい。所定の温度範囲の中心値である目標温度Tsは、315℃であってもよい。
ターゲット制御装置80Aは、ステップS3の判断基準を満たすと判断すると、この温度制御をそのまま継続してもよい(ステップS4)。ターゲット制御装置80Aは、ステップS3の判断基準を満たさないと判断すると、ステップS2の処理を行ってもよい。このステップS2の処理が行われると、温度Tが下限温度Tsminより低い場合には、ターゲット物質270の温度が上がり得る。温度Tが上限温度Tsmaxより高い場合には、ターゲット物質270の温度が下がり得る。
【0037】
ターゲット制御装置80Aは、ターゲット生成器71A内の圧力を圧力PJに設定してもよい(ステップS5)。ターゲット制御装置80Aは、第1バルブV1と第2バルブV2とに信号を送信して、第1バルブV1と第2バルブV2との開度を調整してもよい。圧力PJは、ターゲット生成器71A内のターゲット物質270がノズル712Aからジェット27Aとして出力する大きさであってもよい。圧力PJは、上述したように、1MPa以上、10MPa以下であってもよい。
このステップS5の処理が行われると、ターゲット生成器71A内の圧力は、
図6に示すように、時刻T1から上がり始め、時刻T2に圧力PJに到達し得る。ターゲット生成器71A内の圧力が圧力PJに到達すると、
図7Bに示すように、ターゲット物質270が押され、ノズル孔713Aからジェット27Aが出力し得る。このとき、上述したように、ジェット27Aの軌道C1が設定軌道CAに対してずれ得る。
【0038】
第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42Aは、
図5に示すように、ジェット27Aを観測してもよい(ステップS6)。第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42Aは、ジェット27Aを−X方向側および−Y方向側からそれぞれ観測(検出)し得る。第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42Aは、ジェット27Aの観測結果(検出結果)に対応する信号を、ターゲット制御装置80Aに送信してもよい。
ターゲット制御装置80Aは、ジェット27Aの方向を計算してもよい(ステップS7)。ターゲット制御装置80Aは、第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42Aから送信される信号に基づいて、ジェット27Aを−X方向側および−Y方向側から観測したときのジェット27Aの出力状態を計算してもよい。ターゲット制御装置80Aは、この計算した出力状態に基づいて、ジェット27Aの方向として軌道C1を計算してもよい。このとき、第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42Aによる異なる2方向からの観測結果に基づいて、ターゲット制御装置80Aは、高精度にジェット27Aの方向を計算し得る。
【0039】
ターゲット制御装置80Aは、ノズル孔713Aから出力しているジェット27Aの軌道C1と設定軌道CAとのなす角度Δθが、所定の角度範囲内にあるか否かを判断してもよい(ステップS8)。
図7Bに示す角度Δθが所定の角度範囲内にあるかの判断は、当該角度Δθの絶対値が閾角度Δθmax以下か否かを判断することにより行われてもよい。閾角度Δθmaxは、数度(例えば、0°≦Δθmax≦3°)であってもよい。
【0040】
ここで、
図7Bに示すように、ジェット27Aの軌道C1が設定軌道CAからずれた状態で当該ジェット27Aが出力し続けると、内壁面714Aにおけるターゲット物質270と接触している領域がノズル孔713Aの周方向に沿って徐々に広がり得る。その結果、ターゲット物質270が内壁面714Aの全域と接触し、当該内壁面714Aの全域を伝って開口部715Aの全域に到達し得る。この開口部715Aの全域に到達したターゲット物質270がジェット27Aとして出力されるとき、
図7Cに示すように、当該ジェット27Aの軌道C1が設定軌道CAとほぼ一致し得る。すなわち、角度Δθの絶対値がほぼ0となり得る。
【0041】
ターゲット制御装置80Aは、
図5に示すように、ステップS8の判断基準を満たさないと判断した場合、ステップS6の処理を行ってもよい。例えば、ジェット27Aが
図7Bに示すように出力している場合、角度Δθが所定の角度範囲内にないと判断し得る。
一方、ターゲット制御装置80Aは、ステップS8の判断基準を満たすと判断した場合、ターゲット生成器71A内の圧力を圧力PLに設定してもよい(ステップS9)。例えば、ターゲット制御装置80Aは、
図6に示すような時刻T3において、ジェット27Aが
図7Cに示すように出力している場合、角度Δθが所定の角度範囲内にあると判断し得る。
ステップS9の処理が行われると、ターゲット生成器71A内の圧力は、
図6に示すように、時刻T4から下がり始め、時刻T5に圧力PLに到達し得る。ターゲット生成器71A内の圧力が圧力PLに到達するまでの間に、
図7Dに示すように、ターゲット物質270が内壁面714Aの全域に接触した状態で、ジェット27Aの出力が停止し得る。
【0042】
この後、ターゲット制御装置80Aは、EUV光を生成するために、ターゲット生成部70Aを制御してドロップレット27を生成してもよい。このとき、上述のターゲット供給装置7Aの制御方法によって、内壁面714Aの全域がターゲット物質270と濡れやすくなっているため、
図7Dに示すように、ターゲット物質270が内壁面714Aの全域に接触した状態からジェット27Aの出力が開始され得る。その結果、ジェット27Aの軌道C1が設定軌道CAとほぼ一致した状態で出力され、ドロップレット27が意図する方向に(プラズマ生成領域25に)出力され得る。
【0043】
上述のように、ドロップレット27を出力する処理の前処理として、ターゲット制御装置80Aがノズル孔713Aから出力するターゲット物質270の出力方向と設定方向との差が所定範囲に入るまで、ターゲット生成器71A内部の圧力を圧力PJに維持する処理を行うので、当該前処理後にドロップレット27が適切に出力し得る。
【0044】
ターゲット制御装置80Aは、ジェット27Aの軌道C1と設定軌道CAとのなす角度Δθが所定の角度範囲内にあるか否かを判断することで、コンティニュアスジェット方式においてドロップレット27を適切に出力し得る。
【0045】
3.2 第2実施形態
3.2.1 概略
本開示の第2実施形態のターゲット供給装置の制御方法において、前記ターゲット生成器内のターゲット物質を前記ノズルのノズル孔から出力することは、前記ターゲット物質を前記ノズル孔から押し出して、前記ターゲット物質を前記ノズルの先端に付着させることにより行われ、前記ターゲット物質の出力方向と設定方向との差が、所定範囲に入っているか否かを判断することは、前記ノズルの先端に付着したターゲット物質の位置と前記ノズル孔の中心軸との差が、所定範囲に入っているか否かを判断することにより行われてもよい。
本開示の第2実施形態のターゲット供給装置において、前記制御部は、前記ターゲット生成器内のターゲット物質を前記ノズル孔から出力することを、前記ターゲット物質を前記ノズル孔から押し出して、前記ターゲット物質を前記ノズルの先端に付着させることにより行い、前記ターゲット物質の出力方向と設定方向との差が、所定範囲に入っているか否かを判断することを、前記ノズルの先端に付着したターゲット物質の位置と前記ノズル孔の中心軸との差が、所定範囲に入っているか否かを判断することにより行ってもよい。
【0046】
3.2.2 構成
図8は、第2実施形態に係るターゲット供給装置の構成を概略的に示す。
図9は、ターゲット供給装置のノズルの構成を概略的に示す。
第2実施形態のEUV光生成装置1Bは、
図8に示すように、ターゲット供給装置7Bのターゲット生成部70Bと、ターゲット制御装置80B以外の構成については、第1実施形態のEUV光生成装置1Aと同様のものを適用してもよい。
第2実施形態では、設定出力方向10Aが重力方向10Bと一致するようにチャンバ2が設置されてもよい。
【0047】
ターゲット生成部70Bは、ターゲット生成器71Bと、圧力制御部72Aと、温度制御部73Aと、静電引出部75Bとを備えてもよい。
ターゲット生成器71Bは、
図8および
図9に示すように、タンク711Bを備えてもよい。タンク711Bは、筒状であってもよい。タンク711Bには、ノズル712Bが設けられていてもよい。ターゲット生成器71Bは、タンク711Bがチャンバ2外部に位置し、ノズル712Bがチャンバ2内部に位置するように設けられてもよい。
【0048】
ノズル712Bは、ノズル本体713Bと、保持部714Bと、出力部715Bとを備えてもよい。ノズル本体713Bは、タンク711Bの下面からチャンバ2内に突出するように設けられてもよい。保持部714Bは、ノズル本体713Bの先端に設けられてもよい。保持部714Bは、ノズル本体713Bよりも直径が大きい円筒状に形成されても
よい。
【0049】
出力部715Bは、略円板状に形成されてもよい。出力部715Bは、ノズル本体713Bの先端面に密着するように、保持部714Bによって保持されてもよい。出力部715Bの中央部分には、円錐台状の突出部716Bが設けられてもよい。出力部715Bは、突出部716Bがチャンバ2内に突出するように設けられてもよい。
突出部716Bは、そこに電界が集中し易いようにするために設けられてもよい。突出部716Bには、突出部716Bにおける円錐台上面部を構成する先端部の略中央部に開口するノズル孔717Bが設けられてもよい。ノズル孔717Bの直径は、6〜15μmであってもよい。ノズル孔717Bは、内壁面717B1(
図10(A)参照)と、開口部717B2(
図10(A)参照)とを備えてもよい。内壁面717B1は、ノズル孔717Bの軸がノズル712Bの軸と一致する筒状に形成されてもよい。開口部717B2は、内壁面717B1の第1の端に設けられてもよい。出力部715Bは、出力部715Bとターゲット物質270との濡れ性が低い材料で構成されるのが好ましい。あるいは、出力部715Bの少なくとも表面が、当該濡れ性が低い材料でコーティングされてもよい。当該濡れ性が低い材料は、第1実施形態において、ノズル712Aの材料として例示した材料と同じであってもよい。
【0050】
タンク711Bと、ノズル712Bと、出力部715Bとは、電気絶縁材料で構成されてもよい。これらが、電気絶縁材料ではない材料、例えばモリブデンなどの金属材料で構成される場合には、チャンバ2とターゲット生成器71Bとの間や、出力部715Bと後述する第1電極751Bとの間に電気絶縁材料が配置されてもよい。この場合、タンク711Bと後述するパルス電圧生成器753Bとが電気的に接続されてもよい。
【0051】
また、突出部716Bの先端には、静電引出部75Bによって突出部716Bから引き出される前のドロップレット27Bが付着してもよい。
保持部714Bには、2個の貫通孔710Bが設けられてもよい。貫通孔710Bは、突出部716Bの先端に付着したドロップレット27Bを、第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42Aが観測できるように、設けられてもよい。
【0052】
静電引出部75Bは、第1電極751Bと、第2電極752Bと、パルス電圧生成器753Bと、電圧源754Bとを備えてもよい。後に説明するように、第1電極751Bの電位と第2電極752Bの電位との間の電位差を利用して、ドロップレット27Bを出力部715Bから引き出してもよい。
【0053】
第1電極751Bの中央には、円形状の貫通孔755Bが形成されてもよい。第1電極751Bは、出力部715Bとの間に隙間が形成されるように、保持部714Bによって保持されてもよい。第1電極751Bは、貫通孔755Bの中心軸と、突出部716Bの軸とが一致するように保持されるのが好ましい。ドロップレット27Bは円形状の貫通孔755Bを通過し得る。第1電極751Bには、フィードスルー758Bを介してパルス電圧生成器753Bが電気的に接続されてもよい。
第2電極752Bは、タンク711B内のターゲット物質270中に配置されてもよい。第2電極752Bには、フィードスルー759Bを介して電圧源754Bが電気的に接続されてもよい。
パルス電圧生成器753Bおよび電圧源754Bは、接地されてもよい。パルス電圧生成器753Bおよび電圧源754Bには、ターゲット制御装置80Bが電気的に接続されてもよい。
【0054】
3.2.3 動作
以下において、第1実施形態と同様の動作については、説明を省略する。
図10Aは、第2実施形態の課題を説明するための図であり、ターゲット供給装置がドロップレットを生成していないときの状態を示す。
図10Bは、前記課題を説明するための図であり、ターゲット供給装置が生成したドロップレットが静電引出部で放出される前の状態を示す。
図11は、ターゲット供給装置の制御方法を示すフローチャートである。
図12は、ターゲット供給装置の制御方法を示すフローチャートであって、
図11に続く処理を表す。
図13は、ターゲット供給装置の制御方法を示すタイミングチャートである。
図14Aは、ターゲット供給装置がドロップレットを生成していないときの状態を示す。
図14Bは、ターゲット供給装置が生成したドロップレットが静電引出部で放出される前の状態であって、ドロップレットの中心位置がノズル孔の中心軸からずれている状態を示す。
図14Cは、ターゲット供給装置が生成したドロップレットが静電引出部で放出される前の状態であって、ドロップレットの中心位置がノズル孔の中心軸とほぼ一致している状態を示す。
図14Dは、
図14Cの状態からドロップレットの生成を停止した状態を示す。
【0055】
まず、第2実施形態のターゲット供給装置の制御方法が解決しようとする課題について説明する。
ターゲット供給装置7Bのターゲット制御装置80Bは、例えば新しいターゲット生成器71Bがチャンバ2に取り付けられた後、
図10Aに示すように、ターゲット物質270が溶融するまでターゲット物質270を加熱してもよい。ターゲット制御装置80Bは、ドロップレット27Bを生成するために、ターゲット生成器71B内の圧力を圧力PSに設定してもよい。ターゲット生成器71B内の圧力が圧力PSに到達した際、ターゲット物質270が当該ターゲット物質270のノズル孔717Bにおける表面張力を打ち破ってもよい。その結果、ターゲット物質270がノズル孔717Bから押し出され、
図10Bに示すように、突出部716Bの先端にドロップレット27Bが生成され得る。ノズル孔717Bの直径が10μmの場合、圧力PSは、0.25MPaであってもよい。
【0056】
このとき、ドロップレット27Bの中心位置C2がノズル孔717Bの中心軸CBからずれることがあり得る。ノズル孔717Bの中心軸CBは、ノズル712Bの中心軸と一致するように設定されてもよい。この中心位置C2がノズル孔717Bの中心軸CBからずれる原因は、以下のように推測し得る。
ターゲット生成器71B内の圧力によって、ドロップレット27Bが生成されるとき、突出部716Bの先端面718Bのうち内縁側の円環状の領域には、ドロップレット27Bと接触する領域と、ドロップレット27Bと接触しない領域とが存在し得る。この場合、先端面718Bにおける内縁側の円環状の領域のうちドロップレット27Bと接触した領域は、ターゲット物質270が濡れやすくなり得る。その結果、例えば
図10Bに示すように、ドロップレット27Bの中心位置C2がノズル孔717Bの中心軸CBから右側にずれ得る。
このノズル孔717Bの中心軸CBから中心位置C2がずれたドロップレット27Bを静電引出部75Bによって引き出すと、ドロップレット27Bが意図しない方向に出力され得る。
このような課題を解決するため、EUV光を生成するためのドロップレット27Bの引き出し処理を開始する前に、
図11および
図12に示すターゲット供給装置7Bの制御方法を行ってもよい。
【0057】
ターゲット供給装置7Bのターゲット制御装置80Bは、第1実施形態と同様のステップS1〜ステップS5の処理を行ってもよい。
ステップS1の処理が行われると、
図13に示すように、時刻T0において、ターゲット生成器71A内の圧力が圧力PLまで上がり得る。圧力PLは、
図14Aに示すように、ターゲット物質270の端部がノズル孔717Bの内壁面717B1における開口部717B2と反対の端(上端)に位置する大きさであってもよい。
【0058】
ステップS5の処理が行われると、ターゲット生成器71B内の圧力は、
図13に示すように、時刻T11から上がり始め、時刻T12に圧力PJに到達し得る。ターゲット生成器71B内の圧力が圧力PJに到達すると、ターゲット物質270が押され、ノズル孔717Bから図示しないジェットが出力し得る。
【0059】
ターゲット制御装置80Bは、ターゲット生成器71B内の圧力が圧力PJに到達すると、
図11に示すように、タイマ81Aによって時間の計測を開始してもよい(ステップS11)。ターゲット制御装置80Bは、タイマ81Aによる計測時間Ktが、下限時間Kminより長く、かつ、上限時間Kmaxより短いか否かを判断してもよい(ステップS12)。下限時間Kminおよび上限時間Kmaxは、数分〜数十分であってもよい。すなわち、時刻T12から後述する時刻T13までの長さが、数分〜数十分であってもよい。
ターゲット制御装置80Bは、ステップS12の判断基準を満たさないと判断した場合、ステップS12の処理を行ってもよい。なお、ターゲット制御装置80Bは、ステップS12の判断基準を満たさないと判断した場合、所定時間経過後にステップS12の処理を行ってもよい。ターゲット制御装置80Bは、ステップS12の判断基準を満たすと判断した場合、
図12に示すように、ターゲット生成器71B内の圧力を圧力PSに設定してもよい(ステップS13)。
【0060】
以上のステップS11〜ステップS13の処理が行われると、
図13に示すように、ターゲット生成器71B内の圧力は、時刻T13から下がり始め、時刻T14に圧力PSに到達し得る。この時刻T13から時刻T14の間に、ジェットの出力が停止し得る。さらに、ターゲット生成器71B内の圧力が圧力PSに到達すると、突出部716Bの先端にドロップレット27Bが形成され得る。ターゲット生成器71B内の圧力が圧力PSで維持されている間、ドロップレット27Bは徐々に大きくなり得る(徐々に成長し得る)。
【0061】
ターゲット制御装置80Bは、
図12に示すように、ドロップレット27Bの直径Dが所定の設定範囲内にあるか否かを判断してもよい(ステップS14)。所定の設定範囲は、ドロップレット27Bによって、ノズル孔717Bの開口部717B2全体が塞がれる大きさであってもよい。所定の設定範囲は、下限値Dmin以上、上限値Dmax以下であってもよい。下限値Dminは、100μmであってもよい。上限値Dmaxは、1mmであってもよい。
【0062】
ターゲット制御装置80Bがドロップレット27Bの直径Dを検出する方法としては、以下のような方法を適用してもよい。
第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42Aは、徐々に成長するドロップレット27Bの形状を検出して、この検出結果に対応する信号をターゲット制御装置80Bに送信してもよい。第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42Aは、所定時間毎に、ドロップレット27Bの形状を検出してもよい。ターゲット制御装置80Bは、第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42Aから送信される信号に基づいて、ドロップレット27Bの直径Dが所定の設定範囲内にあるか否かを判断してもよい。
【0063】
また、他の方法としては、ターゲット生成器71B内の圧力が圧力PSに到達してからの経過時間と、ドロップレット27Bの直径Dとの関係を実験で求めてもよい。この実験結果から、直径Dが下限値Dminとなる下限時間と、直径Dが上限値Dmaxとなる上限時間とを求め、当該下限時間と上限時間とを図示しないメモリに記憶してもよい。ターゲット制御装置80Bは、ターゲット生成器71B内の圧力が圧力PSに到達してからの経過時間をタイマ81Aで計測して、当該経過時間が下限時間以上、上限時間以下となったときに、ドロップレット27Bの直径Dが所定の設定範囲内にあると判断してもよい。
【0064】
ターゲット制御装置80BがステップS14の判断基準を満たさないと判断すると、当該ターゲット制御装置80Bは、ステップS14の処理を行ってもよい。なお、ターゲット制御装置80Bは、ステップS14の判断基準を満たさないと判断した場合、所定時間経過後にステップS14の処理を行ってもよい。
ターゲット制御装置80BがステップS14の判断基準を満たすと判断した場合、第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42Aは、突出部716Bに付着したドロップレット27Bを観測してもよい(ステップS15)。
ターゲット制御装置80Bは、第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42Aの観測結果に基づいて、ドロップレット27Bの中心位置C2を計算してもよい(ステップS16)。
ターゲット制御装置80Bは、第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42Aから送信される信号に基づいて、ドロップレット27Bを−X方向側および−Y方向側から観測したときのドロップレット27Bの付着位置を計算してもよい。ターゲット制御装置80Bは、この計算した付着位置に基づいて、ドロップレット27Bの中心位置C2を計算してもよい。このとき、第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42Aの観測結果に基づいて、ターゲット制御装置80Bは、高精度に中心位置C2を計算し得る。
【0065】
ターゲット制御装置80Bは、ドロップレット27Bの中心位置C2とノズル孔717Bの中心軸CBとの差ΔCが、所定の範囲内にあるか否かを判断してもよい(ステップS17)。
図14Bに示す差ΔCが所定の範囲内にあるかの判断は、当該差ΔCの絶対値が閾値ΔCmax以下か否かを判断することにより行われてもよい。閾値ΔCmaxは、数μmであってもよい。
【0066】
ターゲット制御装置80Bは、ステップS17の判断基準を満たさないと判断した場合、当該判断基準を満たすまで、ステップS5、ステップS11〜ステップS17の処理を行ってもよい。
このステップS5、ステップS11〜ステップS17の処理を行うと、例えば、
図13に示すように、時刻T15〜時刻T16、時刻T19〜時刻T20、時刻T23〜時刻T24において、ターゲット生成器71B内の圧力が圧力PSから圧力PJに上がり得る。
時刻T16〜時刻T17、時刻T20〜時刻T21、時刻T24〜時刻T25において、ターゲット生成器71B内の圧力が圧力PJに維持され、ノズル孔717Bからジェットが出力し得る。このジェットの出力に伴い、突出部716Bに付着したドロップレット27Bがチャンバ2内に出力し得る。
時刻T17〜時刻T18、時刻T21〜時刻T22、時刻T25〜時刻T26において、ターゲット生成器71B内の圧力が圧力PJから圧力PSに下がり、ジェットの出力が停止し得る。
時刻T18〜時刻T19、時刻T22〜時刻T23、時刻T26〜時刻T27において、ドロップレット27Bが徐々に成長し得る。
このようにジェットの出力、ドロップレット27Bの成長を繰り返し行うことにより、ターゲット物質270が先端面718Bの周方向に沿って徐々に広がり得る。その結果、ターゲット物質270が先端面718Bにおける内縁側の円環状の領域の全てに接触し、
図14Cに示すように、中心位置C2とノズル孔717Bの中心軸CBとがほぼ一致するようにドロップレット27Bが716Aに成長し得る。
【0067】
ターゲット制御装置80Bは、ステップS17の判断基準を満たすと判断した場合、
図12に示すように、ターゲット生成器71B内の圧力を圧力PLに設定してもよい(ステップS9)。例えば、ターゲット制御装置80Bは、
図13に示すような時刻T27において、
図14Cに示すように、中心位置C2とノズル孔717Bの中心軸CBとがほぼ一致するようにドロップレット27Bが716Aに付着している場合、差ΔCが所定の範囲内にあると判断し得る。この
図14Cに示す状態では、先端面718Bにおける内縁側の円環状の領域の全てがターゲット物質270と濡れやすくなり得る。
ステップS9の処理が行われると、ターゲット生成器71B内の圧力は、
図13に示すように、時刻T28から下がり始め、時刻T29に圧力PLに到達し得る。ターゲット生成器71A内の圧力が圧力PLに到達するまでの間に、ドロップレット27Bがノズル孔717B内に引き込まれ、
図14Dに示すように、ターゲット物質270がノズル孔717Bの内壁面717B1の全域に接触し、かつ、突出部716Bにドロップレット27Bが付着しない状態となり得る。
【0068】
この後、ターゲット制御装置80Bは、EUV光を生成するために、第1電極751Bと第2電極752Bとの電位差を利用して、ドロップレット27Bを出力部715Bから連続的に引き出してもよい。このとき、上述のターゲット供給装置7Bの制御方法によって、先端面718Bにおける内縁側の円環状の領域の全てがターゲット物質270と濡れやすくなっているため、中心位置C2とノズル孔717Bの中心軸CBとがほぼ一致するように、ドロップレット27Bが突出部716Bに生成され得る。その結果、ドロップレット27Bが意図する方向に(プラズマ生成領域25に)引き出され得る。
【0069】
上述のように、ターゲット制御装置80Bは、ドロップレット27Bの中心位置C2とノズル孔717Bの中心軸CBとの差ΔCが所定の範囲内にあるか否かを判断することで、第1電極751Bと第2電極752Bとの電位差を利用してドロップレット27Bを引き出す構成において、ドロップレット27Bを適切に出力し得る。
【0070】
3.3 変形例
なお、ターゲット供給装置の制御方法としては、以下のような構成としてもよい。
第1実施形態において、第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42Aによってジェット27Aを観測せずに、ジェット27Aを出力しているノズル712Aに振動を加え、この振動により生成したドロップレット27を観測してもよい。この場合、設定軌道CAに対するジェット27Aの軌道C1のずれを判断する代わりに、設定軌道CAに対するドロップレット27の軌道のずれを判断してもよい。
第1,第2実施形態において、2つのターゲットセンサ(第1ターゲットセンサ41Aおよび第2ターゲットセンサ42A)を設けたが、1つあるいは3つ以上のターゲットセンサを設けてもよい。
第1,第2実施形態において、ターゲット供給装置7A、ターゲット供給装置7Bは、
図7D、
図14Dに示す状態から、温度を下げてターゲット物質270を固化させてもよい。その後、ターゲット供給装置7A、ターゲット供給装置7Bは、ターゲット物質270を溶融するまで加熱して、EUV光を生成するために、ドロップレット27を出力したり、ドロップレット27Bを引き出したりしてもよい。
【0071】
第1実施形態において、ターゲット供給装置として、ピエゾ素子などによりノズル712Aに押圧力を加えることでドロップレットを生成する、オンデマンド方式のものを用いてもよい。
【0072】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0073】
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される修飾句「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0074】
1A,1B…EUV光生成装置、41A,41B…第1,第2ターゲットセンサ(イメージセンサ)、7A,7B…ターゲット供給装置、71A…ターゲット生成器、72A…圧力制御部、712A,712B…ノズル、713A,717B…ノズル孔。