【文献】
International SAMPE Symposium and Exhibition,2001年,46,p.2140-2146
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン、及び
(R
1R
22SiO
1/2)
a(R
32SiO
2/2)
b(R
3SiO
3/2)
c (1)
(式中、R
1は下記一般式(2)で示されるアミック酸構造を有する基であり、R
2はそれぞれ独立して炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれる基であり、R
3はそれぞれ独立して炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、及び炭素数4〜12の脂環式炭化水素基から選ばれる基であり、0<a≦1.0、0≦b<1.0、0≦c<1.0であり、a+b+c=1.0となる数である。)
【化1】
(式中、R
4は水素原子、炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基、及び下記一般式(3)で示される芳香族炭化水素基から選ばれる基であり、Qは単結合又はカルボニル基であり、nは1〜10の整数である。)
【化2】
(式中、R
5は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれる基である。)
(B)炭素−炭素三重結合の三量化環化反応を促進する硬化触媒、
を含有するものであることを特徴とするオルガノポリシロキサン組成物。
前記(B)成分として、遷移金属錯体、2級アミン、及び3級アミンから選ばれる硬化触媒を含有するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【背景技術】
【0002】
シリコーン樹脂は、耐熱性、耐光性に優れ、かつ柔軟な材料であることから、電気電子材料や建材用途、日用品に至るまで様々な分野で使用されている。一般に、シリコーン樹脂の硬化物を得るために、縮合反応や付加反応を利用して分子間を架橋する方法が採られている。
【0003】
特に、白金金属系の触媒を用いたヒドロシリル化(付加)反応は、副生成物もなく、反応制御も容易であることから工業的に使用されている。しかし、白金金属系の触媒は高価であることに加え、反応性が高いために窒素、硫黄、リン化合物によって容易に失活してしまう。
【0004】
また、シリコーン樹脂は、種々のシランカップリング剤などの接着助剤を配合することによって自己接着性を付与することができ、さまざまな基材への接着が可能だが、窒素、硫黄、リンなどを含むシランカップリング剤は上記の理由により添加することが難しく、金メッキ基材など難接着性基材に対する接着性の改善が求められていた。
【0005】
そこで、従来広く使用されているエポキシ樹脂やアクリル樹脂とシリコーン樹脂とをハイブリッド化することで、安価な触媒やUV照射によって架橋することができる変性シリコーン樹脂が開発されてきた(特許文献1、2)。しかし、これらの樹脂は作業性に優れる一方で、シリコーン樹脂が本来持つ耐熱性、耐光性が低下するという問題があった。
【0006】
また、耐熱性の問題を解決するため、耐熱性に優れたポリイミド樹脂とシリコーン樹脂とをハイブリッド化した変性シリコーン樹脂が開発されたが(特許文献3)、ポリイミドの高い結晶性が原因となり、得られた樹脂そのものが硬化前の状態で結晶性固体であり、作業性に劣るという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、非白金金属系の触媒によって架橋し、耐熱性、耐光性に優れた硬化物が得られる、液状のオルガノポリシロキサン組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明では、
(A)下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン、及び
(R
1R
22SiO
1/2)
a(R
32SiO
2/2)
b(R
3SiO
3/2)
c (1)
(式中、R
1は下記一般式(2)で示されるアミック酸構造を有する基であり、R
2はそれぞれ独立して炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれる基であり、R
3はそれぞれ独立して炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、及び炭素数4〜12の脂環式炭化水素基から選ばれる基であり、0<a≦1.0、0≦b<1.0、0≦c<1.0であり、a+b+c=1.0となる数である。)
【化1】
(式中、R
4は水素原子、炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基、及び下記一般式(3)で示される芳香族炭化水素基から選ばれる基であり、Qは単結合又はカルボニル基であり、nは1〜10の整数である。)
【化2】
(式中、R
5は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれる基である。)
(B)炭素−炭素三重結合の三量化環化反応を促進する硬化触媒、
を含有するオルガノポリシロキサン組成物を提供する。
【0010】
このようなオルガノポリシロキサン組成物であれば、非白金金属系の触媒によって架橋し、耐熱性、耐光性に優れた硬化物が得られる、液状のオルガノポリシロキサン組成物となる。
【0011】
またこのとき、前記(A)成分の前記一般式(2)で示されるアミック酸構造を有する基が、熱処理により下記一般式(4)で示されるフタルイミド構造を有する基に変換されるものであることが好ましい。
【化3】
【0012】
このような(A)成分であれば、耐熱性、耐光性により優れた硬化物が得られる、オルガノポリシロキサン組成物となる。
【0013】
またこのとき、前記(B)成分として、遷移金属錯体、2級アミン、及び3級アミンから選ばれる硬化触媒を含有するものであることが好ましい。
【0014】
このような硬化触媒であれば、炭素−炭素三重結合の三量化環化反応を促進する硬化触媒として好適に用いることができる。
【0015】
さらに、本発明では、上記のオルガノポリシロキサン組成物を硬化して得られる硬化物を提供する。
【0016】
このような硬化物であれば、耐熱性、耐光性に優れた硬化物となる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明のオルガノポリシロキサン組成物であれば、非白金金属系の触媒によって架橋し、耐熱性、耐光性に優れた硬化物が得られる、液状のオルガノポリシロキサン組成物となる。また、液状であるため作業性に優れ、白金金属系の触媒を含まないため、窒素、硫黄、リンなどを含むシランカップリング剤などの接着助剤によって自己接着性を付与することができる。
また、このようなオルガノポリシロキサン組成物の硬化物であれば、耐熱性、耐光性に優れた硬化物となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上述のように、白金金属系の触媒を用いずに架橋硬化でき、液状で作業性に優れ、耐熱性、耐光性に優れた硬化物が得られる、オルガノポリシロキサン組成物の開発が求められていた。
【0019】
本発明者は、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、下記平均組成式(1)で示されるような構造からなり、炭素−炭素三重結合を有するアミック酸構造を含有するオルガノポリシロキサンを含む本発明のオルガノポリシロキサン組成物であれば、上記課題を達成できることを見出し、本発明を完成させた。
【0020】
即ち、本発明は、
(A)下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン、及び
(R
1R
22SiO
1/2)
a(R
32SiO
2/2)
b(R
3SiO
3/2)
c (1)
(式中、R
1は下記一般式(2)で示されるアミック酸構造を有する基であり、R
2はそれぞれ独立して炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれる基であり、R
3はそれぞれ独立して炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、及び炭素数4〜12の脂環式炭化水素基から選ばれる基であり、0<a≦1.0、0≦b<1.0、0≦c<1.0であり、a+b+c=1.0となる数である。)
【化4】
(式中、R
4は水素原子、炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基、及び下記一般式(3)で示される芳香族炭化水素基から選ばれる基であり、Qは単結合又はカルボニル基であり、nは1〜10の整数である。)
【化5】
(式中、R
5は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれる基である。)
(B)炭素−炭素三重結合の三量化環化反応を促進する硬化触媒、
を含有するオルガノポリシロキサン組成物である。
【0021】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
[(A)成分]
(A)成分は、本発明のオルガノポリシロキサン組成物の主成分となるものであり、下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサンである。
(R
1R
22SiO
1/2)
a(R
32SiO
2/2)
b(R
3SiO
3/2)
c (1)
【0023】
平均組成式(1)中、R
1は下記一般式(2)で示されるアミック酸構造を有する基であり、好ましくは熱処理により下記一般式(4)で示されるフタルイミド構造を有する基に変換されるものである。
【化6】
【化7】
【0024】
上記一般式(2)で示されるアミック酸構造を有する基が、熱処理により上記一般式(4)で示されるフタルイミド構造を有する基に変換されるものである場合、硬化後さらに熱処理(例えば250℃で4時間加熱)することで、アミック酸構造がフタルイミド構造に変化し、耐熱性、耐光性により優れた硬化物が得られる。また、後述の接着助剤を含む場合、接着性が向上する。
【0025】
一般式(2)、(4)中、R
4は水素原子、炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基、及び下記一般式(3)で示される芳香族炭化水素基から選ばれる基であり、炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。このようなR
4としては、水素原子、メチル基、フェニル基が好ましい。
【0026】
【化8】
一般式(3)中、R
5は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれる基であり、好ましくは水素原子、メチル基である。
【0027】
一般式(2)、(4)中、Qは単結合又はカルボニル基であり、入手容易性などから単結合が好ましい。また、nは1〜10の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。
【0028】
平均組成式(1)中、R
2はそれぞれ独立して炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれる基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基であり、好ましくはメチル基、フェニル基である。
【0029】
平均組成式(1)中、R
3はそれぞれ独立して炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、及び炭素数4〜12の脂環式炭化水素基から選ばれる基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基であり、好ましくはメチル基、フェニル基である。
【0030】
また、平均組成式(1)中、a、b、cは0<a≦1.0、0≦b<1.0、0≦c<1.0であり、a+b+c=1.0となる数であり、好ましくは0.02≦a≦0.75、0.30≦b≦0.98、0≦c≦0.50である。
【0031】
[(B)成分]
(B)成分は、上述の(A)成分中の炭素−炭素三重結合の三量化環化反応を促進する硬化触媒である。このような(B)成分としては、遷移金属錯体や2級アミン、3級アミンが挙げられ、遷移金属としては例えば、コバルト、ニッケル、ニオブ、ロジウム、タンタル等が挙げられ、配位子としては例えば、シクロペンタジエニル化合物、シクロオクタジエニル化合物、アセチルアセトナト化合物、トリアルキルホスフィン等が挙げられる。2級アミンとしては例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ピリジン、ピペリジン、ジエチルアミン、ジフェニルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)等が挙げられ、3級アミンとしては例えば、1−メチルイミダゾール、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン(DMAP)等が挙げられる。これらの中でも1−メチルイミダゾールが好ましい。
【0032】
[その他の添加剤]
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、上記の(A)、(B)成分以外にも、必要に応じてヒュームドシリカ、結晶性シリカ、沈降性シリカ、中空フィラー、ヒュームド二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、層状マイカ、カーボンブラック、ケイ藻土、ガラス繊維等の無機質充填材、及びこれらの充填材をオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物により表面処理した充填材を使用することができる。また、シリコーンゴムパウダーやシリコーンレジンパウダーなども使用できる。これらは、目的に応じた量で適宜含有させればよい。
【0033】
さらに、本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、シランカップリング剤などの接着助剤を含んでもよい。接着助剤としては例えば、アミノ基、チオール基を有するトリアルコキシシランや、エポキシ基(例えばグリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基)、(メタ)アクリレート基、アルキルリン酸エステル基(例えばモノドデシルホスフェート基、ジテトラデシルホスフェート基)から選ばれる官能性基を2種以上、好ましくは2種又は3種含有する、ケイ素原子数4〜50個、好ましくは4〜20個の直鎖状又は環状のオルガノシロキサンオリゴマーや、オルガノオキシシリル変性イソシアヌレート化合物や、その加水分解縮合物(オルガノシロキサン変性イソシアヌレート化合物)などが挙げられる。なお、接着助剤は1種を単独で使用しても良いし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
以上のように、本発明のオルガノポリシロキサン組成物であれば、非白金金属系の触媒によって架橋し、耐熱性、耐光性に優れた硬化物が得られる、液状のオルガノポリシロキサン組成物となる。また、液状であるため作業性に優れ、白金金属系の触媒を含まないため、窒素、硫黄、リンなどを含むシランカップリング剤などの接着助剤によって自己接着性を付与することができる。
【0035】
さらに、本発明では上述の本発明のオルガノポリシロキサン組成物を硬化して得られる硬化物を提供する。
【0036】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、加熱することで硬化させることができ、硬化温度としては150〜250℃が好ましく、硬化時間は1〜4時間が好ましい。
【0037】
このような本発明のオルガノポリシロキサン組成物の硬化物であれば、耐熱性、耐光性に優れた硬化物となり、また上述の接着助剤を含むことで自己接着性を付与することも可能であるため、電気電子材料や建材用途、日用品等に好適に用いることができる。
【実施例】
【0038】
以下、合成例、調製例、実施例、及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
(合成例)
300mlの四つ口セパラブルフラスコに、分子量約15,000の末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン100gと、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン(信越化学工業社製 KBE−902)3.8gと、水酸化ストロンチウム10mgとを加え、80℃で2時間攪拌した後、溶液をガスクロマトグラフィーにて分析し、3−アミノプロピルジエトキシメチルシランの消失を確認した。この溶液を濾過し、純水で3回洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥することで、末端にアミノ基を有するオルガノポリシロキサンを得た。
次に、フェニルエチニルトリメリック酸無水物(ネクサムケミカル社製 NEXIMID300)5.5gとトルエン20gの懸濁液に、得られた末端にアミノ基を有するオルガノポリシロキサンを滴下し、液が透明になるまで2時間攪拌した。溶液をガスクロマトグラフィーにて分析し、フェニルエチニルトリメリック酸無水物の消失を確認した。トルエンを留去した後、0.45μmのフィルターで濾過し、末端にアミック酸構造を有するオルガノポリシロキサンを淡黄色の透明な液体として得た。
【0040】
(調製例1)
上記合成例で得られた、末端にアミック酸構造を有するオルガノポリシロキサン54.7g、硬化触媒として1−メチルイミダゾール0.02g、接着助剤として3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 KBM−803)0.1gを混合し、液状のオルガノポリシロキサン組成物1を得た。
【0041】
(調製例2)
分子量が約15,000の末端にSi原子に直接結合したビニル基を有するポリジメチルシロキサン(ビニル基量:0.012mol/100g)を100g、M
2D
H38で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン(SiH基量:1.56mol/100g)を0.8g、白金ビニルシロキサン錯体(信越化学工業社製)を白金の量がシリコーンに対して5ppmとなるような量、硬化抑制剤としてアセチレンアルコール系のエチニルシクロヘキサノール(信越化学工業社製)を0.25g、接着助剤として調製例1と同様に3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 KBM−803)0.1gを混合し、液状のオルガノポリシロキサン組成物2を得た。
【0042】
(調製例3)
調製例2において接着助剤として3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの代わりに下記の化合物(信越化学工業社製)を0.1g加えて混合し、液状のオルガノポリシロキサン組成物3を得た。
【化9】
【0043】
(調製例4)
エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(日本化薬社製 RE310)53.7g、酸無水物硬化剤としてメチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化社製 MH700)46.3g、硬化促進剤として1−メチル−2−エチルイミダゾール(四国化成工業社製 キュアゾール1M2WZ)0.1g、接着助剤として3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 KBM−803)0.1gを混合し、液状のエポキシ樹脂組成物1を得た。
【0044】
(実施例1)
下記に示す評価項目について調製例1で調製したオルガノポリシロキサン組成物1を用いて評価し、その結果を表1に示した。
[硬化性]
厚さ2mmのシート状になるように、オルガノポリシロキサン組成物1をテフロン(登録商標)板に注型し、150℃に加熱されたオーブン内で4時間置いて硬化物を得た。
[接着性]
オルガノポリシロキサン組成物1を金メッキされた銅板上に高さ1cm、直径1cmの円柱状になるように注型し、150℃に加熱されたオーブン内で4時間置くことで硬化させ、万能型ボンドテスター(DAGE社製 Series4000)を用いて接着力を測定した。
[耐熱性]
オルガノポリシロキサン組成物1より得られた硬化物を180℃に加熱されたオーブン内で168時間置いた前後の450nmにおける光透過率の変化を、分光光度計(日立社製 ペクトロフォトメーターU−4100)を用いて調べた。
[耐光性]
オルガノポリシロキサン組成物1より得られた硬化物に紫外線照射装置(岩崎電気社製)を用いて500mW/cm
2のUV光を168時間照射し、その前後の450nmにおける光透過率の変化を、分光光度計を用いて調べた。
【0045】
(実施例2)
実施例1で得られた硬化物を、さらに250℃で4時間加熱する事により、末端のアミック酸構造をフタルイミド構造へと変化させた後、接着性、耐熱性、耐光性を実施例1に記載の方法で評価し、その結果を表1に示した。
【0046】
(比較例1〜3)
実施例1で用いたオルガノポリシロキサン組成物1の代わりに調製例2〜4で調製したオルガノポリシロキサン組成物2、3及びエポキシ樹脂組成物1を用いた他は実施例1と同様の方法で評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示されるように、アミック酸構造を有するオルガノポリシロキサン、非白金金属系の触媒、硫黄を含む接着助剤からなる液状のオルガノポリシロキサン組成物1を用いた実施例1では、非白金金属系の触媒によって架橋硬化でき、耐熱性、耐光性も良好な硬化物が得られた。また、硫黄を含む接着助剤を添加しても、硬化性が悪化せず、難接着性の金メッキ基材に強固に接着した。また、得られたオルガノポリシロキサン組成物を熱処理し、アミック酸構造をフタルイミド構造に変えることで、樹脂の強度が上昇した。
【0049】
一方、従来の付加硬化型シリコーン樹脂組成物であり、白金金属系の触媒、及び硫黄を含む接着助剤を含有するオルガノポリシロキサン組成物2を用いた比較例1では、組成物が硬化しなかった。これは、硬化触媒である白金ビニルシロキサン錯体に接着助剤として配合した3−メルカプトプロピルトリメトキシシランのメルカプト基が結合し、触媒の活性が失われたためと考えられる。
また、オルガノポリシロキサン組成物2の接着助剤を、硫黄を含まないものとしたオルガノポリシロキサン組成物3を用いた比較例2では、硬化物は得られたものの、難接着性の金メッキ基材に対しては接着できず、剥離してしまった。
また、エポキシ樹脂組成物1を用いた比較例3では、十分な耐熱性、耐光性を有する硬化物が得られなかった。
【0050】
以上のように、本発明のオルガノポリシロキサン組成物であれば、非白金金属系の触媒によって架橋し、耐熱性、耐光性に優れた硬化物が得られる、液状のオルガノポリシロキサン組成物となることが明らかとなった。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。