(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載された実施態様は一般に、化学機械研磨プロセスのモニタリングおよび制御に関する。本明細書に記載された実施態様は、浅いトレンチ分離(shallow trench isolation:「STI」)、置換金属ゲート(replacement metal gate:「RMG」)層間誘電体(interlayer dielectric:「ILD」)などのCMPプロセスの残留物クリアリングステップの動的制御を対象とする。残留物クリアリングプロセスの前にバルクCMP研磨レシピ(recipe)を制御するため、現在、モータトルクエンドポイント(motor torque endpoint:「MT EP」)および動的なインシトゥプロファイル制御(in−situ profile control:「ISPC」)が使用されている。残留物クリアリングプロセス中も、同じバルクCMP研磨レシピを使用してクリアリングプロセスを制御する。ISPCは通常、クリアリングプロセスが始まる前にフラットポストプロファイル(flat post profile)を達成することをターゲットとしているため、バルクCMP研磨プロセス中に使用されるISPC圧力は、クリアリングプロセス中に過補正を生じさせる傾向がある。
【0011】
本明細書に記載された実施態様は、CMP研磨の残留物クリアリングプロセスを制御するいくつかの方法を提供する。動的ISPCを使用して、残留物クリアリングが始まる前に研磨を制御し、次いで、クリアリングプロセス用の新たな研磨レシピを動的に計算する。このクリアリングレシピを計算するいくつかの異なる方法が開示される。最初に、ある種の実施態様では、T0またはT1でフィードバックする方法が使用されるときに、ISPCソフトウェア内で、研磨後プロファイルおよびフィードバックオフセットが生成される。クリアリングプロセスが始まる前のISPCによって生成された研磨プロファイルおよびフィードバックに基づいて、クリアリング後のフラットポストプロファイルをターゲットとする。クリアリングステップの推定時間は、以前に処理したウエハ(例えば以前の終点時刻の移動平均)に基づくことができる。より均一なクリアリングのため、計算された圧力を、より低い(またはより高い)ベースライン圧力にスケーリング(scaling)することができる。ある種の実施態様では、クリアリングの前にISPCによって生成されたフィードバックに基づいて、クリアリング後のフラットな除去プロファイルをターゲットとする。より均一なクリアリングのため、計算された圧力を、より低い(またはより高い)ベースライン圧力にスケーリング(scaling)することができる。ある種の実施態様では、出力圧力が一定のクリアリングレシピが使用される。
【0012】
ある種の実施態様では、残留物クリアリングステップに入る前にフラットポストプロファイルを達成することをターゲットとする代わりに、動的ISPCを使用して、クリアリングステップの終わりにフラットポストプロファイルを達成することをターゲットとする。ISPCに対する推定される終点ターゲットレベルは、モータトルクエンドポイント法または他の終点制御方法によって処理された開ループウエハから決定することができる。このシナリオでは、バルク研磨とクリアリング研磨の両方に同じレシピを使用することができる。後続のウエハに対しては、ISPCを使用して、研磨圧力および研磨終点を制御することができる。フィードバックを生成して、ISPCアルゴリズムを自動的に更新することができる。フィードバックは、クリアリングの終わり、または過研磨の終わり、すなわち所望の厚さを過ぎて研磨されたときの指標に基づいて計算されることができる。この方法は、任意のCMP残留物クリアリングプロセスに拡張することができる。過研磨の有無にかかわらず研磨プロファイルを制御することができ、研磨時刻は、自動プロファイル制御(automatic profile control:「APC」)、光学測定または他の摩擦測定を含む他の方法を使用して制御することができる。
【0013】
以下では、本明細書に記載された実施態様を、Applied Materials,Inc.(米カリフォルニア州Santa Clara)から入手可能なMIRRA(商標)、MIRRA MESA(商標)、REFLEXION(登録商標)、REFLEXION LK(商標)、REFLEXION(登録商標) GT(商標)化学機械平坦化システムなどの化学機械研磨プロセス機器を使用して実行できる平坦化プロセスおよび組成物に関して説明する。処理パッド、平坦化ウエブまたはこれらの組合せを使用する平坦化モジュールおよび回転、直線または他の平面運動で基板を平坦化面に対して移動させる平坦化モジュールを含む他の平坦化モジュールを、本明細書に記載された実施態様から利益を得るように適合させることもできる。さらに、本明細書に記載された方法または組成物を使用する化学機械研磨を可能にする任意のシステムを有利に使用することができる。装置の以下の説明は例示が目的であり、これを、本明細書に記載された実施態様の範囲を限定するものと理解または解釈すべきではない。
【0014】
図1は、現在使用されている研磨方法を使用することによって起こる基板の過研磨を示すプロット5である。x軸は時間を表し、y軸は、基板から除去されている材料の指標値を表す。IT
Bは、バルク研磨プロセスのターゲット厚さの指標値を表す。IT
Rは、残留物研磨プロセスのターゲット厚さの指標値を表す。Z
1およびZ
2は、基板表面の別々のゾーンを表す。TE
Bは、バルク研磨プロセスの研磨終点を表し、TE
Rは、残留物研磨プロセスまたはクリアリング研磨プロセスの研磨終点を表す。2つのゾーン(Z
1およびZ
2)が示されているが、基板は、任意の数のゾーンに分割することができる。基準ゾーンは所望の研磨プロファイルを示す。現行の研磨レシピは、モータトルクエンドポイントと動的インシトゥプロファイル制御(ISPC)の結合を使用して、IT
Bにおいて均一なプロファイルを達成する。IT
BとIT
Rの間の残留物クリアリングプロセスの間も、バルク研磨と同じISPCレシピを使用して、クリアリングプロセスまたは残留材料除去プロセスを制御する。ISPCは通常、クリアリングプロセスが始まる前にフラットポストプロファイルを達成することをターゲットとしているため、IT
BとTE
Bの交点においてフラットポストプロファイルを達成するのに使用したISPC圧力は、Z
1およびZ
2のTE
BとTE
Rの間の区間によって示されているように、クリアリングプロセス中に過研磨につながる過補正を引き起こす傾向がある。
【0015】
図2A〜
図2Cは、研磨の前後の基板の略断面図である。ポリシリコン材料層、ドープされたポリシリコン層などの材料層11、酸化シリコンなどの酸化物層15、誘電体バリア、エッチング停止材料などの研磨/エッチング停止層20に形成されたパターン形成されたフィーチャ画定域(feature definition)35を有する基板10の基板表面を、フィーチャ画定域35に充填するのに十分な量の誘電体充填材料30のバルク堆積にかける。この誘電体充填材料は、酸化シリコンなどの第1の誘電体材料であり、誘電体バリアまたはエッチング停止材料は、窒化シリコンなどの第2の誘電体材料である。
【0016】
堆積させた誘電体充填材料30は一般に、バルク誘電体材料の過剰な材料堆積45を有し、材料堆積45は、
図2Aに示されているように、さまざまな幅を有するフィーチャ画定域35の上に通常は形成されるピークおよび凹みを有する平らでない表面トポグラフィ(topography)40を有する。次いで、誘電体充填材料30を、バルク終点時刻に終わる第1の研磨ステップで研磨して、
図2Bに示されているように、研磨/エッチング停止層20の上の誘電体充填材料30の大部分を除去する。次いで、残った誘電体充填材料、すなわち残留誘電体材料50を、第2の研磨ステップで、クリアリング終点時刻に終わる研磨にかけて、
図2Cに示されているように、フィーチャ60が分離された平坦化された表面を形成する。
【0017】
図3は、研磨装置の例100を示す。研磨装置100は、その上に研磨パッド110が位置する回転可能な円板形プラテン120を含む。プラテン120は、軸125を中心にして回転するように動作可能である。例えば、モータ121が駆動シャフト124を回して、プラテン120を回転させることができる。研磨パッド110は、例えば接着剤の層によって、プラテン120に取外し可能に固定することができる。研磨パッド110は、外側研磨層112とより軟かいバッキング層114とを有する2層研磨パッドとすることができる。
【0018】
研磨装置100は、複合スラリ/洗浄剤アーム130を含むことができる。研磨中、アーム130は、研磨パッド110上にスラリなどの研磨液132を分与するように動作可能である。1本のスラリ/洗浄剤アーム130だけが示されているが、キャリアヘッドごとに1つまたは複数の専用スラリアームを使用するなど、追加のノズルを使用することもできる。研磨装置はさらに、研磨パッド110を研磨して研磨パッド110を首尾一貫した研磨状態に維持する研磨パッドコンディショナを含むことができる。
【0019】
この実施態様では、研磨装置100が、2つ(または2つ以上)のキャリアヘッド140を含む。キャリアヘッド140はそれぞれ、研磨パッド110、すなわち同じ研磨パッドに対して基板10を保持する(例えば一方のキャリアヘッドで第1の基板10aを保持し、もう一方のキャリアヘッドで第2の基板10bを保持する)ように動作可能である。キャリアヘッド140はそれぞれ、対応するそれぞれの基板に関連した研磨パラメータ、例えば圧力の独立制御を有することができる。いくつかの実施態様では、研磨装置100が多数のキャリアヘッドを含み、それらのキャリアヘッド(および保持された基板)が、同じ研磨パッドの上ではなく異なる研磨パッドの上に配置される。このような実施態様に対して、同じプラテン上の多数の基板の終点を同時にするという以下の議論は当てはまらないが、(単一の基板上ではあるが)多数のゾーンの終点を同時にするという議論は当てはまると考えられる。
【0020】
さらに説明すると、キャリアヘッド140はそれぞれ、軟性膜144の下方に基板10を保持する保持環142を含むことができる。キャリアヘッド140はそれぞれさらに、この膜によって画定された独立に制御可能な複数の加圧可能チャンバ、例えば3つのチャンバ146a〜146cを含み、それらのチャンバは、軟性膜144上したがって基板10上の関連ゾーン148a〜148c(
図4参照)に、独立に制御可能な圧力を加えることができる。
図4を参照すると、中心ゾーン148aは実質的に円形とすることができ、残りのゾーン148b〜148cは、中心ゾーン148aの周囲の同心環状ゾーンとすることができる。図解を容易にするため、
図3および
図4には3つのチャンバだけが示されているが、2つのチャンバまたは4つ以上のチャンバ、例えば5つのチャンバを含むこともできる。
【0021】
再び
図3を参照すると、キャリアヘッド140はそれぞれ、支持構造体150、例えばカルーセル(carousel)から吊り下げられており、駆動シャフト152によってキャリアヘッド回転モータ154に、軸155を中心にして回転することができるように接続されている。任意選択で、キャリアヘッド140はそれぞれ、例えば支持構造体150上のスライダ上で、またはカルーセル自体の回転振動によって、横方向に振動することができる。動作時、プラテンはその中心軸125を中心に回転し、キャリアヘッドはそれぞれその中心軸155を中心に回転し、さらに研磨パッドの上面を横切って横方向に平行移動する。
【0022】
2つのキャリアヘッド140だけが示されているが、追加の基板を保持するためにそれよりも多くのキャリアヘッドを提供して、研磨パッド110の表面積を効率的に使用することができるようにすることもできる。したがって、基板を保持するように適合された同時研磨プロセス用のキャリアヘッドアセンブリの数は、少なくとも部分的には、研磨パッド110の表面積に基づくことができる。
【0023】
この研磨装置はさらに、研磨速度を調整するかどうか、すなわち上で論じた研磨速度の調整を判定する目的に使用することができるインシトゥモニタリングシステム160を含む。インシトゥモニタリングシステム160は、光学モニタリングシステム、例えば分光写真(spectrographic)モニタリングシステム、または渦電流モニタリングシステムを含むことができる。
【0024】
一実施態様では、モニタリングシステム160が光学モニタリングシステムである。開孔(すなわちパッドの貫いて延びる穴)または固体窓118を含めることによって、研磨パッドを貫通する光学通路(optical access)が提供される。固体窓118は、例えば研磨パッドの開孔を塞ぐプラグとして研磨パッド110に固定すること、例えば研磨パッドに成形すること、または研磨パッドに接着剤で固定することができるが、いくつかの実施態様では、固体窓がプラテン120上に支持され、研磨パッドの開孔の中へ突き出ることもできる。
【0025】
光学モニタリングシステム160は、光源162と、光検出器164と、光源162および光検出器164とリモートコントローラ190、例えばコンピュータとの間で信号を送受信する回路166とを含むことができる。1本または数本の光ファイバを使用して、光源162からの光を研磨パッドの光学通路に伝送し、基板10から反射された光を検出器164に伝送することができる。例えば、二又の光ファイバ170を使用して、光源162からの光を基板10に伝送し、次いで検出器164へ戻すことができる。この二又の光ファイバは、光学通路の近くに配置された幹線172と、それぞれ光源162および検出器164に接続された2本の枝線174および176とを含むことができる。
【0026】
いくつかの実施態様では、プラテンの上面が、二又ファイバの幹線172の一端を保持した光学ヘッド168がはめ込まれた凹み128を含むことができる。光学ヘッド168は、幹線172の先端と固体窓118の間の垂直距離を調整する機構を含むことができる。
【0027】
回路166の出力は、駆動シャフト124内の回転結合器129、例えばスリップリングを通って光学モニタリングシステムのコントローラ190に達するディジタル電子信号とすることができる。同様に、コントローラ190から回転結合器129を通って光学モニタリングシステム160に達するディジタル電子信号中の制御コマンドに応答して、光源をオンまたはオフにすることができる。あるいは、回路166は、無線信号によってコントローラ190と通信することもできる。
【0028】
光源162は、白色光を発射するように動作可能な光源とすることができる。一実施態様では、発射される白色光が、波長200〜800ナノメートルの光を含む。適当な光源は、キセノンランプまたはキセノン水銀ランプである。
【0029】
光検出器164は分光計とすることができる。分光計は、電磁スペクトルの一部分にわたって光の強度を測定する光学機器である。適当な分光計は格子分光計である。分光計の典型的な出力は、波長(または周波数)の関数としての光の強度である。
【0030】
上記のとおり、光源162および光検出器164は、光源162および光検出器164の動作を制御し、光源162および光検出器164の信号を受信するように動作可能なコンピューティングデバイス、例えばコントローラ190に接続することができる。このコンピューティングデバイスは、研磨装置の近くに位置するマイクロプロセッサ、例えばプログラム可能なコンピュータを含むことができる。制御に関して、このコンピューティングデバイスは例えば、光源の起動とプラテン120の回転とを同期させることができる。
【0031】
いくつかの実施態様では、インシトゥモニタリングシステム160の光源162および検出器164がプラテン120の中に設置され、プラテン120と一緒に回転する。この場合、プラテンが運動することによって、センサが、それぞれの基板を走査する。具体的には、プラテン120が回転しているときに、コントローラ190は、光源162に、それぞれの基板10が光学通路の上を通る直前に始まり、それぞれの基板10が光学通路の上を通過した直後に終わる一連の閃光を発射させることができる。あるいは、このコンピューティングデバイスは、光源162に、それぞれの基板10が光学通路の上を通る直前に始まり、それぞれの基板10が光学通路の上を通過した直後に終わる連続光を発射させることもできる。いずれの場合も、検出器からの信号をあるサンプリング期間にわたって統合して、スペクトル測定値をあるサンプリング頻度で生成することができる。
【0032】
動作時、コントローラ190は例えば、光源の特定の閃光または検出器の時間枠の間に光検出器が受け取った光のスペクトルを記述した情報を携えた信号を受信することができる。したがって、このスペクトルは、研磨中にインシトゥで測定されたスペクトルである。
【0033】
プラテンの中に検出器が設置されている場合には、
図5Aに示されているように、プラテンの回転(矢印204によって示されている)によって一方のキャリアヘッド(例えば第1の基板10aを保持しているキャリアヘッド)の下を窓108が移動すると、あるサンプリング頻度でスペクトル測定を実施している光学モニタリングシステムは、第1の基板10aを横切る弧に沿った位置201でスペクトル測定を実施する。例えば、点201a〜201kはそれぞれ、モニタリングシステムによる第1の基板10aのスペクトル測定位置を表す(点の数は例であり、サンプリング頻度に応じて、図示された数よりも多くのまたは図示された数よりも少数の測定を実施することができる)。示されているとおり、プラテンが1回転する間に、基板10a上の異なる半径からスペクトルが得られる。すなわち、いくつかのスペクトルは基板10aの中心により近い位置から得られ、いくつかのスペクトルは縁により近い位置から得られる。同様に、
図5Bに示されているように、プラテンの回転によってもう一方のキャリアヘッド(例えば第2の基板10bを保持しているキャリアヘッド)の下を窓が移動すると、サンプリング頻度でスペクトル測定を実施している光学モニタリングシステムは、第2の基板10bを横切る弧に沿った位置202でスペクトル測定を実施する。
【0034】
したがって、プラテンの所与の任意の回転について、コントローラは、タイミング情報およびモータ符号器の情報に基づいて、どちらの基板、例えば基板10aまたは10bがその測定スペクトルの源であるのかを決定することができる。加えて、光学モニタリングシステムによる基板、例えば基板10aまたは10bの所与の任意の走査について、コントローラ190は、タイミング情報、モータ符号器情報ならびに基板の縁および/または保持環の光学検出に基づいて、その走査によるそれぞれの測定スペクトルの(走査されている特定の基板10aまたは10bの中心に対する)半径位置を計算することができる。測定スペクトルの基板および基板上の位置を決定するための追加のデータを提供するため、この研磨システムはさらに、回転位置センサ、例えば固定された光学的断続器を通過するプラテンの縁に取り付けられたフランジ(flange)を含むことができる。したがって、コントローラは、さまざまな測定スペクトルを、基板10aおよび10b上の制御可能なゾーン148a〜148c(
図4参照)に関連づけることができる。いくつかの実施態様では、スペクトルの測定時刻を、半径位置の正確な計算の代替として使用することができる。
【0035】
プラテンが多数回、回転する間に、それぞれの基板のそれぞれのゾーンについて、スペクトルのシーケンスを経時的に得ることができる。特定の理論だけに限定されないが、基板10から反射した光のスペクトルは、研磨が進むにつれて(例えば、基板を横切る1回のスイープ(sweep)の間にではなく、プラテンが多数回、回転する間に)、最外層の厚さが変化することにより徐々に変化し、したがって時間変化するスペクトルのシーケンスを与える。さらに、特定の厚さの層スタックは特定のスペクトルを示す。
【0036】
いくつかの実施態様では、測定スペクトルを多数の基準スペクトルと比較して、どの基準スペクトルがベストマッチを提供するのかを決定するように、コントローラ、例えばコンピューティングデバイスをプログラムすることができる。具体的には、それぞれの基板のそれぞれのゾーンからの測定スペクトルのシーケンス中のそれぞれのスペクトルを多数の基準スペクトルと比較して、それぞれの基板のそれぞれのゾーンについて、最も良く一致する(best matching)基準スペクトルのシーケンスを生成するように、コントローラをプログラムすることができる。
【0037】
本明細書で使用されるとき、基準スペクトルは、基板を研磨する前に生成された予め決められたスペクトルである。基準スペクトルは、実際の研磨速度が予想される研磨速度に従うと仮定した場合にそのスペクトルが現れると予想される研磨プロセス中の時刻を表す値との予め決められた関連(association)、すなわち研磨操作の前に決められた関連を有することができる。あるいは、またはそれに加えて、基準スペクトルは、最外層の厚さなどの基板特性の値との予め決められた関連を有することもできる。
【0038】
基準スペクトルは、例えば試験基板、例えば初期の層厚が分かっている試験基板からスペクトルを測定することによって経験的に生成することができる。例えば、複数の基準スペクトルを生成するためには、デバイスウエハの研磨中に使用されるであろう研磨パラメータと同じ研磨パラメータを使用してセットアップ基板(set−up substrate)を研磨し、その間に、スペクトルのシーケンスを集める。それぞれのスペクトルについて、そのスペクトルが集められた研磨プロセス中の時刻を表す値を記録する。例えば、この値を、経過時間またはプラテン回転数とすることができる。ターゲット厚さが達成されたときに基板から反射された光のスペクトルを得ることができるように、この基板を過研磨することができる。
【0039】
それぞれのスペクトルを、ある基板特性の値、例えば最外層の厚さに関連づけるために、製品基板と同じパターンを有する「セットアップ」基板の初期のスペクトルおよび特性を、研磨前に計測ステーションで測定することができる。研磨後に、最終のスペクトルおよび特性を、同じ計測ステーションまたは別の計測ステーションで測定することもできる。初期のスペクトルと最終スペクトルの間のスペクトルの特性は補間、例えば試験基板のスペクトルを測定した経過時間に基づく直線補間によって決定することができる。
【0040】
経験的に決定されることに加えて、基準スペクトルの一部または全部を、理論によって、例えば基板層の光学モデルを使用することによって、計算することもできる。例えば、光学モデルを使用して、外層の所与の厚さDに対する基準スペクトルを計算することができる。例えば外層が均一な研磨速度で除去されると仮定することによって、その基準スペクトルが集められるであろう研磨プロセス中の時刻を表す値を計算することができる。例えば、特定の基準スペクトルに対する時刻T
Sは、単純に出発厚さD0および均一な研磨速度Rを仮定することによって計算することができる(T
S=(D0−D)/R)。他の例として、光学モデルに対して使用される厚さDに基づく研磨前および研磨後の厚さD1、D2(または計測ステーションで測定された他の厚さ)の測定時刻T1、T2間の直線補間を実行することもできる(T
S=T2−T1×(D1−D)/(D1−D2))。
【0041】
図6および
図7を参照すると、研磨中に、測定スペクトル300(
図6参照)を、1つまたは複数のライブラリ310からの基準スペクトル320(
図7参照)と比較することができる。本明細書で使用されるとき、基準スペクトルのライブラリは、ある特性を共有する基板を表す基準スペクトルの集合である。しかしながら、単一のライブラリ中で共有される特性は、基準スペクトルの多数のライブラリ間で異なることがある。例えば、2つの異なるライブラリは、下にある2つの異なる厚さを有する基板を表す基準スペクトルを含むことがありうる。基準スペクトルの所与のライブラリでは、(ウエハパターンの違い、下層の厚さ、層組成などの)他の因子ではなく、上位層の厚さの変動が、スペクトル強度の差の主たる原因であることがある。
【0042】
異なるライブラリ310の基準スペクトル320は、異なる基板特性(例えば下層の厚さまたは層組成)を有する多数の「セットアップ」基板を研磨し、上で論じたとおりにスペクトルを集めることによって生成することができる。1枚のセットアップ基板からのスペクトルは第1のライブラリを提供することができ、下層の厚さが異なる別の基板からのスペクトルは第2のライブラリを提供することができる。あるいは、またはそれに加えて、異なるライブラリの基準スペクトルを理論によって計算することもできる。例えば、第1のライブラリのスペクトルは、下層が第1の厚さを有する光学モデルを使用して計算することができ、第2のライブラリのスペクトルは、下層が異なる1つの厚さを有する光学モデルを使用して計算することができる。
【0043】
いくつかの実施態様では、それぞれの基準スペクトル320に指標値330が割り当てられる。一般に、それぞれのライブラリ310は、多くの基準スペクトル320を含むことができ、例えば、基板の予想される研磨時間の間のプラテンの回転ごとに1つまたは複数、例えば正確に1つの基準スペクトルを含むことができる。この指標330は、その基準スペクトル320が観察されると予想される研磨プロセス中の時刻を表す値、例えば数とすることができる。特定のライブラリ中のスペクトルがそれぞれ固有の指標値を有するようにスペクトルに指標付けすることができる。この指標付けは、それらのスペクトルが測定された順に指標値が配列されるように実施することができる。指標値は、研磨が進むにつれて単調に変化するように、例えば研磨が進むにつれて増大または低減するように選択することができる。具体的には、基準スペクトルの指標値は、それらの指標値が、時間またはプラテン回転数の線形関数を形成するように選択することができる(研磨速度は、そのライブラリ内の基準スペクトルを生成するのに使用するモデルまたは試験基板の研磨速度に従うと仮定する)。例えば、指標値は、試験基板ではその基準スペクトルが測定されたときのプラテン回転数、または光学モデルではその基準スペクトルが現れると考えられるときのプラテン回転数に比例することができ、例えばこのようなプラテン回転数と同一とすることができる。したがって、それぞれの指標値は整数であることができる。この指標数は、関連するスペクトルが現れると考えられるときの予想されるプラテン回転を表すことができる。
【0044】
これらの基準スペクトルおよびそれらの関連指標値を参照ライブラリに記憶することができる。例えば、それぞれの基準スペクトル320およびその関連指標値330を、データベース350のレコード340に記憶することができる。基準スペクトルの参照ライブラリのデータベース350は、研磨装置のコンピューティングデバイスの記憶装置内に実装することができる。
【0045】
いくつかの実施態様では、所与の一群の基板に対して基準スペクトルを自動的に生成することができる。一群の基板のうちの最初の基板、または新たなデバイス/マスクパターンを有する最初の基板を研磨し、その間に、光学モニタリングシステムが、(
図11〜
図13に関して後に論じる)研磨速度の制御なしでスペクトルを測定する。これによって、この最初の基板のスペクトルのシーケンスが生成され、その際には、窓が基板の下をスイープするごとに、例えばプラテンが1回転することに、1ゾーンにつき少なくとも1つのスペクトルを生成する。
【0046】
この最初の基板のスペクトルのシーケンスから、一組の基準スペクトル、例えばそれぞれのゾーンに対する一組の基準スペクトルが自動的に生成される。手短に言えば、最初の基板から測定されたスペクトルが基準スペクトルになる。より具体的には、最初の基板のそれぞれのゾーンから測定されたスペクトルがそのゾーンの基準スペクトルになる。それぞれの基準スペクトルは、最初の基板からその基準スペクトルが測定されたときのプラテン回転数に関連づけられる。特定のプラテン回転における最初の基板の特定のゾーンに対する測定スペクトルが多数ある場合には、それらの測定スペクトルを結合して、例えばそれらの測定スペクトルを平均して、そのプラテン回転に対する平均スペクトルを生成することができる。あるいは、参照ライブラリが、それぞれのスペクトルを別個の基準スペクトルとして単純に保持し、後述するように、後続の基板の測定スペクトルをそれぞれの基準スペクトルと比較して、ベストマッチを見つけることもできる。任意選択で、データベースは、基準スペクトルのデフォルトセット(default set)を記憶することができ、それらの基準スペクトルは次いで、最初の基板のスペクトルのシーケンスから生成された一組の基準スペクトルに置き換えられる。
【0047】
上記のとおり、ターゲット指標値も自動的に生成することができる。いくつかの実施態様では、最初の基板を、固定された研磨時間の間研磨し、その固定された研磨時間の終わりのプラテン回転数をターゲット指標値として設定することができる。いくつかの実施態様では、固定された研磨時間の代わりに、(例えば米国特許第8,292,693号として発行された米国特許出願第12/625,480号に記載されている)ファクトリーホスト(factory host)またはCMPツールからのある形態のウエハ−ウエハフィードフォワードまたはフィードバック制御を使用して、最初のウエハの研磨時間を調整することができる。調整された研磨時間の終わりのプラテン回転数をターゲット指標値として設定することができる。
【0048】
いくつかの実施態様では、
図3に示されているように、研磨システムが、(分光写真光学モニタリングシステム160以外の)別の終点検出システム(図示せず)、例えば摩擦測定(例えば米国特許第7,513,818号に記載されている)、渦電流(例えば米国特許第6,924,641号に記載されている)、モータトルク(例えば米国特許第5,846,882号に記載されている)または単色光、例えばレーザ(例えば米国特許第6,719,818号に記載されている)を使用した終点検出システム(図示せず)を含むことができる。この別の終点検出システムは、プラテンの別個の凹み、または光学モニタリングシステム160と同じ凹み128の中に置くことができる。さらに、
図3ではプラテン120の回転軸の反対側に示されているが、これは必須ではない。終点検出システムのセンサは、光学モニタリングシステム160と同じ、軸125からの半径距離を有することができる。この別の終点検出システムを使用して最初の基板の研磨終点を検出することができ、この別の終点検出システムが終点を検出した時刻におけるプラテン回転数をターゲット指標値として設定することができる。いくつかの実施態様では、最初の基板の研磨後の厚さを測定することができ、上記の技法のうちの1つ技法によって決定した初期のターゲット指標値を、例えば直線スケーリング(linear scaling)によって、例えばターゲット厚さと研磨後の測定厚さの比を乗じることによって調整することができる。
【0049】
さらに、処理された新たな基板および新たな所望の終点時刻に基づいて、ターゲット指標値をさらに改良することができる。いくつかの実施態様では、最初の基板だけを使用してターゲット指標値をセットする代わりに、以前に研磨した多数の基板に基づいて、例えば、ウエハ−ウエハフィードフォワードまたはフィードバック制御または上記の別の終点検出システムによって示された終点時刻を結合する、例えば加重平均することによって、ターゲット指標を動的に決定することができる。この計算には、以前に研磨した予め決められた数の基板、例えば現在の基板の直前に研磨した4つ以下の基板を使用することができる。
【0050】
いずれにしても、ターゲット指標値が決定された後、1つまたは複数のゾーンに加えられる圧力を調整して、それらのゾーンが、このような調整がなされない場合よりも同時により近い時刻にターゲット指標に到達するようにする(またはそれらのゾーンが、予想される終点時刻(以後、予想終点時刻)に、それらのゾーンのターゲット指標により近くなるようにする)後述する技法を使用して、後続の1つまたは複数の基板を研磨することができる。
【0051】
上記のとおり、それぞれの基板のそれぞれのゾーンについて、測定スペクトルのシーケンスまたはそのゾーンおよび基板に基づいて、最も良く一致するスペクトルのシーケンスを生成するように、コントローラ190をプログラムすることができる。最も良く一致する基準スペクトルは、測定スペクトルを、特定のライブラリの基準スペクトルと比較することによって決定することができる。
【0052】
いくつかの実施態様では、測定スペクトルと基準スペクトルの差の2乗の和を計算することによって、最も良く一致する基準スペクトルを決定することができる。この差の2乗の和が最も小さい基準スペクトルがベストフィットを有する。最も良く一致する基準スペクトルを見つけ出す他の技法も可能である。
【0053】
コンピュータ処理を減らすために適用することができる方法は、一致するスペクトルを探索するライブラリの部分を制限する方法である。ライブラリは通常、基板を研磨している間に得られるスペクトルの範囲よりも広い範囲のスペクトルを含む。基板研磨の間、ライブラリの探索を、ライブラリスペクトルの所定の範囲に制限する。いくつかの実施態様では、研磨している基板の現在の回転指標Nを決定する。例えば、最初のプラテン回転では、そのライブラリの全ての基準スペクトルを探索することによってNを決定することができる。後続の回転の間に得られるスペクトルについては、Nのフリーダム(freedom)の範囲内でライブラリを探索する。すなわち、1つの回転中に指標数がNであることが分かった場合、X回転後の後続の回転中には、フリーダムがYである場合、(N+X)−Yから(N+X)+Yまでの範囲を探索する。
【0054】
単一の基板の単一のゾーンだけの結果を示す
図8を参照すると、シーケンス中の最も良く一致するそれぞれのスペクトルの指標値を決定して、指標値212の時間変化するシーケンスを生成することができる。指標値のこのシーケンスを指標トレース210と呼ぶことができる。いくつかの実施態様では、それぞれの測定スペクトルを、正確に1つのライブラリからの基準スペクトルと比較することによって、指標トレースを生成する。一般に、指標トレース210は、基板の下を光学モニタリングシステムがスイープするごとに1つ、例えば正確に1つの指標値を含むことができる。
【0055】
光学モニタリングシステムの1回のスイープで特定の基板およびゾーンに対して測定された多数のスペクトル(「現在のスペクトル」と呼ぶ)がある所与の指標トレース210については、それぞれの現在の
スペクトルと1つまたは複数のライブラリ、例えば正確に1つのライブラリの基準スペクトルとの間のベストマッチを決定することができる。いくつかの実施態様では、選択されたそれぞれの現在のスペクトルを、選択された1つまたは複数のライブラリのそれぞれの基準スペクトルと比較する。例えば現在のスペクトルe、fおよびgならびに基準スペクトルE、FおよびGがある場合、現在のスペクトルと基準スペクトルの以下のそれぞれの組合せについて一致係数(matching coefficient)を計算することができる:eとE、eとF、eとG、fとE、fとF、fとG、gとE、gとFおよびgとG。一致係数がベストマッチを示すもの、例えば一致係数が最も小さいものが、最も良く一致する基準スペクトル、したがって指標値を決定する。あるいは、いくつかの実施態様では、これらの現在のスペクトルを結合、例えば平均し、その結果得られた結合されたスペクトルを基準スペクトルと比較して、ベストマッチ、したがって指標値を決定することができる。
【0056】
いくつかの実施態様では、いくつかの基板の少なくもいくつかのゾーンについて、複数の指標トレースを生成することができる。所与の基板の所与のゾーンについて、関心の参照ライブラリごとに、指標トレースを生成することができる。すなわち、関心の参照ライブラリごとに、所与の基板の所与のゾーンに対して、測定スペクトルのシーケンス中のそれぞれの測定スペクトルを、所与のライブラリからの基準スペクトルと比較し、最も良く一致する基準スペクトルのシーケンスを決定し、最も良く一致する基準スペクトルのシーケンスの指標値が、その所与のライブラリに対する指標トレースを提供する。
【0057】
要約すると、指標トレースはそれぞれ指標値212のシーケンス210を含み、シーケンスの特定の指標値212はそれぞれ、測定スペクトルに対する最も近いフィット(closest fit)である、所与のライブラリの基準スペクトルの指標を選択することによって生成される。指標トレース210のそれぞれの指標の時刻値は、測定スペクトルが測定された時刻と同じとすることができる。
【0058】
図9を参照すると、複数の指標トレースが示されている。上で論じたとおり、それぞれの基板のそれぞれのゾーンに対して指標トレースを生成することができる。例えば、第1の基板の第1のゾーンに対して指標値212(白抜きの円によって示されている)の第1のシーケンス210を生成することができ、第1の基板の第2のゾーンに対して指標値222(塗りつぶされた四角によって示されている)の第2のシーケンス220を生成することができ、第2の基板の第1のゾーンに対して指標値232(塗りつぶされた円によって示されている)の第3のシーケンス230を生成することができ、第2の基板の第2のゾーンに対して指標値242(白抜きの円によって示されている)の第4のシーケンス240を生成することができる。
【0059】
図9に示されているように、それぞれの基板指標トレースについて、関連ゾーンおよびウエハの指標値のシーケンスに、既知の次数の多項式関数、例えば線形関数(例えば直線)を、例えばロバスト(robust)な直線の当てはめを使用して当てはめる。例えば、第1の基板の第1のゾーンに対する指標値212に第1の直線214を当てはめることができ、第1の基板の第2のゾーンの指標値222に第2の直線224を当てはめることができ、第2の基板の第1のゾーンの指標値232に第3の直線234を当てはめることができ、第2の基板の第2のゾーンの指標値242に第4の直線244を当てはめることができる。指標値への直線の当てはめは、直線の傾きSおよび直線が出発指標値、例えば0を横切るx軸交差時刻Tの計算を含むことができる。この関数は、I(t)=S(t−T)の形で表すことができる。tは時刻である。x軸交差時刻Tは負の値をとりうる。x軸交差時刻Tが負であることは、基板層の出発厚さが予想よりも薄いことを示す。したがって、第1の直線214は、第1の傾きS1および第1のx軸交差時刻T1を有することができ、第2の直線224は、第2の傾きS2および第2のx軸交差時刻T2を有することができ、第3の直線234は、第3の傾きS3および第3のx軸交差時刻T3を有することができ、第4の直線244は、第4の傾きS4および第4のx軸交差時刻T4を有することができる。
【0060】
多数の基板が、例えば同じ研磨パッド上で同時に研磨されている場合、基板間の研磨速度の変動は、それらの基板が異なる時刻にそれらの基板のターゲット厚さに到達することにつながりうる。一方で、それらの基板に対する研磨を同時に停止させた場合、一部の基板は所望の厚さを有しない。他方、それらの基板に対する研磨を異なる時刻に止めた場合には、一部の基板が欠陥を有する可能性があり、研磨装置はより低いスループットで動作している。
【0061】
それぞれの基板のそれぞれのゾーンの研磨速度をインシトゥ測定によって決定することによって、ターゲット厚さに対する予測される終点時刻(以後、予測終点時刻)またはターゲット終点時刻に対する予測される厚さを、それぞれの基板のそれぞれのゾーンに対して決定することができ、それらの基板がより近い終点条件を達成するように、少なくとも1つの基板の少なくとも1つのゾーンの研磨速度を調整することができる。「より近い終点条件」は、それらの基板のそれらのゾーンが、このような調整がなされない場合よりも同時により近い時刻にターゲット厚さに到達するであろうこと、または、それらの基板が研磨を同時に停止させた場合に、それらの基板のそれらのゾーンが、このような調整がなされない場合よりも同じ厚さにより近い厚さを有するであろうことを意味する。
【0062】
研磨プロセス中のある時刻、例えば時刻T0に、少なくとも1つの基板の少なくとも1つのゾーン、例えば全ての基板の少なくとも1つのゾーンの研磨パラメータを調整して、このような調整がなされない場合よりも、複数の基板の複数のゾーンが、研磨終点時刻において、それらのゾーンのターゲット厚さにより近くなるように、基板のゾーンの研磨速度を調整する。いくつかの実施態様では、複数の基板のそれぞれのゾーンが、終点時刻においてほぼ同じ厚さを有することができる。
【0063】
図10を参照すると、いくつかの実施態様では、1つの基板の1つのゾーンを基準ゾーンとして選択し、基準ゾーンがターゲット指標ITに到達する予測終点時刻TEを決定する。ある種の実施態様では、予測終点時刻TEを、予測残留物クリアリング終点時刻(TE
R)の予測バルク終点時刻(TE
B)とすることができる。例えば、
図10に示されているように、第1の基板の第1のゾーンを基準ゾーンとして選択する。別のゾーンおよび/または別の基板を選択することもできる。使用者は、研磨操作の前にターゲット厚さITを設定し、それを記憶する。
【0064】
基準ゾーンがターゲット指標に到達する予測時刻を決定するために、基準ゾーンの直線、例えば直線214とターゲット指標ITとの交点を計算することができる。残りの研磨プロセスを通して研磨速度が予想される研磨速度から外れないと仮定すると、指標値のシーケンスは、実質的に直線的な推移を維持するはずである。したがって、予想終点時刻TEは、その直線のターゲット指標ITへの単純な直線補間として、例えばIT=S(TE−T)として計算することができる。したがって、関連する第3の直線234を有する第2の基板の第1のゾーンが基準ゾーンとして選択された
図11の例では、IT=S1(TE−T1)、すなわちTE=IT/S1−T1である。
【0065】
基準ゾーン以外の(他の基板上のゾーンを含む)1つまたは複数のゾーン、例えば全てのゾーンを調整可能ゾーンと規定することができる。それらの調整可能ゾーンの直線が予想終点時刻TEと交わるところがそれらの調整可能ゾーンの予測される終点を規定する。したがって、それぞれの調整可能ゾーンの線形関数、例えば
図11の直線224、234および244を使用して、予想終点時刻ETにおいてその関連ゾーンに対して達成される指標、例えばEI2、EI3およびEI4を外挿することができる。例えば、第2の直線224を使用して、予想終点時刻ETにおける第1の基板の第2のゾーンの予想される指標EI2を外挿することができ、第3の直線234を使用して、予想終点時刻ETにおける第2の基板の第1のゾーンの予想される指標EI3を外挿することができ、第4の直線を使用して、予想終点時刻ETにおける第2の基板の第2のゾーンの予想される指標EI4を外挿することができる。
【0066】
図11に示されているとおり、時刻T0の後にどの基板のどのゾーンの研磨速度も調整しない場合、全ての基板の終点を強制的に同じ時刻にした場合にそれぞれの基板が異なる厚さを有することがあり、またはそれぞれの基板が異なる終点時刻を有することがある(これは、欠陥およびスループットの損失につながりうるため望ましくない)。ここで、例えば、(直線224によって示されている)第1の基板の第2のゾーンは、終点で、第1の基板の第1のゾーンの予想される指標よりも大きな予想される指標EI2(したがって第1の基板の第1のゾーンよりも小さな厚さ)を有するであろう。同様に、第2の基板の第1のゾーンは、終点で、第1の基板の第1のゾーンよりも小さな予想される指標EI3(したがって第1の基板の第1のゾーンよりも大きな厚さ)を有するであろう。
【0067】
図11に示されているように、異なる基板が異なる時刻にターゲット指標に到達する場合(または、同義には、調整可能ゾーンが、基準ゾーンの予測終点時刻において異なる予想される指標を有する)には、それらの基板が、このような調整がなされない場合よりも同時により近い時刻に、例えばほぼ同じ時刻に、ターゲット指標(したがってターゲット厚さ)に到達するように、または、それらの基板が、ターゲット時刻において、このような調整がなされない場合よりも同じ指標値により近い指標値(したがって同じ厚さにより近い長さ)、例えばほぼ同じ指標値(したがってほぼ同じ厚さ)を有するように、研磨速度を上方または下方へ調整することができる。
【0068】
したがって、
図10の例では、時刻T0を始点として、第1の基板の第2のゾーンに対する少なくとも1つの研磨パラメータを、そのゾーンの研磨速度が低下するように(その結果、指標トレース220の傾きが低下するように)修正する。さらに、この例では、第2の基板の第1のゾーンに対する少なくとも1つの研磨パラメータを、そのゾーンの研磨速度が低下するように(その結果、指標トレース230の傾きが低下するように)修正する。同様に、この例では、第2の基板の第2のゾーンに対する少なくとも1つの研磨パラメータを、そのゾーンの研磨速度が低下するように(その結果、指標トレース240の傾きが低下するように)修正する。その結果、両方の基板の両方のゾーンが、ほぼ同じ時刻にターゲット指標(したがってターゲット厚さ)に到達する(または、両方の基板の研磨が同時に停止した場合に、両方の基板の両方のゾーンがほぼ同じ厚さを有して終端する)であろう。
【0069】
いくつかの実施態様では、予想終点時刻ETにおける予測される指標が、その基板のゾーンが、ターゲット厚さの予め決められた範囲内にあることを示している場合には、そのゾーンに対する調整が必要ないことがある。この範囲は、ターゲット指標の2%とすることができ、例えばターゲット指標の1%以内とすることができる。
【0070】
調整可能ゾーンの研磨速度を調整して、このような調整がなされない場合よりも、全てのゾーンが、予想終点時刻において、ターゲット指標により近くなるようにすることができる。例えば、基準基板の基準ゾーンを選択し、残りの全てのゾーンの処理パラメータを、それらの全てのゾーンが、基準基板の予測される時刻とほぼ同じ時刻に終点に到達するように調整することができる。基準ゾーンは例えば、所定のゾーン、例えば中心ゾーン148aもしくは中心ゾーンをじかに取り囲むゾーン148b、任意の基板の任意のゾーンのうち最も早い予測終点時刻もしくは最も遅い予測終点時刻を有するゾーン、または所望の予測終点を有する基板のゾーンとすることができる。この最も早い時刻は、研磨を同じ時刻に停止させた場合の最も薄い基板と同義である。同様に、この最も遅い時刻は、研磨を同じ時刻に停止させた場合の最も厚い基板と同義である。基準基板は例えば、所定の基板、複数の基板のうちの最も速い予測終点時刻を有するゾーンを有する基板、または最も遅い予測終点時刻を有するゾーンを有する基板とすることができる。この最も早い時刻は、研磨を同じ時刻に停止させた場合の最も薄いゾーンと同義である。同様に、この最も遅い時刻は、研磨を同じ時刻に停止させた場合の最も厚いゾーンと同義である。
【0071】
それぞれの調整可能ゾーンについて、その調整可能ゾーンが、基準ゾーンと同じ時刻にターゲット指標に到達するように、指標トレースの所望の傾きを計算することができる。例えば、所望の傾きSDは、(IT−I)=SD×(TE−T0)から計算することができる。この式で、Iは、研磨パラメータを変化させる時刻T0における(指標値のシーケンスに対する線形関数の当てはめによって計算された)指標値、ITはターゲット指標、TEは、計算された予想終点時刻である。
図10の例では、第1の基板の第2のゾーンに対して、(IT−I2)=SD2×(TE−T0)から所望の傾きSD2を計算されることができ、第2の基板の第1のゾーンに対して、(IT−I3)=SD3×(TE−T0)から所望の傾きSD3を計算することができ、第2の基板の第2のゾーンに対して、(IT−I4)=SD4×(TE−T0)から所望の傾きSD4を計算されることができる。
【0072】
図11を参照すると、いくつかの実施態様では基準ゾーンがない。例えば、予想終点時刻TE’を、所定の時刻、例えば研磨プロセスの前に使用者が設定した所定の時刻とすることができ、または、予想終点時刻TE’を、1つもしくは複数の基板の2つ以上のゾーンの(さまざまなゾーンのターゲット指標までの直線を予測することによって計算された)予想終点時刻の平均もしくは他の結合から計算することもできる。この実施態様では、所望の傾きが、(予想終点時刻TE’をTEの代わりに使用して)実質的に上で論じたとおりに計算されるが、第1の基板の第1のゾーンに対する所望の傾きも計算しなければならない。例えば、所望の傾きSD1は、(IT−I1)=SD1×(TE’−T0)から計算することができる。
【0073】
図12を参照すると、いくつかの実施態様では、異なるゾーンに対して異なるターゲット指標がある(これらの実施態様を、
図11に示された実施態様と組み合わせることもできる)。これは、基板上に、計画的だが制御可能な不均一な厚さプロファイルを生み出すことを可能にする。使用者は、例えばコントローラ上の入力デバイスを使用してターゲット指標を入力することができる。例えば、第1の基板の第1のゾーンは第1のターゲット指標IT1を有することができ、第1の基板の第2のゾーンは第2のターゲット指標IT2を有することができ、第2の基板の第1のゾーンは第3のターゲット指標IT3を有することができ、第2の基板の第2のゾーンは第4のターゲット指標IT4を有することができる。
【0074】
それぞれの調整可能ゾーンの所望の傾きSDは、(IT−I)=SD×(TE−T0)から計算することができる。この式で、Iは、研磨パラメータを変化させる時刻T0における(そのゾーンの指標値のシーケンスに対する線形関数の当てはめによって計算された)そのゾーンの指標値、ITは、その特定のゾーンのターゲット指標、TEは、(
図10に関して上で論じた基準ゾーンから、または
図11に関して上で論じた予め設定された終点時刻もしくは予想終点時刻の結合から)計算された予想終点時刻である。
図12の例では、第1の基板の第2のゾーンに対して、(IT2−I2)=SD2×(TE−T0)から所望の傾きSD2を計算されることができ、第2の基板の第1のゾーンに対して、(IT3−I3)=SD3×(TE−T0)から所望の傾きSD3を計算することができ、第2の基板の第2のゾーンに対して、(IT4−I4)=SD4×(TE−T0)から所望の傾きSD4を計算されることができる。
【0075】
図10〜
図12に関して上で説明した上記の方法では、研磨速度を調整して指標トレースの傾きを所望の傾きに近づける。研磨速度は例えば、キャリアヘッドの対応するチャンバ内の圧力を増大または低減させることによって調整することができる。研磨速度の変化は、圧力の変化、例えば単純なプレストンモデル(Prestonian model)に正比例すると仮定することができる。例えば、それぞれの基板のそれぞれのゾーンに関して、そのゾーンが、時刻T0より前は圧力Poldで研磨された場合、時刻T0の後に加える新たな圧力Pnewを、Pnew=Pold×(SD/S)として計算することができる。この式で、Sは、時刻T0より前の直線の傾き、SDは、所望の傾きである。
【0076】
例えば、第1の基板の第1のゾーンに圧力Pold1が加えられ、第1の基板の第2のゾーンに圧力Pold2が加えられ、第2の基板の第1のゾーンに圧力Pold3が加えられ、第2の基板の第2のゾーンに圧力Pold4が加えられたと仮定すると、第1の基板の第1のゾーンに対する新たな圧力PnewlはPnew1=Pold1×(SD1/S1)として計算することができ、第1の基板の第2のゾーンに対する新たな圧力Pnew2はPnew2=Pold2×(SD2/S2)として計算することができ、第2の基板の第1のゾーンに対する新たな圧力Pnew3はPnew3=Pold3×(SD3/S3)として計算することができ、第2の基板の第2のゾーンに対する新たな圧力Pnew4はPnew4=Pold4×(SD4/S4)として計算することができる。
【0077】
基板がターゲット厚さに到達する予測される時刻を決定し、研磨速度を調整するこのプロセスは、研磨プロセス中に1回だけ、例えば指定された時刻に、例えば予想される研磨時間の40から60%に当たる時刻に実行することができ、または、研磨プロセス中に複数回にわたって、例えば30から60秒ごとに実行することもできる。適当ならば、研磨プロセス中の後続の時刻に、速度を再び調整することができる。研磨速度は、研磨プロセス中に数回だけ、例えば4回、3回、2回または1回だけ変化させることができる。この調整は、研磨プロセスの始め近く、研磨プロセスの中間または研磨プロセスの終わり近くに実施することができる。
【0078】
研磨速度を調整した後、例えば時刻T0の後も研磨は継続し、光学モニタリングシステムは、スペクトルを集めること、およびそれぞれの基板のそれぞれのゾーンに対する指標値を決定することを継続する。基準ゾーンの指標トレースが、(例えば、時刻T0の後の指標値のシーケンスに新たな線形関数を当てはめ、その新たな線形関数がターゲット指標に到達する時刻を決定することによって計算された)ターゲット指標に到達したら、終点がコール(call)され、研磨操作は、両方の基板に対して停止する。終点を決定するのに使用する基準ゾーンは、予想終点時刻を前述のとおりに計算するのに使用した基準ゾーンと同じ基準ゾーンとすることができ、または別のゾーンとすることもできる(あるいは、
図10に関して説明したように全てのゾーンが調整された場合には、終点決定のために基準ゾーンを選択することができる)。
【0079】
例えば、
図13に示されているように、時刻T0の後も、光学モニタリングシステムは、基準ゾーンのスペクトルを集めること、および基準ゾーンの指標値312を決定することを継続する。(例えば
図10の実施態様の場合のように)基準ゾーン上の圧力が変化しなかった場合には、T0の前と後の両方のデータ点を使用して線形関数は計算して、更新された線形関数314を提供することができ、線形関数314がターゲット指標ITに到達する時刻が、研磨終点時刻を示す。一方、(例えば
図11の実施態様の場合のように)時刻T0において基準ゾーン上の圧力が変化した場合には、時刻T0の後の指標値のシーケンス312から、傾きS’を有する新たな線形関数314を計算することができ、新たな線形関数314がターゲット指標ITに到達する時刻が、研磨終点時刻を示す。終点を決定するのに使用する基準ゾーンは、予想終点時刻を前述のとおりに計算するのに使用した基準ゾーンと同じ基準ゾーンとすることができ、または別のゾーンとすることもできる(あるいは、
図10に関して説明したように全てのゾーンが調整された場合には、終点決定のために基準ゾーンを選択することができる)。新たな線形関数314が、元の線形関数214から計算された予測時刻よりも(
図13に示されているように)わずかに遅く、またはわずかに早くターゲット指標ITに到達する場合にはそれぞれ、1つもしくは複数のゾーンがわずかに過大にまたはわずかに過小に研磨される可能性がある。しかしながら、予想終点時刻と実際の研磨時刻の差は2秒未満であるはずなので、これが、研磨の均一性に深刻な影響を与えるとは限らない。
【0080】
図10を参照して上で説明した研磨速度の調整を用いても、1つまたは複数の調整可能ゾーンの実際の研磨速度が所望の研磨速度に一致せず、したがって調整可能ゾーンが過小にまたは過大に研磨されることが依然として起こりうる。いくつかの実施態様では、フィードバックプロセスを使用して、調整可能ゾーンの研磨速度を、以前の基板の調整可能ゾーンの研磨結果に基づいて補正することができる。所望の研磨速度と実際の研磨速度の不一致は、プロセスドリフト(process drift)、例えばプロセス温度、パッド状態、スラリ組成の変化または基板の変動が原因で生じうる。さらに、所与の一組のプロセス条件について、圧力の変化と除去速度の変化の関係が、最初によく特徴づけられているとは限らない。したがって、使用者は通常、実験計画マトリックスを実行して、さまざまなゾーン内の異なる圧力の除去速度に対する効果を調べるか、または、インシトゥプロセス制御を使用して一連の基板を処理し、所望のプロファイルが達成されるまで、ゲインおよび/またはオフセット設定を基板ごとに微調整する。しかしながら、フィードバック機構は、この関係を自動的に決定しまたは微調整することができる。
【0081】
いくつかの実施態様では、このフィードバックを、1つまたは複数の前の基板の調整可能ゾーンの測定に基づく誤差値とすることができる。この誤差値を、後続の基板の調整可能ゾーン(すなわち基準ゾーン以外のゾーン)に対する所望の圧力を計算する際に使用することができる。この誤差値は、所望の研磨速度(例えば計算された傾きSDによって表される)、および調整後の、例えばT0の後の実際の研磨速度(例えば実際の傾きS’によって表される)に基づいて計算することができる。この誤差値は、調整可能ゾーン上の圧力に対する修正を調整するスケーリング因子(scaling factor)として使用することができる。この実施態様では、光学モニタリングシステムが、研磨圧力を調整した後、例えばT0の後も、スペクトルを集めること、および少なくとも1つの調整可能ゾーン、例えばそれぞれの基板のそれぞれの調整可能ゾーンの指標値を決定することを継続する。しかしながら、このフィードバック技法を使用する実施態様は、研磨パッド上で一度に単一の基板だけが研磨されている場合にも適用可能であることがある。
【0082】
一実施態様では、この補正が実施されるときに時刻T0の後に基板上の調整可能ゾーンに加える調整された圧力Padjが、
Padj=(Pnew−Pold)×err+Pnew
に従って計算される。上式で、Poldは、時刻T0の前にゾーンに加えられる圧力であり、Pnewは、Pnew=Pold×(SD/S)として計算され、errは、1つまたは複数の前の基板のゾーンの実際の研磨速度の、それらの前の基板のゾーンの所望の研磨速度からの変動に基づいて計算された誤差値である。
【0083】
図14A〜
図14Dは、調整可能ゾーンの所望の研磨速度(T0の前の線形関数から計算された傾きSDによって表される)が、その調整可能ゾーンの実際の研磨速度(T0の後の第2の線形関数の実際の傾きS’によって表される)と一致しない4つの状況を示す。これらのそれぞれの状況では、基準ゾーンについてスペクトルのシーケンスを測定し、基準ゾーンのそれらのスペクトルについて、(時刻T0の前の)指標値212および(時刻T0の後の)指標値312を決定し、指標値212および312に線形関数214/314を当てはめ、線形関数214/314がターゲット指標ITを横切る時刻から終点時刻TE’を決定することができる。ある種の実施態様では、予測終点時刻TE’を、予測残留物クリアリング終点時刻(TE’
R)の予測バルク終点時刻(TE’
B)とすることができる。さらに、少なくとも1つの調整可能ゾーンについてスペクトルのシーケンスを測定し、それらのスペクトルについて例えば(時刻T0の前の)指標値222および(時刻T0の後の)指標値322を決定し、指標値222に第1の線形関数224を当てはめて、その調整可能ゾーンの時刻T0の前の元の傾きSを決定し、その調整可能ゾーンに対する所望の傾きSDを上で論じたとおりに計算し、指標値322に第2の線形関数324を当てはめて、その調整可能ゾーンの時刻T0の後の実際の傾きS’を決定することができる。いくつかの実施態様では、それぞれの基板のそれぞれの調整可能ゾーンをモニタリングし、それぞれの調整可能ゾーンの元の傾き、所望の傾きおよび実際の傾きを決定する。
【0084】
図14Aによって示されているように、いくつかの状況では、調整可能ゾーンの所望の傾きSDが元の傾きSよりも大きいが、実際の傾きS’が所望の傾きSDよりも小さい。したがって、基準ゾーンが予測時刻にターゲット指標ITに到達すると仮定すると、その基板の調整可能ゾーンは過小に研磨される。終点時刻TE’までに調整可能ゾーンがターゲット指標に到達しなかったためである。この基板のこの調整可能ゾーンでは実際の研磨速度S’が所望の研磨速度SDよりも小さいため、後続の基板に対しては、この調整可能ゾーンに対する圧力の増大を、SDの計算が示すものよりも大きくすべきである。例えば、誤差errは、err=[(SD−S’)/SD]として計算することができる。
【0085】
図14Bによって示されているように、いくつかの状況では、調整可能ゾーンの所望の傾きSDが元の傾きSよりも大きく、実際の傾きS’が所望の傾きSDよりも大きい。したがって、基準ゾーンが予測時刻にターゲット指標ITに到達すると仮定すると、その基板の調整可能ゾーンは過大に研磨される。終点時刻TE’において調整可能ゾーンがターゲット指標を上回ったためである。この基板のこの調整可能ゾーンでは実際の研磨速度S’が所望の研磨速度SDよりも大きいため、後続の基板に対しては、この調整可能ゾーンに対する圧力の増大を、SDの計算が示すものよりも小さくすべきである。例えば、誤差errは、err=[(SD−S’)/SD]として計算することができる。
【0086】
図14Cによって示されているように、いくつかの状況では、調整可能ゾーンの所望の傾きSDが元の傾きSよりも小さく、実際の傾きS’が所望の傾きSDよりも大きい。したがって、基準ゾーンが予測時刻にターゲット指標ITに到達すると仮定すると、その基板の調整可能ゾーンは過大に研磨される。終点時刻TE’において調整可能ゾーンがターゲット指標を上回ったためである。この基板のこの調整可能ゾーンでは実際の研磨速度S’が所望の研磨速度SDよりも大きいため、後続の基板では、この調整可能ゾーンに対する圧力の低減を、SDの計算が示すものよりも大きくすべきである。例えば、誤差errは、err=[(S’−SD)/SD]として計算することができる。
【0087】
図14Dによって示されているように、いくつかの状況では、調整可能ゾーンの所望の傾きSDが元の傾きSよりも小さく、実際の傾きS’が所望の傾きSDよりも小さい。したがって、基準ゾーンが予測時刻にターゲット指標ITに到達すると仮定すると、その基板の調整可能ゾーンは過大に研磨される。終点時刻TE’に調整可能ゾーンがターゲット指標に到達しなかったためである。この基板のこの調整可能ゾーンでは実際の研磨速度S’が所望の研磨速度SDよりも小さいため、後続の基板に対しては、この調整可能ゾーンに対する圧力の低減を、SDの計算が示すものよりも小さくすべきである。例えば、誤差errは、err=[(S’−SD)/SD]として計算することができる。
【0088】
図14A〜
図14Dに関して上で論じた実施態様では、
図14Cおよび
図14Dに示された状況に対する誤差の符号が、
図14Aおよび
図14Bとの比較で逆になる。すなわち、所望の傾きSDが元の傾きSよりも大きいときには誤差信号を逆にする(すなわち、所望の傾きSDが元の傾きSよりも小さいときとの比較で逆にする)。
【0089】
しかしながら、いくつかの実施態様では、この誤差を常に同じ方式で、すなわちerr=[(SD−S’)/SD]として計算することができる。これらの実施態様では、元の傾きSに関わりなく、所望の傾きが実際の傾きよりも大きい場合には誤差が正であり、所望の傾きが実際の傾きよりも小さい場合には誤差が負である。
【0090】
いくつかの実施態様では、
図14A〜
図14Dのそれぞれのケースで、前の基板に対して計算された誤差errを、後続の基板に対するPadj=(Pnew−Pold)×err+Pnew[式1]の計算で使用することができる。
【0091】
調整された圧力の計算に誤差を適用するのではなしに、調整可能ゾーンに対する調整されたターゲット指標を計算することもできることにも注目することができる。次いで、この調整されたターゲット指標に基づいて所望の傾きを計算することになる。例えば、
図15を参照すると、調整されたターゲット指標ITadjは、ITadj=SI+(IT−SI)×(1+err)[式2]として計算することができる。この式で、ITはターゲット指標、SIは、(線形関数224または線形関数324から計算される)時刻T0における出発指標である。誤差errは、err=[(IT−AI)/(IT−SI)]として計算することができる。この式で、Alは、終点時刻TE’において調整可能ゾーンが到達する(線形関数324から計算される)実際の指標である。
【0092】
図14A〜Dと
図15の両方の実施態様に適用可能ないくつかの実施態様では、この誤差が、前のいくつかの基板にわたって累積する。単純な一実施態様では、式1または式2の計算で使用される全体の誤差errが、err=k1×err1+k2×err2として計算される。この式で、k1およびk2は定数、err1は、直前の基板から計算された誤差、err2は、この直前の基板の前の1つまたは複数の基板に対して計算された誤差である。
【0093】
いくつかの実施態様では、現在の基板の式1または式2の計算に使用される適用される誤差errが、直前の基板のスケーリングされた誤差と直前の基板の前の基板からの適用された誤差の加重平均との結合として計算される。これは、下式によって表すことができる。
適用されたerr
X+1=スケーリングされたerror
X+totalerror
X−1
スケーリングされたerror
X=k1×err
X
全体のerror
X−1=k2×(a1×適用されたerr
X−2+a2×適用されたerr
X−3...aN×適用されたerr
(X−(N+1))
上式で、k1およびk2は定数、a1、a2、aNは加重平均のための定数であり、すなわちa1+a2+...+aN=1である。定数k1は約0.7、定数k2は1とすることができる。err
Xは、上記の方法のうちの1つの方法に従って直前の基板に対して計算された誤差であり、例えば、
図14A〜
図14Dの実施態様についてはerr
X=[(SD−S’)/SD]またはerr
X=[(S’−SD)/SD]、
図15の実施態様についてはerr
X=[(IT−AI)/(IT−SI)]である。用語「適用されたerr
X」は、直前の基板に対して適用された誤差であり、例えば、現在の基板が基板X+1であると仮定すると、適用されたerr
X−2は3つの前の基板に対して適用された誤差、適用されたerr
X−2は4つの前の基板に対して適用された誤差であり、以下同様である。式1または式2に対しては、err=適用されたerr
X+1である。
【0094】
いくつかの実施態様、例えば銅を研磨するいくつかの実施態様では、基板の終点を検出した後、その基板を直ちに過研磨プロセスにかけて、例えば銅の残留物を除去する。この過研磨プロセスは、基板の全てのゾーンに対して均一な、例えば1から1.5psiの圧力で実施することができる。この過研磨プロセスは、例えば10から15秒の予め設定された持続時間を有することができる。
【0095】
いくつかの実施態様では、基板の研磨が同時には停止しない。このような実施態様では、終点を決定するために、それぞれの基板に対して基準ゾーンを設定することができる。特定の基板の基準ゾーンの指標トレースがターゲット指標に到達したら(これは例えば、時刻T0の後の指標値のシーケンスに当てはめられた線形関数がターゲット指標に到達する時刻によって計算される)、その特定の基板に対して終点がコールされ、その特定の基板の全てのゾーンに対する圧力が同時に停止される。しかしながら、1つまたは複数の他の基板の研磨は継続することができる。残りの基板の基準ゾーンに基づいて残りの全ての基板に対して終点コールされた後(または全ての基板に対する過研磨が完了した後)にのみ、研磨パッドの洗浄が始まる。さらに、全てのキャリアヘッドが同時に基板を持ち上げて研磨パッドから下ろすことができる。
【0096】
特定のゾーンおよび基板に対して多数の指標トレースは生成される場合、例えばその特定のゾーンおよび基板に対する関心のそれぞれのライブラリに対して1つの指標トレースが生成される場合には、それらの指標トレースのうちの1つの指標トレースを選択して、その特定のゾーンおよび基板に対する終点または圧力制御アルゴリズムで使用することができる。例えば、同じゾーンおよび基板に対して生成されたそれぞれの指標トレースについて、コントローラ190は、その指標トレースの指標値に線形関数を当てはめ、その指標値のシーケンスに対するその線形関数の適合度(goodness of fit)を決定することができる。それ自体の指標値に対する最も良い適合度を有する直線を有する生成された指標トレースを、その特定のゾーンおよび基板の指標トレースとして選択することができる。例えば、例えば時刻T0において調整可能ゾーンの研磨速度をどのように調整するのかを決定するときに、最も良い適合度を有する線形関数をその計算に使用することができる。他の例として、最も良い適合度を有する直線の(その指標値のシーケンスに当てはめられた線形関数から計算された)計算された指標がターゲット指標に一致し、またはターゲット指標を上回ったときに終点をコールすることができる。さらに、線形関数から指標値を計算するのではなしに、指標値自体をターゲット指標と比較して終点を判定することもできる。
【0097】
あるスペクトルライブラリに関連した指標トレースが、そのライブラリに関連した線形関数に対して最も良い適合度を有するのかどうかの判定は、その関連スペクトルライブラリの指標トレースのそのロバストな関連直線からの差が、別のライブラリに関連したロバストな関連直線および指標トレースからの差、例えば最も小さな標準偏差、最も大きな相関または分散の他の尺度に比べて相対的に最も少ないかどうかを判定することを含むことができる。一実施態様では、指標データ点と線形関数の間の差の2乗の和を計算することによって適合度を決定し、この差の2乗の和が最も小さいライブラリがベストフィットを有する。
【0098】
図16A〜
図16Dは、1つまたは複数の基板の複数のゾーンの研磨速度を、それらの複数のゾーンがターゲット時刻にほぼ同じ厚さを有するように調整する例示的なプロセスの一実施態様の流れ
図1600である。ブロック1602で、研磨装置内において、1つまたは複数の基板の複数のゾーンを同じ研磨パッドを用いて同時に研磨して、バルク材料層を前述のとおりに除去する。この研磨操作の間、それぞれの基板のそれぞれのゾーンは、独立に変更可能な研磨パラメータによって、例えば特定のゾーンの上方のキャリアヘッドのチャンバにより加えられる圧力によって他の基板とは独立に制御可能なその研磨速度を有する。例示的なバルク材料には、銅などの導電性材料、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(例えば、SiO
2)などの絶縁体が含まれる。ブロック1604で、研磨操作の間、基板を、前述のとおりに、例えばそれぞれの基板のそれぞれのゾーンから測定スペクトルを得ることによってモニタリングする。ブロック1606で、ベストマッチである基準スペクトルを決定する。ブロック1608で、ベストフィットであるそれぞれの基準スペクトルの指標値を決定して、指標値のシーケンスを生成する。ブロック1610で、それぞれの基板のそれぞれのゾーンについて、その指標値のシーケンスに第1の線形関数を当てはめる。
【0099】
ブロック1612で、基準ゾーンの第1の線形関数がバルクターゲット指標値に到達する予想バルク終点時刻を、例えばその線形関数の直線補間によって決定する。ある種の実施態様では、予想バルク終点時刻が、多数のゾーンの予想終点時刻の結合として決定または計算される。ある種の実施態様では、以前に本明細書中で説明したモータトルクモニタリングシステム、渦電流モニタリングシステム、摩擦モニタリングシステムまたは単色光学システムのうちの少なくとも1つのシステムを使用して、バルク終点時刻を検出する。ある種の実施態様では、以前に研磨した基板のバルク終点時刻を使用してバルク終点時刻を推定する。多数の研磨ステップを使用してバルク材料を除去するある種の実施態様では、終点時刻が、バルク材料の一部分を除去した後になることがある。
【0100】
ブロック1614で、この1つまたは複数の基板の残りのゾーンの研磨パラメータを調整して、その1つまたは複数の基板のそれらの複数のゾーンがほぼ同じ時刻にターゲット厚さに到達するように、あるいは、それらの複数の基板のそれらの複数のゾーンが、予想バルク終点時刻にほぼ同じ厚さ(またはターゲット厚さ)を有するように、その基板の研磨速度を調整する。研磨パラメータを調整するこのプロセスは、以前の任意の基板から生成された誤差値を使用することを含むことができる。誤差値の使用を含む研磨パラメータの調整の説明が、本発明の譲受人に譲渡されたQian他の「FEEDBACK FOR POLISHING RATE CORRECTION IN CHEMICAL MECHANICAL POLISHING」という名称の米国特許出願公開第2012/0231701号に記載されている。
【0101】
ブロック1616で、パラメータを調整した後、研磨を継続し、それぞれの基板のそれぞれのゾーンについて、スペクトルを測定し、最も良く一致する基準スペクトルをライブラリから決定し、最も良く一致するスペクトルの指標値を決定して、研磨パラメータを調整した後の時間期間に対する指標値の新しいシーケンスを生成し、指標値の新しいシーケンスに第2の線形関数を当てはめる。
【0102】
ある種の実施態様では、それぞれの調整可能ゾーンについて、そのゾーンの指標値の新しいシーケンス(すなわちパラメータが調整された後のシーケンス)に当てはまる第2の線形関数の傾きを決定する。ある種の実施態様では、それぞれの調整可能ゾーンについて、そのゾーンの実際の研磨速度(第2の線形関数の傾きによって与えられる)と所望の研磨速度(所望の傾きによって与えられる)との差に基づいて、誤差値を計算する。この誤差値を使用して研磨パラメータは調整することができ、この調整された研磨パラメータを、この1つまたは複数の基板からの残留材料の除去中にフィードフォワード型のプロセスで使用することができ、また、この調整された研磨パラメータを、フィードバック型のプロセスで追加の基板の研磨に適用することもできる。
【0103】
任意選択で、基準ゾーンの指標値(例えば第1または第2の線形関数から生成された計算された指標値)が第1のターゲット指標値に到達したら、研磨を停止させることができる。ある種の実施態様では、この第1のターゲット指標値が、バルク研磨プロセスのターゲット指標値である。多数のプラテン(例えばバルク材料を除去する第1のプラテンおよび残留材料を除去する第2のプラテン)上で研磨を実行するある種の実施態様では、任意選択で、この1つまたは複数の基板を、第2のプラテンおよび第2の研磨パッドを有する第2の研磨ステーションへ移し、そこで残留材料の研磨および除去を実行することができる。多プラテン研磨システムが、本発明の譲受人に譲渡されたTolles他の「SYSTEM FOR CHEMICAL MECHANICAL POLISHING HAVING MULTIPLE POLISHING STATIONS」という名称の米国特許第6,126,517号に記載されている。ある種の実施態様では、バルク材料層を除去するのに使用した研磨溶液とは異なる研磨溶液を使用して残留材料の除去を実行する。単一のプラテン上で研磨を実行するある種の実施態様では、バルク材料除去と残留材料除去を、同じプラテン上で同じ研磨パッドを使用して実行することができる。
【0104】
ブロック1618で、基準ゾーンの線形関数がクリアリングターゲット指標値に到達する予想クリアリング終点時刻を、例えばその線形関数の直線補間によって決定する。ある種の実施態様では、このクリアリング終点時刻が、残留材料除去研磨プロセスの終点である。ある種の実施態様では、予想クリアリング終点時刻が、多数のゾーンの予想終点時刻の結合として予め決定されまたは計算される。ある種の実施態様では、以前に本明細書中で説明したモータトルクモニタリングシステム、渦電流モニタリングシステム、摩擦モニタリングシステムまたは単色光学システムのうちの少なくとも1つのシステムを使用して、クリアリング終点時刻を検出する。ある種の実施態様では、以前の基板のクリアリング終点時刻に基づいてクリアリング終点時刻を推定する。
【0105】
ブロック1620で、この1つまたは複数の基板のそれらの多数のゾーンの研磨を継続して、バルク終点時刻が過ぎるまでバルク材料層を除去する。
【0106】
ブロック1622で、バルク終点時刻が過ぎた後に、研磨パラメータを調整して、この1つまたは複数の基板の多数のゾーンを研磨し、それによって残留材料層を除去する。研磨パラメータを調整するこのプロセスは、以前の任意の基板から生成された誤差値を使用することを含むことができる。この研磨パラメータの調整は、それぞれのゾーンに加える圧力を調整することを含むことができる。この調整された研磨パラメータは、予想クリアリング終点時刻、以前の任意の基板から得た誤差値、同じ基板のバルク研磨から得た誤差値(例えばフィードフォワードプロセス)、ブロック1614で得た調整された研磨パラメータ、およびこの1つまたは複数の基板上の材料の厚さを含む因子に基づくことができる。ブロック1602の研磨プロセスと同様に、この研磨操作の間、それぞれの基板のそれぞれのゾーンは、独立に変更可能な研磨パラメータによって、例えば特定のゾーンの上方のキャリアヘッドのチャンバにより加えられる圧力によって他の基板とは独立に制御可能なその研磨速度を有する。ある種の実施態様では、ブロック1622の研磨プロセスを、ブロック1602の研磨プロセスに比べて低い圧力で実行する。ブロック1622の研磨プロセスは、ブロック1602の研磨プロセスと同じプラテン上で、ブロック1622の研磨プロセスと同じ研磨パッドを使用して実行することができ、または、別個のプラテン上で、異なる研磨パッドおよび/または異なる研磨溶液を使用して実行することもできる。
【0107】
ブロック1624で、ブロック1604のプロセスと同様に、それぞれの基板のそれぞれのゾーンについて、現在のプラテン回転に対する基準スペクトルを決定する。ブロック1626で、ブロック1606と同様に、ベストマッチである基準スペクトルを決定する。ブロック1628で、ブロック1608と同様に、ベストフィットであるそれぞれの基準スペクトルの指標値を決定して、指標値のシーケンスを生成する。ブロック1630で、ブロック1610と同様に、それぞれの基板のそれぞれのゾーンについて、その指標値のシーケンスに第1の線形関数を当てはめる。
【0108】
ある種の実施態様では、ブロック1632で、基準ゾーンの第1の線形関数が例えばその線形関数の直線補間によって決定されたターゲット指標値に到達することに基づいて、予想クリアリング終点時刻が調整されうる。ブロック1634で、パラメータを調整した後、研磨を継続し、それぞれの基板のそれぞれのゾーンについて、スペクトルを測定し、最も良く一致する基準スペクトルをライブラリから決定し、最も良く一致するスペクトルの指標値を決定して、研磨パラメータを調整した後の時間期間のための指標値の新しいシーケンスを生成し、指標値の新しいシーケンスに第2の線形関数を当てはめる。
【0109】
ブロック1636で、基準ゾーンの指標値(例えば第1または第2の線形関数から生成された計算された指標値)がクリアリングターゲット指標値に到達したら、研磨を停止させることができる。ある種の実施態様では、クリアリングターゲット指標値が、残留物研磨プロセスのターゲット指標値である。ブロック1638で、それぞれの調整可能ゾーンについて、そのゾーンの指標値の新しいシーケンス(すなわちパラメータが調整された後のシーケンス)に当てはまる第2の線形関数の傾きを決定する。ブロック1640で、それぞれの調整可能ゾーンについて、そのゾーンの実際の研磨速度(第2の線形関数の傾きによって与えられる)と所望の研磨速度(所望の傾きによって与えられる)との差に基づいて、誤差値を計算する。ブロック1642で、少なくとも1つの新たな基板を研磨パッド上に装填し、このプロセスを、以前に計算した研磨パラメータの調整を用いて繰り返す。
【0110】
図17は、本明細書に記載された実施態様に基づく基板研磨方法を示すプロット1700である。
図1と同様に、x軸は時間を表し、y軸は、基板から除去されている材料の指標値を表す。IT
Bは、バルク研磨プロセスのターゲット厚さの指標値を表す。IT
Rは、残留物研磨プロセスのターゲット厚さの指標値を表す。Z
1およびZ
2は、基板表面の別々のゾーンを表す。TE
Bは、バルク研磨プロセスの研磨終点を表し、TE
Rは、残留物研磨プロセスの研磨終点を表す。2つのゾーン(Z
1およびZ
2)が示されているが、上で論じたとおり、基板は、任意の数のゾーンに分割することができる。基準ゾーンは所望の研磨プロファイルを示す。プロット1700に示された研磨プロセスは、IT
BとTE
Bの交点において均一な研磨プロファイルを得ることをターゲットとしている。
図1に示された先行技術の研磨プロセスと同様に、バルク研磨プロセス中に使用した研磨圧力の補正は、IT
BとIT
Rの間の残留物クリアリングプロセスでは過補正および過研磨につながる。しかしながら、本明細書に記載された実施態様を使用すると、残留物クリアリングプロセス中のZ
1およびZ
2の研磨圧力が補正されて、IT
RとTE
Rの交点によって示された残留物クリアリングプロセスの終わりに均一な研磨プロファイルが達成される。
【0111】
図18は、本明細書に記載された実施態様に基づく他の基板研磨方法を示すプロット1800である。プロット1800に示された研磨プロセスは、IT
RとTE
Rの交点において均一な研磨プロファイルを得ることをターゲットとしている。プロット1800に示された研磨方法は、流れ
図1600の方法に対応する場合がある。Z
1およびZ
2に対して使用する研磨パラメータを、流れ
図1600に記載されているように、TE
BとIT
Bの交点のバルク終点の前に計算されたクリアリングレシピに基づいて調整して、IT
RとTE
Rの交点によって示された残留物クリアリングプロセスの終わりに均一な研磨プロファイルを達成する。
【0112】
図19は、本明細書に記載された実施態様に基づく他の基板研磨方法を示すプロット1900である。以前に論じたように残留物クリアリングプロセスに入る前に(例えばIT
BとTE
Rの交点において)フラットポストプロファイルを達成することをターゲットとするのではなしに、流れ
図1600に示された方法は、残留物クリアリングプロセスの終わりに(例えばIT
RとIE
Rの交点において)フラットポストプロファイルを達成することをターゲットとする動的ISPCを使用する。このISPCに対する推定される終点ターゲットレベルは、開ループ(固定圧力)制御プロセスを使用して研磨された基板から、以前に本明細書中で説明したモータトルクエンドポイント技法または他の終点制御方法を使用して作成された、動的ISPCライブラリから決定することができる。バルク研磨プロセスと残留物研磨プロセスの両方に同じ研磨レシピを使用することができる。後続のウエハに対してこのISPCを使用して、研磨圧力および終点を制御することができる。フィードバックを生成して、ISPCアルゴリズムを自動的に更新することができる。フィードバックは、残留物研磨プロセスの終わりまたは過研磨の終わりの指標に基づいて計算することができる。プロット1900に示された方法は、任意のCMP残留物クリアリングプロセスに拡張することができる。過研磨の有無にかかわらず研磨プロファイルを制御することができる。研磨時間は、高度プロセス制御(advanced process control:APC)、光学測定または他の摩擦測定を含む他の方法を使用して制御することができる。
【0113】
プロット1900に示されているように、ISPC法を使用して、時刻T(1)における同じ基板内の研磨圧力を、時刻T(1)の前に得た研磨情報に基づいて、これらの複数のゾーン(Z
1およびZ
2)が予想終点時刻(E
R)にほぼ同じ指標値を有するように調整する。この研磨情報をフィードバックループで使用して、次のウエハの研磨を改良することができる。
【0114】
全体の研磨時間が短いある種の実施態様では、研磨圧力の調整を、以前に研磨した基板の調整された研磨圧力に基づいて時刻T(0)に始めることが望ましいことがある。
【0115】
前述の技法を、渦電流システムを使用した金属層のモニタリングに適用することもできる。その場合には、スペクトルのマッチングを実行するのではなしに、渦電流モニタリングシステムによって層厚(または層厚を表す値)を直接に測定し、その層厚を、指標値の代わりに計算に使用する。
【0116】
終点を調整するのに使用する方法は、実行する研磨のタイプに基づいて変更することができる。銅のバルク研磨には、単一の渦電流モニタリングシステムを使用することができる。単一のプラテン上の多数のウエハの銅クリアリングCMPでは、最初に単一の渦電流モニタリングシステムを使用して、全ての基板が同時に第1のブレークスルー(breakthrough)に到達するようにすることができる。次いで、その渦電流モニタリングシステムをレーザモニタリングシステムに切り替えて、それらのウエハのクリアリングおよび過研磨を実行する。単一のプラテン上の多数のウエハのバリアおよび誘電体のCMPには、光学モニタリングシステムを使用することができる。
【0117】
本発明の実施態様および本明細書に記載された全ての機能的操作は、本明細書に開示された構造的手段、それらの構造的等価物またはそれらの組合せを含む、ディジタル電子回路またはコンピュータソフトウェア、ファームウェアもしくはハードウェアで実施することができる。本発明の実施態様は、1つまたは複数のコンピュータプログラム製品として、すなわち、データ処理装置、例えばプログラム可能な処理装置、コンピュータまたは多数の処理装置もしくはコンピュータによって実行されるため、またはこのようなデータ処理装置の動作を制御するために機械可読記憶媒体の中に実体的に具体化された1つまたは複数のコンピュータプログラムとして実現することができる。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーションまたはコードとしても知られている)は、コンパイルまたは解釈された言語を含む任意の形態のプログラム言語で書くことができ、コンピューティング環境で使用するのに適した、独立型プログラムまたはモジュール、コンポーネント、サブルーチンもしくは他のユニットを含む任意の形態で配置することができる。コンピュータプログラムは必ずしもファイルに対応しない。プログラムは、他のプログラムもしくはデータを保持したファイルの一部分、問題のプログラムに対して専用の単一のファイル、または調和して機能する多数のファイル(例えば1つもしくは複数のモジュール、サブプログラムまたはコードの部分を記憶した複数のファイル)の中に記憶することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で実行されるように配置することができ、または、1つの場所にある多数のコンピュータ、もしくは多数の場所に分散され、通信網によって相互接続された多数のコンピュータ上で実行されるように配置することができる。
【0118】
本明細書に記載されたプロセスおよびロジックフローは、1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行するプログラム可能な1つまたは複数の処理装置によって実行されて、入力データに基づいて動作し出力を生成することによって機能を実行することができる。それらのプロセスおよびロジックフローはさらに、専用論理回路、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって実行することもでき、装置は、専用論理回路、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)として実現することもできる。
【0119】
以上に説明した研磨装置および研磨方法は、さまざまな研磨システムで応用することができる。研磨パッドもしくはキャリアヘッド、またはその両方を移動させて、研磨面と基板の間の相対運動を提供することができる。例えば、プラテンは、回転する代わりに、軌道を描いて旋回してもよい。研磨パッドは、プラテンに固定された円形の(または他のある形状の)パッドとすることができる。終点検出システムのいくつかの態様は、直線研磨システム、例えば、研磨パッドが直線的に移動する連続ベルトまたはリール間のベルトである直線研磨システムに適用可能である。研磨層は、標準(例えば充填材を含むまたは含まないポリウレタン)研磨材料、軟質材料または研磨材が固定された材料とすることができる。相対的位置決めの用語が使用されるが、研磨面および基板は垂直向きに、または他のある向きに保持することができることを理解すべきである。
【0120】
以上の説明は本発明の実施態様を対象としているが、本発明の基本的な範囲を逸脱することなく本発明の他の追加の実施態様を考案することができる。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。