(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの芳香族ビニル重合体ブロックおよび少なくとも1つの共役ジエン重合体ブロックを有してなるブロック共重合体と粘着付与樹脂とを含有してなるホットメルト粘接着剤を製造する方法であって、
粘着付与樹脂の一部を、混練機に投入して、当該粘着付与樹脂の軟化点以上の温度となるまで粘着付与樹脂を加熱し、
次いで、前記混練機にブロック共重合体を投入して、ブロック共重合体と粘着付与樹脂とを混練して、これらを含有する混練物の160℃における溶融粘度が100万〜1000万mPa・sとなるように、ブロック共重合体と粘着付与樹脂とを含有する混練物を得て、
次いで、粘着付与樹脂の残部を前記混練機に投入して、前記混練物と粘着付与樹脂の残部とを混練することを特徴とする、ホットメルト粘接着剤の製造方法。
少なくとも1つの芳香族ビニル重合体ブロックおよび少なくとも1つの共役ジエン重合体ブロックを有してなるブロック共重合体と粘着付与樹脂と軟化剤とを含有してなるホットメルト粘接着剤を製造する方法であって、
粘着付与樹脂の一部と軟化剤の少なくとも一部とを、混練機に投入して、当該粘着付与樹脂の軟化点以上の温度となるまで粘着付与樹脂および軟化剤を加熱し、
次いで、前記混練機にブロック共重合体を投入して、ブロック共重合体と粘着付与樹脂と軟化剤とを混練して、これらを含有する混練物の160℃における溶融粘度が100万〜1000万mPa・sとなるように、ブロック共重合体と粘着付与樹脂と軟化剤とを含有する混練物を得て、
次いで、粘着付与樹脂の残部と、軟化剤の残部が存在している場合にはその軟化剤の残部とを前記混練機に投入して、前記混練物と粘着付与樹脂の残部と軟化剤の残部が存在している場合にはその軟化剤の残部とを混練することを特徴とする、ホットメルト粘接着剤の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法は、少なくとも1つの芳香族ビニル重合体ブロックおよび少なくとも1つの共役ジエン重合体ブロックを有してなるブロック共重合体と、粘着付与樹脂とを含有してなるホットメルト粘接着剤を製造する方法である。
【0015】
本発明で用いられるブロック共重合体は、芳香族ビニル単量体を重合して得られる芳香族ビニル単量体単位を主たる繰り返し単位として構成される重合体ブロックである芳香族ビニル重合体ブロックと、共役ジエン単量体を重合して得られる共役ジエン単量体単位を主たる繰り返し単位として構成される重合体ブロックである共役ジエン重合体ブロックと、をそれぞれ少なくとも1つ有してなるものである。
【0016】
芳香族ビニル重合体ブロックの芳香族ビニル単量体単位を構成するために用いられる芳香族ビニル単量体は、芳香族ビニル化合物であれば特に限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、4−ブロモスチレン、2−メチル−4,6−ジクロロスチレン、2,4−ジブロモスチレン、ビニルナフタレンなどを例示することができる。これらのなかでも、スチレンを用いることが好ましい。これらの芳香族ビニル単量体は、各芳香族ビニル重合体ブロックにおいて、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ブロック共重合体が複数の芳香族ビニル重合体ブロックを有する場合において、各々の芳香族ビニル重合体ブロックは、同じ芳香族ビニル単量体単位により構成されていてもよいし、異なる芳香族ビニル単量体単位により構成されていてもよい。
【0017】
また、芳香族ビニル重合体ブロックは、芳香族ビニル単量体単位が主たる繰り返し単位となる限りにおいて、それ以外の単量体単位を含んでいてもよい。芳香族ビニル重合体ブロックに含まれ得る芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)などの共役ジエン単量体、α,β−不飽和ニトリル単量体、不飽和カルボン酸または酸無水物単量体、不飽和カルボン酸エステル単量体、非共役ジエン単量体が例示される。芳香族ビニル重合体ブロックにおける芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位の含有量は、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、実質的に0重量%であることが特に好ましい。
【0018】
共役ジエン重合体ブロックの共役ジエン単量体単位を構成するために用いられる共役ジエン単量体は、共役ジエン化合物であれば特に限定されないが、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどを例示することができる。これらのなかでも、1,3−ブタジエンおよび/またはイソプレンを用いることが好ましく、イソプレンを用いることが特に好ましい。共役ジエン重合体ブロックをイソプレン単位で構成することにより、得られるホットメルト粘接着剤が、接着性と柔軟性に優れるものとなる。これらの共役ジエン単量体は、各共役ジエン重合体ブロックにおいて、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ブロック共重合体が複数の共役ジエン重合体ブロックを有する場合において、各々の共役ジエン重合体ブロックは、同じ共役ジエン単量体単位により構成されていてもよいし、異なる共役ジエン単量体単位により構成されていてもよい。さらに、各共役ジエン重合体ブロックの不飽和結合の一部に対し、水素添加反応が行われていてもよい。
【0019】
また、共役ジエン重合体ブロックは、共役ジエン単量体単位が主たる繰り返し単位となる限りにおいて、それ以外の単量体単位を含んでいてもよい。共役ジエン重合体ブロックに含まれ得る共役ジエン単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体、α,β−不飽和ニトリル単量体、不飽和カルボン酸または酸無水物単量体、不飽和カルボン酸エステル単量体、非共役ジエン単量体が例示される。共役ジエン重合体ブロックにおける共役ジエン単量体単位以外の単量体単位の含有量は、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、実質的に0重量%であることが特に好ましい。
【0020】
また、共役ジエン重合体ブロックのビニル結合含有量(共役ジエン重合体ブロック中の全共役ジエン単量体単位において、1,2−ビニル結合単位と3,4−ビニル結合単位が占める割合)は、特に限定されないが、1〜20モル%であることが好ましく、2〜15モル%であることがより好ましく、3〜10モル%であることが特に好ましい。
【0021】
本発明で用いられるブロック共重合体は、芳香族ビニル重合体ブロックおよび共役ジエン重合体ブロックをそれぞれ少なくとも1つ有してなるものであれば、それぞれの重合体ブロックの数やそれらの結合形態は特に限定されない。本発明で用いられるブロック共重合体の形態の具体例としては、Arが芳香族ビニル重合体ブロックを表し、Dが共役ジエン重合体ブロックを表し、Xがカップリング剤の残基を表し、nが2以上の整数を表すものとした場合において、Ar−Dとして表される芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体、Ar−D−Arまたは(Ar−D)n−Xとして表される芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルブロック共重合体、D−Ar−Dまたは(D−Ar)n−Xとして表される共役ジエン−芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体、Ar−D−Ar−Dとして表される芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体、およびこれらの2種以上を任意の組み合わせで混合してなるブロック共重合体の混合物を挙げることができるがこれらに限定されない。本発明において、特に好ましく用いられるブロック共重合体としては、Ar−Dとして表される芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体、およびAr−D−Arまたは(Ar−D)n−Xとして表される芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルブロック共重合体、ならびにこれらの混合物から選択されるブロック共重合体を挙げることできる。
【0022】
本発明で用いられるブロック共重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、通常60,000〜350,000の範囲で選択され、好ましくは80,000〜250,000の範囲で選択される。
【0023】
本発明で用いられるブロック共重合体の全単量体単位に対する芳香族ビニル単量体単位含有量は、特に限定されず、例えば、10重量%以上である。但し、本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法は、保持力に優れるホットメルト粘接着剤を与えるために好適であるものの、元来混練が困難である、芳香族ビニル単量体単位の含有量が比較的に高いブロック共重合体を用いる場合において、生産性改良の効果が大きいものである。その観点からは、本発明で用いられるブロック共重合体の全単量体単位に対する芳香族ビニル単量体単位の含有量は、18重量%以上であることが好ましく、19〜35重量%であることがより好ましく、20〜32重量%であることがさらに好ましい。
【0024】
本発明で用いられるブロック共重合体のメルトインデックスは、特に限定されないが、ASTM D−1238(G条件、200℃、5kg)に準拠して測定される値として、通常1〜1000g/10分の範囲で選択される。但し、本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法は、元来混練が困難である、メルトインデックスが比較的に小さなブロック共重合体を用いる場合において、生産性改良の効果が大きいものである。その観点からは、本発明で用いられるブロック共重合体のメルトインデックスは、ASTM D−1238(G条件、200℃、5kg)に準拠して測定される値として、1〜70g/10分であることが好ましく、3〜60g/10分であることがより好ましい。
【0025】
以上述べたような、芳香族ビニル重合体ブロックおよび共役ジエン重合体ブロックを有してなるブロック共重合体は、常法にしたがって製造することが可能であり、最も一般的な製造法としては、アニオンリビング重合法により、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とをそれぞれ逐次的に重合して重合体ブロックを形成し、必要に応じて、カップリング剤を反応させてカップリングを行う方法を挙げることができる。また、本発明では、市販のブロック共重合体を用いることも可能であり、例えば、「クインタック」(日本ゼオン社製)、「JSR−SIS」(JSR社製)、「Vector」(DEXCO polymers社製)、「アサプレン」・「タフプレン」・「タフテック」(旭化成ケミカルズ社製)、「セプトン」(クラレ社製)などを使用することができる。
【0026】
本発明で用いられる粘着付与樹脂は、芳香族ビニル重合体ブロックおよび共役ジエン重合体ブロックを有してなるブロック共重合体に配合すると、その粘着性が高まる樹脂であれば特に限定されず、従来公知の粘着付与樹脂を用いることができる。具体的には、ロジン;不均化ロジン、二量化ロジンなどの変性ロジン類;グリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールとロジンまたは変性ロジン類とのエステル化物;テルペン系樹脂;脂肪族系、芳香族系、脂環族系または脂肪族−芳香族共重合系の炭化水素樹脂またはこれらの水素化物;フェノール樹脂;クマロン−インデン樹脂などが挙げられる。特に好ましく用いられる粘着付与樹脂は、本発明で用いるブロック共重合体と相溶性のよい脂肪族系または脂肪族−芳香族共重合系の炭化水素樹脂である。なお、粘着付与樹脂は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
本発明で用いられる粘着付与樹脂の軟化点は、特に限定されないが、通常50〜160℃の範囲であり、好ましくは60〜120℃の範囲である。なお、粘着付与樹脂の軟化点は、JIS K2207にしたがった、環球法により定めるものとする。また、粘着付与樹脂の重量平均分子量も特に限定されないが、通常300〜6000の範囲であり、好ましくは500〜5000の範囲である。
【0028】
本発明では、ホットメルト粘接着剤の成分として、軟化剤を用いることができる。軟化剤としては、室温(23℃)で液状の有機化合物であれば特に限定されず、従来公知の軟化剤を用いることができる。用いられる軟化剤の種類は、ブロック共重合体成分に対して相溶性を示すものである限りにおいて特に限定されず、具体的には、通常のホットメルト粘接着剤組成物に添加される、芳香族系、パラフィン系またはナフテン系のプロセスオイル;ポリブテン、ポリイソブチレンなどの液状重合体などを使用することができ、これらのなかでも、パラフィン系プロセスオイルまたはナフテン系プロセスオイルが特に好適である。なお、軟化剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法は、ブロック共重合体と、粘着付与樹脂と、必要に応じて用いられる軟化剤とを混練機を用いて混練することによって、ホットメルト粘接着剤を製造するものある。混練に用いる混練機の種類に特に制限はなく、例えば、回転翼式混練機、スクリュー式混練機、ローター式混練機、ローラー式混練機、可動容器式混練機などを用いることができる。
【0030】
本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法は、粘着付与樹脂の一部を、混練機に投入して、当該粘着付与樹脂の軟化点以上の温度となるまで粘着付与樹脂を加熱し、次いで、前記混練機にブロック共重合体を投入して、ブロック共重合体と粘着付与樹脂とを混練して、これらを含有する混練物の160℃における
溶融粘度が100万〜1000万mPa・sとなるように、ブロック共重合体と粘着付与樹脂とを含有する混練物を得て、次いで、粘着付与樹脂の残部を前記混練機に投入して、前記混練物と粘着付与樹脂の残部とを混練するものである。すなわち、本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法は、粘着付与樹脂の一部を混練機に投入して、その粘着付与樹脂の軟化点以上の温度となるまで粘着付与樹脂を加熱する第一の工程と、混練機にブロック共重合体を投入して、ブロック共重合体と粘着付与樹脂とを混練して、これらを含有する混練物の160℃における
溶融粘度が100万〜1000万mPa・sとなるように、ブロック共重合体と粘着付与樹脂とを含有する混練物を得る第二の工程と、粘着付与樹脂の残部を混練機に投入して、前記混練物と粘着付与樹脂の残部とを混練する第三の工程とを有してなるものである。
【0031】
本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法における第一の工程では、粘着付与樹脂の一部を混練機に投入して、その粘着付与樹脂の温度が当該粘着付与樹脂の軟化点以上の温度になるまで、粘着付与樹脂を加熱する。投入される粘着付与樹脂の形態は、特に限定されないが、混練前の取扱い性や混練容易性の観点からは、ペレット状やクラム状などの粒子状の粘着付与樹脂が好適に用いられる。
【0032】
この第一の工程で混練機に投入する粘着付与樹脂の量は、最終的な製造の対象とするホットメルト粘接着剤に含有されることとなる粘着付与樹脂の一部である必要がある。また、この第一の工程では、粘着付与樹脂に加えて軟化剤を混練機に投入して、粘着付与樹脂と軟化剤との混合物を、粘着付与樹脂の軟化点以上の温度になるまで加熱してもよい。この場合に添加する軟化剤の量は、最終的な製造の対象とするホットメルト粘接着剤に含有されることとなる軟化剤の一部であってもよいし、全部であってもよい。但し、第一の工程で混練機に投入する粘着付与樹脂および軟化剤のそれぞれの量は、それらと後に詳述する第二の工程で混練機に投入するブロック共重合体との混練物が、後に詳述するような特定範囲の
溶融粘度を示すように調節する必要がある。この粘着付与樹脂および軟化剤の量の調節は、第一の工程で投入する粘着付与樹脂および軟化剤の種類と、第二の工程で投入するブロック共重合体の種類および量を勘案して、これらの混練物が後に詳述するような特定範囲の
溶融粘度を示すように行えばよい。
【0033】
第一の工程では、粘着付与樹脂や軟化剤に加えて、さらにホットメルト粘接着剤の他の成分を混練機に投入してもよい。他の成分としては、酸化防止剤、ワックス、熱安定剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤を例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
第一の工程で、粘着付与樹脂を含む成分を加熱する温度(加熱対象物の到達温度)は、用いる粘着付与樹脂の軟化点以上の温度であり、用いる粘着付与樹脂の軟化点の+10〜+40℃の温度であることが好ましく、用いる粘着付与樹脂の軟化点の+20〜+30℃の温度であることがより好ましい。粘着付与樹脂を加熱する温度が、低すぎると、次の工程でのブロック共重合体と粘着付与樹脂との混練の効率が不十分となるおそれがあり、高すぎると、粘着付与樹脂や軟化剤が劣化するおそれがある。なお、粘着付与樹脂を含む成分の加熱方法は、特に限定されないが、混練機に供えられている撹拌機構とヒーターを用いて撹拌しながら加熱することが好ましい。
【0035】
第一の工程は、加熱した粘着付与樹脂を含む成分の実温度を測定して、用いた粘着付与樹脂の軟化点以上の温度である所期の温度となったことを確認することにより、完了したものと判断することができる。また、混練機中の粘着付与樹脂が溶融したことを目視で確認することにより、第一の工程が完了したものと判断することも可能である。
【0036】
本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法における第二の工程では、第一の工程で所期の温度まで加熱された粘着付与樹脂を含む成分が存在している混練機に、ブロック共重合体を投入して、ブロック共重合体と粘着付与樹脂を含む成分とを混練する。投入されるブロック共重合体の形態は、特に限定されないが、混練前の取扱い性や混練容易性の観点からは、ペレット状やクラム状などの粒子状のブロック共重合体が好適に用いられる。
【0037】
この第二の工程で混練されるブロック共重合体と粘着付与樹脂を含む成分との関係は、これらの混練物の160℃における
溶融粘度が100万〜1000万mPa・sとなるようにされる必要があり、これらの混練物の160℃における
溶融粘度が100万〜500万mPa・sとなるようにされることが好ましい。この
溶融粘度が高すぎても、低すぎても、十分に混練された混練物を得るまでの所要時間が長くなり、その結果、ホットメルト粘接着剤の生産性が不十分なものとなる。なお、この混練物の160℃における
溶融粘度は、前述のとおり、第二の工程で投入するブロック共重合体の種類および量を勘案して、第一の工程で投入する粘着付与樹脂や軟化剤の量を予め調節しておくことにより、容易に調節することができる。また、160℃という温度は、混練物の
溶融粘度を一義的に定めるための測定条件として定めたものであり、実際に第二の工程を行う際の混練温度を160℃に限定する趣旨ではない。
【0038】
第二の工程では、ブロック共重合体に加えて、さらにホットメルト粘接着剤の他の成分を混練機に投入してもよい。他の成分としては、酸化防止剤、ワックス、熱安定剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤を例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
第二の工程における混練温度は、混練するそれぞれの成分の軟化温度や劣化温度を勘案して定めればよく、特に限定されないが、混練機の設定温度として、120〜200℃であることが好ましく、130〜180℃であることがより好ましい。
【0040】
第二の工程は、ブロック共重合体と粘着付与樹脂を含む成分との混練が十分に行われた時点で完了したものと判断することができる。具体的な判断手法は、常法に従えばよく、例えば、粒子状のブロック共重合体を混練機に投入した場合では、混練物中に、そのブロック共重合体の粒子の輪郭が視認できなくなった時点で、混練が完了したものと判断することができる。
【0041】
本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法では、以上のように、まず粘着付与樹脂を加熱して、その加熱された粘着付与樹脂に対して、ブロック共重合体を加えて混練するという工程順を採用することにより、粘着付与樹脂を加熱することなくブロック共重合体と混練する場合に比して、ブロック共重合体と粘着付与樹脂を含む成分との十分に混練された混練物を短時間で得ることが可能になる。
【0042】
本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法における第三の工程では、第二の工程で得られたブロック共重合体と粘着付与樹脂を含む成分との混練物が存在している混練機に、粘着付与樹脂の残部(最終的な製造の対象とするホットメルト粘接着剤に含有されることとなる粘着付与樹脂のうち、第一の工程で投入された一部に対する残部)を投入して、その粘着付与樹脂の残部と第二の工程で得られた混練物とを混練する。この第三の工程で混練機に投入される粘着付与樹脂の量は、その量と既に混練機に投入してある粘着付与樹脂との合計量が、最終的な製造の対象とするホットメルト粘接着剤における所期の粘着付与樹脂の量となるように決定すればよい。
【0043】
第一の工程で混練機に投入される粘着付与樹脂と第三の工程で混練機に投入される粘着付与樹脂との割合は、特に限定されないが、第三の工程で混練機に投入される粘着付与樹脂の重量が、第一の工程で混練機に投入される粘着付与樹脂の重量に対して、0.1〜6倍であることが好ましく、0.2〜4倍であることがより好ましい。この割合が大きすぎたり、小さすぎたりする場合には、本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法を適用することによる生産性改良の程度が、小さいものとなるおそれがある。
【0044】
この第三の工程では、粘着付与樹脂に加えて軟化剤を混練機に投入してもよい。この場合に添加する軟化剤の量は、既に混練機に投入してある軟化剤が存在する場合にはその量を勘案して、最終的な製造の対象とするホットメルト粘接着剤における所期の軟化剤の量となるように決定すればよい。また、第三の工程では、粘着付与樹脂や軟化剤に加えて、さらにホットメルト粘接着剤の他の成分を混練機に投入してもよい。他の成分としては、酸化防止剤、ワックス、熱安定剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤を例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
第三の工程における混練温度は、混練するそれぞれの成分の軟化温度や劣化温度を勘案して定めればよく、特に限定されないが、混練機の設定温度として、120〜200℃であることが好ましく、130〜180℃であることがより好ましい。
【0046】
第三の工程は、第二の工程で得られた混練物と新たに投入した粘着付与樹脂を含む成分との混練が十分に行われた時点で完了したものと判断することができる。具体的な判断手法は、常法に従えばよく、例えば、第二の工程で得られた比較的に粘度が高い混練物の塊が視認されず、混練物全体が均一になったと認められた時点で、混練が完了したものと判断することができる。
【0047】
本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法では、以上のように、混練物の
溶融粘度が所定の範囲になるようにして、ブロック共重合体と一部の粘着付与樹脂との混練を行ってから、その混練物と残部の粘着付与樹脂との混練を行うという工程を採用することにより、それぞれの工程における混練性が極めて良好なものとなるので、ホットメルト粘接着剤が完成するまでの工程全体を通しての生産性が極めて優れたものとなる。
【0048】
本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法では、本発明を逸脱しない限り、各工程中やその前後において、ブロック共重合体、粘着付与樹脂および軟化剤以外の他の成分を混練機に投入してもよい。他の成分としては、酸化防止剤、ワックス、熱安定剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤を例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
以上のような工程を経て得られた混練物は、使用した混練機の形式に応じた常法に従って混練機から排出して、回収すればよい。また、得られた混練物(ホットメルト粘接着剤)は、常法に従って、ペレット、ブロック、粉体、シート、フィルムなどの所望の形態に成形することができる。
【0050】
本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法で製造されるホットメルト粘接着剤における粘着付与樹脂の含有量は特に限定されないが、ブロック共重合体100重量部に対して、50〜200重量部であることが好ましく、60〜190重量部であることがより好ましい。
【0051】
また、本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法で製造されるホットメルト粘接着剤における軟化剤の含有量は特に限定されないが、ブロック共重合体100重量部に対して、0〜150重量部であることが好ましく、10〜130重量部であることがより好ましい。
【0052】
本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法で製造されるホットメルト粘接着剤は、上述したような必須成分以外の重合体を含有していてもよい。このような重合体の例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの共役ジエン単独重合体、(スチレン−ブタジエン)ランダム共重合体、(スチレン−イソプレン)ランダム共重合体などの芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体、ポリスチレンなどの芳香族ビニル単独重合体、イソブチレン系重合体、アクリル系重合体、エステル系重合体、エーテル系重合体、ウレタン系重合体、ポリ塩化ビニルなどの室温(23℃)で弾性を有する重合体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの重合体の含有量は、ホットメルト粘接着剤の全重量に対して、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
【0053】
また、本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法で製造されるホットメルト粘接着剤には、必要に応じて酸化防止剤を添加することができる。その種類は特に限定されず、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどのヒンダードフェノール系化合物;ジラウリルチオプロピオネートなどのチオジカルボキシレートエステル類;トリス(ノニルフェニル)ホスファイトなどの亜燐酸塩類;を使用することができる。酸化防止剤の使用量は、特に限定されないが、ホットメルト粘接着剤の全重量に対して、通常10重量%以下であり、好ましくは0.5〜5重量%である。なお、酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
また、本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法で製造されるホットメルト粘接着剤には、さらに、ワックス、熱安定剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤など、その他の配合剤を添加することができる。
【0055】
本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法で製造されるホットメルト粘接着剤の粘度は、特に限定されないが、ホットメルト粘接着剤を塗工性に優れたものとする観点、および本発明の製造方法を適用することによる生産性改良の効果を十分に得る観点からは、160℃における
溶融粘度が、100万mPa・s未満であることが好ましく、1000〜50万mPa・sであることがより好ましく、2000〜10万mPa・sであることが特に好ましい。
【0056】
本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法で製造されるホットメルト粘接着剤は、種々の用途に適用することが可能である。用途の具体例としては、各種の粘着テープやラベルの粘着剤や、使い捨ておむつや生理用ナプキンの製造などにおける熱可塑性樹脂シートや不織布用の粘接着剤を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0057】
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、各例中の部および%は、特に断りのない限り、重量基準である。
【0058】
各種の測定については、以下の方法に従って行った。
【0059】
〔160℃における
溶融粘度〕
測定試料を構成する各々の成分を秤量して、200mlのプラスチック製瓶に投入し、さらに試料と同重量のトルエンを加えて、室温で12時間振盪した。その後、真空乾燥機を用いて、60℃、10Paの条件で16時間減圧乾燥することによりトルエンを揮発させ、プラスチック製瓶に残った成分のうちの10gを採取して測定試料とした。この試料について、160℃における
溶融粘度(単位:mPa・s)を、ローターNo.27を使用して、サーモセル型ブルックフィールド粘度計により測定した。なお、試料の粘度が高すぎて、測定エラーや測定不可となった場合には、その試料は、粘度計の測定限界である5000万mPa・sを超える
溶融粘度を有するものとみなした。
【0060】
〔混練の程度〕
混練完了時点の混練機(ステンレス製ビーカー)内の混練物を観察して、前工程で得られた比較的に粘度が高い混練物の塊が視認されず、混練物全体が均一であった場合には、混練の程度が良好であったと判定し、混練物中に前工程で得られた比較的に粘度が高い混練物の塊が視認された場合には、混練の程度が不良であったと判定した。
【0061】
〔ホットメルト粘接着剤の保持力〕
試料となるホットメルト粘接着剤を幅10mmの粘着テープとし、被着体として硬質ポリエチレンを使用して、PSTC−6(米国粘着テープ委員会による保持力試験法)に準じ、接着部が10×25mm、負荷が3.92×10
4Pa、温度40℃にて、剥がれるまでの時間(分)により、保持力を評価した。値が大きいものほど、保持力に優れる。
【0062】
〔実施例1〕
まず、次に述べる手順において、ブロック共重合体を混練機に投入した時点における混練機(ビーカー)中に存在する成分と同じ組成となる組成物、および最終的に得られるホットメルト粘接着剤と同じ組成となる組成物について、160℃における
溶融粘度を測定した。この測定結果は、表1に示す。
【0063】
次に、180℃に設定したオイルバス中に、容積500mlのステンレス製ビーカーを設置し、そのビーカー内に、ビーカーの底から1cmの高さになるようにダブルヘリカル型撹拌翼を設置し、さらに熱電対温度計を設置して、混練機を構成した。そして、この混練機(ビーカー)に、粘着付与樹脂として、脂肪族−芳香族共重合系炭化水素樹脂のペレット(日本ゼオン社製「クイントンU190」、軟化点90℃)10gと、軟化剤として、ナフテン系プロセスオイル(日本サン石油社製「SUNPURE N90」)17gを投入した。次いで、オイルバスの温度を180℃に保ちながら、撹拌翼を回転速度100rpmで回転させて、混練機(ビーカー)の内容物の温度上昇を監視した。そして、内容物の温度が120℃となった時点で、混練機(ビーカー)に、ブロック共重合体として、スチレン−イソプレンジブロック共重合体とスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体との混合物のペレット(日本ゼオン社製「クインタック3270」、芳香族ビニル単量体単位(スチレン単位)含有量24%、メルトインデックス(ASTM D−1238(G条件、200℃、5kg)に準拠)20g/10分)33gを投入した。ブロック共重合体の投入後、引き続き、オイルバスの温度180℃と撹拌翼の回転速度100rpmを保ちながら、混練機(ビーカー)内の混練物を、ブロック共重合体のペレットの輪郭が視認できなくなるまで観察した。そして、粘着付与樹脂を混練機(ビーカー)に投入してから、ブロック共重合体のペレットの輪郭が視認できなくなるまでの所要時間を記録した。
【0064】
次いで、ブロック共重合体のペレットの輪郭が視認できなくなった直後に、混練機(ビーカー)に、粘着付与樹脂として、脂肪族−芳香族共重合系の炭化水素樹脂のペレット(日本ゼオン社製「クイントンU190」)40gを投入した。粘着付与樹脂の投入後、引き続き、オイルバスの温度180℃と撹拌翼の回転速度100rpmを保ちながら、混練機(ビーカー)内の混練物を、前工程で得られた比較的に粘度が高い混練物の塊が視認できなくなるまで観察した。そして、最初の粘着付与樹脂の投入から、比較的に粘度が高い混練物の塊が視認できなくなるまでの所要時間を記録した。比較的に粘度が高い混練物の塊が視認できなくなった時点で、混練が完了して、ホットメルト粘接着剤が完成したものと判断して、そのホットメルト粘接着剤を保持力評価のための粘着テープの製造に供して、保持力を測定した。この実施例1における、各々の工程で混練機に投入した成分の量および種類、ブロック共重合体投入直前の混練機内容物の温度、混練の所要時間、および各種の評価結果は表1にまとめて示した。
【0065】
【表1】
【0066】
〔実施例2〜5〕
各工程において、混練機に投入する成分の種類および量と、ブロック共重合体を混練機(ビーカー)に投入する直前の混練機(ビーカー)の内容物の温度を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、
溶融粘度の測定とホットメルト粘接着剤の製造を行った。これら実施例2〜5における、
溶融粘度の測定結果、混練の所要時間、および各種の評価結果は表1にまとめて示した。なお、表1に示す「クインタック3433N」は、スチレン−イソプレンジブロック共重合体とスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体との混合物のペレットである、日本ゼオン社製「クインタック3433N」(芳香族ビニル単量体単位(スチレン単位)含有量16%、メルトインデックス(ASTM D−1238(G条件、200℃、5kg)に準拠)12g/10分)であり、「脂肪族系炭化水素樹脂」は、脂肪族系炭化水素樹脂のペレットである、日本ゼオン社製「クイントンR100」(軟化点100℃)である。
【0067】
〔比較例1〕
まず、次に述べる手順において、ブロック共重合体を混練機に投入した時点における混練機(ビーカー)中に存在する成分と同じ組成となる組成物、および最終的に得られるホットメルト粘接着剤と同じ組成となる組成物について、160℃における
溶融粘度を測定した。この測定結果は、表1に示す。
【0068】
次に、実施例1と同様に混練機を構成して、この混練機(ビーカー)に、軟化剤として、ナフテン系プロセスオイル(日本サン石油社製「SUNPURE N90」)17gを投入した。次いで、オイルバスの温度を180℃に保ちながら、撹拌翼を回転速度100rpmで回転させて、混練機(ビーカー)の内容物の温度上昇を監視した。そして、内容物の温度が140℃となった時点で、混練機(ビーカー)に、ブロック共重合体として、スチレン−イソプレンジブロック共重合体とスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体との混合物のペレット(日本ゼオン社製「クインタック3270」)33gを投入した。ブロック共重合体の投入後、引き続き、オイルバスの温度180℃と撹拌翼の回転速度100rpmを保ちながら、混練機(ビーカー)内の混練物を、ブロック共重合体のペレットの輪郭が視認できなくなるまで観察した。そして、軟化剤を混練機(ビーカー)に投入してから、ブロック共重合体のペレットの輪郭が視認できなくなるまでの所要時間を記録した。
【0069】
次いで、ブロック共重合体のペレットの輪郭が視認できなくなった直後に、混練機(ビーカー)に、粘着付与樹脂として、脂肪族−芳香族共重合系の炭化水素樹脂のペレット(日本ゼオン社製「クイントンU190」)50gを投入した。粘着付与樹脂の投入後、引き続き、オイルバスの温度180℃と撹拌翼の回転速度100rpmを保ちながら、混練機(ビーカー)内の混練物を観察したところ、ブロック共重合体および軟化剤の混練物と粘着付与樹脂との混練が良好に行われていない状態となっていた。そして、最初の軟化剤の投入から、250分間が経過した時点で、混練を中止したところ、粘着付与樹脂と混練されていない、ブロック共重合体および軟化剤の混練物の塊が視認された。このことより、ブロック共重合体および軟化剤の混練物と粘着付与樹脂との混練が十分でないと判断し、この混練物については、保持力の評価を行わなかった。この比較例1における、各々の工程で混練機に投入した成分の量および種類、ブロック共重合体投入直前の混練機内容物の温度、混練の所要時間、および各種の評価結果は表1にまとめて示した。
【0070】
〔比較例2〕
まず、次に述べる手順において、ブロック共重合体を混練機に投入した時点における混練機(ビーカー)中に存在する成分と同じ組成となる組成物、および最終的に得られるホットメルト粘接着剤と同じ組成となる組成物について、160℃における
溶融粘度を測定した。この測定結果は、表1に示す。
【0071】
次に、実施例1と同様に混練機を構成して、この混練機(ビーカー)に、粘着付与樹脂として、脂肪族−芳香族共重合系炭化水素樹脂のペレット(日本ゼオン社製「クイントンU190」)17gを投入した。次いで、オイルバスの温度を180℃に保ちながら、撹拌翼を回転速度100rpmで回転させて、混練機(ビーカー)の内容物の温度上昇を監視した。そして、内容物の温度が150℃となった時点で、混練機(ビーカー)に、ブロック共重合体として、スチレン−イソプレンジブロック共重合体とスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体との混合物のペレット(日本ゼオン社製「クインタック3270」)33gを投入した。ブロック共重合体の投入後、引き続き、オイルバスの温度180℃と撹拌翼の回転速度100rpmを保ちながら、混練機(ビーカー)内の混練物を、ブロック共重合体のペレットの輪郭が視認できなくなるまで観察した。そして、粘着付与樹脂を混練機(ビーカー)に投入してから、ブロック共重合体のペレットの輪郭が視認できなくなるまでの所要時間を記録した。
【0072】
次いで、ブロック共重合体のペレットの輪郭が視認できなくなった直後に、混練機(ビーカー)に、粘着付与樹脂として、脂肪族−芳香族共重合系の炭化水素樹脂のペレット(日本ゼオン社製「クイントンU190」)33gと、軟化剤として、ナフテン系プロセスオイル(日本サン石油社製「SUNPURE N90」)17gを投入した。粘着付与樹脂および軟化剤の投入後、引き続き、オイルバスの温度180℃と撹拌翼の回転速度100rpmを保ちながら、混練機(ビーカー)内の混練物を観察したところ、ブロック共重合体および軟化剤の混練物と後から投入した粘着付与樹脂および軟化剤との混練が良好に行われていない状態となっていた。そして、最初の粘着付与樹脂の投入から、250分間が経過した時点で、混練を中止したところ、後から投入した粘着付与樹脂や軟化剤と混練されていない、ブロック共重合体および粘着付与樹脂の混練物の塊が視認された。このことより、ブロック共重合体および粘着付与樹脂の混練物と粘着付与樹脂や軟化剤との混練が十分でないと判断し、この混練物については、保持力の評価を行わなかった。この比較例2における、各々の工程で混練機に投入した成分の量および種類、ブロック共重合体投入直前の混練機内容物の温度、混練の所要時間、および各種の評価結果は表1にまとめて示した。
【0073】
〔比較例3〕
まず、次に述べる手順において、ブロック共重合体を混練機に投入した時点における混練機(ビーカー)中に存在する成分と同じ組成となる組成物について、160℃における
溶融粘度を測定した。この測定結果は、表1に示す。
【0074】
次に、実施例1と同様に混練機を構成して、この混練機(ビーカー)に、粘着付与樹脂として、脂肪族−芳香族共重合系炭化水素樹脂のペレット(日本ゼオン社製「クイントンU190」)50gと、軟化剤として、ナフテン系プロセスオイル(日本サン石油社製「SUNPURE N90」)17gを投入した。次いで、オイルバスの温度を180℃に保ちながら、撹拌翼を回転速度100rpmで回転させて、混練機(ビーカー)の内容物の温度上昇を監視した。そして、内容物の温度が150℃となった時点で、混練機(ビーカー)に、ブロック共重合体として、スチレン−イソプレンジブロック共重合体とスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体との混合物のペレット(日本ゼオン社製「クインタック3270」)33gを投入した。ブロック共重合体の投入後、引き続き、オイルバスの温度180℃と撹拌翼の回転速度100rpmを保ちながら、混練機(ビーカー)内の混練物を、ブロック共重合体のペレットの輪郭が視認できなくなるまで観察した。そして、粘着付与樹脂の投入から、ブロック共重合体のペレットの輪郭が視認できなくなるまでの所要時間を記録した。なお、ブロック共重合体のペレットの輪郭が視認できなくなった時点では、混練機(ビーカー)中の混練物には、黒変が見られた。ブロック共重合体のペレットの輪郭が視認できなくなった時点で、混練が完了して、ホットメルト粘接着剤が完成したものと判断して、そのホットメルト粘接着剤を保持力評価のための粘着テープの製造に供して、保持力を測定した。この比較例3における、各々の工程で混練機に投入した成分の量および種類、ブロック共重合体投入直前の混練機内容物の温度、混練の所要時間、および各種の評価結果は表1にまとめて示した。
【0075】
〔比較例4〕
まず、次に述べる手順において、ブロック共重合体を混練機に投入した時点における混練機(ビーカー)中に存在する成分と同じ組成となる組成物、および最終的に得られるホットメルト粘接着剤と同じ組成となる組成物について、160℃における
溶融粘度を測定した。この測定結果は、表1に示す。
【0076】
次に、実施例1と同様に混練機を構成して、この混練機(ビーカー)に、粘着付与樹脂として、脂肪族−芳香族共重合系炭化水素樹脂のペレット(日本ゼオン社製「クイントンU190」)17gと、軟化剤として、ナフテン系プロセスオイル(日本サン石油社製「SUNPURE N90」)17gを投入した。次いで、オイルバスの温度を180℃に保ちながら、撹拌翼を回転速度100rpmで回転させて、混練機(ビーカー)の内容物の温度上昇を監視した。そして、内容物の温度が30℃となった時点で、混練機(ビーカー)に、ブロック共重合体として、スチレン−イソプレンジブロック共重合体とスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体との混合物のペレット(日本ゼオン社製「クインタック3270」)33gを投入した。ブロック共重合体の投入後、引き続き、オイルバスの温度180℃と撹拌翼の回転速度100rpmを保ちながら、混練機(ビーカー)内の混練物を、ブロック共重合体のペレットの輪郭が視認できなくなるまで観察した。そして、粘着付与樹脂を混練機(ビーカー)に投入してから、ブロック共重合体のペレットの輪郭が視認できなくなるまでの所要時間を記録した。
【0077】
次いで、ブロック共重合体のペレットの輪郭が視認できなくなった直後に、混練機(ビーカー)に、粘着付与樹脂として、脂肪族−芳香族共重合系の炭化水素樹脂のペレット(日本ゼオン社製「クイントンU190」)33gを投入した。粘着付与樹脂の投入後、引き続き、オイルバスの温度180℃と撹拌翼の回転速度100rpmを保ちながら、混練機(ビーカー)内の混練物を、前工程で得られた比較的に粘度が高い混練物の塊が視認できなくなるまで観察した。そして、最初の粘着付与樹脂の投入から、比較的に粘度が高い混練物の塊が視認できなくなるまでの所要時間を記録した。比較的に粘度が高い混練物の塊が視認できなくなった時点で、混練が完了して、ホットメルト粘接着剤が完成したものと判断して、そのホットメルト粘接着剤を保持力評価のための粘着テープの製造に供して、保持力を測定した。この比較例4における、各々の工程で混練機に投入した成分の量および種類、ブロック共重合体投入直前の混練機内容物の温度、混練の所要時間、および各種の評価結果は表1にまとめて示した。
【0078】
表1から、以下のようなことが判る。すなわち、本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法に該当する実施例1〜5では、100分以下という比較的に短い混練時間で、各成分が良好に混練されたホットメルト粘接着剤が得られ、そのホットメルト粘接着剤は優れた保持力を示した。また、芳香族ビニル単量体単位(スチレン単位)含有量24%のブロック共重合体である「クインタック3270」を用いた実施例1〜3では、特に保持力に優れたホットメルト粘接着剤が得られていて、そのようなブロック共重合体を用いた場合であっても、本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法によれば、極めて優れた生産性でホットメルト粘接着剤を得ることができるといえる。一方、混練機にブロック共重合体を投入する時点で混練機中に粘着付与樹脂が存在しない場合(比較例1)や最初に混練機に投入する粘着付与樹脂の量が少なすぎる場合(比較例2)には、ブロック共重合体を混練機に投入した後に得られる混練物の粘度が高すぎ、それに起因して、その後添加する粘着付与樹脂や軟化剤との混練が不良となり、全体の混練時間として250分を要しても、良好に混練されたホットメルト粘接着剤を得ることができなかった。また、最初に混練機に投入する粘着付与樹脂の量が多すぎて、その後、ブロック共重合体を混練機に投入した際に得られる混練物の粘度が低くなりすぎる場合(比較例3)には、ブロック共重合体を混練機に投入した後の混練に時間を要し、結果として、全体の混練時間が長くなった。そして、その長い混練時間のためにブロック共重合体の熱劣化が生じ、それに起因して、ホットメルト粘接着剤の保持力が低くなったものと考えられる。また、最初に加熱する粘着付与樹脂の加熱温度が低すぎる場合(比較例4)にも、その後、ブロック共重合体を混練機に投入した後の混練に時間を要し、結果として、全体の混練時間が長くなった。そして、その長い混練時間のためにブロック共重合体の熱劣化が生じ、それに起因して、ホットメルト粘接着剤の保持力がやや低くなったものと考えられる。以上より、本発明のホットメルト粘接着剤の製造方法によれば、極めて優れた生産性でホットメルト粘接着剤を得ることができるといえる。