(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材の少なくとも一部に、樹脂を含む第1の色材から成る第1の要素と、前記樹脂を含み、前記第1の色材と異なる色の第2の色材から成る第2の要素が少なくとも対となった要素セットが複数配置されて、第1の画像部と第2の画像部から成る印刷画像が形成され、前記複数の要素セットは、前記第1の要素と前記第2の要素の少なくとも一部が重なる配置の要素セットを有し、前記第1の画像部と前記第2の画像部は、前記要素セットを構成する各要素の重なる領域の樹脂量が異なり、かつ、拡散反射光下で等色に形成され、正反射光下で観察すると、前記第1の画像部と前記第2の画像部は、前記要素セットにおいて各要素の重なる領域の樹脂量の差により光沢差が生じ、区分けして視認できることを特徴とする光沢差を有する印刷物。
前記第1の画像部及び前記第2の画像部のうち、いずれか一方の画像部に配置される前記要素セットの各要素が完全に重なり、他方の画像部に配置される前記要素セットの各要素が重ならないことを特徴とする請求項1又は2記載の光沢差を有する印刷物。
前記要素セットを構成する要素と重ならない位置に、前記基材と異なる色の情報要素が複数配置され、前記複数の情報要素から成る情報画像が形成されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光沢差を有する印刷物。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他様々な形態が実施可能である。
【0021】
はじめに、本発明における光沢差を有する印刷物(以下、「印刷物(1)」という。)の概要について説明する。
図1(a)は、本発明における印刷物(1)の平面図である。印刷物(1)の形態の例としては、紙幣、証券、パスポート、身分証明書等の偽造防止及び複写防止対策を要する貴重印刷物等や、仕上りの重厚感や高級感を要する雑誌、広告、名刺等の印刷物がある。印刷物(1)は、基材(2)の少なくとも一部に、基材(2)と異なる色の印刷画像(3)を備えている。基材(2)は、紙、フィルム、プラスチック等を用いることができ、印刷用の色材が形成可能な平面を備えていれば、特に限定されるものではない。
【0022】
印刷画像(3)は、
図1(b)の拡大図に示すように、基材(2)と異なる色の第1の色材から成る第1の要素(6)と、基材(2)及び第1の色材と異なる色の第2の色材から成る第2の要素(7)を対とする要素セット(8)が複数配置されて成り、印刷画像(3)は、
図2(a)に示す第1の画像部(4)と
図2(b)に示す第2の画像部(5)から構成される。
図1(b)において、要素セット(8)は、第1の要素(6)と第2の要素(7)を対とする二つの要素で構成されるが、本発明の印刷物(1)において、更に、基材(2)、第1の色材及び第2の色材と異なる色の第nの色材(nは3以上の整数)から成る第nの要素を加えてn個の要素を対とする要素セット(8)としても良い。このとき、n個の要素の色は全て異なる色である。
【0023】
本発明において、第1の要素(6)乃至第nの要素を形成するための色材には、レーザープリンタ用のトナーが適している。カラーレーザプリンタで使用されている代表的なトナーの成分割合を示すと、80%から90%が樹脂成分(例えばポリエステル樹脂等)であり、着色顔料は5%から10%程度であり、その他添加材等が配合されている。本発明の印刷物(1)に主として影響するのは樹脂成分と、着色顔料である。
【0024】
第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の詳細な構成については後述するが、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)は、各画像部に配置された要素セット(8)を構成する各要素、例えば、
図1(b)に示す要素セット(8)の場合、第1の要素(6)と第2の要素(7)の重なる領域の樹脂量が異なり、かつ、拡散反射光下で等色に形成される。
【0025】
本発明においては、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の異なる画像部に配置される要素であっても、第1の色材で形成されたものを第1の要素(6)とし、第2の色材で形成されたものを第2の要素(7)とし、第nの色材で形成されたものを第nの要素としている。本発明において、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)が等色に形成される構成については後述するが、要素セット(8)を構成する各要素の大きさによって、各画像部が視認される色の調整が可能であり、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)が拡散反射光下で等色であれば、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に配置される同じ要素同士の大きさと形状は、同じであってもよいし、異なっても良い。
【0026】
図2に示す第1の画像部(4)は、「桜」の図柄で形成される例であるが、第1の画像部(4)は、他の図柄で形成されても良く、文字、数字、記号、図形、マーク及び模様のいずれか又はその組み合わせで形成されても良い。第2の画像部(5)は、第1の画像部(4)とネガポジ関係の画像で形成され、印刷画像(3)から第1の画像部(4)をヌキとしたものである。
【0027】
図3(a)は、印刷物(1)を正面である拡散反射光下(E1)から観察した場合の図であり、
図3(b)は、正反射光下(E2)で観察した場合の図である。印刷物(1)を正面の拡散反射光下(E1)から観察した場合、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)は、等色(肉眼では等色)関係にあるため、区分けされず、
図3(a)に示すように、印刷画像(3)が一様な模様として視認される。正面の拡散反射光下(E1)から観察した場合の印刷画像(3)は、ここでは、一様な模様であるが、有意味な模様、絵柄とすることもできる。また、有意味な情報画像を別途付与してもよい。更に、印刷物(1)を正反射光下(E2)で観察した場合、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に光沢差が生じることで、
図3(b)に示すように、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)が区分けして視認される。以下、印刷物(1)の詳細な構成について説明する。
【0028】
(実施の形態1)
はじめに、要素セット(8)が、第1の要素(6)と第2の要素(7)を対とする二つの要素で構成される例について説明する。
(第1の画像部)
図4は、実施の形態1における印刷物(1)の第1の画像部(4)の構成を示す図である。
図4(b)は、
図4(a)に示す第1の画像部(4)の一部拡大図であり、
図4(c)は、
図4(b)のA−A’線における断面図である。
【0029】
第1の画像部(4)は、
図4(b)に示すように、基材(2)と異なる色の第1の色材から成る第1の要素(6)と、基材(2)及び第1の色材と異なる色の第2の色材から成る第2の要素(7)を対とする要素セット(8)が複数配置される。
【0030】
また、
図4(c)に示すように、一つの要素セット(8)において、第1の要素(6)と第2の要素(7)が重なるように形成される。
図4(b)及び(c)では、第1の要素(6)と第2の要素(7)が完全に重なっている状態を示しているが、一部が重なる構成でも良い。また、
図4(c)では第1の要素(6)の上に、第2の要素(7)が重なっているが、本発明において、第1の要素(6)と第2の要素(7)の積層の上下関係に限定はない。
【0031】
本発明において、第1の要素(6)と第2の要素(7)は、画素及び画線の一方又はその組み合わせで構成される。なお、本明細書でいう「画素」とは、印刷画像(3)を構成する最小単位である印刷網点自体か、印刷網点を複数集合させて形成した一塊の画像要素であって、例えば円、三角形や四角形等を含む多角形、星形等の各種図形、文字や記号等が含まれ、画素の形状は如何なるものであっても本発明における画素に含まれるものとする。また、本明細書でいう「画線」とは、網点を一定方向に隙間無く連続して配置して構成した画像要素であって、点線や破線の分断線、直線、曲線及び波線のことであり、如何なる画線形状で構成しても本発明の技術的思想の範囲に含まれる。本実施の形態では、はじめに円形の画素で構成される第1の画像部(4)の第1の要素(6)、第2の要素(7)について説明する。
【0032】
第1の要素(6)及び第2の要素(7)の大きさとしては、画線または画素の短辺方向の大きさが10〜500μmの範囲が適しており、望ましくは10μm〜300μmがよい。例えば、
図5(a)は、第1の要素(6)と第2の要素(7)が円形の画素で構成された状態を示しており、この場合、第1の要素(6)の直径(D11)と第2の要素(7)の直径(D12)が前述した範囲の大きさとなる。第1の要素(6)と第2の要素(7)の大きさは、同じ大きさであっても良いし、異なる大きさであっても良い。また、
図5(a)は、第1の要素(6)と第2の要素(7)がX1方向にずれて一部が重なっているが、
図5(b)に示すように、Y1方向にずれて重なっても良い。
【0033】
図6(a)は、第1の要素(6)と第2の要素(7)が、長方形の画素で構成された状態を示しており、この場合、第1の要素(6)の短辺方向の大きさS11と第2の要素(7)の短辺方向の大きさS12が前述した範囲の大きさとなる。
【0034】
図6(b)は、第1の要素(6)と第2の要素(7)が、直線で構成された状態を示しており、この場合、第1の要素(6)の短辺方向の大きさS11と第2の要素(7)の短辺方向の大きさS12が前述した範囲の大きさとなる。直線で構成された第1の要素(6)と第2の要素(7)が一部ずれて重なる場合は、
図6(b)に示すように、短辺方向にずれた配置で重なる。
【0035】
第1の要素(6)と第2の要素(7)の大きさが、これより大きくなると拡散反射光下の観察で第1の要素(6)と第2の要素(7)が肉眼で区分けされる可能性が高くなり、等色関係が崩れ、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)が区分けされて視認される恐れがあるため好ましくない。
【0036】
要素セット(8)のピッチ(P11、P12)は、50μm〜1000μm程度が適しており、望ましくは50μmから600μm程度がよい。これは、肉眼で光沢差により画像を区分けするには、ある程度の画線面積が必要であり、これより広いと画像部を区分けするのに必要な光沢差が得られない可能性があるからである。第1の画像部(4)と第2の画像部(5)が、後述する「等色」の範囲であれば、要素セット(8)のピッチは、この範囲の中で部分的に異なっても良く、好ましくは、一定のピッチとするのが良い。
【0037】
(第2の画像部)
図7は、第2の画像部(5)の構成を示す図である。
図7(b)は、
図7(a)に示す第2の画像部(5)の一部拡大図であり、
図7(c)は、
図7(b)のB−B’ 線における断面図である。
【0038】
第2の画像部(5)もまた、
図7(b)に示すように、一つの第1の要素(6)と一つの第2の要素(7)を対とする要素セット(8)が、複数配置される。
【0039】
また、第2の画像部(5)に配置される要素セット(8)は、第1の要素(6)と第2の要素(7)の重なる面積が、第1の画像部(4)の第1の要素(6)と第2の要素(7)の重なる面積と異なるように形成される。
図7(b)及び(c)では、第1の要素(6)と第2の要素(7)が重なることなく、並置して配置された状態を示しているが、第1の要素(6)と第2の要素(7)が全く重ならない構成、すなわち、重なる面積がゼロの場合も本発明でいう、第1の要素(6)と第2の要素(7)の重なる面積が異なる範囲に含まれる。
【0040】
また、第1の画像部(4)の第1の要素(6)と第2の要素(7)の一部が重なるとき、第2の画像部(5)の第1の要素(6)と第2の要素(7)の重なる面積が多い構成でも良いし(図示せず)、第2の画像部(5)の第1の要素(6)と第2の要素(7)の重なる面積が少ない構成でも良い(図示せず)。このとき、第2の画像部(5)の第1の要素(6)と第2の要素(7)の積層の上下関係に限定はない。
【0041】
第2の画像部(5)において、第1の要素(6)と第2の要素(7)が重なることなく、並置して配置されるとき、第1の要素(6)と第2の要素(7)の配置の関係は、
図8(a)に示すように、X1方向にずれて配置されても良いし、
図8(b)に示すように、Y1方向にずれて配置されても良い。また、第1の要素(6)と第2の要素(7)の一部が重なる場合については、
図5で説明した配置と同様である。ただし、第1の要素(6)と第2の要素(7)の重なる面積は異なる。また、第1の画像部(4)に配置される第1の要素(6)と第2の要素(7)のずれる方向と、第2の画像部(5)に配置される第1の要素(6)と第2の要素(7)のずれる方向は異なる方向であっても良い。ただし、同じ画像部内では、第1の要素(6)と第2の要素(7)が同じ方向に同じ距離ずれた配置の要素セット(8)が配置される。
【0042】
要素セット(8)のピッチは、以上に説明した第1の要素(6)と第2の要素(7)を配置する方向、第1の要素(6)と第2の要素(7)の重なる面積、第1の要素(6)と第2の要素(7)の大きさに応じて、隣合う要素セット同士が重ならないように、前述した範囲で適宜調整する必要がある。
【0043】
第1の画像部(4)の第1の要素(6)と、第2の画像部(5)の第1の要素(6)の大きさは基本的に同じであり、また、第1の画像部(4)の第2の要素(7)と、第2の画像部(5)の第2の要素(7)の大きさは基本的に同じである。
【0044】
本発明において、同じ大きさで形成された第1の要素(6)と第2の要素(7)が配置された第1の画像部(4)と第2の画像部(5)は、各要素の重なる面積が異なるが、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)は、肉眼では等色に視認される。
【0045】
なお、本発明において、「等色」とは、観察者が二つの観察対象を特に注意せずに一瞥した場合に、同じ色であると感じる状態のことであり、本発明では、二つの観察対象の色差ΔEが3以下の値にある状態のことである。続いて、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)が等色に視認される理由について説明する。
【0046】
例えば、
図4(c)に示す第1の要素(6)の上に第2の要素(7)が完全に重なるように形成された第1の画像部(4)は、色材の減法混色によって第1の色材と第2の色材の色が混色した色で視認できる。
【0047】
これに対して、
図7(c)に示す第1の要素(6)と第2の要素(7)が並置して配置された第2の画像部(5)は、要素同士が重ならないため2色の色材の色は混色しないが、前述した範囲の大きさで第1の要素(6)と第2の要素(7)が形成されることで、人間の目視では、第1の要素(6)と第2の要素(7)を区別することができず、第1の要素(6)の色と第2の要素(7)の色が、加法混色により混ざって見える。結果的に、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)は、肉眼ではほぼ同じ色成分の色が見えることで等色として視認されることになる。
【0048】
ただし、以上説明したように、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の混色の原理が異なるため、用いる基材の定着特性、基材色、色材の着色力、隠蔽性等により同じ大きさの第1の要素(6)と第2の要素(7)を第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に配置したときに、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)が、肉眼で等色関係にならないこともあるため、その場合には要素の大きさ、形状、配置間隔、配置するピッチ等を適宜調整することで等色にする必要がある。
【0049】
第1の画像部(4)の第1の要素(6)と第2の要素(7)の重なる面積に対して、第2の画像部(5)の第1の要素(6)と第2の要素(7)の重なる面積が異なる他の構成の例を
図9に示す。第1の要素(6)と第2の要素(7)が同一形状、同一面積である正方形を一例として説明する。
図9(a)は第1の画像部(4)の要素セットが完全に重なっている場合に、第2の画像部(5)の要素セットの位置関係の一例を示し、図内の数字は要素セットの重なる面積の割合を示したもので完全に重なっている場合を1とし、全く重なっていない場合を0として示している。同様に、
図9(b)には第2の画像部(5)の要素セットが全く重なっていない場合の、第1の画像部(4)の要素セットの位置関係の一例を示している。本発明において、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の光沢差が得られる効果が高い組み合わせは、重なる面積の割合の差が1のときであり好ましいが、重なる面積の割合の差の設計は、
図9に示す例に限らず光沢差が得られる効果のある範囲内で適宜設定すればよい。
【0050】
以上説明したように、本発明において第1の画像部(4)と第2の画像部(5)は、第1の要素(6)と第2の要素(7)の重なる面積が異なる構成であれば良いが、以降の説明では、第1の画像部(4)の第1の要素(6)と第2の要素(7)が完全に重なり、第2の画像部(5)の第1の要素(6)と第2の要素(7)が重ならない構成で説明する。
【0051】
次に第1の画像部(4)と第2の画像部(5)で光沢差が生じる原理について説明する。
図10は、それぞれの画像部の要素セットの定着状態を示す模式図である。
図10(a)は第1の画像部(4)の要素セットの定着前の模式図、
図10(b)は第2の画像部(5)の要素セットの定着前の模式図を示す。それぞれの要素セットは、定着前はトナーが基材に対して積載されているだけの状態である。
【0052】
図11に電子写真方式の印刷機における定着工程の模式図を示す。トナーが積載された基材(2)は定着ロール1(T1)及び定着ロール2(T2)の間を通ることで、加熱・加圧され、トナーが溶融し、加圧により基材(2)に定着される。
【0053】
このとき、第1の画像部(4)において、第1の要素(6)と第2の要素(7)が重なる領域は、第1の色材と第2の色材が積載されており、定着ロールの加熱によって溶融する樹脂の量は、2つの色材を合わせた分となり、溶融した樹脂が加圧されることで、色材表面の平滑性が向上する。一方、第2の画像部(5)においては、第1の要素(6)と第2の要素(7)が、重ならず配置されており、定着ロールの加熱によって溶融する樹脂の量は、各要素毎に、各要素を形成する色材分のみであり、定着ロールの加熱によって溶融する樹脂の量が少なく、基材表面に沿って定着するのみで基材の平滑性の影響を受けることにより、色材表面の平滑性は第1の画像部(4)に比べて劣る。
【0054】
このように、本発明の印刷物(1)は、着色顔料、樹脂等を含むトナーが定着工程により、加熱及び加圧されることでトナー中の樹脂が溶融し、画像を形成している画線部の表面に平滑性が付与され樹脂の光沢感が得られる。
【0055】
以上、光沢差が得られる原理により、本発明の光沢差を得るためには基材の平滑度はベック平滑度で40秒以下が望ましい。また、定着工程における加熱加圧による平滑度の変化が少ないことが望ましい。
【0056】
図12(a)及び
図12(b)は
図11に示すような定着工程を経て基材(2)にトナーが定着した後の状態を示す模式図である。第1の画像部(4)の要素セットの定着後の模式図を
図12(a)、第2の画像部(5)の要素セットの定着後の模式図を
図12(b)に示す。
図12(a)に示すように、第1の画像部(4)は、第1の要素(6)と第2の要素(7)が重なることで、定着ロールの加熱によって溶融する樹脂の量が多く、定着後の画線部表面は平滑になり、高光沢となる。一方、
図12(b)に示すように、第2の画像部(5)の要素セットにおける第1の要素(6)と第2の要素(7)は全く重なっていないため、定着ロールの加熱によって溶融する樹脂の量が少なく、定着後の画線部表面は第1の画像部(4)と比べて粗く、光が散乱し第1の画像部(4)より低光沢となる。
【0057】
以上の構成で成る印刷物(1)は、正面から観察した場合、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)は等色関係にあるため、また、平滑性の差は正面からは感じられないため、区分けされず、
図3(a)に示すように、印刷画像(3)が一様な模様として視認される。また、印刷物(1)を傾けて観察した場合、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の色材の表面の平滑性の違いにより正反射光量に差が生じるため、
図3(b)に示すように、画線部表面の平滑性の高い第1の画像部(4)がより光沢のある画像として視認でき、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)が区分けすることができる。
【0058】
なお、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)において、第1の要素(6)と第2の要素(7)が重なる場合、第1の要素(6)と第2の要素(7)が重なる領域は共に平滑性は上がるが、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)は、第1の要素(4)と第2の要素(7)の重なる面積が異なり、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の一つの要素セット(8)同士で比較したときに、平滑性の高い部分の面積の差があるため、その差が光沢差として表れる。また、第2の画像部(5)の第1の要素(6)と第2の要素(7)の重なる面積が第1の画像部(4)より多くした場合には、第2の画像部(5)の画線部表面の平滑性が第1の画像部(4)より高くなり、第2の画像部(5)がより光沢のある画像として視認できる(図示せず)。
【0059】
本発明の印刷画像(3)の形成方法としては、前述したトナーを基材(2)に積層し、次に、熱と圧力を加える。熱と圧力を加える工程についても特に限定はないが、カラーレーザプリンタによる定着工程は、基材に転写された色材を含むトナーを加熱圧着により色材を基材に定着させる方式が一般的であるため、レーザープリンタを用いれば、一度のプロセスで画像形成から加熱、加圧工程を経て印刷画像(3)を形成することができる。
【0060】
以上の構成は、2色の色材で印刷画像(3)が形成された印刷物(1)であるが、更に、基材(2)と異なる色のn色(nは3以上の整数)の色材を用いて第1の要素乃至第nの要素で構成された印刷画像(3)を形成しても良い。ここでは、一例として3色の色材から成る第1の要素乃至第3の要素によって、印刷画像(3)が形成される形態について説明する。なお、以下に説明する三つの色材で印刷画像(3)が形成される印刷物(1)において、各要素の大きさ、要素セットのピッチについては、前述した印刷物の構成と同様であるため説明を省略する。
【0061】
印刷画像(3)は、
図13に示すように、第1の色材から成る第1の要素(6)と、第2の色材から成る第2の要素(7)と、基材(2)、第1の色材及び第2の色材と異なる色の第3の色材から成る第3の要素(10)を対とする要素セット(8)が複数配置されて成る。第3の要素(10)の構成は、第1の要素(6)及び第2の要素(7)に対して、色が異なるのみであり、その他の構成は同じである。
【0062】
(第1の画像部)
図14は、第1の画像部(4)の構成を示す図である。
図14(b)は、
図14(a)に示す第1の画像部(4)の一部拡大図であり、
図14(c)は、
図14(b)のA−A’ 線における断面図である。
【0063】
本実施の形態では、長方形の画素で構成される第1の要素(6)、第2の要素(7)及び第3の要素(10)について説明する。
【0064】
第1の画像部(4)は、また、
図14(c)に示すように、一つの要素セット(8)において、第1の要素(6)と第2の要素(7)、第3の要素(10)が重なるように形成される。
図14(b)及び(c)では、第1の要素(6)と第2の要素(7)、第3の要素(10)が完全に重なっている状態を示しているが、一部が重なる構成でも良い。また、
図14(c)では第1の要素(6)の上に、第2の要素(7)と第3の要素(10)が重なっているが、本発明において、第1の要素(6)と第2の要素(7)と第3の要素(10)の積層の上下関係に限定はない。
【0065】
(第2の画像部)
図15は、第2の画像部(5)の構成を示す図である。
図15(b)は、
図15(a)に示す第2の画像部(5)の一部拡大図であり、
図15(c)は、
図15(b)のB−B’ 線における断面図である。
【0066】
第2の画像部(5)は、第1の要素(6)と第2の要素(7)と第3の要素(10)の重なる面積が、第1の画像部(4)の第1の要素(6)と第2の要素(7)と第3の要素(10)の重なる面積と異なるように形成される。
図15(b)及び(c)では、第2の画像部(5)の第1の要素(6)と第2の要素(7)と第3の要素(10)が重なることなく、並置して配置された状態を示しているが、第2の画像部(5)の第1の要素(6)と第2の要素(7)と第3の要素(10)が全く重ならない構成、すなわち、重なる面積がゼロの場合も本発明でいう、第1の要素(6)と第2の要素(7)と第3の要素(10)の重なる面積が異なる範囲に含まれる。
【0067】
また、第1の画像部(4)で第1の要素(6)と第2の要素(7)と第3の要素(10)の一部が重なるとき、第2の画像部(5)の第1の要素(6)と第2の要素(7)と第3の要素(10)の重なる面積が多い構成でも良いし(図示せず)、第2の画像部(5)の第1の要素(6)と第2の要素(7)の重なる面積が少ない構成でも良い(図示せず)。このとき、第2の画像部(5)の第1の要素(6)と第2の要素(7)と第3の要素(10)の積層の上下関係に限定はない。
【0068】
ここで、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)において、各要素が重なる配置の例について説明する。
図16(a)は、第1の要素(6)と第2の要素(7)と第3の要素(10)の一部が互いに重なる状態を示す図である。
図16(b)は、第1の要素(6)の一部に第2の要素(7)の一部が重なり、第1の要素(6)の一部に第3の要素(10)が完全に重なる状態を示す図である。
図16(c)は、第1の要素(6)の一部に第2の要素(7)の一部と第3の要素(10)の一部が重なる状態を示す図である。
図16(d)は、第1の要素(6)の一部に第2の要素(7)の一部が重なり、第2の要素(7)の一部に第3の要素(10)の一部が重なる状態を示す図である。三つの色材によって印刷画像(3)が形成される場合、各要素の配置は、
図14乃至
図16に示す例に限定されるものではない。第3の要素(10)は、第1の画像部(4)及び第2の画像部(5)のうち、少なくとも一方の画像部に配置される要素セット(8)の、他の要素の少なくとも一部に重なれば良い。このように第3の要素(10)が重なることによって、第3の要素(10)を形成する色材に含まれる樹脂が、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の光沢差に寄与することとなる。
【0069】
ここでは、第1の要素(6)、第二の要素(7)及び第3の要素(10)の三つの要素が配置される構成について説明したが、更に、第4の要素より多くの要素を形成する場合、第3の要素(10)と同様に、第1の画像部(4)及び第2の画像部(5)のうち、少なくとも一方の画像部に配置される要素セット(8)の、他の要素の少なくとも一部に重なるように配置すれば良い。
【0070】
実施の形態1と同様に、各画像部において、第1の要素(6)と第2の要素(7)と第3の要素(10)の位置関係は、
図14及び
図16に示す例に限定されるものではないが、同じ画像部内では、第1の要素(6)と第2の要素(7)と第3の要素(10)の位置関係を同じとする要素セットが配置される。
【0071】
続いて、第1の画像部(4)の第1の要素(6)と第2の要素(7)と第3の要素(10)の重なる面積に対して、第2の画像部(5)の第1の要素(6)と第2の要素(7)と第3の要素(10)の重なる面積が異なる構成の例を
図17に示す。第1の要素(6)の大きさを1とした時、第2の要素(7)と第3の要素(10)が0.5である場合を一例として説明する。
【0072】
図17(a)は第1の画像部(4)の要素セットが完全に重なっている場合に、第2の画像部(5)の要素セットの位置関係の一例を示し、図内の数字は要素セットの重なる面積の割合を示したもので完全に重なっている場合を1とし、全く重なっていない場合を0として示している。同様に、
図17(b)には第2の画像部(5)の要素セットが全く重なっていない場合の、第1の画像部(4)の要素セットの位置関係の一例を示している。本発明において、光沢差が得られる効果が高い組み合わせは、重なる面積の割合の差が1のときであり好ましいが、重なる面積の割合の差の設計は、
図17に示す例に限らず光沢差が得られる効果のある範囲内で適宜設定すればよい。
【0073】
この形態においても、各画像部に配置する第1の要素(6)同士、第2の要素(7)同士、第3の要素(10)同士の大きさは基本的に同じである。このような構成とすることで第1の画像部(4)と第2の画像部(5)は等色に形成される。ただし、前述したように、用いる基材の定着特性、基材色、色材の着色力、隠蔽性等により、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)が、肉眼で等色関係にならないこともあるため、その場合には要素の大きさ、形状、配置間隔、配置するピッチ等を適宜調整することで等色にする必要がある。
【0074】
図17(a)に示す例で各要素が重なる配置の印刷物(1)の定着工程において、第1の画像部(4)の、第1の要素(6)の上に第2の要素(7)が重なる領域は、第1の色材と第2の色材を合わせた分の樹脂が溶融し、第1の要素(6)の上に第3の要素(10)が重なる領域は、第1の色材と第3の色材を合わせた分の樹脂が溶融し、溶融した樹脂が加圧されることで、色材表面の平滑性が向上する。一方、第2の画像部(5)において、例えば、第1の要素(6)と第2の要素(7)と第3の要素(10)が、重ならず配置された場合、定着ロールの加熱によって溶融する樹脂の量は、各要素毎に、各要素を形成する色材分のみであり、定着ロールの加熱によって溶融する樹脂の量が少なく、基材表面に沿って定着するのみで基材の平滑性の影響を受けることにより、色材表面の平滑性は第1の画像部(4)に比べて劣る。また、
図17(a)に示す第2の画像部(5)の例において、第1の要素(6)の一部に第2の要素(7)及び/又は第3の要素(10)が重なる場合、各要素が重なる領域は、色材表面の平滑性が向上するが、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の一つの要素セット(8)同士で比較したときに、平滑性の高い部分の面積の差があるため、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に光沢差が生じる。
【0075】
以上の構成で成る印刷画像(3)を、カラーレーザプリンタで形成した印刷物(1)は、正面(E1の観察位置)から観察した場合、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)は等色関係にあるため、また、平滑性の差は正面からは感じられないため、区分けされず、
図18(a)に示すように、各要素の色材が混色した一様な模様が視認される。また、印刷物(1)を傾けて(E2の観察位置)観察した場合、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の色材の表面の平滑性の違いにより正反射光量に差が生じるため、
図18(b)に示すように、画線部表面の平滑性の高い第1の画像部(4)がより光沢のある画像として視認でき、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)が区分けすることができる。
【0076】
この形態の印刷物(1)は、前述した2色の色材で印刷画像が形成された印刷物に対して、色材の種類が多いため、第1の要素(6)、第2の要素(7)第3の要素(10)の大きさを適宜調整することで色彩豊富な印刷画像(3)を形成することができる。
【0077】
また、実施の形態1において、3色の色材で印刷画像(3)が形成される構成まで説明したが、更に、第1の色材乃至第3の色材と異なる色の第nの色材から成る第nの要素を対とした要素セットを配置し、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)に配置される各要素の重なる面積を異ならせて形成することで、光沢効果のある印刷物(1)の色彩を豊富にすることができる。
【0078】
(実施の形態2)
次に、印刷画像(3)に、正面から観察した場合に視認できる有意味な模様(20)を付与した実施の形態2について説明する。実施の形態1では正面から観察される画像は一様な模様であったが、実施の形態2では
図19に示すように、印刷画像(3)に付与する有意味な模様の一例として「流水の模様」を用いた。
【0079】
図20に示すように、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)には有意味な模様(20)を含む構成となっている。次に、有意味な模様(20)の構成について説明する。本実施の形態では、実施の形態1の2色の色材から成る第1の要素と第2の要素で印刷画像(3)が構成されている形態を基本として説明する。このため、詳細な内容は実施の形態1と同様であり、本実施の形態では、印刷画像(3)として有意味な模様(20)を付与するための構成についてのみ詳細に説明する。
【0080】
正面から観察した場合に観察できる画像として、第1の画像部(4)及び第2の画像部(5)の要素セットの配置を、有意味な模様(20)である「流水の模様」の部分については位相をずらすことで表現した。
図21(a)に示す第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の境界部分の一部を拡大した図を
図21(b)に示す。各画像部は実施の形態1と同様に、2色の色材を用いて第1の要素(6)と第2の要素(7)で形成される構成であり、要素セット(8)は、X1方向にピッチ(P12)、Y1方向にピッチ(P11)で配置されている。各要素セットの重なる面積も実施の形態1での説明と同様である。
【0081】
本発明において位相をずらすとは、
図21に示すX1方向に要素セットが配置された状態の要素セットの位置を基準として、Y1方向に、要素セットの位置がずれることであり、「流水の模様」は、「流水の模様」がない部分より位相がPh1(=Ph2)ずれて配置されている。
【0082】
以上の構成で成る印刷画像(3)を、カラーレーザプリンタで形成した本実施の形態の印刷物(1)は、
図22に示すように、正面(E1の観察位置)から観察した場合、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)は等色関係にあるため、また、平滑性の差は正面からは感じられないため、区分けされず、
図22(a)に示すように、位相をずらすことで表現された「流水の模様」が視認される。また、印刷物(1)を傾けて(E2の観察位置)観察した場合、
図22(b)に示すように、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の色材の表面の平滑性の違いにより正反射光量に差が生じるため、画線部表面の平滑性の高い第1の画像部(4)がより光沢のある画像として視認でき、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)が区分けすることができる。
【0083】
実施の形態2の印刷物(1)の例では、有意味な模様(20)として「流水の模様」を用いているが、有意味な模様(20)は、他の模様であっても良いし、文字、数字、記号、図形、マーク及び図形のいずれか又はその組み合わせで形成されても良い。
【0084】
また、実施の形態2の印刷物(1)の例では、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)が「流水の模様」を含んでいるが、一方の画像部のみの要素セットの位相をずらして、有意味な模様(20)を形成しても良い。
【0085】
実施の形態2は、実施の形態1の2色の色材から成る第1の要素と第2の要素で印刷画像(3)が構成されている形態を基に説明したが、3色の色材、更にはn色の色材から成る第1の要素乃至第nの要素で印刷画像(3)が構成される形態においても、要素セット(8)の位相をずらすことによって、印刷画像(3)に有意味な模様(20)を形成することが可能である。
【0086】
(実施の形態3)
続いて、実施の形態1の印刷画像(3)に加えて、正面から観察した場合に視認できる有意味な情報画像(30)を付与した実施の形態3について説明する。実施の形態3においても
図23に示すように、有意味な情報画像(30)として、「流水の模様」を用いた。
【0087】
実施の形態3の印刷物(1)は、基材(2)に、
図24(b)に示す第1の画像部(4)と第2の画像部(5)から成る印刷画像(3)と、
図24(c)に示す情報画像(30)が形成される構成となっている。次に、情報画像(30)の構成について説明する。本実施の形態では、実施の形態1の3色の色材から成る第1の要素と第2の要素と第3の要素で印刷画像(3)が構成されている形態を基本として説明する。このため、詳細な内容は実施の形態1と同様であり、本実施の形態では、有意味な情報画像(30)を付与するための構成についてのみ詳細に説明する。
【0088】
正面から観察した場合に観察できる情報画像(30)を形成するため、印刷画像(3)の各画像部の各要素に重ならない位置に、基材(2)と異なる色の情報要素(31)を印刷して表現した。なお、情報要素(31)は、画素及び画線の一方又はその組み合わせで構成され、画素と画線については前述したとおりであり、
図25は情報要素(31)が画素で構成される状態を示している。情報要素(31)の大きさは、要素セット(8)を構成する各要素と重ならないように配置されれば、特に限定はない。
【0089】
図25(a)に第1の画像部(4)の一部を拡大した図を示し、
図25(b)に第2の画像部(5)の一部を拡大した図を示す。各画像部は実施の形態1と同様に3色の色材を用いて第1の要素(6)と第2の要素(7)と第3の要素(10)で形成される構成とした。各要素セット(8)の重なる面積の割合も実施の形態1での説明と同様である。
【0090】
情報要素(31)を形成する色材は、特に限定されるものではなく、印刷画像(3)を構成する各要素を形成する色材の一つを用いても良いし、各要素を形成する色材と異なる色の色材を用いても良い。また、情報要素(31)を形成する色材はトナーの他に、オフセットインキ、フレキソインキ等を用いることができ、色材の色は、表現したい絵柄に応じて選択すればよい。ただし、情報要素(31)は各要素と重ならない位置を用いて表現するため、各要素を配置するピッチは、基材を色材で完全に覆わないようなピッチで配置し、模様を配置する領域を設けておく必要がある。
【0091】
以上の構成で成る印刷画像(3)を、カラーレーザプリンタで形成した本実施の形態の印刷物(1)は、
図26に示すように、正面(E1の観察位置)から観察した場合、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)は等色関係にあるため、また、平滑性の差は正面からは感じられないため、区分けされず、情報要素(31)の配置の有無による面積率の差又は色の差によって、
図26(a)に示すように、「流水の模様」が視認される。また、印刷物(1)を傾けて(E2の観察位置)観察した場合、
図26(b)に示すように、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)の色材の表面の平滑性の違いにより正反射光量に差が生じるため、画線部表面の平滑性の高い第1の画像部(4)がより光沢のある画像として視認でき、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)が区分けすることができる。
【0092】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明を限定するものではない。
【0093】
(実施例1)
図1に示す印刷物(1)を作製した。基材(2)にはベック平滑度30秒の白色用紙を使用し、カラーレーザプリンタ(OKI MICROLINE5400)を用いて画像を形成した。
【0094】
第1の画像部(4)の要素及び第2の画像部(5)の要素は、以下に示す構成で形成した。第1の画像部(4)の構成として、第1の画像部(4)の第1の要素(6)を直径150μmの円形ドットでシアントナーを用いて形成し、第1の画像部(4)の第2の要素(7)を同じく直径150μmの円形ドットでマゼンタトナーを用いて形成し、
図4のように第1の要素(6)と第2の要素(7)を完全に重ねて配置した。配置するピッチはP11及びP12を400μmとした。
【0095】
第2の画像部(5)の構成として、第2の画像部(5)の第1の要素(6)を第1の画像部(4)の第1の要素(6)と同じ直径150μmの円形ドットでシアントナーを用いて形成し、第2の画像部(5)の第2の要素(7)を第1の画像部(4)の第2の要素(7)と同じ直径150μmの円形ドットでマゼンタトナーを用いて形成し、
図8(a)のように第1の要素(6)と第2の要素(7)を並置して配置した。配置するピッチはP11及びP12を400μmとした。
【0096】
実施例1で形成した印刷物(1)を正面から観察すると、第1の画像部(4)と第2の画像部(5)ともに、第1の色材であるシアントナーと第2の色材であるマゼンタトナーが混色した淡い青紫色で等色に観察できた。さらに、正反射光下で観察すると、第1の画像部(4)は高光沢で観察され、第2の画像部(5)は第1の画像部(4)より低光沢で観察され、桜の模様が区分けして視認できた。
【0097】
(実施例2)
図19に示す本発明の実施の形態2の印刷物(1)を作製した。基材(2)にはベック平滑度10秒の白色用紙を使用し、カラーレーザプリンタ(RICOH IPSiO SP C420)を用いて画像を形成した。
【0098】
第1の画像部(4)の要素及び第2の画像部(5)の要素は、
図7に示す構成で形成した。第1の画像部(4)の構成として、第1の画像部(4)の第1の要素(6)を短辺方向の大きさ(S11)100μm、長辺方向の大きさ(L11)500μmの長方形の画素とし、イエロートナーを用いて形成し、第1の画像部(4)の第2の要素(7)を同じく短辺方向の大きさ(S12)100μm、長辺方向の大きさ(L12)5000μmの長方形の画素とし、シアントナーを用いて形成し、第1の要素(6)と第2の要素(7)を完全に重ねて配置した。配置するピッチはP11を500μm、P12を1000μmとした。
【0099】
第2の画像部(5)の構成として、第2の画像部(5)の第1の要素(6)を第1の画像部(4)の第1の要素(6)と同じ大きさの長方形の画素とし、イエロートナーを用いて形成し、第2の画像部(5)の第2の要素(7)を第1の画像部(4)の第2の要素(7)と同じ大きさの長方形の画素とし、シアントナーを用いて形成し、第1の要素(6)と第2の要素(7)を短辺方向に並置して配置した。配置するピッチはP11を500μm、P12を1000μmとした。
【0100】
印刷画像(3)に付与する有意味な模様(20)を流水の模様とし、流水模様は、
図21に示す第1の画像部(4)の要素セット(8)と第2の画像部(5)の要素セット(8)の配置するピッチの位相Ph1(=Ph2)を250μmずらすことで表現した。
【0101】
実施例2で形成した印刷物(1)を正面から観察すると、第1の色材であるイエロートナーと第2の色材であるシアントナーが混色した淡い緑色の流水の模様が観察できた。さらに、正反射光下で観察すると、第1の画像部(4)は高光沢で観察され、第2の画像部は第1の画像部(4)より低光沢で観察され、桜の模様が区分けして視認できた。
【0102】
(実施例3)
図23に示す本発明の実施の形態3の印刷物を作製した。基材(2)にはベック平滑度10秒の白色用紙を使用し、カラーレーザプリンタ(RICOH IPSiO SP C420)を用いて画像を形成した。
【0103】
第1の画像部(4)の要素及び第2の画像部(5)の要素は、
図16に示す構成で形成した。第1の画像部(4)の構成として、第1の画像部(4)の第1の要素(6)を短辺方向の大きさ(S11)100μm、長辺方向の大きさ(L11)800μmの長方形の画素とし、マゼンタトナーを用いて形成し、第1の画像部(4)の第2の要素(7)を短辺方向の大きさ(S12)100μm、長辺方向の大きさ(L12)600μmの長方形の画素とし、シアントナーを用いて形成し、第1の画像部(4)の第3の要素(10)を短辺方向の大きさ(S13)100μm、長辺方向の大きさ(L13)200μmの長方形の画素とし、イエロートナーを用いて形成し、第1の要素(6)に第2の要素(7)と第3の要素(10)を
図25(a)のように完全に重ねて配置した。配置するピッチはP11を600μm、P12を1000μmとした。
【0104】
第2の画像部(5)の構成として、第2の画像部(5)の第1の要素(8)を第1の画像部(4)の第1の要素(6)と同じ大きさの長方形の画素とし、マゼンタトナーを用いて形成し、第2の画像部(5)の第2の要素(9)を第1の画像部(4)の第2の要素(7)と同じ大きさの長方形の画素とし、シアントナーを用いて形成し、第2の画像部(5)の第3の要素(11)を第1の画像部(4)の第3の要素(10)と同じ大きさの長方形の画素とし、イエロートナーを用いて形成し、第1の要素(8)と第2の要素(9)と第3の要素(11)は
図25(b)のように並置して配置した。配置するピッチはP11を600μm、P12を1000μmとした。
【0105】
情報画像(30)である流水の模様を形成するため、第1の画像部(4)の要素と第2の画像部(5)の要素と重ならない部分に、ブラックトナーにより情報要素(31)を網点面積率5%で形成した。
【0106】
実施例3で形成した印刷物(1)を正面から観察すると、第1の色材であるマゼンタトナーと第2の色材であるシアントナーと第3の色材であるイエロートナーが混色した淡い紫色の中に淡いグレーの流水の模様が観察できた。さらに、正反射光下で観察すると、第1の画像部(4)は高光沢で観察され、第2の画像部は第1の画像部(4)より低光沢で観察され、桜の模様が区分けして視認できた。
【0107】
以上、本発明にかかる実施例に基づいて実施の形態を説明したが、上記実施例に限定されることなく特許請求の範囲記載の技術思想の範囲内で、さらにいろいろと実施例があることは言うまでもない。