特許第6061199号(P6061199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061199
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】複層ガラス窓の圧着装置及び圧着方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/64 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
   E06B3/64
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-168092(P2013-168092)
(22)【出願日】2013年8月13日
(65)【公開番号】特開2015-36491(P2015-36491A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2016年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】旭硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】福田 光夫
(72)【発明者】
【氏名】小島 浩士
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−140766(JP,A)
【文献】 特開平10−330134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/54− 3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状のガラス板と前記ガラス板の4辺の周辺部に沿って取り付けられたスペーサとからなるスペーサ付きガラス板が、建物の框に固定された既設のガラス窓に、前記スペーサを介してシール材により接着されてなる複層ガラス窓であって、前記シール材を前記ガラス窓に圧着させる複層ガラス窓の圧着装置において、
前記ガラス窓と前記スペーサ付きガラス板との間の空気層の空気を吸引し、前記空気層を減圧させる吸引手段と、
前記スペーサ付きガラス板の隅部の面に押圧当接される押圧部材、前記スペーサ付きガラス板を吸着する吸着部材、及び前記押圧部材と前記吸着部材とを連結する連結部材を備えた圧着治具と、
を有することを特徴とする複層ガラス窓の圧着装置。
【請求項2】
前記吸引手段は、前記スペーサ又はスペーサ同士を接続するスペーサ接続部材に備えられた貫通孔を介して前記空気層の空気を吸引する請求項1に記載の複層ガラス窓の圧着装置。
【請求項3】
前記圧着治具の前記吸着部材は、前記スペーサ付きガラス板の縦辺近傍又は横辺近傍の面であって、縦辺又は横辺の長さ方向における中央部の面を吸着する請求項1又は2に記載の複層ガラス窓の圧着装置。
【請求項4】
前記圧着治具の前記連結部材は、棒状に構成された本体と、前記本体の両端部に取り付けられて前記本体の軸方向に移動自在に取り付けられた一対の長さ調整部材とを備え、
前記一対の長さ調整部材の端部に前記押圧部材が取り付けられ、前記本体の中央部に前記吸着部材が取り付けられる請求項3に記載の複層ガラス窓の圧着装置。
【請求項5】
前記圧着治具の前記吸着部材は、前記スペーサ付きガラス板の中央部の面を吸着する請求項1又は2に記載の複層ガラス窓の圧着装置。
【請求項6】
前記圧着治具の前記連結部材は、棒状に構成されて各々の中央部に連結された軸を介して互いに回動自在に連結された第1の本体及び第2の本体と、前記第1の本体及び前記第2の本体の各々の両端部に取り付けられて前記第1の本体及び前記第2の本体の各々の軸方向に移動自在に取り付けられた一対の長さ調整部材とを備え、
前記一対の長さ調整部材の端部に前記押圧部材が取り付けられ、前記第1の本体の中央部に前記吸着部材が取り付けられる請求項5に記載の複層ガラス窓の圧着装置。
【請求項7】
矩形状のガラス板と前記ガラス板の4辺の周辺部に沿って取り付けられたスペーサとからなるスペーサ付きガラス板が、建物の框に固定された既設のガラス窓に、前記スペーサを介してシール材により接着されてなる複層ガラス窓であって、前記シール材を前記ガラス窓に圧着させる複層ガラス窓の圧着方法において、
前記ガラス窓と前記スペーサ付きガラス板との間の空気層の空気を吸引する吸引手段と、
押圧部材、吸着部材、及び前記押圧部材と前記吸着部材とを連結する連結部材を備えた圧着治具と、を揃え、
前記圧着治具の前記押圧部材を前記スペーサ付きガラス板の隅部の面に当接させ、かつ前記吸着部材を前記スペーサ付きガラス板に吸着させる治具装着工程と、
前記吸引手段によって前記空気層を減圧しながら、前記シール材を前記ガラス窓に圧着させる減圧圧着工程と、
を備えることを特徴とする複層ガラス窓の圧着方法。
【請求項8】
前記吸引手段は、前記スペーサ又はスペーサ同士を接続するスペーサ接続部材に備えられた貫通孔を介して前記空気層の空気を吸引し、前記シール材が前記ガラス窓に圧着された後、前記貫通孔を閉塞する請求項7に記載の複層ガラス窓の圧着方法。
【請求項9】
前記圧着治具の前記吸着部材は、前記スペーサ付きガラス板の縦辺近傍又は横辺近傍の面であって、縦辺又は横辺の長さ方向における中央部の面を吸着する請求項7又は8に記載の複層ガラス窓の圧着方法。
【請求項10】
前記圧着治具の前記吸着部材は、前記スペーサ付きガラス板の中央部の面を吸着する請求項7又は8に記載の複層ガラス窓の圧着方法。
【請求項11】
前記シール材は、ブチルゴムである請求項7から10のいずれか1項に記載の複層ガラス窓の圧着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複層ガラス窓の圧着装置及び圧着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
断熱性や防音性の観点から、ガラス窓として複層ガラス窓が多用されている。複層ガラス窓は、少なくとも2枚のガラス板とスペーサとを備えており、その2枚のガラス板をスペーサによって隔置するとともに、スペーサの両側面を一次シール材によって2枚のガラス板に接着し、2枚のガラス板の間の端縁部を二次シール材によって封着することにより構成される。
【0003】
ところで、特許文献1には、建物に施工されている既存の単板構成のガラス窓に、新規のスペーサ付きガラス板を取り付けることによって、前記ガラス窓を複層ガラス窓に改築することが提案されている。既存のガラス窓を複層ガラス窓の一部として利用することにより、施工費を削減でき、かつ施工期間の短縮、既存のガラス窓の廃棄が不要、及びサッシの交換が不要という利点がある。
【0004】
特許文献1の複層ガラス窓は、前記スペーサを介してブチルゴムをガラス窓に接着させた後、前記ブチルゴムをガラス窓に圧着させることにより、スペーサ付きガラス板をガラス窓に取り付けている。圧着方法は、スペーサ付きガラス板の表面からスペーサに沿ってローラーを押し付けて走行させることにより実施していた。
【0005】
しかしながら、ブチルゴムは、瞬間的に加わるローラーの押し付け力に対して反発する性質を有しているため、ローラーによる圧着方法ではシール材をガラス窓に確実に圧着させることは難しい。そこで、特許文献2では、空気層の空気を吸引し、空気層を減圧しながらシール材をガラス窓に徐々に押圧させていくことにより、シール材をガラス窓に圧着させることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−148966号公報
【特許文献2】特開2012−140766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2の圧着方法は、減圧によりスペーサ付きガラス板をガラス窓側に弾性変形させる力によってブチルゴムをガラス窓に圧着する方法である。
【0008】
しかしながら、減圧のみによる圧着方法では、スペーサ付きガラス板の弾性変形量が、スペーサ付きガラス板の中央部から4隅部に向けて徐々に小さくなるため、特に4隅部に位置するシール材に圧着不良が発生する問題があった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、スペーサ付きガラス板の隅部に位置するシール材をガラス窓に確実に圧着させることができる複層ガラス窓の圧着装置及び圧着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、前記目的を達成するために、矩形状のガラス板と前記ガラス板の4辺の周辺部に沿って取り付けられたスペーサとからなるスペーサ付きガラス板が、建物の框に固定された既設のガラス窓に、前記スペーサを介してシール材により接着されてなる複層ガラス窓であって、前記シール材を前記ガラス窓に圧着させる複層ガラス窓の圧着装置において、前記ガラス窓と前記スペーサ付きガラス板との間の空気層の空気を吸引し、前記空気層を減圧させる吸引手段と、前記スペーサ付きガラス板の隅部の面に押圧当接される押圧部材、前記スペーサ付きガラス板を吸着する吸着部材、及び前記押圧部材と前記吸着部材とを連結する連結部材を備えた圧着治具と、を有することを特徴とする複層ガラス窓の圧着装置を提供する。
【0011】
本発明の一態様は、前記目的を達成するために、矩形状のガラス板と前記ガラス板の4辺の周辺部に沿って取り付けられたスペーサとからなるスペーサ付きガラス板が、建物の框に固定された既設のガラス窓に、前記スペーサを介してシール材により接着されてなる複層ガラス窓であって、前記シール材を前記ガラス窓に圧着させる複層ガラス窓の圧着方法において、前記ガラス窓と前記スペーサ付きガラス板との間の空気層の空気を吸引する吸引手段と、押圧部材、吸着部材、及び前記押圧部材と前記吸着部材とを連結する連結部材を備えた圧着治具と、を揃え、前記圧着治具の前記押圧部材を前記スペーサ付きガラス板の隅部の面に当接させ、かつ前記吸着部材を前記スペーサ付きガラス板に吸着させる治具装着工程と、前記吸引手段によって前記空気層を減圧しながら、前記シール材を前記ガラス窓に圧着させる減圧圧着工程と、を備えることを特徴とする複層ガラス窓の圧着方法を提供する。
【0012】
本発明の一態様によれば、まず、スペーサ付きガラス板をガラス窓に、スペーサを介してシール材により接着する。次に、圧着治具の押圧部材をスペーサ付きガラス板の隅部の面に当接させ、かつ吸着部材をスペーサ付きガラス板に吸着させる(治具装着工程)。次に、吸引手段によって空気層を減圧していくと、スペーサ付きガラス板の弾性変形時に生じる力が吸着部材から連結部材を介して押圧部材に伝達し、押圧部材がスペーサ付きガラス板の隅部の面をガラス窓に向けて押圧する。この動作によって、シール材がガラス窓に圧着される(減圧圧着工程)。なお、スペーサ付きガラス板に対する吸着部材の取り付ける位置は、空気層の減圧時に、スペーサ付きガラス板の弾性変形量が大きい位置が好ましく、押圧部材の取り付け位置は、スペーサ付きガラス板の隅部のように弾性変形量が小さい位置が好ましい。
【0013】
このように減圧手段と圧着治具とを組み合わせることによって、スペーサ付きガラス板の隅部のシール材が、すなわち、ガラス窓に密着し難い部分のシール材がガラス窓に確実に密着する。ここで、押圧部材が当接するスペーサ付きガラス板の面、及び吸着部材によって吸着されるスペーサ付きガラス板の面は、当然であるが空気層側の面に対して反対側の面である。
【0014】
本発明の複層ガラス窓の圧着装置の一態様は、前記吸引手段は、前記スペーサ又はスペーサ同士を接続するスペーサ接続部材に備えられた貫通孔を介して前記空気層の空気を吸引することが好ましい。
【0015】
本発明の複層ガラス窓の圧着方法の一態様は、前記吸引手段は、前記スペーサ又はスペーサ同士を接続するスペーサ接続部材に備えられた貫通孔を介して前記空気層の空気を吸引し、前記シール材が前記ガラス窓に圧着された後、前記貫通孔を閉塞することが好ましい。
【0016】
吸引用の貫通孔をガラス板に備えれば、その貫通孔がガラス板の強度を低下させる欠点になる場合がある。これに対して、本発明の一態様によれば、吸引用の貫通孔をスペーサ又はスペーサ同士を接続するスペーサ接続部材に備えたので、貫通孔に起因する欠点はガラス板に発生しない。また、スペーサ接続部材とは、スペーサの端部同士を接続するコーナーキー、ストレートキーである。
【0017】
本発明の複層ガラス窓の圧着装置及び圧着方法の一態様は、前記圧着治具の前記吸着部材は、前記スペーサ付きガラス板の縦辺近傍又は横辺近傍の面であって、縦辺又は横辺の長さ方向における中央部の面を吸着することが好ましい。
【0018】
本発明の一態様によれば、吸着部材を前記面に吸着させ、押圧部材をスペーサ付きガラス板の隅部に当接させる。これにより、前記面の弾性変形時に生じる力が、吸着部材から連結部材を介して押圧部材に伝達し、押圧部材がスペーサ付きガラス板の隅部の面をガラス窓に向けて押圧する。
【0019】
本発明の複層ガラス窓の圧着装置の一態様は、前記圧着治具の前記連結部材は、棒状に構成された本体と、前記本体の両端部に取り付けられて前記本体の軸方向に移動自在に取り付けられた一対の長さ調整部材とを備え、前記一対の長さ調整部材の端部に前記押圧部材が取り付けられ、前記本体の中央部に前記吸着部材が取り付けられることが好ましい。
【0020】
本発明の一態様によれば、本体に対して一対の長さ調整部材を移動させることによって、連結部材を軸方向に伸縮できる。これにより、スペーサ付きガラス板の縦辺又は横辺に対応した長さに連結部材の長さを調整できる。
【0021】
また、本発明の一態様によれば、本体の中央部に吸着部材を取り付け、一対の長さ調整部材の端部に押圧部材を取り付けている。これにより、空気層の減圧時に発生する力の反力が、つまり、スペーサ付きガラス板が弾性変形しようとする力の反力(スペーサ付きガラス板の弾性変形を阻止する抗力)が、吸着部材から連結部材を介して一対の押圧部材に伝達し、一対の押圧部材がスペーサ付きガラス板の2隅部の面をガラス窓に向けて押圧する。よって、本発明の一態様によれば、圧着治具を2台用意すれば、スペーサ付きガラス板の4隅部の面をガラス窓に同時に押圧できる。この場合、2台の押圧治具は、スペーサ付きガラス板の左右の縦辺又は上下の横辺に沿って配置される。
【0022】
本発明の複層ガラス窓の圧着装置及び圧着方法の一態様は、前記圧着治具の前記吸着部材は、前記スペーサ付きガラス板の中央部の面を吸着することが好ましい。
【0023】
本発明の一態様によれば、吸着部材を前記中央部の面に吸着させ、押圧部材をスペーサ付きガラス板の隅部に当接させる。これにより、前記中央部の面の弾性変形時に生じる力が、吸着部材及び連結部材を介して押圧部材に伝達し、押圧部材がスペーサ付きガラス板の隅部の面をガラス窓に向けて押圧する。
【0024】
本発明の複層ガラス窓の圧着装置の一態様は、前記圧着治具の前記連結部材は、棒状に構成されて各々の中央部に連結された軸を介して互いに回動自在に連結された第1の本体及び第2の本体と、前記第1の本体及び前記第2の本体の各々の両端部に取り付けられて前記第1の本体及び前記第2の本体の各々の軸方向に移動自在に取り付けられた一対の長さ調整部材とを備え、前記一対の長さ調整部材の端部に前記押圧部材が取り付けられ、前記第1の本体の中央部に前記吸着部材が取り付けられることが好ましい。
【0025】
本発明の一態様によれば、まず、第1の本体に取り付けられた吸着部材を、スペーサ付きガラス板の全面における中央部に吸着させる。次に、第1の本体と第2の本体とを軸を中心に回動させて、第1の本体と第2の本体とをスペーサ付きガラス板の対角線に沿った角度に交差させる。次に、第1の本体及び第2の本体に各々取り付けられた一対の長さ調整部材の移動位置を調整し、各々の一対の長さ調整部材に取り付けられた、計4個の吸着部材をスペーサ付きガラス板の4隅部の面に当接させる。これにより、本発明の一態様によれば、1台の圧着治具によって、スペーサ付きガラス板の4隅部の面を同時にガラス窓に押圧できる。
【0026】
本発明の一態様は、前記シール材は、ブチルゴムであることが好ましい。
【0027】
本発明の一態様によれば、押圧部材の押圧力を徐々に高めてシール材をガラス窓に圧着する圧着方法なので、瞬間的な大きな押し付け力に反発する性質のブチルゴムであってもガラス窓に良好に圧着される。
【発明の効果】
【0028】
本発明の複層ガラス窓の圧着装置及び圧着方法によれば、スペーサ付きガラス板の隅部に位置するシール材をガラス窓に確実に圧着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態の圧着装置が装着された複層ガラス窓の斜視図
図2】実施形態の圧着装置と複層ガラス窓とを示した斜視図
図3】実施形態のスペーサ付きガラス板の斜視図
図4】スペーサ付きガラス板の製造工程を示した要部拡大側面図
図5】ガラス窓にスペーサ付きガラス板を組み付ける直前状態を示した斜視図
図6図4の側断面図
図7】複層ガラス窓の上部の要部拡大縦断面図
図8】隣接するスペーサ同士の隅部を接続するコーナーキーを示した斜視図
図9図1の縦断面図
図10】減圧装置のノズルがコーナーキーの貫通孔に嵌入された斜視図
図11】圧着治具の構成を示した側面図及び平面図
図12】圧着治具の要部側面図及び要部平面図
図13】ガラス板に対する圧着治具の圧着形態を示した説明図
図14】他の実施形態の圧着治具がスペーサ付きガラス板に装着された斜視図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面に従って本発明に係る複層ガラス窓の圧着装置及び圧着方法の好ましい実施の形態を詳説する。
【0031】
図1は、実施形態の圧着装置100が装着された複層ガラス窓10を建物の室内側から見た斜視図、図2は、圧着装置100と複層ガラス窓10とを示した斜視図である。
【0032】
図3は、スペーサ付きガラス板12の全体斜視図であり、後述する減圧装置102が接続された斜視図である。図4は、スペーサ付きガラス板12の製造過程を(A)〜(D)の順に示した要部拡大側面図である。図5は、建物の框14に嵌め込まれて固定された既存のガラス窓16に、スペーサ付きガラス板12を取り付ける直前状態を示した斜視図である。図6は、図5の側断面図である。図7は、複層ガラス窓10の上部の要部拡大縦断面図である。
【0033】
〔複層ガラス窓10の構成〕
図3のスペーサ付きガラス板12は、図5のガラス窓16の室内側面に、現場にて取り付けられることにより、ガラス窓16と共に複層ガラス窓10を構成するガラス板である。複層ガラス窓10の組立方法については後述する。なお、スペーサ付きガラス板12は、ガラス窓16の室外側面に取り付けてもよいが、施工性及び耐久性を考慮すれば、室内側面に取り付けられることが好ましい。
【0034】
スペーサ付きガラス板12は、図3及び図4(D)の如く、矩形状のガラス板18、非透湿性のブチルゴム20、スペーサ22、及び非透湿性のブチルゴム(シール材)24、から構成される。また、ガラス板18は、図5図6に示した矩形状のガラス窓16のうち露出したガラス板よりも小サイズのものである。
【0035】
スペーサ付きガラス板12の製造方法は、図4(A)、(B)に示すように、まずガラス板18の一方の面18Aの周辺部よりも内側に、枠状のスペーサ22の一方の側面22Aを、ブチルゴム20によって接着する。次に、図4(C)に示すようにスペーサ22の他方の側面22Bにブチルゴム24を接着する。なお、図4(D)に示すようにブチルゴム24に離型紙テープ26を接着してもよい。離型紙テープ26は、スペーサ付きガラス板12をガラス窓16に接着する直前に、図5の如くブチルゴム24から取り外される。これにより、ブチルゴム24は、スペーサ付きガラス板12をガラス窓16に接着する直前まで、その接着力が保持される。
【0036】
上記製造過程を経ることによって、図3に示したスペーサ付きガラス板12が工場にて製造される。なお、離型紙テープ26としては、PET製のフィルムを例示できる。また、スペーサ22としては意匠性の観点から黒色のものが好ましい。
【0037】
一方、図4の如く、ガラス板18の一方の面18Aのうち、スペーサ22によって囲まれた面には、複層ガラス窓10の断熱性及び遮熱性の向上のために、Low−E(Low-Emissivity)膜28が形成される。Low−E膜28としては、第1の酸化物膜、Ag膜、第2の酸化物膜がこの順に積層されたものの他、熱線遮蔽膜自身が酸化物や窒化物であるタイプのものも適用できる。なお、Low−E膜28を保護するために、離型紙テープ26の代わりにLow−E膜28の全体を覆い保護する矩形状の保護シートをブチルゴム24に接着してもよい。また、Low−E膜28は、スパッタリング法によってガラス板18の一方の面18Aの全面に形成されるが、ブチルゴム20が接着されるガラス板18の一方の面18Aの外周部に形成された部分がトリミングされて除去される。
【0038】
スペーサ22は、アルミニウム製の中空材によって構成され、その内部空間に粒状のシリカゲル(乾燥剤)30が封入されている。また、ガラス板18の4辺に沿って配置された4本のスペーサ22の対向する面には吸湿窓32が開口されている。更に、吸湿窓32が接着テープ34によって封止されている。この接着テープ34は、施工現場にてスペーサ付きガラス板12をガラス窓16に接着する直前にスペーサ22から取り外される。これにより、シリカゲル30は、スペーサ付きガラス板12がガラス窓16に接着されるまで、大気に晒されることなく新鮮な状態に保持される。
【0039】
なお、図4(A)では、ブチルゴム20をガラス板18の一方の面18Aに塗布しているが、スペーサ22の一方の側面22Aにブチルゴム20を塗布してスペーサ22をガラス板18の一方の面18Aに接着してもよい。更に、スペーサ22の両方の側面22A、22Bにブチルゴム20、24を予め塗布しておいてもよい。また、実施形態では、ガラス板18として単板構成の普通板ガラスを例示するが、合わせガラス、強化ガラス(風冷強化ガラス、化学強化ガラスを含む)、倍強度ガラス、網入りガラス、熱線吸収ガラス、又は熱線反射ガラス等のガラス板であってもよい。更に、ガラス板18の取り扱い中にガラス板18を破損させないために、ガラス板18の隅部に面取り加工(例えばC面取り等)を施し、かつ小口面18Bのエッジも面取り加工しておくことが好ましい。
【0040】
図8は、直交方向に隣接する2本のスペーサ22の端部同士を接続するコーナーキー(スペーサ接続部材)36を示した斜視図である。
【0041】
スペーサ22は、各々の隅部においてL字形状のコーナーキー36によって接続される。コーナーキー36は、本体ブロック36Aと、本体ブロック36Aから直角方向に延設された一対の嵌合部36B、36Bとを有し、嵌合部36B、36Bの鋸歯部を隣接する2本のスペーサ22、22の内部空間に嵌入することにより、隣接する2本のスペーサ22、22の端部同士がコーナーキー36を介して直交方向に接続される。
【0042】
また、本体ブロック36Aには、本体ブロック36Aの外側端面36Dから内側端面36Eに貫通して貫通孔36Cが備えられる。貫通孔36Cは、図5に示したガラス窓16にスペーサ付きガラス板12のブチルゴム24を圧着させるための空気抜き用孔として利用される。
【0043】
図8の貫通孔36Cは、ガラス窓16にスペーサ付きガラス板12のブチルゴム24が密着された後、キャップ38が嵌入されて閉塞される。キャップ38は、円錐形状の本体部38Aとツマミ部38Bとから構成され、ツマミ部38Bを作業者が摘んで本体部38Aを貫通孔36Cに嵌入する。
【0044】
なお、空気層15(図9参照)の非透湿性を高める観点から、キャップ38の本体部38Aを非透湿性のある樹脂製とし、かつ本体部38Aの周部にブチルゴム40を塗布しておくことが好ましい。また、本体部38Aを貫通孔36Cに嵌入した後、後述する二次シール材を複層ガラス窓10の周部に打設する前に、ツマミ部38Bを本体部38Aから切断しておくことが好ましい。更に、貫通孔36Cは、スペーサ22の隅部に配置された4個のコーナーキー36の全てに備える必要はなく、1個又は2個のコーナーキー36のみにあればよい。
【0045】
図5に示すように、ガラス窓16の上辺は上側の横框14Aにシーラント材44によって接着されている。また、ガラス窓16の下辺の小口面は図6の如くセッティングブロック46を介して下側の横框14Bに載置され、ガラス窓16の下辺が横框14Bにシーラント材44によって接着されている。ガラス窓16の左右の縦辺も同様に框14の縦框にシーラント材44によって接着されている。
【0046】
また、図7の如くスペーサ付きガラス板12の4辺近傍であって、ガラス窓16とスペーサ22とスペーサ付きガラス板12とによって囲まれた領域に二次シール材52が充填される。二次シール材52としては、ガラスに対する接着性が高いシリコーン系シーラント、又はポリサルファイド系シーラントが使用される。また、二次シール材52は染料によって黒色に着色されている。更に、二次シール材52は、スペーサ付きガラス板12の4辺の外側に位置するガラス窓16の枠状の面17であって、スペーサ付きガラス板12側に向いた面17にも塗布されている。このように二次シール材52を充填することによって、複層ガラス窓10が構成される。なお、構成された複層ガラス窓10において、スペーサ付きガラス板12は、図1図2等に示すセッティングブロック54を介して下側の横框14Bに載置される。セッティングブロック54は間隔をあけて2個配置されている。
【0047】
〔複層ガラス窓10の組立方法〕
複層ガラス窓10の基本的な組立方法は、スペーサ付きガラス板12を工場から、図5に示した施工現場へ搬入する。次に、離型紙テープ26をブチルゴム24から取り外し、ブチルゴム24を介してスペーサ付きガラス板12をガラス窓16に接着する。次に、圧着装置100の減圧装置102及び圧着治具104を使用してスペーサ付きガラス板12のブチルゴム24をガラス窓16に密着させる。次に、二次シール材52を溝50等に充填及び塗布する。これにより、実施形態の複層ガラス窓10を組み立てることができる。
《実施形態の圧着装置100の構成》
圧着装置100は、図1図2の如く減圧装置102と圧着治具104とから構成される。また、図9は、図1の縦断面図である。
【0048】
〔減圧装置102の構成〕
減圧装置102は図1図2の如く、吸引ポンプ106を備え、この吸引ポンプ106に基端部が接続されたチューブ108に開閉弁110、逆止弁112が取り付けられる。また、チューブ108の先端にはノズル114が設けられ、このノズル114がコーナーキー36の貫通孔36Cに嵌入される。
【0049】
図10は、ノズル114がコーナーキー36の貫通孔36Cに嵌入された斜視図である。
【0050】
したがって、減圧装置102によれば、吸引ポンプ106を駆動し、開閉弁110を開放することにより、吸引ポンプ106の吸引力によってガラス窓16とスペーサ付きガラス板12との間の空気層15(図9参照)の空気を吸引する。これによって、空気層15が減圧されるので、スペーサ付きガラス板12のガラス板18がガラス窓16に向けて徐々に弾性変形される。なお、実施形態では、貫通孔36Cをコーナーキー36に備えせたが、これに限定されるものではなく、スペーサ22又はスペーサ同士を接続するストレートキー(不図示)に備えさせてもよい。
【0051】
〔圧着治具104の構成〕
図11(A)は圧着治具104の側面図、図11(B)は圧着治具104の平面図である。
【0052】
圧着治具104は、スペーサ付きガラス板12の隅部の面(図1参照)に押圧当接される一対の押圧部材116、スペーサ付きガラス板12のガラス板18を吸着する吸着部材118、及び一対の押圧部材116と吸着部材118とを連結する連結部材120から構成される。
【0053】
連結部材120は、剛性の高い鉄製であり、棒状で中空状に構成された本体122と、長尺状の一対の長さ調整部材124とを備える。一対の長さ調整部材124は、本体122の両端開口部から本体122内に挿入されて、本体122の軸方向に出し入れ自在(移動自在)に取り付けられる。この長さ調整部材124の端部に押圧部材116が取り付けられ、本体122の中央部に吸着部材118が取り付けられる。
【0054】
また、長さ調整部材124は、本体122に螺入された複数の蝶ねじ126によって本体122に固定される。すなわち、図12(A)に示した圧着治具104の要部側面図、及び図12(B)に示した圧着治具104の要部平面図の如く、本体122に対して長さ調整部材124を出し入れすることにより、連結部材120の長手方向の長さを調整でき、蝶ねじ126を締め込むことによって、連結部材120の長さをその長さに保持できる。
【0055】
吸着部材118は図11の如く、自己吸着性を備えた一対の吸盤128と、一対の吸盤128を固定する吸盤固定治具130とを備え、吸盤固定治具130が不図示の固定部材を介して本体122の中央部に固定される。
【0056】
押圧部材116は、その表面にゴム製又は樹脂製のパッド132が取り付けられた円盤状のヘッド金具134を備える。ヘッド金具134の裏面の中央部には、ねじが刻設されたシャフト136の先端部が、ボールジョイント138を介して連結される。したがって、ヘッド金具134とシャフト136とは、相対的に首振り自在に連結される。
【0057】
シャフト136は、長さ調整部材124の端部に固定されたナット140に螺合されるとともに、その基端部に六角ナット142及び蝶ナット144が螺合されている。シャフト136をナット140に対して回転させることにより、ヘッド金具134の位置を調整でき、ナット140に六角ナット142を蝶ナット144によって締結することにより、ヘッド金具134の位置を固定できる。なお、ヘッド金具134の位置とは、本体122の長手方向に直交する方向における位置である。これにより、吸盤128に対するヘッド金具134の前記位置を調整できる。
【0058】
〔圧着装置100を利用したブチルゴム24の基本的な圧着方法〕
まず、スペーサ付きガラス板12をガラス窓16に、スペーサ22を介してブチルゴム24により接着する。次に、圧着治具104のヘッド金具134のパッド132をスペーサ付きガラス板12の隅部の面に当接させ、かつ吸盤128をスペーサ付きガラス板12に吸着させる(治具装着工程:図1参照)。
【0059】
次に、減圧装置102によって空気層15を減圧していくと、スペーサ付きガラス板12の弾性変形時に生じる力が吸着部材118から連結部材120を介して押圧部材116に伝達し、押圧部材116のヘッド金具134がスペーサ付きガラス板12の隅部の面をガラス窓16に向けて押圧する。この動作によって、ブチルゴム24がガラス窓16に圧着される(減圧圧着工程:図1参照)。
【0060】
このように減圧装置102と圧着治具104とを組み合わせることによって、スペーサ付きガラス板12の隅部のブチルゴム24が、すなわち、ガラス窓16に密着し難い部分のブチルゴム24がガラス窓16に確実に密着する。
【0061】
また、減圧装置102では、図10の如くスペーサ22のコーナーキー36に備えられた貫通孔36Cを介して空気層15の空気を吸引している。これに対して、減圧装置102による吸引用の貫通孔をスペーサ付きガラス板12のガラス板18に備えれば、その貫通孔がガラス板18の強度を低下させる欠点になる場合がある。実施形態では、吸引用の貫通孔36Cをコーナーキー36に備えたので、貫通孔に起因する欠点はガラス板18に発生しない。貫通孔36Cは、ブチルゴム24がガラス窓16に密着された後、貫通孔36Cからノズル114を取り外し、貫通孔36Cをキャップ38によって閉塞する。なお、貫通孔は、スペーサ22に備えてもよい。
【0062】
〔圧着方法の好適な形態〕
圧着方法の好適な形態は、図1図13(A)に示すように、スペーサ付きガラス板12の縦辺近傍の面であって、縦辺の長さ方向における中央部の面を吸盤128によって吸着する形態である。
【0063】
すなわち、吸盤128を前記面に吸着させ、ヘッド金具134をスペーサ付きガラス板12の上隅部及び下隅部に当接させる。これにより、前記面の弾性変形時に生じる力が、吸着部材118から連結部材120を介して押圧部材116に伝達し、ヘッド金具134がスペーサ付きガラス板12の上隅部及び下隅部の面をガラス窓16に向けて押圧する。この場合、2台の圧着治具104を使用し、2台の圧着治具104をスペーサ付きガラス板12の左右の縦辺に沿って配置すれば、スペーサ付きガラス板12の4隅部の面をガラス窓16に同時に押圧できる。また、図13(B)に示すように、2台の圧着治具104をスペーサ付きガラス板12の上下の横辺に沿って配置しても、スペーサ付きガラス板12の4隅部の面をガラス窓16に同時に押圧できる。また、圧着治具104をスペーサ付きガラス板12の対角線に沿って配置してもよい。この場合には、一方の対角に位置する2隅部を先に押圧して、その2隅部に位置するブチルゴム24をガラス窓16に圧着した後、他方の対角に位置する2隅部を押圧することになり、2段階の圧着作業が必要となる。
【0064】
実施形態の圧着治具104は、本体122に対して一対の長さ調整部材124を出し入れすることによって、連結部材120を軸方向に伸縮できる。よって、スペーサ付きガラス板12の縦辺又は横辺に対応した長さに連結部材120の長さを調整できる。
【0065】
また、圧着治具104によれば、本体122の中央部に吸着部材118を取り付け、一対の長さ調整部材124の端部に押圧部材116を取り付けている。これにより、空気層15の減圧時に発生する力の反力が、つまり、スペーサ付きガラス板12が弾性変形しようとする力の反力(スペーサ付きガラス板12の弾性変形を阻止する抗力)が、吸着部材118から連結部材120を介して一対の押圧部材116に伝達し、一対の押圧部材116がスペーサ付きガラス板12の2隅部の面をガラス窓に向けて同時に押圧する。
【0066】
よって、押圧のための駆動源を圧着治具104に備えることなく、前記反力を駆動源として利用できる。
【0067】
《他の実施形態の圧着治具150の構成》
〔圧着治具150の構成〕
図14は、他の実施形態の圧着治具150がスペーサ付きガラス板12に装着された斜視図である。圧着治具150を説明するに当たり、圧着治具104と同一又は類似の部材については同一の符号を付して説明する。
【0068】
圧着治具150は、図13(C)に示すように、吸盤128をスペーサ付きガラス板12の全面の中央部の面に吸着させて、4個のヘッド金具134によってスペーサ付きガラス板12の4隅部をガラス窓16に向けて同時に押圧可能な形態である。つまり、スペーサ付きガラス板12に対する吸盤128の取り付ける位置は、空気層15の減圧時に、スペーサ付きガラス板12の弾性変形量が大きい中央部の面が好ましく、ヘッド金具134の取り付け位置は、スペーサ付きガラス板12の弾性変形量が小さい隅部が好ましい。なお、圧着治具150の基本的な構造は圧着治具104と同一である。相違点は、圧着治具150の連結部材152は、2本の本体154、156を備え、各々が相対的に回動自在に連結されている点である。
【0069】
すなわち、連結部材152は図14の如く、第1の本体154と第2の本体156とから構成される。第1の本体154と第2の本体156とは、各々の中央部に連結された軸158を介して互いに回動自在に連結される。第1の本体154及び第2の本体156の各々の両端開口部には、一対の長さ調整部材160、162が出し入れ自在に挿入されている。一対の長さ調整部材160、162の端部に押圧部材116が取り付けられ、第1の本体154の中央部に吸着部材118が取り付けられている。
【0070】
次に、上記の如く構成された圧着治具150の使用方法について説明する。
【0071】
まず、第1の本体154に取り付けられた一対の吸着部材118の吸盤128を、スペーサ付きガラス板12のガラス板18の全面における中央部に吸着させる。次に、第1の本体154と第2の本体156とを軸158を中心に回動させて、第1の本体154と第2の本体156とをスペーサ付きガラス板12の対角線に沿った角度に交差させる。次に、第1の本体154及び第2の本体156に各々取り付けられた一対の長さ調整部材160、162の出し入れ位置を調整し、各々の一対の長さ調整部材160、162に取り付けられた、計4個のヘッド金具134をスペーサ付きガラス板12の4隅部の面に当接させる。これにより、圧着治具150によれば、1台の圧着治具150によって、スペーサ付きガラス板12の4隅部の面を同時にガラス窓16に押圧できる。
【0072】
以上、実施形態の圧着装置を説明したが、圧着装置によってガラス窓16に圧着されるシール材はブチルゴム24に限定されるものではない。しかしながら、瞬間的な大きな押し付け力に反発する性質のブチルゴム24は、押圧部材116の押圧力を徐々に高めながらガラス窓16に圧着するシール材として好適である。
【0073】
〔産業上の利用可能性〕
以上、本発明の実施形態を図面により詳述してきたが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変更等が可能である。例えば、複層ガラス窓の中空層の空気をアルゴンやクリプトン等の断熱ガスで置換してもよい。
【符号の説明】
【0074】
10…複層ガラス窓、12…スペーサ付きガラス板、14…框、14A、14B…横框、14C…縦框、15…空気層、16…ガラス窓、17…面、18…ガラス板、18A…一方の面、18B…小口面、19…ガラス板、20…ブチルゴム、22…スペーサ、24…ブチルゴム、26…離型紙テープ、28…Low−E膜、30…シリカゲル、32…吸湿窓、34…接着テープ、36…コーナーキー、36A…本体ブロック、36B…嵌合部、36C…貫通孔、36D…外側端面、36E…内側端面、38…キャップ、38A…本体部、38B…ツマミ部、40…ブチルゴム、42…溝、44…シーラント材、46…セッティングブロック、48…溝、50…溝、52…二次シール材、54…セッティングブロック、100…圧着装置、102…減圧装置、104…圧着治具、106…吸引ポンプ、108…チューブ、110…開閉弁、112…逆止弁、114…ノズル、116…押圧部材、118…吸着部材、120…連結部材、122…本体、124…長さ調整部材、126…蝶ねじ、128…吸盤、130…吸盤固定治具、132…パッド、134…ヘッド金具、136…シャフト、138…ボールジョイント、140…ナット、142…六角ナット、144…蝶ナット、150…圧着治具、152…連結部材、154…第1の本体、156…第2の本体、158…軸、160、162…長さ調整部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14