【課題を解決するための手段】
【0005】
製剤:速崩壊性製剤
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、崩壊を妨げる成分(マスキング剤、結合剤など)を造粒成分として粒中に内添し、該粒の表面を糖または糖アルコールでコーティングした後に、製剤化することで薬剤の崩壊性が改善され、かつ生物学的利用能が改善されることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、次の通りである。
[1]糖または糖アルコールを含有する被覆層により被覆された薬剤を含有する顆粒;および崩壊剤を含有する、速崩壊性製剤。
(以下、製剤[1]と略称する場合があり、下記の[2]から[18]および[37]から[69]についても同様である)
[2]薬剤を含有する顆粒がさらに結合剤を含有する、上記[1]に記載の速崩壊性製剤。
[3]薬剤を含有する顆粒がさらにマスキング剤を含有する、上記[1]に記載の速崩壊性製剤。
[4]薬剤を含有する顆粒がさらに可溶化剤を含有する、上記[1]に記載の速崩壊性製剤。
[4−1]崩壊時間が30秒以下である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の速崩壊性製剤。
[4−2]崩壊時間が30秒以下であり、かつ、絶対硬度が1.0N/mm
2以上である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の速崩壊性製剤。
【0007】
本発明の「速崩壊性製剤」は、口腔内粘膜から薬剤を吸収させるための製剤としても優れている。具体的には、以下の通りである。
[5]口腔内粘膜吸収用の製剤である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の製剤。本明細書で使用される、薬物送達の文脈における用語「口腔内粘膜の(oral−mucosal)」および「口腔内粘膜(oral−mucosa)」には、例えば、薬剤が体循環に入り、実質的に肝初回通過代謝を回避するような舌下またはバッカル経路による、口腔の粘膜内層への直接の薬剤の投与が含まれる。本明細書において使用される、薬物送達の文脈における用語「経口」には、口腔への薬剤の投与が含まれるが、口腔粘膜内層への直接の薬剤の投与は含まれない。(口腔内粘膜経路とは異なり)経口経路により送達される薬剤は、消化管での吸収後に体循環に入る。
[6]薬剤が(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(一般名ラメルテオン;以下化合物Aと略称する場合がある)である、上記[5]に記載の製剤。
[7]錠剤である、上記[5]または[6]に記載の製剤。
[8]薬剤を含有する顆粒を製造する工程、
得られた顆粒上に、糖または糖アルコールを含有する被覆層を形成する工程、
当該被覆された顆粒を、崩壊剤と混合した後、成形する工程を含む、
速崩壊性製剤の製造方法。
【0008】
製剤:化合物Aの口腔内粘膜吸収用の製剤
上記製剤[6]に加えて、本発明者らは、化合物Aについて口腔内粘膜からの吸収に優れ、その生物学的利用能が向上した製剤を鋭意検討した。
[9]薬剤として(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドを含有し;
血中移行後の該薬剤の未変化体と代謝物の比率(即ち、薬剤の未変化体/代謝物)が、経口投与したときの比率より大きくなる、
口腔内粘膜吸収用の、
製剤。
(ここで、および以下で、「薬剤の代謝物」は、具体的には、M−IIとして知られている、(2S)−2−ヒドロキシ−N−{2−[(8S)−1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル]エチル}プロパンアミドを意味する。)
[10]薬剤として(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドを含有し;
血中移行後の該薬剤の未変化体と代謝物の比率が、経口投与したときの比率より大きくなり、
崩壊時間が30秒以下である、
口腔内粘膜吸収用の、
製剤。
[11]薬剤として(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドを含有し;
血中移行後の該薬剤の未変化体と代謝物の比率が、経口投与したときの比率より大きくなり、
崩壊時間が30秒以下であり、かつ、絶対硬度が1.0N/mm
2以上である、
口腔内粘膜吸収用の、
製剤。
[12](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドおよびマスキング剤を含有し;
経口投与に比較して、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの生物学的利用能が約10倍以上に改善されている、
口腔内粘膜吸収用の、
製剤。
[13](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドおよびマスキング剤を含有し;
経口投与に比較して、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの生物学的利用能が約10倍以上に改善されており、
崩壊時間が30秒以下である、
口腔内粘膜吸収用の、
製剤。
[14](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドおよびマスキング剤を含有し;
経口投与に比較して、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの生物学的利用能が約10倍以上に改善されており、
崩壊時間が30秒以下であり、かつ、絶対硬度が1.0N/mm
2以上である、
口腔内粘膜吸収用の、
製剤。
[15](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド、糖または糖アルコール、および崩壊剤を含有し;
経口投与に比較して、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの生物学的利用能が約10倍以上に改善されており、
崩壊時間が30秒以下である、
口腔内粘膜吸収用の、
製剤。
[16](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド、糖または糖アルコール、および崩壊剤を含有し;
経口投与に比較して、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの生物学的利用能が約10倍以上に改善されており、
崩壊時間が30秒以下であり、かつ、絶対硬度が1.0N/mm
2以上である、
口腔内粘膜吸収用の、
製剤。
[17]錠剤である、上記[9]〜[16]のいずれかに記載の製剤。
[18]フィルム、トローチ、溶液、懸濁液、凍結乾燥製剤、チューインガム、またはスプレー剤の形態である上記[9]または[12]に記載の製剤。
【0009】
化合物Aの使用の方法:双極性障害の予防および/または治療(1)
本発明はまた、それを必要とするヒトに口腔内粘膜投与することによる、双極性障害の予防および/または治療のための化合物Aの使用の方法に関する。
[19](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドをヒトに口腔内粘膜投与することを含む、双極性障害の予防および/または治療方法。
(以下、方法[19]と略称する場合があり、以下の[20]〜[23]、[28]、[34]および[70]〜[110]で同様である)。
[20]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与(より好ましくは舌下投与)である、上記[19]に記載の予防および/または治療方法。
[21]1日あたり0.05〜1.0mgの(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドが投与される、上記[19]に記載の予防および/または治療方法。
[22]双極性障害がI型双極性障害である、上記[19]に記載の予防および/または治療方法。
[23]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である上記[19]に記載の予防および/または治療方法。
[24](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドがヒトに対して口腔内粘膜投与されるための、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドを有効成分として含有する双極性障害の予防および/または治療薬。
(以下、薬剤[24]と略称する場合があり、以下の[25]〜[27]および[35]で同様である)。
[25]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与(より好ましくは舌下投与)である、上記[24]に記載の予防および/または治療薬。
[26]1日あたり0.05〜1.0mgの(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドが投与される、上記[24]に記載の予防および/または治療薬。
[27]双極性障害がI型双極性障害である、上記[24]に記載の予防および/または治療薬。
[28]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である上記[24]に記載の予防および/または治療薬。
[29]ヒトに対して口腔内粘膜投与されることによる、双極性障害の予防および/または治療のための(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド。
(以下、化合物[29]と略称する場合があり、以下の[30]〜[33]および[36]で同様である)。
[30]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与(より好ましくは舌下投与)である、上記[29]に記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド。
[31]1日あたり0.05〜1.0mgの(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドが投与される、上記[29]に記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド。
[32]双極性障害がI型双極性障害である、上記[29]に記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド。
[33]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である上記[29]に記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド。
[34](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドが、上記[5]〜[7]、または[9]〜[18]に記載の製剤として投与される上記[19]〜[23]に記載の予防および/または治療方法。
[35](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドが、上記[5]〜[7]、または[9]〜[18]に記載の製剤として投与される上記[24]〜[28]に記載の予防および/または治療薬。
[36](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドが、上記[5]〜[7]、または[9]〜[18]に記載の製剤として投与される上記[29]〜[33]に記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド。
【0010】
製剤:化合物Aの口腔内粘膜吸収用の製剤(2)
本発明の他の側面は、以下の「投与量および/またはPKプロファイルにより限定される製剤」に関する。
【0011】
[37](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を含有する口腔内粘膜吸収用の製剤であって;(1)化合物Aの投与量が1日あたり0.1mgであり、および(2)該製剤がヒト対象に対して、絶食状態において、約0.43〜約3.13ng/mlの範囲内の化合物AのCmaxおよび約0.48〜約2.26ng.hr/mlの範囲内の化合物AのAUC(0−tlqc)をもたらす、製剤。
[37−1](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を含有する口腔内粘膜吸収用の製剤であって;(1)化合物Aの投与量が1日あたり0.1mgであり、(2)該製剤がヒト対象に対して、絶食状態において、約0.43〜約3.13ng/mlの範囲内の化合物AのCmaxおよび約0.48〜約2.26ng.hr/mlの範囲内の化合物AのAUC(0−tlqc)をもたらし、および(3)ヒトに対する投与後の化合物Aの血漿中濃度の平均Tmax値が約0.4時間以下、好ましくは、約0.3時間以下、およびより好ましくは、約0.25時間以下である、製剤。
[38](1)化合物Aの投与量が1日あたり0.1mgであり、および(2)該製剤がヒト対象に対して、絶食状態において、約0.66〜約2.05ng/mlの範囲内の化合物AのCmaxおよび約0.67〜約1.62ng.hr/mlの範囲内の化合物AのAUC(0−tlqc)をもたらす、上記[37]に記載の製剤。
[38−1](1)化合物Aの投与量が1日あたり0.1mgであり、(2)該製剤がヒト対象に対して、絶食状態において、約0.66〜約2.05ng/mlの範囲内の化合物AのCmaxおよび約0.67〜約1.62ng.hr/mlの範囲内の化合物AのAUC(0−tlqc)をもたらし、および(3)ヒトに対する投与後の化合物Aの血漿中濃度の平均Tmax値が約0.4時間以下、好ましくは、約0.3時間以下、およびより好ましくは、約0.25時間以下である、上記[37−1]に記載の製剤。
[39](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を含有する口腔内粘膜吸収用の製剤であって;(1)化合物Aの投与量が1日あたり0.4mgであり、および(2)該製剤がヒト対象に対して、絶食状態において、約2.04〜約6.89ng/mlの範囲内の化合物AのCmaxおよび約1.52〜約6.68ng.hr/mlの範囲内の化合物AのAUC(0−tlqc)をもたらす、製剤。
[39−1](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を含有する口腔内粘膜吸収用の製剤であって;(1)化合物Aの投与量が1日あたり0.4mgであり、(2)該製剤がヒト対象に対して、絶食状態において、約2.04〜約6.89ng/mlの範囲内の化合物AのCmaxおよび約1.52〜約6.68ng.hr/mlの範囲内の化合物AのAUC(0−tlqc)をもたらし、および(3)ヒトに対する投与後の化合物Aの血漿中濃度の平均Tmax値が約0.4時間以下、好ましくは、約0.3時間以下、およびより好ましくは、約0.25時間以下である、製剤。
[40](1)化合物Aの投与量が1日あたり0.4mgであり、および(2)該製剤がヒト対象に対して、絶食状態において、約2.54〜約5.54ng/mlの範囲内の化合物AのCmaxおよび約1.98〜約5.12ng.hr/mlの範囲内の化合物AのAUC(0−tlqc)をもたらす、上記[39]に記載の製剤。
[40−1](1)化合物Aの投与量が1日あたり0.4mgであり、(2)該製剤がヒト対象に対して、絶食状態において、約2.54〜約5.54ng/mlの範囲内の化合物AのCmaxおよび約1.98〜約5.12ng.hr/mlの範囲内の化合物AのAUC(0−tlqc)をもたらし、および(3)ヒトに対する投与後の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの血漿中濃度の平均Tmax値が約0.4時間以下、好ましくは、約0.3時間以下、およびより好ましくは、約0.25時間以下である、上記[39−1]に記載の製剤。
[41](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を含有する口腔内粘膜吸収用の製剤であって;(1)化合物Aの投与量が1日あたり0.8mgであり、および(2)該製剤がヒト対象に対して、絶食状態において、約3.63〜約14.06ng/mlの範囲内の化合物AのCmaxおよび約2.48〜約14.43ng.hr/mlの範囲内の化合物AのAUC(0−tlqc)をもたらす、製剤。
[41−1](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を含有する口腔内粘膜吸収用の製剤であって;(1)化合物Aの投与量が1日あたり0.8mgであり、(2)該製剤がヒト対象に対して、絶食状態において、約3.63〜約14.06ng/mlの範囲内の化合物AのCmaxおよび約2.48〜約14.43ng.hr/mlの範囲内の化合物AのAUC(0−tlqc)をもたらし、および(3)ヒトに対する投与後の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの血漿中濃度の平均Tmax値が約0.4時間以下、好ましくは、約0.3時間以下、およびより好ましくは、約0.25時間以下である、製剤。
[42](1)化合物Aの投与量が1日あたり0.8mgであり、および(2)該製剤がヒト対象に対して、絶食状態において、約4.85〜約10.54ng/mlの範囲内の化合物AのCmaxおよび約3.60〜約9.91ng.hr/mlの範囲内の化合物AのAUC(0−tlqc)をもたらす、上記[41]に記載の製剤。
[42−1](1)化合物Aの投与量が1日あたり0.8mgであり、(2)該製剤がヒト対象に対して、絶食状態において、約4.85〜約10.54ng/mlの範囲内の化合物AのCmaxおよび約3.60〜約9.91ng.hr/mlの範囲内の化合物AのAUC(0−tlqc)をもたらし、および(3)ヒトに対する投与後の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの血漿中濃度の平均Tmax値が約0.4時間以下、好ましくは、約0.3時間以下、およびより好ましくは、約0.25時間以下である、上記[41−1]に記載の製剤。
【0012】
[43](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を含有し;(1)化合物Aの投与量が1日あたり0.05〜1.0mgであり;および(2)ヒトに対する投与後の化合物Aの未変化体に対する化合物Aの代謝物(M−II)のAUC比率が、約20以下である、口腔内粘膜吸収用の製剤。
[44](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を含有し;(1)化合物Aの投与量が1日あたり0.1〜0.8mgであり;および(2)ヒトに対する投与後の化合物Aの未変化体に対する化合物Aの代謝物(M−II)のAUC比率が、約20以下である、口腔内粘膜吸収用の製剤。
[45]AUC比率が約10以下である、上記[43]に記載の製剤。
[46]AUC比率が約10以下である、上記[44]に記載の製剤。
【0013】
[47](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドを含有し;ヒトに対する投与後の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの代謝物(M−II)に対する(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの未変化体のAUC比率が、経口投与したときの約5倍以上である、口腔内粘膜吸収用の製剤。
[48]AUC比率が経口投与したときの約10倍以上である、上記[47]に記載の製剤。
[49]AUC比率が約30倍以下、好ましくは、約20倍以下である、上記[47]または[48]のいずれかに記載の製剤。
【0014】
[50](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドを含有し;ヒトに対する投与後の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの未変化体に対する(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの代謝物(M−II)のAUC比率が約20以下である、口腔内粘膜吸収用の製剤。
[51]AUC比率が約10以下であり、より好ましくは、約5以下である、上記[50]に記載の製剤。
【0015】
[52](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドを含有し;(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの生物学的利用能が、経口投与したときの生物学的利用能の約10倍以上改善する、より詳細には、経口投与したときの生物学的利用能の約10倍以上から約30倍以下の範囲で改善する、口腔内粘膜吸収用の製剤。
【0016】
[53](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドを含有し、ヒトに対する投与後の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの血漿中濃度の平均Tmax値が約0.4時間以下、好ましくは、約0.3時間以下、およびより好ましくは、約0.25時間以下である、口腔内粘膜吸収用の製剤。
[54]ヒトに対する投与後の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの血漿中濃度の平均Tmax値が約0.4時間以下、好ましくは、約0.3時間以下、より好ましくは、約0.25時間以下である、上記[47]〜[52]のいずれかに記載の製剤
【0017】
[55](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドを含有し、ヒトに対する投与後の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドのCmaxおよびAUCを含む薬物動態パラメータの変動係数(CV)が約45%以下であり、好ましくは、約35%以下であり、およびより好ましくは、約30%以下である、口腔内粘膜吸収用の製剤。
[56]ヒトに対する投与後の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドのCmaxおよびAUCを含む薬物動態パラメータの変動係数(CV)が、約45%以下であり、好ましくは、約35%以下であり、およびより好ましくは、約30%以下である、上記[47]〜[54]のいずれかに記載の製剤。
【0018】
[57](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドを含有し;(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの投与量が1日あたり0.05〜1.0mgである、口腔内粘膜吸収用の製剤。
[58](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの投与量が1日あたり0.1〜0.8mgである、上記[57]に記載の製剤。
【0019】
[59]ヒトに対する投与後の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの代謝物(M−II)に対する(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの未変化体のAUC比率が、経口投与したときの約5倍以上である、上記[57]または[58]のいずれかに記載の製剤。
【0020】
[60]AUC比率が経口投与したときの約10倍以上である、上記[59]に記載の製剤。
[61]AUC比率が経口投与したときの約10倍以上である、上記[60]に記載の製剤。
[62]AUC比率が約30倍以下、好ましくは、約20倍以下である、上記[59]〜[61]のいずれかに記載の製剤。
【0021】
[63]ヒトに対する投与後の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの未変化体に対する(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの代謝物(M−II)のAUC比率が約20以下である、上記[57]または[58]に記載の製剤。
[64]AUC比率が約10以下である、上記[63]に記載の製剤。
[65]AUC比率が約5以上である、上記[63]または[64]のいずれかに記載の製剤。
【0022】
[66](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの生物学的利用能が、経口投与したときの生物学的利用能の約10倍以上改善する、より詳細には、経口投与したときの生物学的利用能の約10倍以上から約30倍以下の範囲で改善する、上記[57]または[58]に記載の製剤。
【0023】
[67]ヒトに対する投与後の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの血漿中濃度の平均Tmax値が約0.4時間以下、好ましくは、約0.3時間以下、およびより好ましくは、約0.25時間以下である、上記[57]〜[66]のいずれかに記載の製剤。
【0024】
[68]ヒトに対する投与後の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドのCmaxおよびAUCを含む薬物動態パラメータの変動係数(CV)が、約45%以下であり、好ましくは、約35%以下であり、およびより好ましくは、約30%以下である、上記[57]〜[67]のいずれかに記載の製剤。
[69]該製剤がさらに崩壊剤を含有する、上記[57]〜[68]のいずれかに記載の製剤。
【0025】
化合物Aの使用の方法:双極性障害の予防および/または治療(2)
本発明の他の側面は、以下の「投与量および/またはPKプロファイルにより限定される化合物Aの使用の方法」に関する。
【0026】
[70]双極性障害の予防および/または治療方法であって、1日あたり0.05〜1.0mgの(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドを、それを必要とするヒトの口腔内粘膜に投与することを含む、方法。
[71]1日あたり0.1〜0.8mgの(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドが投与される、上記[70]に記載の方法。
[72](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドが舌下投与経路またはバッカル投与経路により投与される、上記[70]または[71]のいずれかに記載の方法。
【0027】
[73]双極性障害の予防および/または治療方法であって、1日あたり0.1mgの(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を、それを必要とするヒトの口腔内粘膜に投与することを含み、絶食状態において、化合物AのCmaxが約0.43〜約3.13ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が約0.48〜約2.26ng.hr/mlの範囲内である、方法。
[73−1]双極性障害の予防および/または治療方法であって、1日あたり0.1mgの(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を、それを必要とするヒトの口腔内粘膜に投与することを含み、絶食状態において、化合物AのCmaxが約0.43〜約3.13ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が約0.48〜約2.26ng.hr/mlの範囲内であり;およびヒトに対する投与後の化合物Aの血漿中濃度の平均Tmax値が約0.4時間以下、好ましくは、約0.3時間以下、およびより好ましくは、約0.25時間以下である、方法。
[74]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与である、上記[73]または[73−1]のいずれかに記載の方法。
[75]双極性障害がI型双極性障害である、上記[73]または[73−1]のいずれかに記載の方法。
[76]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[73]または[73−1]のいずれかに記載の方法。
[77]絶食状態において、化合物AのCmaxが約0.66〜約2.05ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が約0.67〜約1.62ng.hr/mlの範囲内である、上記[73]または[73−1]のいずれかに記載の方法。
[78]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与である、上記[77]に記載の方法。
[79]双極性障害がI型双極性障害である、上記[77]に記載の方法。
[80]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[77]に記載の方法。
[81]双極性障害の予防および/または治療方法であって、1日あたり0.4mgの(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を、それを必要とするヒトの口腔内粘膜に投与することを含み、絶食状態において、化合物AのCmaxが約2.04〜約6.89ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が約1.52〜約6.68ng.hr/mlの範囲内である、方法。
[81−1]双極性障害の予防および/または治療方法であって、1日あたり0.4mgの(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を、それを必要とするヒトの口腔内粘膜に投与することを含み、絶食状態において、化合物AのCmaxが約2.04〜約6.89ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が約1.52〜約6.68ng.hr/mlの範囲内であり;およびヒトに対する投与後の化合物Aの血漿中濃度の平均Tmax値が約0.4時間以下、好ましくは、約0.3時間以下、およびより好ましくは、約0.25時間以下である、方法。
[82]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与である、上記[81]または[81−1]のいずれかに記載の方法。
[83]双極性障害がI型双極性障害である、上記[82]に記載の方法。
[84]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[82]に記載の方法。
[85]絶食状態において、化合物AのCmaxが約2.54〜約5.54ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が約1.98〜約5.12ng.hr/mlの範囲内である、上記[81]または[81−1]のいずれかに記載の方法。
[86]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与である、上記[85]に記載の方法。
[87]双極性障害がI型双極性障害である、上記[85]に記載の方法。
[88]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[85]に記載の方法。
[89]双極性障害の予防および/または治療方法であって、1日あたり0.8mgの(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を、それを必要とするヒトの口腔内粘膜に投与することを含み、絶食状態において、化合物AのCmaxが約3.63〜約14.06ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が約2.48〜約14.43ng.hr/mlの範囲内である、方法。
[89−1]双極性障害の予防および/または治療方法であって、1日あたり0.8mgの(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を、それを必要とするヒトの口腔内粘膜に投与することを含み、絶食状態において、化合物AのCmaxが約3.63〜約14.06ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が約2.48〜約14.43ng.hr/mlの範囲内であり;およびヒトに対する投与後の化合物Aの血漿中濃度の平均Tmax値が約0.4時間以下、好ましくは、約0.3時間以下、およびより好ましくは、約0.25時間以下である、方法。
[90]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与である、上記[89]または[89−1]のいずれかに記載の方法。
[91]双極性障害がI型双極性障害である、上記[90]に記載の方法。
[92]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[90]に記載の方法。
[93]絶食状態において、化合物AのCmaxが約4.85〜約10.54ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が3.60〜約9.91ng.hr/mlの範囲内である、上記[89]または[89−1]のいずれかに記載の方法。
[94]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与である、上記[93]に記載の方法。
[95]双極性障害がI型双極性障害である、上記[93]に記載の方法。
[96]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[93]に記載の方法。
【0028】
[97]双極性障害の予防および/または治療方法であって、1日あたり0.05〜1.0mgの(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を、それを必要とするヒトの口腔内粘膜に投与することを含み、投与後の化合物Aの未変化体に対する化合物Aの代謝物(M−II)のAUC比率が20以下である、方法。
[98]双極性障害の予防および/または治療方法であって、1日あたり0.1〜0.8mgの(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を、それを必要とするヒトの口腔内粘膜に投与することを含み、投与後の化合物Aの未変化体に対する化合物Aの代謝物(M−II)のAUC比率が20以下である、方法。
[99]AUC比率が10以下である、上記[97]に記載の方法。
[100]AUC比率が10以下である、上記[98]に記載の方法。
【0029】
[101]投与後の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの代謝物(M−II)に対する(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの未変化体のAUC比率が、経口投与したときの約5倍以上である、上記[70]〜[72]のいずれかに記載の方法。
[102]AUC比率が、経口投与したときの約10倍以上である、上記[101]のいずれかに記載の方法。
【0030】
[103]AUC比率が約30倍以下、好ましくは、約20倍以下である、上記[102]のいずれかに記載の方法。
[104]投与後の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの未変化体に対する(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの代謝物(M−II)のAUC比率が約20以下である、上記[70]〜[72]のいずれかに記載の方法。
[105]AUC比率が約10以下、より好ましくは、約5以下である、上記[104]に記載の方法。
【0031】
[106](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドが、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの生物学的利用能が、経口投与したときの生物学的利用能の約10倍以上改善するように、より詳細には、経口投与したときの生物学的利用能の約10倍以上から約30倍以下の範囲で改善するように投与される、上記[70]〜[72]のいずれかに記載の方法。
【0032】
[107](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドが、投与後の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの血漿中濃度の平均Tmax値が約0.4時間以下、好ましくは、約0.3時間以下、およびより好ましくは、約0.25時間以下となるように投与される、上記[70]〜[72]および[101]〜[106]のいずれかに記載の方法。
【0033】
[108](S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドが、投与後の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドのCmaxおよびAUCを含む薬物動態パラメータの変動係数(CV)が約45%以下、好ましくは、約35%以下、およびより好ましくは、約30%以下となるように投与される、上記[70]〜[72]および[101]〜[107]のいずれかに記載の方法。
【0034】
[109]双極性障害がI型双極性障害である、上記[70]〜[72]および[101]〜108]のいずれかに記載の方法。
[110]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[109]に記載の方法。
[111]双極性障害の予防および/または治療薬であって、それを必要とするヒトの口腔内粘膜に投与される1日あたり0.1mgの(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を含有し、絶食状態において、化合物AのCmaxが約0.43〜約3.13ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が約0.48〜約2.26ng.hr/mlの範囲内である、予防および/または治療薬。
[112]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与である、上記[111]に記載の予防および/または治療薬。
[113]双極性障害がI型双極性障害である、上記[111]および[112]のいずれかに記載の予防および/または治療薬。
[114]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[111]〜[113]のいずれかに記載の予防および/または治療薬。
[115]絶食状態において、化合物AのCmaxが約0.66〜約2.05ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が約0.67〜約1.62ng.hr/mlの範囲内である、上記[111]に記載の予防および/または治療薬。
[116]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与である、上記[115]に記載の予防および/または治療薬。
[117]双極性障害がI型双極性障害である、上記[115]および[116]のいずれかに記載の予防および/または治療薬。
[118]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[115]〜[117]のいずれかに記載の予防および/または治療薬。
[119]双極性障害の予防および/または治療薬であって、それを必要とするヒトの口腔内粘膜に投与される1日あたり0.4mgの(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を含有し、絶食状態において、化合物AのCmaxが約2.04〜約6.89ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が約1.52〜約6.68ng.hr/mlの範囲内である、予防および/または治療薬。
[120]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与である、上記[119]に記載の予防および/または治療薬。
[121]双極性障害がI型双極性障害である、上記[119]および[120]のいずれかに記載の予防および/または治療薬。
[122]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[119]〜[121]のいずれかに記載の予防および/または治療薬。
[123]絶食状態において、化合物AのCmaxが約2.54〜約5.54ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が約1.98〜約5.12ng.hr/mlの範囲内である、上記[119]に記載の予防および/または治療薬。
[124]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与である、上記[123]に記載の予防および/または治療薬。
[125]双極性障害がI型双極性障害である、上記[123]および[124]のいずれかに記載の予防および/または治療薬。
[126]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[123]〜[125]のいずれかに記載の予防および/または治療薬。
[127]双極性障害の予防および/または治療薬であって、それを必要とするヒトの口腔内粘膜に投与される1日あたり0.8mgの(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)を含有し、絶食状態において、化合物AのCmaxが約3.63〜約14.06ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が約2.48〜約14.43ng.hr/mlの範囲内である、予防および/または治療薬。
[128]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与である、上記[127]に記載の予防および/または治療薬。
[129]双極性障害がI型双極性障害である、上記[127]および[128]のいずれかに記載の予防および/または治療薬。
[130]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[127]〜[129]のいずれかに記載の予防および/または治療薬。
[131]絶食状態において、化合物AのCmaxが約4.85〜約10.54ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が3.60〜約9.91ng.hr/mlの範囲内である、上記[127]に記載の予防および/または治療薬。
[132]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与である、上記[131]に記載の予防および/または治療薬。
[133]双極性障害がI型双極性障害である、上記[131]および[132]のいずれかに記載の予防および/または治療薬。
[134]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[131]〜[133]のいずれかに記載の予防および/または治療薬。
[135]双極性障害の予防および/または治療用の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)であって、1)1日あたり0.1mgの化合物Aが、それを必要とするヒトの口腔内粘膜に投与され、および2)絶食状態において、化合物AのCmaxが約0.43〜約3.13ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が約0.48〜約2.26ng.hr/mlの範囲内である、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[136]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与である、上記[135]に記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[137]双極性障害がI型双極性障害である、上記[135]および[136]のいずれかに記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[138]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[135]〜[137]のいずれかに記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[139]絶食状態において、化合物AのCmaxが約0.66〜約2.05ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が約0.67〜約1.62ng.hr/mlの範囲内である、上記[135]に記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[140]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与である、上記[139]に記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[141]双極性障害がI型双極性障害である、上記[139]および[140]のいずれかに記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[142]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[139]〜[141]のいずれかに記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[143]双極性障害の予防および/または治療用の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)であって、1)1日あたり0.4mgの化合物Aが、それを必要とするヒトの口腔内粘膜に投与され、および2)絶食状態において、化合物AのCmaxが約2.04〜約6.89ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が約1.52〜約6.68ng.hr/mlの範囲内である、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[144]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与である、上記[143]に記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[145]双極性障害がI型双極性障害である、上記[143]および[144]のいずれかに記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[146]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[143]〜[145]のいずれかに記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[147]絶食状態において、化合物AのCmaxが約2.54〜約5.54ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が約1.98〜約5.12ng.hr/mlの範囲内である、上記[143]に記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[148]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与である、上記[147]に記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[149]双極性障害がI型双極性障害である、上記[147]および[148]のいずれかに記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[150]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[147]〜[149]のいずれかに記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[151]双極性障害の予防および/または治療用の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)であって、1)1日あたり0.8mgの化合物Aが、それを必要とするヒトの口腔内粘膜に投与され、および2)絶食状態において、化合物AのCmaxが約3.63〜約14.06ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が約2.48〜約14.43ng.hr/mlの範囲内である、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[152]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与である、上記[151]に記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[153]双極性障害がI型双極性障害である、上記[151]および[152]のいずれかに記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[154]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[151]〜[153]のいずれかに記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[155]絶食状態において、化合物AのCmaxが約4.85〜約10.54ng/mlの範囲内および化合物AのAUC(0−tlqc)が3.60〜約9.91ng.hr/mlの範囲内である、上記[151]に記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[156]口腔内粘膜投与が舌下投与またはバッカル投与である、上記[155]に記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[157]双極性障害がI型双極性障害である、上記[155]および[156]のいずれかに記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
[158]双極性障害の予防および/または治療が、双極性障害に伴ううつ症状の治療または双極性障害の緩解期の維持である、上記[155]〜[157]のいずれかに記載の(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)。
(発明の詳細な説明)