(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述した構成では、加熱炉の側周面に形成された貫通孔からダストを吸引するので、貫通孔の近傍と貫通孔の反対側とで吸引力に差が生じてしまい、例えば貫通孔の反対側に堆積しているダストを吸引しきれずに、その一部が残ってしまい、このダストにガスが付着すると測定誤差が生じるという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであって、加熱炉内で生じたダストを確実に排出し、精度良く分析することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る分析装置は、試料収容部内で試料を加熱し、それにより生じるガスを分析する分析装置において、鉛直方向に貫通して形成された貫通孔を有し、当該貫通孔に前記試料収容部内で生じるダストが導入されるダスト導入部と、前記貫通孔から排出されるダストを収容するダスト収容部と、一端が前記ダスト導入部に接続されて前記貫通孔に連通し、他端が前記ダスト収容部に接続されるダスト排出路とを具備し、前記ダスト排出路が、前記一端から前記他端に亘って、鉛直方向に沿って直線状に形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
このようなものであれば、貫通孔が鉛直方向に貫通して形成されているので、ダストは貫通孔から鉛直下向きに排出されることになり、この貫通孔が、鉛直上方から視て、試料収容部の中央部に形成されていれば、ダストを確実に排出することができる。
さらに、ダスト排出路が、一端から他端に亘って、鉛直方向に沿って直線状に形成されているので、貫通孔から排出されたダストをダスト排出路内に残留されることなく、排出することができる。
これにより、試料収容部内で生じるダストを確実に排出することができ、ダストにガスが付着することによる測定誤差を生じにくくして、精度良く分析することが可能になる。
【0009】
前記ダスト導入部、前記ダスト排出路及び前記ダスト収容部を一体に昇降させる昇降機構を具備しているものが好ましい。
これならば、ダスト排出路を変形させることなく、当該ダスト排出路を昇降させることができるので、ダスト排出路の曲がりを防ぎ、ダスト詰まりやダスト排出路の劣化を生じにくくすることができる。
【0010】
前記ダスト導入部を支持する支持部と、前記支持部に接続されるシャフト部材を有し、前記支持部を昇降移動させる駆動部とを備え、前記シャフト部材が、前記ダスト導入部から水平方向に所定距離離間して配置されているものが好ましい。
これならば、ダスト収容部をダスト導入部の下方に設けることができ、装置全体をコンパクト化することができる。また、ダスト収容部をダスト導入部の下方に設けることで、ダスト排出路を鉛直方向に沿って直線状に形成しやすい。
【0011】
前記貫通孔が、回転体形状をなしていることが好ましい。
これならば、ダストが貫通孔に詰まりにくくなり、貫通孔からダスト排出路へダストを確実に排出することができる。
【0012】
前記ダスト排出路に設けられ、前記ダスト排出路の開閉状態を切り替える開閉機構をさらに具備するものが好ましい。
これならば、鉛直方向に沿って直線状に形成されたダスト排出路に開閉機構が設けられているので、開閉機構がダスト排出路を閉状態にする際に、ダストを挟むことを防ぐことができ、確実にダスト排出路の開閉状態を切り替えることができる。
【0013】
ここで、ダスト導入部を試料収容部に取り付ける場合を考える。
この場合、例えばシリンダなどを用いて、上述した支持部を上昇させることにより、ダスト導入部を試料収容部に近づけて取り付ける構成が挙げられる。
ところが、この構成では、ダスト導入部が試料収容部に近づくと、シリンダが軸方向に伸びるので、この状態でダスト導入部と試料収容部との軸合わせをしようとすると、シリンダが揺れ動いてしまい、精度良く軸合わせを行うことが難しい。そのうえ、上述したように、シリンダをダスト導入部から所定距離離間して配置させると、軸合わせの際に、シリンダがダスト導入部や試料収容部と偏心した位置で揺れ動いてしまい、さらに困難性が増す。
【0014】
このことから、軸合わせが精度良く行われていない状態で、ダスト導入部を試料収容部に取り付けてしまう恐れがあり、そうすると、これらの間の気密性を確保できず、ガス漏れが生じることがある。
【0015】
その結果、試料から生じたガスが漏れてしまうと、測定精度が低下するという問題が生じる。
また、ガス漏れを検知すべく、例えばリークチェック機構などを設けると、装置全体が大掛かり且つ高価なものになってしまうという問題が生じる。
【0016】
さらに、上述したように、ダスト導入部と試料収容部との軸合わせの際に、シリンダが揺れ動いてしまうと、その揺れが例えばシリンダを構成するアクチュエータ等に伝わって、前記アクチュエータ等に負荷がかかり、装置の寿命を低下させてしまう。
【0017】
そこで、ダスト導入部を試料収容部に気密に取り付けるためには、前記駆動部が、前記シャフト部材が出入りする駆動部本体をさらに有しており、前記シャフト部材が前記駆動部本体に入っていくことにより、前記ダスト導入部が前記試料収容部に形成された下向きの開口を閉塞する方向に動き、前記シャフト部材が前記駆動部本体から出ていくことにより、前記開口を開放する方向に動くことが好ましい。
これならば、シャフト部材が駆動部本体に入っていくことにより、ダスト導入部が試料収容部に形成された下向きの開口を閉塞する方向に動いて、ダスト導入部と試料収容部とが近づくので、これらの軸合わせをする際に、シャフト部材はほとんど揺れ動かず安定しており、軸合わせを精度良く行うことができる。これにより、ダスト導入部を試料収容部に気密に取り付けることが可能となり、ダスト導入部と試料収容部との間からガス漏れが生じることを確実に防ぐことができる。
そのうえ、上述したように、ダスト導入部と試料収容部との軸合わせの際に、シャフト部材がほとんど揺れ動かず安定しているので、軸合わせにおいて駆動部本体にかかる負荷を可及的に低減することができ、装置の寿命が低下することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
このように構成した本発明によれば、試料収容部内で生じたダストを確実に排出することができ、ダストにガスが付着することによる測定誤差を生じにくくして、精度良く分析することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明に係る分析装置の一例である元素分析装置100の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態に係る元素分析装置100は、例えば、金属等の試料Xを加熱して燃焼させ、それによって生じたガスから当該試料Xに含まれる炭素(C)、硫黄(S)等の元素を分析するものである。
【0023】
具体的にこの元素分析装置100は、
図1及び
図2に示すように、試料Xが収容されたるつぼRが設置される試料収容部である加熱炉10と、試料Xを加熱する加熱機構20と、試料Xが加熱されて燃焼することにより生じるガスを分析する図示しないガス分析計と、試料Xの燃焼により生じたダストが導入されるダスト導入部30と、ダストを加熱炉10内から排出するダスト排出機構40とを具備するものである。
【0025】
加熱炉10は、内部で試料Xを燃焼させ、それにより生じるガスを図示しないガス分析計へ導くように構成されており、
図1及び
図2に示すように、概略筒状をなすとともに、鉛直下向きに形成された開口11を有するものである。
具体的にこの加熱炉10は、概略円管形状をなす炉本体12と、炉本体12の下方に設けられ、炉本体12内に連通するとともに鉛直方向に貫通して形成された連通孔13aを有するブロック体13とを具備している。
【0026】
より詳細には、加熱炉10の開口11は、本実施形態では、前記連通孔13aの下向き開口として形成された円形状をなすものであり、当該開口11の中心軸と炉本体12の管軸が一致するように形成されている。
【0027】
上述した加熱炉10内には、設置台14によりるつぼRが収容される。
【0028】
設置台14は、炉本体12内で炉本体12の管軸方向に沿って上下に移動可能に設けられており、本実施形態では、後述する昇降機構50により、るつぼR内の試料Xが加熱炉10内で加熱される加熱位置と、るつぼRが加熱炉10の外に位置して設置台14から着脱される着脱位置との間で昇降移動するように構成されている。
【0029】
るつぼRは、内部に試料Xを収容して前記設置台14に取り付けられるものであり、本実施形態では、例えば、電導性発熱体を有するセラミック等の磁性体からなるものである。
【0030】
加熱機構20は、るつぼR内に収容された試料Xに高周波誘導加熱によって誘導電流を生じさせる誘導電流生成機構であり、具体的には、コイル21と、このコイル21に高周波交流電圧を印加する図示しない電源とを具備するものである。本実施形態では、コイル21は、炉本体12の外周に沿って設けられており、このコイル21に高周波交流電圧が印加される際に、コイル21の内側にるつぼRが位置するように設置台14の高さが設定されている。そして、コイル21に高周波交流電圧が印加されると、るつぼRに含まれる電導性発熱体が高周波誘導加熱により発熱し、るつぼR内の試料Xが加熱される。
【0031】
図示しないガス分析計は、当該ガス分析計に導かれたガスを分析して試料Xに含まれる各成分の含有量を求めるものであり、本実施形態では、例えば、非分散型赤外線吸収法(NDIR法)を用いて分析するものである。具体的にこのガス分析計は、図示しない非分散方赤外線検出器を有しており、ガスに含まれるCO
2、CO、SO
2等を検出することで、試料Xに含まれる炭素(C)や硫黄(S)等の含有量を求めるものである。
【0032】
ダスト導入部30は、鉛直方向に貫通して形成された貫通孔3aを有するものであり、設置台14が加熱位置にある状態で、加熱炉10に形成された鉛直下向きの開口11を閉塞して設けられ、試料Xの燃焼により生じたダスト前記貫通孔3aに導入するものである。より詳細には、本実施形態のダスト導入部30は、当該ダスト導入部30の上部が、ブロック体13に形成された連通孔13aに、例えばシール部材を介して嵌り込んで配置されている。
【0033】
具体的にこのダスト導入部30は、
図1及び
図2に示すように、ブロック体形状をなし、その中心部に、当該ダスト導入部30を鉛直方向に貫通して、加熱炉10内に連通する貫通孔3aが形成されるとともに、ダストをこの貫通孔3aに導入して排出する導入面31が形成されている。
【0034】
貫通孔3aは、回転体形状をなすものであって、その回転軸が、加熱炉10の管軸、すなわち、開口11の中心軸に一致するように形成されている。より具体的にこの貫通孔3aは、ダスト導入部30の内周面に囲まれた空間であり、本実施形態では、鉛直下向きにいくにつれて径が小さくなる逆切頭円錐形状をなす第1内周面311と、第1内周面311に連続して形成され、鉛直下向きに直線状に延びた等断面円形状をなす第2内周面312とによって囲まれた空間として形成されている。
【0035】
導入面31は、貫通孔3aを中心として対称に形成されており、本実施形態では、加熱炉10の管軸を中心軸にした回転体形状をなす傾斜面であり、少なくとも一部が前記第1内周面311により形成されている。具体的にこの導入面31は、鉛直上方から視て、円環形状に形成されている。
上述の構成により、後述するダスト排出機構40が作動することで、加熱炉10から貫通孔3aに向かって略均一な流れを生じさせて、ダストを貫通孔3aから排出させることができる。つまり、ダストが発生するダスト発生部(るつぼR等)から貫通孔3aに向かうダストの流れが、鉛直方向に沿った断面において回転対称をなしている。
【0036】
このダスト導入部30には上述した設置台14が固定されており、本実施形態では、ダスト導入部30の内周面に設けられた連結部材60を介して、ダスト導入部30と設置台14とが連結されて一体に昇降移動するように構成されている。
【0037】
この連結部材60は、平板状をなし、厚み方向に貫通する複数の穴61が形成されたものである。この複数の穴61は、連結部材60の中心を基準に対称に位置するとともに、周方向に沿って各穴61間の距離が等しくなるように形成されており、加熱炉10内で生じたダストがこの穴61を通過して前記導入孔3aに導入されるように構成されている。
【0038】
上述のように構成されたダスト導入部30には、当該ダスト導入部30を鉛直方向に沿って昇降移動させる昇降機構50が設けられている。
【0039】
この昇降機構50は、ダスト導入部30を支持する支持部51と、この支持部51に接続されるシャフト部材521を有し、支持部51を鉛直方向に沿って昇降移動させる駆動部52とを具備するものである。
【0040】
支持部51は、シャフト部材521をダスト導入部30から水平方向に離間して配置できるように構成したものであり、水平方向に延伸した平板状をなす第1板部材511と、下端が第1平板部材511に連結して当該第1平板部材511から起立した連結板513と、連結板513の上端から前記第1板部材511とは反対に水平方向に延伸する第2板部材512とを有している。なお、本実施形態では、第1板部材511、第2板部材512及び連結板513が一体に成形されている。
【0041】
第1板部材511は、ダスト導入部30を支持するものであり、この第1板部材511に、例えば図示しない螺子等でダスト導入部30が固定されている。
【0042】
第2板部材512は、前記第1板部材511から鉛直方向上側に所定距離離間して位置しており、シャフト部材521に支持されている。
【0043】
駆動部52は、ダスト導入部30から水平方向にオフセットした位置で、前記支持部51を鉛直方向に沿って昇降移動させるものである。具体的にこの駆動部52は、第2板部材512を支持するシャフト部材521が上下に動くように構成されており、本実施形態ではシリンダを用いたものである。
【0044】
シャフト部材521は、鉛直下方から視て、少なくともダスト導入部30に重ならない距離を保って、ダスト導入部30から水平方向に離間して配置されており、本実施形態では、このシャフト部材521の中心軸が、ダスト導入部30の中心軸、貫通孔3aの回転軸及び加熱炉10の管軸それぞれに対して、水平方向に離間して配置されている。つまり、このシャフト部材521は、鉛直下方から視て、加熱炉10の開口11、ダスト導入部30、及び後述するダスト排出路41aに重ならない位置に配置されており、これにより、後述するダスト収容部43を前記開口11やダスト導入部30の鉛直下方に配置することができる。
【0045】
このように構成された昇降機構50は、駆動部52のシャフト部材521が支持部51を鉛直方向に沿って昇降移動させることにより、支持部51が支持するダスト導入部30を鉛直方向に沿って昇降移動させることができる。
【0046】
ここで、上述したように、ダスト導入部30は、連結部材60を介して設置台14と連結しているので、設置台14はダスト導入部30とともに昇降移動することになる。
【0047】
したがって、この昇降機構50は、シャフト部材521が上下に動くことにより、ダスト導入部30を昇降移動させるとともに、設置台14に設置されたるつぼRを加熱位置と着脱位置との間で昇降移動させるように構成されている。
【0048】
続いて、ダスト排出機構40について説明する。
【0049】
ダスト排出機構40は、加熱炉10内で生じたダストを当該加熱炉10から排出するものであり、貫通孔3aに連通するダスト排出路41aが形成されたダスト排出路形成部材41と、前記ダスト排出路形成部材41に設けられ、前記ダスト排出路41aの開閉状態を切り替える開閉機構42と、前記ダスト排出路41aの下流側に設けられてダスト排出路41aから排出されたダストを収容するダスト収容部43と、前記ダスト収容部43に接続されてダスト収容部43内の空気を吸引する吸引機構44とを具備するものである。
【0050】
ダスト排出路形成部材41は、ダストを鉛直下向きに排出するものであり、
図1に示すように、内部にダストが流れるダスト排出路41aが形成された、直管状をなすものである。より具体的にこのダスト排出路形成部材41は、樹脂等から形成された弾性を有するものであり、本実施形態では、フルランチューブ等のシリコンチューブである。
【0051】
このダスト排出路形成部材41は、その外径がダスト導入部30の第2内周面312の開口径と等しく、当該ダスト排出路形成部材41の一端部411が第2内周面312にガタなく嵌め込まれてダスト排出路41aと貫通孔3aとを連通するように構成されている。また、ダスト排出路形成部材41の他端部412は、後述するダスト収容部43に接続されている。
なお、本実施形態のダスト排出路形成部材41は、一端部411が第2内周面312に嵌め込まれた状態で、ダスト導入部30の昇降移動に伴って、ダスト導入部30と一体に昇降移動するように構成されている。
【0052】
ダスト排出路41aは、一端がダスト導入部30に接続されて貫通孔3aに連通するとともに、他端がダスト収容部43に接続されて、ダストを貫通孔3aからダスト収容部43へ導くものであり、本実施形態では、一端から他端に亘って鉛直方向に沿って直線状に形成されている。
【0053】
上述したダスト排出路形成部材41には、前記ダスト排出路41aを開状態又は閉状態に切り替える開閉機構42が設けられている。
なお、本実施形態の開閉機構42は、図示しない制御部により、分析時にダスト排出路41aを閉状態にし、ダスト排出時にダスト排出路41aを開状態にするように制御されるものである。
【0054】
この開閉機構42は、本実施形態では、ピンチバルブを使用しており、ダスト排出路形成部材41であるシリコンチューブを押し潰すことにより、ダスト排出路41aを開状態から閉状態に切り替えるように構成されている。なお、開閉機構42が、ダスト排出路41aを閉状態にしている場合、ダスト排出路41aの押し潰されている箇所には、ダストが堆積することになる。
【0055】
ダスト収容部43は、ダスト排出路41aの下流側に設けられており、本実施形態では、ダスト導入部30の貫通孔3aの鉛直下方に配置された例えば概略直方体形状をなすダストボックスである。
より詳細には、ダスト収容部43は、ダスト排出路形成部材41の他端部412と着脱可能に構成されており、ダスト排出路形成部材41の他端部412に取り付けられた状態で、ダスト排出路形成部材41及びダスト導入部30と一体に昇降移動するように構成されている。
なお、本実施形態では、ダスト収容部43を支持するとともに、ダスト収容部43とダスト導入部30とを一体に昇降移動させる図示しない支持機構が、支持部51に連結されている。この構成により、ダスト導入部30及びダスト収容部43を連結するダスト排出路形成部材41も一体に昇降移動することになる。
つまり、本実施形態では、ダスト導入部30、ダスト排出路形成部材41、開閉機構42及びダスト収容部43が、それぞれの相対的な位置関係を保ったまま、昇降移動するように構成されている。
【0056】
上述したダスト収容部43には、ダスト収容部43内の空気を吸引する吸引機構44が設けれており、この吸引機構44は、ダスト排出時において、開閉機構42がダスト排出路41aを開状態にした後、ダスト収容部43内から空気を吸引して加熱炉10内の内圧を下げるように構成されている。そして、吸引機構44が作動することにより、加熱炉10内で生じたダストは、貫通孔3aから鉛直下向きに排出されてダスト排出路41aを鉛直下向きに通過し、ダスト収容部43に導かれることになる。
なお、吸引機構44は、ダスト収容部43と一体に昇降移動するものであっても良いし、ダスト収容部43と一体に昇降移動せず、定位置に設置されたものであっても良い。
【0057】
このように構成された本実施形態に係る元素分析装置100によれば、ダスト導入部30が加熱炉10の管軸を回転軸にした回転体形状をなし、その中心部に形成された貫通孔3aからダストが鉛直下向きに排出されるので、加熱炉10内で生じたダストを確実に排出することができる。これにより、ダストにガスが付着することによる測定誤差を生じにくくして、精度良く分析することが可能になる。
【0058】
また、導入面31が、鉛直上方から視て、円環形状をなすとともに、加熱炉10の管軸を中心軸にした回転体形状をなす傾斜面であるので、ダストを導入面31に残留させることなく、確実に排出することができる。
【0059】
さらに、第2内周面312及びダスト排出路41aが鉛直方向に沿って直線状に形成されているので、ダスト排出時に貫通孔3aやダスト排出路41aの曲がり等によりダストが詰まることを防ぐことができ、より確実にダストを排出することができる。これにより、開閉機構42が、ダスト排出路形成部材41を押し潰して閉状態にする際に、ダストが挟まってしまうことを防ぐことができる。
【0060】
加えて、ダスト導入部30、ダスト排出路形成部材41、及びダスト収容部43が一体に昇降移動するように構成されているので、昇降移動に伴い各部材が伸縮することがなく、各部材の昇降移動に伴う劣化を防ぐことができる。また、ダスト排出路41aの曲がりによりダストが詰まることを防ぐこともできる。
【0061】
また、シャフト部材521の中心軸が、ダスト導入部30の中心軸、貫通孔3aの回転軸及び加熱炉10の管軸から水平方向にオフセットして配置されているので、ダスト収容部43をダスト導入部30の下方に設けることができ、ダスト排出路41aを鉛直方向に沿って直線状に形成しやすいうえ、元素分析装置100をコンパクト化することができる。
【0062】
さらに、支持部51が、第1板部材511と、第1板部材511からオフセットして配置された第2板部材512とを有しているので、装置全体の高さ寸法を大きくすることなく、駆動部52のシャフト部材521が上下に動く距離を長く設定することが可能である。
【0063】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0064】
例えば、前記実施形態では、吸引機構によりダストが排出されるように構成されていたが、例えば、加熱炉内を加圧することによってダストを鉛直下向きに圧送して排出するように構成しても良い。
【0065】
また、前記実施形態では、ダスト導入部が、1つの貫通孔を有しているが、複数の貫通孔を有しているように構成しても良い。この場合は、複数の前記貫通孔が、加熱炉の管軸に対して対称に配置されているものが好ましい。
【0066】
また、ブロック体に空気流通路を形成して、当該空気流通路からブロック体の連通孔に空気を送入するように構成しても良い。このように構成することで、連結部材に堆積したダストに空気を吹きかけて、当該連結部材に形成された穴から落とすことができる。これにより、加熱炉内で生じたダストをより確実にダスト導入部に導入させることができる。
さらに、この空気流通路から連結部材に堆積したダストを直接吸引して排出するようにしても良い。
【0067】
また、前記実施形態では、ダスト排出路形成部材が、直管状をなすものであったが、蛇腹状をなすものであっても良い。
【0068】
加えて、前記実施形態では、開閉機構にピンチバルブを用いていたが、開閉弁や電磁弁等を用いてダスト排出路の開状態と閉状態とを切り替えるように構成しても良い。
【0069】
また、前記実施形態では、ダスト排出時に、開閉機構がダスト排出路を開状態にした後、吸引機構が作動してダストを排出するようにしていたが、吸引機構を作動させた状態で開閉機構がダスト排出路を閉状態から開状態に切り替えてダストを排出するようにしても良い。
【0070】
また、前記実施形態では、コイルが炉本体の外周に沿って設けられていたが、コイルは、例えば、るつぼの底部や設置台の上面に設けられていても良い。
【0071】
ここで、前記実施形態では、シャフト部材が伸びることにより、ダスト導入部が加熱炉に近づいて取り付けられるように構成されていたが、例えば
図3〜
図5に示すように、駆動部52が、シャフト部材521が出入りする駆動部本体522をさらに有しており、シャフト部材521が駆動部本体522に入っていくことにより、ダスト導入部30が加熱炉10に近づいて取り付けられ、シャフト部材521が駆動部本体522から出ていくことにより、ダスト導入部30が加熱炉10から離脱するように構成されていても良い。
【0072】
具体的に前記駆動部は、例えばエアシリンダであり、シャフト部材521のうち駆動部本体522から伸び出ている部分の長さが、軸方向に沿って伸縮するように構成されている。
【0073】
より詳細な構成を
図3〜
図5に例示する。
【0074】
図3に示す分析装置100は、シャフト部材521が加熱炉10に固定されるとともに、駆動部本体522にダスト導入部30を支持する支持部51が固定されている。ここでは、前記シャフト部材521は、加熱炉10とシャフト部材521との間に介在する中間部材70を介して加熱炉10を構成するブロック体13に固定されており、前記駆動部本体522は、ダスト導入部30から水平方向にオフセットした位置で、前記支持部51に直接固定されている。なお、シャフト部材521が、ブロック体13に直接固定されていても良いし、駆動部本体522が、支持部51に間接的に固定されていても良い。
この構成により、シャフト部材521が駆動部本体522に入っていくと、駆動部本体522とともにダスト導入部53が上昇して加熱炉10に近づくので、ダスト導入部30と加熱炉10との軸合わせをする際に、シャフト部材521はほとんど揺れ動かずに安定しており、精度良く軸合わせを行うことができる。
また、加熱炉10の周囲には、例えば分析装置100を構成する種々の構成部材が配置されているところ、上述した構成によれば、駆動部本体522を加熱炉10の下方に設けることができ、加熱炉10の下方のデッドスペースを有効に利用することができる。
さらに、駆動部本体522を加熱炉10の下方に設けることにより、駆動部本体522やシャフト部材521を高周波交流電圧が印加されるコイル21から遠ざけることができ、駆動部本体522やシャフト部材521に対する前記コイル21からの熱影響などを低減することができる。
そのうえ、前記実施形態の分析装置100は、ブロック体13と駆動部52とを例えば共通の枠体に固定させた状態で、昇降機構50がダスト導入部30を昇降させるように構成されているが、上述した
図3に示す分析装置100によれば、ブロック体13を固定する枠体に、駆動部52を固定する必要はない。これにより、前記枠体のサイズを小さくすることができるうえ、例えばダスト導入部30と加熱炉10との軸合わせの際に、駆動部52の位置を調整しやすくなる。
【0075】
また、
図4に示す分析装置100は、シャフト部材521にダスト導入部30を支持する支持部51が固定されており、このシャフト部材521が、前記支持部51よりも上方に設けられた駆動部本体522に向かって縮むように構成されている。ここでは、前記シャフト部材521は、支持部51に直接固定されており、前記駆動部本体522は、加熱炉10と駆動部保内522との間に介在する図示しない中間部材を介して加熱炉10を構成するブロック体13に間接的に固定されている。なお、シャフト部材521が、支持部51に間接的に固定されていても良いし、駆動部本体522が、ブロック体13に直接固定されていても良い。
この構成により、シャフト部材521が駆動部本体522に入っていくと、ダスト導入部53が上昇して加熱炉10に近づくので、ダスト導入部30と加熱炉10との軸合わせをする際に、シャフト部材521はほとんど揺れ動かずに安定しており、精度良く軸合わせを行うことができる。
【0076】
さらに、
図5に示す分析装置100は、支持部51が下向きに屈曲した形状をなしており、ダスト収容部を支持する第1板部材511と、第1板部材511より下方に位置する第2板部材512とを有し、この第2板部材512にシャフト部材521が固定されている。ここでは、前記シャフト部材521は、第2板部材512に直接固定されており、前記駆動部本体522は、加熱炉10と駆動部本体522との間に介在する図示しない中間部材を介して加熱炉10を構成するブロック体13に間接的に固定されている。なお、シャフト部材521が、第2板部材512に間接的に固定されていても良いし、駆動部本体522が、ブロック体13に直接固定されていても良い。
この構成により、シャフト部材521が駆動部本体522に入っていくと、ダスト導入部53が上昇して加熱炉10に近づくので、ダスト導入部30と加熱炉10との軸合わせをする際に、シャフト部材521はほとんど揺れ動かずに安定しており、精度良く軸合わせを行うことができる。
また、第1板部材511より下方に位置する第2板部材512にシャフト部材521を固定しているので、
図4に示す分析装置100と比較して、装置全体を高さ方向に小型化することができる。
さらに、駆動部本体522やシャフト部材521を高周波交流電圧が印加されるコイル21から遠ざけることができ、駆動部本体522やシャフト部材521に対する前記コイル21からの熱影響などを低減することができる。
【0077】
加えて、
図5に示す分析装置100は、第2板部材512にシャフト部材521が固定されていたが、第2板部材512に駆動部本体522が固定されており、シャフト部材511が、加熱炉10とシャフト部材521との間に介在する中間部材を介して加熱炉10を構成するブロック体13に固定されていても良い。
これならば、
図5に示す分析装置100と同様の作用効果を得ることができるうえ、駆動部52は、ブロック体13を固定する枠体に固定されている必要がなく、前記枠体のサイズを小さくすることができ、また、例えばダスト導入部30と加熱炉10との軸合わせの際に、駆動部52の位置を調整しやすくなる。
【0078】
なお、本発明は、試料収容部内で試料を加熱し、それにより生じるガスを分析する分析装置において、鉛直方向に貫通して形成された貫通孔を有し、当該貫通孔に前記試料収容部内で生じるダストが導入されるダスト導入部と、前記ダスト導入部を支持する支持部と、前記支持部を昇降移動させる駆動部とを具備し、前記駆動部が、前記支持部に接続されるとともに、前記ダスト導入部から水平方向に所定距離離間して配置されたシャフト部材と、前記シャフト部材が出入りする駆動部本体とを有し、前記シャフト部材が前記駆動部本体に入っていくことにより、前記ダスト導入部が前記試料収容部に形成された下向きの開口を閉塞する方向に動き、前記シャフト部材が前記駆動部本体から出ていくことにより、前記ダスト導入部が前記開口を開放する方向に動くことを特徴とするものであっても構わない。
【0079】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。