(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6064232
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】半導体デバイスを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/329 20060101AFI20170116BHJP
H01L 29/872 20060101ALI20170116BHJP
H01L 29/47 20060101ALI20170116BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
H01L29/86 301P
H01L29/48 F
H01L29/86 301D
H01L29/86 301F
H01L21/28 A
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-546325(P2014-546325)
(86)(22)【出願日】2011年12月15日
(65)【公表番号】特表2015-500572(P2015-500572A)
(43)【公表日】2015年1月5日
(86)【国際出願番号】EP2011006350
(87)【国際公開番号】WO2012089315
(87)【国際公開日】20120705
【審査請求日】2014年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】598054968
【氏名又は名称】ソイテック
【氏名又は名称原語表記】Soitec
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】コノンチャク, オレグ
【審査官】
棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−332562(JP,A)
【文献】
特表2004−502298(JP,A)
【文献】
特開平10−120496(JP,A)
【文献】
特開2011−134815(JP,A)
【文献】
特表2013−535090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/329
H01L 21/28
H01L 29/47
H01L 29/872
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層(5)及び金属層(7)を備える半導体構造を製造するための方法であって、
a)欠陥及び/又は転位(11a、11b、11c)を含む半導体層(5)を準備するステップであって、前記半導体層(5)は、GaN、シリコン、ストレインド・シリコン、ゲルマニウム、SiGe、又はIII‐V材料、III/N材料、二元若しくは三元若しくは四元合金のいずれか1つから選択される、ステップと、
b)前記欠陥及び/又は転位(11a、11b、11c)の1つ以上の位置で前記欠陥及び/又は転位(11a、11b、11c)の一部が除去されるように材料を除去し、それによって、前記半導体層(5)内において前記半導体層(5)における前記欠陥及び/又は転位(11a、11b、11c)の頂部上に穴(13a、13b、13c)を形成するステップと、
c)前記穴(13a、13b、13c)を不動態化するステップであって、前記穴を誘電材料(15)で少なくとも部分的に充填するステップを含む、ステップと、
d)前記半導体層(5)の直上、及び、前記誘電材料(15)で充填された前記穴(13a、13b、13c)の直上に前記金属層(7)を設け、これにより半導体‐金属接合を形成するステップであって、前記金属層は、Al、Au、Pt、クロム、パラジウム、タングステン、モリブデン又はそれらと同じものからのシリサイド、多結晶若しくは非結晶材料、及びそれらの合金又は組み合わせのいずれか1つから選択される、ステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記材料を除去するステップb)は、前記欠陥及び/又は転位(11a、11b、11c)の1つ以上の位置で優先的に前記半導体層(5)の表面をエッチングするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記誘電材料(15)は、シリコン酸化物、シリコン窒化物及びそれらの混合物のいずれか1つから選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記誘電材料(15)は、ステップb)において形成された前記穴(13a、13b、13c)を完全に充填する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップc)の後かつステップd)の前に、前記半導体層(5)の表面を研磨するステップe)を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記金属層は、物理気相成長(PVD)、スパッタリング及び化学気相成長のいずれか1つによって設けられる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
半導体層(5)と、前記半導体層(5)の上に設けられた金属層(7)と、を備える半導体構造であって、
誘電材料(15)で少なくとも部分的に充填された穴(13a、13b、13c)が、前記半導体層(5)内において前記半導体層における転位及び/又は欠陥の頂部上に配置され、
前記半導体層(5)の直上、及び、前記誘電材料(15)で充填された前記穴(13a、13b、13c)の直上に前記金属層(7)が設けられ、これにより半導体‐金属接合を形成し、
前記半導体層(5)は、GaN、シリコン、ストレインド・シリコン、ゲルマニウム、SiGe、又はIII‐V材料、III/N材料、二元若しくは三元若しくは四元合金のいずれか1つから選択され、前記金属層は、Al、Au、Pt、クロム、パラジウム、タングステン、モリブデン又はそれらと同じものからのシリサイド、多結晶若しくは非結晶材料、及びそれらの合金又は組み合わせのいずれか1つから選択される、半導体構造。
【請求項8】
前記金属層(7)は前記半導体層(5)上に設けられ、前記穴は前記金属層(7)との界面まで延びる、請求項7に記載の半導体構造。
【請求項9】
前記誘電材料(15)は、シリコン酸化物、シリコン窒化物及びそれらの混合物のいずれか1つから選択される、請求項7又は8に記載の半導体構造。
【請求項10】
前記穴は、前記誘電材料(15)で完全に充填される、請求項7〜9のいずれか一項に記載の半導体構造。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか一項に記載の前記半導体構造、特に、ショットキーダイオードを使用するデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体構造を製造するための方法と、半導体層及び金属層を備える半導体構造と、に関するものである。特に、本発明は、特にパワー半導体デバイスに使用されるショットキー障壁について、漏れ電流を低減し、降伏電圧特性を改善し、半導体デバイスの性能を改善するための半導体構造を製造するための方法及び半導体構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
典型的には、ショットキーダイオードは、半導体層の上に設けられた金属層を備える。ショットキー障壁は、金属と半導体の接合部に形成される。ショットキーダイオード又はショットキー障壁ダイオードは、混合器若しくは検波用ダイオードのような無線周波数用途に広く使用される。ショットキーダイオードはまた、従来のp‐n接合ダイオードに比べるとそれの低い順電圧降下及び高速スイッチングのために、例えばスイッチ又は整流器などのパワー用途においても、使用される。更に、ショットキーダイオードは、それの低い逆電圧や高速回復特性に起因して、例えば放射線検出器、画像化デバイス、並びに有線及び無線通信製品などにおける商業上用途を見出している。しかしながら、ショットキーダイオードに関する1つの問題は、それらが、一般に、高い漏れ電流及び低い降伏電圧を呈することである。
【発明の概要】
【0003】
そこから出発すると、本発明の目的は、漏れ電流が低減され得、改善された降伏電圧特性が取得され得、改善されたデバイス性能が取得され得る、半導体デバイス構造を製造するための方法及び半導体デバイス構造を提供することある。
【0004】
発明の目的は、半導体層及び金属層を備える半導体構造を製造するための方法であって、a)欠陥及び/又は転位を含む半導体層を準備するステップと、b)欠陥及び/又は転位の1つ以上の位置で材料を除去し、それによって、半導体層内に穴を形成するステップと、c)穴を不動態化する(passivating)ステップと、d)半導体層の上に金属層を設けるステップと、を含む方法を用いて達成される。
【0005】
発明者らは、金属‐半導体界面で観測される漏れ電流及び降伏ダウン電圧が、金属層の品質に影響を及ぼすこと無く、半導体材料における転位及び/又は欠陥の範囲において材料を除去することによって、それぞれ、低減され得、増大され得ることを見出した。つまり、穴が不動態化されているので、金属層より下の材料であって、不動態化された穴の間の材料は、欠陥及び/又は転位が無いことになるか、或いは、その材料のバルクのものよりも少なくとも少ない欠陥及び/又は転位を有することになり、これは、改善された性能を有するデバイスを生み出す。
【0006】
本明細書において、用語「欠陥」は、材料における、任意の貫通転位、ループ転位、積層欠陥及び粒界などのことを言うために使用される。
【0007】
好適には、上記不動態化するステップは、穴を誘電材料で少なくとも部分的に充填することを含むことができる。穴を誘電材料で充填することによって、更なる漏れ電流が金属‐半導体界面で低減され得、それ故、パワーデバイスの性能の改善が実現され得る。つまり、穴が誘電材料で少なくとも部分的に充填されているので、金属層より下の材料であって、誘電材料の間の材料は、欠陥及び/又は転位が無いことになるか、或いは、その材料のバルクのものよりも少なくとも少ない欠陥及び/又は転位を有することになり、これは、改善された性能を有するデバイスを生み出す。
【0008】
好適には、材料を除去するステップは、1つ以上の穴が半導体層内に形成されるように、欠陥の1つ以上の位置で優先的に半導体層の表面をエッチングするステップを含むことができる。表面欠陥の位置に既に存在する穴は、同時に広げられ得る。穴は、好適には、穴が、半導体層の内部に存在している欠陥及び/又は転位を捕えるように、乱れた材料が表面から除去されるほど十分に大きい。そのようなエッチングは、欠陥の無い領域を除外して、欠陥及び/又は転位を有する領域を選択的に或いは優先的に除去することを可能にする。
【0009】
好適には、誘電材料は、シリコン酸化物、シリコン窒化物及びそれらの混合物のいずれか1つから選択され得る。そのような誘電材料は、デバイス応用について金属層と半導体層との間の界面における電気的特性を改善する。
【0010】
好適には、誘電材料は、材料が領域からステップb)において除去された当該領域を完全に充填することができる。エッチングされた領域を完全に充填することによって、本質的に欠陥の無い表面層が取得され得る。充填は、穴の表面開口を塞ぐように、また、穴の壁の任意の露出された部分を覆うようにではあるが、穴から離れた半導体層の表面の元のままの部分は露出されるように、誘電材料を層の表面上に堆積することによって、或いは、そうではない場合には、置くことによって、実行され得る。
【0011】
好適には、方法は、ステップc)の後に半導体層の表面を研磨するステップを含むことができる。そうすることによって、半導体層の表面上に堆積された余剰な材料が除去され得る。エッチングされた領域を誘電材料で充填した後、半導体デバイス構造の表面は、表面が本質的に欠陥及び/又は転位の無い表面であるように、研磨され得る。好適には、研磨ステップは、半導体層の保護被覆された表面を平滑にするための表面平滑化ステップを含むことができる。
【0012】
有利には、半導体層は、GaN、シリコン、ストレインド・シリコン、ゲルマニウム、SiGe、又はIII‐V材料、III/N材料、GaN、InGaN、AlGaN、AlGaInN等のような二元若しくは三元若しくは四元合金のいずれか1つから選択され得る。好適には、金属層は、Al、Au、Pt、クロム、パラジウム、タングステン、モリブデン又はそれらと同じものからのシリサイド、多結晶若しくは非結晶材料、及びそれらの合金又は組み合わせのいずれか1つから選択され得る。これらの金属は、ショットキー障壁に所望の電気的特性を与え、半導体層のために選択された材料との所望の付着力を有する。
【0013】
好適には、金属層は、金属層が、下にある半導体層との所望の付着特性を有するように、物理気相成長(PVD)、スパッタリング及び化学気相成長のいずれか1つによって設けられる。
【0014】
本発明の目的はまた、半導体層と、半導体層の上に設けられた金属層と、を備える半導体構造であって、誘電材料で少なくとも部分的に充填された穴が、半導体層内に存在している、半導体構造によって、達成される。つまり、穴は誘電材料を少なくとも部分的に充填されているので、金属層より下の材料であって、誘電材料の間の材料は、欠陥及び/又は転位を欠いていることになるか、或いは、その材料のバルクのものよりも少なくとも少ない欠陥及び/又は転位を有することになり、これは、改善された性能を有するデバイスを生み出す。
【0015】
有利には、金属層は半導体層上に設けられ、穴は金属層との界面まで延びる。
【0016】
そのような金属‐半導体界面を用いると、降伏電圧特性及び漏れ電流は、その後のデバイスにおいて、それぞれ、改善され得、低減され得る。
【0017】
好適には、誘電材料は、シリコン酸化物、シリコン窒化物及びそれらの混合物のいずれか1つから選択され得る。そのような誘電材料は、デバイス応用について金属層と半導体層との間の界面における電気的特性を改善する。
【0018】
好適には、誘電材料は、1つ以上の領域を完全に充填することができる。エッチングされた領域を完全に充填することによって、本質的に欠陥の無い表面層が取得される。
【0019】
好適な実施形態によれば、誘電材料で充填された穴は、半導体層における転位及び/又は欠陥の頂部上に配置され得る。従って、降伏電圧に与える欠陥及び/又は転位の悪影響が防止され得る。つまり、誘電材料で充填された穴は欠陥及び/又は転位の頂部上に配置されるので、金属層の下の材料であって、誘電材料の間の材料は、欠陥及び/又は転位が無いことになるか、或いは、その材料のバルクのものよりも少なくとも少ない欠陥及び/又は転位を有することになり、これは、改善された性能を有するデバイスを生み出す。
【0020】
本発明の目的はまた、上記したような半導体構造を使用するデバイスによっても達成される。
【0021】
本発明の特定の実施形態は、添付の図面を参照にして本記載からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1a〜
図1eは、半導体層及び金属層を備える半導体構造を準備するための方法の第1の実施形態を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1a〜
図1eは、本発明の第1の実施形態に係る半導体構造を製造するための方法を例示する。
【0024】
図1aは、出発半導体構造1の断面図を例示する。半導体構造1は、基板3と、基板3の上に設けられた半導体層5と、を備える。バッファ層などのような更なる層が、基板3と半導体層5との間に存在してもよい。
【0025】
この実施形態における基板3は、半導体層5のエピタキシャル成長のための出発材料として働き、例えば、SiC若しくはサファイア基板等である。半導体層5は、半導体材料、好適にはGaNでできているが、また、シリコン、ストレインド・シリコン、ゲルマニウム、SiGe又は例えばIII−V材料、III/N材料、GaN、InGaN、AlGaN、AlGaInN等のような二元若しくは三元若しくは四元合金などででき得る。半導体層5は、エピタキシャル成長工程によって、基板3の上に設けられ得、或いは、そうではない場合には、例えば、層転写及び同様のものによって、基板3の上に設けられ得る。層転写の場合には、半導体層5は、Smart Cut(登録商標)技術に従うイオン種の注入によってバルク基板から切り離され得、基板3に接着され得る。半導体層5はまた、転写の前に種基板上のエピタキシーによって成長されてもよい。
【0026】
ある変形によれば、基板3はまた、種層として使用されることになる転写されたGaN層を備えるサファイア基板に対応する、GaNOS基板のような、転写された層を備える基板とすることもできる。この種の基板は、所望の特性、例えば電気若しくは熱伝導率などに応じて、転写された層と基板との間の接着層として金属層又は隔離層を備えることができる。基板3はまた、テンプレート基板、例えば薄いGaN層がサファイア基板の上に成長されたサファイア基板とすることもできる。
【0027】
この実施形態では、半導体層5は、n型又はp型ドーパントでドープされる。半導体層5は、用途に応じて、低い又は高い投与量のドーパントでドープされ得る。
【0028】
図1aに例示されるような半導体層5は、複数の欠陥及び/又は転位11a〜11cを含む。半導体層5における欠陥及び/又は転位11a〜11cは、基板3若しくは種基板の材料に対する結晶格子不整合或いは異なる熱膨張係数に起因し得る。
【0029】
本発明のある実施形態では、欠陥及び/又は転位11b〜11dは、例えば、基板3の材料と半導体層5の材料との間の結晶並びに/或いは物理特性不整合に起因して、基板3と半導体層5との間の付近における領域3aで発生し得、欠陥11aは、ループ転位に起因して発生し得る。
【0030】
欠陥及び/又は転位11a〜11dは、半導体層5の表面まで半導体層5の厚さ方向に沿って続き得る並びに/或いは広がり得る。欠陥及び/又は転位11a〜11dは、典型的には、半導体層5の露出された表面13まで延びる。露出された表面13は、典型的には、GaNなどのIII‐N材料の場合、1×10
7cm
−2までの表面欠陥及び/又は転位密度を有する。Si又はGe材料の場合、あるいはSi
1-yGe
y合金、ここで、y>0.2の場合、欠陥密度は、1×10
6cm
−2よりも少ない。しかしながら、これらの値は、以下に説明されることになるように、層5の厚さに強く依存する。
【0031】
本発明は、実際には層の厚さと相関関係にある一定の転位密度よりも少ないことが興味対象である。実際、層の厚さに応じて、エッチングすることによって形成される穴のサイズは、多かれ少なかれ重要であり、穴の全体は半導体の総表面をカバーすることができ、その結果、半導体材料を再度見付けるために一定の高さまで材料を研磨する必要があることになる。
【0032】
典型的には、層が500nmの厚さを有するGaNであるとき、エッチング後の穴は、約1μmの直径を有する。この場合において、GaN層への不必要な研磨を防止するようにGaN材料を表面13で有するために、材料は、1e7/cm
2より少ない転位密度を呈するべきである。層が100nmの厚さを有する場合、穴は、200nmの寸法を有することになり、転位密度は、1e8/cm
2までになり得る。
【0033】
欠陥密度は、典型的には、原子間力顕微鏡法、光学顕微鏡法、走査電子顕微鏡法及び透過電子顕微鏡法を含む当技術分野において既知の方法によって測定される。本実施形態によれば、欠陥密度を測定するための好適な方法は、透過電子顕微鏡法(TEM)によるものである。
【0034】
そのような欠陥及び/又は転位11a〜11dは、例えば、降伏電圧、漏れ電流に関して半導体デバイス構造1の性能を妨害し、更に、露出された表面13の品質に悪影響を及ぼす。
【0035】
図1bは、半導体層5の露出された表面13から出発して材料を除去するステップを例示する。材料は、欠陥及び/又は転位11a〜11dの1つ以上の位置で除去される。材料は、例えばIII‐N及びシリコン材料の場合、例えば、HClなどを使用する選択的又は優先的エッチングによって、除去され得る。そのようなエッチングは、露出された表面13の上に複数のエッチングされた領域13a〜13dを生成する。
【0036】
本発明のある実施形態によれば、材料除去ステップは、欠陥及び/又は転位11a〜11dが露出された表面13の付近から除去されるまで少なくとも実行される。それ故、高電界領域は、本質的に欠陥及び/又は転位が無い。これは、ブレークスルー電圧特性及び漏れ電流特性が最適化されるので、半導体デバイスの性能の改善をもたらす。
【0037】
領域13a〜13dを形成するためにエッチングを受けて露出された表面13は、次いで、更なるデバイス製造ステップのために保護被覆されることになる。
図1cは、領域13a〜13dを誘電体層又は誘電材料15で充填するステップを例示する。ある変形によれば、充填は部分的であり得る。
【0038】
穴を充填するために、誘電体15は、領域13a〜13cが誘電材料15で少なくとも部分的に充填されるように、露出された表面13上に堆積される。誘電材料の充填は、穴の表面開口を塞ぐように、また、穴の壁の任意の露出された部分を覆うように半導体層5の露出された表面13上に誘電材料を、化学気相成長(CVD)、プラズマ促進化学気相成長(PECVD)、低圧化学気相成長(LPCVD)のいずれか1つを使用して堆積することによって、或いは、そうではない場合には、置くことによって、実行され得る。この実施形態では、誘電材料15は、用途に応じて、シリコン酸化物、シリコン窒化物及びそれらの混合物のいずれか1つから選択され得る。
【0039】
本発明のこの実施形態では、
図1cに例示されるように、誘電材料15は、領域13a〜13cを完全に充填する。その上、この実施形態における誘電材料15は、領域13a〜13dを完全に充填するだけではなくて、厚さDまで半導体層5の上にもまた設けられる。厚さDは、光学的な偏光解析法及び同様のものなどの任意の既知の技法によって判断され得る。本実施形態によれば、厚さDは、半導体層5の表面13の高さを少なくとも取り戻すために、少なくとも
図1cに示される穴の深さに実質的に等しい。
【0040】
図1dは、誘電材料15の表面17を研磨するステップを例示する。誘電材料15は、化学的機械研磨(CMP)などの任意の従来の技法を使用して研磨される。誘電材料15は、半導体層5の上の余剰な誘電材料が除去されるように、また、領域13a〜13dが残りの誘電材料15’によって充填されたままであるように、研磨される。半導体デバイス構造1の表面は、表面が、欠陥及び/又は転位11a〜11dの無い並びに余剰な誘電材料の無い領域を含むように、研磨される。
【0041】
余剰な誘電材料は、露出された表面13上に堆積された誘電材料の部分ではあるが、穴の表面開口を塞がない誘電材料の部分に関するものである。余剰な誘電材料は、研磨ステップの間に除去される。表面平滑化工程はまた、露出された表面13上でも実行され得る。研磨ステップ後で金属層7の堆積前の表面13の最終的な粗さは、例えば、5×5マイクロメートルのスキャン上で、GaNのようなIII‐N材料の場合には約数ナノメートルであり、Si、SiGe材料の場合には1nmよりも小さい。
【0042】
半導体構造1’は、
図1dに例示されるように、半導体層5を通って延びる領域13a〜13dからの欠陥及び/又は転位の除去に起因して、
図1aに例示された半導体構造1に比べると、より少ない欠陥及び/又は転位を有する。更に、半導体構造1’は、誘電材料15を用いる半導体層5の表面の不動態化に起因して改善された電気的品質を有する。
【0043】
図1eは、欠陥の無い半導体層5の上に金属層7を設け、それによって、半導体‐金属接合を形成するステップを例示する。保護被覆穴を有することで、半導体層と金属層との間の界面領域における漏れ電流が低減され得、特に、その界面の付近で、改善された降伏電圧特性が取得され得る。
【0044】
本発明によれば、半導体構造は、半導体層5及び金属層7が半導体‐金属接合を形成するショットキー障壁ダイオードを備える。それ故、このショットキーダイオードを用いて、漏れ電流は低減され得、それによって、改善された高電界特性を備えるデバイスを可能にする。
【0045】
好適には、金属層(7)は、Al、Au、Pt、クロム、パラジウム、タングステン、モリブデン又はそれらと同じものからのシリサイド、例えばSiPt
2、及びそれらの合金又は組み合わせ、並びに半導体材料に対する適切なショットキー障壁及び付着力を有する他の金属のいずれか1つから選択され得る。金属層はまた、多結晶又は非結晶材料とすることもできる。金属層は、例えば、物理気相成長(PVD)、スパッタリング、化学気相成長(CVD)及び同様のものによって、堆積され得る。
【0046】
好適には、基板3は、半導体層5から除去されるか切り離され、また、その基板3がその後の用途について適正な特性を呈さない場合、再生される。
【0047】
種々の実施形態の個々の特徴は、発明の実施形態の更なる変形に到達するように互いに独立して組み合わされ得る。
【0048】
本発明の実施形態は、金属層が設けられる前に半導体層の表面から欠陥及び/又は転位が除去されるときに、降伏電圧に関して改善された性能が観測され得るという利点をもたらす。更に、漏れ電流の低減は、金属層と半導体層との間の界面の付近で観測され得る。