特許第6064307号(P6064307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6064307常圧気相成長装置又は常圧気相成長装置の配管
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6064307
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】常圧気相成長装置又は常圧気相成長装置の配管
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20170116BHJP
   C30B 25/14 20060101ALI20170116BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   H01L21/205
   C30B25/14
   C23C16/52
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-19375(P2014-19375)
(22)【出願日】2014年2月4日
(65)【公開番号】特開2015-146409(P2015-146409A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2016年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(72)【発明者】
【氏名】八木 真一郎
【審査官】 河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/001688(WO,A1)
【文献】 特開平10−294283(JP,A)
【文献】 特開昭63−297296(JP,A)
【文献】 特開平11−030467(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0041011(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/52
C30B 25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁の全体又は一部が石英又はセラミックで構成される反応容器内の圧力を検出する圧力センサーと、該圧力センサーが前記反応容器内の圧力異常を検出すると前記反応容器内のガスの入口と出口を遮断するインターロック機能と、を備えた常圧気相成長装置であって、
前記ガスが前記出口に至る途中に、前記インターロック機能の作動時に前記反応容器から前記ガスが流出、又は前記反応容器に対して前記反応容器内の圧力を調整する調整ガスが流入可能となり、前記反応容器内の圧力を調整可能な圧力調整ラインを備え、
前記圧力調整ラインは複数の管路に分岐した後に合流する区間を有し、
前記管路は、前記ガスの流出方向を順方向として配置された第1の逆止弁、又は前記調整ガスの流入方向を順方向として配置された第2の逆止弁を備え、かつ、前記複数の管路全体では前記第1及び第2の逆止弁が配置されることを特徴とする常圧気相成長装置。
【請求項2】
前記複数の管路は、前記第1の逆止弁を有する主管路と前記第2の逆止弁を有し、前記第1の逆止弁を迂回するバイパス管路を備える請求項1に記載の常圧気相成長装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の逆止弁を境界とし、前記第1の逆止弁の順方向側と前記第2の逆止弁の逆方向側に位置する前記圧力調整ライン内の圧力を所定の圧力に調整する圧力調整手段を有し、
前記インターロック機能の作動時に前記反応容器内の圧力が前記所定の圧力より高い場合は、前記第1の逆止弁を経由して前記ガスが前記反応容器から流出し、前記インターロック機能の作動時に前記反応容器の圧力が前記所定の圧力より低い場合は、前記調整ガスが前記第2の逆止弁を経由して前記反応容器内に流入し、前記反応容器の圧力を調整する請求項1又は2に記載の常圧気相成長装置。
【請求項4】
内壁の全体又は一部が石英又はセラミックで構成される反応容器内の圧力を検出する圧力センサーと、該圧力センサーが前記反応容器内の圧力異常を検出すると前記反応容器内のガスの入口と出口を遮断するインターロック機能と、を備えた常圧気相成長装置の配管であって、
前記ガスが前記出口に至る途中に、前記インターロック機能の作動時に前記反応容器から前記ガスが流出、又は前記反応容器に対して前記反応容器内の圧力を調整する調整ガスが流入可能となり、前記反応容器内の圧力を調整可能な圧力調整ラインを備え、
前記圧力調整ラインは複数の管路に分岐した後に合流する区間を有し、
前記管路は、前記ガスの流出方向を順方向として配置された第1の逆止弁、又は前記調整ガスの流入方向を順方向として配置された第2の逆止弁を備え、前記区間内に前記第1及び第2の逆止弁が配置されることを特徴とする常圧気相成長装置の配管。
【請求項5】
前記複数の管路は、前記第1の逆止弁を有する主管路と前記第2の逆止弁を有し、前記第1の逆止弁を迂回するバイパス管路を備える請求項4に記載の常圧気相成長装置の配管。
【請求項6】
前記第1及び第2の逆止弁を境界とし、前記第1の逆止弁の順方向側と前記第2の逆止弁の逆方向側に位置する前記圧力調整ライン内の圧力を所定の圧力に調整する圧力調整手段を有し、
前記インターロック機能の作動時に前記反応容器内の圧力が前記所定の圧力より高い場合は、前記第1の逆止弁を経由して前記ガスが前記反応容器から流出し、前記インターロック機能の作動時に前記反応容器の圧力が前記所定の圧力より低い場合は、前記調整ガスが前記第2の逆止弁を経由して前記反応容器内に流入し、前記反応容器内の圧力を調整する請求項4又は5に記載の常圧気相成長装置の配管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常圧気相成長装置又は常圧気相成長装置の配管に関する。
【背景技術】
【0002】
常圧のCVD(Chemical Vapour Deposition)気相成長装置(常圧気相成長装置)の中でも、特にランプで加熱する装置では炉壁材料に石英を用いることが多い。しかし、石英は割れ易く、形状によっては反応容器(チャンバー)の圧力変化に耐え切れない。特に枚葉式の常圧気相成長装置では耐圧の低い石英製の反応容器が多く、この傾向は装置が大口径化すると顕著になる。
【0003】
そのため、このような装置では石英の破損を防ぐため、圧力センサーで反応容器内の圧力を監視し、その圧力を調整できる(特許文献1)一方で、反応容器内のオーバープレッシャー(圧力過剰)及びアンダーバキューム(圧力過少)に対するインターロック機能を備えることが一般的である。
【0004】
オーバープレッシャーのインターロック機能が作動すると、図2に示すように反応容器にガスを供給するバルブ及び反応容器からガスを排出するバルブが閉まり、反応容器内の圧力を開放する圧力開放ライン(オーバープレスライン)のバルブが開き、反応容器内のガスがオーバープレスラインから開放され、反応容器内の圧力が下がる仕組みになっている。また、オーバープレスラインの逆流は望ましくないため、オーバープレスラインにはある圧力以上になると順方向にガスが流れ、逆方向には流れない逆止弁を設けている。なお、図2では省略してあるが、反応容器内の圧力が過剰になる原因として排気ガスの詰まりなどの多くのケースが考えられるため、圧力センサーを2個設置するなどして、2重のフェールセーフが考えられている。
【0005】
一方、反応容器内の圧力が圧力過少になるケースは少ないため、専用の圧力調整ラインは有さず、圧力センサーから反応容器内の減圧を判断し、減圧時にはNバルブを開けて反応容器内の圧力を復帰させるソフトウェア上のシーケンスを用いて反応容器内の圧力を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−86392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、アンダーバキューム(圧力過少)のインターロック機能では、反応容器内の圧力を1つの圧力センサーで監視し、ソフトウェアでNバルブの開放を制御するため、圧力センサーやソフトウェアの不具合によりインターロック機能が作動しない問題があった。
【0008】
本発明の課題は、反応容器の圧力に異常が生じた際に反応容器内の圧力を正常の圧力に復帰させることができる信頼性の高いインターロック機能を安価に備えた常圧気相成長装置又は常圧気相成長装置の配管を提供する。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
本発明の常圧気相成長装置は、
内壁の全体又は一部が石英又はセラミックで構成される反応容器内の圧力を検出する圧力センサーと、該圧力センサーが反応容器内の圧力異常を検出すると反応容器内のガスの入口と出口を遮断するインターロック機能と、を備えた常圧気相成長装置であって、
ガスが出口に至る途中に、インターロック機能の作動時に反応容器からガスが流出、又は反応容器に対して反応容器内の圧力を調整する調整ガスが流入可能となり、反応容器内の圧力を調整可能な圧力調整ラインを備え、
圧力調整ラインは複数の管路に分岐した後に合流する区間を有し、
管路は、ガスの流出方向を順方向として配置された第1の逆止弁、又は調整ガスの流入方向を順方向として配置された第2の逆止弁を備え、かつ、複数の管路全体では第1及び第2の逆止弁が配置されることを特徴とする。
【0010】
本発明の常圧気相成長装置は、インターロック機能の作動時に反応容器の圧力を調整する圧力調整ラインに反応容器からガスを流出できる第1の逆止弁と反応容器に調整ガスを流入できる第2の逆止弁が備わる。よって、反応容器内の圧力が圧力過剰なら反応容器からガスを流出させ、圧力過少なら反応容器に調整ガスを流入させることで、反応容器内の過剰又は過少圧力を緩和させ、反応容器の割れを防止できる。また、反応容器内の圧力が圧力過少と検出されると、第2の逆止弁(機械的機構)により調整ガスが自動的に反応容器に流入するため、圧力センサーに基づきソフトウェアでNバルブを開放させる等のセンサーとソフトウェアの介在が不要となり、信頼性が高いインターロック機能を安価に構成できる。
【0011】
また、本発明の常圧気相成長装置の配管は、
内壁の全体又は一部が石英又はセラミックで構成される反応容器内の圧力を検出する圧力センサーと、該圧力センサーが反応容器内の圧力異常を検出すると反応容器内のガスの入口と出口を遮断するインターロック機能と、を備えた常圧気相成長装置の配管であって、
ガスが出口に至る途中に、インターロック機能の作動時に反応容器からガスが流出、又は反応容器に対して反応容器内の圧力を調整する調整ガスが流入可能となり、反応容器内の圧力を調整可能な圧力調整ラインを備え、
圧力調整ラインは複数の管路に分岐した後に合流する区間を有し、
管路は、ガスの流出方向を順方向として配置された第1の逆止弁、又は調整ガスの流入方向を順方向として配置された第2の逆止弁を備え、区間内に第1及び第2の逆止弁が配置されることを特徴とする。
【0012】
本発明は、常圧気相成長装置の配管として構成したものであり(前述の発明は常圧気相成長装置として構成)、前述の常圧気相成長装置の発明と同様に、信頼性が高いインターロック機能を安価に構成できる。
【0013】
そして、上記常圧気相成長装置、又は常圧気相成長装置の配管における複数の管路は、第1の逆止弁を有する主管路と、第2の逆止弁を有し、第1の逆止弁を迂回するバイパス管路を備えることができる。
【0014】
従来の常圧気相成長装置又はその配管には、逆止弁(本発明の第1の逆止弁に相当)を有するオーバープレスライン(図2参照)が備わるため、そのオーバープレスラインを主管路として、そのオーバープレスラインに備わる逆止弁(第1の逆止弁)を迂回するようにバイパス管路及び第2の逆止弁を追加することで、反応容器内の圧力が圧力過少になると作動するインターロック機能を従来の常圧気相成長装置又はその配管に安価に追加できる。
【0015】
本発明の実施態様では、第1及び第2の逆止弁を境界とし、第1の逆止弁の順方向側と第2の逆止弁の逆方向側に位置する圧力調整ライン内の圧力を所定の圧力に調整する圧力調整手段を有することで、インターロック機能の作動時に反応容器の圧力が所定の圧力より高い場合は、第1の逆止弁を経由してガスが反応容器から流出し、インターロック機能の作動時に反応容器の圧力が所定の圧力より低い場合は、調整ガスが第2の逆止弁を経由して反応容器内に流入し、反応容器内の圧力を調整できる。なお、調整ガスとしては窒素ガスが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の常圧気相成長装置又は常圧気相成長装置の配管の一例を示す模式配管図。
図2】従来の常圧気相成長装置又は常圧気相成長装置の配管の一例を示す模式配管図。
図3A】第1の逆止弁から気体が通過する状態を示す模式図。
図3B】第2の逆止弁から気体が通過する状態を示す模式図。
図4】第1の逆止弁の順方向側と第2の逆止弁の逆方向側の領域を示す模式図。
図5A】平常の操業時におけるバルブの開閉を示す図1に対応する模式配管図。
図5B】インターロック機能の作動時におけるバルブの開閉を示す図1に対応する模式配管図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明で使用される気相成長装置1の一例を示す模式配管図である。気相成長装置1は枚葉式の常圧専用の気相成長装置であり、安全な操業を確保するインターロック機能(制御手段)が備わる。気相成長装置1は、例えば、単結晶基板の主表面上に単結晶膜(エピタキシャル層)を気相成長させてエピタキシャルウェーハを製造する装置であり、操業中に異常を検出すると自動的に原材料等の供給を遮断して操業を制御する。
【0018】
気相成長装置1は内壁の全体又は一部が石英又はセラミックで構成される反応容器2(チャンバー)を備え、反応容器2の一端には反応容器2内に原料ガス、原料ガスを希釈するキャリアガス及びエピタキシャル層に導電型を付与するドーパントガスを含む気相成長ガスを反応容器2内に導入するとともに、反応容器2内の基板の主表面上に供給するガス導入管3が接続される。また、ガス導入管3の反対側に反応容器2内のガスをスクラバーに向けて排出するガス排出管4が接続される。
【0019】
ガス導入管3は、反応容器2内に導入するガスの供給を遮断可能であるとともに、反応容器2内のガスの入口となる導入バルブ3aを備える。
【0020】
一方、ガス排出管4は、反応容器2からスクラバーに繋がる主排出管4aと反応容器2からスクラバーに至る途中の分岐点P1で主排出管4aから分岐する圧力調整ライン4bを備える。
【0021】
主排出管4aは、反応容器2内のガスの排出を遮断可能であるとともに、反応容器2内のガスの出口となる排出バルブ5と、分岐点P1と排気バルブ5の間に反応容器2内の圧力を検出する圧力センサー6が備わる。
【0022】
圧力調整ライン4bは、複数の管路(本実施例では主管路7とバイパス管路8の2つ)に分岐点P2で分岐した後に合流点P3で合流する区間Zを有する。区間Zには反応容器2内から気体が流出する方向(流出方向)を順方向として主管路7に配置された第1の逆止弁9と、反応容器2内に気体が流入する方向(流入方向)を順方向としてバイパス管路8に配置された第2の逆止弁10が備わる。
【0023】
例えば、第1の逆止弁9は、図3Aに示すように主管路7を閉鎖可能な弁体9aと主管路7を閉鎖する位置に弁体9aを付勢するバネ9bを備え、第1の逆止弁9を挟んで主管路7の分岐点P2側(上流側)の圧力(上流側圧力)が合流点P3側(下流側)の圧力(下流側圧力)より大きくなると弁体9aが主管路7を開放する位置に移動し、気体の流通が可能となる。
【0024】
また、第2の逆止弁10は、図3Bに示すようにバイパス管路8を閉鎖可能な弁体10aとバイパス管路8を閉鎖する位置に弁体10aを付勢するバネ10bを備え、第2の逆止弁10を挟んでバイパス管路8の合流点P3側(上流側)の圧力(上流側圧力)が分岐点P2側(下流側)の圧力(下流側圧力)より大きくなると弁体10aがバイパス管路8を開放する位置に移動し、気体の流通が可能となる。
【0025】
図1に戻って、主管路7の分岐点P1とP2の間には、反応容器2内の気体を流出可能、又は反応容器2内に気体を流入可能な状態にして反応容器2内の圧力を調整できる圧力調整バルブ11が備わる。
【0026】
また、主管路7は、分岐点P1から分岐点P2を経て合流点P3と伸びた先に圧力調整ライン4bの内圧を調整する圧力調整手段(図示省略)を備える。圧力調整手段は、第1及び第2の逆止弁9、10を境界とし、第1の逆止弁9の順方向(気体が流通できる方向)側と第2の逆止弁10の逆方向(気体が流通できない方向)側の領域Z1(図4参照)における圧力調整ライン4b内の圧力を所定の圧力(例えば大気圧)に調整するとともに、領域Z1における圧力調整ライン4b内の気体を、例えば、窒素ガス(調整ガス)に置換する。
【0027】
以上の構成を有する気相成長装置1により操業がなされる場合、反応容器2内は大気圧程度の圧力に調整され、図5Aに示すように導入バルブ3a及び排出バルブ5が開いた状態でガス導入管3から気相成長ガスが導入され、ガス排出管4から反応容器2内のガスが排出される。一方、圧力調整バルブ11は閉じられており、反応容器2内のガスは圧力調整ライン4bの圧力調整バルブ11から先には流れない。
【0028】
気相成長装置1の操業中に、例えば、反応容器2内の圧力異常を検出し、気相成長装置1の運転条件が正常範囲内から逸脱すると、インターロック機能(制御手段)が働き、自動的に原材料等の供給を遮断して操業を制御する。
【0029】
例えば、ガス排出管4でのガス詰まりにより圧力センサー6が反応容器2内の圧力異常(圧力過剰:例えば大気圧+150torr以上の圧力)を検出すると、図5Bに示すように反応容器2内のガスの入口となる導入バルブ3a及び反応容器2内のガスの出口である排気バルブ5が閉じられるとともに圧力調整ライン4bの圧力調整バルブ11が開放される(図5A図5B)。
【0030】
すると、導入バルブ3a及び排気バルブ5が閉じられて行き場を失った反応容器2内のガスが、開放された圧力調整バルブ11を経由して第1及び第2の逆止弁9、10にまで至り、弁体9a、10aの一方側に圧力(大気圧+αの圧力)を加える。一方、弁体9a、10aの他方側は圧力調整手段により調整された圧力(大気圧)が加わる。そのため、図3Aに示すように第1の逆止弁9では分岐点P2側の圧力が合流点P3側の圧力より大きくなることで弁体9aが開弁し、反応容器2内から第1の逆止弁9を経て反応容器2内のガスが流出し、反応容器2内の圧力が下がる。そして、圧力調整手段により調整された圧力調整ライン4bの圧力と同程度に反応容器2内の圧力が復帰する。なお、第2の逆止弁10では分岐点P2側の圧力が合流点P3側の圧力より大きいため、反応容器2内のガス及び圧力調整ライン4b内の窒素ガスが通過できない。
【0031】
また、例えば、ガス排出管4でのガス漏れなどにより圧力センサー6が反応容器2内の圧力異常(圧力過少、例えば大気圧−150torr以下の圧力)を検出すると、図5Bに示すように反応容器2内のガスの入口となる導入バルブ3a及び反応容器2内のガスの出口である排気バルブ5が閉じられるとともに圧力調整ライン4bの圧力調整バルブ11が開放される(図5A図5B)。
【0032】
すると、導入バルブ3a及び排気バルブ5が閉じられて行き場を失った反応容器2内のガスが、開放された圧力調整バルブ11を経由して第1及び第2の逆止弁9、10にまで至り、弁体9a、10aの一方側に圧力(大気圧−αの圧力)を加える。一方、弁体9a、10aの他方側は圧力調整手段により調整された圧力(大気圧)が加わる。そのため、図3Bに示すように第2の逆止弁10では合流点P3側の圧力が分岐点P2側の圧力より大きくなることで弁体10aが開弁し、圧力調整ライン4b内の窒素ガスが第2の逆止弁10を経て反応容器2内に流入し、反応容器2内の圧力が上がる。そして、圧力調整手段により調整された圧力調整ライン4bの圧力と同程度に反応容器2内の圧力が復帰する。なお、第1の逆止弁9では合流点P3側の圧力が分岐点P2側の圧力より大きいため、反応容器2内のガス及び圧力調整ライン4b内の窒素ガスが通過できない。
【0033】
以上のように気相成長装置1は、インターロック機能の作動時に反応容器2の圧力を調整する圧力調整ライン4bに反応容器2からガスを流出できる第1の逆止弁9と反応容器2に窒素ガスを流入できる第2の逆止弁10が備わることで、反応容器2内の圧力が過剰圧力なら反応容器2内からガスが流出、過少圧力なら反応容器2内に窒素ガスが流入し、反応容器2内の過剰又は過少圧力を緩和させ、内壁の全体又は一部が石英又はセラミックで構成された反応容器2の割れを防止できる。
【0034】
図3Bに示すように反応容器2内の圧力が過少圧力ならば、第2の逆止弁10(機械的機構)により窒素ガスが自動的に反応容器2に流入するため、圧力センサーに基づきソフトウェアでNバルブを開放させる等のセンサーとソフトウェアの介在が不要となり、信頼性が高いインターロック機能を安価に構成できる。
【0035】
また、図1に示すようにガス排出管4は、第1の逆止弁9を有する主管路7と、第2の逆止弁10を有し、第1の逆止弁9を迂回するバイパス管路8を備える。よって、従来の常圧気相成長装置には、逆止弁(第1の逆止弁9に相当)を有するオーバープレスライン(図2参照)が備わるため、そのオーバープレスラインを主管路7として、そのオーバープレスラインに備わる逆止弁(第1の逆止弁9に相当)を迂回するようにバイパス管路8及び第2の逆止弁10を追加することで、反応容器2内の圧力が圧力過少になると作動するインターロック機能を従来の常圧気相成長装置に安価に追加できる。
【0036】
更に、第1及び第2の逆止弁9、10を境界とし、図4に示す領域Z1に位置する圧力調整ライン4b内の圧力を所定の圧力に調整する圧力調整手段を有することで、圧力調整ライン4bを反応容器2内の減圧、加圧の両方に兼用できる。つまり、インターロック機能の作動時に反応容器2内の圧力が所定の圧力より高いと、第1の逆止弁9が動作して反応容器2からガスを開放して反応容器2内の圧力を減圧できる。一方、反応容器2内の圧力が所定の圧力より低いと、第2の逆止弁10が作動して反応容器2内に窒素ガスが流入して反応容器2内の圧力を加圧できる。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0038】
なお、上記実施例ではディスク式の逆止弁を例示したが、スイング式やリフト式の逆止弁を用いてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 気相成長装置 2 反応容器
3 ガス導入管 3a 導入バルブ
4 ガス排出管 4a 主排出管
4b 圧力調整ライン 5 排出バルブ
6 圧力センサー 7 主管路
8 バイパス管路 9 第1の逆止弁
10 第2の逆止弁 11 圧力調整バルブ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B