(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者らは、上記した問題を解決するため鋭意検討及び研究を重ねた結果、EUV露光における真空中の露光中におけるレジスト膜からのアウトガスの発生を抑えるために酸によってアルカリに溶解する通常のベースポリマーに加えてHFA基等のCF
3−C(OR
2)−R
3基に結合するエステル基を有するスチレンに由来する繰り返し単位を有する高分子化合物をブレンドしたレジスト材料を用いることが有効であることを知見した。HFA基等のCF
3−C(OR
2)−R
3基に結合するエステル基を有するスチレンに由来する繰り返し単位を有するポリマーは、スピンコート後のレジスト膜表面に配向する。HFA基等のCF
3−C(OR
2)−R
3基に結合するエステル基を有するスチレンは剛直で高密度なためにフォトレジスト膜からのアウトガスの発生を遮断する効果がある。HFA基等のCF
3−C(OR
2)−R
3基に結合するエステル基を有するスチレンに由来する繰り返し単位を有するポリマーは、アルカリ現像液に可溶であるために、現像後のレジストパターン間のブリッジ欠陥を低減させる効果もある。
【0019】
即ち、本発明は、酸によってアルカリ溶解性が向上するベース樹脂となる高分子化合物と、高分子添加剤としてHFA基等のCF
3−C(OR
2)−R
3基に結合するエステル基を含有するスチレンに由来する繰り返し単位を有する高分子化合物、即ち下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する高分子化合物を含むことを特徴とするレジスト材料である。
【0020】
【化2】
(式中、R
1は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、R
2は水素原子、炭素数1〜15のアシル基又は酸不安定基、R
3は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基であり、0<p≦1.0である。)
【0021】
上記一般式(1)の繰り返し単位pを有する高分子化合物を添加したレジスト材料を用いて形成したフォトレジスト膜は、一般式(1)で示される、フォトレジスト膜表面にHFA基等のCF
3−C(OR
2)−R
3基に結合するエステル基を有するスチレンに由来する繰り返し単位を有する高分子型の界面活性剤を添加することが特徴である。HFA基等のCF
3−C(OR
2)−R
3基に結合するエステル基を有するスチレンに由来する繰り返し単位を有する高分子型の界面活性剤がフォトレジスト成膜後、フォトレジスト膜表面に配向し、レジスト膜からのアウトガスの発生を低減させ、現像後のパターン欠陥を低減させることができる。
【0022】
上記一般式(1)の繰り返し単位pを得るためのモノマーMpは、具体的には下記に例示することができる。
【化3】
(式中、R
1、R
2、R
3は前述の通りである。)
【0023】
このモノマーは、具体的には下記のスキーム1及び2のルートで合成することができるが、これに限定されるものではない。
【化4】
(上記式中、R
1、R
2、R
3は前述の通りである。R
f1は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。Xはハロゲン原子を示す。MはLi、Na、K又は置換もしくは非置換のアンモニウムを示す。)
【0024】
スキーム1は、スチレン誘導体(5)とカルボン酸塩化合物(6)との置換反応により、目的のMpで示されるモノマーへ導く合成法である。
【0025】
反応は、常法に従って行うことができる。カルボン酸塩化合物(6)の使用量は、原料であるスチレン誘導体(5)1モルに対し0.5〜10モル、特に1.0〜3モルとすることが好ましい。0.5モル未満の使用では原料が大量に残存するため収率が大幅に低下する場合があり、10モルを超える使用では使用原料費の増加、釜収率の低下などによりコスト面で不利となる場合がある。
【0026】
上記スキームで示される反応に用いられる溶媒としてはトルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、2−ブタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトニトリルなどのニトリル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒;水から選択して単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。反応には、触媒として、硫酸水素テトラブチルアンモニウムなどの相間移動触媒を添加してもよい。その場合の相間移動触媒の添加量は原料であるスチレン誘導体(5)1モルに対し0.0001〜1.0モル、特に0.001〜0.5モルとすることが好ましい。0.0001モル未満の使用では添加効果が得られない場合があり、1.0モルを超える使用では原料費の増加によりコスト面で不利となる場合がある。
【0027】
上記置換反応の反応温度は−70℃から使用する溶媒の沸点程度が好ましく、反応条件により適切な反応温度を選べるが、通常0℃から使用する溶媒の沸点程度が特に好ましい。反応温度が高くなると副反応が顕著になる場合があるため、現実的速度で反応が進行する範囲のなるべく低温で反応を行うことが高収率を達成するために重要である。上記反応の反応時間は収率向上のため薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどにより反応の進行を追跡して決定することが好ましいが、通常30分〜40時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)によりMpで示されるモノマーを得ることができ、必要があれば蒸留、再結晶、クロマトグラフィー等の常法に従って精製することができる。
【0028】
スキーム2は、スチレン誘導体(7)とエステル化合物(8)とのエステル交換反応により、目的のMpで示されるモノマーへ導く合成法である。
【0029】
反応は、無溶媒で行うことができるが、溶媒を補助的に使用することも可能である。この場合、溶媒として、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類等を例示でき、これらは、単独又は混合して用いることができる。触媒としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、マグネシウムエトキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド等の金属アルコキシド類、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機アミン類、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基類等が例示でき、これらは、単独又は混合して用いることができる。触媒の使用量は、エステル化合物(8)に対し、0.001〜5.0モル、特に0.001〜0.1モルの使用が好ましい。反応温度は、反応条件により異なるが、50〜200℃が好ましく、反応により生じるR
f1OHを留去しながら行うとよい。反応時間はガスクロマトグラフィー(GC)やシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常30分〜20時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)により目的のMpで示されるモノマーを得ることができ、必要があれば蒸留、再結晶、クロマトグラフィー等の常法に従って精製することができる。常法に従って行うことができる。
【0030】
一般式(1)中のR
2のうち、酸不安定基に関しては後述する。炭素数1〜15のアシル基として、具体的にはフォルミル、アセチル、エチルカルボニル、ピバロイル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル等を例示できる。
【0031】
上記繰り返し単位pを得るためのモノマーMpとしては、具体的には下記に例示することができる。
【化5】
(式中、R
2は前述の通りである。)
【0032】
高分子添加剤としての高分子化合物としては、上記繰り返し単位pと、繰り返し単位q1〜q4から選ばれる1以上の繰り返し単位を含有してなる下記一般式(2)で示される高分子化合物であることが好ましい。
【化6】
(式中、R
1〜R
3は前述と同様である。R
4は水素原子又はメチル基、X
1は単結合、−C(=O)−O−、又は−O−であり、X
2、X
3はフェニレン基又はナフチレン基、X
4はメチレン基、酸素原子又は硫黄原子である。R
5は炭素数6〜20のアリール基又はアラルキル基で、水酸基、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルコキシ基、エステル基(−OCOR又は−COOR:RはC
1-6のアルキル基)、ケトン基(−COR:RはC
1-6のアルキル基)、フッ素原子、トリフルオロメチル基、ニトロ基、アミノ基又はシアノ基を有していてもよい。R
6、R
7、R
8、R
9は同一又は異種の水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルコキシ基又はアシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(−OCOR又は−COOR:RはC
1-6のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又はカルボキシル基である。vは1又は2である。0<p<1.0、0≦q1<1.0、0≦q2<1.0、0≦q3<1.0、0≦q4<1.0、0<q1+q2+q3+q4<1.0である。)
【0033】
本発明の高分子添加剤は、繰り返し単位pで示されるアルカリ可溶性の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基(HFA基)等のCF
3−C(OR
2)−R
3基に結合するエステル基を有するスチレン単位を必須とするが、EUV光の露光中にフォトレジストから発生するアウトガスを遮断させる効果を高めるために、繰り返し単位q1で示される炭素数6〜20のアリール基、アラルキル基を有する繰り返し単位、繰り返し単位q2で示されるスチルベン類、スチリルナフタレン類、ジナフチルエチレン類の繰り返し単位、アセナフチレン類の繰り返し単位q3、インデン類、ベンゾフラン類、ベンゾチオフェン類の繰り返し単位のq4の1種又は2種以上を共重合することが好ましい。q1、q2、q3、q4繰り返し単位の中ではアセナフチレン類q3を共重合することが最もアウトガスの発生を抑えることができ、好ましく用いることができる。
【0034】
上記一般式(2)中の繰り返し単位pと共重合する繰り返し単位q1を得るための重合性モノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化7】
【0040】
繰り返し単位q2を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化13】
【0041】
繰り返し単位q3を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化14】
【0042】
繰り返し単位q4を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化15】
【0044】
本発明のレジスト材料に添加する高分子添加剤としては、上記一般式(1)又は(2)中のp、q1〜q4で示される繰り返し単位に加え、アルカリ溶解性を向上させたり、現像後のレジストの親水性を向上させる目的でカルボキシル基を有する繰り返し単位r、αトリフルオロメチルヒドロキシ基又はスルホンアミド基を有する繰り返し単位sを共重合することができる。
【0045】
カルボキシル基を有する繰り返し単位rを得るためのモノマーとしては、具体的には下記に例示することができる。なお、下記式中、Rは水素原子又はメチル基である。
【0049】
αトリフルオロメチルヒドロキシ基、スルホンアミド基を有する繰り返し単位sを得るためのモノマーとしては、具体的には下記に例示することができる。なお、下記式中、Rは水素原子又はメチル基である。
【0056】
ここで、高分子添加剤を構成する繰り返し単位p、q1〜q4、r、sの割合は、0<p≦1.0であるが、q1〜q4を共重合する場合は、0<p<1.0、0≦q1<1.0、0≦q2<1.0、0≦q3<1.0、0≦q4<1.0で、0<q1+q2+q3+q4<1.0である。なお、q1+q2+q3+q4=qとすると、0<p+q≦1.0である。
好ましくは0.1≦p≦1.0、0≦q1≦0.8、0≦q2≦0.8、0≦q3≦0.8、0≦q4≦0.8で、0≦q≦0.8、0.2≦p+q≦1.0である。
より好ましくは0.2≦p≦1.0、0≦q1≦0.7、0≦q2≦0.7、0≦q3≦0.7、0≦q4≦0.7で、0≦q≦0.7、0.3≦p+q≦1.0である。
また、rは0≦r<1.0、好ましくは0≦r≦0.8、より好ましくは0≦r≦0.7であり、sは0≦s<1.0、好ましくは0≦s≦0.8、より好ましくは0≦s≦0.7である。
p+q+r+s=1.0である。
【0057】
本発明の高分子添加剤は、重量平均分子量が1,000〜500,000、好ましくは2,000〜30,000である。重量平均分子量が小さすぎるとレジスト材料が耐熱性に劣るものとなり、大きすぎるとアルカリ溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなってしまう。
なお、重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いたポリスチレン換算による測定値である。
【0058】
本発明のレジスト材料に用いるベース樹脂としては、酸不安定基を有する繰り返し単位を有することを必須とするが、該繰り返し単位としては、下記一般式(3)で示される酸不安定基R
11で置換された(メタ)アクリル酸エステルの繰り返し単位a1、酸不安定基R
13で置換されたヒドロキシスチレンの繰り返し単位a2が好ましい。繰り返し単位a1、a2は、ベース樹脂だけではなく、一般式(1)、(2)で示される添加剤用の高分子化合物として共重合することもできる。
【化26】
(式中、R
10、R
12はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R
11、R
13は酸不安定基を表す。Y
1は単結合、エステル基(−COO−基),ラクトン環,フェニレン基又はナフチレン基のいずれか1種又は2種以上を有する炭素数1〜12の連結基、フェニレン基、又はナフチレン基である。Y
2は単結合、エステル基(−COO−基)、又はアミド基(−CONH−基)である。0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0<a1+a2<1.0である。)
【0059】
繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化27】
(式中、R
10は水素原子又はメチル基を表し、R
11は酸不安定基を表す。)
【0060】
繰り返し単位a2を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化28】
(式中、R
12は水素原子又はメチル基を表し、R
13は酸不安定基を表す。)
【0061】
酸不安定基(一般式(1)又は(2)のR
2、一般式(3)のR
11、R
13の酸不安定基)は、種々選定されるが、同一でも異なっていてもよく、特に下記一般式(A−1)〜(A−3)で置換された基で示されるものが挙げられる。
【化29】
【0062】
式(A−1)において、R
L30は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記式(A−3)で示される基を示し、3級アルキル基として具体的には、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基等が挙げられ、トリアルキルシリル基として具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が挙げられ、オキソアルキル基として具体的には、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が挙げられる。A1は0〜6の整数である。
【0063】
式(A−2)において、R
L31、R
L32は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等を例示できる。R
L33は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
【0065】
R
L31とR
L32、R
L31とR
L33、R
L32とR
L33とは結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するR
L31、R
L32、R
L33はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、好ましくは環の炭素数は3〜10、特に4〜10である。
【0066】
上記式(A−1)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0067】
更に、下記式(A−1)−1〜(A−1)−10で示される置換基を挙げることもできる。
【化31】
【0068】
ここで、R
L37は互いに同一又は異種の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基、R
L38は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基である。
また、R
L39は互いに同一又は異種の炭素数2〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。
A1は上記の通りである。
【0069】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、直鎖状又は分岐状のものとしては、下記式(A−2)−1〜(A−2)−35のものを例示することができる。
【化32】
【0071】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、環状のものとしては、テトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が挙げられる。
【0072】
また、下記式(A−2a)あるいは(A−2b)で表される酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化34】
【0073】
式中、R
L40、R
L41は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R
L40とR
L41は結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するR
L40、R
L41は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R
L42は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、B1、D1は0又は1〜10、好ましくは0又は1〜5の整数、C1は1〜7の整数である。Aは、(C1+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
この場合、好ましくは、Aは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキルトリイル基、アルキルテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基はヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、C1は好ましくは1〜3の整数である。
【0074】
上記式(A−2a)、(A−2b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(A−2)−36〜(A−2)−43のものが挙げられる。
【化35】
【0075】
次に、上記式(A−3)においてR
L34、R
L35、R
L36は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、R
L34とR
L35、R
L34とR
L36、R
L35とR
L36とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に、炭素数3〜20の環を形成してもよい。
式(A−3)で示される3級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、tert−アミル基等を挙げることができる。
また、3級アルキル基としては、下記に示す式(A−3)−1〜(A−3)−18を具体的に挙げることもできる。
【化36】
【0076】
上記式(A−3)−1〜(A−3)−18中、R
L43は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のフェニル基、ナフチル基等のアリール基を示す。R
L44、R
L46は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R
L45は炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基を示す。
【0077】
更に、下記式(A−3)−19、(A−3)−20に示すように、2価以上のアルキレン基、アリーレン基であるR
L47を含んで、ポリマーの分子内あるいは分子間が架橋されていてもよい。
【化37】
【0078】
上記式(A−3)−19、(A−3)−20中、R
L43は前述と同様、R
L47は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、又はフェニレン基等のアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。E1は1〜3の整数である。
【0079】
特に式(A−3)の酸不安定基としては下記式(A−3)−21に示されるエキソ体構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの繰り返し単位が好ましく挙げられる。
【化38】
(式中、R
10は前述の通り、R
c3は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。R
c4〜R
c9及びR
c12、R
c13はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示し、R
c10、R
c11は水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示す。R
c4とR
c5、R
c6とR
c8、R
c6とR
c9、R
c7とR
c9、R
c7とR
c13、R
c8とR
c12、R
c10とR
c11又はR
c11とR
c12は互いに環を形成していてもよく、その場合には炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。またR
c4とR
c13、R
c10とR
c13又はR
c6とR
c8は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0080】
ここで、式(A−3)−21に示すエキソ構造を有する繰り返し単位を得るためのエステル体のモノマーとしては特開2000−327633号公報に示されている。具体的には下記に挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【化39】
【0081】
次に、式(A−3)に示される酸不安定基としては、下記式(A−3)−22に示されるフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの酸不安定基を挙げることができる。
【化40】
(式中、R
10は前述の通りである。R
c14、R
c15はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。R
c14、R
c15は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族炭化水素環を形成してもよい。R
c16はフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基から選ばれる2価の基を示す。R
c17は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。)
【0082】
フランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する酸不安定基で置換された繰り返し単位を得るためのモノマーは下記に例示される。なお、Acはアセチル基、Meはメチル基を示す。
【化41】
【0084】
繰り返し単位a1のカルボキシル基の水素原子を下記一般式(A−3)−23で示される酸不安定基によって置換することもできる。
【化43】
(式中、R
23-1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基又はアルコキシカルボニル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。m23は1〜4の整数である。)
【0085】
式(A−3)−23で示される酸不安定基によって置換されたカルボキシル基を有するモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化44】
【0086】
繰り返し単位a1のカルボキシル基の水素原子を下記一般式(A−3)−24で示される酸不安定基によって置換することもできる。
【化45】
(式中、R
24-1、R
24-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは水素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を有していてもよい炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、又は炭素数6〜10のアリール基である。R
24-3、R
24-4、R
24-5、R
24-6は水素原子、あるいはR
24-3とR
24-4、R
24-4とR
24-5、R
24-5とR
24-6が結合してベンゼン環を形成してもよい。m24、n24は1〜4の整数である。)
【0087】
式(A−3)−24で示される酸不安定基によって置換されたカルボキシル基を有するモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化46】
【0090】
繰り返し単位a1のカルボキシル基の水素原子を下記一般式(A−3)−25で示される酸不安定基によって置換することもできる。
【化49】
(式中、R
25-1は同一又は異種で、水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、m25が2以上の場合、R
25-1同士が結合して炭素数2〜8の非芳香環を形成してもよく、円は炭素C
AとC
Bとのエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基から選ばれる結合を表し、R
25-2は炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは前述の通り。円がエチレン基、プロピレン基のとき、R
25-1が水素原子となることはない。m25、n25は1〜4の整数である。)
【0091】
式(A−3)−25で示される酸不安定基によって置換されたカルボキシル基を有するモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化50】
【0096】
繰り返し単位a1のカルボキシル基の水素原子を下記一般式(A−3)−26で示される酸不安定基によって置換することもできる。
【化55】
(式中、R
26-1、R
26-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは前述の通り。m26、n26は1〜4の整数である。)
【0097】
式(A−3)−26で示される酸不安定基によって置換されたカルボキシル基を有するモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化56】
【0099】
繰り返し単位a1のカルボキシル基の水素原子を下記一般式(A−3)−27で示される酸不安定基によって置換することもできる。
【化58】
(式中、R
27-1、R
27-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは前述の通り。m27、n27は1〜4の整数である。Jはメチレン基、エチレン基、ビニレン基、又は−CH
2−S−である。)
【0100】
式(A−3)−27で示される酸不安定基によって置換されたカルボキシル基を有するモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化59】
【0103】
繰り返し単位a1のカルボキシル基の水素原子を下記一般式(A−3)−28で示される酸不安定基によって置換することもできる。
【化62】
(式中、R
28-1、R
28-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは前述の通り。m28、n28は1〜4の整数である。Kはカルボニル基、エーテル基、スルフィド基、−S(=O)−、又は−S(=O)
2−である。)
【0104】
式(A−3)−28で示される酸不安定基によって置換されたカルボキシル基を有するモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化63】
【0109】
更に、下記フッ素含有の酸不安定基を例示することもできる。
【化68】
【0111】
本発明のレジスト材料のベース樹脂としての高分子化合物としては、上記一般式(3)中のa1、a2で示される酸不安定基を有する繰り返し単位に加え、密着性を向上させる目的のために、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ラクトン環、カルボニル基、カーボネート基、エステル基、エーテル基、アミド基、スルホンアミド基、シアノ基、スルホン酸エステル基、ラクタム等の密着性基を有する繰り返し単位cを共重合することが好ましい。この場合、この繰り返し単位cとしては、電子ビーム及びEUV露光によって増感効果があるフェノール性水酸基を有するものが好ましく、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(9)で示されるc1〜c9から選ばれることが好ましい。
【0112】
【化70】
(式中、V
1、V
2、V
5は単結合、又は−C(=O)−O−R
23−であり、V
3、V
4は−C(=O)−O−R
24−であり、R
23、R
24は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R
22は水素原子、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基又はアシル基であり、R
21は同一又は異種の水素原子又はメチル基である。W
1、W
2はメチレン基又はエチレン基、W
3はメチレン基、酸素原子又は硫黄原子、W
4、W
5はCH又は窒素原子である。u、tは1又は2である。)
【0113】
上記フェノール性水酸基を有する繰り返し単位c1〜c9を得るためのモノマーは、下記に示すことができる。
【化71】
【0119】
また、フェノール性水酸基以外のヒドロキシ基、ラクトン環、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シアノ基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基、環状の−O−C(=O)−S−又は−O−C(=O)−NH−から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位cを得るためのモノマーとしては、具体的には下記に例示することができる。
【0128】
ヒドロキシ基を有するモノマーの場合、重合時にヒドロキシ基をエトキシエトキシ基などの酸によって脱保護し易いアセタールで置換しておいて、重合後に弱酸と水によって脱保護を行ってもよいし、アセチル基、ホルミル基、ピバロイル基等で置換しておいて重合後にアルカリ加水分解を行ってもよい。
【0129】
本発明のベース樹脂となる高分子化合物は、更に下記一般式(10)で示されるインデン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン及びこれらの誘導体に由来するd1〜d5から選ばれる繰り返し単位dを共重合してなることが好ましい。
【化85】
(式中、R
25は同一又は異種の水素原子、それぞれ炭素数1〜30のアルキル基、一部又は全てがハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基又はアルコキシカルボニル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基である。W
6はメチレン基、酸素原子又は硫黄原子である。)
【0130】
この場合、インデン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン及びこれらの誘導体に由来する繰り返し単位d1〜d5を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化86】
【0131】
更に、本発明のベース樹脂となる高分子化合物には、重合性オレフィンを有するオニウム塩の酸発生剤bを共重合することもできる。
特開平4−230645号公報、特開2005−84365号公報、特開2006−45311号公報には、特定のスルホン酸が発生する重合性オレフィンを有するスルホニウム塩、ヨードニウム塩が提案されている。特開2006−178317号公報には、スルホン酸が主鎖に直結したスルホニウム塩が提案されている。
【0132】
本発明では、下記一般式(4)で示されるスルホニウム塩を持つ繰り返し単位b1〜b3を共重合することができる。
【化87】
(式中、R
020、R
024、R
028は水素原子又はメチル基、R
021は単結合、フェニレン基、−O−R
033−、又は−C(=O)−Y−R
033−である。Yは酸素原子又はNH、R
033は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R
022、R
023、R
025、R
026、R
027、R
029、R
030、R
031は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基を表す。Z
1は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R
032−、又は−C(=O)−Z
2−R
032−である。Z
2は酸素原子又はNH、R
032は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M
-は非求核性対向イオンを表す。0≦b1≦0.3、0≦b2≦0.3、0≦b3≦0.3、0≦b1+b2+b3≦0.3の範囲である。)
【0133】
M
-の非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドなどのメチド酸を挙げることができる。
【0134】
ポリマー主鎖に酸発生剤を結合させることによって酸拡散を小さくし、酸拡散のぼけによる解像性の低下を防止できる。また、酸発生剤が均一に分散することによってエッジラフネス(LER、LWR)が改善される。
【0135】
一般式(1)又は(2)で示される高分子添加剤(レジスト膜表面改質用添加ポリマー)及び一般式(3)で示される酸不安定基を有するベース樹脂となる高分子化合物を合成するには、1つの方法としては、繰り返し単位p、q、r、s、a〜dを与えるモノマーのうち所望のモノマーを、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加え、加熱重合を行い、共重合体の高分子化合物を得ることができる。
【0136】
重合時に使用する有機溶剤としてはトルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。
【0137】
ヒドロキシアセナフタレンを共重合する場合は、ヒドロキシアセナフタレンの代わりにアセトキシスチレン、アセトキシビニルナフタレンを用い、重合後上記アルカリ加水分解によってアセトキシ基を脱保護してポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシポリビニルナフタレンにする方法もある。
【0138】
アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また反応温度としては−20〜100℃、好ましくは0〜60℃であり、反応時間としては0.2〜100時間、好ましくは0.5〜20時間である。
【0139】
ここで、上記ベース樹脂となる高分子化合物において、繰り返し単位a〜dの割合は、以下の通りである。
aは0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0<a1+a2<1.0、好ましくは0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.8、0.1≦a1+a2≦0.8、より好ましくは0≦a1≦0.7、0≦a2≦0.7、0.2≦a1+a2≦0.7である。
bは0≦b1≦0.3、0≦b2≦0.3、0≦b3≦0.3、0≦b1+b2+b3≦0.3であり、配合する場合は0<b1+b2+b3≦0.3である。
また、cは0≦c<1.0、好ましくは0<c≦0.9、より好ましくは0<c≦0.8である。
更に、dは0≦d≦0.5、好ましくは0≦d≦0.4、より好ましくは0≦d≦0.3である。
なお、a1+a2+b1+b2+b3+c+d=1.0である。
上記割合において、例えば、a+b+c=1とは、繰り返し単位a、b、cを含む高分子化合物の場合、繰り返し単位a、b、cの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%であることを示し、a+b+c<1とは、繰り返し単位a、b、cの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%未満でa、b、c以外に他の繰り返し単位を有していることを示す。
【0140】
本発明のレジスト材料に用いられる高分子化合物は、重量平均分子量が1,000〜500,000、好ましくは2,000〜30,000である。重量平均分子量が小さすぎるとレジスト材料が耐熱性に劣るものとなり、大きすぎるとアルカリ溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなってしまう。
なお、重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いたポリスチレン換算による測定値である。
【0141】
更に、本発明のポジ型レジスト材料に用いられる高分子添加剤及び高分子化合物においては、多成分共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりする。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
また、レジストベースポリマーの組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドすることも可能である。
【0142】
本発明は、繰り返し単位としてp、及び必要により繰り返し単位q、r、sを有し、コート後のレジスト表面に配向することによってレジスト膜からのアウトガスの発生を低減し、ブリッジ欠陥やブロッブ欠陥の発生を防止してLWRを低減するためのアルカリ可溶性の高分子添加剤と、繰り返し単位としてa1、a2、b1、b2、b3、c、dのいずれかを有する酸によってアルカリ現像液に可溶となる高分子化合物をブレンドした樹脂をベースとする。表面配向の高分子添加剤のブレンド割合は、酸不安定基含有高分子化合物100質量部に対して0.1〜50質量部、好ましくは0.2〜30質量部、更に好ましくは0.2〜20質量部である。表面配向の高分子添加剤の単独のアルカリ溶解速度は0.1〜100,000nm/s、好ましくは1〜50,000nm/s、更に好ましくは10〜20,000nm/sの範囲である。
【0143】
本発明のポジ型レジスト材料には、本発明のパターン形成方法に用いる化学増幅ポジ型レジスト材料を機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]に記載されている。なお、ベース樹脂として上述した繰り返し単位bを共重合した高分子化合物を用いた場合、酸発生剤の配合を省略し得る。
【0144】
本発明のレジスト材料は、更に、有機溶剤、塩基性化合物、溶解制御剤、界面活性剤、アセチレンアルコール類のいずれか1つ以上を含有することができる。
有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載のシクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類及びその混合溶剤が挙げられ、塩基性化合物としては段落[0146]〜[0164]に記載の1級、2級、3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物を挙げることができ、界面活性剤は段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤としては特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類は段落[0179]〜[0182]に記載されている。特開2008−239918号公報に記載のポリマー型のクエンチャーを添加することもできる。このものは、コート後のレジスト表面に配向することによってパターン後のレジストの矩形性を高める。ポリマー型クエンチャーは、液浸露光用の保護膜を適用したときのパターンの膜減りやパターントップのラウンディングを防止する効果もある。
【0145】
なお、酸発生剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対し0.01〜100質量部、特に0.1〜80質量部とすることが好ましく、有機溶剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対し50〜10,000質量部、特に100〜5,000質量部であることが好ましい。また、ベース樹脂100質量部に対し、溶解制御剤は0〜50質量部、特に0〜40質量部、塩基性化合物は0〜100質量部、特に0.001〜50質量部、界面活性剤は0〜10質量部、特に0.0001〜5質量部の配合量とすることが好ましい。
【0146】
本発明のポジ型レジスト材料、例えば有機溶剤と、高分子添加剤と、酸脱離基を有する高分子化合物と、酸発生剤と、塩基性化合物とを含む化学増幅ポジ型レジスト材料を種々の集積回路製造に用いる場合は、特に限定されないが公知のリソグラフィー技術を適用することができる。
【0147】
例えば、本発明のポジ型レジスト材料を、集積回路製造用の基板(Si、SiO
2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等)あるいはマスク回路製造用の基板(Cr、CrO、CrON、MoSi、SiO
2等)上にスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜厚が0.1〜2.0μmとなるように塗布する。これをホットプレート上で60〜150℃、10秒〜30分間、好ましくは80〜120℃、30秒〜20分間プリベークする。次いで、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線、真空紫外線(軟X線)等の高エネルギー線から選ばれる光源で目的とするパターンを所定のマスクを通じてもしくは直接露光を行う。露光量は1〜200mJ/cm
2程度、特に10〜100mJ/cm
2、又は0.1〜100μC/cm
2程度、特に0.5〜50μC/cm
2となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、10秒〜30分間、好ましくは80〜120℃、30秒〜20分間ポストエクスポージャベーク(PEB)する。
【0148】
更に、0.1〜10質量%、好ましくは2〜10質量%、特に2〜8質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、3秒〜3分間、好ましくは5秒〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより、光を照射した部分は現像液に溶解し、露光されなかった部分は溶解せず、基板上に目的のポジ型のパターンが形成される。なお、本発明のレジスト材料は、特に高エネルギー線の中でも電子線、真空紫外線(軟X線)、X線、γ線、シンクロトロン放射線による微細パターニングに最適である。
【0149】
一般的に広く用いられているTMAH水溶液よりも、アルキル鎖を長くしたTEAH、TPAH、TBAHは現像中の膨潤を低減させてパターンの倒れを防ぐ効果がある。特許第3429592号公報には、アダマンタンメタクリレートのような脂環構造を有する繰り返し単位と、tert−ブチルメタクリレートのような酸不安定基を有する繰り返し単位を共重合し、親水性基がなくて撥水性の高いポリマーの現像のために、TBAH水溶液を用いた例が提示されている。
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)現像液は2.38質量%の水溶液が最も広く用いられている。これは0.26Nに相当し、TEAH、TPAH、TBAH水溶液も同じ規定度であることが好ましい。0.26NとなるTEAH、TPAH、TBAHの質量は、それぞれ3.84質量%、5.31質量%、6.78質量%である。
EB、EUVで解像される32nm以下のパターンにおいて、ラインがよれたり、ライン同士がくっついたり、くっついたラインが倒れたりする現象が起きている。これは、現像液中に膨潤して膨らんだライン同士がくっつくのが原因と考えられる。膨潤したラインは、現像液を含んでスポンジのように軟らかいために、リンスの応力で倒れ易くなっている。アルキル鎖を長くした現像液はこのような理由で、膨潤を防いでパターン倒れを防ぐ効果がある。
【0150】
有機溶剤現像によってネガ型のパターンを得ることもできる。現像液としては、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上を挙げることができる。
【0151】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3〜10のアルコール、炭素数8〜12のエーテル化合物、炭素数6〜12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
具体的に、炭素数6〜12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンなどが挙げられる。炭素数6〜12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどが挙げられる。炭素数6〜12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチンなどが挙げられる。炭素数3〜10のアルコールとしては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノールなどが挙げられる。
炭素数8〜12のエーテル化合物としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルから選ばれる1種以上の溶剤が挙げられる。
前述の溶剤に加えてトルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、メシチレン等の芳香族系の溶剤を用いることもできる。
【実施例】
【0152】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。
【0153】
[モノマー合成例1]モノマー1の合成
【化88】
【0154】
p−(クロロメチル)スチレン56.7g、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチルプロピオン酸ナトリウム100g及びヨウ化ナトリウム2.8gをアセトニトリル300gに溶解し、内温40〜50℃で一昼夜撹拌した。5質量%塩酸200gを加え、反応を停止した。通常の水系後処理(aqueous work−up)、溶媒留去の後、蒸留精製を行い、モノマー1を103.6g得た(収率85%)。
沸点:52−53℃/12Pa。
IR(D−ATR):ν=3465、3093、3012、1757、1515、1455、1410、1379、1319、1262、1238、1223、1161、1015、979、916cm
-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d
6):δ=9.23(1H、s)、7.50(2H、d)、7.36(2H、d)、6.73(1H、dd)、5.86(1H、d)、5.40(2H、s)、5.28(1H、d)ppm。
19F−NMR(565MHz、DMSO−d
6中):δ=−73.64(6F、s)ppm。
【0155】
[モノマー合成例2]モノマー2の合成
【化89】
【0156】
モノマー1を32.8g、ジイソプロピルエチルアミン16.2g及びアセトニトリル110gの混合溶液にクロロメチルメチルエーテル9.7gを20℃以下にて滴下した。そのままの温度で3時間撹拌した。通常の水系後処理(aqueous work−up)、溶媒留去の後、蒸留精製を行い、モノマー2を33.9g得た(収率91%)。
【0157】
[モノマー合成例3]モノマー3の合成
【化90】
【0158】
メトキシメチルクロリドの代わりに保護化剤1を使用した以外はモノマー合成例2と同様な方法でモノマー3を得た(収率93%)。
【0159】
[モノマー合成例4]モノマー4の合成
【化91】
【0160】
メトキシメチルクロリドの代わりに保護化剤2を使用した以外はモノマー合成例2と同様な方法でモノマー4を得た(収率88%)。
【0161】
[モノマー合成例5]モノマー5の合成
【化92】
【0162】
メトキシメチルクロリドの代わりに保護化剤3を使用した以外はモノマー合成例2と同様な方法でモノマー5を得た(収率92%)。
【0163】
[モノマー合成例6]モノマー6の合成
【化93】
【0164】
メトキシメチルクロリドの代わりに保護化剤4を使用した以外はモノマー合成例2と同様な方法でモノマー6を得た(収率86%)。
【0165】
[モノマー合成例7]モノマー7の合成
【化94】
【0166】
メトキシメチルクロリドの代わりに保護化剤5を使用した以外はモノマー合成例2と同様な方法でモノマー7を得た(収率81%)。
【0167】
[モノマー合成例8]モノマー8の合成
【化95】
【0168】
メトキシメチルクロリドの代わりに保護化剤6を使用した以外はモノマー合成例2と同様な方法でモノマー8を得た(収率84%)。
【0169】
[モノマー合成例9]モノマー9の合成
【化96】
【0170】
p−(クロロメチル)スチレンの代わりにm−(クロロメチル)スチレンとp−(クロロメチル)スチレンの混合物を使用した以外はモノマー合成例1と同様な方法でモノマー9を得た(収率84%)。
なお、精製後の異性体混合比は、メジャー異性体(上記式):マイナー異性体=61モル%:39モル%であった。
沸点:52−53℃/12Pa。
IR(D−ATR):ν=3463、3093、3013、1757、1632、1515、1455、1378、1321、1262、1238、1223、1162、1017、979、916cm
-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d
6S、メジャー異性体のみ記載):δ=9.25(1H、s)、7.48(2H、dd)、7.37(1H、dd)、7.28(1H、d)、6.73(1H、dd)、5.83(1H、d)、5.42(2H、s)、5.29(1H、d)ppm。
19F−NMR(565MHz、DMSO−d
6中、メジャー異性体のみ記載):δ=−73.65(6F、s)ppm。
【0171】
[モノマー合成例10]モノマー10の合成
【化97】
【0172】
モノマー1の代わりにモノマー9を使用した以外はモノマー合成例2と同様な方法でモノマー10を得た(収率90%)。
【0173】
(高分子添加剤の調製)
レジスト材料に添加される高分子化合物(高分子添加剤)として、各々のモノマーを組み合わせてメチルエチルケトン溶剤下で共重合反応を行い、ヘキサンに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して以下に示す組成の高分子化合物を得た。得られた高分子化合物の組成は
1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフにより確認した。
【0174】
[合成例1]
2Lのフラスコにモノマー1を32.8g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1=1.0
この高分子化合物を(ポリマー1)とする。
ポリマー1(Polymer 1)
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.85
【化98】
【0175】
[合成例2]
2Lのフラスコにモノマー1を16.4g、スチレン5.2g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:スチレン=0.5:0.5
この高分子化合物を(ポリマー2)とする。
ポリマー2(Polymer 2)
分子量(Mw)=9,900
分散度(Mw/Mn)=1.98
【化99】
【0176】
[合成例3]
2Lのフラスコにモノマー1を16.4g、スチレン4.2g、トランススチルベン2.7g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:スチレン:トランススチルベン=0.5:0.4:0.1
この高分子化合物を(ポリマー3)とする。
ポリマー3(Polymer 3)
分子量(Mw)=7,200
分散度(Mw/Mn)=1.98
【化100】
【0177】
[合成例4]
2Lのフラスコにモノマー1を16.4g、モノマー5を18.5g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:モノマー5=0.5:0.5
この高分子化合物を(ポリマー4)とする。
ポリマー4(Polymer 4)
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化101】
【0178】
[合成例5]
2Lのフラスコにモノマー10を22.3g、2−ビニルナフタレンを6.2g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー10:2−ビニルナフタレン=0.6:0.4
この高分子化合物を(ポリマー5)とする。
ポリマー5(Polymer 5)
分子量(Mw)=6,100
分散度(Mw/Mn)=1.64
【化102】
【0179】
[合成例6]
2Lのフラスコにモノマー1を19.7g、アセナフタレンを6.1g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:アセナフタレン=0.6:0.4
この高分子化合物を(ポリマー6)とする。
ポリマー6(Polymer 6)
分子量(Mw)=6,100
分散度(Mw/Mn)=1.84
【化103】
【0180】
[合成例7]
2Lのフラスコにモノマー1を16.4g、アセナフタレンを6.1g、メタクリル酸2−トリフルオロメチルスルホンアミドエチルを2.6g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:アセナフタレン:メタクリル酸2−トリフルオロメチルスルホンアミドエチル=0.5:0.4:0.1
この高分子化合物を(ポリマー7)とする。
ポリマー7(Polymer 7)
分子量(Mw)=6,500
分散度(Mw/Mn)=1.81
【化104】
【0181】
[合成例8]
2Lのフラスコにモノマー1を16.4g、アセナフタレンを6.1g、4−スチレンカルボン酸を1.5g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:アセナフタレン:4−スチレンカルボン酸=0.5:0.4:0.1
この高分子化合物を(ポリマー8)とする。
ポリマー8(Polymer 8)
分子量(Mw)=6,100
分散度(Mw/Mn)=1.69
【化105】
【0182】
[合成例9]
2Lのフラスコにモノマー9を9.8g、インデンを2.9g、4−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール)スチレンを13.5g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー9:インデン:4−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール)スチレン=0.3:0.2:0.5
この高分子化合物を(ポリマー9)とする。
ポリマー9(Polymer 9)
分子量(Mw)=6,700
分散度(Mw/Mn)=1.61
【化106】
【0183】
[合成例10]
2Lのフラスコにモノマー1を16.4g、アセナフタレンを4.6g、モノマー11を5.8g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:アセナフタレン:モノマー11=0.5:0.3:0.2
この高分子化合物を(ポリマー10)とする。
ポリマー10(Polymer 10)
分子量(Mw)=7,100
分散度(Mw/Mn)=1.69
【化107】
【0184】
[合成例11]
2Lのフラスコにメタクリル酸−3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]ドデカニルを8.1g、モノマー1を16.4g、アセナフタレンを3.0g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
メタクリル酸−3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]ドデカニル:モノマー1:アセナフタレン=0.3:0.5:0.2
この高分子化合物を(ポリマー11)とする。
ポリマー11(Polymer 11)
分子量(Mw)=7,900
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化108】
【0185】
[合成例12]
2Lのフラスコにモノマー12を6.7g、モノマー1を16.4g、アセナフタレンを3.0g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー12:モノマー1:アセナフタレン=0.3:0.5:0.2
この高分子化合物を(ポリマー12)とする。
ポリマー12(Polymer 12)
分子量(Mw)=7,100
分散度(Mw/Mn)=1.81
【化109】
【0186】
[比較合成例1]
2Lのフラスコにモノマー13を20.5g、スチレン3.1g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー13:スチレン=0.7:0.3
この高分子化合物を(比較ポリマー1)とする。
比較ポリマー1(Reference Polymer 1)
分子量(Mw)=8,200
分散度(Mw/Mn)=1.69
【化110】
【0187】
[実施例及び比較例]
(レジスト材料の調製)
EUV評価
通常のラジカル重合で得られた上記レジスト膜表面改質用高分子化合物、下記レジスト用ポリマーを用いて、表1に示される組成で溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してポジ型レジスト材料を調製した。
得られたポジ型レジスト材料を直径4インチφのSi基板上の膜厚35nmで積層された信越化学工業(株)製の珪素含有SOG膜SHB−A940上に塗布し、ホットプレート上で、110℃で60秒間プリベークして35nmのレジスト膜を作製した。NA0.3、Pseudo PSMを使ってEUV露光し、表2記載の温度条件でPEBを行い、0.20規定のテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)水溶液で30秒間現像し、純水リンス後スピンドライしてレジストパターンを形成した。20nmラインアンドスペースを形成している感度とこの時に解像している最小寸法の限界解像度と、エッジラフネス(LWR)をSEMにて測定した。結果を表2に示す。
【0188】
【化111】
【0189】
【化112】
【0190】
【化113】
【0191】
【表1】
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
FC−4430:フッ素系界面活性剤、住友3M社製
【0192】
【表2】