(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<有機EL封止システム10の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る有機EL封止システム10の構成を示すブロック図である。
有機EL封止システム10は、封止ロールフィルム製作装置11と、有機EL封止装置12と、熱処理装置13とを備えて構成されている。封止ロールフィルム製作装置11は、ロールツーロールでフィルム基材に封止基板17(
図2A及び
図2B参照)が貼り付けられた封止ロールフィルム19を作製する。有機EL封止装置12は、ロールツーロールで搬送されるOLED基材フィルム21に貼り付けられたOLED基板22(
図3A及び
図3B参照)に、封止ロールフィルム19の封止基板17をロールツーロールで搬送しながら貼り合わせて封止することによりOLED封止フィルム23を作製する。熱処理装置13は、OLED封止フィルム23を加熱して封止基板17がOLED基板22を封止した状態で硬化させ、これにより製品フィルム24を作製する。
【0013】
製品フィルム24は、有機EL照明装置等の電器製品に用いられる。従って、封止基板17は、透明若しくは所定の色で着色された透明フィルムであり、後述のように長尺状の封止基板フィルム17a(
図5参照)から切り出されて形成される。
【0014】
図2Aは長尺状の封止ロールフィルム19の平面図、
図2Bは
図2Aに示すA1−A1断面図である。封止ロールフィルム19は、長尺状のフィルムであるセパレータ15に粘着層16を介して長方形状の封止基板17が予め定められた間隔L1で貼り付けられ、更に封止基板17の上にセパレータ15の全面を覆うようにキャリアフィルム18が貼り付けられて構成されている。間隔L1は、封止基板17の中心から隣接する封止基板17の中心までの長さである。
【0015】
図3Aは長尺状のOLED基材フィルム21の平面図、
図3Bは
図3Aに示すA2−A2断面に相当する有機EL素子の断面図である。
図3Bに示すように、OLED基材フィルム21は、長尺状の基板フィルム21aに、陽極22a、有機物膜22b、陰極22cの各層を積層して成るOLED基板22を予め定められた間隔で複数貼り付けたものである。また、陰極22cと陽極22aとの間に電源Vaにより所低電位の電圧が印加され、これにより矢印Y10で示すように発光するようになっている。このような構成のOLED基板22の陰極22c側から封止基板17が貼り合わせられ、OLED基板22が水分や酸素に触れないように封止される。但し、封止基板17は後述の
図8に示すように粘着層16を介して貼り付けられる。
【0016】
また、基板フィルム21aへのOLED基板22への貼り付け間隔は、
図3Aに示すように、OLED基板22の中心から隣接するOLED基板22の中心までの長さL1であるとする。更に、OLED基材フィルム21のフィルム幅は、
図2Aに示した封止ロールフィルム19のキャリアフィルム18のフィルム幅よりもやや広くなっている。
また、
図2Aに示す封止ロールフィルム19におけるキャリアフィルム18への封止基板17の貼り付け間隔はL1で示すように、
図3Aの基板フィルム21aへのOLED基板22の貼り付け間隔L1と同じとされる。
但し、OLED基板22と封止基板17とは相似形であり、封止基板17の方が、
図3Bに示す通りOLED基板22をすっぽり覆うことが可能な大きいサイズとなっている。
【0017】
<封止ロールフィルム製作装置11の構成>
封止ロールフィルム製作装置11について
図4を参照して説明する。
図4は封止ロールフィルム製作装置11を側面方向から見た主要構成を示す構成図である。
封止ロールフィルム製作装置11は、ロール状に巻かれたロールフィルム19aを回転自在にセットする最上流側のロール取付部31と、ロールフィルム19aから後述のように作製される封止ロールフィルム19をロール状に巻き取る最下流側のフィルム巻取り部32と、ロール取付部31とフィルム巻取り部32との間に水平方向に配置されるガイドローラ33a,33b,33c,33d,33e,33f,33g,33hと、ガイドローラ33e〜33hの上方側に配置されるガイドローラ33i,33j,33kとを備える。
【0018】
また、封止ロールフィルム製作装置11は、上流側のガイドローラ33bと共に、上記水平方向に対して垂直方向の上下でロールフィルム19aを挟むニップローラ34a及び、下流側のガイドローラ33gと上下で封止ロールフィルム19を挟むニップローラ34bと、ガイドローラ33b,33c間の下方に配置されたダンサーローラ35a、ガイドローラ33d,33e間の下方に配置されたダンサーローラ35b、ガイドローラ33f,33g間の下方に配置されたダンサーローラ35c、及びガイドローラ33i,33j間の下方に配置されたダンサーローラ35dとを備える。
【0019】
更に、封止ロールフィルム製作装置11は、ロール状に巻かれたキャリアフィルム18を回転自在にセットするロール取付部36と、キャリアフィルム18の片面に貼り付けられるロール状に巻かれた粘着テープ38を回転自在にセットするロール取付部39と、ロールフィルム19a及びキャリアフィルム18の双方を上下で挟み込んで所定温度で加熱するラミネートローラ37a,37bとを備える。
【0020】
キャリアフィルム18の片面に貼り付けられた粘着テープ38は、ラミネートローラ37a,37bで加熱されることにより、ロールフィルム19aに貼り付けられる性質を有する。
ロールフィルム19aは、
図5に断面構成を示すように、長尺状フィルムであるセパレータ15に粘着層16を介してセパレータ15と同形状の封止基板フィルム17aが貼り付けられて構成されている。
【0021】
なお、ガイドローラ33a〜33k、ニップローラ34a,34b、ダンサーローラ35a〜35d、ラミネートローラ37a,37bを、単にローラ33a〜33k,34a,34b,35a〜35d,37a,37bともいう。
また、キャリアフィルム18,ロールフィルム19a,封止ロールフィルム19,OLED基材フィルム21,OLED封止フィルム23,製品フィルム24も、単にフィルム18,19a,19,21,23,24ともいう。
【0022】
ロール取付部31にセットされたロールフィルム19aは、各ガイドローラ33a〜33h、ダンサーローラ35a〜35c、及びニップローラ34a,34bに当接又は挟まれて挿通され、また、ロール取付部36にセットされたキャリアフィルム18は、片面に粘着テープ38が貼り付けられながら各ガイドローラ33i〜33k及び33f〜33h、ダンサーローラ35d及び35c、ラミネートローラ37a,37bに当接又は挟まれて挿通される。これら挿通による通過過程で、ラミネートローラ37a,37bによる加熱で双方のフィルム19a,18が粘着テープ38で貼り合わせられ、これが封止ロールフィルム19としてフィルム巻取り部32で巻き取られる構成となっている。
【0023】
各ダンサーローラ35a〜35dは、上記のように各フィルム19a,18,19が通過する際に、上下に移動して弛みが生じないようにテンションをかける役割を担う。
更に、封止ロールフィルム製作装置11は、上流側のガイドローラ33a,33b間に配置された蛇行検出センサ40a、及び下流側のガイドローラ33g,33h間に配置された蛇行検出センサ40bを備え、更に、ガイドローラ33c,33d間に上流側から下流側へ向かって順にハーフカット機構41、不要部分除去機構42、フィーダ43を備えて構成されている。
【0024】
蛇行検出センサ40a,40bは、各フィルム19a,19の蛇行を検出し、図示せぬ蛇行補正部を備えて蛇行を補正する蛇行検出補正手段である。
ハーフカット機構41は、フィルム19aの上方側に打抜き刃であるトムソン刃41a、下方側に台座41bを備え、トムソン刃41aが台座41b方向へ下降してフィルム19aの上側2層の封止基板フィルム17a及び粘着層16を、
図2Aに破線で示した長方形状に打ち抜くように構成されている。この際、長方形状に打ち抜かれる封止基板17の搬送方向の両端部に後述する位置決め用のマークが付されるように構成しても良い。本実施形態では、そのマークとして封止基板17の両端エッジを適用するようになっている。
【0025】
なお、トムソン刃41aで打ち抜く封止基板17の形状は、本実施形態では長方形状としているが、四角、丸、三角、星等の任意形状でもよい。これらの形状は、封止基板17を貼り合わせる先の基板形状(OLED基板22の形状)と同形状となる。また、トムソン刃41aに代え、図示せぬロータリーカッタを使用しても良い。
【0026】
不要部分除去機構42は、フィルム19aの上方側に上下動自在な粘着テープ部42a、下方側に台座42bを備え、粘着テープ部42aが台座42b方向へ下降して封止基板フィルム17aの長方形状以外の不要部分に粘着し、この粘着部分を持ち上げて剥ぎ取るように構成されている。その剥ぎ取りによって、セパレータ15上に封止基板17が作製される。
【0027】
フィーダ43は、フィルム19aを挟んだ上下側に配置されており、フィルム19aを予め定められた長さ矢印Y1で示す下流方向へコマ送りで送り出すものである。その予め定められた長さは、本実施形態では、
図2Aに示す長さL1であるとする。
【0028】
但し、各フィルム19a,18,19の搬送動作、蛇行検出センサ40a,40bでの蛇行検出による蛇行補正動作、ハーフカット機構41、不要部分除去機構42及びフィーダ43の各動作、ラミネートローラ37a,37bの温度調節動作等の封止ロールフィルム製作装置11に係る動作制御は、
図6に示す制御装置101によって行われる。
即ち、制御装置101は、CPU(Central Processing Unit)101a、ROM(Read Only Memory)101b、RAM(Random Access Memory)101c、記憶装置(HDD:Hard Disk Drive等)101dを備え、これら101a〜101dがバス102に接続された一般的な構成となっている。このような構成において、例えばCPU101aがROM101bに書き込まれたプログラム101fを実行して、制御装置101の制御を実現するようになっている。
【0029】
<有機EL封止装置12の構成>
図7は有機EL封止装置12を側面方向から見た主要構成を示す構成図である。
有機EL封止装置12は、真空環境中に配置されるものであり、封止ロールフィルム製作装置11で作製された封止ロールフィルム19を回転自在にセットする最上流側のロール取付部51と、封止ロールフィルム19から後述のようにセパレータ15及び封止基板17が剥離された後に残るキャリアフィルム18をロール状に巻き取る最下流側のフィルム巻取り部52と、ロール取付部51とフィルム巻取り部52との間に配置される、セパレータ剥離ローラ53と、剥離されたセパレータ15をロール状に巻き取るフィルム巻取り部54と、ガイドローラ55,57,58と、ダンサーローラ56と、封止基板貼付機構61の貼付ローラ61aと、キャリア剥離機構63の剥離ローラ63a,63bと、ニップローラ64とを備える。
【0030】
但し、有機EL封止装置12は、真空環境中に配置されるが、これは後述するOLED基板22が水分や酸素で劣化することに加え、OLED基板22に封止基板17を貼り合わせる際に、その密着性を向上させることを1つの目的としている。なお、有機EL封止装置12は、真空環境中以外に、窒素(N2)環境中に配置されても良い。つまり、OLED基板22及び封止基板17が空気と水分に触れない環境であればよい。但し、有機EL封止装置12の配置環境が真空中である場合、OLED基材フィルム21が搬送されてくる真空環境の前工程から、そのまま搬送される構成(真空中から真空中への搬送構成)とすればよいので、搬送並びに封止作業環境を容易に構成することができる。
【0031】
また、ガイドローラ55,57,58、ダンサーローラ56、貼付ローラ61a、剥離ローラ63a,63b、ニップローラ64を、単に、ローラ55〜58,61a,63a,63b,64ともいう。
【0032】
セパレータ剥離ローラ53は、ロール取付部51の上方に、ガイドローラ55と隣接配置されており、ローラ53,55間に封止ロールフィルム19を通し、この封止ロールフィルム19のセパレータ15をローラ53の円弧に沿わせながらフィルム巻取り部54で巻き取る。また、キャリアフィルム18及び当該キャリアフィルム18に粘着テープ38で貼り付けられた封止基板17はガイドローラ55を介して矢印Y2方向の下流側に送られるようになっている。
【0033】
この送られる封止基板17が貼り付けられたキャリアフィルム18は、ローラ56,57を通って貼付ローラ61aへ向かう途中で、後述のように封止基板17がOLED基板22に貼り付けられてキャリアフィルム18からOLED基板22へ移行し、この後に残ったキャリアフィルム18が、ローラ61a,63a,63b,58,64を通ってフィルム巻取り部52に巻き取られる構成となっている。
【0034】
封止基板貼付機構61及びキャリア剥離機構63は、有機EL封止装置12の下方側に水平に配置された下テーブル66の上面に、双方向矢印Y3で示すように、封止基板17が貼り付けられたキャリアフィルム18に沿って、下流側から上流側へ、又は上流側から下流側へ自在に移動可能で、且つ上下方向にも移動可能なように取り付けられている。
【0035】
また、有機EL封止装置12は、下テーブル66から見て上方側のOLED基材フィルム21を挟んだ対向位置に、上テーブル67に固定された静電チャック板68を備える。上テーブル67は上下動可能となっている。
静電チャック板68は、電圧印加手段を備える誘電板であり、この誘電板と被吸着物であるOLED基板22及び封止基板17との相互間に電圧印加手段で電圧を印加し、この印加により相互間に発生した静電気力によってOLED基板22を吸着するものである。
【0036】
静電チャック板68の上流及び下流の両側には、OLED基材フィルム21を静止状態に把持(クランプ:保持)するフィルムクランパ69a,69bを備える。更に、下テーブル66の上方のガイドローラ57の上流側に、封止基板17が貼り付けられたキャリアフィルム18をローラ57と対になって静止状態に把持(保持)するフィルムクランパ71a、並びに、剥離ローラ63aの下流側に剥離ローラ63aと対になって静止状態に把持(保持)するフィルムクランパ71bを備える。但し、上流側のフィルムクランパ71aは、キャリアフィルム18に貼り付けられた封止基板17を避ける位置を把持する構造となっている。
【0037】
更に、有機EL封止装置12は、静電チャック板68の対向位置に封止基板17が配置された際に、封止基板17の搬送方向両側に予め付されたマーク(ここではマークとして両側エッジ)と、OLED基板22の予め付されたマーク(ここではマークとして両側エッジ)とを撮影する位置決めカメラ72a,72bを備える。
【0038】
即ち、位置決めカメラ72a,72bは、封止基板17の両側エッジを撮影すると共に、封止基板17を透過してOLED基板22の両側エッジを撮影する。この撮影により封止基板17の両側エッジ(マーク)がOLED基板22の両側エッジ(マーク)に一致しているか否かを確認するためのものである。
【0039】
下テーブル66は、双方向矢印Y3で示す両側方向X及び当該方向Xと直交方向Y、並びに下テーブル66の水平面中心を軸として水平状態に時計回り又は反時計回りに所定角度θ回転するXYθ移動機能を有する。
このXYθ移動機能によって、
図8に示すように、フィルムクランパ71a及びガイドローラ57と、剥離ローラ63a及びフィルムクランパ71bとで把持されたキャリアフィルム18上の封止基板17が、XYθ移動されるようになっている。
【0040】
このXYθ移動時には、
図8に示すように、OLED基材フィルム21もフィルムクランパ69a,69bによって把持されており、上テーブル67が矢印Y5で示す下方向に移動して、静電チャック板68がOLED基材フィルム21を押し下げることにより、OLED基材フィルム21が矢印Y6,Y7で示す逆方向に所定のテンションで引っ張られた状態で保持固定されている。但し、フィルムクランパ69a,69bは、OLED基材フィルム21を把持する際は、OLED基板22以外の部分を把持するようになっている。
【0041】
つまり、
図7に示す位置決めカメラ72a,72bで封止基板17とOLED基板22の双方のマークの不一致が撮影された場合、下テーブル66はXYθ移動機能によって封止基板17を移動することにより、封止基板17の両側エッジを
図8に示すOLED基板22の両側エッジに一致させる。つまり、封止基板17をOLED基板22の所定位置に一致させる。
【0042】
この一致後、封止基板貼付機構61を矢印Y8で示す上方向に移動させながら、貼付ローラ61aをキャリアフィルム18に当接して押し付け、封止基板17面の下流側端部をOLED基板22面の対向端部に所定の力で押し付ける。
この後、貼付ローラ61aで封止基板17の端部がOLED基板22の端部を押し付けた状態で、封止基板貼付機構61を矢印Y9で示す上流方向に移動させる。これによって、
図9に示すように、封止基板貼付機構61が上テーブル67よりも上流側まで移動すると、静電チャック板68の静電気力等によってOLED基板22に封止基板17が貼り合わされた状態となる。
【0043】
この際、貼付ローラ61aは、封止基板17の端部をOLED基板22に押しつけながら徐々に対向端部まで移動して、封止基板17をOLED基板22に静電気力で貼り合わせるので、
図3Bに示したように貼り合わせ面に部分的な隙間等が生じることはなく完全に密着状態に貼り合わせられる。この際、
図9に示す上テーブル67が矢印Y5の下方向に静電チャック板68を介してOLED基材フィルム21を押し下げ、矢印Y6,Y7で示す逆方向に引っ張られる保持固定の力が、静電気力に加わる。この合力F0は、封止基板17とOLED基板22とを貼り合せる粘着層16の粘着力F1よりも強い。また、粘着力F1は、キャリアフィルム18と封止基板17とを貼り合わせている粘着テープ38(
図4参照)の粘着力F2よりも強い。従って、F0>F1>F2の関係となっている。
【0044】
従って、貼り合わせ後に、
図10に示すように、キャリア剥離機構63を矢印Y9で示す上流側へ移動させることにより、キャリアフィルム18を剥離ローラ63a,63bで引っ張りながら、破線18から実線18で示すように、封止基板17から剥離することができる。但し、封止基板貼付機構61による封止基板17の貼り合わせ、及び、キャリア剥離機構63によるキャリアフィルム18の剥離は、矢印Y9と逆方向に行っても良い。
【0045】
また、各フィルム19,18の搬送動作、各フィルムクランパ69a,69b,71a,71bの把持動作、位置決めカメラ72a,72bの撮影動作、下テーブル66のXYθ移動機能の動作、上テーブル67の移動動作、封止基板貼付機構61及びキャリア剥離機構63の移動動作等の有機EL封止装置12に係る動作制御は、上述した
図6に示す制御装置101で行われる。つまり、
図6の制御装置101は、有機EL封止装置12の制御装置と、封止ロールフィルム製作装置11の制御装置との双方を代表して示すものである。
【0046】
<封止ロールフィルム製作装置11の動作>
次に、上述した封止ロールフィルム製作装置11による封止ロールフィルム19の作製動作を、
図11に示すフローチャートを参照して説明する。なお、説明中の各動作制御は、制御装置101で行われるものとする。
【0047】
ステップS1において、
図4に示す封止ロールフィルム製作装置11にロールフィルム19a及び粘着テープ38と共にキャリアフィルム18をセットする。即ち、最上流側のロール取付部31にロールフィルム19aをセットし、このロールフィルム19aを、ガイドローラ33a〜33h、ダンサーローラ35a〜35c及びニップローラ34a,34b、並びに、蛇行検出センサ40a,40b、ハーフカット機構41、不要部分除去機構42及びフィーダ43に、上流側から順に通し、最下流側のフィルム巻取り部32で巻き取ってセットする。
【0048】
これと同時に、ロール取付部36にセットしたキャリアフィルム18の片面に、ロール取付部39にセットした粘着テープ38を貼り付けながら、各ガイドローラ33i〜33k及び33f〜33h、ダンサーローラ35d及び35c、ラミネートローラ37a,37bに上流側から順に通して、フィルム巻取り部32で巻き取ってセットする。
【0049】
これらセット時に各フィルム19a,18,19が通過する際、ステップS2において、蛇行検出センサ40a,40bでフィルム蛇行が検出されながら各フィルム19a,18,19が蛇行しない様に搬送される。つまり、蛇行補正が行われながら搬送される。更に、各ダンサーローラ35a〜35dで、各フィルム19a,18,19に弛みが生じないようにテンションがかけられる。なお、上記の蛇行補正は、後述の封止基板17の形成動作によるフィルム搬送においても常時実行される。
【0050】
次に、ステップS3において、ハーフカット機構41のトムソン刃41aが、停止中のロールフィルム19aを介在して台座41bへ押し付けられる。この押し付けにより、フィルム19aの上側2層の封止基板フィルム17a及び粘着層16が、セパレータ15を除き、
図2Aに破線で示した長方形状の封止基板17の型枠に打ち抜かれる。
この後、ステップS4において、
図4に示すフィーダ43によりロールフィルム19aが長さL1{
図2A参照}だけ、矢印Y1で示す下流側に送りだされる。
【0051】
次に、ステップS5において、不要部分除去機構42の粘着テープ部42aが台座42b方向へ下降され、封止基板フィルム17aの封止基板17以外の不要部分に粘着される。この後、粘着テープ部42aが上昇され、その粘着された不要部分が持ち上げられて剥ぎ取られ、セパレータ15上に封止基板17が作製される。なお、剥ぎ取られた不要部分は図示せぬ回収機構により回収される。
【0052】
このようなステップS4とS5の動作が順次繰り返され、これによって、セパレータ15上に粘着層16で貼り付けられた封止基板17が形成され、パレータ15に粘着状態で下流側へ搬送される。
この搬送時、ステップS6において、ラミネートローラ37a,37bで、セパレータ15に粘着された封止基板17の上に粘着テープ38を介してキャリアフィルム18が合わさった状態で加熱される。この加熱により、キャリアフィルム18が粘着テープ38で封止基板17上に貼り付けられる。これによって、封止ロールフィルム19が作製され、ロール取付部32に巻き取られる。
【0053】
<有機EL封止装置12の動作>
次に、
図7に示す有機EL封止装置12によるOLED基板22への封止基板17の貼り合わせによる封止動作を、
図12に示すフローチャートを参照して説明する。なお、説明中の各動作制御は、
図6に示す制御装置101で行われるものとする。
【0054】
図12に示すステップS11において、上述した封止ロールフィルム製作装置11で作製された封止ロールフィルム19を、
図7に示す最上流側のロール取付部51と最下流側のフィルム巻取り部52とを含む間にセットする。この際、封止ロールフィルム19をセパレータ剥離ローラ53とガイドローラ55との間に通し、封止ロールフィルム19中のセパレータ15をローラ53の円弧に沿わせながらフィルム巻取り部54で巻き取ってセットする。また、OLED基材フィルム21を各フィルムクランパ69a,69bに挿通してセットする。
【0055】
次に、ステップS12において、矢印Y4方向に移動されたOLED基材フィルム21がフィルムクランパ69a,69bでクランプされ、当該OLED基材フィルム21に貼り付けられたOLED基板22が、静電チャック板68の前面の所定位置にセットされる。更に、セパレータ15の剥離後の封止基板17が貼り付けられたキャリアフィルム18が矢印Y2方向へ移動され、フィルムクランパ71a,71b及びローラ57,63aでクランプされることにより、封止基板17がOLED基板22の対向位置にセットされる。
【0056】
次に、ステップS13において、
図8に示すように、上テーブル67が矢印Y5で示す下方向に移動し、静電チャック板68がOLED基材フィルム21を押し下げることにより、OLED基材フィルム21が矢印Y6,Y7で示す逆方向に所定のテンションで引っ張られた状態で保持固定される。
【0057】
この後、ステップS14において、各位置決めカメラ72a,72bにより封止基板17の両側エッジが撮影されると共に、封止基板17を透過してOLED基板22の両側エッジが撮影される。
【0058】
ステップS15において、その撮影により封止基板17の両側エッジがOLED基板22の両側エッジに一致しているか否かが判断される。但し、その両側エッジの一致とは、上述した通り封止基板17の方がOLED基板22よりも大きいので、その貼付代を考慮したものである。言い換えれば、封止基板17がOLED基板22の所定位置に一致しているか否かが判断される。
この判断結果、一致していないと判断(No)された場合、ステップS16において、下テーブル66のXYθ移動機能により、フィルムクランパ71a,71bでクリップ固定されたキャリアフィルム18上の封止基板17が、OLED基板22の所定位置に一致するようにXYθ移動される。
【0059】
この後、再度、ステップS14において、封止基板17及びOLED基板22の両側エッジが撮影され、ステップS15において、封止基板17がOLED基板22の所定位置に一致しているか否かが判断される。
【0060】
この判断結果、一致していると判断(Yes)された場合、ステップS17において、
図8に示すように、封止基板貼付機構61が矢印Y8で示す上方向に移動しながら、貼付ローラ61aがキャリアフィルム18に当接されて押し付けられ、封止基板17面の下流側端部がOLED基板22面の対向端部に所定の力で押し付けられる。
【0061】
この後、ステップS18において、上記の押し付け状態で、封止基板貼付機構61が貼付ローラ61aと共に矢印Y9で示す上流方向に移動され、
図9に示すように、封止基板貼付機構61が貼付ローラ61aと共に上テーブル67よりも上流側まで移動される。この移動時に貼付ローラ61aの押圧力で封止基板17がOLED基板22に押し付けられ、この際、静電チャック板68の静電気力によってOLED基板22に封止基板17が貼り合わせられる。
【0062】
次に、ステップS19において、
図10に示すように、キャリア剥離機構63が矢印Y9で示す上流側へ移動され、これによりキャリアフィルム18が剥離ローラ63a,63bで引っ張られながら封止基板17から剥離される。この際、静電チャック板68にOLED基板22を貼り合せている合力F9及びOLED基板22に封止基板17を貼り合わせている粘着力F1が、キャリアフィルム18と封止基板17とを貼り合わせている粘着テープ38の粘着力F2よりも強いので、キャリアフィルム18が封止基板17から剥離される。
【0063】
これによって、ステップS20において、封止基板17により表面が封止されたOLED基板22が粘着搭載されたOLED封止フィルム23が作製される。
この後は、OLED封止フィルム23が
図1に示す熱処理装置13で加熱され、これにより封止基板17がOLED基板22を封止状態で硬化されて、製品フィルム24が作製される。
【0064】
<有機EL封止装置12の効果>
本実施形態の
図7に示した有機EL封止装置12によれば、次のような効果を得ることができる。
有機EL封止装置12は、長尺状の第1フィルムとしての基板フィルム21aに複数のOLED基板22が貼り付けられたOLED基材フィルム21をロールツーロールで搬送する第1搬送手段と、その搬送されるOLED基材フィルム21を停止状態に保持するフィルムクランパ69a,69bである第1保持手段と、長尺状の第2フィルムとしてのキャリアフィルム18に複数の封止基板17が貼り付けられた封止ロールフィルム19をロールツーロールで搬送する第2搬送手段と、第2搬送手段で搬送される封止ロールフィルム19を停止状態に保持する、フィルムクランパ71a及びガイドローラ57と、剥離ローラ63a及びフィルムクランパ71bとによる第2保持手段と、OLED基板22に封止基板17を貼り合わせて封止する封止手段とを備える。
【0065】
但し、第1搬送手段は、フィルムクランパ69a,69bの両側に配置される図示せぬローラ機構により構成されている。
第2搬送手段は、ロール取付部51と、セパレータ剥離ローラ53と、フィルム巻取り部54と、ガイドローラ55,57,58と、ダンサーローラ56と、貼付ローラ61aと、剥離ローラ63a,63bと、ニップローラ64と、フィルム巻取り部52とを含んで構成されている。
封止手段は、下テーブル66と、封止基板貼付機構61と、キャリア剥離機構63と、上テーブル67と、静電チャック板68とを含んで構成されている。
【0066】
そして、有機EL封止装置12は、第1保持手段でOLED基材フィルム21が保持された際に、OLED基材フィルム21に貼り合わされているOLED基板22に、封止ロールフィルム19に貼り合わされた封止基板17が対向する状態に、当該封止ロールフィルム19を第2保持手段で保持し、封止手段により、互いに対向するOLED基板22と封止基板17を貼り合わせて封止するように構成されている。
【0067】
この構成によれば、OLED基板22に封止基板17を貼り合わせて封止する製造作業を、ロールツーロールで連続的に行うことができるので、その製造作業のタクトタイムを短縮することができる。従って、その製造作業を効率良く行うことができる。
また、有機EL封止装置12は、互いに対向するOLED基板22と封止基板17との位置を撮影する撮影手段としての位置決めカメラ72a,72bと、第2保持手段で保持された封止ロールフィルム19に貼り合わされている封止基板17を、水平面上で縦横及び回転方向(XYθ移動)に移動させる移動手段としての下テーブル66と、位置決めカメラ72a,72bで撮影されたOLED基板22と封止基板17との相互位置が所定位置に一致していない場合、下テーブル66で封止基板17を所定位置に一致させるXYθ移動を行うように制御する制御手段としての制御装置101とを更に備える構成とした。
この構成によれば、OLED基板22に封止基板17を高精度に位置合わせを行うことができるので、高精度に貼り合わせることができる。
【0068】
また、OLED基材フィルム21における複数のOLED基板22の貼り付け間隔と、封止ロールフィルム19における複数の封止基板17の貼り付け間隔とを一致させる構成とした。
一致させる構成に限定されることはないが一致させる構成によれば、ロールツーロール機構において、OLED基板22と封止基板17とを容易に対向させることができる。
【0069】
また、OLED基板22と封止基板17との形状は、上述した通り封止基板17の方が大きい相似形ある。
これによって、OLED基板22と封止基板17との双方を対向させる際に、双方が相似形なので双方の中心が合うようにすれば位置合わせを高精度に行うことができる。
【0070】
また、封止手段は、静電チャック板68が電圧印加手段及び誘電板を備え、当該誘電板をOLED基板22に押し付けながらOLED基板22を封止基板17に当接させ、これら当接した相互間に当該電圧印加手段で電圧を印加し、この印加により相互間に発生する静電気力と、上記押し付け力により当該OLED基板22が貼り付けられたOLED基材フィルム21に生じるテンション力との合力F0で当該OLED基板22及び当該封止基板17を貼り合わせる構成とした。
この構成によれば、OLED基板22に封止基板17を静電気とテンション力との合力F0で容易且つ的確に貼り合わせることができる。
【0071】
また、封止手段は、貼付ローラを備え、静電気力によりOLED基板22及び封止基板17を吸着させる際に、貼付ローラを当該封止基板17の下面の一端部から他端部へ押し付けながら移動させることで、封止基板17及びOLED基板22の双方を貼り合わせる構成とした。
この構成によれば、OLED基板22と封止基板17との貼り合わせ面に部分的な隙間等が生じることがなく、完全に密着状態に貼り合わせることができる。
【0072】
また、封止基板17及びOLED基板22の双方を貼り合わせる力は、キャリアフィルム18に封止基板17を貼り合わせる力よりも強くされている構成とした。更に、封止手段は、キャリアフィルム18を封止基板17から剥離する剥離手段としてのキャリア剥離機構63を備え、封止基板17及びOLED基板22の双方が貼り合わされた後に、キャリア剥離機構63で封止基板17からキャリアフィルム18を剥離する構成とした。
【0073】
これらの構成によれば、OLED基板22に封止基板17を貼り合わせた後に、封止基板17に貼り付いているキャリアフィルム18を剥がす際に、キャリアフィルム18のみを容易に剥がすことができる。
【0074】
<封止ロールフィルム製作装置11の効果>
本実施形態の
図4に示した封止ロールフィルム製作装置11は、長尺状の第1フィルムとしてのセパレータ15に、長尺状の封止基板フィルム17aが貼り付けられたロールフィルム19aを、予め定められた間隔でコマ送りにロールツーロールで搬送する第3搬送手段と、搬送されるロールフィルム19aのコマ送りにおける停止時に、当該ロールフィルム19aに貼り付けられた封止基板フィルム17aのみ(セパレータ15を除き)を予め定められた枠型にカットするカット手段としてのハーフカット機構41と、封止基板フィルム17aにおけるカットされた枠型以外の不要部分を、ロールフィルム19aから除去する除去手段としての不要部分除去機構42と、除去後にロールフィルム残った枠型による封止基板17の上から、長尺状の第2フィルムとしてのキャリアフィルム18をロールツーロールで貼り合わせることにより封止ロールフィルム19を作製する第4搬送手段とを備える構成とした。
【0075】
但し、第3搬送手段は、最上流側のロール取付部31と最下流側のフィルム巻取り部32と、これらロール取付部31とフィルム巻取り部32との間に、ガイドローラ33a,33b,33c,33d,33e,33f,33g,33hと、ニップローラ34a,34bと、ダンサーローラ35a,35b,35cと、ラミネートローラ37a,37bとを含んで構成される。
【0076】
第4搬送手段は、ロール取付部36,39と、ガイドローラ33i,33j,33kと、ダンサーローラ35d,35cと、ラミネートローラ37a,37bと、ガイドローラ33f,33g,33hと、ニップローラ34bと、フィルム巻取り部32とを含んで構成される。
【0077】
この構成によれば、ロールツーロールで封止基板17を連続的に作製しながら、これらの封止基板17がキャリアフィルム18に貼り付けられた封止ロールフィルム19を効率良く作製することができる。
【0078】
また、上記の枠型の形状は、封止基板17を貼り合わせる基板形状と同じとした。
これによって、封止基板17を貼り合わせ先の基板に対向させ易くなり、双方基板の位置合わせを高精度に行い易くなる。
【0079】
また、封止ロールフィルム製作装置11の第3搬送手段で搬送されるロールフィルム19aの蛇行を検出して蛇行補正を行う蛇行検出センサ40a,40bを含む蛇行検出補正手段を更に備える構成とした。
この構成によれば、ロールツーロールでロールフィルム19aを搬送する際に、蛇行しないので、適正に搬送することができ、また、封止基板17を連続的に作製する際にも適正に作製することができる。
【0080】
<有機EL封止システムの効果>
本実施形態の
図1に示した有機EL封止システム10は、上記の有機EL封止装置12及び封止ロールフィルム製作装置11と、有機EL封止装置12によりOLED基板22に封止基板17を貼り合わせて封止した状態で、加熱して硬化させる熱処理装置13とを備える構成とした。
この構成によれば、OLED基板22に封止基板17を貼り合わせて封止した後に、加熱して硬化させるので、製品フィルム24を適正に作製することができる。
但し、熱処理装置13での熱硬化に代え、紫外線(UV)によってUV硬化して製品フィルム24を作成するようにしてもよい。この場合、OLED基板22と封止基板17との間に満遍にUV塗布剤を塗布することが必要となる。
【0081】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0082】
また、上記の各構成、機能、処理部(制御部)、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウエアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SD(Secure Digital memory)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。