(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長尺状のフィルムに複数の有機EL素子製作用の第1の基板が搬送方向に予め定められた間隔で貼り付けられて成る基材フィルムをロールツーロールで搬送する搬送手段と、
ローラ周回方向に前記間隔と同間隔でフィルム材による複数の有機EL素子製作用の第2の基板が貼り付けられた転写ローラと、
前記転写ローラを自在に回転駆動させると共に前記搬送方向と垂直な上下方向に移動する回転移動手段と
を備え、
前記回転移動手段により前記転写ローラを移動して前記基材フィルムに貼り付けられた第1の基板に当該転写ローラに貼り付けられた第2の基板を当接し、当該回転移動手段による当該転写ローラの回転動作と、前記搬送手段による当該基材フィルムの搬送動作とを同期させ、当該第1の基板に当該第2の基板を貼り合わせて一方を他方により封止する
ことを特徴とする有機EL封止装置。
長尺状のフィルムに複数の有機EL素子製作用の第1の基板が搬送方向に予め定められた間隔で貼り付けられて成る基材フィルムをロールツーロールで搬送する搬送手段と、
前記基材フィルムの上方に配置される上テーブル部と、
前記基材フィルムを介在した前記上テーブル部の下方対向位置に配置され、有機EL素子製作用の第2の基板を載置する下テーブル部と、
前記下テーブル部を上下前後左右及び回転方向に自在に移動する移動手段と、
前記下テーブル部に載置された前記第2の基板上に紫外線で硬化するUV塗布剤を塗布する塗布手段と、
紫外線を照射するUV照射手段と
を備え、
前記搬送手段は搬送される前記基材フィルムを前記上テーブル部の下方の予め定められた位置に前記第1の基板が配置されるように停止し、前記移動手段は、前記第2の基板が載置された下テーブル部を上方向へ移動して当該下テーブル部と前記上テーブル部との間で、前記停止した第1の基板に前記第2の基板が前記UV塗布剤を介在して当接するように把持し、その当接した第1の基板及び第2の基板間のUV塗布剤に前記UV照射手段で紫外線を照射する
ことを特徴とする有機EL封止装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<第1実施形態の構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る有機EL封止装置10を側面方向から見た主要構成を示す構成図である。以下の説明では、第1の基板がOLED基板22であり、第2の基板が封止基板17であるとして説明する。
有機EL封止装置10は、窒素(N
2)環境中に配置され、矢印Y1で示すように図示せぬ前工程から、ロールツーロールで搬送されてくるOLED基材フィルム(基材フィルム)21に貼り付けられたOLED基板(第1の基板)22に、封止基板(第2の基板)17を貼り合わせて封止するものである。これにより有機EL照明装置等の電器製品に用いられる製品フィルム24を作製する。
但し、有機EL封止装置10を窒素環境中に配置するのは、OLED基材フィルム21及び封止基板17が空気と水分に触れ損傷しないようにして高品質を維持するためである。また、封止基板17と、OLED基板22の表面とはフィルム材で形成されているとする。更に、OLED基材フィルム21は可撓性を有するフィルムである。
【0013】
図2Aは長尺状のOLED基材フィルム21の平面図、
図2Bは
図2Aに示すA1−A1断面に相当する有機EL素子の断面図である。
図2Aに示すように、OLED基材フィルム21は、長尺状の基板フィルム21aに、OLED基板22を予め定められた間隔L1で複数貼り付けたものである。間隔L1は、OLED基板22の中心から隣接するOLED基板22の中心までの長さである。
【0014】
OLED基板22は、
図2Bに示すように、基板フィルム21aに、陽極22a、有機物膜22b、陰極22cの各層を積層して成るOLED基板(有機EL素子)22を貼り付けたものである。また、陰極22cと陽極22aとの間に電源Vaにより所低電位の電圧が印加され、これにより矢印Y10で示すように発光するようになっている。このような構成のOLED基板22の陰極22c側から封止基板17が貼り合わせられ、OLED基板22が水分や酸素に触れないように封止される。但し、OLED基板22と封止基板17とは相似形であり、封止基板17の方が、
図2Bに示す通りOLED基板22をすっぽり覆うことが可能な大きいサイズとなっている。従って、
図1や後述の
図6でOLED基板22と封止基板17とが同一に表現してあるが、実際には
図2Bに示すサイズ関係となっている。
【0015】
図1に示す有機EL封止装置10は、OLED基材フィルム21を矢印Y1で示す水平方向に搬送するガイドローラ30,31,32,33,34,35,36,37と、ガイドローラ31及び32間の下方に配置されたダンサーローラ38と、ガイドローラ36及び37間の下方に配置されたダンサーローラ39とを備える。更に、OLED基材フィルム21をガイドローラ30と上下で対となって挟むニップローラ41と、後述する転写ローラ52が下方から押し付けられてOLED基材フィルム21のOLED基板22及び封止基板17を挟み込むニップローラ42と、OLED基材フィルム21をガイドローラ37と上下で対となって挟むニップローラ43とを備える。
【0016】
ダンサーローラ38はOLED基材フィルム21が通過する際に、上下に移動して弛みが生じないようにテンションをかけ、ダンサーローラ39は製品フィルム24が通過する際に、上下に移動して弛みが生じないようにテンションをかける役割を担う。
更に、有機EL封止装置10は、ガイドローラ33及び34間に配置され、OLED基材フィルム21上のOLED基板22及び封止基板17を上下で挟み込んで加熱する加熱ローラ45a,45bと、OLED基材フィルム21上のOLED基板22が加熱により硬化された封止基板17aで封止された製品フィルム24を、ロール状に巻き取る最下流側のフィルム巻取り部48とを備える。但し、上記の硬化は、可撓性を有する硬化である。因みに、殆どの材料は薄くすることにより可撓性有するようになるが、本例でも、薄いことによって可撓性を有するようになる。
【0017】
なお、ガイドローラ30〜37、ダンサーローラ38,39、ニップローラ41〜43、加熱ローラ45a,45b、転写ローラ52を、単に、ローラ30〜37,38,39,41〜43,45a,45b,52ともいう。OLED基材フィルム21及び製品フィルム24を、単に、フィルム21,24ともいう。封止基板17及びOLED基板22を、単に、基板17,22ともいう。
また、OLED基材フィルム21及び製品フィルム24の下側に配置されるローラ30〜37は、
図3に示すローラ30を代表して示す構成となっている。
図3はOLED基材フィルム21を搬送方向と直交する幅方向に切断して搬送方向から、その切断面及び上下ローラ41,30を見た際の構成図である。
【0018】
図3に示すように、ローラ30は、OLED基板22の幅よりも長い間隔で、このOLED基板22の両側のフィルム21上に直径r1のローラ30a,30bが配置され、各ローラ30a,30bの中心が細長い円柱棒状の軸30cで固定されて構成されている。軸30cと、各ローラ30a,30b間とでOLED基板22を跨ぐ凹部が形成され、この凹部にOLED基板22による凸部が、非接触で通過可能なサイズとされている。
この凹部には、
図1に示すガイドローラ33以降の下流側ローラにおいても同様に、OLED基板22及び封止基板17(又は17a)による凸部が通過するようになっている。
【0019】
更に、有機EL封止装置10は、ガイドローラ30及び31間に配置された蛇行検出センサ40と、ガイドローラ32及び33間に配置された封止基板貼付機構51とを備える。
蛇行検出センサ40は、OLED基材フィルム21の搬送時の蛇行を検出し、図示せぬ蛇行補正部を備えて蛇行を補正する蛇行検出補正手段である。
【0020】
封止基板貼付機構51は、転写ローラ52を、支持部53の回転軸54で回転自在に支え、支持部53がOLED基材フィルム21の水平な搬送方向に対して垂直な上下方向Y2,Y3に自在に移動可能な機構となっている。
転写ローラ52は、周回面が柔軟性のあるゴム等の弾性部材で形成されており、当該周回面に、周回方向に予め定められた間隔で複数の封止基板17が貼り付けられている。この貼付は、吸引チャック、静電チャック、又は粘着物によって行われる。この例では、転写ローラ52への各封止基板17の貼り付け間隔は、
図2Aに示したOLED基材フィルム21のOLED基板22の貼付間隔L1と同じであり、転写ローラ52への貼り付けは、人が行うようになっている。また、封止基板17の形状は、OLED基板22と同形状であり、本実施形態では長方形状としているが、四角、丸、三角、星等の任意形状がある。なお、貼付間隔L1は広くしたり狭くしたりすることもできる。
【0021】
また、封止基板貼付機構51は、複数の封止基板17が貼り付けられた転写ローラ52を、矢印Y2で示す上方向へ移動し、封止基板17の右端を、OLED基材フィルム21のOLED基板22の右端を覆うように当接する。この当接状態から、OLED基材フィルム21の搬送(Y1方向)に同期させて転写ローラ52を時計方向に回転させることで、封止基板17をOLED基板22に右端から左端に向かって、
図2Bに示した状態となるように貼り合わせるようになっている。この貼り合わせは、封止基板17のOLED基板22に向く面に粘着剤が塗布されており実現される。この際、OLED基板22への封止基板17の粘着力F1は、転写ローラ52への封止基板17の粘着力F2よりも強くなっているので、封止基板17は滑らかにOLED基板22に貼り付けられて移行(転写)する。但し、OLED基板22のOLED基材フィルム21への粘着力F0は、F0>F1である。従って、F0>F1>F2の関係となっている。
【0022】
貼り付け完了後は、OLED基材フィルム21の次のOLED基板22が搬送されてくるが、転写ローラ52の次の封止基板17もOLED基板22と同じ間隔で貼り付けられているので、同様に次のOLED基板22に次の封止基板17が貼り合わせられる。以降同様に、転写ローラ52の全ての封止基板17がOLED基板22に貼り合わせられる。全ての封止基板17の貼り合わせが完了すると、OLED基材フィルム21の搬送が一旦停止し、転写ローラ52が矢印Y3で示す下方に下降する。この下降により所定位置に停止すると、転写ローラ52に人が所定枚数の封止基板17を貼り付けてセットするようになっている。
【0023】
加熱ローラ45a,45bは、周回面が柔軟性且つ耐熱性のあるゴム等の弾性部材で形成されており、封止基板17で封止されたOLED基板22を、この上から挟んで加熱することにより、封止基板17を硬化させるようになっている。なお、硬化した封止基板を符号17aで示す。
【0024】
各フィルム21,24の搬送動作、蛇行検出センサ40での蛇行検出による蛇行補正動作、封止基板貼付機構51による貼り付け動作、加熱ローラ45a,45bによる加熱動作等の有機EL封止装置10に係る動作制御は、
図4に示す制御装置101によって行われる。
【0025】
即ち、制御装置101は、CPU(Central Processing Unit)101a、ROM(Read Only Memory)101b、RAM(Random Access Memory)101c、記憶装置(HDD:Hard Disk Drive等)101dを備え、これら101a〜101dがバス102に接続された一般的な構成となっている。このような構成において、例えばCPU101aがROM101bに書き込まれたプログラム101fを実行して、制御装置101の制御を実現するようになっている。
【0026】
<第1実施形態の動作>
次に、
図1に示す有機EL封止装置10によりOLED基板22を封止基板17で封止する動作を、
図5に示すフローチャートを参照して説明する。なお、説明中の各動作制御は、制御装置101で行われるものとする。また、有機EL封止装置10は、窒素(N
2)環境中に配置されており、転写ローラ52には所定枚数の封止基板17が貼り付けられているものとする。
【0027】
図5に示すステップS1において、
図1に矢印Y1で示すように図示せぬ前工程から、ロールツーロールで搬送されてくるOLED基材フィルム21が、各ローラ30〜37,38,39,41〜43を通過して最下流段のフィルム巻取り部48で巻き取られながら搬送される。この際、フィルム21には、ダンサーローラ38,39で弛みが生じないようにテンションが掛けられ、更に、蛇行検出補正手段である蛇行検出センサ40で蛇行補正が行われ、適正に搬送される。
【0028】
次に、ステップS2において、搬送されるOLED基材フィルム21に貼り付けられたOLED基板22が、転写ローラ52上方に配置されたニップローラ42の上流側の所定位置に到達したか否かが判断される。未到達と判断(No)された場合は、ステップS1の動作及びステップS2の判断が繰り返される。
【0029】
到達したと判断(Yes)された場合、ステップS3において、封止基板貼付機構51により転写ローラ52が矢印Y2で示す上方向に上昇され、転写ローラ52に貼り付けられた封止基板17の右端が、OLED基材フィルム21のOLED基板22の右端を覆うように当接される。
【0030】
ステップS4において、その当接状態から、OLED基材フィルム21の搬送方向Y1への移動に同期して転写ローラ52が時計方向に回転させられ、封止基板17がOLED基板22に右端から左端に向かって貼り合わせられる。この貼り合せ完了後は、OLED基材フィルム21の搬送により次のOLED基板22が所定位置に到達し、これに同期して転写ローラ52の回転により移動した封止基板17がその到達したOLED基板22の右端から貼り合わせられる。以降同様の封止動作が、転写ローラ52に貼り付けられた封止基板17の枚数分順次実行される。
【0031】
次に、ステップS5において、転写ローラ52の全ての封止基板17の貼り合わせが完了したか否かが判断される。未完了(No)と判断された場合は、ステップS4の封止動作及びステップS5の判断が順次繰り返される。ステップS5にて完了(Yes)と判断された場合、ステップS6において、封止基板貼付機構51により転写ローラ52が矢印Y3で示す下方に下降され、所定位置で停止される。この停止位置で、ステップS7において、転写ローラ52に人が所定枚数の封止基板17を貼り付けてセットする。このセット後は、上記ステップS3に戻って上記処理動作が行われる。
【0032】
また、上記ステップS4〜S7での処理動作時に、ステップS8において、転写ローラ52よりも下流側に搬送された封止基板17で封止されたOLED基板22は、加熱ローラ45a,45bで挟まれながら加熱されて硬化され、封止が完了する。これにより製品フィルム24が作製される。この製品フィルム24は、ステップS9において、フィルム巻取り部48でロール状に巻き取られる。この巻き取り後は、別工程にて加工され、最終製品となる。
【0033】
<第1実施形態の効果>
本実施形態の
図1に示した有機EL封止装置10によれば、次のような効果を得ることができる。
有機EL封止装置10は、長尺状の基板フィルム21aに複数のOLED基板22が搬送方向Y1に予め定められた間隔L1で貼り付けられて成るOLED基材フィルム21を、複数のローラを用いロールツーロールで搬送する搬送手段と、ローラ周回方向に間隔L1と同間隔でフィルム材による複数の封止基板17が貼り付けられた転写ローラ52と、転写ローラ52を自在に回転駆動させると共に搬送方向Y1と垂直な上下方向に移動する回転移動手段とを備える。搬送手段は、各ガイドローラ30〜37、ダンサーローラ38,39、ニップローラ41〜43、フィルム巻取り部48の各ローラを用いて構成されている。回転移動手段は、転写ローラ52を回転自在に支持する支持部53を有する封止基板貼付機構51により構成されている。
【0034】
そして、有機EL封止装置10を、回転移動手段により転写ローラ52を移動してOLED基材フィルム21に貼り付けられたOLED基板22に当該転写ローラ52に貼り付けられた封止基板17を当接し、回転移動手段による当該転写ローラ52の回転動作と、搬送手段による当該OLED基材フィルム21の搬送動作とを同期させ、当該OLED基板22に当該封止基板17を貼り合わせて封止するように構成した。
【0035】
この構成によれば、OLED基板22に封止基板17を貼り合わせて封止する製造作業を、ロールツーロールで搬送されるOLED基材フィルム21の各OLED基板22に、転写ローラ52で連続して複数の封止基板17を順次貼り合わせて実行することができる。従って、その製造作業のタクトタイムを短縮することができ、製造作業を効率良く行うことができる。
【0036】
また、回転移動手段は、転写ローラ52を移動してOLED基板22の端に転写ローラ52に貼り付けられた封止基板17の端を当接し、この当接されたOLED基板22の一端から他端へ向かって転写ローラ52の回転動作で封止基板17が貼り合わされる構成とした。
この構成によれば、OLED基板22に封止基板17が端から徐々に空気(窒素)を追い出すように貼り付けられるので、OLED基板22と封止基板17との間に気泡が生じないように封止を行うことができる。
【0037】
また、搬送手段に用いられるローラ(
図3に代表して示すローラ30)は、OLED基材フィルム21に貼り付けられたOLED基板22を封止基板17で封止した状態において当該OLED基材フィルム21から凸状に突き出たOLED基板22及び封止基板17,17aが、搬送方向に通過できる凹部を有する構成とした。
この構成によれば、長尺状のOLED基材フィルム21にOLED基板22及び封止基板17,17aが所定間隔で凸状に貼り付けられていても、その凸状部分が凹部を通りぬけるので、OLED基板22及び封止基板17を破損することなく、連続的にロールツーロールで搬送することができる。
【0038】
また、OLED基板22と封止基板17との形状は、上述した通り封止基板17の方が大きい相似形
である。
これによって、OLED基板22と封止基板17との双方を対向させる際に、双方が相似形なので双方の中心が合うようにすれば位置合わせを高精度に行うことができる。
【0039】
また、OLED基板22に封止基板17を貼り合わせる力F1は、転写ローラ52に当該封止基板17を貼り付ける力F2よりも強くされている構成とした。
この構成によれば、転写ローラ52に貼り付けられた封止基板17を、OLED基板22に貼り合わせて移行(転写)させる際に、容易に行うことができる。
【0040】
また、OLED基材フィルム21に貼り付けられたOLED基板22に封止基板17が貼り合わされた状態で、当該封止基板17を加熱して硬化(可撓性を有する硬化)させる加熱手段としての加熱ローラ45a,45bを更に備える構成とした。
この構成によれば、OLED基板22に封止基板17を貼り合わせた後に、加熱して硬化させるので、OLED基板22への封止基板17の貼り合わせ強度が高くなり、製品フィルム24を高品質に作製することができる。
【0041】
また、搬送手段で搬送されるOLED基材フィルム21の蛇行を検出して蛇行補正を行う蛇行検出補正手段としての蛇行検出センサ40を更に備える構成とした。
この構成によれば、OLED基材フィルム21を常時直線状等の所定進路で搬送することができるので、フィルム21上のOLED基板22の停止等を適正な位置で行うことができる。
【0042】
<第1実施形態の応用例>
上記構成では、転写ローラ52への封止基板17の貼付を人が行うが、自動で行うようにしてもよい。この場合、転写ローラ52における封止基板17をOLED基板22に貼り合わせる貼合位置に対して基板22の径方向に対向する下方側の位置に、封止基板17の供給手段(図示せず)を備える。但し、次に供給手段の説明を行うが、構成要素は図示しないものとする。
【0043】
供給手段は、長尺状フィルムに封止基板17が上記間隔L1{
図2A}で且つ粘着力F2よりも弱い粘着力F3で貼り付けられたロールフィルムを、複数のローラによりロールツーロールで搬送する第1手段を備える。更に、第1手段で搬送されるロールフィルム上の封止基板17を、転写ローラ52の回転に同期させて搬送し、転写ローラ52の貼合位置と対向する下方位置の周回面に当接させながら、ロールフィルムから転写ローラ52に封止基板17を転写させて移行する第2手段とを備えて構成する。
【0044】
この構成によれば次のような効果が得られる。転写ローラ52から封止基板17がOLED基板22に貼り合わされて転写されると、転写ローラ52のその封止基板17が貼り付いていた部分には何も無くなるが、転写ローラ52が更に回転すると、その何も無い部分に、第1手段で搬送されてくるロールフィルム上の封止基板17が、第2手段で転写ローラ52に貼り付けられて転写される。この転写動作が連続して行われるので、転写ローラ52によるOLED基板22への封止基板17の貼り合わせを連続して行うことが可能となる。
【0045】
<第2実施形態の構成>
図6は、本発明の第2実施形態に係る有機EL封止装置60を側面方向から見た主要構成を示す構成図である。但し、
図6に示す有機EL封止装置60において、
図1に示した第1実施形態の有機EL封止装置10に対応する部分には、同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0046】
有機EL封止装置60は、矢印Y1で示すように図示せぬ前工程から、ロールツーロールで搬送されてくる
図2Aに示すOLED基材フィルム21に貼り付けられたOLED基板22に、封止基板17をバッチ処理により
図2Bに示した状態となるように貼り合わせて封止するものである。これにより有機EL照明装置等の電器製品に用いられる製品フィルム24を作製する。なお、有機EL封止装置60は窒素(N
2)環境中に配置されていてもよい。
【0047】
但し、封止基板17はフィルム材やガラス材等により形成され、OLED基板22の表面もフィルム材やガラス材等により形成されている。本実施形態では、各基板17,22の表面共にフィルム材で形成されているとする。
【0048】
有機EL封止装置60は、OLED基材フィルム21を矢印Y1で示す水平方向に搬送するガイドローラ30〜35,35a,35b,36,37と、ダンサーローラ38,39と、ニップローラ41,43と、OLED基板22を封止後の封止基板17を後述のようにUV(紫外線)照射を行って作製した製品フィルム24をロール状に巻き取る最下流側のフィルム巻取り部48とを備える。但し、
図6において硬化後の封止基板17には符号17aを付す。
【0049】
なお、ガイドローラ30〜35,35a,35b,36,37、ダンサーローラ38,39、ニップローラ41,43を、単に、ローラ30〜35,35a,35b,36,37,38,39,41,43ともいう。OLED基材フィルム21及び製品フィルム24も、単に、フィルム21,24という。封止基板17及びOLED基板22を、単に、基板17,22ともいう。
また、フィルム21,24の下側に配置されるローラ30〜35,35a,35b,36,37は、第1実施形態と同様に
図3に示すローラ30と同構成となっている。
【0050】
更に、
図6に示す有機EL封止装置10は、ニップローラ41の下流側に配置された蛇行検出センサ40と、ガイドローラ33及び34間に配置された真空プレス封止機構62と、ガイドローラ35及び35a間に配置されたUV照射器71とを備える。
蛇行検出センサ40は、フィルム21の蛇行を検出し、図示せぬ蛇行補正部を備えて蛇行を補正する蛇行検出補正手段である。
【0051】
真空プレス封止機構62は、下テーブル部63と、上テーブル部64と、ディスペンサ部65と、カメラ部66とを備えて構成されている。
下テーブル部63は、底面が四方枠で囲まれた凹状の外枠テーブル63aと、外枠テーブル63aの凹枠内に配置された平板テーブル63bと、平板テーブル63bの上面側に内蔵された平板状のヒータ63cと、XYZθ移動機構63dとを備えて構成されている。
【0052】
XYZθ移動機構63dは、外枠テーブル63aを、水平に対して垂直な上下方向(双方向矢印Y12)であるZ方向と、フィルム21の搬送方向Y1に沿った双方向のX方向と、当該X方向と水平面上で直交するY方向とに自在に移動させ、更に、外枠テーブル63aの中心を軸として水平面上において当該外枠テーブル63aを時計回り又は反時計回りに所定角度θ回転移動するXYZθ移動機能を有する。更に、XYZθ移動機構63dは、平板テーブル63bもZ方向に移動する機能を有する。
【0053】
また、外枠テーブル63aをY方向である図面に向かって手前方向に移動させ、平板テーブル63bを上方から覗ける状態として、人が封止基板17を平板テーブル63b上に載置してセットするようになっている。
上テーブル部64は、平板形状を成し、OLED基材フィルム21を挟んだ外枠テーブル63aの上方に配置されており、平板形状の下面側(フィルム21の搬送側)にヒータ64aが内蔵されている。
【0054】
ディスペンサ部65は、外枠テーブル63aの凹枠外に配置されており、水平及び垂直方向矢印Y13で示すように、上述したXYZ方向に移動自在であり、平板テーブル63b上にセットされた封止基板17の上に図示せぬUV塗布剤を塗布するものである。この塗布は、封止基板17上に満遍なく又は区画形状等の予め定められた状態に行われる。
【0055】
カメラ部66は、双方向矢印Y14で示すようにフィルム21の搬送方向及びこの逆方向に自在に移動可能であり、上方にレンズ部66aと、下方にレンズ部66bと、これらレンズ部66a,66b間にプリズム等の偏光機構66cとを備えて構成されている。偏光機構66cは、撮影光が上下何れかのレンズ部66a又は66bから入射されるように切り換える機能を有する。
【0056】
上方のレンズ部66aは、上テーブル67の下方所定位置で一旦停止されたフィルム21のOLED基板22の位置合わせ用のマークを撮影し、下方のレンズ部66bは、平板テーブル63bにセットされた封止基板17の位置合わせ用のマークを撮影する。即ち、レンズ部66aで上方のOLED基板22のマークを撮影した後に、偏光機構66cで下方のレンズ部66bに切り換え、このレンズ部66bで下方の封止基板17のマークを撮影するようになっている。但し、各マークは、各基板22,17の搬送方向に沿った両側エッジであってもよい。
【0057】
この撮影により、OLED基板22及び封止基板17の双方のマークが不一致の場合、XYZθ移動機構63dにより封止基板17が載置された外枠テーブル63aをXYZθ移動させて、双方のマークを一致させる。一致後は、カメラ部66は、外枠テーブル63aの枠外へ移動するようになっている。
【0058】
また、XYZθ移動機構63dは、双方のマークが一致した後、外枠テーブル63aを上方向へ移動させ、
図6中に破線枠で示すように、外枠テーブル63aの凹枠内にOLED基板22を収容して上テーブル部64の下面に凹枠上端を隙間なく当接させ、密閉空間を形成する。この後、真空プレス封止機構62の図示せぬ真空ポンプで、その密閉空間の空気(窒素)を抜きとり真空状態とする。この真空状態となった密閉空間において、平板テーブル63bを上方に移動し、封止基板17のUV塗布剤の塗布面をOLED基板22に当接させるようになっている。
【0059】
また、封止基板17をOLED基板22に当接させる場合は、この当接した各基板17,22間からUV塗布剤が食み出さないように行う。つまり、封止基板17へのUV塗布剤の塗布厚が予め定められた厚さに維持される状態に、封止基板17をOLED基板22に当接させるようになっている。因みに、UV塗布剤の量が多いと食み出し易く、少ないと塗布厚が薄くなって後述のUV照射によるUV塗布剤の硬化による封止を適正に行うことができない。そこで、適正な硬化強度で封止が行えるような塗布厚とされるようになっている。
この当接後は、上下のヒータ63c,64aでOLED基板22及び封止基板17を所定温度に加熱して双方の基板22,17をより密着させるようになっている。
【0060】
UV照射器71は、上記のようにUV塗布剤を挟んで密着したOLED基板22と封止基板17とにUVを照射して、UV塗布剤を硬化させ、OLED基板22を封止基板17aでより強硬に封止するものである。但し、上記の硬化は、可撓性を有する硬化である。
【0061】
但し、各フィルム21,24の搬送動作、蛇行検出センサ40での蛇行検出による蛇行補正動作、XYZθ移動機構63dの外枠テーブル63a及び平板テーブル63bの移動動作、ディスペンサ部65の塗布動作、カメラ部66の撮影動作、OLED基板22への封止基板17の位置合わせ動作、真空プレス封止機構62の真空処理動作、ヒータ63c,64aの加熱動作、UV照射器71によるUV照射動作等の有機EL封止装置60に係る動作制御は、
図4に示す制御装置101によって行われるようになっている。
【0062】
<第2実施形態の動作>
次に、
図6に示す有機EL封止装置60によりOLED基板22を封止基板17で封止する動作を、
図7及び
図8に示すフローチャートを参照して説明する。なお、説明中の各動作制御は、制御装置101で行われるものとする。
【0063】
図7に示すステップS11において、
図6に示す平板テーブル63bの上に封止基板17が人によりセットされると、平板テーブル63bが封止基板17の貼り合わせを行うための所定位置に戻され、封止基板17の上面にディスペンサ部65によりUV塗布剤が塗布される。
【0064】
一方、ステップS12において、
図6に矢印Y1で示すように図示せぬ前工程から、ロールツーロールで搬送されてくるOLED基材フィルム21が、各ローラ30〜35,35a,35b,36,37,38,39,41,43を通過して最下流段のフィルム巻取り部48で巻き取られながら搬送される。この際、フィルム21には、ダンサーローラ38,39で弛みが生じないようにテンションが掛けられ、更に、蛇行検出センサ40で蛇行補正が行われ、適正に搬送される。
【0065】
次に、ステップS13において、搬送されるOLED基材フィルム21に貼り付けられたOLED基板22が、上テーブル部64の下面側の所定位置に到達すると、一旦停止されて所定位置で保持される。
この保持後、ステップS14において、カメラ部66により上下のOLED基板22及び封止基板17の双方のマークが撮影される。
【0066】
ステップS15において、その撮影された双方のマークが一致しているか否かが判断される。この結果、不一致(No)と判断された場合、ステップS16において、XYZθ移動機構63dにより、双方のマークが一致するように、封止基板17が平板テーブル63bにセットされた外枠テーブル63aがXYZθ移動される。この移動後は、上記ステップS14で再度撮影が行われ、ステップS15の判断で一致(Yes)と判断されると、ステップS17で、XYZθ移動機構63dにより外枠テーブル63aが上方へ移動される。
この移動により外枠テーブル63aが、
図6中に破線枠で示すように、外枠テーブル63aの凹枠内にOLED基板22を収容して上テーブル部64の下面に凹枠の上端が隙間なく当接され、密閉空間が形成される。
【0067】
この後、
図8に示すステップS18において、真空プレス封止機構62の真空ポンプ(図示せず)で、その密閉空間の空気(窒素)が抜きとられ、真空状態とされる。
次に、ステップS19において、その真空状態となった密閉空間において、平板テーブル63bが上方に移動され、封止基板17のUV塗布剤の塗布面がOLED基板22に所定状態に当接されて保持される。
【0068】
この当接後、ステップS20において、上下のヒータ63c,64aでOLED基板22及び封止基板17が所定温度に加熱され、双方の基板22,17が密着される。
この後、ステップS21において、真空状態が解除されると共に平板テーブル63bが下降され、更に外枠テーブル63aが下降されて、平板テーブル63bへの封止基板17のセット位置に戻される。
【0069】
また、外枠テーブル63aの下降後、ステップS22において、OLED基材フィルム21が停止状態から搬送状態とされ、UV照射器71に到達すると再度停止状態とされる。
この時、上テーブル部64の所定位置には、次のOLED基板22が到達して停止保持状態となり、このOLED基板22に対しては、上記ステップS11〜S20の処理が同様に行われる。
【0070】
次に、ステップS23において、UV照射器71により、UV塗布剤を挟んで密着したOLED基板22と封止基板17とにUVが照射される。これによってUV塗布剤が硬化して、OLED基板22が封止基板17aで強固に封止された状態となる。これにより製品フィルム24が作製される。この製品フィルム24は、ステップS24において、フィルム巻取り部48でロール状に巻き取られる。
【0071】
<第2実施形態の効果>
本実施形態の
図6に示した有機EL封止装置60によれば、次のような効果を得ることができる。
有機EL封止装置60は、長尺状の基板フィルム21aに複数のOLED基板22が搬送方向に予め定められた間隔で貼り付けられて成るOLED基材フィルム21を、複数のローラを用いロールツーロールで搬送する搬送手段と、OLED基材フィルム21の上方に配置される上テーブル部64と、OLED基材フィルム21を介在した上テーブル部64の下方対向位置に配置され、フィルム材又はガラス材による封止基板17を載置(下テーブル部63の構成要素である平板テーブル63bに載置)する下テーブル部63と、下テーブル部63を上下前後左右及び回転方向であるXYZθ方向に自在に移動する移動手段としてのXYZθ移動機構63dと、上テーブル部64に載置された封止基板17上に紫外線で硬化するUV塗布剤を塗布する塗布手段としてのディスペンサ部65と、紫外線(UV)を照射するUV照射手段としてのUV照射器71とを備える。
【0072】
搬送手段は、各ガイドローラ30〜35,35a,35b,36,37、ダンサーローラ38,39、ニップローラ41,43、フィルム巻取り部48の各ローラを用いて構成されている。
そして、搬送手段は搬送されるOLED基材フィルム21を上テーブル部64の下方の予め定められた位置にOLED基板22が配置されるように停止し、XYZθ移動機構63dは、封止基板17が載置された下テーブル部63を上方向へ移動して当該下テーブル部63と上テーブル部64との間で、上記停止したOLED基板22に封止基板17がUV塗布剤を介在して当接するように把持し、その当接したOLED基板22及び封止基板17間のUV塗布剤にUV照射器71でUVを照射する構成とした。
【0073】
この構成によれば、OLED基板22に封止基板17を貼り合わせて封止する製造作業を、ロールツーロールで搬送されるOLED基材フィルム21の各OLED基板22に、下テーブル部63に載置された封止基板17を上方に移動してOLED基板22に当接させ、上テーブル部64との間で把持して貼り合わせることができる。従って、バッチ処理で、OLED基板22への封止基板17の封止作業を行うことができるので、製造作業を効率良く行うことができる。
【0074】
また、下テーブル部63及び上テーブル部64の対向空間を真空状態とする真空手段としての真空ポンプ(図示せず)を更に備え、下テーブル部63と上テーブル部64との間に封止基板17及びOLED基板22が当接状態に把持される前に、真空ポンプにより上記の対向空間を真空状態とし、この真空状態において当該把持を行う構成とした。
【0075】
この構成によれば、真空中で封止基板17をOLED基板22に貼り合わせることができるので、双方の基板17,22間に気泡が介在することなく双方を密着状態に貼り合わせることができる。
【0076】
また、OLED基板22へのUV塗布剤を介在した封止基板17の当接は、UV塗布剤の塗布厚が予め定められた厚さ以上に維持されるように行われる構成とした。
この構成によれば、OLED基板22と封止基板17との間に所定厚さ以上のUV塗布剤が介在されるので、UV照射でUV塗布剤を硬化した際に、封止基板17をOLED基板22にむらなく貼り合わせた状態で硬化させることができる。
【0077】
また、OLED基板22に付された位置合わせ用のマークと、封止基板17に付された位置合わせ用のマークとの双方を撮影する撮影手段としてのカメラ部66を更に備え、OLED基板22及び封止基板17の双方が当接状態に把持される前に、前記カメラ部66で撮影された双方のマークが予め定められた対向状態に一致するように、XYZθ移動機構63dで、封止基板17が載置された下テーブル部63を移動させる構成とした。
この構成によれば、OLED基材フィルム21上のOLED基板22と、下テーブル部63に載置された封止基板17との双方を所定の対向状態に一致させることができる。
【0078】
また、OLED基板22と封止基板17との形状は、上述した通り封止基板17の方が大きい相似形
である。
これによって、OLED基板22と封止基板17との双方を対向させる際に、双方が相似形なので双方の中心が合うようにすれば位置合わせを高精度に行うことができる。
また、搬送手段で搬送されるOLED基材フィルム21の蛇行を検出して蛇行補正を行う蛇行検出補正手段としての蛇行検出センサ40を更に備える構成とした。
この構成によれば、OLED基材フィルム21を直線状態に搬送することができるので、フィルム21上のOLED基板22の停止等を適正な位置で行うことができる。
【0079】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0080】
また、上記の各構成、機能、処理部(制御部)、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウエアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SD(Secure Digital memory)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
更に、OLED基材フィルム21に封止基板17が貼り付けられ、OLED基板22が転写ローラ52又は外枠テーブル63aにセットされている構成であっても良い。