(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記本体接点領域は、前記ソース接点領域間に散在し、前記ソースオーミック接点に接触する複数の本体接点領域を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
前記ソースオーミック接点は、ソース接点区域で前記少なくとも1つのソース接点領域に重なり、かつ該ソースオーミック接点は、本体接点区域で前記本体接点領域に重なり、
前記ウェル領域の最小寸法wlに対する前記ソース接点区域の最小寸法nlの比が、0.2よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
前記ウェル領域の前記最小寸法wlに対する前記ソース接点区域の前記最小寸法nlの前記比は、0.3と1の間であることを特徴とする請求項4に記載の半導体デバイス。
前記ウェル領域の前記最小寸法wlに対する前記ソース接点区域の前記最小寸法nlの前記比は、0.5よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の半導体デバイス。
前記ウェル領域の前記最小寸法wlに対する前記本体接点区域の前記最小寸法plの前記比は、約0.3よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
前記ウェル領域の前記最小寸法wlに対する前記本体接点区域の前記最小寸法plの前記比は、約0.5よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
半導体デバイスのソース接点区域の最小寸法が、前記ソースオーミック接点と前記少なくとも1つのソース接点領域との間の重なりの区域によって定められることを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、本発明の実施形態を示す添付図面を参照して、本発明の実施形態を以下でより完全に説明する。しかし、本発明は、多くの異なる形態に実施することができ、本明細書に説明する実施形態に制限されると解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が十分かつ完全であり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えることになるように提供するものである。同じ数字は、全体を通じて同様な要素を意味する。
【0018】
第1、第2などの用語は、本明細書において様々な要素を説明するために使用することができるが、これらの要素は、これらの用語によって制限すべきでないことは理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。本明細書で使用する時に、用語「及び/又は」は、関連付けられた列挙項目のうちの1つ又はそれよりも多くのいずれか又は全ての組合せを含む。
【0019】
本明細書に使用される術語は、特定の実施形態を説明する目的のみであり、本発明を制限するように想定されているものではない。本明細書で使用する時に、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでないと明確に示す場合を除いて複数形を同様に含むことを意図している。用語「comprises」、「comprising」、「includes」、及び/又は「including」は、本明細書で使用する時に、説明する特徴、整数、段階、作動、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ又はそれよりも多くの他の特徴、整数、段階、作動、要素、構成要素、及び/又はその群の存在又は追加を除外しないことも更に理解されるであろう。
【0020】
特に明記しない限り、本明細書で使用する全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する分野の業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用する用語は、本明細書及び当業技術の関連でのその意味と適合する意味を有すると解釈されなければならず、本明細書で特にそのように定義されない限り、理想化されるか又は過度に形式的な意味に解釈されないことになることは更に理解されるであろう。
【0021】
層、領域、又は基板のような要素が別の要素「上」にある又はその「上に」延びると呼ばれる時に、この要素は、直接にその他の要素上にあり、又は直接にその上に延びることができ、又は介在要素が存在することもできることは理解されるであろう。逆に、要素が別の要素「上に直接に」ある又はその「上に直接に」延びると呼ばれる時に、介在要素は存在しない。要素が別の要素に「接続」している又は「結合」していると呼ばれる時に、この要素は、直接にその他の要素に接続又は結合することができ、又は介在要素が存在することができることも理解されるであろう。逆に、要素が別の要素に「直接に接続」している又は「直接に結合」していると呼ばれる時に、介在要素は存在しない。
【0022】
「下方」又は「上方」又は「上側」又は「下側」又は「水平方向」又は「横方向」又は「垂直方向」のような相対語は、図示する1つの要素、層、又は領域の別の要素、層、又は領域に対する関係を説明するために本明細書で使用することができる。これらの用語は、図で表された方向に加えて、デバイスの様々な方向を包含することを意図することは理解されるであろう。
【0023】
本発明の実施形態は、本発明の理想的な実施形態(及び中間構造)の模式図である断面図を参照して本明細書に説明する。図面における層及び領域の厚みは、明確にするために誇張されている場合がある。加えて、例えば、製作の技術及び/又は公差の結果としてこの図の形状からの変動が予想される。すなわち、本発明の実施形態は、本明細書に示す領域の特定の形状に制限されると解釈すべきではなく、例えば、製造に起因する形状の偏差を含むことになる。例えば、矩形として示される注入領域は、丸い又は湾曲した特徴部を典型的に有し、及び/又は注入領域から非注入領域への個別の変化でなく、そのエッジで注入濃度の勾配を典型的に有することになる。同様に、注入によって形成された埋め込み領域は、埋め込み領域とそれを通って注入が行われる表面との間の領域内に何らかの注入をもたらす場合がある。すなわち、図示の領域は、本質的に概略的であり、それらの形状は、デバイスの領域の実際の形状を示すことを意図せず、かつ本発明の範囲を制限することを意図しない。
【0024】
本発明の一部の実施形態は、層及び/又は領域内の多数キャリア濃度によるn型又はp型のような導電型を有するとして特徴付けられた半導体層及び/又は領域に関連して説明する。従って、n型材料は、負に帯電した電子の多数平衡濃度を有し、それに対して、p型材料は、正に帯電した正孔の多数平衡濃度を有する。一部の材料は、「+」又は「−」を付して示すことができ(n+、n−、p+、p−、n++、n−−、p++、又はp−−などにおけるように)、別の層又は領域と比べて多数キャリアの相対的により大きい(「+」)又はより小さい(「−」)濃度が示されている。しかし、こうした表示は、層又は領域内の多数又は少数キャリアの特定の濃度の存在を意味しない。
【0025】
本発明の一部の実施形態は、高電力及び/又は高温の用途に適切なシリコンカーバイド(SiC)絶縁ゲートデバイスを提供する。
【0026】
図1は、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)デバイス10の回路図である。図示のように、MOSFETデバイスは、一般的に、3つの端子、すなわち、ドレイン端子(D)、ソース端子(S)、及びゲート端子(G)を含む。デバイスのゲート・ツー・ソース電圧は、V
GSで示されており、一方、デバイスのドレイン・ツー・ソース電圧は、V
DSで示されている。デバイスは、デバイスの物理特性に基づいて、内臓ソース抵抗Rs及び内臓ドレイン抵抗R
Dを有する。内臓ソース抵抗R
Sにわたる電圧は、V
RSで示されている。
【0027】
MOSFETデバイスにおいて、ドレインからソースへのデバイスのチャンネルを通過する電流は、ゲートに電圧を印加することによって調節される。ゲートは、二酸化珪素のようなゲート絶縁体によってチャンネルから絶縁されている。ゲート端子の電圧が高まると、デバイスを通過する電流が増大する。
【0028】
図2は、所定のゲート・ツー・ソース電圧(V
GS)に対して、MOSFETデバイスの仮想(曲線102)及び実際(104)のオン状態電流−電圧特性を示すグラフである。
図2に示すように、所定のゲート電圧に対してドレインとソースの間の電圧(V
DS)が高まると、デバイスを通過する電流(I
D)が飽和点まで増大する。実際のデバイスにおいては、トランジスタの実際の飽和電流は、理想的な飽和電流よりも典型的に少ない。この理由の一部は、デバイスのソース抵抗に関連する。
【0029】
特に、デバイスを通過するドレイン電流I
Dが増大すると、ソース抵抗R
Sにわたって低下する電圧の量は正比例して増大する。
図3は、ゲート電圧に対するソース抵抗の影響を示すグラフである。
図3において、ゲート端子からソース端子への電圧がV
GSで示されている。ゲート・ツー・ソース端子間でデバイスに印加されるゲート電圧の一部分は、デバイスの内部ソース抵抗R
Sにわたって低下する。ゲート電圧のその部分は、
図3におけるV
Rsで示されている。ゲート・ツー・ソース電圧の残りの部分は、ゲート絶縁体の両端の電圧として現れ、
図3におけるV
GS,intで示されている。すなわち、V
GSは、V
RsとV
GS,intの和に等しい。
【0030】
図3に示すように、ゲート・ツー・ソース電圧は、ドレイン電流が増加する時に一定のままとすることができる。しかし、デバイスの内部ソース抵抗によって低下するゲート電圧V
GSの部分V
Rsは、ドレイン電流I
Dが増加すると増加し、一方、ゲート絶縁体の両端の電圧として現れるゲート・ツー・ソース電圧の部分V
GS,intは、ドレイン電流I
Dが増加すると減少する。
【0031】
すなわち、ドレイン電流が増大すると、チャンネルを維持するのに使用されているゲート電圧の部分が低下し、これは、デバイスが、ドレイン・ツー・ソース電圧の低いレベルで飽和状態に入る原因になる場合がある。従って、高ソース抵抗は、MOSFET又は他の絶縁ゲート制御デバイスの作動に悪影響を与える場合がある。
【0032】
一部の実施形態によるMOSFET構造のユニットセル10が
図4に示されている。
図1のデバイス10は、n型8°軸外4H−SiC基板12上のnドリフトエピタキシャル層14を含む。nドリフト層14は、約10kVの阻止機能のために約100μmから約120μmの厚みを有することができ、約2×10
14cm
-3から約6×10
14cm
-3のドーピング濃度のn型ドーパントでドープすることができる。他のドーピング濃度/電圧阻止範囲も可能である。1200V MOSFETデバイスに対して、基板は、4°軸外4H−SiCとすることができ、ドリフト層は、約10μmの厚みを有することができ、約6×10
15cm
-3のドーピング濃度のn型ドーパントでドープすることができる。
【0033】
この構造は、例えば、アルミニウムと窒素のそれぞれの選択的注入によって形成することができるp+型ウェル領域18及びn+ソース領域20を更に含む。p+ウェル領域18の接合深さは、約0.5μmとすることができるが、他の深さも可能である。構造10は、ドリフト層14の表面からp+ウェル領域18内に延びるp+接点領域22を更に含む。接合終端(図示せず)をデバイス周囲の周りに設けることができる。
【0034】
注入されたドーパントの全ては、シリコンが過圧されて及び/又はグラファイトフィルムのような封入層によって被覆されて約1600℃の温度で焼き鈍しすることによって活性化することができる。これらの条件なしでは、高温アニールは、シリコンカーバイドエピタキシの表面を損傷する場合がある。シリコン過圧は、シランの存在によって与えることができ、又はシリコン過圧の所定量を与えるシリコンカーバイド被覆物体の近接によって与えることができる。代替的に又はシリコン過圧と組み合わせて、グラファイトコーティングをデバイスの表面上に形成することができる。注入イオンを活性化するためにデバイスをアニールする前に、アニール中に構造の表面を保護するためにグラファイトコーティングを構造の上側/前側に付加することができる。グラファイトコーティングは、従来のレジストコーティング方法によって付加することができ、約1μmの厚みを有することができる。グラファイトコーティングは、ドリフト層14上に結晶性のコーティングを形成するために加熱することができる。注入されたイオンは、例えば、約1600℃又はそれよりも高い温度で不活性ガス内で行うことができる熱アニールによって活性化することができる。特に、熱アニールは、約1600℃の温度でアルゴン中で5分間行うことができる。グラファイトコーティングは、高温アニール中にドリフト層14の表面を保護することを助けることができる。
【0035】
次に、グラファイトコーティングは、例えば、灰化及び熱酸化によって除去することができる。
【0036】
注入焼き鈍しの後、約1μmの厚みを有する二酸化珪素の電界酸化物(図示せず)を堆積させて、デバイスの活性領域を露出するようにパターン化することができる。
【0037】
ゲート酸化物層36は、400−600Åの最終的なゲート酸化物厚を有してゲート酸化処理によって形成することができる。
【0038】
特に、ゲート酸化物は、例えば米国特許第5,972,801号明細書に説明するように、乾燥O
2中のバルク酸化物の成長に続く湿潤O
2中のバルク酸化物のアニールを含む乾燥−湿潤酸化処理によって成長させることができ、この特許は、その全体が本明細書において引用により組み込まれている。本明細書で用いる時に、湿潤O
2中の酸化物のアニールは、O
2及び気化H
2Oの両方を含有する雰囲気中の酸化物のアニールを指す。アニールは、乾燥酸化物成長と湿潤酸化物成長の間に行うことができる。乾燥O
2酸化物成長は、例えば、1200℃までの温度で乾燥O
2中少なくとも約2.5時間にわたって石英管内で行うことができる。乾燥酸化物成長は、バルク酸化物層を望ましい厚みに成長させるために行われる。乾燥酸化物成長の温度は、酸化物成長速度に影響を及ぼす場合がある。例えば、より高い処理温度は、より高い酸化物成長速度をもたらすことができる。最大成長温度は、使用されるシステムに依存すると考えられる。
【0039】
一部の実施形態において、乾燥O
2酸化物成長は、約1175℃の温度及び乾燥O
2中で約3.5時間にわたって行うことができる。得られた酸化物層は、不活性雰囲気中で約1200℃までの温度でアニールすることができる。特に、得られた酸化物層は、1175℃の温度でAr中で約1時間にわたってアニールすることができる。湿潤O
2酸化物アニールは、約950℃又はそれ未満の温度で約1時間にわたって行うことができる。湿潤O
2アニールの温度は、付加的な界面状態を導入する場合があるSiC/SiO
2界面での更なる熱酸化物成長を阻止するために制限することができる。特に、湿潤O
2アニールは、約950℃の温度及び湿潤O
2中で約3時間にわたって行うことができる。得られるゲート酸化物層は、約500Åの厚みを有することができる。
【0040】
一部の実施形態において、乾燥O
2酸化物成長は、約1175℃の温度及び乾燥O
2中で約4時間にわたって行うことができる。得られた酸化物層は、不活性雰囲気中で約1175℃までの温度でアニールすることができる。特に、得られた酸化物層は、1175℃の温度でAr中で30分から2時間の持続時間にわたってアニールすることができる。次に、酸化物層は、1175℃から1300の温度でNO雰囲気中で30分から3時間の持続時間にわたってアニールを受ける。得られるゲート酸化物層は、約500Åの厚みを有することができる。
【0041】
ゲート酸化物34の形成後に、ポリシリコンゲート32を堆積させ、例えば、ホウ素でドープすることができ、ゲート抵抗を低下させるための金属化処理が続く。Al/Ni接点をp型オーミックソース接点金属28として堆積させることができ、Niをn型ドレイン接点金属26として堆積させることができる。全ての接点は、「急速熱焼き鈍し器(RTA)」内で焼結させることができ、厚いTi/Au層をパッド金属に使用することができる。
【0042】
図4を参照すると、MOSFETデバイスのソース抵抗は、2つの主要構成要素、すなわち、ソースオーミック接点34とソース領域20の間の接触抵抗R
Cと、ソースオーミック接点34とチャンネルの間のソース領域20内のシート抵抗R
sheetとを有する。すなわち、R
S=R
C+R
sheetである。従来のシリコンベースのMOSFETデバイスでは、シリコン及び他の狭バンドギャップ半導体との非常に低抵抗のオーミック接点を形成することが可能であるので、シート抵抗R
sheetは、ソース抵抗を判断する際の支配的なファクタである。しかし、シリコンカーバイド及び窒化ガリウムのような化合物半導体、ダイヤモンド、及びZnOを含む広バンドギャップ半導体(すなわち、約2.0Vよりも大きいバンドギャップを有する半導体)では、接触抵抗R
Cは、ソース抵抗に支配的に寄与する場合がある。特に、シリコンカーバイド及び他の広バンドギャップ材料との非常に低抵抗のオーミック接点を形成することは、こうした材料に伴う高いエネルギ障壁のために困難である。
【0043】
図5及び
図6は、従来の電力MOSFETデバイスのレイアウトを示す平面図である。従来の電力MOSFETデバイスでは、接触抵抗がシート抵抗ほど重要でないという仮定の下で、シート抵抗を低減又は最小にするようにレイアウトが設計される。すなわち、
図5を参照すると、従来の電力MOSFETデバイスは、ドリフト層14内に形成されたpウェル18、pウェル18内のn+ソース領域20、及びn+ソース領域20内のp+接点領域22を典型的に含む。
図6を参照すると、ソース接点34は、n+ソース領域20及びp+接点領域22上に形成されている。ゲート32は、pウェル18上に形成され、n+ソース領域20の周囲とドリフト層14の隣接部分とに重なっている。ドレインからソースへの電流の流れは、
図5に矢印42で示されている。
【0044】
上述したように、広バンドギャップ半導体材料システムでは、ソース抵抗は、ソースオーミック接点の接触抵抗によってソース層のシート抵抗よりもより多く影響を受ける場合がある。従って、広バンドギャップ電力半導体デバイスのソース抵抗を低減するためには、ソースオーミック接点の接触抵抗を低減することが望ましい場合がある。一般的に、接触抵抗は、あらゆる方向の接点の最も小さい寸法である接点の最小寸法を増大させることによって低減することができる。しかし、電子デバイスのソースオーミック接点の最小寸法を単純に増大させることは、デバイスのセル対セル間隔又はピッチを望ましくなく増大させる場合がある。MOSFETデバイスのピッチは、デバイスのpウェル領域の幅に比例すると考えられる。デバイスのピッチの増大は、単一基板上に形成することができるデバイスの密度を低下させ、生産されるデバイスを低減し、かつ製造コストを増大させる。
【0045】
一部の実施形態により、デバイスのピッチ及び/又はデバイスのp型ウェル領域の幅を増大させることなく、ソースオーミック接点の最小寸法を増大させる絶縁ゲート型デバイスのレイアウトを提供する。一部の実施形態によるデバイスレイアウトは、デバイスのシート抵抗を増大させる場合がある。こうした効果は、狭バンドギャップ半導体材料に基づくデバイスにおいては非常に望ましくない。しかし、シート抵抗は、広バンドギャップデバイスのソース抵抗を判断する際の支配的なファクタではないので、このようなトレードオフは、広バンドギャップデバイスにとって受容可能であると考えられる。一部の実施形態によるデバイスにおいて、ソース接点抵抗に対するソースシート抵抗の比は、0.75よりも大きい場合がある(すなわち、R
sheet/R
C>0.75)。一部の実施形態において、デバイスは、ソースシート抵抗よりも小さいソース接点抵抗を有する場合がある。すなわち、一部の実施形態において、ソース接点抵抗に対するソースシート抵抗の比は、1よりも大きい場合があり(すなわち、R
sheet/R
C>1)、更に別の実施形態において、ソース接点抵抗に対するソースシート抵抗の比は、5よりも大きい場合がある。
【0046】
図7及び
図8は、一部の実施形態によるMOSFETデバイスセル100のレイアウトを示す平面図であり、
図9及び
図10は、一部の実施形態によるMOSFETデバイスのセルの部分断面図である。特に、
図9は、
図8のA−A’線に沿った断面図であり、一方、
図10は、
図8のB−B’線に沿った断面図である。
【0047】
図7から
図10に示すデバイス100は、n型8°軸外4H−SiC基板112上のnドリフトエピタキシャル層114を含む。nドリフト層114は、約10kVの阻止機能に関して約100μmから約120μmの厚みを有することができ、から約2×10
14cm
-3から約6×10
14cm
-3のドーピング濃度のn型ドーパントでドープすることができる。1200V MOSFETデバイスに関して、基板は、4°軸外4H−SiCとすることができ、ドリフト層は、約10μmの厚みを有することができ、から約6×10
15cm
-3のドーピング濃度のn型ドーパントでドープすることができる。
【0048】
この構造は、例えば、アルミニウム及び窒素のそれぞれの選択的注入によって形成することができるp+型ウェル領域118及びn+ソース領域120を更に含む。p+ウェル領域118の接合深さは、約0.5μmとすることができる。構造100は、ドリフト層114の表面からp+領域118内に延びるp+接点領域122を更に含む。接合終端(図示せず)をデバイス周囲に設けることができる。
【0049】
図7を参照すると、n+ソース領域120は、pウェル118の対向するチャンネル領域125に平行な1対の横方向ソース領域120Aを含む。複数のソース接点領域120Bが、横方向ソース領域120Aの間を延び、複数のp+接点領域122が、ソース接点領域120Bの間に設けられる。
【0050】
図8を参照すると、ゲート接点132が、チャンネル領域125の上に形成され、かつ横方向ソース領域120Aと重なる。ソースオーミック接点134は、ソース接点領域120B及びp+接点領域122にわたって形成される。ソースオーミック接点134は、
n型接点領域136においてソース接点領域120Bと重なる。ソースオーミック接点134は、本体接点領域138においてp+接点領域122と重なる。
【0051】
ソースオーミック接点134が接触するソース接点領域120Bの部分は、同様なピッチ/pウェルサイズに対して
図5及び
図6に示すレイアウトのような従来のレイアウトで得ることができる最小寸法よりも大きい最小寸法を有することができる。従って、デバイスピッチ/pウェルサイズを実質的に増大させることなくソース接点抵抗を低減することができる。特徴部の「最小寸法」とは、特徴部のあらゆる断面における特徴部の最小の幅を指す。例えば、本体接点領域138の最小寸法pi、n型接点領域136の最小寸法nl、及びpウェル領域の最小寸法wlが
図8に示されている。
【0052】
図7及び
図8に示すようなレイアウトを有するデバイスにおいては、ソース接点への電流フローは、
図7の矢印142によって示すようにソース接点領域120Bを通って流れる。ソース接点領域120Bは、
図5及び
図6に示すような従来のレイアウトを有するデバイスのソース領域と比較して高いシート抵抗を有する場合がある。しかし、シート抵抗における増大は接触抵抗の低下で補うことができるものよりも大きく、従って、ソース抵抗における全体的な低減を与える場合がある。
【0053】
図11は、一部の実施形態による7mm×8mm1200 VシリコンカーバイドMOSFETデバイスに関するオン状態の電流−電圧特性を示すグラフである。
図11に示すデバイス特性において、377Aのドレイン電流(I
D)が、3.8Vの順方向ドレイン・ツー・ソース電圧(VDS)で測定された。活性領域に対して正規化された電流密度は、750A/cm
2を超えていた。
【0054】
MOSFETデバイスのオン抵抗は、デバイスのドレイン抵抗、チャンネル抵抗、及びソース抵抗によって影響を受ける。従って、デバイスのソース抵抗を低減することは、デバイスのオン抵抗も低減する。
【0055】
一部の実施形態によるレイアウトを有する広バンドギャップMOSFETデバイスは、デバイスのより低いオン抵抗と、増大した電流レベルがゲート上に低い脱バイアス効果を有するという事実とより、実質的に増大した飽和電流が可能である場合がある。すなわち、より低いソース抵抗のために、ドレイン電流が増大する時にソース抵抗によってより低い電圧が発現する。従って、より大きいゲート・ツー・ソース電圧が、デバイスのチャンネルに印加される。
【0056】
図12は、一部の実施形態によるレイアウトを有するデバイスの理想化された断面図である。特に、
図12は、一部の実施形態によるレイアウトを有するデバイスのいくつかの寸法を示している。例えば、
図12に示すように、注入したセル区域(すなわち、pウェル118)の最小寸法は、
図12での幅wlとして表される。しかし、pウェル118の最小寸法は、
図12に示すデバイスの平面とは異なる方向で生じる場合があることは認められるであろう。例えば、pウェル118の最小寸法は、
図12に示すデバイスの平面に垂直な方向で生じる場合がある。
【0057】
n型接点区域の最小寸法は、
図12で幅nlとして表され、一方、p型接点区域の最小寸法は、
図12で幅plとして表される。n型接点区域は、ソースオーミック接点
134とn+ソース領域120の間の重なった区域として定義され、一方、p型接点区域は、ソースオーミック接点
134とp+接点領域122の間の重なった区域として定義される。
【0058】
一部の実施形態による絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)デバイス200が
図13に示されている。図示のように、IGBTデバイスは、p型エピタキシャル層212上にnドリフトエピタキシャル層214を含む。p型エピタキシャル層212は、高濃度ドープのp型8°軸外4H−SiC基板又は層210上に形成される。nドリフト層214は、約10kVの阻止機能に関して約100μmから約120μmの厚みを有することができ、かつ約2×10
14cm
-3から約6×10
14cm
-3のドーピング濃度でp型ドーパントをドープすることができる。
【0059】
IGBT構造200は、例えば、アルミニウムと窒素をそれぞれ選択的に注入することによって形成することができるp+型ウェル領域218及びn+ソース領域220を更に含む。p+ウェル領域218の接合深さは、約0.5μmとすることができる。構造200は、ドリフト層214の表面からp+領域218内に延びる複数のp+本体接点領域222を更に含む。一部の実施形態において、導電型は、反転することができる。
【0060】
ゲート接点232は、ゲート絶縁体236上に存在し、ソース/エミッタ接点234は、ソース接点領域220及び本体接点領域222上に存在する。コレクター接点226は、基板210に接触する。
【0061】
一部の実施形態により、トランジスタデバイスは、0.2よりも大きいwlに対するnlの比を有することができる。更に別の実施形態において、トランジスタデバイスは、0.3よりも大きいwlに対するnlの比を有することができる。更に別の実施形態において、トランジスタデバイスは、0.2から1の範囲にあるwlに対するnlの比を有することができる。更に別の実施形態において、トランジスタデバイスは、0.3から1の範囲にあるwlに対するnlの比を有することができる。更に別の実施形態において、トランジスタデバイスは、0.5よりも大きいwlに対するnlの比を有することができる。例えば、一部の実施形態によるレイアウトを有するデバイスのn型接点区域の最小寸法は、6μmの注入セル区域の最小寸法を有するデバイスに対して約2μmとすることができる。
【0062】
一部の実施形態により、トランジスタデバイスは、0.2よりも大きいwlに対するplの比を有することができる。更に別の実施形態において、トランジスタデバイスは、0.3よりも大きいwlに対するplの比を有することができる。更に別の実施形態において、トランジスタデバイスは、0.5よりも大きいwlに対するplの比を有することができる。更に別の実施形態において、トランジスタデバイスは、0.2から0.5の範囲にあるwlに対するplの比を有することができる。更に別の実施形態において、トランジスタデバイスは、0.2から1の範囲にあるwlに対するplの比を有することができる。
【0063】
一部の実施形態は、増大した電流密度を有するトランジスタデバイスを提供する。電流密度は、チップの面積で除した全電流として定義される。例えば、一部の実施形態による広バンドギャップトランジスタデバイスは、200A/cm
2を超える電流密度及び1000V又はそれよりも高い阻止電圧が可能である場合がある。更に別の実施形態による広バンドギャップトランジスタデバイスは、200A/cm
2を超える電流密度の100Aの電流、5V未満の順方向電圧降下、及び1000V又はそれよりも高い阻止電圧が可能である場合がある。更に別の実施形態による広バンドギャップトランジスタデバイスは、300A/cm
2を超える電流密度の100Aの電流、5V未満の順方向電圧降下、及び1000V又はそれよりも高い阻止電圧が可能である場合がある。
【0064】
一部の実施形態による半導体デバイスは、1000ボルトを超える逆方向阻止電圧と、100Aよりも大きい電流での200アンペア毎平方センチメートルよりも大きい電流密度とを有する。
【0065】
更に別の実施形態による半導体デバイスは、1000V又はそれよりも高い逆方向阻止電圧と、5ボルト又はそれ未満の順方向電圧降下での100Aよりも大きい順方向電流機能とを有する。
【0066】
一部の実施形態による金属酸化物半導体電界効果トランジスタデバイスは、1200ボルト又はそれよりも高い逆方向阻止電圧と、100Aよりも大きい順方向電流機能とを有する。
【0067】
一部の実施形態による金属酸化物半導体電界効果トランジスタデバイスは、1000ボルト又はそれよりも高い逆方向阻止電圧と、8ミリオーム−cm
2未満の差動オン抵抗とを有する。
【0068】
半導体デバイスは、1000V未満の阻止電圧を有し、かつ5V又はそれ未満の順方向電圧降下で200アンペア毎平方センチメートルよりも大きい電流密度の順方向電流を通過させるように構成される。
【0069】
一部の実施形態は、広バンドギャップトランジスタデバイスが、20μm未満のセルピッチを有するデバイスにおいて4ボルト未満であるドレイン・ツー・ソース電圧で100アンペア又はそれよりも大きいドレイン電流を達成することを可能にすることができる。一部の実施形態は、広バンドギャップトランジスタデバイスが、10μm未満のセルピッチを有するデバイスにおいて4ボルト未満であるドレイン・ツー・ソース電圧で100アンペア又はそれよりも大きいドレイン電流を達成することを可能にすることができる。一部の実施形態は、広バンドギャップトランジスタデバイスが、10μm未満のセルピッチを有するデバイスにおいて5ボルト未満であるドレイン・ツー・ソース電圧で80アンペア又はそれよりも大きいドレイン電流を達成することを可能にすることができる。
【0070】
10kV又はそれよりも高い電圧阻止機能を有する一部の実施形態によるIGBTは、100A/cm
2の電流密度で5.2V又はそれ未満の順方向電圧降下を伴って14ミリオーム−cm
2未満の差動固有オン抵抗を有することができる。
【0071】
一部の実施形態によるp型絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(p−IGBT)デバイス300が
図14に示されている。図示のように、IGBTデバイスは、n型8°軸外4H−SiC基板310上に形成されたp型フィールドストップバッファ層311上にp−ドリフトエピタキシャル層314を含む。p−ドリフト層314は、約100μmから約200μmの厚みを有し、かつ約2×10
14cm
-3から約6×10
14cm
-3のドーピング濃度でp型ドーパントをドープすることができる。
【0072】
p−IGPT構造300は、例えば、アルミニウムと窒素のそれぞれの選択的注入によって形成することができるn+型ウェル領域318及びp+ソース/エミッタ領域320を含む。p+ウェル領域318の接合深さは、約0.5μmとすることができるが、他の深さも可能である。構造300は、ドリフト層314の表面からn+ウェル領域318内に延びる複数のn+本体接点領域322を更に含む。
【0073】
ゲート接点332は、ゲート絶縁体336上にあり、ソース/エミッタ接点334は、ソース接点領域320及び本体接点領域上にある。コレクター接点326は、基板310に接触する。
【0074】
図14に示すような4H−SiCp−IGBTは、ドリフト層314としての2×10
14cm
-3ドープの140μm厚p型エピ層と、1×10
17cm
-3から5×10
17cm
-3の範囲のドーピング濃度を有する2μm厚p型フィールドストップバッファ層311とを用いて製作された。マルチゾーンJTE(15ゾーン)エッジ終端構造(図示せず)が、窒素イオン注入によって形成された。JTE終端は、例えば、米国特許第6,002,159号明細書に説明されており、この特許は引用によって本明細書に組み込まれている。MOSチャンネルが、注入されたn−ウェル318上に形成された。50nm厚の熱成長酸化物層が、ゲート絶縁体336として使用された。
【0075】
図15は、
図14に示すp−IGBTデバイスの−50mVで固定したV
DSでのI
D−V
QS特性を示している。I
D−V
QS特性は、同じウェーハ上に製作された200μm/200μmのW/Lを有する試験MOSFETから測定された。−10Vの閾値電圧及び10cm
2/VsのピークMOSチャンネル移動度が、I
D−V
GS特性から抽出された。
【0076】
図16Aは、0.16cm
2の活性面積を有する6.7mm×6.7mm4H−SiC P−IGBTの室温での阻止機能(VGE=0V)を示している。プローブ機器の制約のために、測定電圧は、−15kVまでに制限された。デバイスは、0.6μAの漏れ電流を示し、これは、−15kVのV
CEでの1.2μA/cm
2の漏れ電流密度に対応する。これは、SiC電力スイッチにおいてこれまで報告された最高の阻止電圧である。
図16Bは、Tektronix371曲線トレーサを用いて測定されたp−IGBTのパルスオン状態I−V特性を示している。デバイスは、−145Aのオン状態電流を示し、これは、−22.5VのV
CE及び−20VのV
GEでの906A/cm
2の電流密度を表している。寄生サイリスタのラッチアップの証拠は、この測定中に観察されなかった。
図16Cは、室温から300℃の範囲の温度に関する4H−SiC P−IGBTのIC−VQE特性を示している。この測定に対しては、V
CEは、−10Vに固定された。I−V特性は、上昇した温度でゼロに向けてシフトした。しかし、デバイスは、この温度範囲を通じて常時オフ特性を維持した。
図16Dは、オン状態I−V特性を温度の関数として示している。この測定に対しては、V
GEは、−20Vに固定された。温度上昇に伴い、順方向電圧降下における単調な減少が観察された。これは、上昇した温度でのキャリア寿命の増大によって生じる少数キャリア(電子)拡散長の増大に起因すると考えられる。
【0077】
従って、一部の実施形態によるp−IGBTは、約10kVよりも大きく、一部の実施形態において約13kVよりも大きい逆方向阻止電圧と、5アンペアよりも大きい順方向電流機能を有する逆方向阻止電圧とを有することができる。
【0078】
本発明の一部の実施形態は、n型ドリフト層を有するシリコンカーバイドIGBT及びMOSFETデバイスに関連して説明したが、本発明は、これに制限されず、p型基板及び/又はドリフト層を有するデバイスに具現化することができることは認められるであろう。更に、本発明は、以下に制限されるものではないが、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)、MOS制御サイリスタ(MCT)、絶縁ゲート整流サイリスタ(IGCT)、接合電界効果トランジスタ(JFET)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)などを含む多くの様々なタイプのデバイスに使用することができる。
【0079】
図面及び本明細書において、本発明の典型的な実施形態を開示し、特定の用語を使用したが、それらは、一般的及び説明的な意味のみで使用されて制限の目的では用いられず、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に示されている。