(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6066591
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】切削方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20170116BHJP
B28D 1/24 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
H01L21/78 F
B28D1/24
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-132750(P2012-132750)
(22)【出願日】2012年6月12日
(65)【公開番号】特開2013-258235(P2013-258235A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】廣沢 俊一郎
【審査官】
内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−085365(JP,A)
【文献】
特開2001−105425(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3171190(JP,U)
【文献】
特開平05−063076(JP,A)
【文献】
特開平01−271178(JP,A)
【文献】
特開昭58−007006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B28D 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物に所望の幅を有する切削溝を形成する切削方法であって、
スピンドルに第1の幅を有する切削ブレードが装着された切削手段と、被加工物を回転可能に保持するチャックテーブルと、該切削手段と該チャックテーブルとをX軸方向に相対移動させるX軸移動手段と、該切削手段と該チャックテーブルとを該X軸方向に直交するY軸方向に相対移動させるY軸移動手段と、を備えた切削装置を準備する準備ステップと、
該チャックテーブルで切削予定ラインが設定された被加工物を保持する保持ステップと、
該保持ステップを実施した後、該切削ブレードと該チャックテーブルとを相対移動させつつ該切削ブレードで該切削予定ラインに沿って被加工物を切削する切削ステップと、
該準備ステップを実施した後、形成する切削溝の該所望の幅に基づいて該スピンドルを該X軸方向と該Y軸方向とによって規定される平面で傾けて、該スピンドルに装着された該切削ブレードを該X軸方向に対して所定角度傾斜させるスピンドル傾斜ステップと、を備え、
該切削ステップは、該切削ブレードが該切削予定ラインに対して傾斜した状態で切削が遂行される傾斜切削を含み、
該傾斜切削では、該X軸移動手段で該切削手段と該チャックテーブルとを相対移動させて該切削ブレードで該切削予定ラインに沿って被加工物を切削して該所望の幅を有する切削溝を形成することを特徴とする切削方法。
【請求項2】
被加工物に所望の幅を有する切削溝を形成する切削方法であって、
スピンドルに第1の幅を有する切削ブレードが装着された切削手段と、被加工物を回転可能に保持するチャックテーブルと、該切削手段と該チャックテーブルとをX軸方向に相対移動させるX軸移動手段と、該切削手段と該チャックテーブルとを該X軸方向に直交するY軸方向に相対移動させるY軸移動手段と、を備えた切削装置を準備する準備ステップと、
該チャックテーブルで切削予定ラインが設定された被加工物を保持する保持ステップと、
該保持ステップを実施した後、該切削ブレードと該チャックテーブルとを相対移動させつつ該切削ブレードで該切削予定ラインに沿って被加工物を切削する切削ステップと、
該保持ステップを実施した後、該チャックテーブルを所定角度回転して該X軸方向に対して被加工物の該切削予定ラインをθ傾ける回転ステップと、を備え、
該切削ステップは、該切削ブレードが該切削予定ラインに対して傾斜した状態で切削が遂行される傾斜切削を含み、
該傾斜切削では、該チャックテーブルに保持された被加工物の該切削予定ラインの切削開始点に該切削ブレードを切り込ませるとともに、Y=tanθ・Xの一次関数に沿って該X軸移動手段で該X軸方向に該切削手段と該チャックテーブルとを相対移動させるとともに、該Y軸移動手段で該Y軸方向に該切削手段と該チャックテーブルとを相対移動させることで該切削予定ラインを切削し、該切削予定ラインに沿って該第1の幅より広い第2の幅の切削溝を形成することを特徴とする切削方法。
【請求項3】
前記切削ステップで形成される前記切削溝は、被加工物を完全切断しない第1の深さを有しており、
該切削ステップを実施した後、前記切削ブレードと該切削溝とを整列させた状態で該切削溝を該切削ブレードで切削して被加工物を完全切断する完全切断ステップ、を更に備えることを特徴とする請求項1又は2記載の切削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削予定ラインが設定された被加工物を切削ブレードで切削する切削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に複数の切削予定ラインが格子状に形成された半導体ウエーハや光デバイスウエーハ、ガラスや各種セラミックス、樹脂等の被加工物は、例えば、特開2000−015626号公報に開示されるような切削ブレードを備えた切削装置で切削される。
【0003】
切削装置としては、一般にダイシング装置と呼ばれる切削装置が用いられており、この切削装置では、ダイアモンドやCBN(Cubic Boron Nitride)等の超砥粒をメタルやレジンで固めて厚さ10〜300μm程度とした切削ブレードが約30000rpmと高速回転しつつ被加工物へ切り込むことで切削が遂行される。
【0004】
このような切削ブレードによる切削加工では、被加工物の切削された領域は切削屑として除去される。使用する切削ブレードの厚みに応じて形成される切削溝の幅が決定されるため、例えば、CSP(Chip Size Package)基板等のパッケージ基板のように切削予定ラインが形成されている被加工物の場合には、所望のチップサイズに応じて所定の厚みの切削ブレードに変更する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−015626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、チップサイズに応じて所定の厚みの切削ブレードに交換すると、新たに取り付けた切削ブレードの真円出しや目立て作業、セットアップと呼ばれる切削ブレードの高さ方向の原点出し作業等の各種作業が必要となり、非常に手間がかかるという問題がある。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、一定幅の切削ブレードで所望の幅の切削溝を形成可能な切削方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明によると、被加工物に所望の幅を有する切削溝を形成する切削方法であって、スピンドルに第1の幅を有する切削ブレードが
装着された切削手段と、被加工物を回転可能に保持するチャックテーブルと、該切削手段と該チャックテーブルとをX軸方向に相対移動させるX軸移動手段と、該切削手段と該チャックテーブルとを該X軸方向に直交するY軸方向に相対移動させるY軸移動手段と、を備えた切削装置を準備する準備ステップと、該チャックテーブルで切削予定ラインが設定された被加工物を保持する保持ステップと、該保持ステップを実施した後、該切削ブレードと該チャックテーブルとを相対移動させつつ該切削ブレードで該切削予定ラインに沿って被加工物を切削する切削ステップと、
該準備ステップを実施した後、形成する切削溝の該所望の幅に基づいて該スピンドルを該X軸方向と該Y軸方向とによって規定される平面で傾けて、該スピンドルに装着された該切削ブレードを該X軸方向に対して所定角度傾斜させるスピンドル傾斜ステップと、を備え、該切削ステップは、該切削ブレードが該切削予定ラインに対して傾斜した状態で切削が遂行される傾斜切削を含
み、該傾斜切削では、該X軸移動手段で該切削手段と該チャックテーブルとを相対移動させて該切削ブレードで該切削予定ラインに沿って被加工物を切削して該所望の幅を有する切削溝を形成する切削方法が提供される。
【0009】
請求項2記載の発明によると、
被加工物に所望の幅を有する切削溝を形成する切削方法であって、スピンドルに第1の幅を有する切削ブレードが装着された切削手段と、被加工物を回転可能に保持するチャックテーブルと、該切削手段と該チャックテーブルとをX軸方向に相対移動させるX軸移動手段と、該切削手段と該チャックテーブルとを該X軸方向に直交するY軸方向に相対移動させるY軸移動手段と、を備えた切削装置を準備する準備ステップと、該チャックテーブルで切削予定ラインが設定された被加工物を保持する保持ステップと、該保持ステップを実施した後、該切削ブレードと該チャックテーブルとを相対移動させつつ該切削ブレードで該切削予定ラインに沿って被加工物を切削する切削ステップと、該保持ステップを実施した後、該チャックテーブルを所定角度回転して該X軸方向に対して被加工物の該切削予定ラインをθ傾ける回転ステップと、を備え、該切削ステップは、該切削ブレードが該切削予定ラインに対して傾斜した状態で切削が遂行される傾斜切削を含み、該傾斜切削では、該チャックテーブルに保持された被加工物の該切削予定ラインの切削開始点に該切削ブレードを切り込ませるとともに、Y=tanθ・Xの一次関数に沿って該X軸移動手段で該X軸方向に該切削手段と該チャックテーブルとを相対移動させるとともに、該Y軸移動手段で該Y軸方向に該切削手段と該チャックテーブルとを相対移動させることで該切削予定ラインを切削し、該切削予定ラインに沿って該第1の幅より広い第2の幅の切削溝を形成する切削方法が提供される。
【0011】
請求項
3記載の発明によると、前記切削ステップで形成される前記切削溝は、被加工物を完全切断しない第1の深さを有しており、該切削ステップを実施した後、前記切削ブレードと該切削溝とを整列させた状態で該切削溝を該切削ブレードで切削して被加工物を完全切断する完全切断ステップ、を更に備える切削方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1
又は2記載の切削方法によると、切削ステップが、切削ブレードが切削予定ラインに対して傾斜した状態で切削が遂行される傾斜切削を含むので、一定の幅の切削ブレードで所望の幅の切削溝を形成することができる。
【0013】
請求項
1記載の発明によると、形成する切削溝の幅に基づいて、切削ブレードがX軸方向に対して所定角度傾斜された状態で切削が遂行されるため、所望の幅の切削溝を形成することができる。
【0014】
請求項
2記載の発明によると、チャックテーブルをθ回転させてX軸方向に対して被加工物の切削予定ラインをθ傾けた後、第1の幅を有する切削ブレードと被加工物とをX軸方向に相対移動させつつY軸方向にも相対移動させることで、切削ブレードが切削予定ラインに対して傾いた状態で切削が遂行されるため、第1の幅より広い第2の幅の切削溝を形成することができる。
【0015】
請求項
3記載の発明によると、切削ブレードを変更することなくステップカットを実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の切削方法を実施するのに適した切削装置の斜視図である。
【
図2】本発明第1実施形態の切削方法におけるスピンドル傾斜ステップを説明する平面図である。
【
図3】第1実施形態の切削方法の切削ステップを説明する平面図である。
【
図4】第1実施形態の切削方法でステップカットを実施する様子を示す平面図であり、
図4(A)はハーフカット、
図4(B)はフルカットを実施する様子をそれぞれ示している。
【
図5】切削ブレードと切削予定ラインが整列した状態の平面図である。
【
図6】本発明第2実施形態の切削方法の回転ステップを説明する平面図である。
【
図7】第2実施形態の切削方法での切削ステップを説明する平面図である。
【
図8】第2実施形態の切削方法で形成された切削溝と切削ブレードとの関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1を参照すると、本発明の切削方法を実施するのに適した切削装置2の斜視図が示されている。切削装置2は、静止基台4上に搭載されたX軸方向に伸長する一対のガイドレール6を含んでいる。
【0018】
X軸移動ブロック8は、ボールねじ10及びパルスモータ12とから構成されるX軸送り機構14により加工送り方向、即ちX軸方向に移動される。X軸移動ブロック8上には円筒状支持部材22を介してチャックテーブル20が搭載されている。
【0019】
チャックテーブル20は多孔性セラミックス等から形成された吸引保持部24を有している。チャックテーブル20には
図2に示す環状フレームFをクランプする複数(本実施形態では4個)のクランプ26が配設されている。
【0020】
図2に示すように、被加工物の一種である半導体ウエーハ11の表面11aにおいては、複数の切削予定ライン13が格子状に形成されており、交差する切削予定ライン13によって区画された各領域にLSI等のデバイス15が形成されている。
【0021】
半導体ウエーハ(以下単にウエーハと略称することがある)11は粘着テープであるダイシングテープTに貼着され、ダイシングテープTの外周部は環状フレームFに貼着されている。
【0022】
これにより、ウエーハ11はダイシングテープTを介して環状フレームFに支持された状態となり、ウエーハ11をダイシングテープTを介してチャックテーブル20上に搭載し、
図1に示すクランプ26により環状フレームFをクランプすることにより、チャックテーブル20上に支持固定される。
【0023】
X軸送り機構14はガイドレール6に沿って静止基台4上に配設されたスケール16と、スケール16のX座標値を読み取るX軸移動ブロック8の下面に配設された読み取りヘッド18とを含んでいる。読み取りヘッド18は切削装置2の図示しないコントローラに接続されている。
【0024】
静止基台4上には更に、Y軸方向に伸長する一対のガイドレール28が固定されている。Y軸移動ブロック29がガイドレール28上に搭載されており、Y軸移動ブロック29は、ボールねじ32及びパルスモータ34とから構成されるY軸送り機構(割り出し送り機構)36によりY軸方向に移動される。
【0025】
Y軸移動ブロック29上には、コラム30が回転可能に搭載されている。コラム30にはZ軸方向に伸長する一対(一本のみ図示)のガイドレール38が形成されている。Z軸移動ブロック40は、図示しないボールねじとパルスモータ42とから構成されるZ軸送り機構44によりガイドレール38に案内されてZ軸方向に移動される。
【0026】
46は切削ユニットであり、切削ユニット46のスピンドルハウジング48がZ軸移動ブロック40中に挿入されて支持されている。スピンドルハウジング48中にはスピンドル49(
図2参照)が収容されて、エアベアリングにより回転可能に支持されている。スピンドル49はスピンドルハウジング48中に収容された図示しないモータにより回転駆動され、スピンドル49の先端部には切削ブレード50が着脱可能に装着されている。
【0027】
スピンドルハウジング48にはアライメントユニット52が搭載されている。アライメントユニット52はチャックテーブル20に保持された被加工物を撮像する撮像ユニット54を有しており、切削ブレード50と撮像ユニット54はX軸方向に整列して配置されている。
【0028】
本発明の切削方法の切削対象となる被加工物は、
図2に示す切削予定ライン13が格子状に形成された半導体ウエーハ11、光デバイスウエーハ等のウエーハ、ガラスや各種セラミックス、樹脂等の被加工物を含むものである。更に、切削予定ラインが被加工物に形成されていない被加工物も含む。この場合には、作業者が切削予定ラインを設定して切削装置のコントローラに記憶する。
【0029】
次に、
図2乃至
図4を参照して、本発明第1実施形態の切削方法について説明する。以下の説明においては、被加工物は半導体ウエーハ11であるものとして説明する。第1実施形態の切削方法では、まず、チャックテーブル20で切削予定ライン13が形成されたウエーハ11を保持する保持ステップを実施する。
【0030】
保持ステップ実施後又は実施する前、
図2に示すように、形成する切削溝の所望の幅に基づいてスピンドル49をX軸方向とY軸方向とによって規定される平面で所定角度θ傾けて、スピンドル49に装着された切削ブレード50をX軸方向に対してθ傾斜させるスピンドル傾斜ステップを実施する。
【0031】
スピンドル傾斜ステップ実施後、
図3に示すように、切削ブレード50をX軸方向に対してθ傾斜させた状態で矢印A方向に高速回転させながらウエーハ11の切削予定ライン13に切り込み、チャックテーブル20を矢印X1方向に加工送りすることにより、切削ブレード50の幅より広い所望の幅を有する切削溝を分割予定ライン13に沿って形成する(切削ステップ)。
【0032】
スピンドル傾斜ステップで傾斜した角度θに応じて、切削ステップで形成する切削溝の幅を変更することができる。この切削ステップで形成する切削溝はウエーハ11を完全切断する切削溝も含むものである。
【0033】
次いで、
図4を参照して、第1実施形態の切削方法を応用したステップカットについて説明する。まず、
図4(A)に示すように、スピンドル49をY軸方向にθ傾けた状態で、切削ブレード50を高速回転させてウエーハ11の切削予定ライン13に切り込み、チャックテーブル20を矢印X1方向に加工送りすることにより、ウエーハ11を完全切断しない幅の広い第1の深さの切削溝17を切削予定ライン13に沿って形成する。
【0034】
切削ブレード50をY軸方向に割り出し送りしながら、第1の方向に伸長する全ての切削予定ライン13に沿って同様な切削溝17を形成する。次いで、チャックテーブル20を90度回転してから、第1の方向に直交する第2の方向に伸長する全ての切削予定ライン13に沿って同様な切削溝17を形成する。
【0035】
次いで、
図4(B)に示すように、スピンドル49をY軸方向に平行な状態に戻して切削ブレード50と切削溝17とを整列させた状態で、切削ブレード50を矢印A方向に高速回転させながら切削溝17に切り込み、チャックテーブル20を矢印X1方向に加工送りすることにより、ウエーハ11を完全切断する完全切断ステップを実施する。
【0036】
この実施形態によると、一種類の切削ブレード50を使用してスピンドル49を選択的にY軸方向に対して傾斜させることにより、ウエーハ11のステップカットを実施することができる。
【0037】
次に、
図5乃至
図8を参照して、本発明第2実施形態に係る切削方法について説明する。
図5に示した状態では、第1の幅W1を有する切削ブレード50と切削予定ライン13の延長線13aとが整列した状態である。
【0038】
本実施形態の切削方法では、この状態から、
図6に示すように、チャックテーブル20をθ回転させてX軸方向に対してウエーハ11の切削予定ライン13をθ傾ける回転ステップを実施する。
【0039】
次いで、
図7に示すように、チャックテーブル20に保持されたウエーハ11の切削予定ライン13の切削開始点に切削ブレード50を切り込ませるとともに、Y=tanθ・Xの一次関数に沿ってX軸送り機構14でX軸方向にチャックテーブル20と切削ブレード50とを相対移動させるとともに、Y軸送り機構36でY軸方向にチャックテーブル20と切削ブレード50とを相対移動させることで、切削予定ライン13を切削して切削予定ライン13に沿って、
図8に示すように、第1の幅W1より広い第2の幅W2の切削溝19を形成する切削ステップを実施する。
【0040】
ここで、実際にはチャックテーブル20がX軸方向に直線移動するように設定されているので、
図7に示すように、表面50a及び裏面50bを有する切削ブレード50の表面50a側を切削領域の一端に位置付けた状態でチャックテーブル20を+X方向に移動させることで、切削ブレード50をウエーハ11に切り込ませる。
【0041】
次いで、チャックテーブル20を+X方向(矢印X1方向)に移動させつつ切削ブレード50を−Y方向にY=tanθ・Xの関係を満たす速度で移動させることで切削予定ライン13に沿って切削領域を切削し、第2の幅W2の切削溝19を形成する。
【0042】
ところで、切削予定ライン13上にTEG(Test Element Group)が形成されたウエーハ11を切削ブレード50で切削すると、TEGが中央で分断されてバリが発生したり、TEG自体がウエーハ11上から剥離したりする。剥離したTEGがデバイス15上に付着するとデバイス不良を引き起こす恐れがあるため問題となる。
【0043】
そこで、本実施形態の切削方法では、チャックテーブル20の回転を制御することにより、例えばTEGが形成されている切削予定ライン13のみやTEGが形成されている位置のみに幅の広い切削溝を形成し、TEGを完全に除去することができるため、ばりの発生やデバイス不良を防止できる。
【0044】
第1実施形態の切削方法でも、Y軸方向に対してスピンドル49の回転を制御することにより、TEGが形成されている切削予定ライン13のみやTEGが形成されている位置のみに幅の広い切削溝を形成し、TEGを完全に除去することができるため、ばりの発生やデバイス不良を防止できる。
【符号の説明】
【0045】
11 半導体ウエーハ
13 切削予定ライン
14 X軸送り機構
15 デバイス
17,19 切削溝
20 チャックテーブル
36 Y軸送り機構
46 切削ユニット
49 スピンドル
50 切削ブレード