特許第6068044号(P6068044)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6068044ターゲット供給装置の制御方法、および、ターゲット供給装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6068044
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】ターゲット供給装置の制御方法、および、ターゲット供給装置
(51)【国際特許分類】
   H05G 2/00 20060101AFI20170116BHJP
   H05G 1/02 20060101ALI20170116BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20170116BHJP
   G21K 5/08 20060101ALN20170116BHJP
【FI】
   H05G2/00 K
   H05G1/02 J
   H01L21/30 531S
   !G21K5/08 X
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-177485(P2012-177485)
(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公開番号】特開2014-35948(P2014-35948A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】300073919
【氏名又は名称】ギガフォトン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001988
【氏名又は名称】特許業務法人小林国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植野 能史
【審査官】 遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−253496(JP,A)
【文献】 特開2004−066092(JP,A)
【文献】 特開2010−118652(JP,A)
【文献】 特開2005−191493(JP,A)
【文献】 特開2011−216860(JP,A)
【文献】 特開2003−324121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05G 2/00
H01L 21/30
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
EUV光生成装置に備えられ、ノズルを有し、内部にターゲット物質を収容するターゲット生成器と、
前記ターゲット生成器内部の圧力を制御する圧力制御部と、
前記ターゲット生成器内部のターゲット物質を加熱する加熱部とを含むターゲット供給装置を用い、
前記加熱部が前記ターゲット生成器内部のターゲット物質を加熱することで、当該ターゲット物質を溶融することと、
前記圧力制御部が前記ターゲット生成器内部を加圧することで、前記ターゲット生成器内のターゲット物質を前記ノズルのノズル孔から押し出すことと、
前記ターゲット物質を前記ノズル孔から押し出すことにより前記ノズルの先端に付着するように形成された付着部のサイズが、前記ノズル孔全体を塞ぐ設定サイズとなったか否かを判断することと、
前記付着部のサイズが前記設定サイズになったときに、前記圧力制御部が前記ターゲット生成器内部の加圧を停止することと、
前記加熱部が前記ターゲット物質の加熱を停止することで、前記ターゲット生成器内のターゲット物質および前記付着部を固化させることと、を含むターゲット供給装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載のターゲット供給装置の制御方法において、
前記付着部のサイズが前記設定サイズとなったか否かを判断することは、
前記圧力制御部が前記ターゲット生成器内部の加圧を開始してからの経過時間が設定時間の範囲内となったときに、前記設定サイズとなったと判断することにより行われるターゲット供給装置の制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載のターゲット供給装置の制御方法において、
前期EUV光生成装置は前記付着部のサイズを測定する測定部をさらに備え、
前記付着部のサイズが前記設定サイズとなったか否かを判断することは、
前記測定部が前記付着部のサイズを測定し、この測定結果に基づいて前記付着部のサイズが前記設定サイズとなったか否かを判断することにより行われるターゲット供給装置の制御方法。
【請求項4】
請求項1に記載のターゲット供給装置の制御方法において、
前記EUV光生成装置は前記ターゲット生成器内部を吸引することで当該ターゲット生成器内部を排気する排気部をさらに備え、
前記圧力制御部が前記ターゲット生成器内部の加圧を停止した後であり、前記加熱部が前記ターゲット物質の加熱を停止する前に、前記排気部が前記ターゲット生成器内部を排気することを含むターゲット供給装置の制御方法。
【請求項5】
請求項1に記載のターゲット供給装置の制御方法において、
前記加熱部が前記ターゲット物質の加熱を停止することは、
前記ノズルの先端に近い側の方の前記ターゲット物質の温度が遠い側の方の前記ターゲット物質の温度よりも低くなる状態を維持しながら、前記ターゲット物質の温度を下げることにより行われるターゲット供給装置の制御方法。
【請求項6】
EUV光生成装置に備えられ、ノズルを有し、内部にターゲット物質を収容するターゲット生成器と、
前記ターゲット生成器内部の圧力を制御する圧力制御部と、
前記ターゲット生成器内部のターゲット物質を加熱する加熱部と、
以下の処理を制御するターゲット制御装置とを備えており、
前記処理は、
前記加熱部が前記ターゲット生成器内部のターゲット物質を加熱することで、当該ターゲット物質を溶融することと、
前記圧力制御部が前記ターゲット生成器内部を加圧することで、前記ターゲット生成器内のターゲット物質を前記ノズルのノズル孔から押し出すことと、
前記ターゲット物質を前記ノズル孔から押し出すことにより前記ノズルの先端に付着するように形成された付着部のサイズが、前記ノズル孔全体を塞ぐ設定サイズとなったか否かを判断することと、
前記付着部のサイズが前記設定サイズになったときに、前記圧力制御部が前記ターゲット生成器内部の加圧を停止することと、
前記加熱部が前記ターゲット物質の加熱を停止することで、前記ターゲット生成器内のターゲット物質および前記付着部を固化させることと、
を含むターゲット供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ターゲット供給装置の制御方法、および、ターゲット供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、70nm〜45nmの微細加工、さらには32nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、例えば32nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度の極端紫外光(以下、EUV光という場合がある。)を生成するための装置と縮小投影反射光学系とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマを用いたLPP(Laser Produced Plasma)方式の装置と、放電によって生成されるプラズマを用いたDPP(Discharge Produced Plasma)方式の装置と、軌道放射光を用いたSR(Synchrotron Radiation)方式の装置との3種類の装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7405416号明細書
【概要】
【0005】
本開示の一態様によるターゲット供給装置の制御方法は、EUV光生成装置に備えられ、ノズルを有し、内部にターゲット物質を収容するターゲット生成器と、前記ターゲット生成器内部の圧力を制御する圧力制御部と、前記ターゲット生成器内部のターゲット物質を加熱する加熱部とを含むターゲット供給装置を用い、前記加熱部が前記ターゲット生成器内部のターゲット物質を加熱することで、当該ターゲット物質を溶融することと、前記圧力制御部が前記ターゲット生成器内部を加圧することで、前記ターゲット生成器内のターゲット物質を前記ノズルのノズル孔から押し出すことと、前記ターゲット物質を前記ノズル孔から押し出すことにより前記ノズルの先端に付着するように形成された付着部のサイズが、前記ノズル孔全体を塞ぐ設定サイズとなったか否かを判断することと、前記付着部のサイズが前記設定サイズになったときに、前記圧力制御部が前記ターゲット生成器内部の加圧を停止することと、前記加熱部が前記ターゲット物質の加熱を停止することで、前記ターゲット生成器内のターゲット物質および前記付着部を固化させることと、を含んでもよい。
【0006】
本開示の一態様によるターゲット供給装置は、ノズルを有し、内部にターゲット物質を収容するターゲット生成器と、前記ノズルのノズル孔全体を塞ぐ設定サイズで前記ノズルの先端に付着した前記ターゲット物質と同じ物質の付着部と、を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1図1は、例示的なLPP方式のEUV光生成装置の構成を概略的に示す。
図2図2は、第1実施形態および第2実施形態に係るターゲット供給装置を含むEUV光生成装置の構成を概略的に示す。
図3図3は、第1実施形態に係るターゲット供給装置の構成を概略的に示す。
図4A図4Aは、本開示の実施形態の課題を説明するための図であり、チャンバ内の部品をメンテナンスするときの動作を示す。
図4B図4Bは、前記課題を説明するための図であり、メンテナンスされたターゲット供給装置または新品のターゲット供給装置をチャンバにセットするときの動作を示す。
図5A図5Aは、前記課題を説明するための図であり、ノズル内のターゲット物質の先端部に酸化スズが形成された状態を示す。
図5B図5Bは、前記課題を説明するための図であり、ターゲット物質が収縮しかつノズル内のターゲット物質の先端部に酸化スズが形成された状態を示す。
図6図6は、第1実施形態に係るターゲット供給装置の制御方法を示すフローチャートである。
図7図7は、ターゲット供給装置の制御方法を示すフローチャートであって、図6に続く処理を表す。
図8図8は、第2実施形態に係るターゲット供給装置の構成を概略的に示す。
図9図9は、第2実施形態に係るターゲット供給装置の制御方法を示すフローチャートである。
図10図10は、ターゲット供給装置の制御方法を示すフローチャートであって、図9に続く処理を表す。
図11図11は、第2実施形態に係るターゲット物質固化サブルーチンを示すフローチャートである。
【実施形態】
【0008】
内容
1.概要
2.EUV光生成装置の全体説明
2.1 構成
2.2 動作
3.ターゲット供給装置を含むEUV光生成装置
3.1 第1実施形態
3.1.1 概略
3.1.2 構成
3.1.3 動作
3.2 第2実施形態
3.2.1 概略
3.2.2 構成
3.2.3 動作
3.3 変形例
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成および動作の全てが本開示の構成および動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
1.概要
本開示の実施形態においては、ターゲット供給装置の制御方法は、EUV光生成装置に備えられ、ノズルを有し、内部にターゲット物質を収容するターゲット生成器と、前記ターゲット生成器内部の圧力を制御する圧力制御部と、前記ターゲット生成器内部のターゲット物質を加熱する加熱部とを含むターゲット供給装置を用い、前記加熱部が前記ターゲット生成器内部のターゲット物質を加熱することで、当該ターゲット物質を溶融することと、前記圧力制御部が前記ターゲット生成器内部を加圧することで、前記ターゲット生成器内のターゲット物質を前記ノズルのノズル孔から押し出すことと、前記ターゲット物質を前記ノズル孔から押し出すことにより前記ノズルの先端に付着するように形成された付着部のサイズが、前記ノズル孔全体を塞ぐ設定サイズとなったか否かを判断することと、前記付着部のサイズが前記設定サイズになったときに、前記圧力制御部が前記ターゲット生成器内部の加圧を停止することと、前記加熱部が前記ターゲット物質の加熱を停止することで、前記ターゲット生成器内のターゲット物質および前記付着部を固化させることと、を含んでもよい。
【0011】
本開示の実施形態においては、ターゲット供給装置は、ノズルを有し、内部にターゲット物質を収容するターゲット生成器と、前記ノズルのノズル孔全体を塞ぐ設定サイズで前記ノズルの先端に付着した前記ターゲット物質と同じ物質の付着部と、を含んでもよい。
【0012】
2.EUV光生成装置の全体説明
2.1 構成
図1は、例示的なLPP方式のEUV光生成装置1の構成を概略的に示す。EUV光生成装置1は、少なくとも1つのレーザ装置3と共に用いられてもよい。EUV光生成装置1およびレーザ装置3を含むシステムを、以下、EUV光生成システム11と称する。図1を参照に、以下に詳細に説明されるように、EUV光生成装置1は、チャンバ2を含んでもよい。チャンバ2は、密閉可能であってもよい。EUV光生成装置1は、ターゲット供給装置7をさらに含んでもよい。ターゲット供給装置7は、例えばチャンバ2に取り付けられていてもよい。ターゲット供給装置7から供給されるターゲットの材料は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、キセノン、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せ等を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0013】
チャンバ2の壁には、少なくとも1つの貫通孔が設けられていてもよい。その貫通孔をレーザ装置3から出力されたパルスレーザ光32が通過するように、レーザ装置3等が配置されてもよい。あるいは、チャンバ2には、その貫通孔を塞ぐように、かつ、レーザ装置3から出力されたパルスレーザ光32が透過するように、少なくとも1つのウインドウ21が設けられてもよい。チャンバ2の内部には例えば、回転楕円面形状の反射面を有するEUV集光ミラー23が配置されてもよい。EUV集光ミラー23は、第1焦点および第2焦点を有し得る。EUV集光ミラー23の表面には例えば、モリブデンとシリコンとが交互に積層された多層反射膜が形成されてもよい。EUV集光ミラー23は、例えば、その第1焦点がプラズマ生成位置またはその近傍のプラズマ生成領域25に位置し、その第2焦点が露光装置の仕様によって規定される所望の集光位置(中間焦点(IF)292)に位置するように配置されるのが好ましい。所望の集光位置は中間焦点(IF)292と呼んでもよい。なお、プラズマの生成については、後に説明する。EUV集光ミラー23の中央部には、貫通孔24が設けられてもよい。EUV集光ミラー23は、パルスレーザ光33が貫通孔24を通過するように配置されてもよい。
【0014】
EUV光生成装置1は、EUV光生成制御システム5を含んでいてもよい。また、EUV光生成装置1は、ターゲットセンサ4を含んでもよい。ターゲットセンサ4は、ターゲットの存在、軌道、位置等を検出してもよい。ターゲットセンサ4は、撮像機能を有してもよい。
【0015】
さらに、EUV光生成装置1は、チャンバ2内部と露光装置6内部とを連通させるための接続部29を含んでもよい。接続部29内部には、アパーチャが形成された壁291が設けられてもよい。壁291は、そのアパーチャがEUV集光ミラー23の第2焦点位置に位置するように配置されてもよい。
【0016】
さらに、EUV光生成装置1は、レーザ光進行方向制御部34、レーザ光集光光学系22、ドロップレット27を回収するためのターゲット回収装置28等を含んでもよい。レーザ光進行方向制御部34は、レーザ光の進行方向を規定するための光学素子と、この光学素子の位置や姿勢等を調節するためのアクチュエータとを備えてもよい。
【0017】
2.2 動作
図1を参照すると、レーザ装置3から出力されたパルスレーザ光31は、レーザ光進行方向制御部34を経て、パルスレーザ光32としてウインドウ21を透過して、チャンバ2に入射してもよい。パルスレーザ光32は、少なくとも1つのレーザ光経路に沿ってチャンバ2内に進み、レーザ光集光光学系22で反射されて、パルスレーザ光33として少なくとも1つのドロップレット27に照射されてもよい。
【0018】
ターゲット供給装置7からは、ドロップレット27がチャンバ2内部のプラズマ生成領域25に向けて出力されてもよい。ドロップレット27には、パルスレーザ光33に含まれる少なくとも1つのパルスレーザ光が照射され得る。パルスレーザ光33が照射されたドロップレット27はプラズマ化し、そのプラズマからEUVを含む光251(以下、「EUV光を含む光」を「EUV光」と表現する場合がある)が放射され得る。EUV光251は、EUV集光ミラー23によって集光されるとともに反射されてもよい。EUV集光ミラー23で反射されたEUV光252は、中間焦点292を通って露光装置6に出力されてもよい。なお、1つのドロップレット27に、パルスレーザ光33に含まれる複数のパルスレーザ光が照射されてもよい。
【0019】
EUV光生成制御システム5は、EUV光生成システム11全体の制御を統括してもよい。EUV光生成制御システム5は、ターゲットセンサ4によって撮像されたドロップレット27のイメージデータ等を処理してもよい。EUV光生成制御システム5は、例えば、ドロップレット27を出力するタイミングやドロップレット27の出力速度等を制御してもよい。また、EUV光生成制御システム5は、例えば、レーザ装置3のレーザ発振タイミングやパルスレーザ光32の進行方向やパルスレーザ光33の集光位置等を制御してもよい。上述の様々な制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて他の制御を追加してもよい。
【0020】
3.ターゲット供給装置を含むEUV光生成装置
3.1 第1実施形態
3.1.1 概略
本開示の第1実施形態のターゲット供給装置の制御方法において、前記付着部のサイズが前記設定サイズとなったか否かを判断することは、前記圧力制御部が前記ターゲット生成器内部の加圧を開始してからの経過時間が設定時間の範囲内となったときに、前記設定サイズとなったと判断することにより行われてもよい。
【0021】
3.1.2 構成
図2は、第1実施形態および後述する第2実施形態に係るターゲット供給装置を含むEUV光生成装置の構成を概略的に示す。図3は、第1実施形態に係るターゲット供給装置の構成を概略的に示す。
EUV光生成装置1Aは、図2に示すように、チャンバ2と、ターゲット供給装置7Aとを備えてもよい。ターゲット供給装置7Aは、ターゲット生成部70Aと、制御部としてのターゲット制御装置80Aとを備えてもよい。ターゲット制御装置80Aには、レーザ装置3と、EUV光生成制御システム5Aとが電気的に接続されてもよい。
【0022】
ターゲット生成部70Aは、ターゲット生成器71Aと、圧力制御部72Aと、温度制御部73Aと、ピエゾ部75Aとを備えてもよい。
ターゲット生成器71Aは、内部にターゲット物質270を収容するためのタンク711Aを備えてもよい。タンク711Aは、筒状であってもよい。タンク711Aには、当該タンク711A内のターゲット物質270を、ドロップレット27としてチャンバ2内に出力するためのノズル712Aが設けられていてもよい。ノズル712Aの先端部には、図3に示すように、ノズル孔713Aが設けられていてもよい。ターゲット生成器71Aは、タンク711Aがチャンバ2外部に位置し、ノズル712Aがチャンバ2内部に位置するように設けられてもよい。
【0023】
また、ノズル712Aの先端には、ターゲット物質270をノズル孔713Aから押し出すことで形成された付着部275Aが付着してもよい。この付着部275Aの形成方法については、後述する。例えば、付着部275Aの直径Dは、下限値Dminが100μm、上限値Dmaxが500μmの所定の設定範囲内の大きさであってもよい。所定の設定範囲の中心値である設定直径Dmは、300μmであってもよい。付着部275Aの形状は、球形でなくてもよいが、ターゲット物質270をノズル孔713Aから押し出すと、ターゲット物質270の表面張力によって球形となり得る。
固体の酸化スズ276Aは、付着部275Aを構成するターゲット物質270が空気に触れたときに、当該空気に含まれる酸素と付着部275Aの表面のスズとが反応することで生成されてもよい。
【0024】
チャンバ2の設置形態によっては、予め設定されるドロップレット27の出力方向(ノズル712Aの軸方向(設定出力方向10Aと称する))は、必ずしも重力方向10Bと一致するとは限らない。重力方向10Bに対して、斜め方向や水平方向に、ドロップレット27が出力されるよう構成されてもよい。なお、第1実施形態では、設定出力方向10Aが重力方向10Bと一致するようにチャンバ2が設置されてもよい。
【0025】
タンク711Aの端部714Aには、図2に示すように、配管727Aを介して不活性ガスボンベ721Aが接続されてもよい。配管727Aは、第1の端が不活性ガスボンベ721Aに連結されてもよい。配管727Aは、第2の端がタンク711A内に位置するように、端部714Aに連結されてもよい。このような構成によって、不活性ガスボンベ721A内の不活性ガスが、ターゲット生成器71A内に供給され得る。
【0026】
配管727Aには、圧力制御部72Aが設けられてもよい。圧力制御部72Aは、第1バルブV1と、第2バルブV2と、圧力センサ722Aとを備えてもよい。
第1バルブV1は、配管727Aに設けられてもよい。
配管727Aにおける第1バルブV1よりタンク711A側には、配管728Aが連結されてもよい。配管728Aは、第1の端が配管727Aの側面に連結されてもよい。配管728Aは、第2の端が開放されてもよい。第2バルブV2は、配管728Aの途中に設けられてもよい。
第1バルブV1および第2バルブV2は、ゲートバルブ、ボールバルブ、バタフライバルブなどのいずれかであってもよい。第1バルブV1と第2バルブV2とは、同じ種類のバルブであってもよいし、異なる種類のバルブであってもよい。
第1バルブV1および第2バルブV2には、ターゲット制御装置80Aが電気的に接続されてもよい。第1バルブV1および第2バルブV2は、ターゲット制御装置80Aから送信される信号に基づいて、それぞれ独立して開閉を切り替えてもよい。
【0027】
第1バルブV1が開くと、不活性ガスボンベ721A内の不活性ガスが、配管727Aを介してターゲット生成器71A内に供給され得る。第2バルブV2が閉じると、配管727A内に存在する不活性ガスが、配管728Aの第2の端から当該配管727Aの外部に排出されることを防止し得る。このことにより、第1バルブV1が開くとともに、第2バルブV2が閉じると、ターゲット生成器71A内の圧力が、不活性ガスボンベ721A内の圧力まで上がり得る。その後、ターゲット生成器71A内の圧力は、不活性ガスボンベ721A内の圧力で維持され得る。
第1バルブV1が閉じると、不活性ガスボンベ721A内の不活性ガスが、配管727Aを介してターゲット生成器71A内に供給されることを防止し得る。第2バルブV2が開くと、配管727Aの内部と当該配管727Aの外部との間の圧力差によって、配管727A内に存在する不活性ガスが、配管728Aの第2の端から当該配管727Aの外部に排出され得る。このことにより、第1バルブV1が閉じるとともに、第2バルブV2が開くと、ターゲット生成器71A内の圧力が下がり得る。
【0028】
配管727Aにおける配管728Aよりタンク711A側には、配管729Aが連結されてもよい。配管729Aは、第1の端が配管727Aの側面に連結されてもよい。配管728Aの第2の端には、圧力センサ722Aが設けられてもよい。圧力センサ722Aには、ターゲット制御装置80Aが電気的に接続されてもよい。圧力センサ722Aは、配管729A内に存在する不活性ガスの圧力を検出して、この検出した圧力に対応する信号をターゲット制御装置80Aに送信してもよい。配管729A内の圧力は、配管727Aの圧力およびターゲット生成器71A内の圧力とほぼ同一の圧力となり得る。
【0029】
温度制御部73Aは、タンク711A内のターゲット物質270の温度を制御するよう構成されてもよい。温度制御部73Aは、ヒータ731Aと、ヒータ電源732Aと、温度センサ733Aと、温度コントローラ734Aとを備えてもよい。ヒータ731Aは、タンク711Aの外周面に設けられてもよい。ヒータ電源732Aは、温度コントローラ734Aからの信号に基づいて、ヒータ731Aに電力を供給してヒータ731Aを発熱させてもよい。それにより、タンク711A内のターゲット物質270が、タンク711Aを介して加熱され得る。
温度センサ733Aは、タンク711Aの外周面におけるノズル712A側に設けられてもよいし、タンク711A内に設けられてもよい。温度センサ733Aは、タンク711Aにおける主に温度センサ733Aの設置位置およびその近傍の位置の温度を検出して、当該検出した温度に対応する信号を温度コントローラ734Aに送信するよう構成されてもよい。温度センサ733Aの設置位置およびその近傍の位置の温度は、タンク711A内のターゲット物質270の温度とほぼ同一の温度となり得る。
温度コントローラ734Aは、温度センサ733Aからの信号に基づいて、ターゲット物質270の温度を所定温度に制御するための信号をヒータ電源732Aに出力するよう構成されてもよい。
【0030】
ピエゾ部75Aは、ピエゾ素子751Aと、電源752Aとを備えてもよい。ピエゾ素子751Aは、チャンバ2内において、ノズル712Aの外周面に設けられてもよい。ピエゾ素子751Aの代わりに、高速でノズル712Aに振動を加えることが可能な機構が設けられてもよい。電源752Aは、フィードスルー753Aを介してピエゾ素子751Aに電気的に接続されてもよい。電源752Aは、ターゲット制御装置80Aに電気的に接続されてもよい。
ターゲット生成部70Aは、コンティニュアスジェット方式でジェット27Aを生成し、ノズル712Aから出力したジェット27Aを振動させることで、ドロップレット27を生成するよう構成されてもよい。
【0031】
ターゲット制御装置80Aは、制御部であってもよい。ターゲット制御装置80Aには、タイマ81Aが電気的に接続されてもよい。ターゲット制御装置80Aは、温度コントローラ734Aに信号を送信して、ターゲット生成器71A内のターゲット物質270の温度を制御してもよい。ターゲット制御装置80Aは、圧力制御部72Aの第1バルブV1および第2バルブV2に信号を送信して、ターゲット生成器71A内の圧力を制御してもよい。
【0032】
3.1.3 動作
図4Aは、本開示の実施形態の課題を説明するための図であり、チャンバ内の部品をメンテナンスするときの動作を示す。図4Bは、前記課題を説明するための図であり、メンテナンスされたターゲット供給装置または新品のターゲット供給装置をチャンバにセットするときの動作を示す。図5Aは、前記課題を説明するための図であり、ノズル内のターゲット物質の先端部に酸化スズが形成された状態を示す。図5Bは、前記課題を説明するための図であり、ターゲット物質が収縮しかつノズル内のターゲット物質の先端部に酸化スズが形成された状態を示す。図6は、ターゲット供給装置の制御方法を示すフローチャートである。図7は、ターゲット供給装置の制御方法を示すフローチャートであって、図6に続く処理を表す。
なお、以下において、ターゲット物質270がスズの場合を例示して、ターゲット供給装置の制御方法を説明する。
【0033】
第1実施形態および第2実施形態のターゲット供給装置の制御方法が解決しようとする課題について説明する。
EUV光生成装置1の作業者は、図4Aに示すように、チャンバ2の扉20Aを開いて、EUV集光ミラー23をチャンバ2の外部に取り出してもよいし、EUV光集光ミラー23をチャンバ2の内部に収容してもよい。扉20Aを開くと、チャンバ2内部に空気が入り、ノズル712Aが空気に触れ得る。
EUV光生成装置1の作業者は、チャンバ2からターゲット生成器71Aを取り外し、当該ターゲット生成器71Aをメンテナンスしてもよい。作業者は、図4Bに示すように、メンテナンスしたターゲット生成器71Aをチャンバ2に取り付けてもよい。ターゲット生成器71Aのメンテナンスの際、あるいは、ターゲット生成器71Aをチャンバ2から取り外す際などに、ノズル712Aが空気に触れ得る。
【0034】
図4Aに示す場合のように、チャンバ2の扉20Aを開く前、または、図4Bに示す場合のように、チャンバ2からターゲット生成器71Aを取り外す前、ターゲット生成器71A内のターゲット物質270を固化してもよい。
例えば、ターゲット制御装置80Aは、ターゲット生成器71Aの圧力をドロップレット27が出力しない圧力に制御してもよい。この圧力の制御は、第1バルブV1および第2バルブV2の開閉を制御することにより行ってもよい。ターゲット制御装置80Aは、ピエゾ素子751Aの駆動を停止してもよい。以上の処理によって、ターゲット生成器71A内の圧力はドロップレット27が出力しない圧力に下がり、ドロップレット27の出力が停止し得る。ターゲット制御装置80Aは、ターゲット物質270の加熱を停止してもよい。ターゲット物質270の温度が当該ターゲット物質270の融点以下まで下がると、ターゲット物質270が固化し得る。
【0035】
上記の動作により、図5Aに示すように、ターゲット物質270の端部がノズル712Aの先端より上方に位置した状態、つまりノズル712Aの内部に位置した状態でターゲット物質270が固化し得る。この図5Aに示す状態で、ノズル712Aが空気に触れると、ノズル712A内に位置するターゲット物質270の端部に固体の酸化スズ278Aが形成され得る。
また、ターゲット物質270が固化する過程において、当該ターゲット物質270が収縮した場合には、図5Bに示すように、ノズル712Aの内壁面とターゲット物質270との間に、隙間Pが形成され得る。この図5Bに示す状態でノズル712Aが空気に触れると、ノズル712A内に位置するターゲット物質270の端部であって、隙間Pに面する部分を含む部分に、固体の酸化スズ279Aが形成され得る。
【0036】
ノズル712A内部に固体の酸化スズ278A,279Aが形成されたターゲット生成器71Aを、再びチャンバ2に取り付けて、ドロップレット27を出力すると、以下に説明する課題が生じ得る。ドロップレット27を出力するために、ターゲット物質270が溶融するまでターゲット物質270を加熱してもよい。固体の酸化スズ278A,279Aの融点は酸化していないスズの融点よりも高いため、酸化していないターゲット物質270が溶融するように加熱しても、酸化スズ278A,279Aは溶融せずに固体の状態を維持し得る。ノズル712A内に残存する固体の酸化スズ278A,279Aは、ノズル孔713Aを詰まらせる原因や、ドロップレット27が意図しない方向に出力される原因となり得る。
このような課題を解決するため、ノズル712Aを空気に触れさせる前に、図6および図7に示すターゲット供給装置の制御方法を行ってもよい。
【0037】
ターゲット供給装置7Aのターゲット制御装置80Aは、ノズル712Aがチャンバ2内部に位置し、かつ、チャンバ2内部が真空の状態において、図6に示すように、ターゲット生成器71Aからドロップレット27を出力しているか否かを判断してもよい(ステップS1)。ターゲット制御装置80Aは、ステップS1において、ドロップレット27を出力していると判断した場合、ターゲット生成器71Aからのドロップレット27の出力を停止してもよい(ステップS2)。
ターゲット制御装置80Aは、圧力制御部72Aの第1バルブV1および第2バルブV2に信号を送信して、第1バルブV1を閉じるとともに、第2バルブV2を開いてもよい。圧力センサ722Aは、ターゲット生成器71A内の圧力を所定時間毎に検出してもよい。圧力センサ722Aは、圧力を検出する毎に、当該検出した圧力に対応する信号をターゲット制御装置80Aに送信してもよい。ターゲット制御装置80Aは、ターゲット生成器71A内の圧力がドロップレット27が出力しない圧力になったと判断すると、第2バルブV2を閉じてもよい。ターゲット制御装置80Aは、ターゲット生成器71A内の圧力を当該ドロップレット27が出力しない圧力で維持するように、第1バルブV1を開いてもよい。また、ターゲット制御装置80Aは、電源752Aに信号を送信して、ピエゾ素子751Aの駆動を停止してもよい。
以上の処理によって、ターゲット生成器71A内の圧力はドロップレット27が出力しない圧力に下がり、ドロップレット27の出力が停止し得る。
【0038】
ターゲット制御装置80Aは、ターゲット生成器71A内のターゲット物質270の温度Tがスズの融点Tm以上の所定の温度範囲内にあるか否かを判断してもよい(ステップS3)。スズの融点Tmは、232℃であってもよい。所定の温度範囲は、下限温度Tsmin以上、上限温度Tsmax以下であってもよい。所定の温度範囲の中心値である目標温度Tsは、350℃であってもよい。
ターゲット制御装置80Aは、ステップS3において、ターゲット物質270の温度が所定の温度範囲内にあると判断すると、この温度制御をそのまま継続してもよい(ステップS4)。ターゲット制御装置80Aは、ステップS3において、ターゲット物質270の温度が所定の温度範囲内にないと判断すると、温度コントローラ734に目標温度Tsを設定してもよい(ステップS5)。このステップS5の処理が行われると、温度Tが下限温度Tsminより低い場合には、ターゲット物質270の温度が上がり得る。温度Tが上限温度Tsmaxより高い場合には、ターゲット物質270の温度が下がり得る。ターゲット制御装置80Aは、ステップS5の処理を行った後、ステップS4の処理を行ってもよい。
【0039】
一方、ターゲット供給装置7Aのメンテナンス時であって、ターゲット供給装置7Aがドロップレット27を出力していない状況では、ターゲット制御装置80Aは、ステップS1において、ドロップレット27を出力していないと判断し得る。その後、ターゲット制御装置80Aは、ステップS2の処理を行わずに、ステップS3およびステップS4の処理を行い得る。ターゲット制御装置80Aは、ステップS3において、ターゲット物質270の温度が所定の温度範囲内にないと判断すると、ステップS4の処理を行い得る。
【0040】
ターゲット制御装置80Aは、圧力制御部72Aの第1バルブV1に信号を送信して、図7に示すように、ターゲット生成器71A内の圧力を圧力PSに設定してもよい(ステップS6)。圧力PSは、ステップS6の処理を行う時点でのターゲット生成器71A内の圧力より大きくてもよい。ターゲット生成器71A内の圧力を現状の圧力から圧力PSに上げる際、ターゲット制御装置80Aは、第1バルブV1を開いてもよい。これにより、ターゲット生成器71A内の圧力が圧力PSまで上がり得る。
ターゲット生成器71A内の圧力が圧力PSに到達した際、ターゲット物質270が当該ターゲット物質270のノズル孔713Aにおける表面張力を打ち破ってもよい。その結果、ターゲット物質270がノズル孔713Aから押し出され得る。すなわち、ステップS6は、ターゲット生成器71A内を加圧する処理であってもよい。ノズル孔713Aの直径が10μmの場合、圧力PSは、0.25MPaであってもよい。
ターゲット制御装置80Aは、タイマ81Aによって時間の計測を開始してもよい(ステップS7)。ターゲット制御装置80Aは、タイマ81Aによる計測時間Ktが、下限時間Kminより長く、かつ、上限時間Kmaxより短いか否かを判断してもよい(ステップS8)。
【0041】
ここで、ステップS6における処理によって、ターゲット生成器71A内の圧力が圧力PSになると、ターゲット物質270がノズル孔713Aから押し出され、球状の付着部275Aが形成され得る。ピエゾ素子751Aが停止し、かつ、ターゲット生成器71A内の圧力が圧力PSで維持されている間、付着部275Aは徐々に大きくなり得る(徐々に成長し得る)。
計測時間Ktが下限時間Kminより短い場合、ターゲット生成器71A内の圧力が圧力PSで維持されている時間が短いため、付着部275Aの直径Dが下限値Dminより小さくなり得る。その結果、付着部275Aによって、ノズル孔713A全体が塞がれない場合があり得る。一方、計測時間Ktが上限時間Kmaxより長い場合、ターゲット生成器71A内の圧力が圧力PSで維持されている時間が長いため、付着部275Aの直径Dが上限値Dmaxより大きくなり得る。その結果、付着部275Aが自重によりノズル712Aから落下し得る。このことから、ステップS8の判断基準を満たす場合、直径Dが所定の設定範囲内の大きさの付着部275Aがノズル712Aの先端に付着した状態となり得る。
【0042】
なお、下限時間Kminおよび上限時間Kmaxは、後述する第2実施形態におけるターゲットセンサ4Bを用いた方法によって、予め実験によって決定してもよい。すなわち、例えば、ターゲット制御装置80AがステップS1〜ステップS7の処理を行った後、ターゲットセンサ4Bは、徐々に大きくなる付着部275Aの直径Dを検出してもよい。ターゲット制御装置80Aは、計測時間Ktと、付着部275Aの直径Dとの関係を図示しないメモリに記憶してもよい。作業者は、このメモリに記憶されたデータに基づいて、下限時間Kminおよび上限時間Kmaxを決定してもよい。
下限時間Kminおよび上限時間Kmaxは、数秒〜数十秒であってもよい。下限時間Kminおよび上限時間Kmaxは、ノズル712Aのノズル孔713Aの直径やターゲット物質270の組成によって異なる長さであってもよい。
【0043】
ターゲット制御装置80Aは、ステップS8の判断基準を満たさないと判定した場合、所定時間経過後にステップS8の処理を行ってもよい。ターゲット制御装置80Aは、ステップS8の判断基準を満たすと判定した場合、ターゲット生成器71A内の圧力を圧力PLに設定してもよい(ステップS9)。圧力PLは、圧力PSより低くてもよい。圧力PLは、例えば大気圧以下であってもよく、0.05MPaであってもよい。ターゲット生成器71A内の圧力を圧力PSから圧力PLに下げる際、ターゲット制御装置80Aは、第1バルブV1を閉じるとともに、第2バルブV2を開いてもよい。ターゲット制御装置80Aは、圧力センサ722Aからの信号に基づいて、ターゲット生成器71A内の圧力が圧力PLに到達したと判断すると、第2バルブV2を閉じてもよい。ターゲット制御装置80Aは、ターゲット生成器71A内の圧力を圧力PLで維持するように、第1バルブV1を開いてもよい。
第2バルブV2を制御して、配管727Aの内部と当該配管727Aの外部との間の圧力差を利用することで、ターゲット生成器71A内の圧力を圧力PSから圧力PLに下げるために必要な時間は、1分以上となり得る。
ステップS9の処理によって、ターゲット生成器71A内の圧力が下がり、ノズル孔713Aからターゲット物質270が押し出されることが停止し得る。その結果、付着部275Aが成長することを抑制し、ノズル孔713A全体を塞ぐ設定範囲内の大きさの付着部275Aが、ノズル712Aの先端に形成され得る。
【0044】
ターゲット制御装置80Aは、温度コントローラ734Aに信号を送信して、ターゲット生成器71A内のターゲット物質270の温度を融点Tm以下の所定の温度Ttに設定してもよい(ステップS10)。温度Ttは、例えば室温(20℃〜30℃)であってもよい。
このステップS10の処理によって、ターゲット生成器71A内のターゲット物質270と、ノズル712Aの先端に付着した付着部275Aとの温度が温度Ttまで下がり得る。その結果、ターゲット生成器71A内のターゲット物質270と付着部275Aとが固化し得る。
【0045】
この後、作業者は、例えばEUV集光ミラー23をメンテナンスするために、EUV光生成装置1を操作してチャンバ2内部の圧力を大気圧まで上げてもよい。作業者は、チャンバ2内部の圧力が大気圧となった後に、図4Aに示すように、チャンバ2の扉20Aを開けてもよい。扉20Aを開けると、チャンバ2内部に空気が入り、ノズル712Aが空気に触れ得る。このとき、ノズル712Aの先端に付着している付着部275Aが空気に触れ、付着部275Aの表面に固体の酸化スズ276Aが形成され得る。付着部275Aがノズル孔713Aを塞ぐようにノズル712Aの先端に付着しているため、酸化スズ276Aがノズル712Aの内部に形成されることを防止し得る。
【0046】
上述のように、ターゲット生成器71Aに付着部275Aを形成することによって、酸化スズ276Aがノズル712A内に残存することを抑制し、ノズル孔713Aが詰まったり、ドロップレット27が意図しない方向に出力されるという不具合を抑制し得る。その結果、ターゲット供給装置7Aは、ドロップレット27を適切に出力し得る。
【0047】
ターゲット制御装置80Aは、計測時間Ktを監視するだけの簡単な方法で、付着部275Aの大きさを適切に制御し得る。
【0048】
3.2 第2実施形態
3.2.1 概略
本開示の第2実施形態のターゲット供給装置の制御方法において、前期EUV光生成装置は前記付着部のサイズを測定する測定部をさらに備え、前記付着部のサイズが前記設定サイズとなったか否かを判断することは、前記測定部が前記付着部のサイズを測定し、この測定結果に基づいて前記付着部のサイズが前記設定サイズとなったか否かを判断することにより行われてもよい。
本開示の第2実施形態のターゲット供給装置の制御方法において、前記EUV光生成装置は前記ターゲット生成器内部を吸引することで当該ターゲット生成器内部を排気する排気部をさらに備え、前記圧力制御部が前記ターゲット生成器内部の加圧を停止した後であり、前記加熱部が前記ターゲット物質の加熱を停止する前に、前記排気部が前記ターゲット生成器内部を排気することを含んでもよい。
本開示の第2実施形態のターゲット供給装置の制御方法において、前記加熱部が前記ターゲット物質の加熱を停止することは、前記ノズルの先端に近い側の方の前記ターゲット物質の温度が遠い側の方の前記ターゲット物質の温度よりも低くなる状態を維持しながら、前記ターゲット物質の温度を下げることにより行われてもよい。
【0049】
3.2.2 構成
図8は、第2実施形態に係るターゲット供給装置の構成を概略的に示す。
第2実施形態のEUV光生成装置1Bは、図8に示すように、ターゲット供給装置7Bのターゲット生成部70Bと、ターゲット制御装置80Bと、測定部としての4B以外の構成については、第1実施形態のEUV光生成装置1Aと同様のものを適用してもよい。
第2実施形態では、設定出力方向10Aが重力方向10Bと一致するようにチャンバ2が設置されてもよい。
【0050】
ターゲットセンサ4Bは、ターゲット制御装置80Bに電気的に接続されてもよい。
ターゲット生成部70Bは、ターゲット生成器71Aと、圧力制御部72Aと、加熱部としての温度制御部73Bと、ピエゾ部75Aと、排気部76Bとを備えてもよい。
【0051】
温度制御部73Bは、第1ヒータ731Bと、第2ヒータ732Bと、第3ヒータ733Bと、第1ヒータ電源734Bと、第2ヒータ電源735Bと、第3ヒータ電源736Bと、第1温度センサ737Bと、第2温度センサ738Bと、第3温度センサ739Bと、第1温度コントローラ740Bと、第2温度コントローラ741Bと、第3温度コントローラ742Bとを備えてもよい。
第1ヒータ731Bは、ノズル712Aの先端側の外周面に設けられてもよい。第2ヒータ732Bは、ノズル712Aにおける第1ヒータ731Bよりも上側(重力方向10Bと反対側)の外周面に設けられてもよい。第3ヒータ733Bは、タンク711Aの下端側(ノズル712A側)の外周面に設けられてもよい。すなわち、第1〜第3ヒータ731B〜733Bは、ターゲット物質270の設定出力方向10Aに並ぶように設けられてもよい。
第1ヒータ731Bおよび第2ヒータ732Bは、フィードスルー749Bを介して、第1ヒータ電源734Bおよび第2ヒータ電源735Bにそれぞれ電気的に接続されてもよい。第3ヒータ733Bは、第3ヒータ電源736Bに電気的に接続されてもよい。
【0052】
第1温度センサ737Bは、ノズル712Aにおける第1ヒータ731Bよりも下側(ノズル712Aの先端側)に設けられてもよい。第2温度センサ738Bは、ノズル712Aにおける第2ヒータ732Bよりも下側に設けられてもよい。第3温度センサ739Bは、タンク711Aにおける第3ヒータ733Bよりも下側に設けられてもよい。
第1温度センサ737Bおよび第2温度センサ738Bは、フィードスルー749Bを介して、第1温度コントローラ740Bおよび第2温度コントローラ741Bにそれぞれ電気的に接続されてもよい。第3温度センサ739Bは、第3温度コントローラ742Bに電気的に接続されてもよい。
【0053】
第1温度センサ737Bは、ノズル712Aにおける主に第1温度センサ737Bの設置位置およびその近傍の位置の温度を検出して、当該検出した温度に対応する信号を第1温度コントローラ740Bに送信してもよい。第1温度センサ737Bの設置位置およびその近傍の位置の温度は、ノズル712A内のターゲット物質270のうち、主に第1ヒータ731Bが加熱した部分の温度とほぼ同一の温度となり得る。
第2温度センサ738Bは、ノズル712Aにおける主に第2温度センサ738Bの設置位置およびその近傍の位置の温度を検出して、当該検出した温度に対応する信号を第2温度コントローラ741Bに送信してもよい。第2温度センサ738Bの設置位置およびその近傍の位置の温度は、ノズル712A内のターゲット物質270のうち、主に第2ヒータ732Bが加熱した部分の温度とほぼ同一の温度となり得る。
第3温度センサ739Bは、タンク711Aにおける主に第3温度センサ739Bの設置位置およびその近傍の位置の温度を検出して、当該検出した温度に対応する信号を第3温度コントローラ742Bに送信してもよい。第3温度センサ739Bの設置位置およびその近傍の位置の温度は、タンク711A内のターゲット物質270の温度とほぼ同一の温度となり得る。
【0054】
排気部76Bは、配管761Bと、排気装置762Bと、第3バルブV3とを備えてもよい。
配管761Bの第1の端は、配管727Aの側面における配管729Aよりタンク711A側に連結されてもよい。
排気装置762Bは、配管761Bの第2の端に連結されてもよい。排気装置762Bは、ターゲット制御装置80Bに電気的に接続されてもよい。排気装置762Bは、ターゲット制御装置80Bから送信される信号に基づいて、配管761B内を吸引することで、ターゲット生成器71A内を排気してもよい。
第3バルブV3は、配管761Bに設けられてもよい。第3バルブV3は、ゲートバルブ、ボールバルブ、バタフライバルブなどのいずれかであってもよい。第3バルブV3は、ターゲット制御装置80Bに電気的に接続されてもよい。第3バルブV3は、ターゲット制御装置80Bから送信される信号に基づいて、開閉を切り替えてもよい。
【0055】
3.2.3 動作
以下において、第1実施形態と同様の動作については、説明を省略する。図9は、ターゲット供給装置の制御方法を示すフローチャートである。図10は、ターゲット供給装置の制御方法を示すフローチャートであって、図9に続く処理を表す。図11は、ターゲット物質固化サブルーチンを示すフローチャートである。
【0056】
ターゲット供給装置7Bのターゲット制御装置80Bは、図9に示すように、ステップS1およびステップS2の処理を行ってもよい。
ターゲット制御装置80Bは、ドロップレット27を出力している場合、ステップS1およびステップS2の処理を行い得る。その後、ターゲット制御装置80Bは、第1〜第3温度センサ737B〜739Bで検出したターゲット生成器71A内のターゲット物質270の温度T1,T2,T3がスズの融点Tm以上の所定の温度範囲内にあるか否かを判断してもよい(ステップS11)。所定の温度範囲および当該所定の温度範囲の中心値である目標温度Tsは、第1実施形態のステップS5における範囲および値と同一であってもよい。
【0057】
ターゲット制御装置80Bは、ステップS11において、第1〜第3温度センサ737B〜739Bで検出したターゲット物質270の温度T1〜T3が所定の温度範囲内にある判断すると、ステップS4の処理を行ってもよい(この温度制御をそのまま継続してもよい)。ターゲット制御装置80Bは、ステップS11において、温度T1〜T3が所定の温度範囲内にないと判断すると、第1〜第3温度コントローラ740B〜742Bに目標温度Tsを設定してもよい(ステップS12)。第1〜第3温度コントローラ740B〜742Bに設定する目標温度Tsは、同じ値であってもよい。このステップS12の処理が行われると、温度T1〜T3が下限温度Tsminより低い場合には、ターゲット物質270の温度が上がり得る。温度T1〜T3が上限温度Tsmaxより高い場合には、ターゲット物質270の温度が下がり得る。ターゲット制御装置80Bは、ステップS12の処理を行った後、ステップS4の処理を行ってもよい。
ターゲット制御装置80Bは、ドロップレット27を出力していない場合、ステップS1の処理の後、ステップS2の処理を行わずに、ステップS11およびステップS4の処理を行い得る。ターゲット制御装置80Bは、ステップS11において、温度T1〜T3が所定の温度範囲内にないと判断すると、ステップS12の処理を行い得る。
【0058】
ターゲット制御装置80Bは、図10に示すように、排気装置762Bの駆動を開始してもよい(ステップS13)。このとき、第3バルブV3は、閉じていてもよい。これにより、排気装置762Bが駆動しているにもかかわらず、配管727Aおよびターゲット生成器71A内部は、排気装置762Bによって排気されることが抑制され得る。
【0059】
ターゲット制御装置80Bは、ステップS6の処理を行って、ターゲット生成器71A内の圧力を圧力PSに設定してもよい。このステップS6の処理によって、ターゲット物質270がノズル孔713Aから押し出され、球状の付着部275Aが形成され得る。そして、付着部275Aは、徐々に成長し得る。なお、このステップS6における付着部275Aの成長中には、ターゲット生成器71A内の圧力を圧力PSに維持するために、第1バルブV1が圧力PSに対応する大きさに開かれるとともに、第2バルブV2が閉じられ得る。
【0060】
ターゲット制御装置80Bは、付着部275Aの直径Dが所定の設定範囲内にあるか否かを判断してもよい(ステップS14)。所定の設定範囲は、下限値Dmin以上、上限値Dmax以下であってもよい。下限値Dmin、上限値Dmax、および、所定の設定範囲の中心値である設定直径Dmは、第1実施形態と同じ値であってもよい。
ターゲットセンサ4Bは、徐々に成長する付着部275Aの直径Dを検出して、この検出結果に対応する信号をターゲット制御装置80Bに送信してもよい。ターゲットセンサ4Bは、所定時間毎に、直径Dを検出してもよい。ターゲット制御装置80Bは、ターゲットセンサ4Bから送信される信号に基づいて、付着部275Aの直径Dが所定の設定範囲内にあるか否かを判断してもよい。
ターゲット制御装置80Bは、ステップS14の判断基準を満たさないと判定した場合、所定時間経過後にステップS14の処理を行ってもよい。ターゲット制御装置80Bは、ステップS14の判断基準を満たすと判定した場合、第1バルブV1を閉じてもよい(ステップS15)。ターゲット制御装置80Bは、第3バルブV3を開けてもよい(ステップS16)。
第1バルブV1を閉じることにより、不活性ガスをターゲット生成器71A内に供給できなくなり得る。また、第3バルブV3を開くことにより、駆動中の排気装置762Bによってターゲット生成器71A内が排気され、当該ターゲット生成器71A内の圧力が下がり得る。ターゲット制御装置80Bは、ターゲット生成器71A内の圧力が圧力PLに到達したと判断すると、第3バルブV3を閉じるとともに、排気装置762Bを停止してもよい。ターゲット制御装置80Bは、ターゲット生成器71A内の圧力を圧力PLで維持するように、第1バルブV1を開いてもよい。
【0061】
このとき、排気装置762Aは、ターゲット生成器71A内を吸引することにより、当該ターゲット生成器71A内を排気し得る。このため、第2バルブV2を開き、配管727Aの内部と当該配管727Aの外部との間の圧力差によって、ターゲット生成器71A内の圧力を下げる構成と比べて、早いタイミングでターゲット生成器71A内の圧力が下がり、付着部275Aの成長が停止し得る。ターゲット生成器71A内の圧力を圧力PSから圧力PLに下げるために必要な時間は、数秒となり得る。
【0062】
ターゲット制御装置80Bは、ターゲット物質固化サブルーチンに基づく処理を行い(ステップS17)、制御処理を終了してもよい。このステップS17の処理によって、付着部275Aが固化し得る。
ターゲット制御装置80Bは、図11に示すように、第1〜第3温度コントローラ740B〜742Bに、融点Tm以上の目標温度T1t〜T3tを設定してもよい(ステップS21)。目標温度T1t〜T3tは、目標温度T1tが最も低く、目標温度T3tが最も高くてもよい。目標温度T1t〜T3tのそれぞれ温度差は、例えばおよそ10℃であってもよい。例えば、目標温度T1t,T2t,T3tは、それぞれおよそ330℃,340℃,350℃であってもよい。
ターゲット制御装置80Bは、以下の式(1)〜(3)の条件を全て満たすか否かを判断してもよい(ステップS22)。
ΔTr1≧|T1t−T1| … (1)
ΔTr2≧|T2t−T2| … (2)
ΔTr3≧|T3t−T3| … (3)
ΔTr1,ΔTr2,ΔTr3:制御された結果の温度制御の許容範囲
【0063】
すなわち、ターゲット制御装置80Bは、第1〜第3温度センサ737B〜739Bが検出した温度T1〜T3が、目標温度T1t〜T3tとほぼ等しくなったか否かを判断してもよい。
ここで、許容範囲ΔTr1〜ΔTr3(ΔTr1,ΔTr2,ΔTr3)は、1℃以上3℃以下の範囲内のいずれかの温度であってもよい。また、許容範囲ΔTr1〜ΔTr3は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0064】
ターゲット制御装置80Bは、ステップS22において、式(1)〜(3)の条件のうち、少なくとも1つの条件を満たしていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS22の処理を再度行ってもよい。一方で、ターゲット制御装置80Bは、ステップS22において、式(1)〜(3)の条件を全て満たすと判断した場合、第1ヒータ731Bに対して設定中の目標温度T1tから温度ΔTだけ減算した温度を、新しい目標温度T1tとして設定してもよい。同様に、ターゲット制御装置80Bは、第2,第3ヒータ732B,733Bに対して設定中の目標温度T2t,T3tから、それぞれ温度ΔTだけ減算した温度を、新しい目標温度T2t,T3tとして設定してもよい(ステップS23)。この温度ΔTは、例えば、5℃以上10℃以下の範囲内のいずれかの温度であってもよい。
【0065】
次に、ターゲット制御装置80Bは、第1〜第3温度コントローラ740B〜742Bに、新しい目標温度T1t〜T3tを設定してもよい(ステップS24)。このステップS24の処理が行われると、第1〜第3ヒータ731B〜733Bの発熱量が減少し、ターゲット物質270の温度が下がり得る。
そして、第1〜第3温度センサ737B〜739Bは、検出した温度に対応する信号を第1〜第3温度コントローラ740B〜742Bを介してターゲット制御装置80Bに送信してもよい。
【0066】
この後、ターゲット制御装置80Bは、上述の式(1)〜(3)の条件を全て満たすか否かを判断してもよい(ステップS25)。すなわち、ターゲット制御装置80Bは、第1〜第3温度センサ737B〜739Bが検出した温度T1〜T3が、目標温度T1t〜T3tとほぼ等しくなったか否かを判断してもよい。
【0067】
ターゲット制御装置80Bは、ステップS25において、式(1)〜(3)の条件のうち、少なくとも1つの条件を満たしていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS25の処理を再度行ってもよい。一方で、ターゲット制御装置80Bは、ステップS25において、式(1)〜(3)の条件を全て満たすと判断した場合、第3温度センサ739Bが検出した温度T3がターゲット物質270の融点Tm以下か否かを判断してもよい(ステップS26)。すなわち、ターゲット制御装置80Bは、タンク711Aの上端側に収容されたターゲット物質270の温度T3が、融点Tm以下か否かを判断してもよい。
ターゲット生成器71Aに収容されたターゲット物質270のうち、温度が最も高い部分の温度T3が融点Tm以下ということは、当該ターゲット物質270全体の温度が融点Tm未満であることを意味する。この場合、ターゲット物質270全体が固化し得る。
【0068】
このステップS26において、ターゲット制御装置80Bは、温度T3が融点Tm以下でないと判断した場合、ステップS23の処理を行ってもよい。ステップS23〜ステップS26の処理を繰り返し行うことによって、目標温度T1t〜T3tが、徐々に低くなり得る。そして、ターゲット物質270は、ノズル712Aの先端に向かうに従って温度が低くなる状態が維持されたまま冷却され得る。
一方で、ターゲット制御装置80Bは、ステップS26において、温度T3が融点Tm以下であると判断した場合、第1〜第3ヒータ731B〜733Bを停止して(ステップS27)、ターゲット物質固化サブルーチンに基づく処理を終了してもよい。
以上の処理によって、ターゲット物質270は、ノズル712Aの先端側から順に固化し得る。
【0069】
この後、作業者は、例えばEUV集光ミラー23をメンテナンスするために、チャンバ2の扉20Aを開けてもよい。これにより、図3に示すものと同様に、付着部275Aの表面に固体の酸化スズ276Aが形成され得る。
【0070】
上述のように、ターゲット制御装置80Bは、実際に付着部275Aの直径Dを測定することにより、付着部275Aの大きさを精密に制御し得る。
【0071】
ターゲット制御装置80Bは、排気装置762Bによる吸引でターゲット生成器71A内を排気し得る。このことにより、付着部275Aの成長が迅速に停止し、所望の大きさの付着部275Aを形成する制御が容易になり得る。
【0072】
ターゲット生成器71A内のターゲット物質270のうち、ノズル712Aの先端に近い側の方のターゲット物質270から固化が開始し得る。
ここで、ノズル712Aの先端に遠い側の方のターゲット物質270から固化が開始する場合、固化が終了した部分が収縮して、ノズル712Aの先端における内壁面とターゲット物質270との間に隙間(例えば、図5Bに示す隙間Pと同様の隙間)が形成され得る。
これに対して、第2実施形態によれば、ノズル712Aの先端に近い側の方のターゲット物質270から固化が開始し得るため、ノズル712Aの先端における内壁面とターゲット物質270との間に隙間が形成されることを抑制し得る。その結果、ノズル712A内に形成された隙間に空気が入り込むことを抑制し得る。
【0073】
3.3 変形例
なお、ターゲット供給装置の制御方法としては、以下のような構成としてもよい。
例えば、第1実施形態の構成において、排気装置762Bでターゲット生成器71A内を排気する機能を設けてもよい。第1実施形態の構成において、ノズル712Aの先端に向かうに従って温度が低くなる状態を維持したまま、ターゲット物質270の温度を下げてもよい。第1実施形態において、ステップS5の処理を繰り返す間隔が、付着部275Aが大きくなる速さと比べて十分に短い場合には、ステップS5において、計測時間Ktが下限時間Kminより長くなったか否かのみを判断してもよい。
第2実施形態において、排気部76Bを設けなくてもよい。また、第2実施形態のターゲット物質固化サブルーチンにおいて、ターゲット物質270に上下方向の温度分布を付けずに当該ターゲット物質270を固化してもよい。
【0074】
第1,第2実施形態において、ターゲット供給装置として、ピエゾ素子などによりノズル712Aに押圧力を加えることでドロップレットを生成する、オンデマンド方式のものを用いてもよい。また、ターゲット供給装置として、ノズルのノズル孔から静電気力によってターゲット物質を引き出す電極を備え、当該電極とターゲット生成器内部のターゲット物質とに電圧を印加することで、ターゲット物質を引き出すものを用いてもよい。
【0075】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0076】
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される修飾句「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0077】
4B…ターゲットセンサ(測定部)、7A,7B…ターゲット供給装置、71A…ターゲット生成器、72A…圧力制御部、73B…温度制御部(加熱部)、76B…排気部、270…ターゲット物質、275A…付着部、712A…ノズル、713A…ノズル孔。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11