(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一測定工程および第二測定工程において、フライアッシュの貫入抵抗値を測定することでフライアッシュの固結状態を測定する請求項1に記載のフライアッシュの固結性判断方法。
前記第一測定工程および第二測定工程において、フライアッシュのせん断強度を測定することでフライアッシュの固結状態を測定する請求項1に記載のフライアッシュの固結性判断方法。
【背景技術】
【0002】
セメント材料として用いられるフライアッシュは、主に石炭火力発電所等で粉砕した石炭を燃焼させることにより生じる石炭灰である。
フライアッシュは吸湿すると凝集固結する性質があり、保管方法によっては、凝集固結してしまい、使用に支障をきたす場合がある。また、例えば、船舶等による輸送中などに、凝集固結した場合には、搬出不良(以下、居着き、ともいう。)が発生し、多大な滞船費用および処理費用が必要となる。
フライアッシュの固結しやすさ(以下、固結性ともいう。)は、フライアッシュの原料、生成条件等によって異なり一定ではない。そのため、予め使用するフライアッシュの固結性を測定しておき、固結性の高いフライアッシュについては、保管時や輸送時に、適切な管理等を行なうことによって固結を予防することが考えられる。
【0003】
フライアッシュの固結性の判断方法としては、各種方法が知られている。
例えば、特許文献1には、容器に詰めたフライアッシュを相対湿度100%に近づけた湿気箱に入れて吸湿させながら、標準棒の侵入深さを24時間後まで測定し、前記進入深さの経時変化によって、フライアッシュの固結性を判断する方法が記載されている。
特許文献2には、石炭灰(フライアッシュ)を、相対湿度66%、温度32℃の恒温恒湿槽に18時間置き吸湿させた後に、三角フラスコの底部に締め固めて充填し、該三角フラスコを横向きに載置し、回転させた時にフライアッシュが崩壊した回数を、フライアッシュの固結性の判断の指標とする方法が記載されている。
特許文献3には、フライアッシュを容器に充填して、さらに、相対湿度100%、30℃の恒温恒湿槽に24時間置き吸湿させ、この吸湿前後のフライアッシュの、せん断強度をベーン試験機によって測定し、前記せん断強度の上昇幅によってフライアッシュの固結性を判断する方法が記載されている。
非特許文献1には、フライアッシュを相対湿度90%、20℃の場所に放置し、ビカー針標準棒の侵入度を1日から5日までの間測定することで、固結性を判断する方法が記載されている。
非特許文献2には、フライアッシュを相対湿度100%、30℃の場所に24時間放置し、放置前後の貫入抵抗値を比較することで、固結性を判断する方法が記載されている。
【0004】
しかし、前記特許文献1乃至3、及び非特許文献1並びに2に記載の方法では、いずれも、フライアッシュを十分に吸湿させた状態における各測定を行なう方法であるため、フライアッシュを18時間〜数日間かけて高湿度の環境に置く必要があり、固結性の判断結果が得られるまでに時間がかかる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明にかかるフライアッシュの固結性判断方法について説明する。
本実施形態のフライアッシュの固結性判断方法は、フライアッシュを温度0℃以上30℃以下、相対湿度50%以上の雰囲気中に4時間以上10時間以下置く高湿工程と、前記高湿工程後に、前記フライアッシュを温度40℃以上80℃以下、相対湿度0%以上40%以下の雰囲気中に恒量になるまで置く低湿工程と、前記高湿工程後であって前記低湿工程前に、前記フライアッシュの固結状態を測定する第一測定工程と、前記低湿工程後に、前記フライアッシュの固結状態を測定する第二測定工程と、前記第一測定工程で測定された固結状態と、前記第二測定工程で測定された固結状態とを比較して、フライアッシュの固結性を判断する判断工程とを実施する方法である。
【0017】
フライアッシュは、火力発電所等で微粉炭を燃焼させる際に副生される石炭灰であり、通常は、5〜250μm程度の径を有する球状に近い粒子である。
前記フライアッシュの主な成分はSiO
2であるが、フライアッシュ表面には僅かなカルシウムや亜硫酸イオンも存在している。
フライアッシュ表面においてカルシウムと亜硫酸イオンとが反応して、半水または無水セッコウが生成され、さらに、吸湿によって前記半水または無水セッコウから二水セッコウが生成される際に、フライアッシュ粒子相互間が結合して、固結現象が生じると言われている。
【0018】
この固結の生じやすさ(固結性)は、フライアッシュの原料や生成条件によって変わるため、フライアッシュのロットが異なれば、固結性も相違する。従って、使用するフライアッシュの固結性を予め判断することで、固結を防止する最適の対策をとることができる。特に、船舶輸送時にフライアッシュが固結した場合には、居着きが生じて、大きな損害が発生するおそれがある。
本実施形態のフライアッシュの固結性判断方法によって、例えば、船舶輸送前に輸送するフライアッシュの固結性の高さを判断しておき、輸送中の保管条件等を調整することで、居着きを予防することができる。
【0019】
(高湿工程)
本実施形態のフライアッシュの固結性判断方法において、まず、フライアッシュを温度0℃以上30℃以下、相対湿度50%以上の雰囲気中に4時間以上10時間以下置く高湿工程を実施する。
高湿工程を実施するフライアッシュは、例えば、シリンダー等の容器に密となるように充填することが好ましい。
【0020】
フライアッシュを密となるように容器に充填する方法としては、例えば、JIS R 9301−2−3 「アルミナ粉末 第2部:物性測定方法−3 軽装かさ密度および重装かさ密度」に記載された方法等が挙げられる。具体的には、まず、容器として20ml以上の容積を有し、内径、高さ共に30mm以上であるシリンダーを用い、前記シリンダーの高さの半分程度にまでフライアッシュを入れて、タッピングする。
タッピング方法としては、コンクリート製の堅牢な実験台上に厚さ3mm程度のゴム板を設置し、かかるゴム板から30mm程度の高さから、前記シリンダーを垂直に30回程度落下させて行う。
これをフライアッシュの高さがシリンダーの上端よりも盛り上がるようになるまで繰り返し、盛り上がった部分のフライアッシュを直ナイフで擦り切り、上面を平らにする。
【0021】
容器に充填したフライアッシュを、温度0℃以上30℃以下、好ましくは、20℃以上30℃以下、さらに好ましくは30℃程度で、且つ、相対湿度50%以上、好ましくは
70%以上99%以下、さらに好ましくは70%程度の雰囲気中に置く。
かかる雰囲気中にフライアッシュを置く方法としては、例えば、前記温度および湿度
範囲に調整した恒温恒湿槽の中に前記容器を設置すること等が挙げられる。
【0022】
前記雰囲気中にフライアッシュを置く時間は、4時間以上10時間以下、好ましくは4時間以上6時間以下、である。
本実施形態の高湿工程は10時間以下という比較的短時間であるため、かかる高湿工程後のフライアッシュの水分量は、例えば24時間以上前記条件に置いた場合に比べて通常少なくなる。
【0023】
(第一測定工程)
次に、前記高湿工程後であって、後述する低湿工程の前にフライアッシュの固結状態を測定する第一測定工程を実施する。
フライアッシュの固結状態を測定する測定方法としては、公知の方法を採用することができる。例えば、JIS A 1147「コンクリートの凝結時間試験方法」に記載の方法に準拠して測定する貫入抵抗値、JGS 1411−2003「粘性土地盤の原位置ベーンせん断試験方法」に記載の方法に準拠して測定するせん断強度等を測定することが挙げられる。
【0024】
前記貫入抵抗値を測定する場合には、貫入針の断面積を、JIS A 1147に記載の標準と定められた断面積以外に、例えば10mm
2〜200mm
2の範囲で変更して用いてもよい。
貫入針の断面積を前記範囲にすることで、より精度よくフライアッシュの固結状態としての貫入抵抗値が測定できる。
前記貫入抵抗値は、土壌表面等の硬さの指標として用いられる値であり、貫入抵抗値が高い程、測定されるフライアッシュ表面が硬いことを示している。
【0025】
前記せん断強度を測定する場合には、例えば、JGS 1411−2003「原位置ベーンせん断試験方法」に準拠して、小型のベーン試験機(ベーンブレード(幅15mm、高さ30mm、厚さ0.8mm)にトルクドライバーを取り付けたもの(丸東製作所社製))を使用することが挙げられる。
測定方法としては、前記ベーン試験機の先端から45mmの位置まで試験体に貫入させ、0.1°/秒で回転させたときの測定最大トルクを測定し、かかる測定値をJGS 1411−2003に記載の下記算定式(1)にあてはめ、せん断強さを算出することが挙げられる。
前記せん断強度は、軟らかい粘性土の強度の指標として用いられる値であり、前記せん断強度が高い程、測定されるフライアッシュ表面のせん断力(強度)が高いことを示している。
【0027】
本実施形態の第一測定工程においてフライアッシュの固結状態を測定する方法としては、前記貫入抵抗値の測定、せん断強度の測定に限られるものではない。例えば、ビカー針標準棒による侵入度の測定や、容器にフライアッシュを締め固めた状態に充填し、前記容器を横向きに載置し回転させた時のフライアッシュが崩壊した回数の測定等、フライアッシュの固結状態が測定でき、且つ前記第一測定工程および第二測定工程で測定される値を比較することで、フライアッシュの固結性が判断できる方法であれば、どのような方法であってもよい。
【0028】
(低湿工程)
次に、前記高湿工程後に前記フライアッシュを温度40℃以上80℃以下、相対湿度0%以上40%以下の雰囲気中に恒量になるまで置く低湿工程を実施する。
本実施形態の低湿工程では、前記高湿工程で吸湿されたフライアッシュを温度40℃以上80℃以下、好ましくは40℃以上50℃以下、相対湿度0%〜40%、好ましくは10%〜20%、の雰囲気中に恒量となるまで置く。
【0029】
前記高湿工程後のフライアッシュを前記温度および相対湿度の条件に恒量となるまで置くことで、後述する判断工程において、フライアッシュの固結性が精度よく判断することができる。
また、前記高湿工程において比較的短時間で吸湿させたフライアッシュは、低湿工程において放湿する水分量が少ないため、比較的短時間で恒量になる。
本実施形態の低湿工程においては、例えば、通常3時間〜4時間程度で恒量になる。
【0030】
(第二測定工程)
前記低湿工程後に前記フライアッシュの固結状態を測定する第二測定工程を実施する。
第二測定工程で測定するフライアッシュの固結状態の測定方法は、前記第一測定工程と同じ測定方法であることが必要である。
尚、第二測定工程を実施するフライアッシュは、例えば、前記高湿工程において、同じ容器に同じ条件で充填した試験用のフライアッシュを2個以上準備しておき、一部を前記高湿工程後に前記第一測定工程において固結性を測定するのに使用し、別の一部を前記低湿工程で放湿させた後、第二測定工程において固結状態を測定するのに用いてもよい。
【0031】
(判断工程)
次に、前記第一測定工程で測定された固結状態と、前記第二測定工程で測定された固結状態とを比較して、フライアッシュの固結性を判断する判断工程を実施する。
【0032】
具体的には、前記第二測定工程で測定された測定値から、前記第一測定工程で測定された測定値を引いた値が所定以上である場合に固結性があると判断することができる。
より具体的には、例えば、前記第一測定工程および第二測定工程で、貫入抵抗値を測定した場合であれば、前記第二測定工程で測定された測定値から、前記第一測定工程で測定された測定値を引いた値を算出して、かかる値が所定以上である場合に固結性が高いと判断する。
フライアッシュは、通常、ある程度吸湿した後に、さらにある程度乾燥することでより固結が生じやすくなるため、前記高湿工程を実施後の第一測定工程において測定した貫入抵抗値よりも、その後、前記低湿工程を実施後に測定した第二測定工程において測定した貫入抵抗値の方が、固結が生じている場合には大きくなる。
【0033】
第二測定工程で測定された貫入抵抗値から、第一測定工程で測定された貫入抵抗値を引いた差が基準値以下である場合に、固結性が低いフライアッシュであると精度よく判断することができる。前記基準値が、例えば、0.05N/mm
2〜0.25N/mm
2、好ましくは0.1N/mm
2である場合には、固結性が低いフライアッシュであると精度よく判断することができる。
【0034】
あるいは、前記第一測定工程および第二測定工程で、せん断強度を測定した場合には、貫入抵抗値を測定した場合と同様に、前記第二測定工程で測定された測定値から、前記第一測定工程で測定された測定値を引いた値を算出して、かかる値が所定以上である場合に固結性が高いと判断する。
フライアッシュに固結が生じている場合には、前記高湿工程を実施後に測定したせん断強度の値よりも、その後、前記低湿工程を実施後に測定したせん断強度の値は大きくなる。
【0035】
第二測定工程で測定されたせん断強度の値から、第一測定工程で測定されたせん断強度の値を引いた差が、基準値以下である場合に、固結性が低いフライアッシュであると精度よく判断することができる。前記基準値が、例えば、0.5kN/m
2〜5.0kN/m
2、好ましくは1.0kN/m
2である場合には、固結性が低いフライアッシュであると精度よく判断することができる。
【0036】
本実施形態のフライアッシュの固結性判断方法では、高湿工程において比較的短時間、フライアッシュを置くため、その後の低湿工程においても、短時間で恒量にすることができ、その結果、固結性の判断にかかる時間が比較的短時間で行なえる。
【0037】
尚、本実施形態にかかるフライアッシュの固結性判断方法は以上のとおりであるが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は前記説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
固結性を判断するフライアッシュとして、表1に示す2種類のフライアッシュ(A、B)を準備した。
【0040】
【表1】
【0041】
(実施例1)
表1に記載のフライアッシュA及びBを、それぞれプラスチック製シリンダー(内径30mm、高さ30mm、容積20ml)にタッピングしながら充填した。
充填は、JIS R 9301−2−3 「アルミナ粉末 第2部:物性測定方法−3 軽装かさ密度および重装かさ密度」の記載に従って、フライアッシュの高さがシリンダーの上端よりも盛り上がるようになるまでタッピングを繰り返し、盛り上がった部分のフライアッシュを直ナイフで擦り切り、上面を平らにすることで行なった。
各フライアッシュはそれぞれ2個の容器に充填した試験体(計4個)を作製した。
各試験体を温度30℃、相対湿度70%(高湿条件)の恒温恒湿槽に入れて、4時間静置した。
前記高湿条件に置いた試験体のうちフライアッシュA、Bの各一個ずつを、JIS A 1147「コンクリートの凝結時間試験方法」に記載の方法に準拠して貫入抵抗値(高湿貫入抵抗値)を測定した。尚、測定装置は装置名:プッシュプルゲージ(アイコーエンジニアリング社製)を使用し、貫入針は断面積19.6mmのものを使用した。
一方、残りの各一個の試験体を、温度50度、相対湿度20%(低湿条件)の恒温恒湿槽に入れて恒量になるまで静置した。
この間、15分おきに電子天秤(型式:AT−250、メトラートレド社製)を用いて23.8219gのフライアッシュの重量を測定して、測定した重量の差が119mg以下になった時に、恒量となったとした。尚、恒量になるまでの時間は4時間であった。
前記低湿度条件においた後の各試験体を、前記高湿貫入抵抗値と同じ方法で、貫入抵抗値(低湿貫入抵抗値)を測定した。
前記低湿貫入抵抗値から前記高湿貫入抵抗値を引いた値が、0.1N/mm
2超だった場合に、固結性あり、と判断し、0.1N/mm
2以下だった場合には固結性無し、と判断した。前記高湿条件での静置と低湿条件での静置時間とを合わせた判断に要する時間は約8時間であった。
結果を表2に示す。
【0042】
前記フライアッシュAとBをそれぞれ、ばら積み貨物船で特に温度および湿度の調整を行なうことなく、30時間輸送した後に、船倉内で固結しているかどうかを目視にて確認し、固結が発生したものを、固結あり、固結していなかったものを固結なし、とした。結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
表2に示すように、貫入抵抗値の測定によって固結性あり、と判断したフライアッシュAは、実際に固結が発生していた。
一方、固結性なし、と判断したフライアッシュBは実際に固結が発生しなかった。
【0045】
(実施例2)
前記実施例1の恒温恒湿槽に代えて、油回転真空ポンプ(ST−20、佐藤真空機械工業社製)を用いて内部を約10−1Paの低圧状態(温度40℃、相対湿度10%)にした密閉容器(例えばデシケータ等)内にて恒量になるまで静置した以外は、実施例1と同様に高湿貫入抵抗値、低湿貫入抵抗値、および船倉内での固結の有無の測定した結果を表3に示した。
尚、恒量になるまでの時間は3時間であり、前記高湿条件での静置と低湿条件での静置時間とを合わせた判断に要する時間は約7時間であった。
【0046】
【表3】
【0047】
表3に示すように、貫入抵抗値の測定によって固結性あり、と判断したフライアッシュAは、実際に固結が発生していた。
一方、固結性なし、と判断したフライアッシュBは実際に固結が発生しなかった。
【0048】
(実施例3)
前記実施例1の貫入針に代えて断面積176.7mm
2のものを使用した以外は、実施例1と同様に高湿貫入抵抗値、低湿貫入抵抗値、および船倉内での固結の有無の測定した結果を表4に示した。
尚、恒量になるまでの時間は4時間であり、前記高湿条件での静置と低湿条件での静置時間とを合わせた判断に要する時間は約8時間であった。
【0049】
【表4】
【0050】
表4に示すように、貫入抵抗値の測定によって固結性あり、と判断したフライアッシュAは、実際に固結が発生していた。
一方、固結性なし、と判断したフライアッシュBは実際に固結が発生しなかった。
【0051】
(実施例4)
前記実施例1の貫入抵抗値の測定に代えて、ベーンせん断試験装置(装置名:マイクロベーンせん断試験機、丸東製作所社製)を用いて、JGS 1411−2003「原位置ベーンせん断試験方法」に記載の方法に準拠して高湿せん断強度および低湿せん断強度を測定した。
【0052】
この場合、低湿せん断強度から高湿せん断強度を引いた値が、1.0kN/m
2超であった場合に、固結性あり、と、1.0kN/m
2以下であった場合に、固結性なし、と判断した。
その他は、実施例1と同様にして、船倉内での固結の有無の測定した結果を表5に示した。
尚、低湿条件において恒量になるまでの時間は4時間であり、前記高湿条件での静置と低湿条件での静置時間とを合わせた判断に要する時間は約8時間であった。
【0053】
【表5】
【0054】
表5に示すように、せん断強度の測定によって固結性あり、と判断したフライアッシュAは、実際に固結が発生していた。
一方、固結性なし、と判断したフライアッシュBは実際に固結が発生しなかった。
【0055】
(実施例5)
前記実施例1の高湿条件の相対湿度70%に代えて、相対湿度50%(温度30℃)で静置した以外は、実施例1と同様に高湿貫入抵抗値、低湿貫入抵抗値および船倉内での固結の有無の測定した結果を表6に示した。
尚、低湿条件において恒量になるまでの時間は3時間30分であり、前記高湿条件での静置と低湿条件での静置時間とを合わせた判断に要する時間は約7時間30分間であった。
【0056】
【表6】
【0057】
表6に示すように、貫入抵抗値の測定によって固結性あり、と判断したフライアッシュAは、実際に固結が発生していた。
一方、固結性なし、と判断したフライアッシュBは実際に固結が発生しなかった。
【0058】
(実施例6)
前記実施例1の高湿条件の静置時間4時間に代えて、10時間静置した以外は、実施例1と同様に高湿貫入抵抗値、低湿貫入抵抗値および船倉内での固結の有無の測定した結果を表7に示した。尚、低湿条件で静置した試験体の重量が恒量になるまでの時間は6時間であり、前記高湿条件での静置と低湿条件での静置時間とを合わせた判断に要する時間は約16時間であった。
【0059】
【表7】
【0060】
表7に示すように、貫入抵抗値の測定によって固結性あり、と判断したフライアッシュAは、実際に固結が発生していた。
一方、固結性なし、と判断したフライアッシュBは実際に固結が発生しなかった。
【0061】
以上の各実施例から、本発明にかかる判断方法によれば、7時間〜16時間程度の短時間でフライアッシュの固結性の有無を判断できることが判る。
【0062】
(比較例1)
前記実施例1と同様に高湿条件での静置(4時間)を実施した場合の、高湿前貫入抵抗値、高湿後貫入抵抗値、および船倉内での固結の有無の測定した結果を表8に示した。
【0063】
【表8】
【0064】
表8に示すように、高湿工程のみを実施した場合には、フライアッシュによっては判定できなかった。
【0065】
(比較例2)
前記実施例1の高湿条件の静置時間4時間に代えて、24時間静置し、さらには低湿工程を実施しない場合の、高湿前貫入抵抗値、高湿後貫入抵抗値および船倉内での固結の有無の測定した結果を表9に示した。
【0066】
【表9】
【0067】
表9に示すように、高湿工程のみ実施した場合にも、貫入抵抗値の測定によって固結性を判断することができたが、固結性を判断するのに24時間かかった。
また、船倉内で固結が発生したフライアッシュAに着目すると、実施例1では貫入抵抗値の差が+0.36であるのに対し、比較例2では+0.15と小さいことから、実施例1よりも固結性が判断しにくいことがあきらかであった。