(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施形態を説明する。
【0013】
本実施形態の研磨用組成物の製造方法は、砥粒としてのシリカ粒子、塩基性化合物、及び水を混合して混合物を調製する工程と、前記混合物に水溶性高分子を含有する水溶液を添加する工程とからなる。このように得られた研磨用組成物は、好ましくはシリコン基板の表面を研磨する用途に使用される。シリコン基板の研磨工程は、例えば、シリコン単結晶インゴットからスライスされた円盤状のシリコン基板の表面を平坦化する予備研磨工程(一次研磨及び二次研磨)と、予備研磨工程後のシリコン基板の表面に存在する微細な凹凸を除去して鏡面化する最終研磨工程とを含む。研磨用組成物は最終研磨工程に使用されることが特に好ましい。研磨用組成物を用いて表面を研磨されたシリコン基板は、半導体基板の製造に好適に用いることができる。
【0014】
シリカ粒子は、研磨対象面を機械的に研磨する働きをする。シリカ粒子の例としてはコロイダルシリカ、フュームドシリカ、及びゾルゲル法シリカ等が挙げられる。シリカ粒子の中でも、コロイダルシリカが好ましい。コロイダルシリカ又はフュームドシリカを使用した場合、特にコロイダルシリカを使用した場合には、シリコン基板の研磨後の表面に発生するスクラッチが減少する。これらのシリカ粒子は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
シリカ粒子の平均一次粒子径は5nm以上であることが好ましく、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは20nm以上である。シリカ粒子の平均一次粒子径の増大につれて、シリコン基板の研磨速度が向上する。
【0016】
シリカ粒子の平均一次粒子径は100nm以下であることが好ましく、より好ましくは70nm以下、さらに好ましくは50nm以下である。シリカ粒子の平均一次粒子径の減少につれて、研磨用組成物の分散安定性が向上する。
【0017】
シリカ粒子の平均一次粒子径の値は、例えば、BET法により測定される比表面積から算出される。シリカ粒子の比表面積の測定は、例えば、マイクロメリテックス社製の“Flow SorbII 2300”を用いて行うことができる。
【0018】
シリカ粒子の平均二次粒子径は10nm以上であることが好ましく、より好ましくは20nm以上、更に好ましくは30nm以上である。シリカ粒子の平均二次粒子径の増大につれて、研磨する際に高い研磨速度が得られる。シリカ粒子の平均二次粒子径は200nm以下であることが好ましく、より好ましくは150nm以下、更に好ましくは100nm以下である。シリカ粒子の平均二次粒子径の減少につれて、研磨用組成物の分散安定性が向上する。シリカ粒子の平均二次粒子径は、例えば、大塚電子社製のFPAR−1000を用いた動的光散乱法により測定することができる。
【0019】
シリカ粒子の長径/短径比の平均値は1.0以上であることが好ましく、より好ましくは1.05以上、更に好ましくは1.1以上である。上記長径/短径比の平均値の増大につれて、高い研磨速度が得られる。シリカ粒子の長径/短径比の平均値は3.0以下であることが好ましく、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.5以下である。上記長径/短径比の平均値の減少につれて、研磨面に生じるスクラッチが減少する。
【0020】
上記長径/短径比は、シリカ粒子の形状に関する値であり、例えば、シリカ粒子の電子顕微鏡画像を用いて求めることができる。具体的には、所定個数(例えば200個)のシリカ粒子の走査型電子顕微鏡画像において、各々の粒子に対し最小外接矩形を描く。次に、各最小外接矩形について、その長辺の長さ(長径の値)を短辺の長さ(短径の値)で除した値を算出するとともに、それらの平均値を算出することにより、長径/短径比の平均値を求めることができる。
【0021】
シリカ粒子の真比重は、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.6以上、更に好ましくは1.7以上である。シリカ粒子の真比重の増大につれて、高い研磨速度が得られる。シリカ粒子の真比重は、好ましくは2.2以下である。真比重は、乾燥させたシリカ粒子の質量と、このシリカ粒子を体積既知のエタノールに浸漬した後の総質量とから算出される。
【0022】
シリカ粒子、塩基性化合物、及び水を混合した混合物中のシリカ粒子の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。前記混合物中のシリカ粒子の含有量の増加につれて、研磨用組成物中のシリカ粒子の含有量を増加させることが容易となる。
【0023】
前記混合物中のシリカ粒子の含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。前記混合物中のシリカ粒子の含有量の減少につれて、研磨用組成物の調製時における凝集が抑制される。
【0024】
最終的に得られる研磨用組成物中のシリカ粒子の含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上である。シリカ粒子の含有量の増加につれて、研磨対象面に対する研磨速度等の表面加工性能が向上する。
【0025】
研磨用組成物中のシリカ粒子の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下である。シリカ粒子の含有量の減少につれて、研磨用組成物の分散安定性が向上し、かつ、研磨された面に残留するシリカ粒子が低減する。
【0026】
塩基性化合物は、研磨対象面を化学的に研磨する働きをし、研磨速度を向上させる。また、塩基性化合物は、研磨用組成物の分散安定性を向上させる働きをする。
【0027】
塩基性化合物の具体例としては、アルカリ金属の水酸化物又は塩、水酸化第四級アンモニウム又はその塩、アンモニア、アミン等が挙げられる。アルカリ金属の具体例としては、カリウム、ナトリウム等が挙げられる。塩の具体例としては、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、酢酸塩等が挙げられる。第四級アンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物又は塩の具体例としては、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム等が挙げられる。水酸化第四級アンモニウム又はその塩の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−メチルピペラジン、グアニジン等が挙げられる。これらの塩基性化合物は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
好ましくは、塩基性化合物は、アンモニア、アンモニウム塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属塩、及び第四級アンモニウム水酸化物から選ばれる少なくとも一種である。より好ましくは、塩基性化合物は、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも一種である。さらに好ましくは、塩基性化合物は、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、及び水酸化テトラエチルアンモニウムから選ばれる少なくとも一種であり、一層好ましくはアンモニア及び水酸化テトラメチルアンモニウムの少なくとも一方であり、最も好ましくはアンモニアである。
【0029】
シリカ粒子、塩基性化合物、及び水を混合した混合物中の塩基性化合物の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上である。前記混合物中の塩基性化合物の含有量の増加につれて、研磨用組成物の調製時における凝集が抑制される。
【0030】
前記混合物中の塩基性化合物の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。前記混合物中の塩基性化合物の含有量の低下につれて、研磨用組成物中の塩基性化合物の含有量を減少させることが容易となる。
【0031】
最終的に得られる研磨用組成物中の塩基性化合物の含有量は、0.001質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.002質量%以上、さらに好ましくは0.003質量%以上である。研磨用組成物中の塩基性化合物の含有量の増加につれて、研磨対象面に対する化学的研磨作用が高まり、また、研磨用組成物の分散安定性が向上する。
【0032】
研磨用組成物中の塩基性化合物の含有量は、1.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下である。研磨用組成物中の塩基性化合物の含有量の減少につれて、研磨された面の平滑性が向上する。
【0033】
水は、シリカ粒子の分散媒や他の成分の溶媒となる。水は、他の成分の働きを阻害しないことが好ましい。このような水の例として、例えば遷移金属イオンの合計含有量が100ppb以下の水が挙げられる。水の純度は、例えば、イオン交換樹脂を用いる不純物イオンの除去、フィルタによる異物の除去、蒸留等によって高めることができる。具体的には、例えば、イオン交換水、純水、超純水、蒸留水等を用いることが好ましい。
【0034】
シリカ粒子、塩基性化合物、及び水を混合して得られる混合物のpHは、8以上が好ましく、より好ましくは9以上である。pHの上昇につれて、前記混合物に水溶性高分子を含有する水溶液を添加した時の凝集が抑制される。それにより、最終的に得られる研磨用組成物の分散安定性が向上する。
【0035】
前記混合物のpHは、12以下が好ましく、より好ましくは10.5以下である。pHの減少につれて、シリカの溶解が抑制される。前記混合物のpHは、塩基性化合物の配合量等により調整することができる。
【0036】
水溶性高分子は、研磨される面の濡れ性を高める働きをする。水溶性高分子としては、分子中に、カチオン基、アニオン基及びノニオン基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するものを使用することができる。このような官能基の具体例としては、水酸基、カルボキシル基、アシルオキシ基、スルホ基、第四級窒素構造、複素環構造、ビニル構造、ポリオキシアルキレン構造等が挙げられる。
【0037】
水溶性高分子の具体例としては、セルロース誘導体、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)等のイミン誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンを構造の一部に含む共重合体、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルカプロラクタムを構造の一部に含む共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシアルキレン構造を有する重合体、これらのジブロック型やトリブロック型、ランダム型、交互型等の複数種の構造を有する共重合体、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。水溶性高分子は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
水溶性高分子の中でも、研磨後の基板表面に良好な親水性を与えるという観点から、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、又はポリオキシアルキレン構造を有する重合体が好適である。セルロース誘導体の具体例としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。セルロース誘導体の中でも、研磨された面に濡れ性を与える能力が高く、良好な洗浄除去性を有する点から、ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
【0039】
水溶性高分子の重量平均分子量は、ポリエチレンオキサイド換算で、1,000以上であることが好ましく、より好ましくは10,000以上、さらに好ましくは100,000以上、一層好ましくは200,000以上である。水溶性高分子の重量平均分子量の増加につれて、研磨された面の親水性が高まる。
【0040】
水溶性高分子の重量平均分子量は、2,000,000以下であることが好ましく、より好ましくは1,500,000以下、さらに好ましくは1,000,000以下、最も好ましくは500,000以下である。水溶性高分子の重量平均分子量の減少につれて、研磨用組成物の分散安定性が向上する。
【0041】
前記水溶液中の水溶性高分子の含有量は、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上である。前記水溶液中の水溶性高分子の含有量の増加につれて、研磨用組成物中の水溶性高分子の含有量を増加させることが容易となる。
【0042】
前記水溶液中の水溶性高分子の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。前記水溶液中の水溶性高分子の含有量の減少につれて、研磨用組成物の調製時における凝集が抑制される。
【0043】
最終的に得られる研磨用組成物中の水溶性高分子の含有量は、0.002質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.004質量%以上、さらに好ましくは0.006質量%以上である。研磨用組成物中の水溶性高分子の含有量の増加につれて、研磨された面の濡れ性がより高まる。
【0044】
研磨用組成物中の水溶性高分子の含有量は、0.5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.2質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。研磨用組成物中の水溶性高分子の含有量の減少につれて、研磨用組成物の分散安定性が向上する。
【0045】
前記水溶液は、好ましくはほぼ中性から塩基性までの範囲に調整され、より好ましくは塩基性(例えば、pH8以上12以下)に調整される。前記水溶液のpHは、8以上が好ましく、より好ましくは9以上である。前記水溶液のpHの上昇につれて、シリカ粒子、塩基性化合物、及び水を含有する混合物に前記水溶液を添加した時のシリカ粒子の凝集が抑制される。それにより、最終的に得られる研磨用組成物の分散安定性が向上する。
【0046】
前記水溶液のpHは、12以下が好ましく、より好ましくは10.5以下である。前記水溶液のpHの減少につれて、シリカの溶解が抑制される。
【0047】
前記混合物への前記水溶液の添加速度は、好ましくは前記混合物1Lに対し0.1mL/分以上が好ましく、より好ましくは1mL/分以上、さらに好ましくは5mL/分以上である。添加速度の上昇につれて、研磨用組成物の生産効率が向上する。
【0048】
前記混合物への前記水溶液の添加速度は、好ましくは前記混合物1Lに対し500mL/分以下が好ましく、より好ましくは100mL/分以下、さらに好ましくは50mL/分以下である。添加速度の減少につれて、シリカの凝集が抑制される。
【0049】
前記水溶液は、前記混合物に添加される前にろ過されることが好ましい。ろ過により、前記水溶液中に含まれる異物又は凝集物が減少する。ろ過は、常圧下で行う自然ろ過でも、吸引ろ過、加圧ろ過、又は遠心ろ過でもよい。
【0050】
ろ過で用いるフィルタは、目開きを基準に選択されることが好ましい。フィルタの目開きは0.05μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上である。フィルタの目開きの増大につれて、研磨用組成物の生産効率が向上する。
【0051】
フィルタの目開きは100μm以下であることが好ましく、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。フィルタの目開きの縮小につれて、前記水溶液中に含まれる異物又は凝集物の除去効率が向上する。それにより、研磨用組成物の分散安定性がさらに向上する。
【0052】
最終的に得られる研磨用組成物のpHは、8以上が好ましく、より好ましくは8.5以上、さらに好ましくは9以上である。pHの上昇につれて、研磨用組成物の研磨対象面に対する化学的研磨作用が高まり、また、研磨用組成物の分散安定性が向上する。研磨用組成物のpHは、12.5以下が好ましく、より好ましくは12以下、さらに好ましくは11.5以下である。pHの減少につれて、研磨された面の平滑性が向上する。
【0053】
研磨用組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、例えば界面活性剤、有機酸、有機酸塩、無機酸、無機酸塩、キレート剤等を含んでもよい。
【0054】
界面活性剤は、研磨された面の荒れを抑制する働きをする。これにより、研磨された面のヘイズレベルを低減することが容易となる。特に、研磨用組成物が塩基性化合物を含有する場合、塩基性化合物によるケミカルエッチングによって、研磨された面に荒れが生じ易くなる。このため、塩基性化合物と界面活性剤との併用は有効である。
【0055】
界面活性剤の具体例としては、例えば、重量平均分子量が1000未満のイオン性又はノニオン性の界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の中でも、ノニオン性界面活性剤が好ましい。ノニオン性界面活性剤は、起泡性が低いため、研磨用組成物の調製時や使用時の取り扱いが容易となる。また、ノニオン性界面活性剤を用いた場合、研磨用組成物のpH調整が容易となる。ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシアルキレン重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレン付加物等が挙げられる。
【0056】
より具体的には、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンプロピルエーテル、ポリオキシエチレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンペンチルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミド、ポリオキシエチレンオレイルアミド、ポリオキシエチレンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジオレイン酸エステル、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。界面活性剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
有機酸及びその塩、並びに無機酸及びその塩は、研磨された面の親水性を向上させる働きをする。
【0058】
有機酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸、安息香酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、有機スルホン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。有機酸塩の具体例としては、これらの有機酸のナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、並びにアンモニウム塩が挙げられる。
【0059】
無機酸の具体例としては、硫酸、硝酸、塩酸、炭酸等が挙げられる。無機酸塩の具体例としては、これらの無機酸のナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、並びにアンモニウム塩が挙げられる。
【0060】
有機酸塩及び無機酸塩の中でも、研磨製品の金属汚染を抑制するという観点から、アンモニウム塩が好ましい。
【0061】
有機酸及びその塩、並びに無機酸及びその塩は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
キレート剤は、金属不純物を捕捉し錯体を形成することで、研磨製品の金属汚染を抑制する働きをする。キレート剤の具体例としては、アミノカルボン酸系キレート剤及び有機ホスホン酸系キレート剤が挙げられる。アミノカルボン酸系キレート剤の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウムが挙げられる。有機ホスホン酸系キレート剤の具体例としては、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、トリエチレンテトラアミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等が挙げられる。これらのキレート剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましくは、キレート剤は有機ホスホン酸系キレート剤であって、さらに好ましくはエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)である。
【0063】
本実施形態の研磨用組成物の製造方法は、上述したように、シリカ粒子、塩基性化合物、及び水を混合して混合物を調製する工程と、前記混合物に水溶性高分子を含有する水溶液を添加する工程とからなる。前記混合物中のシリカ粒子の安定性が低い(例えば、前記混合物がほぼ中性である)場合、前記混合物に前記水溶液を添加すると、前記水溶液中の水溶性高分子の作用によりシリカ粒子の凝集が発生する。特に、シリコン基板の最終研磨に用いられる研磨用組成物には、不純物の少ない高純度のシリカ粒子が用いられる。このような高純度のシリカ粒子を超純水に分散させた溶液のpHはほぼ中性である。この場合、シリカ粒子の分散溶液に水溶性高分子を添加する前に、シリカ粒子の分散溶液のpHを塩基性に調整してシリカ粒子の安定性を高めることにより、研磨用組成物の調製時における凝集を抑制することができる。
【0064】
次に、上記研磨用組成物を用いたシリコン基板の製造方法について説明する。
【0065】
上記研磨用組成物を用いてシリコン基板の表面を研磨するときには、シリコン基板の表面に研磨用組成物を供給しながら、同表面に研磨パッドを押し付けてシリコン基板及び研磨パッドを回転させる。このとき、研磨パッドとシリコン基板表面との間の摩擦による物理的作用、研磨用組成物中のシリカ粒子とシリコン基板との間の摩擦による物理的作用、及び研磨用組成物中の塩基性化合物による化学的作用によってシリコン基板の表面は研磨される。
【0066】
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
【0067】
(1)研磨用組成物の製造方法において、シリカ粒子、塩基性化合物、及び水の混合物を調製した後に水溶性高分子を含有する水溶液が添加される。これにより、研磨用組成物の調製時におけるシリカ粒子の凝集を抑制し、研磨用組成物の分散安定性を向上させることができる。
【0068】
(2)前記水溶液は、塩基性であることが好ましい。この場合、研磨用組成物の調製時における凝集をより抑制することができる。
【0069】
(3)研磨用組成物は、シリコン基板を研磨する用途に用いられることが好ましい。この場合、品質の高いシリコン基板を得ることが容易となる。
【0070】
(4)研磨用組成物は、シリコン基板を最終研磨する用途に用いられることが好ましい。この場合、砥粒として金属不純物の少ない高純度のシリカ粒子を使用した時でも、研磨用組成物の調製時における凝集を抑制することができる。
【0071】
なお、前記実施形態は次のように変更されてもよい。
【0072】
・ 研磨用組成物の製造方法において、シリカ粒子、塩基性化合物、及び水の混合物又は水溶性高分子を含有する水溶液のいずれを先に調製してもよい。
【0073】
・ 研磨用組成物は、防腐剤、防カビ剤等の公知の添加剤を必要に応じて含有してもよい。防腐剤及び防カビ剤の具体例としては、例えばイソチアゾリン系化合物、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0074】
・ 研磨用組成物は、製造時及び販売時には濃縮された状態であってもよい。すなわち、研磨用組成物は、研磨用組成物の原液の形態で製造及び販売されてもよい。
【0075】
・ 研磨用組成物は、研磨用組成物の原液を水で希釈することにより調製されてもよい。この場合の希釈倍率は、好ましくは2倍以上であり、より好ましくは5倍以上であり、更に好ましくは10倍以上である。上記希釈倍率が増大するにつれて、研磨用組成物の原液の輸送コストが安価になるとともに、保管場所を節約することができる。上記希釈倍率は、好ましくは100倍以下であり、より好ましくは50倍以下であり、更に好ましくは40倍以下である。上記希釈倍率が減少するにつれて、研磨用組成物の原液の安定性が向上する。
【0076】
・ 研磨用組成物に含有される各成分は研磨用組成物の製造の直前にフィルタによりろ過処理されたものであってもよい。また、研磨用組成物は、使用の直前にフィルタによりろ過されてもよい。ろ過処理が施されることによって、研磨用組成物中の粗大異物が取り除かれて品質が向上する。
【0077】
上記ろ過処理に用いるフィルタの材質及び構造は特に限定されるものではない。フィルタの材質としては、例えば、セルロース、ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネート、ガラス等が挙げられる。フィルタの構造としては、例えばデプスフィルタ、プリーツフィルタ、メンブレンフィルタ等が挙げられる。
【0078】
・ 研磨用組成物を用いた研磨方法で使用される研磨パッドの種類は、特に限定されない。例えば、不織布タイプ、スウェードタイプ、砥粒を含むもの、砥粒を含まないもののいずれを用いてもよい。
【0079】
・ 研磨用組成物を用いて基板を研磨する際に、一度研磨に使用された研磨用組成物を回収して、基板の研磨に再び使用してもよい。研磨用組成物を再使用する方法としては、例えば、研磨装置から排出される使用済みの研磨用組成物をタンク内にいったん回収し、タンク内から再び研磨装置内へ循環させて使用する方法が挙げられる。研磨用組成物を再使用することで、廃液となる研磨用組成物の排出量を削減し、研磨用組成物の使用量を減らすことができる。このことは、環境負荷を低減できる点、及び基板の研磨にかかるコストを抑制できる点において有用である。
【0080】
研磨用組成物を再使用する場合、研磨用組成物中の水溶性高分子等の各成分が研磨により消費され、損失する。このため、水溶性高分子等の各成分の減少分を研磨用組成物に補充することが好ましい。補充する成分は個別に研磨用組成物に添加してもよいし、あるいは、二以上の成分を混合した状態で研磨用組成物に添加してもよい。水溶性高分子の調製方法は、前記実施形態の研磨用組成物の製造方法に従う。
【0081】
・研磨用組成物は、シリコン基板以外の研磨対象物に適用されてもよい。シリコン基板以外の研磨対象物の具体例としては、ステンレス鋼等の金属、酸化シリコン基板、プラスチック基板、ガラス基板、石英基板等が挙げられる。なお、研磨用組成物に含有させる成分は、研磨対象物に応じて適宜変更されてもよい。
【0082】
・砥粒の形状は、球形であってもよいし、非球形であってもよい。非球形の形状の具体例としては、中央部にくびれを有する楕円体形状のいわゆる繭型形状、表面に複数の突起を有する球形の形状、ラグビーボール形状等が挙げられる。
【実施例】
【0083】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
【0084】
(
参考例1)
pH7.0のコロイダルシリカ分散液(濃度20質量%)5000gに、塩基性化合物として29%アンモニア水を70g加え、pH10.3のコロイダルシリカ分散液を調製した。次に、前記コロイダルシリカ分散液に、セルロース誘導体としてpH7.0のヒドロキシエチルセルロース(重量平均分子量25万)の2質量%水溶液を2000g加えた。最後に、超純水を3000g加え、
参考例1の研磨用組成物を調製した。
【0085】
こうして得られた研磨用組成物において、目視によりゲル化の有無について評価した。その結果、
参考例1の研磨用組成物は、ゲル化のない均一な溶液であることが分かった。
【0086】
また、ゲル化の有無を、研磨用組成物における所定の粒子径以上の粒子の含有量によっても評価した。具体的には、研磨用組成物中に含まれる0.1μm以上の大きさの粒子数(以下、LPCという)を、PSS(パーティクルサイジングシステムズ)社製の“アキュサイザーFX”を用いて測定した。その結果、LPCは53000個/mLであった。
【0087】
(実施例2)
pH7.0のコロイダルシリカ分散液(濃度20質量%)5000gに、29%アンモニア水を60g加え、pH10.2のコロイダルシリカ分散液を調製した。次に、pH7.0のヒドロキシエチルセルロース(重量平均分子量25万)の2質量%水溶液2000gに、29%アンモニア水を10g加え、pH10.0のヒドロキシエチルセルロース水溶液を調製した。次に、前記コロイダルシリカ分散液5060gに、前記ヒドロキシエチルセルロース水溶液2010gを添加した。最後に、超純水を3000g加え、実施例2の研磨用組成物を調製した。
【0088】
こうして得られた研磨用組成物において、目視によりゲル化の有無について評価した。その結果、実施例2の研磨用組成物は、ゲル化のない均一な溶液であった。また、実施例1と同様にLPCを測定した。その結果、LPCは44000個/mLであり、実施例1よりも良好な結果となった。
【0089】
(比較例1)
ヒドロキシエチルセルロース(重量平均分子量25万)の2質量%水溶液2000gに29%アンモニア水を70g加え、pH10.6のヒドロキシエチルセルロース水溶液を調製した。次に、前記ヒドロキシエチルセルロース水溶液2070gを、pH7.0のコロイダルシリカ分散液(濃度20質量%)5000gに加えた。最後に、超純水を3000g加え、比較例1の研磨用組成物を調製した。
【0090】
こうして得られた研磨用組成物において、目視によりゲル化の有無について評価した。その結果、ヒドロキシエチルセルロース水溶液とコロイダルシリカ分散液とを混合した際に、軽度のゲル化が観察された。
【0091】
(比較例2)
pH7.0のコロイダルシリカ分散液(濃度20質量%)5000gに、pH7.0のヒドロキシエチルセルロース(重量平均分子量25万)の2質量%水溶液を2000g加えた。次に、29%アンモニア水を70g加え、最後に、超純水を3000g加え、比較例2の研磨用組成物を調製した。
【0092】
こうして得られた研磨用組成物において、目視によりゲル化の有無について評価した。その結果、コロイダルシリカ分散液とヒドロキシエチルセルロース水溶液とを混合した際に、著しいゲル化が観察された。
【0093】
これらの結果から、シリカ粒子、塩基性化合物、及び水を混合し、次に水溶性高分子を含有する水溶液を添加するという手順により、研磨用組成物の凝集を抑制できることが分かる。