(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
基板に形成される複数の配線パターンは、種々様々な大きさや形状を有して形成される。このように形成された配線パターンが、夫々の配線パターンが所望する形状等に形成されているかどうかを検査するため、所定の二点間の抵抗値を算出したり(導通検査)、所定の二点間の絶縁性を算出したり(絶縁検査)を行うことによって、良好な状態の配線パターンとして形成されているか検査が実施される。
【0003】
従来の一般的な検査手法では、検査対象となる複数の配線パターンを検査するために、これらの配線パターンと導通する基板の表面上の所望の部位を夫々検査点として設定し、所望する検査点間に電気信号を供給することによって、検査点間の配線パターンの導通状態を検査する導通検査手法が存在する。
【0004】
また、一の配線パターンと他の配線パターンの絶縁状態を検査するために、一の配線パターンの検査点に電気信号を供給し、他の配線パターンの検査点から検出される電気信号を測定することによって、配線パターン間の絶縁状態を検査する絶縁検査手法が存在する。
【0005】
特に近年では、基板の微細化に伴って、基板に形成される配線パターンの微細化や複雑化が進み、配線パターン間のピッチが短くなるとともに、その製造工程が複雑化されている。このため、従来の絶縁検査手法では発見することのできない絶縁不良が問題となっている。このような問題を解決するために、配線パターンに与える電圧値又は電流値を段階的に変化させ、これによって配線パターンの絶縁不良箇所等が過電流により焼損するのを防止しつつ検査を行うようにしたものがある(特許文献1)。
また、本出願人は、隣接する配線パターン間が疑似的に短絡した疑似短絡部が含まれるような絶縁不良が存在することを発見することができる基板検査方法を提案している(特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1又は2に記載される絶縁検査方法では、配線パターン間の絶縁不良や擬似絶縁不良を発見することは可能にするが、この絶縁不良の正確な抵抗値を算出することはできなかった。
【0008】
また、従来短絡不良を有する基板は、そのまま廃棄処理されることが普通であったが、上述の如き配線パターンの線幅やそのピッチ幅が短く形成されることにより、不良の発生確率が上がっており、不良品率が基板製造のコストに影響する問題が生じている。このため、基板の製造メーカでは、良品率を如何に向上させるかが大きな問題となっており、不良の解析を行うことは重要な要素になってきている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る絶縁検査装置は、複数の配線パターンが形成される基板の該配線パターンの絶縁検査を行う絶縁検査装置であって、前記複数の配線パターンから検査対象となる一つの配線パターンを第一測定部として選出するとともに、該第一測定部と絶縁不良を有する配線パターンを対象測定部として選出する選出手段と、前記第一測定部と前記対象測定部との間に所定の電気信号を供給する電源手段と、前記電源手段により前記第一測定部と前記対象測定部の間に電気信号が供給された際の電気特性を測定する測定手段と、前記電源手段が供給する電気信号と前記測定手段が測定する測定値を基に前記第一測定部と前記対象測定部の絶縁不良部の電気的特性を算出する算出手段を有し、前記選出手段は、前記第一測定部の一端と前記電源手段の一端を導通接続させ、前記第一測定部の他端と前記測定手段の一端を導通接続させ、前記対象測定部の一端と前記電源手段の他端を導通接続させ、前記対象測定部の他端と前記測定手段の
他端を導通接続させ
、前記電源手段は、前記第一測定部の一端と前記対象測定部の一端との間に前記電気信号を供給し、前記測定手段は、前記電源手段によって前記第一測定部の一端と前記対象測定部の一端との間に前記電気信号が供給された際の、前記第一測定部の他端と前記対象測定部の他端との間の電気特性を測定する。
また、前記絶縁検査装置は、前記選出手段、前記測定手段と前記算出手段へ所定動作を実施するよう促す制御手段とを有し、前記制御手段は、前記選出手段へ、前記第一測定部として選出された配線パターン以外の配線パターンを並列接続して第二測定部として選出するよう促し、前記電源手段へ、前記第一測定部と前記第二測定部との間に所定の電気信号を供給するよう促し、前記測定手段へ、前記第一測定部又は前記第二測定部と直列に接続されて、該第一測定部と該第二測定部の間の電気特性を測定するよう促し、前記算出手段へ、前記電気信号と前記測定値を基に、前記第一測定部と前記第二測定部の絶縁状態を算出するよう促し、前記算出手段が算出する絶縁状態が不良の場合に、前記第一測定部と絶縁不良を有する配線パターンを前記選出手段へ前記対象測定部として選出するよう促すこと
が好ましい。
また、前記算出手段が算出する絶縁状態が不良の場合に、前記第一測定部と絶縁不良部を有する配線パターンを特定するために、前記制御手段は、前記選出手段へ、前記第二測定部から一の配線パターンを選出するよう促し、前記電源手段へ、前記第一測定部と前記一の配線パターンとの間に所定の電気信号を供給するよう促し、前記測定手段へ、前記第一測定部と前記一の配線パターンとの間の電気特性を測定するよう促し、前記算出手段へ、前記電気信号と前記測定値を基に、前記第一測定部と前記一の配線パターンの絶縁状態を算出するよう促し、前記算出された絶縁状態結果を基に、前記第一測定部と絶縁不良部を有する配線パターンを特定すること
が好ましい。
また、本発明に係る絶縁検査方法は、複数の配線パターンが形成される基板の該配線パターンの絶縁検査を行う絶縁検査方法であって、前記複数の配線パターンから検査対象となる一つの配線パターンを第一測定部として選出し、
該第一測定部と絶縁不良を有する配線パターンを対象測定部として選出する選出工程と、
電源手段が、前記第一測定部と前記対象測定部との間に所定の電気信号を供給する電源工程と、測定手段が、前記電源工程により前記第一測定部と前記対象測定部の間に電気信号が供給された際の電気特性を測定する測定工程と、前記電源手段が供給する電気信号と前記測定手段が測定する測定値を基に前記第一測定部と前記対象測定部の絶縁不良部の電気的特性を算出する
算出工程と、前記第一測定部の一端と前記電源手段の一端を導通接続させ、前記第一測定部の他端と前記測定手段の一端を導通接続させる工程と、前記対象測定部の一端と前記電源手段の他端を導通接続させ、前記対象測定部の他端と前記測定手段の他端を導通接続させる工程とを有し、前記電源工程は、前記第一測定部の一端と前記対象測定部の一端との間に前記電気信号を供給し、前記測定工程は、前記電源工程によって前記第一測定部の一端と前記対象測定部の一端との間に前記電気信号が供給された際の、前記第一測定部の他端と前記対象測定部の他端との間の電気特性を測定する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、絶縁不良の正確な抵抗値を算出することを可能にする。
請求項2記載の発明によれば、基板の配線パターンの絶縁検査が実施され、この絶縁検査にて絶縁不良を有する基板の配線パターンに対して、絶縁不良の正確な抵抗値を算出することを可能にする。
請求項3記載の発明によれば、絶縁検査にて絶縁不良が検出された場合に、検査対象となる配線パターンと、この配線パターンとどの配線パターンが絶縁不良部を有しているかを特定することができ、絶縁不良部の抵抗値を絶縁検査の一連の過程の中で算出することができる。
請求項4記載の発明によれば、絶縁検査が実施され、絶縁不良が検出された場合には、絶縁不良部の抵抗値を算出することができる。このため、絶縁検査の一連の検査過程において絶縁不良部の抵抗値を算出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の絶縁検査方法について説明する。
図1は、基板CBを絶縁検査するための解説図である。この
図1で示される基板CBには、5本の配線パターンWP(配線パターンWP1〜配線パターンWP5)が形成されている。また、配線パターンWP2と配線パターンWP3との間に絶縁不良部Rxを有しており、配線パターンWP2と配線パターンWP3とは短絡状態にある。
【0013】
この
図1では、基板CBの絶縁検査を実施するため、各配線パターンWP上に設定される検査点(検査点S1〜S5、S11〜S15)に夫々コンタクトプローブ(プローブCP1〜CP5、CP11〜CP15)が導通接触されている。また、これらのプローブCPは、夫々スイッチSW(SW1〜SW5、SW11〜15)が接続されている。また、絶縁検査を実施するための電源手段2と測定手段3が配置されており、電源手段2により供給される電力値と測定手段3が測定する電気信号値を基に絶縁状態が算出されることになる。
【0014】
図1では、電源手段2として可変電圧源が用いられているが、特に限定されるものではないが、絶縁検査を行うため所定電位を与える電圧を適切に調整して供給することができれば限定されない。また、測定手段3として電流計を用いることができるが、特に限定されるものではないが、検査対象間の電気的特性を検出することができれば特に限定されない。なお、検査対象間に絶縁検査を実施するための所定の電位差が付与されていることを確認する電圧計3’を設けても構わない。
【0015】
まず、この基板CBに形成される5本の配線パターンWPの夫々の絶縁検査が実施される。この絶縁検査は、例えば
図2で示される如く、配線パターンWP1が検査対象の配線パターンと設定された場合、スイッチSW1をONに切り替えて、配線パターンWP1と電源手段2が接続され、スイッチSW12〜スイッチSW15をONに切り替えて、配線パターンWP2〜配線パターンWP5の夫々が測定手段3と直列となるよう接続される。なお、このとき、電源手段2の供給される電力値と測定手段3が測定する電気信号により絶縁状態が判定されるが、配線パターンWP1は、他の配線パターンWPと絶縁状態が良好であることが判定される。このように配線パターンWPが検査対象として設定され、全ての配線パターンWPが検査対象として選出されて、基板CBの絶縁検査が実施される。
【0016】
この基板CBには、絶縁不良部Rxが存在することから、配線パターンWP2が検査対象として選択された場合に、絶縁不良が検出されることになる(
図3(a)参照)。このとき、配線パターンWP2は電源手段2に接続され、配線パターンWP1と配線パターンWP3〜配線パターンWP5は測定手段3に接続されている。この場合、絶縁不良部Rxにより測定手段3は所定基準以上の電気信号値を測定することになる。
【0017】
配線パターンWP2に絶縁不良が存在することが判定されると、次に、配線パターンWP2とどの配線パターンPWが絶縁不良を有するのかが測定される。この場合、配線パターンWP2は電源手段2に接続したままで、残りの配線パターンWPを一本ずつ総当りで、測定手段3が測定する電気信号から、絶縁不良部Rxの存在を見つけ出す。基板CBの場合、
図3(b)で示される如きスイッチSW13がONに切り替えられ、絶縁不良部Rxの存在のため、配線パターンWP2と配線パターンWP3が導通状態となり、測定手段3が絶縁不良部Rxの影響を受けた電気信号を測定することになる。このため、配線パターンWP2は、配線パターンWP3と絶縁不良部Rxを有していることが突き止められることになる。
【0018】
配線パターンWP2と配線パターンWP3が、絶縁不良部Rxを有することが判ると、次にこの絶縁不良部Rxの抵抗値を算出する。
図4は、この絶縁不良部Rxを算出するための概略回路図である。この
図4の回路図では、電源手段2の一端が配線パターンWP2と接続され、電源手段2の他端が配線パターンWP3と接続されている。電源手段2として定電流源を用いることが好ましく、また、測定手段3として電圧計32が用いられることが好ましい。これは、絶縁不良部Rxの抵抗値を算出するためのである。
【0019】
この
図4では、電源手段2から供給される電力は、プローブCP2を介して、配線パターンWP2の一部、絶縁不良部Rx、配線パターンWP3の一部、そして、プローブCP3を経由する閉回路にて電流が流れることになる。また、測定手段3は、配線パターンWP2と配線パターンWP3を経由して、絶縁不良部Rxの両端の電位差を測定することができる。
このため、電源手段2からの電力値と測定手段3の電圧値を基に、絶縁不良部Rxの抵抗値を算出することができる。
【0020】
このように、
図4のような電源手段2と測定手段3を接続することにより、夫々のプローブCPの接触抵抗値や、配線パターンWP2と配線パターンWP3の配線自身の抵抗値を除去して、絶縁不良部Rxのみの抵抗値の算出が可能となる。
このため、四端子測定法を用いることなく、正確に且つ安定して絶縁不良部Rxの抵抗値を算出することができる。
【0021】
次に、本発明の絶縁検査装置について説明する。
図5は、本絶縁検査方法を実現するための本絶縁検査装置1の概略構成図である。この本絶縁検査装置1は、電源手段2、測定手段3、算出手段41、判定手段42、制御手段43、選出手段44、記憶手段45、切替手段7、第一端子8、第二端子9と表示手段10を有している。
また、この絶縁検査装置1は、基板CBに形成される配線パターンWP上に設定される複数の検査点Pに夫々電気的に接続されるコンタクトプローブ(プローブCP)が用いられる。このプローブCPを介して、所定の検査点に対して所定の電気信号を送受信することができる。
図5で示される絶縁検査装置1の概略構成図では、基板CBに形成される配線パターンWP(WP1とWP2)の絶縁検査を実施する様子が示されている。
なお、絶縁検査が実施される場合には、全ての配線パターンとの絶縁検査が通常実施されるが、この
図5で示される基板CBでは、2本の配線パターンWP1〜WP2が形成されており、これらの配線パターンWPに絶縁不良部Rxが存在していることとする。
【0022】
電源手段2は、検査対象間の所定の電気信号を供給する。この電源手段2は、検査対象間の絶縁検査を実施する場合の所定電位差を生じさせる場合と、絶縁不良部Rxの抵抗値を算出する場合に、所定の電気信号を供給する。なお、検査対象間の絶縁検査を実施する場合には、可変電圧源を用いることができ、また、絶縁不良部Rxを算出する場合には、定電流源を用いることができる。
【0023】
電源手段2は、導通検査を実施する場合、絶縁検査を実施する場合や絶縁不良部の抵抗値を算出する場合と、夫々の場合に応じて使用する電圧を適宜変更して使用する。特に、絶縁不良部Rxは、大きい電圧値で絶縁検査が実施された場合に、焼損することが起こりえる。このため、絶縁不良部Rxが焼損しない程度の電圧である1v以下の電圧値での絶縁検査が実施される。なお、この低電圧の絶縁検査が実施された後に、高電圧の絶縁検査が実施されても良い。
【0024】
測定手段3は、接続される場所の電気信号を測定することができ、第一測定手段31と第二測定手段32を備えている。
第一測定手段31は、第一測定手段31が有する両端子間の電位差を測定することができる。この第一測定手段31は、例えば、電圧計を用いることができる。
第二測定手段32は、第二測定手段32を通過する電気信号の大きさを測定することができ、例えば、電流計を用いることができる。
第一測定手段31と第二測定手段32は、後述する切替手段7によって、所定の配線パターンWPに接続されることになる。第一測定手段31と第二測定手段32が夫々測定した測定値は、後述する記憶手段45へ送信されることになる。
【0025】
算出手段41は、測定手段3からの測定値と、電源手段2からの電気信号値を基に、電気特性を算出することができる。より具体的には、算出手段41は、測定値と電気信号値が入力されると、抵抗値が算出されるように設定される。なお、この算出手段41が算出する抵抗値は、記憶手段45へ送信される。
この算出手段41は、絶縁検査時に第一測定部と第二測定部との絶縁状態を算出し、絶縁不良部Rxの部位が特定された時に絶縁不良部Rxの抵抗値を算出することになる。
【0026】
判定手段42は、検査対象間の絶縁検査が実施され、算出手段41が算出する抵抗値を基に、検査対象間の絶縁状態を判定する。この判定手段54が行う判定は、予め良品の場合の抵抗値を基準値として設定しておき、この算出結果と基準値とを比較することにより、その良否を判定することができる。
絶縁検査の場合、検査対象間の絶縁性が確実に維持されているかどうかが問題であるため、基準値よりも算出結果が大きい場合には絶縁状態が良好であり、基準値よりも算出結果が小さい場合には絶縁状態が不良であると判断される。この基準値は、検査対象間毎又は所定群毎に設定されることができる。なお、この判定手段42が基板CBに対して良品・不良品の判定を行った後には、後述する表示手段10に良品又は不良品の表示が行われる。
【0027】
制御手段43は、電源手段2、測定手段3、算出手段41、判定手段42、選出手段44、記憶手段45と切替手段7が、夫々所定動作を実施するよう促す電気信号を送信する。この制御手段43の動作は、記憶手段45に格納しておくことができ、この格納される制御手順に応じて、各手段が動作するよう制御される。なお、この制御手段43には、上記にて説明した絶縁検査を実施することができるよう制御信号が準備される。
【0028】
選出手段44は、絶縁検査時において、基板CBの複数の検査点から検査対象間となる一つの配線パターンWPを選出して、第一測定部として設定するとともに、他の配線パターンWPを第二測定部として設定する。また、この選出手段44は、絶縁不良部Rxを特定する場合には、第一測定部として設定された配線パターンWP以外の配線パターンを一つずつ絶縁不良の検査対象として選出する。また、絶縁不良部が特定された場合には、第一測定部の絶縁不良を有する配線パターンWPの対象測定部として選出する。
この選出手段44によって、絶縁検査時の検査対象間や、絶縁不良部の測定対象間が選出されることになる。
なお、この選出手段44が行う選出方法は、切替手段7において、スイッチ素子SWのON/OFF制御により具体的に実施されることになる。
【0029】
記憶手段45は、電源手段2から供給される電気信号値、測定手段3が測定する電気信号値、算出手段41が算出する抵抗値や、判定手段42の判定結果、また、制御手段43の制御手順を記憶しておく。この記憶手段45には、基板CBに関する情報や、配線パターンWPに関する情報や、検査手順に関する情報なども記憶されており、適宜必要に応じて利用される。
【0030】
切替手段7は、各プローブCPに導通接続される複数のスイッチ素子SWから構成されている。この切替手段7は、選出手段44からの動作信号により、ON/OFFの動作が制御される。このため、この切替手段7のスイッチング動作により、検査対象となる被検査点の選択を行うことができる。
【0031】
第一端子8は、電源手段2からの電気信号を供給するために、プローブCPを介して配線パターンWPを接続する。この第一端子8は、電源手段2の上流側(正極側)と配線パターンWPを接続する上流側第一端子81と、電源手段2の下流側(負極側)又は第二測定手段32と配線パターンWPを接続する下流側第一端子82を有している。
これらの上流側第一端子81と下流側第一端子82は、夫々に切替手段7のスイッチ素子SWを有しており、この切替手段7のスイッチ素子SWのON/OFF動作により、接続状態/未接続状態が設定されることになる。
図5で示される如く、この第一端子8の上流側第一端子81及び下流側第一端子82は、保護抵抗Rを介して配線パターンWPに接続されるよう設けられている。この保護抵抗Rは、静電気放電(electro-static discharge)保護用の抵抗である。
【0032】
第二端子9は、測定手段3による電気信号を測定するために、プローブCPを介して配線パターンWPを接続する。
図5の実施形態では、第一測定手段31による電気信号の測定を可能にするために所定の配線パターンWPを接続可能にする。
この第二端子9は、第一測定手段31の上流側(正極側)と配線パターンWPを接続する上流側第二端子91と、第一測定手段31の下流側(負極側)と配線パターンWPを接続する下流側第二端子92を有してなる。
これらの上流側第二端子91と下流側第二端子92は、第一端子8と同様、夫々に切替手段7のスイッチ素子SWを有しており、この切替手段7のスイッチ素子SWのON/OFF動作により、接続状態/未接続状態が設定されることになる。
なお、
図5で示される如く、この第二端子9の上流側第二端子91及び下流側第二端子92は、保護抵抗Rを介して配線パターンWPと導通接続するように設けられている。
【0033】
第一端子8と第二端子9は、
図5で示される如く、配線パターンWPに導通接触する一本のコンタクトプローブCPに対して、4つの端子が配置されることになるとともに、各端子のON/OFF制御を行う4つのスイッチ素子SWを備えていることになる。
尚、
図5では、上流側第一端子81の動作を制御するスイッチ素子を符号SW1とし、上流側第二端子91の動作を制御するスイッチ素子を符号SW3とし、下流側第一端子82の動作を制御するスイッチ素子を符号SW2とし、下流側第四端子92の動作を制御するスイッチ素子を符号SW4として示している。
【0034】
表示手段10は、絶縁検査結果や絶縁不良部Rxの抵抗値などの情報を表示する。この表示手段10が表示する絶縁検査の表示方法は、例えば、検査を行った基板に対して「良品」又は「不良品」を表示するように機能させることができ、「不良品」を表示する場合には、その絶縁不良部Rxの存在する場所(配線パターンWPの情報)と抵抗値を表示する。
以上が本発明に係る絶縁検査装置1の構成の説明である。
【0035】
次に、本発明の絶縁検査装置1の動作を説明する。
まず、基板CBに形成される配線パターンWPの導通検査が実施される。このとき、配線パターンWP1が検査対象となる場合には、配線パターンWP1の一端(一方の検査点)に接続される上流側第一端子81のスイッチSW1がONされるとともに、配線パターンWP1の他端(他方の検査点)に接続される下流側第一端子82のスイッチSW2がONされる。また、このとき、第二測定手段32が電気信号を測定できるように接続される(
図6参照)。なお、第一測定手段31が検査対象の配線パターンWPの電圧を測定することができるようにスイッチSWを切り替えても良い。
【0036】
そして、電源手段2から導通検査を行うための電気信号が供給され、第二測定手段32が電気信号を測定する。このとき、電源手段2が供給する電気信号(供給される電圧値)と第二測定手段32が測定する電気信号(電流値)が算出手段41へ送信され、算出手段41がこれらの値を基に配線パターンWP1の抵抗値が算出される。この算出された抵抗値は、判定手段42へ送信されて、配線パターンWP1の導通状態の良否が判定される。なお、この算出結果や判定結果は、記憶手段45に格納される。
このように基板CBに形成される全ての配線パターンWPが導通検査の検査対象として設定されて実施される。
【0037】
基板CBの配線パターンWPの導通検査が実施され、全ての配線パターンWPの導通検査が良品であると判断されると、次に、絶縁検査が実施される。
絶縁検査時には、検査対象となる配線パターンWPが選出される(第一測定部)とともに、電源手段2の上流側第一端子81にこの配線パターンWPが接続され、残りの配線パターンWP(第二検査部)が電源手段2の下流側第一端子82に接続される。また、第二検査部の配線パターンWPは、第二測定手段32と直列配列されるように接続される(
図7参照)。
【0038】
本実施形態で説明する基板CBは、絶縁不良部Rxを有しているため、検査対象の配線パターンWP1の絶縁検査が実施されると、電源手段2の供給する電気信号(電圧値)と第二測定手段32の測定する電気信号(電流値)を基に算出手段41が抵抗値を算出する。この算出結果は、判定手段42に送信されて、検査対象の配線パターンWP1の絶縁状態の良否が判定される。このとき、この基板CBは絶縁不良部Rxを有しており、算出された抵抗値は基準値よりも低くなり、絶縁状態が不良として判定される。
【0039】
絶縁状態が不良と判定された場合には、まず、検査対象の配線パターンWP1とどの配線パターンWPが絶縁不良部Rxを形成しているのか特定を行う。この場合、検査対象の配線パターンWPと一本ずつ配線パターンが選出され、どの配線パターンとの絶縁不良部Rxを有するのか特定を行う。なお、本実施形態では、基板CBに2本の配線パターンWPしか形成されていないので説明を省略する。
【0040】
配線パターンWPがどの配線パターンWPと絶縁不良部Rxを有するのか特定されると、次の動作が行われる。まず、選出手段44は、第一測定部の一端と電源手段2の一端を導通接続させ、第一測定部の他端と第一測定手段31の一端を導通接続させるよう切替手段7を選出する。
具体的には、配線パターンPW1の検査点P11に接続されるプローブCP2が電源手段2の上流側と導通接続するように、上流側第一端子81のスイッチSW1をONさせる。また、絶縁不良部Rxを形成する配線パターンPW2の検査点P21に接続されるプローブCP1が電源手段2の下流側と導通接続するように、下流側第一端子82のスイッチSW2をONさせる。
また一方で、配線パターンPW1の検査点P12に接続されるプローブCP3が第一測定手段31の上流側と導通接続するように、上流側第二端子91のスイッチSW3をONさせる。また、他方の配線パターンPW2の検査点P22に接続されるウローブCP4が第一測定手段31の下流側と導通接続するように、下流側第二端子92のスイッチSW4をONさせる。
このようなスイッチSWの切替が、制御手段43の動作により実施される(
図8参照)。
【0041】
上記の如きスイッチ素子SWの切替が実施されると、電源手段2が供給される電気信号(電流値)と第一測定手段31が測定する電気信号(電圧値)が算出手段41へ送信され、これらを基に抵抗値が算出される。
算出手段41が算出する抵抗値は、絶縁不良部Rxのみの抵抗値であり、絶縁不良部Rxの正確な抵抗値を算出することができる。
以上が本発明の絶縁検査装置の動作の説明である。
【0042】
本発明の絶縁検査方法や絶縁検査装置を用いることにより、二端子測定方法であっても、絶縁不良部の抵抗値を正確に測定することができる。また、絶縁検査を行う検査工程から直接的に絶縁不良部の抵抗値算出工程に移行することができるため、無駄な工程を費やす事無く算出することができる。