【実施例】
【0050】
  以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定して解釈されるものではない。
【0051】
  なお、本実施例における生成物の収率、選択率は、ガスクロマトグラフィーで確認した。
【0052】
  ガスクロマトグラフィーには、ガスクロマトグラフ(島津製作所製  GC−2014)、キャピラリーカラム(J&W  Scientific社製  DB−5)、及び検出器(FID)を使用した。
【0053】
  [参考例1]  N−n−オクチルピペラジンの合成.
  窒素雰囲気下、100mlの反応器に、ピペラジン25.7g(0.3モル)、メタノール25.7gを仕込み、内温を80℃とした。そこに、内温を80℃以下に保ちながら、1−クロロオクタン14.9g(0.1モル)を0.5時間かけて滴下し、更に同温度条件のまま撹拌を8時間継続した。室温まで放冷した後、反応液に25%NaOH水溶液16.0gを加え、pHを11.8とし、淡黄色透明の反応液81.9gを得た。生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、N−n−オクチルピペラジンの収率は84.6%であり、反応液中には、ピペラジンが20.9重量%、N−n−オクチルピペラジンが19.8重量%含まれていた。
【0054】
  [参考例2]  N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの合成.
窒素雰囲気下、100mlの反応器に、ピペラジン25.7g(0.3モル)、メタノール25.7gを仕込み、内温を60℃とした。そこに、内温を80℃以下に保ちながら、2−ブロモエタノール12.4g(0.1モル)を0.5時間かけて滴下し、更に同温度条件のまま撹拌を8時間継続した。室温まで放冷した後、反応液に25%NaOH水溶液16.0gを加え、pHを11.9とし、黄色透明の反応液79.5gを得た。生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの収率は74.2%であり、反応液中には、ピペラジンが22.4重量%、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンが12.2重量%含まれていた。
【0055】
  [参考例3]  N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジンの合成.  
  窒素雰囲気下、100mlの反応器に、ピペラジン25.7g(0.3モル)、メタノール25.7gを仕込み、内温を60℃とした。そこに、内温を80℃以下に保ちながら、3−クロロ−1,2−プロパンジオール11.2g(0.1モル)を0.5時間かけて滴下し、更に同温度条件のまま撹拌を8時間継続した。室温まで放冷した後、反応液に25%NaOH水溶液16.0gを加え、pHを11.9とし、淡黄色透明の反応液78.1gを得た。生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジンの収率は85.7%であり、反応液中には、ピペラジンが24.8重量%、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジンが17.5重量%含まれていた。
【0056】
  [参考例4]  N−(2−メトキシエチル)ピペラジンの合成.
  窒素雰囲気下、100mlの反応器に、ピペラジン25.7g(0.3モル)、メタノール25.7gを仕込み、内温を60℃とした。そこに、内温を80℃以下に保ちながら、2−メトキシエチルクロライド9.5g(0.1モル)を0.5時間かけて滴下し、更に同温度条件のまま撹拌を8時間継続した。室温まで放冷した後、反応液に25%NaOH水溶液16.0gを加え、pHを12.0とし、淡黄色透明の反応液74.9gを得た。生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、N−(2−メトキシエチル)ピペラジンの収率は78.2%であり、反応液中には、ピペラジンが24.2重量%、N−(2−メトキシエチル)ピペラジンが15.1重量%含まれていた。
【0057】
  [参考例5]  N−ベンジルピペラジンの合成.
  窒素雰囲気下、100mlの反応器に、ピペラジン25.7g(0.3モル)、メタノール25.7gを仕込み、内温を60℃とした。そこに、内温を80℃以下に保ちながら、ベンジルクロライド12.7g(0.1モル)を0.5時間かけて滴下し、更に同温度条件のまま撹拌を8時間継続した。室温まで放冷した後、反応液に25%NaOH水溶液16.0gを加え、pHを12.0とし、淡黄色透明の反応液76.9gを得た。生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、N−ベンジルピペラジンの収率は86.2%であり、反応液中には、ピペラジンが23.9重量%、N−ベンジルピペラジンが19.3重量%含まれていた。
【0058】
  [
参考例6]  エチレングリコールモノブチルエーテルを添加してのN−n−オクチルピペラジンの蒸留精製.
  コンデンサー、温度計を備えた容量200mlのガラス製単蒸留装置を用い、参考例1で調製したN−n−オクチルピペラジン反応液に、エチレングリコールモノブチルエーテル20gを入れ、常圧で蒸留した。液温120℃未満においてメタノール、水等の軽沸分をカットし、次いで液温120℃以上、200℃以下において、42.4gのピペラジン留分を得た。このピペラジン留分にはピペラジン、エチレングリコールモノブチルエーテル、水以外の成分は含まれていなかった。次に、減圧度を5mmHgとし、液温50℃以上、80℃未満において、1.9gのエチレングリコールモノブチルエーテル留分をカットし、液温80℃以上、120℃以下において、15.1gのN−n−オクチルピペラジン留分を得た。N−n−オクチルピペラジンの回収率は93.2%であった。蒸留残渣は8.4gであった。GC分析の結果、N−n−オクチルピペラジン留分の純度はは99.91%であった。他の例と共に
参考例6の結果を表1に示す。
【0059】
  [
実施例1]  プロピレングリコールを添加してのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの蒸留精製.
  
参考例6と同じ装置を用い、参考例2で調製したN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンに、プロピレングリコール30gを入れ、常圧で蒸留した。液温120℃未満においてメタノール、水等の軽沸分をカットし、次いで液温120℃以上、210℃以下において、49.1gのピペラジン留分を得た。このピペラジン留分にはピペラジン、プロピレングリコール、水以外の成分は含まれていなかった。次に、減圧度を5mmHgとし、液温50℃以上、80℃未満において、2.1gのプロピレングリコール留分をカットし、液温80℃以上、110℃以下において、8.2gのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン留分を得た。N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの回収率は84.5%であった。蒸留残渣は13.9gであった。GC分析の結果、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン留分の純度は99.89%であった。他の例と共に
実施例1の結果を表1に示す。
【0060】
  [
実施例2]  エタノールアミンを添加してのN−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジンの蒸留精製.
  
参考例6と同じ装置を用い、参考例3で調製したN−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジンに、エタノールアミン40gを入れ、常圧で蒸留した。液温120℃未満においてメタノール、水等の軽沸分をカットし、次いで液温120℃以上、190℃以下において、55.7gのピペラジン留分を得た。このピペラジン留分にはピペラジン、エタノールアミン、水以外の成分は含まれていなかった。次に、減圧度を5mmHgとし、液温50℃以上、150℃未満において、3.1gのエタノールアミン留分をカットし、液温150℃以上、220℃以下において、12.2gのN−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジン留分を得た。N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジンの回収率は89.2%であった。蒸留残渣は9.2gであった。GC分析の結果、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジン留分の純度は99.93%であった。他の例と共に
実施例2の結果を表1に示す。
【0061】
  [
実施例3]  ジエチレントリアミンを添加してのN−n−オクチルピペラジンの蒸留精製.
  参考例6と同じ装置を用い、参考例1で調製したN−n−オクチルピペラジン反応液に、ジエチレントリアミン10gを入れ、常圧で蒸留した。液温120℃未満においてメタノール、水等の軽沸分をカットし、次いで液温120℃以上、220℃以下において、30.9gのピペラジン留分を得た。このピペラジン留分にはピペラジン、ジエチレントリアミン、水以外の成分は含まれていなかった。次に、減圧度を5mmHgとし、液温50℃以上、90℃未満において、1.2gのジエチレントリアミン留分をカットし、液温90℃以上、120℃以下において、13.9gのN−n−オクチルピペラジン留分を得た。N−n−オクチルピペラジンの回収率は85.8%であった。蒸留残渣は7.4gであった。GC分析の結果、N−n−オクチルピペラジン留分の純度は99.74%であった。他の例と共に
実施例3の結果を表1に示す。
【0062】
  [
実施例4]  ビス(2−メトキシエチル)アミンを添加してのN−(2−メトキシエチル)ピペラジンの蒸留精製.
  
参考例6と同じ装置を用い、参考例4で調製したN−(2−メトキシエチル)ピペラジンに、ビス(2−メトキシエチル)アミン40gを入れ、常圧で蒸留した。液温120℃未満においてメタノール、水等の軽沸分をカットし、次いで液温120℃以上、180℃未満において、61.5gのピペラジン留分を得た。このピペラジン留分にはピペラジン、ビス(2−メトキシエチル)アミン、水以外の成分は含まれていなかった。次に、180℃以上、195℃未満において、1.2gのビス(2−メトキシエチル)アミン留分をカットし、液温195℃以上、220℃以下において、10.1gのN−(2−メトキシエチル)ピペラジン留分を得た。N−(2−メトキシエチル)ピペラジンの回収率は89.3%であった。蒸留残渣は6.9gであった。GC分析の結果、N−(2−メトキシエチル)ピペラジン留分の純度は99.81%であった。他の例と共に
実施例4の結果を表1に示す。
【0063】
  [
参考例7]  ジメチルアセトアミドを添加してのN−ベンジルピペラジンの蒸留精製.
  
参考例6と同じ装置を用い、参考例5で調製したN−ベンジルピペラジン反応液に、ジメチルアセトアミド30gを入れ、常圧で蒸留した。液温120℃未満においてメタノール、水等の軽沸分をカットし、次いで液温120℃以上、180℃以下において、51.2gのピペラジン留分を得た。このピペラジン留分にはピペラジン、ジメチルアセトアミド、水以外の成分は含まれていなかった。次に、減圧度を5mmHgとし、液温50℃以上、90℃未満において、0.8gのジメチルアセトアミド留分をカットし、液温90℃以上、150℃以下において、16.9gのN−ベンジルピペラジン留分を得た。N−ベンジルピペラジンの回収率は91.8%であった。蒸留残渣は8.9gであった。GC分析の結果、N−ベンジルピペラジン留分の純度は99.71%であった。他の例と共に
参考例7の結果を表1に示す。
【0064】
  [
実施例5]  エチレングリコールを添加してのN−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジンの蒸留精製.
  実施例1と同じ装置を用い、参考例3で調製したN−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジンに、エチレングリコール40gを入れ、常圧で蒸留した。液温120℃未満においてメタノール、水等の軽沸分をカットし、次いで液温120℃以上、205℃以下において、52.9gのピペラジン留分を得た。このピペラジン留分にはピペラジン、エチレングリコール、水以外の成分は含まれていなかった。次に、減圧度を5mmHgとし、液温50℃以上、150℃未満において、2.9gのエチレングリコール留分をカットし、液温150℃以上、230℃以下において、11.8gのN−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジン留分を得た。N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジンの回収率は86.3%であった。蒸留残渣は10.8gであった。GC分析の結果、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジン留分の純度は99.84%であった。他の例と共に
実施例5の結果を表1に示す。
【0065】
  [
参考例8]  ジエチレングリコールモノメチルエーテルを添加してのN−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジンの蒸留精製.
  実施例1と同じ装置を用い、参考例3で調製したN−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジンに、ジエチレングリコールモノメチルエーテル40gを入れ、常圧で蒸留した。液温120℃未満においてメタノール、水等の軽沸分をカットし、次いで液温120℃以上、190℃以下において、49.5gのピペラジン留分を得た。このピペラジン留分にはピペラジン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、水以外の成分は含まれていなかった。次に、減圧度を5mmHgとし、液温50℃以上、140℃未満において、3.6gのジエチレングリコールモノメチルエーテル留分をカットし、液温150℃以上、230℃以下において、12.4gのN−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジン留分を得た。N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジンの回収率は90.6%であった。蒸留残渣は8.8gであった。GC分析の結果、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジン留分の純度は99.42%であった。他の例と共に
参考例8の結果を表1に示す。
【0066】
  [
参考例9]  3−メトキシ−3−メチルブタノールを添加してのN−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジンの蒸留精製.
  
参考例6と同じ装置を用い、参考例3で調製したN−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジンに、3−メトキシ−3−メチルブタノー40gを入れ、常圧で蒸留した。液温120℃未満においてメタノール、水等の軽沸分をカットし、次いで液温120℃以上、180℃以下において、50.1gのピペラジン留分を得た。このピペラジン留分にはピペラジン、3−メトキシ−3−メチルブタノー、水以外の成分は含まれていなかった。次に、減圧度を5mmHgとし、液温50℃以上、140℃未満において、4.2gの3−メトキシ−3−メチルブタノー留分をカットし、液温150℃以上、230℃以下において、11.9gのN−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジン留分を得た。N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジンの回収率は87.0%であった。蒸留残渣は10.4gであった。GC分析の結果、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジン留分の純度は99.39%であった。他の例と共に
参考例9の結果を表1に示す。
【0067】
  [比較例1]  N−n−オクチルピペラジンの蒸留精製(極性有機溶媒無添加).
  
参考例6と同じ装置を用い、参考例1で調製したN−n−オクチルピペラジン反応液を、常圧で蒸留した。液温120℃未満においてメタノール、水等の軽沸分をカットし、次いで液温120℃以上、270℃以下において、39.1gのピペラジン留分を得た。次に、減圧度を5mmHgとし、液温50℃以上、80℃未満において、2.9gのピペラジン留分を更にカットし、液温80℃以上、120℃以下において、16.1gのN−n−オクチルピペラジン留分を得た。N−n−オクチルピペラジン留分を得た。N−n−オクチルピペラジンの回収率は56.8%であった。蒸留残渣は9.2gであった。GC分析の結果、N−n−オクチルピペラジン留分の純度は94.18%であった。他の例と共に比較例1の結果を表1に示す。
【0068】
  [比較例2]  N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの蒸留精製(塩酸添加).
  
参考例6と同じ装置を用い、参考例2で調製したN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン反応液に、35%塩酸を5gを入れ、常圧で蒸留した。液温120℃未満においてメタノール、水等の軽沸分をカットし、次いで液温120℃以上、250℃以下において、26.4gのピペラジン留分を得た。次に、減圧度を5mmHgとし、液温50℃以上、80℃未満において、4.1gのピペラジン留分を更にカットし、液温80℃以上、110℃以下において、4.2gのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン留分を得た。N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの回収率は43.3%であった。蒸留残渣は25.4gであった。蒸留残渣にはピペラジン、及びN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの塩酸塩が含まれていた。GC分析の結果、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン留分の純度は97.69%であった。他の例と共に比較例2の結果を表1に示す。
【0069】
  なお、表記を簡潔にするため、蒸留前の反応液に添加した成分を以下の様に称した。
【0070】
  EGBE:エチレングリコールモノブチルエーテル,
  PG:プロピレングリコール,
  MEA:エタノールアミン,
  DETA:ジエチレントリアミン,
  BMEA:ビス(2−メトキシエチル)アミン,
  DMAc:ジメチルアセトアミド,
  EG:エチレングリコール,
  DEGMM:ジエチレングリコールモノメチルエーテル,
  3−MMB:3−メトキシ−3−メチルブタノール,
  35%塩酸:35%HCl。
【0071】
【表1】
  表1から明らかなとおり、実施例1〜
実施例5と比較例1とを比較すると、極性有機溶媒を添加した場合、N−アルキルピペラジン類の純度、回収率が共に向上した。
【0072】
  また、比較例2において、塩酸を添加した場合、比較例1の何も添加しない場合に比べN−アルキルピペラジン類の純度は向上するものの、実施例1〜実施例9と比べ回収率は低下した。