【実施例】
【0089】
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明する。
【0090】
尚、
図1に示すスパッタリングウェブコーター内に組み込まれた「皺伸ばしロール」は以下のものである。
【0091】
(1)実施例で用いた皺伸ばしロール
実施例で使用した皺伸ばしロールは、
図6(A)〜(C)に示した第一実施の形態に係る皺伸ばしロールと、
図7(A)〜(C)に示した第二実施の形態に係る皺伸ばしロールの2種類を用いた。
【0092】
(1−1)第一実施の形態に係る皺伸ばしロール
まず、
図6(A)〜(C)に示した第一実施の形態に係る皺伸ばしロールは、ロール本体外周面を被覆するフッ素ゴム(デュポン社製 登録商標「バイトン」)製被膜とゴム製被膜の外周面に設けられた複数の周期的溝体53とで構成された幅広げ機構を備え、複数の周期的溝体53が、外周線52Pを中央に有する中央領域52aと、該中央領域52aの軸方向両側に位置する両側領域52b、52cとに区画され、かつ、上記中央領域52aは、外周線52Pを中央にしてその左側に位置する左側領域52a1と右側に位置する右側領域52a2とで構成されている。
【0093】
また、上記中央領域52aの左側領域52a1と右側領域52a2に形成される周期的溝体53は、
図6(C)に示すように、中央領域52a内において周期的溝体53の各溝が互いに交差することなく、左側領域52a1から上記外周線52Pを越えて右側領域52a2まで延長され、かつ、右側領域52a2から上記外周線52Pを越えて左側領域52a1まで延長されて中央領域52a内に外周線52Pを基端側とするV字形状先端が形成されないようになっている。
【0094】
更に、中央領域52aの軸方向両側に位置する上記両側領域52b、52cに形成される周期的溝体53は、上記外周線52Pを基端側としかつ基端側から軸方向両端側へ向けてV字形状となるように対称的に伸びる互いに平行若しくは略平行でV字形状先端が向かう方向とロール本体の回転方向が同一となるパターン(但し、この周期的溝体のパターンは両側領域52b、52c内に限られ、中央領域52a内の周期的溝体53は上述したようにV字形状先端が形成されないパターンになっている)に形成されている。
【0095】
尚、上記周期的溝体53における溝の深さ0.2mm、溝の幅0.2mm、ピッチ1mmで、かつ、V字形状先端の開き角度(リード角度)は80°に設定されている。
【0096】
また、上記皺伸ばしロールにおいては、
図6(C)に示すようにロール本体の外周方向に亘り中央領域52aを均等に区画して複数の矩形状単位領域521、522が形成され、かつ、一方の矩形状単位領域521にはロール本体の回転方向後端左側角部と先端右側角部を結ぶ直線で区画された2つの三角形領域が形成され、上記矩形状単位領域に隣接する他方の矩形状単位領域522にはロール本体の回転方向先端左側角部と後端右側角部を結ぶ直線で区画された2つの三角形領域が形成されると共に、各矩形状単位領域521、522における2つの三角形領域内に中央領域52aの左側領域52a1から右側領域52a2まで延長される周期的溝体53と右側領域52a2から左側領域52a1まで延長される周期的溝体53がそれぞれ形成されている。
【0097】
尚、上記中央領域52aの幅寸法は20mmに設定され、また、ロール本体の外周方向に亘り中央領域52aを均等に区画して形成される矩形状単位領域521、522の各円弧長に対応する中心角は約20°に設定されており、ロール本体の外周方向に亘り18個(すなわち、360°÷20°=18)の矩形状単位領域が形成されている。
【0098】
(1−2)第二実施の形態に係る皺伸ばしロール
次に、
図7(A)〜(C)に示した第二実施の形態に係る皺伸ばしロールは、ロール本体外周面を被覆するフッ素ゴム(デュポン社製 登録商標「バイトン」)製被膜とゴム製被膜の外周面に設けられた複数の周期的溝体63とで構成された幅広げ機構を備え、複数の周期的溝体63が、外周線62Pを中央に有する中央領域62aと、該中央領域62aの軸方向両側に位置する両側領域62b、62cとに区画され、かつ、上記中央領域62aは、外周線62Pを中央にしてその左側に位置する左側領域62a1と右側に位置する右側領域62a2とで構成されている。
【0099】
また、上記中央領域62aの左側領域62a1と右側領域62a2に形成される周期的溝体63が、
図7(C)に示すように、中央領域62a内において周期的溝体63の各溝が互いに交差することなく、右側領域62a2から上記外周線62Pを越えて左側領域62a1まで延長され、かつ、左側領域62a1から上記外周線62Pを越えて右側領域62a2まで延長されて中央領域62a内に外周線62Pを基端側とするV字形状先端が形成されないようになっている。
【0100】
更に、中央領域62aの軸方向両側に位置する上記両側領域62b、62cに形成される周期的溝体63は、上記外周線62Pを基端側としかつ基端側から軸方向両端側へ向けてV字形状となるように対称的に伸びる互いに平行若しくは略平行でV字形状先端が向かう方向とロール本体の回転方向が同一となるパターン(但し、この周期的溝体のパターンは両側領域62b、62c内に限られ、中央領域62a内の周期的溝体63は上述したようにV字形状先端が形成されないパターンになっている)に形成されている。
【0101】
尚、上記周期的溝体63における溝の深さ0.2mm、溝の幅0.2mm、ピッチ1mmで、かつ、V字形状先端の開き角度(リード角度)は80°に設定されている。
【0102】
また、上記皺伸ばしロールにおいては、
図7(C)に示すようにロール本体の外周方向に亘り中央領域62aを均等に区画して複数の矩形状単位領域621、622が形成され、かつ、一方の矩形状単位領域621には中央領域62aの右側領域62a2から左側領域62a1まで延長される周期的溝体63が形成されると共に、上記矩形状単位領域621に隣接する他方の矩形状単位領域622には中央領域62aの左側領域62a1から右側領域62a2まで延長される周期的溝体63がそれぞれ形成されている。
【0103】
尚、上記中央領域62aの幅寸法は20mmに設定され、また、ロール本体の外周方向に亘り中央領域62aを均等に区画して形成される矩形状単位領域621、622の各円弧長に対応する中心角は約20°に設定されており、ロール本体の外周方向に亘り18個(すなわち、360°÷20°=18)の矩形状単位領域が形成されている。
【0104】
(2)比較例で用いた皺伸ばしロール
比較例で用いた皺伸ばしロールは、
図8に示す従来の皺伸ばしロールにおける外周線(ゴム製被膜面上の軸方向略中央に位置する中心点をそれぞれ結んで形成される外周線)12Pが、
図8と
図2(B)、
図3(B)に示す線状でなく若干幅を有する変形例に係る従来の皺伸ばしロールである。
【0105】
すなわち、この変形例に係る従来の皺伸ばしロールは、
図4(A)〜(B)に示すようにロール本体外周面を被覆するフッ素ゴム(デュポン社製 登録商標「バイトン」)製被膜と、フッ素ゴム製被膜面上の軸方向略中央に位置する中心点をそれぞれ結んで形成される外周線部32Pを基端側としかつこの基端側から軸方向両端側へ向けてV字形状となるように対称的に伸びる互いに平行若しくは略平行で上記V字形状先端が向かう方向とロール本体の回転方向が同一となるようにフッ素ゴム製被膜の外周面に設けられた複数の周期的溝体33とで構成される幅広げ機構を具備するものである。
【0106】
尚、上記周期的溝体33における溝の深さ0.2mm、溝の幅0.2mm、ピッチ1mmで、かつ、V字形状先端の開き角度(リード角度)は80°に設定されている。
【0107】
(3)スパッタリングウェブコーターの成膜条件
図1に示すスパッタリングウェブコーターを用い、長尺樹脂フィルム113には幅500mm、長さ1000m、厚さ25μmの東レ・デュポン株式会社製の耐熱性ポリイミドフィルム「カプトン(登録商標)」を使用している。
【0108】
尚、スパッタリングウェブコーターにおける成膜室111内の冷却キャンロール123は、直径800mm、幅800mmで、キャンロール本体表面にハードクロムめっきを施した冷却ロールが用いられている。
【0109】
長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113に成膜される金属膜は、シード層であるNi−Cr膜の上にCu膜を成膜するものとし、かつ、マグネトロンスパッタターゲット130にはNi−Crターゲットを用い、マグネトロンスパッタターゲット131、132、133にはCuターゲットを用い、更に、アルゴンガスを300sccm導入し、各カソードへの印加電力は電力制御で成膜を行っている。尚、上記マグネトロンスパッタリングカソード130を構成する1枚のNi−Crターゲットを用いて成膜されるNi−Cr層の膜厚は10nmであり、また、上記マグネトロンスパッタリングカソード131、132、133を構成する3枚のCuターゲットを用いて成膜されるCu膜の膜厚は100nmである。
【0110】
上記巻き出しロール114と巻き取りロール129の張力は100Nとしている。巻き出しロール114に上記長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113をセットし、かつ、冷却キャンロール123を経由して上記長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113の先端部を巻き取りロール129に取り付けて成膜を行っている。
【0111】
尚、成膜処理を行う前において、成膜室を複数台のドライポンプにより5Paまで排気し、更に、複数台のターボ分子ポンプとクライオコイルを用いて3×10
-3Paまで排気している。
【0112】
また、フィルムの搬送速度は、長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113に作用する熱負荷が相対的に小さい「4m/分」と、長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113に作用する熱負荷が相対的に大きい「8m/分」の2種類を設定している。上記フィルムの搬送速度が「4m/分」のときと比較して、フィルムの搬送速度が「8m/分」の場合、目的の膜厚を得るためには各スパッタリングカソードに2倍の電力を印加する必要(すなわち、フィルムに作用する熱負荷は2倍となる)がある。同様に、乾燥の効果、イオンビームの照射効果を保つためには2倍の電力を印加する必要がある。上記フィルムの搬送速度が「8m/分」のとき、スパッタリングカソードへの印加総電力は「65kW」である。
【0113】
そして、長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113の搬送速度を「4m/分」または「8m/分」に設定した後、各マグネトロンスパッタカソード130、131、132、133にアルゴンガスを導入して電力を印加し、シード層を構成するNi−Cr膜とこのNi−Cr膜上に形成するCu膜の成膜を開始している。
【0114】
[実施例1]
実施例1では、上記スパッタリングウェブコーターにおける巻き出し室110内のフリーロール119、イオンビーム室134内のフリーロール137、および、成膜室111内の後フィードロール124に、
図6(A)〜(C)に示した第一実施の形態に係る皺伸ばしロールがそれぞれ用いられている。
【0115】
すなわち、上記巻き出し室110における乾燥用ヒーター117、118の工程出口側に位置するフリーロール119が、直径150mm、幅800mmの第一実施の形態に係る皺伸ばしロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113がフリーロール119に接触している角度(抱き角)は約70°である。
【0116】
また、上記イオンビーム室134におけるイオンビーム発生装置138の工程出口側に位置するフリーロール137も、直径150mm、幅800mmの第一実施の形態に係る皺伸ばしロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113がフリーロール137に接触している角度(抱き角)は約100°である。
【0117】
更に、上記成膜室111におけるマグネトロンスパッタリングカソード130、131、132、133の工程出口側に位置する後フィードロール(モーター駆動ロール)124も、直径150mm、幅800mmの第一実施の形態に係る皺伸ばしロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113が後フィードロール124に接触している角度(抱き角)は約120°である。尚、上記マグネトロンスパッタリングカソード130、131、132、133の工程入口側に位置する前フィードロール122の周速度は、基準となる冷却キャンロール123の周速度より0.1%遅い速度で回転させている。
【0118】
そして、上記皺伸ばしロールが、巻き出し室110内のフリーロール119と、イオンビーム室134内のフリーロール137と、成膜室111内の後フィードロール124にそれぞれ用いられた実施例1に係るスパッタリングウェブコーターにおける皺伸ばしロールの効果については、長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113が、フリーロール119、フリーロール137、後フィードロール124のそれぞれを通過する上流側と下流側におけるフィルム皺の低減具合を観察窓から目視により観察した。
【0119】
[フィルム皺発生の有無と皺伸ばしロールの効果]
(1)フィルムの搬送速度が「4m/分」のとき、上記皺伸ばしロールで構成されたフリーロール119、フリーロール137および後フィードロール124の各上流側でフィルム皺が発生することはなかった。
【0120】
(2)フィルムの搬送速度を「4m/分」から2倍の「8m/分」にしたとき(スパッタリングカソードへの総電力、ヒーター総電力、イオンビーム電力がそれぞれ2倍)、皺伸ばしロールで構成されたフリーロール119、フリーロール137および後フィードロール124の上流側では常に数本のフィルム皺が発生していたが、第一実施の形態に係る皺伸ばしロールの効果により、例え、偶然にも長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113の幅方向略中央にフィルム皺が発生したとしても、このフィルム皺は伸ばされて上記フリーロール119、フリーロール137および後フィードロール124の下流側においてフィルム皺が確認されることはなかった。
【0121】
すなわち、フィルムの搬送速度が「8m/分」に設定されて長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113に作用する熱負荷が高い場合でも、第一実施の形態に係る皺伸ばしロールで構成されたフリーロール119、フリーロール137および後フィードロール124の皺伸ばし効果により、フィルム皺は取り除かれることが確認された。
【0122】
尚、
図6(A)〜(C)に示した第一実施の形態に係る皺伸ばしロールに代えて、
図7(A)〜(C)に示した第二実施の形態に係る皺伸ばしロールを用いて巻き出し室110内のフリーロール119と、イオンビーム室134内のフリーロール137と、成膜室111内の後フィードロール124をそれぞれ構成した場合も、第一実施の形態に係る皺伸ばしロールを用いたときと同様の皺伸ばし効果が確認されている。
【0123】
[実施例2]
実施例2では、スパッタリングウェブコーターにおける巻き出し室110内のフリーロール119にのみ、第一実施の形態に係る皺伸ばしロールが用いられている。
【0124】
すなわち、上記巻き出し室110における乾燥用ヒーター117、118の工程出口側に位置するフリーロール119が、直径150mm、幅800mmの第一実施の形態に係る皺伸ばしロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113がフリーロール119に接触している角度(抱き角)は約70°である。
【0125】
一方、イオンビーム室134におけるイオンビーム発生装置138の工程出口側に位置するフリーロール137は、直径150mm、幅800mmの皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113がフリーロール137に接触している角度(抱き角)は約100°である。
【0126】
同様に、上記成膜室111におけるマグネトロンスパッタリングカソード130、131、132、133の工程出口側に位置する後フィードロール(モーター駆動ロール)124も、直径150mm、幅800mmの皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113が後フィードロール124に接触している角度(抱き角)は約120°である。尚、上記マグネトロンスパッタリングカソード130、131、132、133の工程入口側に位置する前フィードロール122の周速度は、基準となる冷却キャンロール123の周速度より0.1%遅い速度で回転させている。
【0127】
そして、上記皺伸ばしロールが、巻き出し室110内のフリーロール119に用いられた実施例2に係るスパッタリングウェブコーターにおける皺伸ばしロールの効果については、長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113が、巻き出し室110内のフリーロール119と、イオンビーム室134内のフリーロール137と、成膜室111内の後フィードロール124のそれぞれを通過する上流側と下流側におけるフィルム皺の低減具合を観察窓から目視により観察した。
【0128】
[フィルム皺発生の有無と皺伸ばしロールの効果]
(1)フィルムの搬送速度が「4m/分」のとき、上記皺伸ばしロールで構成されたフリーロール119、皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されたフリーロール137並びに後フィードロール124の上流側でフィルム皺が発生することはなかった。
【0129】
(2)フィルムの搬送速度を「4m/分」から2倍の「8m/分」にしたとき(スパッタリングカソードへの総電力、ヒーター総電力、イオンビーム電力がそれぞれ2倍)、皺伸ばしロールで構成されたフリーロール119、皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されたフリーロール137並びに後フィードロール124の上流側で常に数本のフィルム皺が発生していたが、第一実施の形態に係る皺伸ばしロールの効果により、フリーロール119の上流側において、例え、偶然にも長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113の幅方向略中央にフィルム皺が発生したとしても、このフィルム皺は伸ばされて下流側へ伝わることがなく、上記フリーロール119の下流側で多量のフィルム皺が確認されることはなかった。
【0130】
但し、上記フリーロール119の下流側に位置するフリーロール137と後フィードロール124は皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されているため、フリーロール137と後フィードロール124の下流側でフィルム皺が確認されたが、上記巻き出し室110における乾燥用ヒーター117、118の熱負荷に起因するフィルム皺はフリーロール119により除去されていることから、後フィードロール124の下流側で確認されるフィルム皺は僅かであった。
【0131】
尚、
図6(A)〜(C)に示した第一実施の形態に係る皺伸ばしロールに代えて、
図7(A)〜(C)に示した第二実施の形態に係る皺伸ばしロールを用いて巻き出し室110内のフリーロール119を構成した場合も、第一実施の形態に係る皺伸ばしロールを用いたときと同様の皺伸ばし効果が確認されている。
【0132】
[実施例3]
実施例3では、スパッタリングウェブコーターにおけるイオンビーム室134内のフリーロール137にのみ、第一実施の形態に係る皺伸ばしロールが用いられている。
【0133】
すなわち、上記イオンビーム室134におけるイオンビーム発生装置138の工程出口側に位置するフリーロール137が、直径150mm、幅800mmの第一実施の形態に係る皺伸ばしロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113がフリーロール137に接触している角度(抱き角)は約100°である。
【0134】
一方、上記巻き出し室110における乾燥用ヒーター117、118の工程出口側に位置するフリーロール119は、直径150mm、幅800mmの皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113がフリーロール119に接触している角度(抱き角)は約70°である。
【0135】
同様に、上記成膜室111におけるマグネトロンスパッタリングカソード130、131、132、133の工程出口側に位置する後フィードロール(モーター駆動ロール)124も、直径150mm、幅800mmの皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113が後フィードロール124に接触している角度(抱き角)は約120°である。尚、上記マグネトロンスパッタリングカソード130、131、132、133の工程入口側に位置する前フィードロール122の周速度は、基準となる冷却キャンロール123の周速度より0.1%遅い速度で回転させている。
【0136】
そして、上記皺伸ばしロールが、イオンビーム室134内のフリーロール137に用いられた実施例3に係るスパッタリングウェブコーターにおける皺伸ばしロールの効果については、長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113が、巻き出し室110内のフリーロール119と、イオンビーム室134内のフリーロール137と、成膜室111内の後フィードロール124のそれぞれを通過する上流側と下流側におけるフィルム皺の低減具合を観察窓から目視により観察した。
【0137】
[フィルム皺発生の有無と皺伸ばしロールの効果]
(1)フィルムの搬送速度が「4m/分」のとき、皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されたフリーロール119、上記皺伸ばしロールで構成されたフリーロール137、皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成された後フィードロール124の上流側でフィルム皺が発生することはなかった。
【0138】
(2)フィルムの搬送速度を「4m/分」から2倍の「8m/分」にしたとき(スパッタリングカソードへの総電力、ヒーター総電力、イオンビーム電力がそれぞれ2倍)、皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されたフリーロール119、上記皺伸ばしロールで構成されたフリーロール137、皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成された後フィードロール124の上流側で常に数本のフィルム皺が発生していたが、第一実施の形態に係る皺伸ばしロールの効果により、フリーロール119並びにフリーロール137の上流側において、例え、偶然にも長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113の幅方向略中央にフィルム皺が発生したとしても、このフィルム皺は、上記皺伸ばしロールで構成されたフリーロール137により伸ばされて下流側へ伝わることがなく、上記フリーロール137の下流側で多量のフィルム皺が確認されることはなかった。
【0139】
但し、上記フリーロール137の下流側に位置する後フィードロール124は皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されているため、後フィードロール124の下流側でフィルム皺が確認されたが、フリーロール119並びにフリーロール137の上流側で生じたフィルム皺はフリーロール137により除去されていることから、後フィードロール124の下流側で確認されるフィルム皺は実施例2の場合より少なかった。
【0140】
尚、
図6(A)〜(C)に示した第一実施の形態に係る皺伸ばしロールに代えて、
図7(A)〜(C)に示した第二実施の形態に係る皺伸ばしロールを用いてイオンビーム室134内のフリーロール137を構成した場合も、第一実施の形態に係る皺伸ばしロールを用いたときと同様の皺伸ばし効果が確認されている。
【0141】
[実施例4]
実施例4では、スパッタリングウェブコーターにおける成膜室111内の後フィードロール(モーター駆動ロール)124にのみ、第一実施の形態に係る皺伸ばしロールが用いられている。
【0142】
すなわち、上記成膜室111におけるマグネトロンスパッタリングカソード130、131、132、133の工程出口側に位置する後フィードロール(モーター駆動ロール)124が、直径150mm、幅800mmの第一実施の形態に係る皺伸ばしロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113が後フィードロール124に接触している角度(抱き角)は約120°である。尚、上記マグネトロンスパッタリングカソード130、131、132、133の工程入口側に位置する前フィードロール122の周速度は、基準となる冷却キャンロール123の周速度より0.1%遅い速度で回転させている。
【0143】
一方、上記巻き出し室110における乾燥用ヒーター117、118の工程出口側に位置するフリーロール119は、直径150mm、幅800mmの皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113がフリーロール119に接触している角度(抱き角)は約70°である。
【0144】
同様に、上記イオンビーム室134におけるイオンビーム発生装置138の工程出口側に位置するフリーロール137も、直径150mm、幅800mmの皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113がフリーロール137に接触している角度(抱き角)は約100°である。
【0145】
そして、上記皺伸ばしロールが、成膜室111内の後フィードロール(モーター駆動ロール)124に用いられた実施例4に係るスパッタリングウェブコーターにおける皺伸ばしロールの効果については、長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113が、巻き出し室110内のフリーロール119と、イオンビーム室134内のフリーロール137と、成膜室111内の後フィードロール124のそれぞれを通過する上流側と下流側におけるフィルム皺の低減具合を観察窓から目視により観察した。
【0146】
[フィルム皺発生の有無と皺伸ばしロールの効果]
(1)フィルムの搬送速度が「4m/分」のとき、皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されたフリーロール119並びにフリーロール137、上記皺伸ばしロールで構成された後フィードロール124の上流側でフィルム皺が発生することはなかった。
【0147】
(2)フィルムの搬送速度を「4m/分」から2倍の「8m/分」にしたとき(スパッタリングカソードへの総電力、ヒーター総電力、イオンビーム電力がそれぞれ2倍)、上記皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されたフリーロール119並びにフリーロール137、皺伸ばしロールで構成された後フィードロール124の上流側で常に数本のフィルム皺が発生していたが、第一実施の形態に係る皺伸ばしロールの効果により、フリーロール119、フリーロール137および後フィードロール124の上流側において、例え、偶然にも長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113の幅方向略中央にフィルム皺が発生したとしても、このフィルム皺は、上記皺伸ばしロールで構成された後フィードロール124により伸ばされて下流側へ伝わることがなく、上記後フィードロール124の下流側でフィルム皺が確認されることはなかった。
【0148】
但し、上記後フィードロール124より上流側に位置するフリーロール119とフリーロール137は皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されているため、フィルム皺を取り除く効果に関し、フリーロール119、フリーロール137および後フィードロール124の全てが第一実施の形態に係る皺伸ばしロールで構成されている実施例1と較べて若干劣っていたが、後フィードロール124が皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されている実施例2と実施例3と較べて優れていた。
【0149】
尚、
図6(A)〜(C)に示した第一実施の形態に係る皺伸ばしロールに代えて、
図7(A)〜(C)に示した第二実施の形態に係る皺伸ばしロールを用いて成膜室111内の後フィードロール(モーター駆動ロール)124を構成した場合も、第一実施の形態に係る皺伸ばしロールを用いたときと同様の皺伸ばし効果が確認されている。
【0150】
[比較例1]
比較例1では、上記スパッタリングウェブコーターにおける巻き出し室110内のフリーロール119、イオンビーム室134内のフリーロール137、および、成膜室111内の後フィードロール124に、
図4(A)〜(B)に示す変形例に係る従来の皺伸ばしロールがそれぞれ用いられている。
【0151】
すなわち、上記巻き出し室110における乾燥用ヒーター117、118の工程出口側に位置するフリーロール119が、直径150mm、幅800mmの
図4(A)〜(B)に示す変形例に係る従来の皺伸ばしロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113がフリーロール119に接触している角度(抱き角)は約70°である。
【0152】
また、上記イオンビーム室134におけるイオンビーム発生装置138の工程出口側に位置するフリーロール137も、直径150mm、幅800mmの上記従来の皺伸ばしロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113がフリーロール137に接触している角度(抱き角)は約100°である。
【0153】
更に、上記成膜室111におけるマグネトロンスパッタリングカソード130、131、132、133の工程出口側に位置する後フィードロール(モーター駆動ロール)124も、直径150mm、幅800mmの従来の皺伸ばしロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113が後フィードロール124に接触している角度(抱き角)は約120°である。尚、上記マグネトロンスパッタリングカソード130、131、132、133の工程入口側に位置する前フィードロール122の周速度は、基準となる冷却キャンロール123の周速度より0.1%遅い速度で回転させている。
【0154】
そして、
図4(A)〜(B)に示す従来の皺伸ばしロールが、巻き出し室110内のフリーロール119と、イオンビーム室134内のフリーロール137と、成膜室111内の後フィードロール124にそれぞれ用いられた比較例1に係るスパッタリングウェブコーターにおける皺伸ばしロールの効果については、長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113が、フリーロール119、フリーロール137、後フィードロール124のそれぞれを通過する上流側と下流側におけるフィルム皺の低減具合を観察窓から目視により観察した。
【0155】
[フィルム皺発生の有無と皺伸ばしロールの効果]
(1)フィルムの搬送速度が「4m/分」のとき、従来の皺伸ばしロールで構成されたフリーロール119、フリーロール137および後フィードロール124の各上流側でフィルム皺が発生することはなかった。
【0156】
(2)フィルムの搬送速度を「4m/分」から2倍の「8m/分」にしたとき(スパッタリングカソードへの総電力、ヒーター総電力、イオンビーム電力がそれぞれ2倍)、従来の皺伸ばしロールで構成されたフリーロール119、フリーロール137および後フィードロール124の上流側では常に数本のフィルム皺が発生していたが、従来の皺伸ばしロールの効果により幅方向略中央に発生していたフィルム皺を除き大半のフィルム皺は取り除かれていた。
【0157】
しかし、長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113の幅方向略中央に発生していたフィルム皺に対しては、
図4(A)〜(B)に示す従来の皺伸ばしロールで取り除くことはできず、フリーロール119、フリーロール137および後フィードロール124の下流側においてフィルム皺が確認された。すなわち、フィルム皺を取り除く効果に関し、実施例1〜4と較べて比較例1は著しく劣っていた。
【0158】
[比較例2]
比較例2では、スパッタリングウェブコーターにおける巻き出し室110内のフリーロール119にのみ、
図4(A)〜(B)に示す従来の皺伸ばしロールが用いられている。
【0159】
すなわち、上記巻き出し室110における乾燥用ヒーター117、118の工程出口側に位置するフリーロール119が、直径150mm、幅800mmの従来の皺伸ばしロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113がフリーロール119に接触している角度(抱き角)は約70°である。
【0160】
一方、イオンビーム室134におけるイオンビーム発生装置138の工程出口側に位置するフリーロール137は、直径150mm、幅800mmの皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113がフリーロール137に接触している角度(抱き角)は約100°である。
【0161】
同様に、上記成膜室111におけるマグネトロンスパッタリングカソード130、131、132、133の工程出口側に位置する後フィードロール(モーター駆動ロール)124も、直径150mm、幅800mmの皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113が後フィードロール124に接触している角度(抱き角)は約120°である。尚、上記マグネトロンスパッタリングカソード130、131、132、133の工程入口側に位置する前フィードロール122の周速度は、基準となる冷却キャンロール123の周速度より0.1%遅い速度で回転させている。
【0162】
そして、
図4(A)〜(B)に示す従来の皺伸ばしロールが、巻き出し室110内のフリーロール119に用いられた比較例2に係るスパッタリングウェブコーターにおける皺伸ばしロールの効果については、長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113が、巻き出し室110内のフリーロール119と、イオンビーム室134内のフリーロール137と、成膜室111内の後フィードロール124のそれぞれを通過する上流側と下流側におけるフィルム皺の低減具合を観察窓から目視により観察した。
【0163】
[フィルム皺発生の有無と皺伸ばしロールの効果]
(1)フィルムの搬送速度が「4m/分」のとき、従来の皺伸ばしロールで構成されたフリーロール119、皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されたフリーロール137並びに後フィードロール124の上流側でフィルム皺が発生することはなかった。
【0164】
(2)フィルムの搬送速度を「4m/分」から2倍の「8m/分」にしたとき(スパッタリングカソードへの総電力、ヒーター総電力、イオンビーム電力がそれぞれ2倍)、従来の皺伸ばしロールで構成されたフリーロール119、皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されたフリーロール137並びに後フィードロール124の上流側で常に数本のフィルム皺が発生していたが、従来の皺伸ばしロールで構成されたフリーロール119の効果により、フリーロール119の上流側で発生した一部のフィルム皺については取り除かれていた。
【0165】
しかし、長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113の幅方向略中央に発生していたフィルム皺に対しては、
図4(A)〜(B)に示す従来の皺伸ばしロールで取り除くことはできず、フリーロール119、フリーロール137および後フィードロール124の下流側においてフィルム皺が確認された。すなわち、フィルム皺を取り除く効果に関し、実施例1〜4と較べて比較例2は著しく劣っていた。
【0166】
[比較例3]
比較例3では、スパッタリングウェブコーターにおけるイオンビーム室134内のフリーロール137にのみ、
図4(A)〜(B)に示した従来の皺伸ばしロールが用いられている。
【0167】
すなわち、上記イオンビーム室134におけるイオンビーム発生装置138の工程出口側に位置するフリーロール137が、直径150mm、幅800mmの従来の皺伸ばしロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113がフリーロール137に接触している角度(抱き角)は約100°である。
【0168】
一方、上記巻き出し室110における乾燥用ヒーター117、118の工程出口側に位置するフリーロール119は、直径150mm、幅800mmの皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113がフリーロール119に接触している角度(抱き角)は約70°である。
【0169】
同様に、上記成膜室111におけるマグネトロンスパッタリングカソード130、131、132、133の工程出口側に位置する後フィードロール(モーター駆動ロール)124も、直径150mm、幅800mmの皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113が後フィードロール124に接触している角度(抱き角)は約120°である。尚、上記マグネトロンスパッタリングカソード130、131、132、133の工程入口側に位置する前フィードロール122の周速度は、基準となる冷却キャンロール123の周速度より0.1%遅い速度で回転させている。
【0170】
そして、
図4(A)〜(B)に示す従来の皺伸ばしロールが、イオンビーム室134内のフリーロール137に用いられた比較例3に係るスパッタリングウェブコーターにおける皺伸ばしロールの効果については、長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113が、巻き出し室110内のフリーロール119と、イオンビーム室134内のフリーロール137と、成膜室111内の後フィードロール124のそれぞれを通過する上流側と下流側におけるフィルム皺の低減具合を観察窓から目視により観察した。
【0171】
[フィルム皺発生の有無と皺伸ばしロールの効果]
(1)フィルムの搬送速度が「4m/分」のとき、皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されたフリーロール119、従来の皺伸ばしロールで構成されたフリーロール137、皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成された後フィードロール124の上流側でフィルム皺が発生することはなかった。
【0172】
(2)フィルムの搬送速度を「4m/分」から2倍の「8m/分」にしたとき(スパッタリングカソードへの総電力、ヒーター総電力、イオンビーム電力がそれぞれ2倍)、皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されたフリーロール119、従来の皺伸ばしロールで構成されたフリーロール137、皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成された後フィードロール124の上流側で常に数本のフィルム皺が発生していたが、従来の皺伸ばしロールで構成されたフリーロール124の効果により、フリーロール119並びにフリーロール137の上流側で発生した一部のフィルム皺については取り除かれていた。
【0173】
しかし、長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113の幅方向略中央に発生していたフィルム皺に対しては、
図4(A)〜(B)に示す従来の皺伸ばしロールで取り除くことはできず、フリーロール119、フリーロール137および後フィードロール124の下流側においてフィルム皺が確認された。すなわち、フィルム皺を取り除く効果に関し、実施例1〜4と較べて比較例3は著しく劣っていた。
【0174】
[比較例4]
比較例4では、スパッタリングウェブコーターにおける成膜室111内の後フィードロール(モーター駆動ロール)124にのみ、
図4(A)〜(B)に示した従来の皺伸ばしロールが用いられている。
【0175】
すなわち、上記成膜室111におけるマグネトロンスパッタリングカソード130、131、132、133の工程出口側に位置する後フィードロール(モーター駆動ロール)124が、直径150mm、幅800mmの従来の皺伸ばしロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113が後フィードロール124に接触している角度(抱き角)は約120°である。尚、上記マグネトロンスパッタリングカソード130、131、132、133の工程入口側に位置する前フィードロール122の周速度は、基準となる冷却キャンロール123の周速度より0.1%遅い速度で回転させている。
【0176】
一方、上記巻き出し室110における乾燥用ヒーター117、118の工程出口側に位置するフリーロール119は、直径150mm、幅800mmの皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113がフリーロール119に接触している角度(抱き角)は約70°である。
【0177】
同様に、上記イオンビーム室134におけるイオンビーム発生装置138の工程出口側に位置するフリーロール137も、直径150mm、幅800mmの皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されており、長尺樹脂フィルム113がフリーロール137に接触している角度(抱き角)は約100°である。
【0178】
そして、
図4(A)〜(B)に示す従来の皺伸ばしロールが、成膜室111内の後フィードロール(モーター駆動ロール)124に用いられた比較例4に係るスパッタリングウェブコーターにおける皺伸ばしロールの効果については、長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113が、巻き出し室110内のフリーロール119と、イオンビーム室134内のフリーロール137と、成膜室111内の後フィードロール124のそれぞれを通過する上流側と下流側におけるフィルム皺の低減具合を観察窓から目視により観察した。
【0179】
[フィルム皺発生の有無と皺伸ばしロールの効果]
(1)フィルムの搬送速度が「4m/分」のとき、皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されたフリーロール119並びにフリーロール137、従来の皺伸ばしロールで構成された後フィードロール124の上流側でフィルム皺が発生することはなかった。
【0180】
(2)フィルムの搬送速度を「4m/分」から2倍の「8m/分」にしたとき(スパッタリングカソードへの総電力、ヒーター総電力、イオンビーム電力がそれぞれ2倍)、上記皺伸ばし機能を有しないゴム製ロールで構成されたフリーロール119並びにフリーロール137、従来の皺伸ばしロールで構成された後フィードロール124の上流側で常に数本のフィルム皺が発生していたが、従来の皺伸ばしロールで構成された後フィードロール124の効果により、フリーロール119、フリーロール137および後フィードロール124の上流側で発生した一部のフィルム皺については取り除かれていた。
【0181】
しかし、長尺樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)113の幅方向略中央に発生していたフィルム皺に対しては、
図4(A)〜(B)に示す従来の皺伸ばしロールで取り除くことはできず、フリーロール119、フリーロール137および後フィードロール124の下流側においてフィルム皺が確認された。すなわち、フィルム皺を取り除く効果に関し、実施例1〜4と較べて比較例4は著しく劣っていた。