【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行者名:公益社団法人応用物理学会、刊行物名:2013年 第60回応用物理学会春季学術講演会「講演予稿集」、発行年月日:平成25年3月11日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行者名:第5回ハラタマワークショップ実行委員会、刊行物名:第5回ハラタマワークショップ 要旨集、発行年月日:平成25年5月29日
【文献】
Jing Wang et al.,Optical reorientation behavior in hybrid-aligned oligothiophene-doped polymer-stabilized liquid crystal,第62回高分子討論会予稿集,2013年 8月28日,論文No.3ESB02
【文献】
相原陽介,外3名,オリゴチオフェンドープ型液晶高分子フィルムの光応答性,日本液晶学会討論会講演予稿集,2012年 8月20日,論文No.2a05,ISSN:1880-3490
【文献】
相原陽介,外3名,オリゴチオフェンによる高分子分散型液晶の光配向変化挙動,第73回応用物理学会学術講演会講演予稿集,2012年 8月27日,論文No.13A-PB5-1,ISBN:978-4-86348-276-0
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光応答性物質が、光化学反応を起こさない異方性の物質であり、前記閾値以上の光強度を有する光を照射することにより、前記光応答性物質の長軸方向が光の振動方向に対し平行に配向する請求項1に記載の光学素子。
前記光応答性物質が、光化学反応を起こさない異方性の物質であり、前記閾値以上の光強度を有する光を照射することにより、前記光応答性物質の長軸方向を光の振動方向に対して平行に配向する請求項5に記載の光学素子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の光学素子およびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をよりよく理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0015】
[光学素子]
本発明の光学素子は、応答する光強度に閾値を有する光応答性物質と、異方性分子とを含有する光応答性組成物に、閾値以上の光強度を有する光を照射することにより光応答性組成物が配向してなるものである。
本発明の光学素子は、異方性分子の配向を光によって制御することで、光応答性組成物の屈折率が空間的・領域的に変調あるいは分布することにより光学的な機能を発現するものである。本発明の光学素子は、屈折率分布を利用する光学素子(例えば、レンズ、プリズム、ミラー、フィルター等) に特に制限なく適用可能であり、また、液晶表示素子、ホログラム用素子、位相差フィルム等の位相差素子、3Dプリンター用素子等として使用することができる。
【0016】
ここでは、本発明の光学素子として、
図1に示す液晶表示素子10を例示する。
液晶表示素子10は、2枚の基板11,12と、これらの基板の間に封入された、光応答性物質13および異方性分子14を含有する光応答性組成物15とから概略構成されている。
本発明の光学素子が液晶表示素子10の場合、基板11,12としては、例えば、ガラス基板が用いられる。
また、一方の基板11における、他方の基板12と対向する面11aには、シランカップリング剤により垂直配向処理が施された配向膜16が設けられている。同様に、他方の基板12における、一方の基板11と対向する面12aには、シランカップリング剤により垂直配向処理が施された配向膜17が設けられている。
また、本発明の光学素子としては、基板と、該基板上に形成された光応答性物質および異方性分子を含有する光応答性組成物層(光応答性組成物からなる層)とから概略構成される光学素子(すなわち、基板が1枚のみの素子)により構成されていてもよい。このような光学素子は、基板上に、光応答性物質および異方性分子を含有する塗液を塗布することにより得られる。
【0017】
光応答性物質としては、応答する光強度に閾値を有する化合物が用いられる。詳細には、光応答性物質としては、光に対して吸収に異方性がある分子構造を持つものであれば特に限定なく用いられる。光応答性物質としては、光化学反応を起こさないか、あるいは、光化学反応を起こしても、その反応が異方性物質の配向に及ぼす影響が小さいものが好ましく、例えば、可視光領域または可視光領域外のいずれの領域の光を照射した場合であっても、その光を吸収して、応答する光強度に閾値を有する化合物が用いられる。
本発明において、光を照射すると、光応答性物質が応答するとは、光を照射すると、光応答性物質が配向することである。より詳細には、光応答性物質が配向するとは、光応答性物質が、その長軸方向が光の振動方向(偏光の電場ベクトル)に対し平行に配向することである。
【0018】
このような光応答性物質としては、例えば、可視光領域の光に応答するものとしては、二色性色素が用いられる。二色性色素としては、特に限定されるものではなく、アントラキノン系、メロシアニン系、スチリル系、アゾメチン系、キノン系、キノフタロン系、ペリレン系、インジゴ系、テトラジン系、スチルベン系、ベンジジン系色素等が挙げられる。また、オリゴチオフェンも好ましく用いられる。
【0019】
光応答性物質としては、例えば、下記一般式(I−1)
【0021】
(式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよく、nは、1〜8を表す。)
で表されるオリゴチオフェン系の化合物が挙げられる。
R
1およびR
2は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基(−C
nH
2n+1)、−OC
nH
2n+1、−N(C
nH
2n+1)
2、−COOC
nH
2n+1、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)を表すものが好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基(−C
nH
2n+1)、−OC
nH
2n+1、−N(C
nH
2n+1)
2、−COOC
nH
2n+1、を表すものがさらに好ましい。
nは、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
前記一般式(I−1)は、下記一般式(I−2)
【0023】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I−1)のR
1およびR
2と同じ意味を表す。)
で表される化合物であることが好ましい。
前記一般式(I−2)で表される化合物としては、具体的には、対称性を有する化合物として、下記式(I−3)
【0025】
で表される化合物、下記一般式(I−4)
【0027】
で表される化合物や、R
1およびR
2がそれぞれ、−C
4H
9、−OC
4H
9、−N(C
4H
9)
2、−COOC
4H
9、−CNを表す化合物が挙げられる。
また、前記一般式(I−2)で表される化合物としては、非対称性を有する化合物として、R
1が−C
4H
9、または、−N(C
4H
9)
2、R
2が−CN、または、−NO
2を表す化合物が挙げられる。
また、前記一般式(I−1)は、下記式(I−5)
【0029】
で表される化合物、および、下記式(I−6)
【0031】
で表される無着色化した化合物も挙げられる。
オリゴチオフェン系の化合物としては、他には、下記一般式(I−7)
【0033】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I−1)のR
1およびR
2と同じ意味を表し、nは、0または1を表す。)
で表される化合物が挙げられる。
前記一般式(I−7)で表される化合物としては、下記式(I−8)
【0035】
(式中、nは、0または1を表す。)
で表される化合物が挙げられる。
また、光応答性物質としては、下記一般式(I−9)
【0037】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I−1)のR
1およびR
2と同じ意味を表す。)
で表される化合物が挙げられる。
前記一般式(I−9)で表される化合物としては、下記式(I−10)
【0039】
で表される化合物が挙げられる。
また、光応答性物質としては、下記一般式(I−11)
【0041】
(式中、A
1およびA
2は、それぞれ独立して、1,4−フェニレン基、2,5−チオフェン基、ナフタレン−2,6−ジイル基を表し、R´、R´´は、それぞれ独立して、−CH=CH−基、−C≡C−基を表し、R
1およびR
2は前記一般式(I−1)のR
1およびR
2と同じ意味を表し、n
1およびn
2は、それぞれ独立して0〜8を表し、n
3およびn
4は、それぞれ独立して0または1を表す。)
で表される化合物が挙げられる。
n
1およびn
2は、0〜6が好ましく、0〜4がより好ましい。
前記一般式(I−11)で表される化合物としては、具体的には、下記式(I−12)から式(I−19)で表される化合物が挙げられる。
【0042】
【化12】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I−1)のR
1およびR
2と同じものを表す。)
【0043】
【化13】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I−1)のR
1およびR
2と同じ意味を表す。)
【0044】
【化14】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I−1)のR
1およびR
2と同じ意味を表す。)
【0045】
【化15】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I−1)のR
1およびR
2と同じ意味を表す。)
【0046】
【化16】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I−1)のR
1およびR
2と同じ意味を表す。)
【0047】
【化17】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I−1)のR
1およびR
2と同じ意味を表す。)
【0048】
【化18】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I−1)のR
1およびR
2と同じ意味を表す。)
【0049】
【化19】
(式中、R
1およびR
2は、前記一般式(I−1)のR
1およびR
2と同じ意味を表す。)
【0050】
また、光応答性物質としては、下記一般式(I−20)
【0052】
(式中、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよく、
B
1およびB
2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)、置換基を有していてもよいフェニル基(この基中に存在する1個以上の−C=は−N=に置換されていてもよい。)、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいシクロヘキシル基(この基中に存在する1個以上の−C−は−O−又は−S−に置換されていてもよい。)、および下記(a)、(b)、又は(c)のいずれかの基を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
【0053】
【化21】
(式中、R
5は、水素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
【0054】
で表されるクマリン系の化合物が挙げられる。
R
3およびR
4がアルキル基を表す場合、炭素原子数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基がより好ましく、B
1およびB
2がアルキル基を表す場合、炭素原子数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基がより好ましい。
前記一般式(I−20)で表される化合物としては、下記式(I−22)から式(I−24)で表される化合物が挙げられる。
【0055】
【化22】
(式中、R
3およびR
4は、前記一般式(I−20)のR
3およびR
4と同じ意味を表す。)
【0056】
【化23】
(式中、R
3およびR
4は、前記一般式(I−20)のR
3およびR
4と同じ意味を表す。)
【0057】
【化24】
(式中、R
3およびR
4は、前記一般式(I−20)のR
3およびR
4と同じ意味を表す。)
【0058】
クマリン系の化合物としては、他には、下記一般式(I−25)
【0060】
(式中、B
1およびB
2は、前記一般式(I−20)のB
1およびB
2と同じ意味を表す。)
で表される化合物が挙げられる。
B
1およびB
2がアルキル基を表す場合、炭素原子数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基がより好ましい。
前記一般式(I−25)で表される化合物としては、下記式(I−26)から式(I−30)で表される化合物が挙げられる。
【0066】
また、光応答性物質としては、下記一般式(I−31)
【0068】
(式中、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよく、
B
3は水素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)、置換基を有していてもよいフェニル基(この基中に存在する1個以上の−C=は−N=に置換されていてもよい。)、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいシクロヘキシル基(この基中に存在する1個以上の−C−は−O−又は−S−に置換されていてもよい。)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物が挙げられる。
R
6、R
7およびB
3がそれぞれ独立してアルキル基を表す場合、炭素原子数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基がより好ましい。また、R
6、R
7およびB
3がそれぞれ独立してアルケニル基を表す場合、炭素原子数2〜10のアルケニル基が好ましく、炭素原子数2〜5のアルケニル基がより好ましい。また、B
3は、置換基を有していてもよいフェニル基が好ましく、該置換基としては、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基がより好ましい。
前記一般式(I−31)で表される化合物としては、下記式(I−32)
【0070】
(式中、R
6は、前記一般式(I−31)のR
6と同じ意味を表す。)
で表される化合物、下記式(I−33)
【0072】
(式中、R
8およびR
9は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物が挙げられる。
また、光応答性物質としては、下記一般式(I−34)
【0074】
(式中、R
10〜R
13は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物が挙げられる。
R
10〜R
13は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基中のCH
2基が−COO−または−OCO−で置換されている炭素原子数1〜10のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子、アルキル基中のCH
2基が−COO−または−OCO−で置換されている炭素原子数1〜5のアルキル基を表すことがより好ましい。
前記一般式(I−34)で表される化合物としては、下記式(I−35)
【0076】
(式中、R
14およびR
15は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)
で表される化合物、下記式(I−36)
【0078】
(式中、R
14〜R
17は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)
で表される化合物が挙げられる。
また、光応答性物質としては、下記一般式(I−37)
【0080】
(式中、B
4は、水素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)、置換基を有していてもよいフェニル基(この基中に存在する1個以上の−C=は−N=に置換されていてもよい。)、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいシクロヘキシル基(この基中に存在する1個以上の−C−は−O−又は−S−に置換されていてもよい。)、NR
18R
19(R
18およびR
19は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、1,4−フェニレン基で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)を表す。)
で表される化合物が挙げられる。
一般式(I−37)中のR
18およびR
19としては、炭素原子数1〜14のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜14のアルケニル基、フェニル基が好ましい。
前記一般式(I−37)で表される化合物としては、下記式(I−38)
【0082】
(式中、R
18およびR
19は、前記一般式(I−37)のR
18およびR
19と同じ意味を表す。)
で表される化合物、下記式(I−39)
【0084】
(式中、R
20は、水素原子、または炭素原子数1〜14のアルキル基を表す。)
で表される化合物、下記式(I−40)
【0086】
(式中、R
21は、水素原子、または炭素原子数1〜14のアルキル基を表す。)
で表される化合物が挙げられる。
また、光応答性物質としては、下記一般式(I−41)
【0088】
(式中、X
1およびX
2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子を表し、B
5〜B
8は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)、置換基を有していてもよいフェニル基(この基中に存在する1個以上の−C=は−N=に置換されていてもよい。)、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいシクロヘキシル基(この基中に存在する1個以上の−C−は−O−又は−S−に置換されていてもよい。)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよく、n
6およびn
7は、それぞれ独立して、1〜14を表す。)
で表されるジオキサジン系の化合物が挙げられる。
B
5〜B
8は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいシクロヘキシル基が好ましく、該置換基としては、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基が好ましい。
前記一般式(I−41)で表される化合物としては、下記式(I−42)
【0090】
で表される化合物、下記式(I−43)
【0092】
で表される化合物が挙げられる。
また、光応答性物質としては、下記一般式(I−44)
【0094】
(式中、B
9〜B
12は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)、置換基を有していてもよいフェニル基(この基中に存在する1個以上の−C=は−N=に置換されていてもよい。)、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいシクロヘキシル基(この基中に存在する1個以上の−C−は−O−又は−S−に置換されていてもよい。)、NR
18R
19(R
18およびR
19は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、1,4−フェニレン基で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)を表し、
R
22〜R
25 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表されるアントラキノン系の化合物が挙げられる。
前記一般式(I−44)で表される化合物としては、下記式(I−45)
【0096】
で表される化合物、下記式(I−46)
【0098】
で表される化合物、下記式(I−47)
【0100】
で表される化合物が挙げられる。
アントラキノン系の化合物としては、他には、下記一般式(I−48)
【0102】
(式中、B
9〜B
12は、それぞれ独立して、前記一般式(I−44)のB
9〜B
12と同じ意味を表し、
R
22、R
23およびR
26は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物が挙げられる。
前記一般式(I−48)で表される化合物としては、下記式(I−49)
【0104】
で表される化合物が挙げられる。
さらに、光応答性物質としては、下記式(I−50)
【0106】
(式中、R
27は、水素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物、下記式(I−51)
【0108】
(式中、R
28〜R
30 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物、下記式(I−52)
【0110】
で表される化合物、下記式(I−53)
【0112】
で表される化合物、下記式(I−54)
【0114】
(式中、R
31およびR
32は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物、下記式(I−55)
【0116】
(式中、Y
1およびY
2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物、下記式(I−56)
【0118】
(式中、R
33およびR
34は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物、下記式(I−57)
【0120】
(式中、R
35〜R
38は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜14のアルキル基、炭素原子数2〜14のアルケニル基、炭素原子数2〜14のアルキニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO
2)を表し、前記アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−OCO−、または−COO−で置換されていてもよく、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。)
で表される化合物が挙げられる。
上記式(I−51)、式(I−54)、式(I−56)および式(I−57)において、R
28〜R
38は、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基がより好ましい。
【0121】
上記式(I−56)で表される化合物として、具体的には、R
33およびR
34が、それぞれC
2H
5基であるものが挙げられる。
また、上記式(I−57)で表される化合物として、具体的には、R
35〜R
38が、それぞれC
2H
5基であるものが挙げられる。
【0122】
これらの化合物の中でも、応答する光強度の閾値が低いことから、オリゴチオフェン系の化合物が好ましい。
また、光応答性物質として、共役系のある液晶化合物を用いることもできる。このような光応答性物質として機能し得る液晶化合物としては、棒状の液晶化合物が好ましい。
【0123】
異方性分子としては、液晶が用いられる。
液晶としては、下記一般式(LC)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0125】
(一般式(LC)中、R
LCは、炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−またはC≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の1つまたは2つ以上の水素原子は、任意にハロゲン原子に置換されていてもよく、
A
LC1およびA
LC2は、それぞれ独立して、
(a)トランス−1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個のCH
2基または隣接していない2個以上のCH
2基は、酸素原子または硫黄原子で置換されていてもよい。)、
(b)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個のCH基または隣接していない2個以上のCH基は、窒素原子で置換されていてもよい。)、および
(c)1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、またはクロマン−2,6−ジイル基
からなる群より選ばれる基を表すが、上記の基(a)、基(b)または基(c)に含まれる1つまたは2つ以上の水素原子は、それぞれ、F、Cl、CF
3またはOCF
3で置換されていてもよく、
Z
LCは単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−、−COO−またはOCO−を表し、
Y
LCは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、および炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CF
2O−、−OCF
2−で置換されてよく、該アルキル基中の1つまたは2つ以上の水素原子は、任意にハロゲン原子によって置換されていてもよく、
aは1〜4の整数を表すが、aが2、3または4を表し、A
LC1が複数存在する場合、複数存在するA
LC1は、同一であっても異なっていてもよく、Z
LCが複数存在する場合、複数存在するZ
LCは、同一であっても異なっていてもよい。)
【0126】
前記一般式(LC)で表される化合物は、下記一般式(LC1)および一般式(LC2)
【0128】
(式中、R
LC11およびR
LC21は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−またはC≡C−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1つまたは2つ以上の水素原子は、任意にハロゲン原子によって置換されていてもよく、A
LC11、およびA
LC21は、それぞれ独立して下記の何れかの構造
【0130】
(該構造中、シクロヘキシレン基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子で置換されていてもよく、1,4−フェニレン基中の1つまたは2つ以上のCH基は、窒素原子で置換されていてもよく、また、該構造中の1つまたは2つ以上の水素原子は、F、Cl、CF
3またはOCF
3で置換されていてもよい。)を表し、X
LC11、X
LC12、X
LC21〜X
LC23は、それぞれ独立して、水素原子、Cl、F、CF
3またはOCF
3を表し、Y
LC11およびY
LC21は、それぞれ独立して、水素原子、Cl、F、CN、CF
3、OCH
2F、OCHF
2またはOCF
3を表し、Z
LC11およびZ
LC21は、それぞれ独立して、単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−、−COO−またはOCO−を表し、m
LC11およびm
LC21は、それぞれ独立して、1〜4の整数を表し、A
LC11、A
LC21、Z
LC11およびZ
LC21が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物群から選ばれる1種または2種以上の化合物であることが好ましい。
【0131】
R
LC11およびR
LC21は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基がより好ましく、直鎖状であることがさらに好ましく、アルケニル基としては、下記構造を表すことが最も好ましい。
【0133】
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
A
LC11およびA
LC21は、それぞれ独立して、下記の構造が好ましい。
【0135】
Y
LC11およびY
LC21は、それぞれ独立して、F、CN、CF
3またはOCF
3が好ましく、FまたはOCF
3が好ましく、Fが特に好ましい。
Z
LC11およびZ
LC21は、単結合、−CH
2CH
2−、−COO−、−OCO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−またはCF
2O−が好ましく、単結合、−CH
2CH
2−、−OCH
2−、−OCF
2−またはCF
2O−が好ましく、単結合、−OCH
2−またはCF
2O−がより好ましい。
m
LC11およびm
LC21は、1、2または3が好ましく、低温での保存安定性、応答速度を重視する場合には1または2が好ましく、ネマチック相上限温度の上限値を改善するには2または3が好ましい。
前記一般式(LC1)は、下記一般式(LC1−a)から一般式(LC1−c)
【0137】
(式中、R
LC11、Y
LC11、X
LC11およびX
LC12は、それぞれ独立して、前記一般式(LC1)におけるR
LC11、Y
LC11、X
LC11およびX
LC12と同じ意味を表し、A
LC1a1、A
LC1a2およびA
LC1b1は、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、X
LC1b1、X
LC1b2、X
LC1c1〜X
LC1c4は、それぞれ独立して、水素原子、Cl、F、CF
3またはOCF
3を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物であることが好ましい。
R
LC11は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基がより好ましい。
X
LC11〜X
LC1c4は、それぞれ独立して、水素原子またはFが好ましい。
Y
LC11は、それぞれ独立して、F、CF
3またはOCF
3が好ましい。
また、前記一般式(LC1)は、下記一般式(LC1−d)から一般式(LC1−m)
【0139】
(式中、R
LC11、Y
LC11、X
LC11およびX
LC12は、それぞれ独立して、前記一般式(LC1)におけるR
LC11、Y
LC11、X
LC11およびX
LC12と同じ意味を表し、A
LC1d1、A
LC1f1、A
LC1g1、A
LC1j1、A
LC1k1、A
LC1k2、A
LC1m1〜A
LC1m3は、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、X
LC1d1、X
LC1d2、X
LC1f1、X
LC1f2、X
LC1g1、X
LC1g2、X
LC1h1、X
LC1h2、X
LC1i1、X
LC1i2、X
LC1j1〜X
LC1j4、X
LC1k1、X
LC1k2、X
LC1m1およびX
LC1m2は、それぞれ独立して、水素原子、Cl、F、CF
3またはOCF
3を表し、Z
LC1d1、Z
LC1e1、Z
LC1j1、Z
LC1k1、Z
LC1m1は、それぞれ独立して、単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−、−COO−またはOCO−を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物であるのが好ましい。
R
LC11は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基がより好ましい。
X
LC11〜X
LC1m2は、それぞれ独立して、水素原子またはFが好ましい。
Y
LC11は、それぞれ独立して、F、CF
3またはOCF
3が好ましい。
Z
LC1d1〜Z
LC1m1は、それぞれ独立して、−CF
2O−、−OCH
2−が好ましい。
前記一般式(LC2)は、下記一般式(LC2−a)から一般式(LC2−g)
【0141】
(式中、R
LC21、Y
LC21、X
LC21〜X
LC23は、それぞれ独立して、前記一般式(LC2)におけるR
LC21、Y
LC21、X
LC21〜X
LC23と同じ意味を表し、X
LC2d1〜X
LC2d4、X
LC2e1〜X
LC2e4、X
LC2f1〜X
LC2f4およびX
LC2g1〜X
LC2g4は、それぞれ独立して、水素原子、Cl、F、CF
3またはOCF
3を表し、Z
LC2a1、Z
LC2b1、Z
LC2c1、Z
LC2d1、Z
LC2e1、Z
LC2f1およびZ
LC2g1は、それぞれ独立して、単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−、−COO−またはOCO−を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物であるのが好ましい。
R
LC21は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基がより好ましい。
X
LC21〜X
LC2g4は、それぞれ独立して、水素原子またはFが好ましく、
Y
LC21は、それぞれ独立して、F、CF
3またはOCF
3が好ましい。
Z
LC2a1〜Z
LC2g4は、それぞれ独立して、−CF
2O−、−OCH
2−が好ましい。
また、前記一般式(LC)で表される化合物は、下記一般式(LC3)〜一般式(LC5)
【0143】
(式中、R
LC31、R
LC32、R
LC41、R
LC42、R
LC51およびR
LC52は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−またはC≡C−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子によって置換されていてもよく、A
LC31、A
LC32、A
LC41、A
LC42、A
LC51およびA
LC52は、それぞれ独立して、下記の何れかの構造
【0145】
(該構造中シクロヘキシレン基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子で置換されていてもよく、1,4−フェニレン基中の1つまたは2つ以上のCH基は、窒素原子で置換されていてもよく、また、該構造中の1つまたは2つ以上の水素原子は、Cl、CF
3またはOCF
3で置換されていてもよい。)のいずれかを表し、Z
LC31、Z
LC32、Z
LC41、Z
LC42、Z
LC51およびZ
LC51は、それぞれ独立して、単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−COO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−またはCF
2O−を表し、Z
5は、CH
2基または酸素原子を表し、X
LC41は、水素原子またはフッ素原子を表し、m
LC31、m
LC32、m
LC41、m
LC42、m
LC51およびm
LC52は、それぞれ独立して、0〜3を表し、m
LC31+m
LC32、m
LC41+m
LC42およびm
LC51+m
LC52は、1、2または3であり、A
LC31〜A
LC52、Z
LC31〜Z
LC52が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物群から選ばれる1種または2種以上の化合物であることが好ましい。
R
LC31〜R
LC52は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、アルケニル基としては下記構造を表すことが最も好ましく、
【0147】
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
A
LC31〜A
LC52は、それぞれ独立して、下記の構造が好ましく、
【0149】
Z
LC31〜Z
LC51は、それぞれ独立して、単結合、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−またはOCH
2−が好ましい。
前記一般式(LC3)は、下記一般式(LC3−a)および一般式(LC3−b)
【0151】
(式中、R
LC31、R
LC32、A
LC31およびZ
LC31は、それぞれ独立して、前記一般式(LC3)におけるR
LC31、R
LC32、A
LC31およびZ
LC31と同じ意味を表し、X
LC3b1〜X
LC3b6は、水素原子またはフッ素原子を表すが、X
LC3b1およびX
LC3b2またはX
LC3b3およびX
LC3b4のうちの少なくとも一方の組み合わせは、共にフッ素原子を表し、m
LC3a1は、1、2または3であり、m
LC3b1は、0または1を表し、A
LC31およびZ
LC31が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物群から選ばれる1種または2種以上の化合物であることが好ましい。
R
LC31およびR
LC32は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基または炭素原子数2〜7のアルケニルオキシ基を表すことが好ましい。
A
LC31は、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すことが好ましく、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基を表すことがより好ましい。
Z
LC31は、単結合、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−を表すことが好ましく、単結合を表すことがより好ましい。
前記一般式(LC3−a)としては、下記一般式(LC3−a1)〜一般式(LC3−a4)を表すことが好ましい。
【0153】
(式中、R
LC31およびR
LC32は、それぞれ独立して、前記一般式(LC3)におけるR
LC31およびR
LC32と同じ意味を表す。)
R
LC31およびR
LC32は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、R
LC31が炭素原子数1〜7のアルキル基を表し、R
LC32が炭素原子数1〜7のアルコキシ基を表すことがより好ましい。
前記一般式(LC3−b)としては、下記一般式(LC3−b1)〜一般式(LC3−b12)を表すことが好ましく、下記一般式(LC3−b1)、下記一般式(LC3−b6)、下記一般式(LC3−b8)、下記一般式(LC3−b11)を表すことがより好ましく、下記一般式(LC3−b1)および一般式(LC3−b6)を表すことがさらに好ましく、下記一般式(LC3−b1)を表すことが最も好ましい。
【0155】
(式中、R
LC31およびR
LC32は、それぞれ独立して、前記一般式(LC3)におけるR
LC31およびR
LC32と同じ意味を表す。)
R
LC31およびR
LC32は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、R
LC31が炭素原子数2または3のアルキル基を表し、R
LC32が炭素原子数2のアルキル基を表すことがより好ましい。
前記一般式(LC4)は下記一般式(LC4−a)から一般式(LC4−c)、前記一般式(LC5)は下記一般式(LC5−a)から一般式(LC5−c)
【0157】
(式中、R
LC41、R
LC42およびX
LC41は、それぞれ独立して、前記一般式(LC4)におけるR
LC41、R
LC42およびX
LC41と同じ意味を表し、R
LC51およびR
LC52は、それぞれ独立して、前記一般式(LC5)におけるR
LC51およびR
LC52と同じ意味を表し、Z
LC4a1、Z
LC4b1、Z
LC4c1、Z
LC5a1、Z
LC5b1およびZ
LC5c1は、それぞれ独立して、単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−COO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−またはCF
2O−を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物であるのがより好ましい。
R
LC41、R
LC42、R
LC51およびR
LC52は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基または炭素原子数2〜7のアルケニルオキシ基を表すことが好ましい。
Z
LC4a1〜Z
LC5c1は、それぞれ独立して、単結合、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−を表すことが好ましく、単結合を表すことがより好ましい。
前記一般式(LC)で表される化合物は、下記一般式(LC6)
【0159】
(式中、R
LC61およびR
LC62は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つまたは2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−またはC≡C−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1つまたは2つ以上の水素原子は、任意にハロゲン置換されていてもよく、A
LC61〜A
LC63はそれぞれ独立して下記
【0161】
(該構造中、シクロヘキシレン基中の1つまたは2つ以上のCH
2CH
2基は、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−で置換されていてもよく、1,4−フェニレン基中1つまたは2つ以上のCH基は、窒素原子で置換されていてもよい。)のいずれかを表し、Z
LC61およびZ
LC62は、それぞれ独立して、単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−COO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−またはCF
2O−を表し、m
iii1は0〜3を表す。ただし、前記一般式(LC1)〜一般式(LC5)で表される化合物を除く。)で表される化合物を1種または2種以上含有する液晶組成物が好ましい。
R
LC61およびR
LC62は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、アルケニル基としては下記構造を表すことが最も好ましく、
【0163】
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
A
LC61〜A
LC63は、それぞれ独立して、下記の構造が好ましく、
【0165】
Z
LC61およびZ
LC62は、それぞれ独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−COO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−またはCF
2O−が好ましい。
前記一般式(LC6)は、下記一般式(LC6−a)から一般式(LC6−m)
【0167】
(式中、R
LC61およびR
LC62は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基または炭素原子数2〜7のアルケニルオキシ基を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物であることがより好ましい。
【0168】
また、液晶としては、棒状液晶(ネマチック液晶、スメクチック液晶)、円盤状(ディスコティック)液晶、屈曲型液晶(バナナ液晶)、これらにキラリティーが加わった液晶、のいずれであってもよい。
液晶の形状(棒状か、円盤状か、屈曲型か)は、望ましい屈折率異方性を得るために適切に選択される。早い応答性が必要な場合は、液体に近い液晶であるネマチック液晶が好ましく、安定な配向性が必要な場合は、固体に近いスメクチック液晶を使用することが好ましい。キラルな液晶に特有な液晶相を利用することもでき、その場合には、液晶の一部あるいは全部がキラルなものを用いるか、あるいは、液晶とキラルな非液晶を混合すればよい。また、液晶としては、単量体、二量体、三量体以上の多量体(オリゴマー)、高分子(ポリマー)のいずれでもよい。早い応答性が必要な場合には単量体が好ましく、また、安定な配向性が必要な場合は、二量体、三量体以上の多量体(オリゴマー)、高分子(ポリマー)が好ましい。
【0169】
光応答性組成物における光応答性物質の割合は、モル比で、0.01mol%以上30mol%以下であることが好ましく、0.05mol%以上10mol%以下であることがより好ましい。
光応答性組成物における光応答性物質の割合が上記範囲内であれば、光応答性組成物に、閾値以上の光強度を有する光を照射することにより、光応答性物質の配向に伴って、光応答性組成物に含まれる異方性分子を任意の方向に容易に配向させることができる。
なお、ここで、光応答性物質と異方性分子を配向させる任意の方向とは、これらの物質(分子)の長軸方向が光の振動方向に対し平行となる方向である。
【0170】
光応答性組成物は、光強度の閾値を低減させるために、オリゴマーおよび/またはポリマーを含有することができる。
この場合、オリゴマーおよび/またはポリマーを光応答組成物に混ぜてもよいし、重合性基を有する低分子化合物を混ぜてから重合させてもよい。
オリゴマーおよび/またはポリマーとしては、特にポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。重合度、あるいは液晶性の有無は、光応答性組成物への溶解性を考慮して決めればよい。
【0171】
重合性基を有する低分子化合物は液晶性があっても、液晶性がなくてもよいが、液晶性があることが好ましい。なお、液晶性を示すとは、メソゲンと呼ばれる剛直な部位を有し、配向性を示すことをいう。液晶性を示す重合性化合物としては、例えば、Handbook of Liquid Crystals(D.Demus,J.W.Goodby,G.W.Gray,H.W.Spiess,V.Vill編集、Wiley−VCH社発行、1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編、1994年)、あるいは、特開平7−294735号公報、特開平8−3111号公報、特開平8−29618号公報、特開平11−80090号公報、特開平11−148079号公報、特開2000−178233号公報、特開2002−308831号公報、特開2002−145830号公報に記載されているような、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基等の構造が複数繋がったメソゲンと呼ばれる剛直な部位と、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、エポキシ基といった重合性官能基とを有する棒状重合性液晶化合物、あるいは、特開2004−2373号公報、特開2004−99446号公報に記載されているようなマレイミド基を有する棒状重合性液晶化合物、あるいは、特開2004−149522号公報に記載されているようなアリルエーテル基を有する棒状重号性液晶化合物、あるいは、例えば、Handbook of Liquid Crystals(D.Demus,J.W.Goodby,G.W.Gray,H.W.Spiess,V.Vill編集、Wiley−VCH社発行、1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編、1994年)や、特開平07−146409号公報に記載されているディスコティック重合性化合物が挙げられる。
【0172】
光応答性組成物におけるオリゴマーおよび/またはポリマーの含有量の合計は、0.1mol%以上、15mol%以下であることが好ましく、2mol%以上、13mol%以下であることがより好ましく、5mol/Lmol%以上、11mol/L以下%以下であることがさらに好ましい。
光応答性組成物におけるオリゴマーおよび/またはポリマーの含有量が上記範囲内であれば、光の光強度の閾値を低減することができる。
【0173】
光応答性組成物にオリゴマーを添加する場合において、重合開始剤が存在しない場合でも重合は進行するが、重合を促進するために重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。
【0174】
このような構成の光応答性組成物が配向するために必要な光強度の閾値(最低値)は、照射する光強度をより小さくするためには、10W/cm
2以下であることが好ましく、5W/cm
2以下であることがより好ましく、1W/cm
2以下であることがさらに好ましい。また、特定の光強度において配向するように制御するためには、必要とする光強度の閾値が特定の範囲となるように調節することが好ましい。
なお、光応答性組成物が配向するために必要な光強度の閾値とは、光応答性物質が配向し、それに伴って、異方性分子を配向するために必要な光強度の最低値のことである。
すなわち、本発明における光応答性組成物では、光照射により、光応答性物質が配向するのに伴って、異方性分子が配向する。
【0175】
また、本発明の光学素子における光応答性組成物を含有する層の厚みは、3μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。
光応答性組成物を含有する層の厚みが上記範囲内であれば、光応答性組成物を配向させるために必要な光強度の閾値を低くすることができる。
【0176】
本発明の光学素子は、光応答性組成物に光が照射されると、光応答性組成物に含まれる光応答性物質が、その長軸方向が光の振動方向に対し平行となるように配向し、それに伴って、異方性分子が、その長軸方向が光の振動方向に対し平行となるように配向するため、異方性分子(液晶)の複屈折を利用して光の透過光量を制御する液晶表示素子等に適用される。
液晶表示素子としては、AM−LCD(アクティブマトリックス液晶表示素子)、TN(ツイステッド・ネマチック液晶表示素子)、STN−LCD(超ねじれネマチック液晶表示素子)、OCB−LCD、IPS−LCD(インプレーンスイッチング液晶表示素子)およびFFS(フリンジフィールドスイッチングモードの液晶表示素子)に有用であるが、アクティブマトリクスアドレス装置を有するAM−LCDに特に有用であり、透過型あるいは反射型の液晶表示素子に用いることができる。
【0177】
光学素子が液晶表示素子10の場合、液晶表示素子10に使用される液晶セルの2枚の基板はガラスまたはプラスチックのような柔軟性をもつ透明な材料を用いることができる。また、2枚の基板の一方はシリコン等の不透明な材料でもよい。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。
カラーフィルターは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法または、染色法等によって作製することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作製方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱または光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作製することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属比抵抗素子等の能動素子を設けた画素電極を設置してもよい。
【0178】
また、前記基板を、透明電極層が内側となるように対向させて、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる液晶層の厚さが3μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。また、2枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラストが良好になるように調整することもできる。さらに、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等からなる柱状スペーサー等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱し、シール剤を熱硬化させる。
【0179】
また、光学素子が液晶表示素子10の場合、光応答性組成物は、第一の基板(
図1において、例えば、基板11)側では、第一の基板面(
図1において、基板11における基板12と対向する面11a)に対して平行に配向し、第二の基板(
図1において、例えば、基板12)側では、第二の基板面(
図1において、基板12における基板11と対向する面12a)に対して垂直に配向していることが好ましい。
このように、第一の基板側と、第二の基板側とにおいて、光応答性組成物の配向する方向を異ならせることにより、光応答性組成物を配向させるために必要な光強度の閾値を低くすることができる。
【0180】
本発明の光学素子によれば、応答する光強度に閾値を有する光応答性物質と、異方性分子とを含有する光応答性組成物に、光応答性物質が応答する閾値以上の光強度を有する光を照射することにより光応答性組成物に含まれる光応答性物質が配向し、それに伴って、異方性分子が配向するので、異方性分子が配向するために必要な光強度の閾値を低くすることができる。
【0181】
[光学素子の製造方法]
本発明の光学素子の製造方法は、前記の本発明の光学素子を製造する方法であって、応答する光強度に閾値を有する光応答性物質と、異方性分子とを含有する光応答性組成物に、閾値以上の光強度を有する光を照射することにより、光応答性組成物を配向させる工程を有する方法である。
【0182】
光応答性物質と異方性分子としては、前記の本発明の光学素子に用いられるものと同様のものが用いられる。
【0183】
また、光応答性組成物には、前記の本発明の光学素子と同様に、オリゴマーおよび/またはポリマーをさらに含有させることができる。
【0184】
本発明の光学素子の製造方法では、まず、2枚の基板間に光応答性組成物を挟持させる。
2枚の基板間に光応答性組成物を挟持させる方法は、通常の真空注入法または滴下注入(ODF:One Drop Fill)法等を用いることができる。
【0185】
2枚の基板間に光応答性組成物を挟持させた後、光応答性組成物に、光応答性組成物に含まれる光応答性物質を配向させるために必要な光強度の閾値以上の光強度を有する光を照射して、光応答性物質を、その長軸方向が光の振動方向に対し平行となるように配向させることによって、異方性分子を、その長軸方向が光の振動方向に対し平行となるように配向させる。
【0186】
また、光応答性組成物にオリゴマーが含まれる場合、光応答性組成物に照射した光により、そのオリゴマーを重合させることが好ましい。
【0187】
また、光応答性組成物に光を照射する場合、光応答性組成物に照射する光を、光応答性組成物を含有する層の法線方向に対して角度をつけて照射することが好ましく、その角度を、光応答性組成物を含有する層の法線方向に対して0度以上15度以下とすることがより好ましく、0度以上10度以下とすることがさらに好ましい。
光応答性組成物に照射する光を、光応答性組成物を含有する層の法線方向に対して角度をつけて照射することにより、例えば、光照射前に、光応答性物質が、その長軸方向を光の振動方向に対し垂直になるように配向している場合にも、光応答性物質の長軸方向に対して、斜め方向から光を照射することができる。これにより、効率的に、光応答性物質を、その長軸方向が光の振動方向に対し平行になるように配向させることができる。さらに、光応答性組成物に光を照射する際、光応答性組成物を含有する層の法線方向に対する角度を10度以下とすることにより、より効率的に、光応答性物質を、その長軸方向が光の振動方向に対し平行になるように配向させることができる。
【0188】
光応答性組成物に光を照射するときの温度は、光応答性組成物に含まれる異方性分子が液晶である場合、その液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。室温に近い温度、即ち、典型的には15〜35℃での温度で光を照射することが好ましい。
光応答性組成物に照射する光を発生させる光源としては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。
また、光応答性組成物に照射する光の強度は、光応答性組成物に含まれる光応答性物質が、その長軸方向を光の振動方向に対し平行に配向するのに必要とされる光強度の閾値(光強度の最低値)以上であり、10W/cm
2以下であることが好ましく、5W/cm
2以下であることがより好ましく、1W/cm
2以下であることがさらに好ましい。
また、光を照射する時間は、照射する光の強度により適宜選択されるが、10秒から3600秒が好ましく、10秒から600秒がより好ましい。
【0189】
また、前記の光学素子が液晶表示素子10の場合、光応答性組成物を、第一の基板(
図1において、例えば、基板11)側では、第一の基板面(
図1において、基板11における基板12と対向する面11a)に対して平行に配向させ、第二の基板(
図1において、例えば、基板12)側では、第二の基板面(
図1において、基板12における基板11と対向する面12a)に対して垂直に配向させた後、光応答性組成物に閾値以上の光強度を有する光を照射することが好ましい。
このように、第一の基板側と、第二の基板側とにおいて、光応答性組成物の配向する方向を異ならせることにより、光応答性組成物に含まれる異方性分子を配向させるために必要な光強度の閾値を低くすることができる。
【0190】
本発明の光学素子の製造方法によれば、応答する光強度に閾値を有する光応答性物質と、異方性分子とを含有する光応答性組成物に、閾値以上の光強度を有する光を照射することにより、異方性分子を配向させるので、異方性分子が配向する光強度の閾値を低くすることができる。
【実施例】
【0191】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0192】
〔実施例1〕
下記式(II)
【0193】
【化79】
【0194】
で表される化合物と、下記式(III)で表され、重合部位として、シアノビフェニル骨格を有するアクリレートモノマー(A4CB)とをモル比で、87/13となるように混合し、組成物(A−1)を調製した。
【0195】
【化80】
【0196】
この組成物(A−1)99.4mol%と、下記式(IV)で表される光応答性物質(オリゴチオフェンTR5、メルク社製)0.1mol%と、紫外域にのみ吸収をもつ光重合開始剤(商品名:Irgacure651、長瀬産業社製)0.5mol%とを加えて、重合用試料を調製した。
【0197】
【化81】
【0198】
次いで、シランカップリング剤により垂直配向処理を施した、2枚のガラス基板を、配向処理が施された面が内側になるように貼り合わせて、厚さ(セルギャップ)100μmのガラスセルを作製した。
次いで、このガラスセル内(2枚のガラス基板の間)に、調製した重合用試料を封入し、室温(25℃)で光重合した。
光重合は、高圧水銀灯の波長366nmの輝線をフィルターで取り出し、光強度1.0mW/cm
2の光を1時間照射することにより行った。
光重合後、70℃から室温(25℃)まで徐冷し、実施例1の試料1−1を得た。
【0199】
試料1−1を偏光顕微鏡(商品名:Olympus BX50、オリンパス社製)で観察したところ、コノスコープ像においては十字のアイソジャイヤが、オルソスコープ像においては暗視野が確認できた。したがって、色素を含む高分子安定化液晶においては分子配向がガラス基板に対して垂直なホメオトロピック配向であることが分った。
【0200】
また、試料1−1の偏光吸収スペクトル測定を行い、ホメオトロピックセルの紫外可視吸収スペクトルを測定した。試料1−1では、分子が垂直配向しているので、波長488nmの光に対して鉛直方向および水平方向の偏光に対して、色素分子に由来する0.15程度の吸光度を持つことが分かった。
【0201】
次に、分子配向秩序度を見積もるために、ポリイミド配向膜をラビング処理したガラス基板を2枚用意し、前記の重合用試料を用いて、ラビング方向がアンチパラレルになるように貼りあわせてホモジニアスセル(実施例1の試料1−2)を作製し、各サンプルのオーダーパラメーターを算出した。なお、オーダーパラメーター(S)は、各サンプルの紫外可視吸収スペクトルを測定し、ラビング方向と平行な方向の吸光度をA
0、ラビング方向と垂直な方向の吸光度をA
90として測定した吸光度から、S=(A
0−A
90)/(A
0+2A
90)の式により求めた。
光重合により作製した高分子安定化液晶を含む試料1−2は、下記比較例1の試料と比べて、色素分子のオーダーパラメーターが減少することが明らかとなった。したがって、ホメオトロピック配向セル中においても、高分子安定化液晶を含む試料においては色素分子の配向度が低下している可能性があると考えられる。
【0202】
また、光応答挙動の測定を行った。
この観察には、ポンプ光として、ビーム径2.0mm、波長488nmのAr
+レーザーを用いた。そのポンプ光を、グラントムソンプリズムを用いて垂直Vertical偏光とし、焦点距離15cmのレンズで集光して、試料1−1に照射し、試料1−1を透過した光をスクリーンに投影し観察した。
【0203】
ここで、測定の原理を説明する。
液晶に強度分布がガウシアン型である光を入射した場合、閾値より小さい光強度で分子は配向変化せず、入射光がそのまま透過する。しかし、閾値以上の強度をもつ光を照射すると、光強度に依存して液晶の分子配向が変化し、ガウシアン型の屈折率勾配が形成される。ここで、液晶はレンズとしての役割を果たすため、入射した光自体が作り出した屈折率勾配によって位相変調し、自己収束効果および自己位相変調効果が現れる。したがって、液晶を透過した光は、位相の異なる光が干渉し、このような干渉縞を示す。ここでは、サンプルを透過したポンプ光が形成する干渉縞を遠方のスクリーンに投影して観察を行なった。
その結果、ポンプ光強度が閾値を超えると、干渉縞が発生し、その数は急激に増大することが分った。また、光強度を下げると可逆的に干渉縞の本数が減少し、消失した。
また、光強度に対して干渉縞の本数の増加が急峻なことから、非線形性が大きく向上していることが分かった。
【0204】
また、試料1−1について、ビームプロファイラーを用いて、1つ目の干渉縞が出現する光強度を測定し、試料1−1に1つ目の干渉縞が出現する光強度の閾値(最低値)を詳細に調べたところ、4.6W/cm
2であり、下記比較例1の結果に比べて大きく低下することが分った。
【0205】
ここで、光強度の閾値が低下した理由に関して系の違いに着目すると、以下の2つの理由が考えられる。
(1)室温でネマチック液晶相を示すホスト液晶に結晶性のモノマーあるいは固体性のポリマーが混ざることによる、粘性の増加が考えられる。その結果、垂直配向セル中での基板表面の配向規制力が弱まり、より小さな光電場に対しても応答を示した可能性がある。
(2)光重合によって高分子安定化液晶中の色素分子のオーダーパラメーターが減少していることが考えられる。したがって、色素分子に働く光電場からのトルクが増大し、配向変化効率が向上した可能性も考えられる。
【0206】
次に、粘性の増大による配向規制力の減少を定量的に評価するために、ITO電極付きのガラス基板を2枚用意し、前記の重合用試料を用いて、ホモジニアスセル(実施例1の試料1−3)を作製した。
ホモジニアスセルに電圧を印加すると、液晶がホメオトロピック配向するため、ラビング方向に対して45度をなす偏光子と検光子から光は透過しない。一方、ホモジニアスセルに対する電圧の印加を止めると、配向膜の影響により初期のホモジニアス配向へ戻るため、光が透過する。
そこで、プローブ光の透過光量変化を、電圧印加を止めた直後から初期状態へ戻るまで1ms毎に測定した。その結果、緩和時間を比較すると高分子安定化液晶を含む試料1−3では、緩和時間が顕著に増加し、粘性の増加に伴いセル中の配向規制力が減少していることが分った。これは、高分子安定化液晶を含む試料1−3では、配向規制力が弱まり、光電場と色素分子が相互作用する際の閾値が減少すると解釈できる。
【0207】
そこで、より厚みの大きいセルを作製し、光照射を行うことにより、膜厚方向への配向規制力を弱めることにより、光応答性をさらに向上できるかどうかを確認した。
その結果、分子を垂直配向させた、厚さ100μm、200μm、400μmのセルに光を照射したところ、等しい複屈折を誘起するために必要な光強度は減少することが分った。その結果、厚さを4倍(400μm)にすることにより、光強度の閾値が2.3W/cm
2になった。
【0208】
光強度の閾値が低下したもう1つの理由としては、光重合によって高分子安定化液晶における色素のオーダーパラメーターが減少したことが挙げられる。すなわち、色素分子の初期配向が光電場に対して垂直な配向から僅かに乱れることにより、光電場とチルトした色素分子が相互作用しやすくなり、非線形光学的分子配向変化のトリガーとなる色素分子の光分子配向変化がより低い光強度で誘起されると考えられる。
【0209】
そこで、色素分子の初期チルト角が配向変化効率に及ぼす影響について定量的に評価した。
厚さ100μmの試料1−1を入射光の偏波面と平行に傾けた状態で、この試料1−1に光を照射し、光応答性の入射角依存性を検討した。試料1−1を傾ける角度を増大させることにより、光強度の閾値が大幅に減少する結果が得られた。特に、試料1−1を傾ける角度が1〜10度の範囲においては、試料1−1の吸光度がほとんど変化しないにもかかわらず、光強度の閾値は著しく低下し、1.5W/cm
2になった。
【0210】
試料1−1を傾ける角度が0度のときには、入射光の電場方向に対して分子は垂直に配向している。発生する2方向のトルクが互いに打ち消し合うため、一軸配向を誘起するには高い光強度が必要である。一方、試料1−1を僅かに傾けることにより、光電場と傾いた色素分子が相互作用しやすくなるとともに、分子配向方向が一方向に規定されるので、色素分子の分子配向変化がより低い光強度で誘起されると考えられる。
【0211】
以上の結果から、分子を垂直配向させた厚さと、入射光の偏波面と平行方向に対する試料の傾け角度とを最適化することにより、より低い光強度で分子配向を誘起できると考えられる。
そこで、分子を垂直配向させた厚さを400μmとした、高分子安定化液晶を含む試料を、入射光の偏波面と平行方向に対して傾けた状態で、その試料に光を照射し、光強度の閾値を調べたところ、光強度の閾値は900mW/cm
2であった。
【0212】
〔比較例1〕
実施例1で調製した重合用試料に変えて、上記式(II)で表される化合物に、上記式(IV)で表される光応答性物質を0.1mol%を加えて調製した試料を用いた以外は実施例1と同様にしてセルを作製し、比較例1の試料1’−1を得た。
試料1’−1を実施例1と同様にして偏光顕微鏡で観察したところ、コノスコープ像においては十字のアイソジャイヤが、オルソスコープ像においては暗視野が確認できた。
また、試料1−1の偏光吸収スペクトル測定を行った。試料1’−1では、分子が垂直配向しているので、波長488nmの光に対して鉛直方向および水平方向の偏光に対して、色素分子に由来する0.14程度の吸収を持つことが分かった。
また、分子配向秩序度を見積もるために、実施例1と同様にしてホモジニアスセル(比較例1の試料1’−2)を作製し、各サンプルのオーダーパラメーターを算出したところ、実施例1の試料と比べて、色素分子のオーダーパラメーターが減少しなかった。
また、実施例1と同様にして、光強度を、ビームプロファイラーを用いて、1つ目の干渉縞が出現する光強度を測定し、試料1’−1に1つ目の干渉縞が出現する光強度の閾値(最低値)を詳細に調べたところ、28W/cm
2であった。
【0213】
〔実施例2〕
上記式(II)で表される化合物と、上記式(III)で表され、重合部位として、シアノビフェニル骨格を有するアクリレートモノマー(A4CB)とをモル比で、90/10となるように混合し、組成物(B−1)を調製した。
【0214】
この組成物(B−1)99.4mol%と、上記式(IV)で表される光応答性物質(オリゴチオフェンTR5、メルク社製)0.1mol%と、紫外域にのみ吸収をもつ光重合開始剤(商品名:Irgacure651、長瀬産業社製)0.5mol%とを加えて、重合用試料を調製した。
【0215】
次いで、シランカップリング剤により垂直配向処理を施したガラス基板と、ポリイミド配向膜により水平配向処理を施したガラス基板とを、配向処理が施された面が内側になるように貼り合わせて、厚さ(セルギャップ)100μmのガラスセルを作製した。
次いで、このガラスセル内(2枚のガラス基板の間)に、調製した重合用試料を封入し、室温(25℃)で光重合した。
光重合は、高圧水銀灯の波長366nmの輝線をフィルターで取り出し、光強度1.0mW/cm
2の光を1時間照射することにより行った。
光重合後、70℃から室温(25℃)まで徐冷し、ハイブリッド配向した実施例2の試料2−1を得た。
【0216】
この試料2−1のホメオトロピック配向処理基板側から、偏光方向がホモジニアス配向処理方向と平行となるように、ポンプ光として、ビーム径2.0mm、波長488nmのAr
+レーザー光を照射し、実施例1と同様にして、光応答挙動の測定を行った。
その結果、重合用試料が応答(配向)する光強度の閾値が0.57W/cm
2と、非常に低いものであることがわかった。すなわち、垂直配向処理を施したガラス基板と水平配向処理を施したガラス基板とを用いたハイブリッド配向のセルは、光強度の閾値を低減する効果があることがわかった。
【0217】
〔実施例3〕
下記式(LC−7)
【0218】
【化82】
【0219】
で表される化合物と、上記式(III)で表され、重合部位として、シアノビフェニル骨格を有するアクリレートモノマー(A4CB)とをモル比で、87/13となるように混合し、組成物(C−1)を調製した。
実施例1で調製した組成物(A−1)に変えて、組成物(C−1)を用いた以外は実施例1と同様にしてセルを作製し、実施例3の試料3−1を得た。
【0220】
試料3−1を、実施例1と同様にして偏光顕微鏡で観察したところ、コノスコープ像においては十字のアイソジャイヤが、オルソスコープ像においては暗視野が確認できた。
【0221】
また、試料3−1の偏光吸収スペクトル測定を行った。試料3−1では、分子が垂直配向しているので、波長488nmの光に対して鉛直方向および水平方向の偏光に対して、色素分子に由来する0.15程度の吸収を持つことが分かった。
【0222】
次に、分子配向秩序度を見積もるために、ポリイミド配向膜をラビング処理したガラス基板を2枚用意し、前記の組成物(C−1)を用いて、ホモジニアスセル(実施例3の試料3−2)を作製し、各サンプルのオーダーパラメーターを算出したところ、試料3−2は、比較例1の試料と比べて、色素分子のオーダーパラメーターが減少することが明らかとなった。
【0223】
また、試料3−1について、ビームプロファイラーを用いて、1つ目の干渉縞が出現する光強度を測定し、試料3−1の光強度の閾値を詳細に調べたところ、4.3W/cm
2であった。
【0224】
次に、粘性の増大による配向規制力の減少を定量的に評価するために、ITO電極付きのガラス基板を2枚用意し、前記の重合用試料を用いて、ホモジニアスセル(実施例3の試料3−3)を作製した。
試料3−3について、プローブ光の透過光量変化を、電圧印加を止めた直後から初期状態へ戻るまで1ms毎に測定した。その結果、緩和時間を比較すると高分子安定化液晶を含む試料3−3では、緩和時間が顕著に増加し、粘性の増加に伴いセル中の配向規制力が減少していることが分った。
【0225】
〔実施例〕
上記式(II)で表される化合物と、上記式(III)で表され、重合部位として、シアノビフェニル骨格を有するアクリレートモノマー(A4CB)とをモル比で、100/0(比較例1)、98/2、96/4、94/6、93/7、92/8、91/9、90/10、89/11、87/13となるように混合し、組成物(I−1)〜(I−10)を調製した。
この組成物(I−1)〜(I−10)に、上記式(IV)で表される光応答性物質(オリゴチオフェンTR5、メルク社製)0.1mol%と、紫外域にのみ吸収をもつ光重合開始剤(商品名:Irgacure651、長瀬産業社製)0.5mol%とを加えて、組成物(I−11)〜(I−20)を調製した。
【0226】
次いで、シランカップリング剤により垂直配向処理を施した、2枚のガラス基板を貼り合わせて、厚さ(セルギャップ)100μmのガラスセルを作製した。
次いで、このガラスセル内(2枚のガラス基板の間)に、調製した組成物(I−11)〜(I−20)を封入し、室温(25℃)で光を照射した。
光の照射は、高圧水銀灯の波長366nmの輝線をフィルターで取り出し、光強度1.0mW/cm
2の光を1時間照射することにより行った。
光の照射後、70℃から室温(25℃)まで徐冷し、実験例の試料4−1〜4−10を得た。
【0227】
試料4−1〜4−10を実施例1と同様にして、光応答挙動の測定を行った。結果を、
図2〜
図4に示す。なお、
図2は、レーザー光の強度(光強度)と、干渉縞の数との関係を示すグラフである。また、
図3は、A4CBの含有量と、干渉縞の数が急激に増加する光強度(光強度の閾値)との関係を示すグラフである。また、
図4は、A4CBの含有量と、干渉縞の最大数との関係を示すグラフである。
【0228】
図2および
図4の結果から、A4CBの含有量を変えることにより、干渉縞の数が変わることが分った。すなわち、A4CBの含有量を変えることにより、組成物(I−11)〜(I−20)が配向する光強度の閾値が変化することが分った。
また、
図3の結果から、A4CBの含有量が増加することにより、組成物(I−11)〜(I−20)が配向する光強度の閾値が低くなる傾向にあることが分った。
また、
図4の結果から、A4CBの含有量が増加することにより、干渉縞の数が多くなることが分った。
【0229】
以上の結果から、高分子安定化液晶を用いることにより、実施例1〜3の試料は、比較例1の試料と比較して、光強度の閾値を低下させることができた。また、分子を垂直配向させた厚さを増大させ、初期の配向規制力を弱めることにより、実施例1〜3の試料は、比較例1の試料と比較して、光強度の閾値を低下させることができた。さらに、入射光の偏波面と平行方向に対して、試料を僅かに傾けて、色素の初期配向を電場に対して傾けることにより、実施例1〜3の試料は、比較例1の試料と比較して、光強度の閾値を低下させることができた。また、これらの要素を掛け合わせると、実施例1〜3の試料は、比較例1の試料と比較して、光強度の閾値をさらに低下させることができた。