(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6070576
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】板ガラス製造装置、及び板ガラス製造方法
(51)【国際特許分類】
C03B 18/16 20060101AFI20170123BHJP
C03C 3/085 20060101ALI20170123BHJP
C03C 3/087 20060101ALI20170123BHJP
C03C 3/091 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
C03B18/16
C03C3/085
C03C3/087
C03C3/091
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-557455(P2013-557455)
(86)(22)【出願日】2013年1月18日
(86)【国際出願番号】JP2013050957
(87)【国際公開番号】WO2013118564
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2015年8月12日
(31)【優先権主張番号】特願2012-24752(P2012-24752)
(32)【優先日】2012年2月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】旭硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 元一
【審査官】
吉川 潤
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭47−047848(JP,B1)
【文献】
特開2011−219348(JP,A)
【文献】
特開2006−193402(JP,A)
【文献】
特開平10−072237(JP,A)
【文献】
特公昭49−045779(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 18/00 − 18/18
C03B 5/42 − 5/44
C03C 3/076 − 3/093
F27D 1/00
F27D 11/02
INTERGLAD
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属を収容する浴槽を備え、前記溶融金属上に連続的に供給される溶融ガラスを前記溶融金属上で流動させてガラスリボンに成形する板ガラス製造装置において、
前記浴槽がカーボン又は窒化ホウ素で形成され、
前記浴槽の側方を囲む側壁部と、前記浴槽の下方に配置される底壁部とで構成される断熱部材と、
前記浴槽の底壁部と前記断熱部材の底壁部との間に空間を形成する空間形成部材とを備える、板ガラス製造装置。
【請求項2】
前記浴槽はカーボンで形成され、前記浴槽の表面の露出部分の少なくとも一部は酸化防止膜で覆われている請求項1に記載の板ガラス製造装置。
【請求項3】
前記浴槽の底壁部は、複数のブロックを含み、
隣り合う複数の前記ブロックは、一方の前記ブロックの対向面に形成される凸部を、他方の前記ブロックの対向面に形成される凹部に挿入して連結されている、請求項1または2に記載の板ガラス製造装置。
【請求項4】
前記空間に配置される発熱体を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の板ガラス製造装置。
【請求項5】
前記断熱部材の側方を囲む側壁部と、前記断熱部材の下方を覆う底壁部とで構成される気密性を有するケースを備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の板ガラス製造装置。
【請求項6】
浴槽内の溶融金属上に連続的に供給される溶融ガラスを前記溶融金属上で流動させてガラスリボンに成形する工程を有する板ガラス製造方法であって、
前記浴槽がカーボン又は窒化ホウ素で形成され、
前記浴槽の外側には、前記浴槽の側方を囲む側壁部と、前記浴槽の下方に配置される底壁部とで構成される断熱部材が配置されており、
前記浴槽の底壁部と前記断熱部材の底壁部との間に空間が形成されている、板ガラス製造方法。
【請求項7】
前記浴槽はカーボンで形成され、前記浴槽の表面の露出部分の少なくとも一部は酸化防止膜で覆われている請求項6に記載の板ガラス製造方法。
【請求項8】
前記浴槽の底壁部は、複数のブロックを含み、
隣り合う複数の前記ブロックは、一方の前記ブロックの対向面に形成される凸部を、他方の前記ブロックの対向面に形成される凹部に挿入して連結されている、請求項6または7に記載の板ガラス製造方法。
【請求項9】
前記空間に発熱体が配置されている請求項6〜8のいずれか1項に記載の板ガラス製造方法。
【請求項10】
前記断熱部材の外側には、前記断熱部材の側方を囲む側壁部と、前記断熱部材の下方を覆う底壁部とで構成される気密性を有するケースが配置されている請求項6〜9のいずれか1項に記載の板ガラス製造方法。
【請求項11】
前記板ガラスは、酸化物基準の質量%表示で、SiO2:50〜66%、Al2O3:10.5〜24%、B2O3:0〜12%、MgO:0〜8%、CaO:0〜14.5%、SrO:0〜24%、BaO:0〜13.5%、ZrO2:0〜5%を含有し、MgO+CaO+SrO+BaO:9〜29.5%である無アルカリガラスからなる請求項6〜10のいずれか1項に記載の板ガラス製造方法。
【請求項12】
前記板ガラスは、酸化物基準の質量%表示で、SiO2:58〜66%、Al2O3:15〜22%、B2O3:5〜12%、MgO:0〜8%、CaO:0〜9%、SrO:3〜12.5%、BaO:0〜2%を含有し、MgO+CaO+SrO+BaO:9〜18%である無アルカリガラスからなる請求項11に記載の板ガラス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板ガラス製造装置、及び板ガラス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
板ガラス製造装置は、溶融金属(例えば溶融スズ)を収容する浴槽を備え、溶融金属上に連続的に供給される溶融ガラスを溶融金属上で流動させてガラスリボンに成形する(例えば、特許文献1参照)。成形されたガラスリボンは、溶融金属から斜め上方に引き上げられ、徐冷炉に送られる。徐冷炉内で徐冷されたガラスリボンは、切断装置によって所定の寸法形状に切断され、製品である板ガラスが得られる。板ガラスは研磨されていてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開2010−202507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
浴槽は、上方に開放された箱状に形成され、複数のレンガで構成される。浴槽の上方には、ガラスリボンや溶融金属を加熱するヒータが設けられる。一方、浴槽の下方には、レンガ同士の間の目地(隙間)からの溶融金属の流出を抑制するため、溶融金属の融点以下の温度に浴槽の下面全体を冷却するクーラが設けられる。従って、ヒータが与えた熱をクーラで取り除くので、エネルギーの使用効率が悪かった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、エネルギーの使用効率が良い板ガラス製造装置、及び板ガラス製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の態様による板ガラス製造装置は、
溶融金属を収容する浴槽を備え、前記溶融金属上に連続的に供給される溶融ガラスを前記溶融金属上で流動させてガラスリボンに成形する板ガラス製造装置において、
前記浴槽がカーボン又は窒化ホウ素で形成され
、
前記浴槽の側方を囲む側壁部と、前記浴槽の下方に配置される底壁部とで構成される断熱部材と、
前記浴槽の底壁部と前記断熱部材の底壁部との間に空間を形成する空間形成部材とを備える。
【0012】
また、本発明の他の態様による板ガラス製造方法は、
浴槽内の溶融金属上に連続的に供給される溶融ガラスを前記溶融金属上で流動させてガラスリボンに成形する工程を有する板ガラス製造方法であって、
前記浴槽がカーボン又は窒化ホウ素で形成され
、
前記浴槽の外側には、前記浴槽の側方を囲む側壁部と、前記浴槽の下方に配置される底壁部とで構成される断熱部材が配置されており、
前記浴槽の底壁部と前記断熱部材の底壁部との間に空間が形成されている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、エネルギーの使用効率が良い板ガラス製造装置、及び板ガラス製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による板ガラス製造装置の一部を示す断面図である。
【
図2】
図2は、隣り合う底壁用ブロック同士の連結態様を示す断面図である。
【
図3】
図3は、第1変形例による隣り合う底壁用ブロック同士の連結態様を示す断面図である。
【
図4】
図4は、第2変形例による隣り合う底壁用ブロック同士の連結態様を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、以下の図面において、同一のまたは対応する構成には、同一のまたは対応する符号を付して、説明を省略する。また、ガラスリボンの搬送方向上流側を上流側とし、ガラスリボンの搬送方向下流側を下流側として説明する。
【0023】
図1は本発明の一実施形態による板ガラス製造装置の一部を示す断面図である。
【0024】
板ガラス製造装置10は、溶融金属(例えば溶融スズ)Mを収容する浴槽21を備え、溶融金属M上に連続的に供給される溶融ガラスG1を溶融金属M上で流動させてガラスリボンG2に成形する。成形されたガラスリボンG2は、溶融金属Mから斜め上方に引き上げられ、徐冷炉に送られる。徐冷炉内で徐冷されたガラスリボンは、切断装置によって所定の寸法形状に切断され、製品である板ガラスが得られる。板ガラスは研磨されていてもよい。
【0025】
板ガラス製造装置10は、浴槽21の上方を覆う天井22を更に備える。天井22には、天井22と浴槽21との間の空間に還元性ガスを供給するガス供給路24が設けられている。また、ガス供給路24にはヒータ25が挿通されており、ヒータ25の発熱部25aが浴槽21の上方に配置されている。
【0026】
ガス供給路24は、浴槽21内の溶融金属Mの酸化を防止するため、浴槽21と天井22との間の空間に還元性ガスを供給する。還元性ガスは、例えば、水素ガスを1〜15体積%、窒素ガスを85〜99体積%含んでいる。浴槽21と天井22との間の空間は、外部から大気が混入するのを防止するため、大気圧よりも高い気圧に保たれている。
【0027】
ヒータ25は、例えば、ガラスリボンG2の流動方向および幅方向に間隔をおいて複数配列されている。ヒータ25の出力は、ガラスリボンG2の流動方向上流側ほど、ガラスリボンG2の温度が高くなるように制御される。また、ヒータ25の出力は、ガラスリボンG2の厚さが幅方向に均一になるように制御される。
【0028】
板ガラス製造装置10は、下部構造40に特徴がある。以下、板ガラス製造装置10の下部構造40について説明する。下部構造40は、浴槽21、断熱部材41、空間形成部材42、発熱体43、ケース44、及び支持部材45等を含む。
【0029】
(浴槽)
浴槽21は、上方に開放された箱状であって、複数の側壁用ブロック26、及び複数の底壁用ブロック27で構成される。各側壁用ブロック26及び各底壁用ブロック27は、カーボン(グラファイト、非晶質カーボンを含む)又は窒化ホウ素(BN)で形成される。
【0030】
このように、浴槽21は、カーボン又は窒化ホウ素(BN)で形成されているので、従来のレンガで形成される場合に比べて、浴槽21内に収容される溶融金属Mとの濡れ性が低い。よって、浴槽21の目地(隙間)から溶融金属Mが流出し難いので、溶融金属Mの融点以下の温度に浴槽21の下面全体を冷却するクーラが不要である。そのため、エネルギーの使用効率が良い。
【0031】
浴槽21がカーボンで形成される場合、カーボンの焼失を防止するため、浴槽21の表面の露出部分(溶融金属Mと接触していない部分)の少なくとも一部は酸化防止膜で覆われてよい。酸化防止膜は、炭化ケイ素(SiC)やシリカ(SiO
2)等のセラミックス膜であってよい。酸化防止膜の形成方法としては、例えば溶射法が用いられる。
【0032】
図2は、隣り合う底壁用ブロック同士の連結態様を示す断面図である。尚、隣り合う底壁用ブロック27と側壁用ブロック26との連結態様は同様であるので、図示を省略する。
【0033】
隣り合う底壁用ブロック27A、27Bは、ボルト28によって連結されてよい。ボルト28は、一方の底壁用ブロック27Aを貫通し、他方の底壁用ブロック27Bにねじ止めされる。ボルト28は、底壁用ブロック27A、27Bと同じカーボンで形成されてよい。
【0034】
隣り合う底壁用ブロック27A、27Bの対向面29A、29Bは、それぞれ、鉛直な平面であって、互いに接触してよい。
【0035】
隣り合う底壁用ブロック27A、27Bの間には、溶融金属Mの流出を確実に防止するため、隙間をシールする耐熱性シール部材31が配置されてよい。耐熱性シール部材31は、溶融金属Mに対する耐食性が高い材料で形成され、使用時に変形可能な材料で形成されてよい。具体例としては、使用温度で軟化するガラスが挙げられる。耐熱性シール部材31は、隣り合う底壁用ブロック27A、27Bの対向面29A、29Bの少なくとも一方(
図2では両方)に形成される溝部32A、32Bに支持されてよい。
【0036】
(断熱部材)
断熱部材41は、浴槽21の外側に配置される。断熱部材41は、浴槽21とは異なり、溶融金属Mと接触しないので、溶融金属Mに対する耐食性は要求されない。断熱部材41の材料としては、例えば熱伝導率の低いセラミックウール、ガラスウール等の繊維状の断熱材が使用可能である。
【0037】
断熱部材41は、上方に開放された箱状であって、浴槽21の側方を囲む環状の側壁部41a、及び浴槽21の下方に配置される底壁部41bで構成される。このように、浴槽21の外側に断熱部材41が配置されることによって、浴槽21を効率良く加熱することができる。
【0038】
断熱部材41の底壁部41bの厚さは、上流部分41cが厚く、下流部分41dが薄くてよい。下流部分41dにおいて放熱が進むので、ガラスリボンG2の温度を溶融金属Mから引き上げ可能な温度に低下するためのガラスリボンG2の流動距離を短縮することができる。
【0039】
(空間形成部材)
空間形成部材42は、浴槽21から断熱部材41への熱伝導を抑えるため、浴槽21の底壁部21bと断熱部材41の底壁部41bとの間に空間Sを形成する。尚、浴槽21の環状の側壁部21aは断熱部材41の環状の側壁部41aよりも小さく、浴槽21の側壁部21aと断熱部材41の側壁部41aとの間にも空間が形成されている。
【0040】
空間形成部材42は、断熱部材41が繊維材料で形成され柔らかい場合、
図1に示すように断熱部材41を貫通して、ケース44の底壁部44bに固定されてよい。空間形成部材42は、間隔をおいて複数設けられてよい。尚、空間形成部材42は、断熱部材41がブロック状の焼結体であって硬い場合、断熱部材41の底壁部41bと、浴槽21の底壁部21bとの間にスペーサとして配置されてよい。
【0041】
空間形成部材42には、浴槽21の荷重がかかると共に、浴槽21の熱が伝達する。そのため、空間形成部材42は、耐荷重強度及び耐熱性が高い材料(例えば、炭化ケイ素、耐熱合金等)で形成される。空間形成部材42は、複数種類の材料で形成されてもよく、例えば空間形成部材42の上部分が炭化ケイ素で形成され、空間形成部材42の下部分が耐熱合金で形成されてもよい。
【0042】
(発熱体)
発熱体43は、ヒータ等で構成され、浴槽21の底壁部21bと断熱部材41の底壁部41bとの間の空間Sに配置される。浴槽21を下方から効率良く加熱することができる。
【0043】
発熱体43は、水平方向に間隔をおいて複数配列されてよい。各発熱体43の出力は、下流側ほど高くなるように設定されてよい。
【0044】
(ケース)
ケース44は、上方に開放された箱状であって、断熱部材41の外側に配置され、断熱部材41の側方を囲む環状の側壁部44a、及び断熱部材41の下方を覆う底壁部44bで構成される。ケース44は、気密性を有し、外気の浸入による溶融金属Mの酸化を抑制する。ケース44は、例えば複数枚の金属板(ステンレス鋼板、又は鉄板等)を溶接で継ぎ合わせて形成される。ケース44の内側に断熱部材41が貼り付けられてよい。
【0045】
(支持部材)
支持部材45は、床Frに固定され、ケース44を支持する柱状の部材である。支持部材45は、床Frから熱を奪われるので、高い耐熱性は要求されない。支持部材45は、耐荷重強度の高い材料で構成される。支持部材45の材料としては、例えばステンレス鋼(SUS)や鋳鉄等が挙げられる。
【0046】
(板ガラス製造方法)
板ガラス製造方法は、
図1に示すように、浴槽21内の溶融金属(例えば溶融スズ)M上に連続的に供給される溶融ガラスG1を溶融金属M上で流動させてガラスリボンG2に成形する工程を有する。成形されたガラスリボンG2は、溶融金属Mから斜め上方に引き上げられ、徐冷炉に送られる。徐冷炉内で徐冷されたガラスリボンは、切断装置によって所定の寸法形状に切断され、製品である板ガラスが得られる。板ガラスは研磨されていてもよい。
【0047】
浴槽21は、カーボン又は窒化ホウ素で形成されているので、従来のレンガで形成される場合に比べて、浴槽21内に収容される溶融金属Mとの濡れ性が低い。よって、浴槽21の目地から溶融金属Mが流出し難く、溶融金属Mの融点以下の温度に浴槽21の下面全体を冷却するクーラが不要である。そのため、エネルギーの使用効率が良い。
【0048】
浴槽21の外側には、熱の流出を抑制するため、浴槽21の側方を囲む環状の側壁部41aと、浴槽21の下方を覆う底壁部41bとで構成される断熱部材41が配置されてよい。浴槽21の底壁部21bと断熱部材41の底壁部41bとの間には、浴槽21から断熱部材41への熱伝導を抑えるため、空間Sが形成されてよい。
【0049】
空間Sには発熱体43が配置されてよい。浴槽21を下方から効率良く加熱することができる。発熱体43は、水平方向に間隔をおいて複数配列されてよい。各発熱体43の出力は、下流側ほど高くなるように設定されてよい。
【0050】
断熱部材41の外側には、外気(酸素)の混入を防止するため、断熱部材41の側方を囲む環状の側壁部44aと、断熱部材41の下方を覆う底壁部44bとで構成される気密性を有するケース44が配置されてよい。溶融金属Mの酸化を抑制することができる。ケース44は、例えば複数枚の金属板を溶接で継ぎ合わせて形成される。ケース44の内側に断熱部材41が貼り付けられてよい。
【0051】
(板ガラス)
板ガラスのガラスの種類は、板ガラスの用途に応じて選択される。例えばLCD用のガラス基板の場合、無アルカリガラスが用いられる。また、PDP用のガラス基板の場合、車両用の窓ガラス、建築物用の窓ガララスの場合、ソーダライムガラスが用いられる。ディスプレイ用のカバーガラスの場合、化学強化可能なアルカリシリケートガラスが主に用いられる。フォトマスク用の基板の場合、熱膨張係数の低い石英ガラスが主に用いられる。
【0052】
無アルカリガラスは、例えば、酸化物基準の質量%表示で、SiO
2:50〜66%、Al
2O
3:10.5〜24%、B
2O
3:0〜12%、MgO:0〜8%、CaO:0〜14.5%、SrO:0〜24%、BaO:0〜13.5%、ZrO
2:0〜5%を含有し、MgO+CaO+SrO+BaO:9〜29.5%である。無アルカリガラスは、アルカリ金属酸化物の含有量の合量が0.1%以下であってよい。
【0053】
無アルカリガラスは、好ましくは、酸化物基準の質量%表示で、SiO
2:58〜66%、Al
2O
3:15〜22%、B
2O
3:5〜12%、MgO:0〜8%、CaO:0〜9%、SrO:3〜12.5%、BaO:0〜2%を含有し、MgO+CaO+SrO+BaO:9〜18%である。
【0054】
板ガラスの化学組成は、市販の蛍光X線分析装置(例えば、理学電気工業株式会社製、ZSX100e)で測定される。
【0055】
[第1変形例]
上記実施形態では隣り合う底壁用ブロック27A、27Bの対向面29A、29Bがそれぞれ鉛直な平面であるのに対し、本変形例では対向面の一方に凸部が形成され、他方に凹部が形成されている点で相違する。以下、相違点を中心に説明する。
【0056】
図3は、第1変形例による隣り合う底壁用ブロックの連結態様を示す断面図であって、
図2に相当する図である。
【0057】
隣り合う底壁用ブロック27A、27Bは、
図3に示すように、一方の対向面29Aに形成される凸部33Aを、他方の対向面29Bに形成される凹部34Bに挿入して連結されてよい。本変形例では、
図2に示すボルト28が不要である。
【0058】
[第2変形例]
上記実施形態では隣り合う底壁用ブロック27A、27Bの対向面29A、29Bがそれぞれ鉛直な平面であるのに対し、本変形例では対向面29A、29Bがそれぞれ水平な部分を有する点で相違する。以下、相違点を中心に説明する。
【0059】
図4は、第2変形例による隣り合う底壁用ブロックの連結態様を示す断面図であって、
図2に相当する図である。
【0060】
隣り合う底壁用ブロック27A、27Bの対向面29A、29Bは、それぞれ、水平な部分36A、36Bを有してよい。互いに対向する水平な部分36A、36Bの間では、重力による溶融金属Mの流出が緩やかになる。この場合、耐熱性シール部材31は、水平な部分36A、36Bの少なくとも一方に形成される溝部37Aに支持されてよい。
【0061】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は、上記の実施形態等に制限されることはない。本発明の範囲を逸脱することなく、上記の実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
本出願は、2012年2月8日出願の日本特許出願2012−024752に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0062】
10 板ガラス製造装置
21 浴槽
21a 浴槽の側壁部
21b 浴槽の底壁部
26 側壁用ブロック
27 底壁用ブロック
41 断熱部材
41a 断熱部材の側壁部
41b 断熱部材の底壁部
42 空間形成部材
43 発熱体
44 ケース
44a ケースの側壁部
44b ケースの底壁部
G1 溶融ガラス
G2 ガラスリボン
M 溶融金属
S 空間