(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリシロキサンが全シラン中に上記式(1)で表されるシランと上記式(2)で表されるシランをモル%で10〜100:0〜90の割合で含有するシランの加水分解縮合物である請求項3に記載の自己組織化膜の下層膜形成用組成物。
前記自己組織化膜が有機モノマー(a)を単位構造として含む有機ポリマー鎖(A)と、有機モノマー(a)とは異なる有機モノマー(b)を単位構造として含み該有機ポリマー鎖(A)に結合する有機ポリマー鎖(B)とを含むブロックポリマーである請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の自己組織化膜の下層膜形成用組成物。
前記ブロックポリマーがポリスチレン(A)とポリメチルメタクリレート(B)、ポリスチレン(A)とポリイソプレン(B)、又はポリスチレン(A)とポリブタジエン(B)の組み合わせからなるブロックコポリマーである請求項11に記載の自己組織化膜の下層膜形成用組成物。
前記ポリシロキサンの水接触角の値が、前記ブロックポリマーの有機ポリマー鎖(A)の水接触角の値と前記有機ポリマー鎖(B)の水接触角の値の間にある値である請求項11又は請求項12に記載の自己組織化膜の下層膜形成用組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に用いられる熱焼成により得られる自己組織化膜は有機モノマー(a)を単位構造として含む有機ポリマー鎖(A)と、有機モノマー(a)とは異なる有機モノマー(b)を単位構造として含み該有機ポリマー鎖(A)に結合する有機ポリマー鎖(B)とを含むブロックポリマーである。
このようなブロックポリマーにミクロ相分離を誘起させ自己組織化させるために、その下層膜に本発明の下層膜形成組成物による下層膜が用いられる。この下層膜はフェニル基含有シランを含み、このフェニル基含有シランが上層に存在する自己組織化ポリマーをミクロ相分離させ垂直ラメラ構造や、垂直シリンダー構造を持った自己組織化膜を形成することができる。
該下層膜中のポリシロキサンは全シラン中に式(1)のフェニル基含有シランを10〜100モル%の割合で含有するが、その他のシラン、例えば式(2)のシランや式(3)のシランに相当する炭化水素基含有シランやテトラアルコキシシラン等を含有することもできる。
該下層膜中の上記ポリシロキサンは、ブロックポリマー中の有機ポリマー鎖(A)と有機ポリマー鎖(B)のそれぞれの水接触角の値の間にある値であることがミクロ相分離を誘発させることに適切な値であると考えられる。
この様にミクロ相分離させた自己組織化膜は、有機ポリマー鎖(A)と有機ポリマー鎖(B)のポリマー間の性質の差を利用して、様々な適用が考えられる。例えば、ポリマー間のエッチング速度差(アルカリ溶解速度差や、ガスエッチング速度差)を利用してレジストパターンに相当するパターンを形成することも可能である。
本発明はポリシロキサンと溶剤とを含む自己組織化膜の下層膜形成組成物である。自己組織化膜の下層膜形成組成物は、自己組織化膜の下層に存在する膜を形成するための組成物であり、この膜形成組成物を基板に塗布し、焼成し、下層膜が形成され、その上に自己組織化膜形成組成物を塗布し、乾燥し、自己組織化膜が形成される。
上記ポリシロキサンはフェニル基含有シランを含むシランの加水分解縮合物を用いることができる。
下層膜形成組成物は固形分0.01〜20質量%、又は0.01〜15質量%、又は0.1〜15質量%とすることができる。固形分は下層膜形成組成物中から溶剤や水を除いた残りの割合である。
固形分中に占めるポリシロキサンの割合は、60〜100質量%、又は70〜99質量%、又は70〜99質量%にすることができる。
ポリシロキサンが式(1)で表されるシランを全シラン中に10〜100モル%の割合で含有するシランの加水分解縮合物であることが好ましい。
上記式(1)中で、R
1はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子等の加水分解基を表す。
【0009】
式(1)のR
1のアルコキシ基としては、炭素原子数1〜20の直鎖、分岐、環状のアルキル部分を有するアルコキシ基が挙げられ、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチロキシ基、1−メチル−n−ブトキシ基、2−メチル−n−ブトキシ基、3−メチル−n−ブトキシ基、1,1−ジメチル−n−プロポキシ基、1,2−ジメチル−n−プロポキシ基、2,2−ジメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−n−プロポキシ基、n−ヘキシロキシ基、1−メチル−n−ペンチロキシ基、2−メチル−n−ペンチロキシ基、3−メチル−n−ペンチロキシ基、4−メチル−n−ペンチロキシ基、1,1−ジメチル−n−ブトキシ基、1,2−ジメチル−n−ブトキシ基、1,3−ジメチル−n−ブトキシ基、2,2−ジメチル−n−ブトキシ基、2,3−ジメチル−n−ブトキシ基、3,3−ジメチル−n−ブトキシ基、1−エチル−n−ブトキシ基、2−エチル−n−ブトキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1,2,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロポキシ基及び1−エチル−2−メチル−n−プロポキシ基等が、また環状のアルコキシ基としてはシクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、1−メチル−シクロプロポキシ基、2−メチル−シクロプロポキシ基、シクロペンチロキシ基、1−メチル−シクロブトキシ基、2−メチル−シクロブトキシ基、3−メチル−シクロブトキシ基、1,2−ジメチル−シクロプロポキシ基、2,3−ジメチル−シクロプロポキシ基、1−エチル−シクロプロポキシ基、2−エチル−シクロプロポキシ基、シクロヘキシロキシ基、1−メチル−シクロペンチロキシ基、2−メチル−シクロペンチロキシ基、3−メチル−シクロペンチロキシ基、1−エチル−シクロブトキシ基、2−エチル−シクロブトキシ基、3−エチル−シクロブトキシ基、1,2−ジメチル−シクロブトキシ基、1,3−ジメチル−シクロブトキシ基、2,2−ジメチル−シクロブトキシ基、2,3−ジメチル−シクロブトキシ基、2,4−ジメチル−シクロブトキシ基、3,3−ジメチル−シクロブトキシ基、1−n−プロピル−シクロプロポキシ基、2−n−プロピル−シクロプロポキシ基、1−i−プロピル−シクロプロポキシ基、2−i−プロピル−シクロプロポキシ基、1,2,2−トリメチル−シクロプロポキシ基、1,2,3−トリメチル−シクロプロポキシ基、2,2,3−トリメチル−シクロプロポキシ基、1−エチル−2−メチル−シクロプロポキシ基、2−エチル−1−メチル−シクロプロポキシ基、2−エチル−2−メチル−シクロプロポキシ基及び2−エチル−3−メチル−シクロプロポキシ基等が挙げられる。
【0010】
式(1)のR
1のアシルオキシ基としては、炭素原子数2〜20のアシルオキシ基が挙げられ、例えばメチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、i−プロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、i−ブチルカルボニルオキシ基、s−ブチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基、1−メチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2−メチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、3−メチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、2,2−ジメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、n−ヘキシルカルボニルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、3−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、4−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,3−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2,2−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2,3−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、3,3−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1−エチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2−エチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1,2,2−トリメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−2−メチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基、及びトシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
式(1)のR
1のハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0011】
式(1)のR
2は置換基を有していても良いベンゼン環を含む有機基で且つSi−C結合によりケイ素原子と結合している基を表す。
ベンゼン環を含む有機基は、ベンゼン環とアルキレン基の組み合わせ、例えばアラルキル基(アリール基で置換されたアルキル基)が挙げられ、フェニルで置換された炭素原子数1〜炭素原子数10のアルキルが挙げられ、具体例としてベンジル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基等が挙げられる。
また、ベンゼン環を含む有機基はフェニル基が挙げられ、加水分解性シランのケイ素原子にフェニル基が結合したフェニルトリアルコキシシランを挙げることができる。
ベンゼン環に置換しても良い置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボン酸基、ヒドロキシ基、エポキシ基、チオール基、エーテル結合を含む有機基、ケトン結合を含む有機基、エステル結合を含む有機基、又はそれらを組み合わせた基等が挙げられる。
【0012】
本発明で用いられるポリシロキサンは、式(1)で表されるシランと、式(2)で表されるシラン、更には式(3)で表されるシランを組み合わせることができる。これら組み合わされたシランの共加水分解縮合物を用いることができる。これらシランは、全シラン中に式(1)で表されるシラン:式(2)で表されるシラン:式(3)で表されるシランをモル%で、10〜100:0〜90:0〜50の割合で含有するシランの加水分解縮合物として用いることができる。また、全シラン中に上記式(1)で表されるシランと上記式(2)で表されるシランをモル%で10〜100:0〜90の割合で含有するシランの加水分解縮合物とすることができる。
式(2)で表されるシラン及び式(3)で表されるシランにおいて、R
3及びR
5はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子を表し、これらは上述の例示を挙げることができる。R
4は置換基を有していても良い炭化水素を含む有機基で且つSi−C結合によりケイ素原子と結合している基を表す。
【0013】
式(2)のR
4の炭化水素基としては例えば、アルキル基、アルケニル基等が挙げられる。
上記アルキル基は直鎖又は分枝を有する炭素原子数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、1−エチル−n−プロピル基、n−ヘキシル基、1−メチル−n−ペンチル基、2−メチル−n−ペンチル基、3−メチル−n−ペンチル基、4−メチル−n−ペンチル基、1,1−ジメチル−n−ブチル基、1,2−ジメチル−n−ブチル基、1,3−ジメチル−n−ブチル基、2,2−ジメチル−n−ブチル基、2,3−ジメチル−n−ブチル基、3,3−ジメチル−n−ブチル基、1−エチル−n−ブチル基、2−エチル−n−ブチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピル基及び1−エチル−2−メチル−n−プロピル基等が挙げられる。また環状アルキル基を用いることもでき、例えば炭素原子数1〜10の環状アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、1−メチル−シクロプロピル基、2−メチル−シクロプロピル基、シクロペンチル基、1−メチル−シクロブチル基、2−メチル−シクロブチル基、3−メチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロプロピル基、2,3−ジメチル−シクロプロピル基、1−エチル−シクロプロピル基、2−エチル−シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1−メチル−シクロペンチル基、2−メチル−シクロペンチル基、3−メチル−シクロペンチル基、1−エチル−シクロブチル基、2−エチル−シクロブチル基、3−エチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロブチル基、1,3−ジメチル−シクロブチル基、2,2−ジメチル−シクロブチル基、2,3−ジメチル−シクロブチル基、2,4−ジメチル−シクロブチル基、3,3−ジメチル−シクロブチル基、1−n−プロピル−シクロプロピル基、2−n−プロピル−シクロプロピル基、1−i−プロピル−シクロプロピル基、2−i−プロピル−シクロプロピル基、1,2,2−トリメチル−シクロプロピル基、1,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、2,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、1−エチル−2−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−1−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−2−メチル−シクロプロピル基及び2−エチル−3−メチル−シクロプロピル基等が挙げられる。
【0014】
アルケニル基としては炭素原子数2〜10のアルケニル基であり、例えばエテニル基(ビニル基)、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−メチル−1−エテニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−エチルエテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−n−プロピルエテニル基、1−メチル−1−ブテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、2−エチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、1−i−プロピルエテニル基、1,2−ジメチル−1−プロペニル基、1,2−ジメチル−2−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−メチル−1−ペンテニル基、1−メチル−2−ペンテニル基、1−メチル−3−ペンテニル基、1−メチル−4−ペンテニル基、1−n−ブチルエテニル基、2−メチル−1−ペンテニル基、2−メチル−2−ペンテニル基、2−メチル−3−ペンテニル基、2−メチル−4−ペンテニル基、2−n−プロピル−2−プロペニル基、3−メチル−1−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、3−メチル−3−ペンテニル基、3−メチル−4−ペンテニル基、3−エチル−3−ブテニル基、4−メチル−1−ペンテニル基、4−メチル−2−ペンテニル基、4−メチル−3−ペンテニル基、4−メチル−4−ペンテニル基、1,1−ジメチル−2−ブテニル基、1,1−ジメチル−3−ブテニル基、1,2−ジメチル−1−ブテニル基、1,2−ジメチル−2−ブテニル基、1,2−ジメチル−3−ブテニル基、1−メチル−2−エチル−2−プロペニル基、1−s−ブチルエテニル基、1,3−ジメチル−1−ブテニル基、1,3−ジメチル−2−ブテニル基、1,3−ジメチル−3−ブテニル基、1−i−ブチルエテニル基、2,2−ジメチル−3−ブテニル基、2,3−ジメチル−1−ブテニル基、2,3−ジメチル−2−ブテニル基、2,3−ジメチル−3−ブテニル基、2−i−プロピル−2−プロペニル基、3,3−ジメチル−1−ブテニル基、1−エチル−1−ブテニル基、1−エチル−2−ブテニル基、1−エチル−3−ブテニル基、1−n−プロピル−1−プロペニル基、1−n−プロピル−2−プロペニル基、2−エチル−1−ブテニル基、2−エチル−2−ブテニル基、2−エチル−3−ブテニル基、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル基、1−t−ブチルエテニル基、1−メチル−1−エチル−2−プロペニル基、1−エチル−2−メチル−1−プロペニル基、1−エチル−2−メチル−2−プロペニル基、1−i−プロピル−1−プロペニル基、1−i−プロピル−2−プロペニル基、1−メチル−2−シクロペンテニル基、1−メチル−3−シクロペンテニル基、2−メチル−1−シクロペンテニル基、2−メチル−2−シクロペンテニル基、2−メチル−3−シクロペンテニル基、2−メチル−4−シクロペンテニル基、2−メチル−5−シクロペンテニル基、2−メチレン−シクロペンチル基、3−メチル−1−シクロペンテニル基、3−メチル−2−シクロペンテニル基、3−メチル−3−シクロペンテニル基、3−メチル−4−シクロペンテニル基、3−メチル−5−シクロペンテニル基、3−メチレン−シクロペンチル基、1−シクロヘキセニル基、2−シクロヘキセニル基及び3−シクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0015】
R
4の炭化水素を含む有機基としては、メチル基、ビニル基を用いることができる。
炭化水素基に置換しても良い置換基としては上述の置換基を例示することができる。
シランの加水分解縮合物(ポリオルガノシロキサン)は、重量平均分子量500〜1000000、又は500〜100000の縮合物を得ることができる。これらの分子量はGPC分析によるポリスチレン換算で得られる分子量である。
GPCの測定条件は、例えばGPC装置(商品名HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)、GPCカラム(商品名ShodexKF803L、KF802、KF801、昭和電工製)、カラム温度は40℃、溶離液(溶出溶媒)はテトラヒドロフラン、流量(流速)は1.0ml/min、標準試料はポリスチレン(昭和電工株式会社製)を用いて行うことができる。
【0016】
アルコキシシリル基、アシロキシシリル基、又はハロゲン化シリル基の加水分解には、加水分解性基の1モル当たり、0.5〜100モル、好ましくは1〜10モルの水を用いる。
また、加水分解性基の1モル当たり0.001〜10モル、好ましくは0.001〜1モルの加水分解触媒を用いることができる。
加水分解と縮合を行う際の反応温度は、通常20〜80℃である。
加水分解は完全に加水分解を行うことも、部分加水分解することでも良い。即ち、加水分解縮合物中に加水分解物やモノマーが残存していても良い。
加水分解し縮合させる際に触媒を用いることができる。
加水分解触媒としては、金属キレート化合物、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基を挙げることができる。
【0017】
加水分解触媒としての金属キレート化合物としては、例えばトリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタン、等のチタンキレート化合物;
【0018】
トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、等のジルコニウムキレート化合物;トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物;などを挙げることができる。
【0019】
加水分解触媒としての有機酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができる。
加水分解触媒としての無機酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等を挙げることができる。
加水分解触媒としての有機塩基としては、例えばピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等を挙げることができる。無機塩基としては、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。これら触媒の内、金属キレート化合物、有機酸、無機酸が好ましく、これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0020】
加水分解に用いられる有機溶媒としては、例えばn−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、i−プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾール等のモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等のケトン系溶媒;エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;
【0021】
ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のエステル系溶媒;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等の含窒素系溶媒;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトン等の含硫黄系溶媒等を挙げることができる。これらの溶剤は1種又は2種以上の組み合わせで用いることができる。
特に、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン(1,1,3−トリメチル−2−ノルボルネン)等のケトン系溶媒が溶液の保存安定性の点で好ましい。
【0022】
本発明の下層膜形成組成物は硬化触媒を含有することができる。硬化触媒は、加水分解縮合物からなるポリオルガノシロキサンを含有する塗布膜を加熱し硬化させる時に硬化触媒の働きをする。
硬化触媒としては、アンモニウム塩、ホスフィン類、ホスホニウム塩、スルホニウム塩を用いることができる。
【0023】
アンモニウム塩としては、式(C−1):
【化3】
(但し、mは2〜11の整数を表し、nは2〜3の整数を表し、R
1aはアルキル基又はアリール基を表し、Y
−は陰イオンを表す。)で表される構造を有する第4級アンモニウム塩、式(C−2):
【化4】
(但し、R
2a、R
3a、R
4a及びR
5aはアルキル基又はアリール基を表し、Nは窒素原子を表し、Y
−は陰イオンを表し、且つR
2a、R
3a、R
4a、及びR
5aはそれぞれC−N結合により窒素原子と結合されているものである)で表される構造を有する第4級アンモニウム塩、
式(C−3):
【化5】
(但し、R
6及びR
7はアルキル基又はアリール基を表し、Y
−は陰イオンを表す)で表される構造を有する第4級アンモニウム塩、
式(C−4):
【化6】
(但し、R
8はアルキル基又はアリール基を表し、Y
−は陰イオンを表す)で表される構造を有する第4級アンモニウム塩、
式(C−5):
【化7】
(但し、R
9及びR
10はアルキル基又はアリール基を表し、Y
−は陰イオンを表す)で表される構造を有する第4級アンモニウム塩、
式(C−6):
【化8】
(但し、mは2〜11の整数を表し、nは2〜3の整数を表し、Hは水素原子を表し、Y
−は陰イオンを表す)で表される構造を有する第3級アンモニウム塩が挙げられる。
【0024】
また、ホスホニウム塩としては、式(C−7):
【化9】
(但し、R
11、R
12、R
13、及びR
14はアルキル基又はアリール基を表し、Pはリン原子を表し、Y
−は陰イオンを表し、且つR
11、R
12、R
13、及びR
14はそれぞれC−P結合によりリン原子と結合されているものである)で表される第4級ホスホニウム塩が挙げられる。
【0025】
また、スルホニウム塩としては、式(C−8):
【化10】
(但し、R
15、R
16、及びR
17はアルキル基又はアリール基を表し、Sは硫黄原子を表し、Y
−は陰イオンを表し、且つR
15、R
16、及びR
17はそれぞれC−S結合により硫黄原子と結合されているものである)で表される第3級スルホニウム塩が挙げられる。
【0026】
上記の式(C−1)で表される化合物は、アミンから誘導される第4級アンモニウム塩であり、mは2〜11の整数を表し、nは2〜3の整数を表す。この第4級アンモニウム塩のR
1aは炭素原子数1〜18、好ましくは2〜10のアルキル基又はアリール基を表し、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基等の直鎖アルキル基や、ベンジル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ジシクロペンタジエニル基等が挙げられる。また陰イオン(Y
−)としては、塩素イオン(Cl
−)、臭素イオン(Br
−)、ヨウ素イオン(I
−)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO
−)、スルホナト(−SO
3−)、アルコラート(−O
−)等の酸基を挙げることができる。
【0027】
上記の式(C−2)で表される化合物は、R
2aR
3aR
4aR
5aN
+Y
−で表される第4級アンモニウム塩である。この第4級アンモニウム塩のR
2a、R
3a、R
4a及びR
5aは炭素原子数1〜18のアルキル基又はアリール基、またはSi−C結合によりケイ素原子と結合しているアルキル基を含むシラン化合物である。陰イオン(Y
−)としては、塩素イオン(Cl
−)、臭素イオン(Br
−)、ヨウ素イオン(I
−)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO
−)、スルホナト(−SO
3−)、アルコラート(−O
−)等の酸基を挙げることができる。この第4級アンモニウム塩は、市販品で入手する事が可能であり、例えばテトラメチルアンモニウムアセテート、テトラブチルアンモニウムアセテート、塩化トリエチルベンジルアンモニウム、臭化トリエチルベンジルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化トリブチルベンジルアンモニウム、塩化トリメチルベンジルアンモニウム等が例示される。
【0028】
上記の式(C−3)で表される化合物は、1−置換イミダゾールから誘導される第4級アンモニウム塩であり、R
6及びR
7は水素原子、又は炭素原子数1〜18のアルキル基、アリール基を表す。例えばR
6としては水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、ベンジル基、またはSi−C結合によりケイ素原子と結合しているアルキル基を含むシラン化合物を、R
7としては水素原子、又はベンジル基、オクチル基、オクタデシル基、またはSi−C結合によりケイ素原子と結合しているアルキル基を含むシラン化合物を例示する事ができる。陰イオン(Y
−)としては、塩素イオン(Cl
−)、臭素イオン(Br
−)、ヨウ素イオン(I
−)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO
−)、スルホナト(−SO
3−)、アルコラート(−O
−)等の酸基を挙げることができる。この化合物は、市販品で入手する事もできるが、例えば1−メチルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール等のイミダゾール系化合物と、臭化ベンジル、臭化メチル等のハロゲン化アルキルやハロゲン化アリールを反応させて製造する事ができる。また、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールのアンモニウム塩を例示することができる。
【0029】
上記の式(C−4)で表される化合物は、ピリジンから誘導される第4級アンモニウム塩であり、R
8は炭素原子数1〜18、好ましくは炭素原子数4〜18のアルキル基又はアリール基を表し、例えばブチル基、オクチル基、ベンジル基、ラウリル基を例示する事ができる。陰イオン(Y
−)としては、塩素イオン(Cl
−)、臭素イオン(Br
−)、ヨウ素イオン(I
−)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO
−)、スルホナト(−SO
3−)、アルコラート(−O
−)等の酸基を挙げることができる。この化合物は、市販品として入手する事もできるが、例えばピリジンと、塩化ラウリル、塩化ベンジル、臭化ベンジル、臭化メチル、臭化オクチル等のハロゲン化アルキル、又はハロゲン化アリールを反応させて製造する事ができる。この化合物は例えば、塩化N−ラウリルピリジニウム、臭化N−ベンジルピリジニウム等を例示する事ができる。
【0030】
上記の式(C−5)で表される化合物は、ピコリン等に代表される置換ピリジンから誘導される第4級アンモニウム塩であり、R
9は炭素原子数1〜18、好ましくは4〜18のアルキル基又はアリール基を表し、例えばメチル基、オクチル基、ラウリル基、ベンジル基等を例示する事ができる。R
10は炭素原子数1〜18のアルキル基又はアリール基を表し、例えばピコリンから誘導される第4級アンモニウムである場合はR
10はメチル基である。陰イオン(Y
−)としては、塩素イオン(Cl
−)、臭素イオン(Br
−)、ヨウ素イオン(I
−)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO
−)、スルホナト(−SO
3−)、アルコラート(−O
−)等の酸基を挙げることができる。この化合物は市販品として入手する事もできるが、例えばピコリン等の置換ピリジンと、臭化メチル、臭化オクチル、塩化ラウリル、塩化ベンジル、臭化ベンジル等のハロゲン化アルキル、又はハロゲン化アリールを反応させて製造する事ができる。この化合物は例えば、N−ベンジルピコリニウムクロライド、N−ベンジルピコリニウムブロマイド、N−ラウリルピコリニウムクロライド等を例示することができる。
【0031】
上記の式(C−6)で表される化合物は、アミンから誘導される第3級アンモニウム塩であり、mは2〜11の整数を表し、nは2〜3の整数を表す。また陰イオン(Y
−)としては、塩素イオン(Cl
−)、臭素イオン(Br
−)、ヨウ素イオン(I
−)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO
−)、スルホナト(−SO
3−)、アルコラート(−O
−)等の酸基を挙げることができる。アミンとカルボン酸やフェノール等の弱酸との反応によって製造する事ができる。カルボン酸としてはギ酸や酢酸が挙げられ、ギ酸を使用した場合は、陰イオン(Y
−)は(HCOO
−)であり、酢酸を使用した場合は、陰イオン(Y
−)は(CH
3COO
−)である。またフェノールを使用した場合は、陰イオン(Y
−)は(C
6H
5O
−)である。
【0032】
上記の式(C−7)で表される化合物は、R
11R
12R
13R
14P
+Y
−の構造を有する第4級ホスホニウム塩である。R
11、R
12、R
13、及びR
14は炭素原子数1〜18のアルキル基又はアリール基、またはSi−C結合によりケイ素原子と結合しているシラン化合物であるが、好ましくはR
11〜R
14の4つの置換基の内で3つがフェニル基又は置換されたフェニル基であり、例えばフェニル基やトリル基を例示する事ができ、また残りの1つは炭素原子数1〜18のアルキル基、アリール基、又はSi−C結合によりケイ素原子と結合しているシラン化合物である。また陰イオン(Y
−)としては、塩素イオン(Cl
−)、臭素イオン(Br
−)、ヨウ素イオン(I
−)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO
−)、スルホナト(−SO
3−)、アルコラート(−O
−)等の酸基を挙げることができる。この化合物は市販品として入手する事が可能であり、例えばハロゲン化テトラn−ブチルホスホニウム、ハロゲン化テトラn−プロピルホスホニウム等のハロゲン化テトラアルキルホスホニウム、ハロゲン化トリエチルベンジルホスホニウム等のハロゲン化トリアルキルベンジルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルメチルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルエチルホスホニウム等のハロゲン化トリフェニルモノアルキルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルベンジルホスホニウム、ハロゲン化テトラフェニルホスホニウム、ハロゲン化トリトリルモノアリールホスホニウム、或いはハロゲン化トリトリルモノアルキルホスホニウム(ハロゲン原子は塩素原子又は臭素原子)が挙げられる。特に、ハロゲン化トリフェニルメチルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルエチルホスホニウム等のハロゲン化トリフェニルモノアルキルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルベンジルホスホニウム等のハロゲン化トリフェニルモノアリールホスホニウム、ハロゲン化トリトリルモノフェニルホスホニウム等のハロゲン化トリトリルモノアリールホスホニウムや、ハロゲン化トリトリルモノメチルホスホニウム等のハロゲン化トリトリルモノアルキルホスホニウム(ハロゲン原子は塩素原子又は臭素原子)が好ましい。
【0033】
また、ホスフィン類としては、メチルホスフィン、エチルホスフィン、プロピルホスフィン、イソプロピルホスフィン、イソブチルホスフィン、フェニルホスフィン等の第一ホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジイソプロピルホスフィン、ジイソアミルホスフィン、ジフェニルホスフィン等の第二ホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン等の第三ホスフィンが挙げられる。
【0034】
上記の式(C−8)で表される化合物は、R
15R
16R
17S
+Y
−の構造を有する第3級スルホニウム塩である。R
15、R
16、及びR
17は炭素原子数1〜18のアルキル基又はアリール基、またはSi−C結合によりケイ素原子と結合しているシラン化合物であるが、好ましくはR
15〜R
17の4つの置換基の内で3つがフェニル基又は置換されたフェニル基であり、例えばフェニル基やトリル基を例示する事ができ、また残りの1つは炭素原子数1〜18のアルキル基、又はアリール基である。また陰イオン(Y
−)は、塩素イオン(Cl
−)、臭素イオン(Br
−)、ヨウ素イオン(I
−)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO
−)、スルホナト(−SO
3−)、アルコラート(−O
−)等の酸基を挙げることができる。この化合物は市販品として入手する事が可能であり、例えばハロゲン化トリn−ブチルスルホニウム、ハロゲン化トリn−プロピルスルホニウム等のハロゲン化テトラアルキルスルホニウム、ハロゲン化ジエチルベンジルスルホニウム等のハロゲン化トリアルキルベンジルスルホニウム、ハロゲン化ジフェニルメチルスルホニウム、ハロゲン化ジフェニルエチルスルホニウム等のハロゲン化ジフェニルモノアルキルスルホニウム、ハロゲン化トリフェニルスルホニウム、(ハロゲン原子は塩素原子又は臭素原子)、トリn−ブチルスルホニウムカルボキシラート、トリn−プロピルスルホニウムカルボキシラート等のテトラアルキルホスフォニウムカルボキシラート、ジエチルベンジルスルホニウムカルボキシラート等のトリアルキルベンジルスルホニウムカルボキシラート、ジフェニルメチルスルホニウムカルボキシラート、ジフェニルエチルスルホニウムカルボキシラート等のジフェニルモノアルキルスルホニウムカルボキシラート、トリフェニルスルホニウムカルボキシラートが挙げられる。特に、ハロゲン化トリフェニルスルホニウム、トリフェニルスルホニウムカルボキシラートが好ましい。
【0035】
硬化触媒は加水分解縮合物(ポリオルガノシロキサン)100質量部に対して、0.01〜10質量部、または0.01〜5質量部、または0.01〜3質量部である。
本発明では、上記硬化触媒として上記アンモニウム塩、上記スルホニウム塩、上記ホスホニウム塩に対応するアミン化合物、スルフィド化合物、ホスフィン化合物も選択することができる。
本発明の自己組織化膜の下層膜形成組成物では酸発生剤を含有することができる。
酸発生剤としては、熱酸発生剤や光酸発生剤が挙げられる。
【0036】
本発明の自己組織化膜の下層膜形成組成物は、自己組織膜を形成される前に、電子線描画やレーザー照射によりレジストパターンを作製することができる。光酸発生剤は、レジストの露光時に酸を生ずる。そのため、下層膜の酸性度の調整ができる。これは、下層膜の酸性度を上層のレジストとの酸性度に合わせるための一方法である。また、下層膜の酸性度の調整によって、上層に形成されるレジストのパターン形状の調整ができる。
【0037】
本発明の自己組織化膜の下層膜形成組成物に含まれる光酸発生剤としては、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、及びジスルホニルジアゾメタン化合物等が挙げられる。
オニウム塩化合物としてはジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフエート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロノルマルブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロノルマルオクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート及びビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート等のヨードニウム塩化合物、及びトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロノルマルブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート及びトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のスルホニウム塩化合物等が挙げられる。
スルホンイミド化合物としては、例えばN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロノルマルブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド及びN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタルイミド等が挙げられる。
ジスルホニルジアゾメタン化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、及びメチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタン等が挙げられる。
【0038】
光酸発生剤は一種のみを使用することができ、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
光酸発生剤が使用される場合、その割合としては、縮合物(ポリオルガノシロキサン)100質量部に対して、0.01〜5質量部、または0.1〜3質量部、または0.5〜1質量部である。
シランを溶剤中で触媒を用いて加水分解し縮合し、得られた加水分解縮合物(ポリマー)は減圧蒸留等により副生成物のアルコールや用いた加水分解触媒や水を同時に除去することができる。また、加水分解に用いた酸や塩基触媒を中和やイオン交換により取り除くことができる。
そして本発明の下層膜形成組成物では、その加水分解縮合物を含む下層膜形成組成物は安定化のために酸(有機酸)、水、アルコール、又はそれらの組み合わせを添加することができる。
【0039】
上記有機酸としては、例えばシュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、フタル酸、クエン酸、グルタル酸、クエン酸、乳酸、サリチル酸等が挙げられる。中でも、シュウ酸、マレイン酸等が好ましい。加える有機酸は縮合物(ポリオルガノシロキサン)100質量部に対して0.5〜10.0質量部である。また加える水は純水、超純水、イオン交換水等を用いることができ、その添加量は下層膜形成組成物100質量部に対して1〜30質量部とすることができる。
また加えるアルコールとしては塗布後の加熱により飛散しやすいものが好ましく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。加えるアルコールは下層膜形成組成物100質量部に対して1〜20質量部とすることができる。
【0040】
以下、本発明の自己組織化膜の下層膜形成組成物の使用について説明する。
基板上に上記の自己組織化膜の下層膜形成組成物を塗布し焼成し下層膜を形成する工程、その上に自己組織化膜形成組成物を塗布し焼成し自己組織化膜を形成するパターン構造が形成される。
基板は例えば、シリコンウエハー基板、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、ガラス基板、ITO基板、ポリイミド基板、及び低誘電率材料(low−k材料)被覆基板等が挙げられる。
この上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明の下層膜形成組成物が塗布され、その後、焼成することにより下層膜が形成される。
焼成する条件としては、焼成温度80℃〜300℃、又は80℃〜250℃、焼成時間0.3〜60分間の中から適宜、選択される。好ましくは、焼成温度150℃〜250℃、焼成時間0.5〜2分間である。ここで、形成される下層膜の膜厚としては、例えば、10〜1000nmであり、または20〜500nmであり、または10〜300nmであり、または5〜100nmである。
【0041】
次いでその下層膜の上に、例えば自己組織化膜の層が形成される。自己組織化膜の層の形成は、自己組織化膜形成組成物溶液の下層膜上への塗布及び焼成によって行なうことができる。焼成温度は例えば80〜140℃で、焼成時間0.3〜60分間の中から適宜、選択される。好ましくは、焼成温度80〜120℃、焼成時間0.5〜2分間程度である。
自己組織化膜の膜厚としては例えば30〜10000nmであり、または20〜2000nmであり、または10〜200nm程度である。
本発明に用いられる自己組織化膜は有機モノマー(a)を単位構造として含む有機ポリマー鎖(A)と、有機モノマー(a)とは異なる有機モノマー(b)を単位構造として含み該有機ポリマー鎖(A)に結合する有機ポリマー鎖(B)とを含むブロックポリマーを用いることができる。
自己組織化膜形成組成物は固形分0.1〜70質量%、又は0.1〜50質量%、又は0.1〜30質量%とすることができる。固形分は膜形成組成物中から溶剤を除いた残りの割合である。
固形分中に占めるブロックコポリマーの割合は、30〜100質量%、又は50〜100質量%、又は50〜90質量%、又は50〜80質量%にすることができる。
ブロックコポリマー中に存在するブロックの種類が2又は3以上とすることができる。そして、ブロックコポリマー中に存在するブロック数が2又は3以上とすることができる。
ポリマー鎖(B)を変えることにより、例えばモノマー(c)を単位構造として含む隣接するポリマー鎖(C)を用いることが可能である。
【0042】
ブロックポリマーとしてはAB、ABAB、ABA、ABC等のパターンが得られる。
ブロックコポリマーを合成する方法の一つとして、重合過程が開始反応と成長反応のみからなり、成長末端を失活させる副反応を伴わないリビングラジカル重合、リビングカチオン重合によって得られる。成長末端は重合反応中に成長活性反応を保ち続けることができる。連鎖移動を生じなくすることで長さの揃ったポリマー(A)が得られる。このポリマー(A)の成長末端を利用して違うモノマー(b)を添加することにより、このモノマー(b)のもとで重合が進行しブロックコポリマー(AB)を形成することができる。
例えばブロックの種類がAとBの2種類である場合に、ポリマー鎖(A)とポリマー鎖(B)はモル比で1:9〜9:1、好ましくは3:7〜5:5とすることができる。
ホモポリマーA、又はBは、ラジカル重合可能な反応性基(ビニル基又はビニル基含有有機基)を少なくとも一つ有する重合性化合物である。
本発明に用いられるブロックコポリマーの重量平均分子量Mnは1000〜100000、又は5000〜100000であることが好ましい。1000未満では下地基板への塗布性が悪い場合があり、また100000以上では溶媒への溶解性が悪い場合がある。
【0043】
ブロックコポリマーを形成する上記モノマー(a)及びモノマー(b)はそれぞれ、例えばアクリル酸及びそのアルキルエステル、メタクリル酸及びそのアルキルエステル、N,N−ジメチルアクリルアミド、4級化していても良いジメチルアミノエチルメタクリレート、メタクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、マレイン酸及びそのヘミエステル、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、アクリルアミド、ヒドロキシル化(メタ)アクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルピロリドン、ビニルエーテル、マレイミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ヘテロ環式ビニル化合物、スチレンスルホネート、アリル系アルコール、ビニルアルコール、炭素原子数1〜13アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸のエステル、フルオロアクリレート、スチレン、ビニルアセテート、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ビニルプロピオネート、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、イソプレン、ブタジエン、シクロヘキサジエン、エチレン、プロピレン、及びビニルトルエンから選ばれる化合物が挙げられる。
【0044】
本発明に用いられる自己組織化膜形成組成物において、架橋反応基を有しないか、又は架橋反応基を有するブロックポリマーが使用された場合には、ポリスチレン/ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリスチレン/ポリイソプレンコポリマー、又はポリスチレン/ポリブタジエンコポリマーが好ましい。
本発明に用いられる自己組織化膜形成組成物には、上記ブロックコポリマー、溶剤、更に必要に応じて架橋性化合物、架橋触媒、吸光性化合物、界面活性剤、硬度調整高分子化合物、酸化防止剤、熱重合禁止剤、表面改質剤及び脱泡剤等を添加することができる。
本発明に用いられる自己組織化膜形成組成物は、二つのホモポリマー鎖(A)及び(B)を含むブロックコポリマーを通常、有機溶媒に溶解または分散してなる。この有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒および非プロトン系溶媒からなる群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
本発明の熱硬化性(自己組織化)膜形成組成物には、さらにβ−ジケトン、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、有機ポリマー、界面活性剤、シランカップリング剤、ラジカル発生剤、トリアゼン化合物、アルカリ化合物などの成分を添加してもよい。
【0045】
本発明に用いられる自己組織化膜形成組成物に用いられる有機溶媒としては、例えばn−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、i−プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾール等のモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等のケトン系溶媒;
【0046】
エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のエステル系溶媒;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等の含窒素系溶媒;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトン等の含硫黄系溶媒等を挙げることができる。
【0047】
特に、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートが組成物の溶液の保存安定性の点で好ましい。
また、自己組織化膜形成組成物を熱硬化させる際には、触媒を使用しても良い。この際に使用する触媒としては、上述の下層膜を硬化させる時に使用した触媒を用いることもできる。
更に、密着性、下地基板に対する濡れ性、柔軟性、平坦化性等を向上させるために、必要によりブロックコポリマーを含まない下記の重合性化合物をラジカル重合したポリマーを用い、上記のブロックコポリマーを含む自己組織化膜形成組成物に混合させることができる。混合割合はブロックコポリマー100質量部に対して10〜1000質量部、好ましくは10〜100質量部の割合で混合することができる。
ブロックポリマーを含まないポリマーは、架橋形成ポリマーを用いることができる。例えばヒドロキシスチレン、トリス−(2−ヒドロキシルエチル)−イソシアヌル酸、及びトリス−(2−ヒドロキシルエチル)−イソシアヌル酸エステル(メタ)アクリレート等の重合物を挙げることができる。
【0048】
また、ブロックポリマーを含まないポリマーは、上記以外の重合性化合物の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、3−フェノキシ−2−プロパノイルアクリレート、1,6−ビス(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−ヘキシルエーテル、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、ここで、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレートとはエチレングリコールジアクリレートとエチレングリコールジメタクリレートとを意味する。
【0049】
エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としては、また、多価イソシアネート化合物とヒドロキシアルキル不飽和カルボン酸エステル化合物との反応によって得ることができるウレタン化合物、多価エポキシ化合物とヒドロキシアルキル不飽和カルボン酸エステル化合物との反応によって得ることができる化合物、フタル酸ジアリル等のジアリルエステル化合物、及びジビニルフタレート等のジビニル化合物等を挙げることもできる。
ブロックポリマーを含まずビニルエーテル構造を有する重合性化合物としては、例えば、ビニル−2−クロロエチルエーテル、ビニル−ノルマルブチルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、ビス(4−(ビニロキシメチル)シクロヘキシルメチル)グルタレート、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、アジピン酸ジビニルエステル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリス(4−ビニロキシ)ブチルトリメリレート、ビス(4−(ビニロキシ)ブチル)テレフタレート、ビス(4−(ビニロキシ)ブチルイソフタレート、エチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル及びシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等を挙げることができる。
【0050】
本発明に用いる自己組織化膜では任意成分として架橋剤を用いることができる。架橋剤は、ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換された窒素原子を有する含窒素化合物が挙げられる。ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基、及びヘキシルオキシメチル基等の基で置換された窒素原子を有する含窒素化合物である。架橋剤はブロックコポリマーや、架橋形成ポリマーと架橋形成が可能であるが、ブロックコポリマーに架橋形成基が存在しない場合には自己架橋によりマトリックスを形成し、ブロックコポリマーを固定化することができる。
架橋剤はブロックコポリマー100質量部に対して1〜50質量部、または3〜50質量部、または5〜50質量部、または10〜40質量部、または20〜30質量部で使用することができる。架橋剤の種類や含有量を変えることによって、弾性率や段差被覆性の調整することができる。
【0051】
更に、熱焼成(加熱)によってカチオンやラジカルを発生し本発明に用いられる自己組織化膜形成組成物の熱重合反応を起こすことのできる架橋触媒を含むことができる。架橋触媒を使用することにより、架橋剤の反応が促進される。
架橋触媒としては、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、カンファースルホン酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、及びヒドロキシ安息香酸等の酸化合物が使用できる。
架橋触媒としては、芳香族スルホン酸化合物が使用できる。芳香族スルホン酸化合物の具体例としては、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、及びピリジニウム−1−ナフタレンスルホン酸等を挙げることができる。架橋触媒は、一種のみを使用することができ、また、二種以上を組み合わせて用いることもできる。
架橋触媒はブロックコポリマー100質量部に対して0.01〜10質量部、または0.05〜5質量部、または0.1〜3質量部、または0.3〜2質量部、または0.5〜1質量部で使用することができる。
【0052】
本発明では自己組織化膜の下層膜形成組成物を加工基板上に塗布して塗布膜を形成する工程、及び前記塗布膜に光照射又は熱焼成することによってパターン情報を記録させる工程、自己組織化膜を形成する工程、及び前記塗布膜に更なる光照射又は熱焼成することによって自己組織化膜を形成する工程を含み、液晶ディスプレイ、ハードディスク用記録材料、固体撮像素子、太陽電池パネル、発光ダイオード、有機発光デバイス、ルミネセントフィルム、蛍光フィルム、MEMS、アクチュエーター、反射防止材料、レジスト、レジスト下層膜、レジスト上層膜、又はナノインプリント用テンプレート(モールド)が製造される。
本発明では自己組織化膜が形成される前に、電子線描画やレーザー照射によりパターン情報を記憶させる本願の下層膜を塗布することができ、そして、自己組織化膜の作成に先立ちレジストが被覆されリソグラフィーが行われる場合と、レジストが被覆されずリソグラフィーが行われる場合がある。本件発明に用いられるブロックコポリマー自体に自己組織化によるパターン形成能があるためにその効能を利用するために必ずしもレジストを必要としない場合もある。
【0053】
以下、本発明の使用の一例について説明する。
半導体、液晶ディスプレイ、ハードディスク用記録材料、固体撮像素子、太陽電池パネル、発光ダイオード、有機発光デバイス、ルミネセントフィルム、蛍光フィルム、MEMS、アクチュエーター、反射防止材料、レジスト、レジスト下層膜、レジスト上層膜、又はナノインプリント用テンプレート(モールド)の製造に使用される加工基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンウエハー基板、シリコンナイトライド基板、ガラス基板、ITO基板、ポリイミド基板、低誘電率材料(low−k材料)被覆基板等)の上に、電子線やレーザ照射による凹凸変化や表面エネルギー変化によるパターン情報を入れる本願の下層膜(Brush Layer、Migaku・Layer)を塗布することができる。そして、その上に、スピナー、コーター、スプレー、インクジェット等の適当な塗布方法により熱硬化性(自己組織化)膜形成組成物が塗布され塗布膜が形成される。
表面エネルギー変化を利用する場合には、下層膜中のポリシロキサンの水接触角が、ブロックポリマーの有機ポリマー鎖(A)と有機ポリマー鎖(B)のそれぞれの水接触角の間の値であることが好ましい。
【0054】
本発明では、基板上に本願の下層膜形成組成物の塗布と焼成により下層膜が形成され、その上に自己組織化膜形成組成物が形成され、自己組織化膜によるパターン形成が行われるが、自己組織化膜形成組成物は予め設定されたパターンガイドに沿って塗布され、そして自己組織化されたパターンを形成することができる。このパターンガイドはレジストを塗布し露光と現像によって形成することができる。
パターンガイドに沿って自己組織化させた自己組織化膜は、自己組織化膜を構成するポリマー鎖中の単位構造の種類により、現像液やエッチングガス等で優先的な除去される部分があり、それらの単位構造を現像除去して、レジストパターン幅の縮小(シュリンク)や、サイドウォール(Sidewall)の形成を行うこともできる。
塗布形成されるフォトレジストとしては露光に使用される光に感光するものであれば特に限定はなく、ネガ型及びポジ型フォトレジストのいずれをも使用できる。次に、所定のマスクを通して露光が行なわれる。次いで、アルカリ性現像液等によって現像が行なわれる。
ブロックポリマーを用いた(自己組織化)膜形成組成物を加工基板上に塗布する前に、加工基板上に事前にブロックポリマーを垂直ラメラ構造や垂直シリンダー構造にパターニングするために本願の下層膜形成組成物による下層膜を塗布する。
【0055】
本発明の下層膜形成組成物による下層膜は特定割合のフェニルシラン等を含有することにより、ブロックポリマーを自己組織化させることができるが、下層膜の表面性を変化させることでパターン情報を入力することもできる。
また、加工基板上の本願の下層膜にパターンを目的の位置に配列させるために熱、紫外線、レーザー、又は放射線等の外部刺激を配列位置と重なるよう照射し、凹凸や表面エネルギー(親水・疎水性)変化を起こさせ、本発明のブロックポリマーを用いた(自己組織化)膜形成組成物のポリマー鎖(A)成分やポリマー鎖(B)成分をそれぞれ目的の位置に配列させることができる。
本発明に用いられる下層膜中のポリシロキサンにはフェニル基含有シランが用いられていて、シリコン原子に結合したフェニル基が外部刺激により敏感に感受して形態変化を生じ、情報を記録できるものと考えられる。
その後、アルカリ溶解速度や溶媒溶解速度やガスエッチング速度が自己組織化膜のポリマー鎖中の単位構造の種類で変化する自己組織化膜を目的の位置に配列させ、レジストを成膜し、レジストに紫外線、又は放射線を配列位置と重なるよう照射し、現像することにより、アルカリ溶解速度や溶媒溶解速度が変化する自己組織化膜と同時にレジストを溶解され、高コントラストの現像ができ、優れたレジストパターンを形成することができる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
(合成例1)
フェニルトリメトキシシラン1.98g(全シラン中に10mol%含有)、ビニルトリメトキシシラン13.34g(全シラン中に90mol%含有)、アセトン22.99gを100mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸5.41gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60gを加え、反応副生物であるメタノール、エタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15質量パーセントとなるように調整した。得られたポリマー(式(D−1)に相当)のGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1200であった。
【化11】
【0057】
(合成例2)
フェニルトリメトキシシラン5.95g(全シラン中に30mol%含有)、メチルトリメトキシシラン12.48g(全シラン中に70mol%含有)、アセトン27.64gを100mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸5.41gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート72gを加え、反応副生物であるメタノール、エタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15質量パーセントとなるように調整した。得られたポリマー(式(D−2)に相当)のGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1200であった。
【化12】
【0058】
(合成例3)
フェニルトリメトキシシラン13.88g(全シラン中に70mol%含有)、メチルトリメトキシシラン5.35g(全シラン中に30mol%含有)、アセトン28.84gを100mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸5.41gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75gを加え、反応副生物であるメタノール、エタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15質量パーセントとなるように調整した。得られたポリマー(式(D−3)に相当)のGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1200であった。
【化13】
【0059】
(合成例4)
フェニルトリメトキシシラン14.87g(全シラン中に75mol%含有)、テトラエトキシシラン5.21g(全シラン中に25mol%含有)、アセトン28.84gを100mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸5.47gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート72gを加え、反応副生物であるメタノール、エタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15質量パーセントとなるように調整した。得られたポリマー(式(D−4)に相当)のGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1200であった。
【化14】
【0060】
(合成例5)
フェニルトリメトキシシラン19.83g(全シラン中に100mol%含有)、アセトン27.49gを100mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸5.41gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート77gを加え、反応副生物であるメタノール、エタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15質量パーセントとなるように調整した。得られたポリマー(式(D−5)に相当)のGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1200であった。
【化15】
【0061】
(比較合成例1)
メチルトリメトキシシラン17.83g(全シラン中に1000mol%含有)、アセトン26.75gを100mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸5.41gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート69gを加え、反応副生物であるメタノール、エタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15質量パーセントとなるように調整した。得られたポリマー(式(D−6)に相当)のGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1500であった。
【化16】
【0062】
(比較合成例2)
テトラエトキシシラン20.83g(全シラン中に100mol%含有)、アセトン31.25gを100mlのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/lの塩酸5.41gを混合溶液に滴下した。添加後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート81gを加え、反応副生物であるメタノール、エタノール、水、塩酸を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル20/80の溶媒比率として140℃における固形残物換算で15質量パーセントとなるように調整した。得られたポリマー式(D−7)に相当)のGPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1500であった。
【化17】
【0063】
(下層膜の調製)
上記合成例1〜5及び比較合成例1〜2で得られたケイ素ポリマー、酸、硬化触媒、溶媒、水を表1に示す割合で混合し、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、実施例1〜8及び比較例1〜2の下層膜形成用組成物の溶液をそれぞれ調製した。
表1中でマレイン酸をMA、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドをBTEAC、N−(3−トリエトキシシリプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールをImi−Si、マレイン酸モノトリフェニルスルホニウムをTPSMA、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートをTPS105、4,4’−スルホニルジフェノールをBPS、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートはPGMEA、プロピレングリコールモノメチルエーテルはPGME、プロピレングリコールモノエチルエーテルはPGEEと略した。水は超純水を用いた。表1中のポリマーの表示は固形分であり、その値を質量部で示した。また各添加量を質量部で示した。
【表1】
【0064】
(耐溶剤性試験)
実施例1〜9、比較例1〜2で調製した下層膜形成組成物をシリコンウエハー上にスピンコート法にてそれぞれ塗布し、240℃のホットプレート上で1分間焼成させ下層膜を形成した。その後、上塗り自己組織化膜形成組成物の溶剤に用いられるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに1分間浸漬し、浸漬の前後での下層膜の膜厚の変化が1nm以下である場合は「良好」と判断し「○」を示し、膜厚変化がそれ以上である場合は「不良」と判断し「×」を示した。
【表2】
【0065】
(ブロックコポリマー1の調製)
プロピレングリコールモノメチルエーテル32.33gにブロックコポリマーであるポリスチレン/ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー(POLYMER SOURCE INC.製、PS(18,000)−b−PMMA(18,000)、多分散度=1.07)1.0gを溶解させ、3質量%溶液とした後、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、ブロックコポリマー1として、自己組織化膜形成組成物の溶液を調製した。
【0066】
(ブロックコポリマー2の調製)
プロピレングリコールモノメチルエーテル42.03gにブロックコポリマーであるポリスチレン/ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー(POLYMER SOURCE INC.製、PS(20,200)−b−PMMA(50,500)多分散度=1.07)1.0g、ポリメチルメタクリレート(POLYMER SOURCE INC.製、PMMA(1,300)多分散度=1.20)0.3gを溶解させ、3質量%溶液とした後、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、ブロックコポリマー2として、自己組織化膜形成組成物の溶液を調製した。
【0067】
(ブロックコポリマーの自己組織化評価)
実施例1〜9、比較例1〜2で得られた下層膜形成組成物をシリコンウエハー上に塗布し、ホットプレート上で240℃で1分間加熱し、自己組織化膜の下層に存在させる下層膜(A層)を得た。下層膜の膜厚は32nmであった。
その上にブロックコポリマー1あるいは2の自己組織化膜形成組成物をスピナーによりそれぞれ塗布し、ホットプレート上で100℃にて1分間加熱し、膜厚60nmの自己組織化膜(B層)を形成した。続いてホットプレート上で240℃にて5分間加熱し、ブロックコポリマーのミクロ相分離構造を誘起させた。
【0068】
(ミクロ相分離構造の観察 1)
ミクロ相分離構造を誘起させたシリコンウエハーはサムコ製エッチャー(RIE−10NR)を用いて、エッチングガスとしてO
2ガスを使用して8秒間エッチングすることで、PMMA領域を優先的にエッチングし、続いて走査型電子顕微鏡(日立製のS−4800)で形状を観察した。
【表3】
実施例1〜9から得られた下層膜はブロックコポリマーのミクロ相分離構造を基板に対して垂直に誘起させることが可能である。これはブロックコポリマーの種類によらずラメラ構造やシリンダー構造においても同様にミクロ相分離構造を基板に対して垂直に誘起させる。また実施例1〜9から得られた下層膜にあるように、基板に対して垂直に誘起させる能力はフェニルトリメトキシシラン以外の成分によって制限されることは無い。
一方で比較例から得られた下層膜にあるようにフェニルメトキシシランを含まない膜においてはブロックコポリマーを基板に対して垂直にミクロ相分離させることができない。
【0069】
(ミクロ相分離構造の観察 2)
実施例3の下層膜形成組成物をシリコンウエハー上にスピナー塗布し、ホットプレート上で240℃で1分間加熱し、自己組織化膜の下層に存在させる下層膜(A)層を得た。
続いて配向のためのガイドパターンを形成した。ガイドパターンは市販のArFレジストを用いた。まずフォトレジスト溶液をスピナーにより塗布し、ホットプレート上で100℃にて1分間加熱し、膜厚85nmのフォトレジスト膜を形成した。続いて、(株)ニコン製NSR−S307Eスキャナー(波長193nm、NA、σ:0.85、0.93/0.85)を用い露光を行い、ホットプレート上100℃で60秒間ベークし冷却の後、酢酸ブチル(溶剤現像液)を用いて60秒現像し、下層膜上にネガ型のパターンを形成した。このようにして形成されたレジストパターンを走査電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、線幅110nm、パターンピッチ220nm程度の直線状パターンが形成されていることが確認された。
次に形成したガイドパターンの間に、ブロックコポリマー1からなる自己組織化膜を形成させるために自己組織化膜組成物の溶液を準備した。
酢酸ブチル24.50gにブロックコポリマーであるポリスチレン/ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー(POLYMER SOURCE INC.製、PS(18,000)−b−PMMA(18,000)、多分散度=1.07)0.5gを溶解させ、2質量%溶液とした後、孔径0.02μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、自己組織化膜形成組成物の溶液を調製した。このブロックコポリマー溶液をガイドパターンが形成されたシリコンウエハーの上にスピナー塗布した後、ホットプレート上で100℃、1分間の加熱処理を行い、ガイドパターンの間に膜厚40nmの自己組織化膜(B)層を形成した。さらに窒素下のホットプレート上で240℃にて5分間加熱し、ブロックコポリマーのミクロ相分離構造を誘起させた。
ミクロ相分離構造を誘起させたシリコンウエハーはサムコ製エッチャー(RIE−10NR)を用いて、エッチングガスとしてO
2ガスを使用して8秒間エッチングすることで、PMMA領域を優先的にエッチングした。走査型電子顕微鏡(日立 S−9380)で形状を観察したところ、ポリスチレン領域とPMMA領域とが交互に繰り返している28nmピッチの垂直ラメラ構造がレジストガイドパターンに沿って配列していた。その電子顕微鏡写真を
図7に示した。
【0070】
(ミクロ相分離構造の観察 3)
実施例3の下層膜形成組成物をシリコンウエハー上にスピナー塗布し、ホットプレート上で240℃で1分間加熱し、自己組織化膜の下層に存在させる下層膜(A)層を得た。続いて、(株)ニコン製NSR−S307Eスキャナー(波長193nm、NA、σ:0.85、0.93/0.85)を用い、マスクを介して100mJ/cm
2のArF光を照射した。続いて、2.38質量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(現像液)で現像した後、100℃、1分間の加熱処理を行った。
その上にブロックコポリマー1の自己組織化膜形成組成物をスピナーによりそれぞれ塗布し、ホットプレート上で100℃にて1分間加熱し、膜厚60nmの自己組織化膜(B)層を形成した。続いて窒素下のホットプレート上で240℃にて5分間加熱し、ブロックコポリマーのミクロ相分離構造を誘起させた。ミクロ相分離構造を誘起させたシリコンウエハーはサムコ製エッチャー(RIE−10NR)を用いて、エッチングガスとしてO
2ガスを使用して8秒間エッチングすることで、PMMA領域を優先的にエッチングした。走査型電子顕微鏡(日立製のS−4800)で形状を観察したところ、未露光部はブロックコポリマーの垂直ラメラ構造からなるパターンが見られたが、露光部は水平ラメラ構造が誘起され、パターンは確認されなかった。その電子顕微鏡写真を
図8に示した。