(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
二酸化窒素が100〜10000ppm含有される、不活性ガスで希釈された原料ガスを、50〜200℃の温度下で、ゼオライトおよびシリカゲルから選ばれる少なくとも1種の還元剤と接触させることによって、二酸化窒素の還元反応を進行させて、一酸化窒素を生成することを特徴とする二酸化窒素の変換方法。
【背景技術】
【0002】
一酸化窒素は、たとえば、半導体製造プロセスにおいてシリコン基板の表面に酸窒化膜を形成するための原料ガスとして用いられる。一酸化窒素は、アンモニア酸化法、硫酸第一鉄と亜硝酸ナトリウムとを反応させる方法、硝酸と亜硫酸ガスとを反応させる方法など様々な方法で生成され得るが、一般に、生成した一酸化窒素を含む粗ガスには、二酸化窒素、亜酸化窒素が副生成物として含まれ、この他に原料、副原料由来の水、二酸化炭素、二酸化硫黄などが混入している。半導体製造プロセスにおいて、酸窒化膜を形成するうえでは、原料ガスとしての一酸化窒素については、より高純度であることが望まれる。このような、半導体製造プロセスにおける高純度化の要求に対応するために、一酸化窒素の精製方法が検討されている(特許文献1参照)。
【0003】
このほかにも一酸化窒素は医療用としても用いられている。一酸化窒素は、肺から吸入させると収縮していた肺動脈が拡張され、肺高血圧症の改善に効果がある。他にも、一酸化窒素の吸入により、急性肺血管収縮、吸引および吸入障害、肺血栓塞栓症、急性成人呼吸促迫症候群、急性肺水腫、急性高山病、新生児の持続性肺高血圧症、各種吸引症候群、新生児の肺硝子膜症、敗血症、喘息および喘息重積発作、低酸素症の症状を改善できる。
【0004】
一般に、一酸化窒素吸入療法においては、窒素による希釈後の一酸化窒素混合ガス中の一酸化窒素濃度は、患者の対象が新生児から成人と幅が広いため一概にはいえないが、通常1〜100ppmの範囲で用いられる。
【0005】
また、吸入時間は、数分から数時間、あるいは数日、症例によっては数カ月にわたる場合もある。このとき、混合ガス中に存在する二酸化窒素は、低濃度(ppmレベル)であっても吸入されると肺の中で非常に有毒な硝酸および亜硝酸を生成する。このため二酸化窒素を含まない高純度の一酸化窒素が必要である。
【0006】
二酸化窒素が極低濃度である、高純度の一酸化窒素を供給するためには、通常、高純度の一酸化窒素を窒素で希釈し、その窒素で希釈された一酸化窒素をシリンダに充填するという形態で用いられる。シリンダに充填された窒素希釈の一酸化窒素を用いるにあたり、シリンダ内に微量であっても酸素が存在すると、一酸化窒素が酸化されて二酸化窒素になるため、シリンダへの酸素(空気)混入を防ぐ必要があり、このため多大な注意が払われなくてはならない。
【0007】
特許文献2には、二酸化窒素を還元して一酸化窒素に変換する方法が開示されている。特許文献2に開示される方法では、シリカゲルなどの吸着材をアスコルビン酸などの酸化防止剤溶液に浸漬処理した材を還元剤として用い、該還元剤に二酸化窒素を接触させて還元して一酸化窒素を生成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2に開示される方法によって、二酸化窒素の含有量が低減された高純度の一酸化窒素を製造することができるが、二酸化窒素の還元反応を進行させるために、アスコルビン酸などの酸化防止剤による特殊な処理が施された還元剤を用いる必要がある。
【0010】
本発明の目的は、二酸化窒素を還元して一酸化窒素に変換する方法において、特殊な還元剤を用いることなく、二酸化窒素の含有量が低減された高純度の一酸化窒素を得ることができる二酸化窒素の変換方法、および二酸化窒素変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、二酸化窒素が100〜10000ppm含有される、不活性ガスで希釈された原料ガスを、50〜200℃の温度下で、ゼオライトおよびシリカゲルから選ばれる少なくとも1種の還元剤と接触させることによって、二酸化窒素の還元反応を進行させて、一酸化窒素を生成することを特徴とする二酸化窒素の変換方法である。
【0012】
また本発明の二酸化窒素の変換方法において、前記ゼオライトは、モレキュラーシーブ3Aまたはモレキュラーシーブ4Aであることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、二酸化窒素が100〜10000ppm含有される、不活性ガスで希釈された原料ガスを貯留する原料ガス貯留部と、
ゼオライトおよびシリカゲルから選ばれる少なくとも1種の還元剤が充填される還元反応器と、
前記原料ガス貯留部に貯留される原料ガスを前記還元反応器に供給する原料ガス供給部と、
前記還元反応器内の温度を調整する温度調整部と、
前記原料ガス供給部の原料ガス供給動作および前記温度調整部の温度調整動作を制御する反応制御部であって、
前記原料ガス供給部の原料ガス供給動作を制御し、前記還元反応器内に供給される原料ガスが還元剤と接触して還元反応器内を流過しているときに、二酸化窒素の還元反応が進行して一酸化窒素が生成されるように、前記温度調整部の温度調整動作を制御して、還元反応器内の温度を50〜200℃に調整させる反応制御部と、を備えることを特徴とする二酸化窒素変換装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、二酸化窒素の変換方法では、二酸化窒素が100〜10000ppm含有される、不活性ガスで希釈された原料ガスを、50〜200℃の温度下で、ゼオライトおよびシリカゲルから選ばれる少なくとも1種の還元剤と接触させることによって、二酸化窒素の還元反応を進行させて、一酸化窒素を生成する。
【0015】
一般に、一酸化窒素の精製のために、ゼオライトやシリカゲルが用いられる。具体的には、一酸化窒素を含む反応生成ガス中の酸性ガスをアルカリ水溶液で除去した後、50℃未満の温度下で、該反応生成ガスをゼオライトやシリカゲルと接触させて水分を除去する。このように、一酸化窒素を含むガスをゼオライトやシリカゲルと接触させるときの温度を50℃未満とするのは、温度が高い場合には、一酸化窒素の不均化反応が起こるからである。一酸化窒素は、熱力学的に不安定な物質であり、高温度、高圧力の条件下であるほど、下記式(1)で示される不均化反応が進行し、亜酸化窒素および二酸化窒素に変化してしまう。
(化1)
3NO→NO
2+N
2O …(1)
【0016】
本発明に係る二酸化窒素の変換方法では、ゼオライトおよびシリカゲルから選ばれる少なくとも1種の還元剤を用いて二酸化窒素の還元反応を進行させるときに、一般的には上記式(1)で示される不均化反応が進行すると考えられる、50〜200℃の温度下で還元反応を進行させるけれども、還元反応に供する原料ガスとして、二酸化窒素が100〜10000ppmという低濃度で含有された原料ガスを用いるので、不均化反応の進行が抑制されて、二酸化窒素および亜酸化窒素の含有量が低減された、一酸化窒素を含む反応ガスを得ることができる。
【0017】
また本発明によれば、還元剤のゼオライトとして、モレキュラーシーブ3Aまたはモレキュラーシーブ4Aを用いることによって、二酸化窒素および亜酸化窒素の含有量が低減された、一酸化窒素を含む反応ガスを、より確実に得ることができる。
【0018】
また本発明によれば、二酸化窒素変換装置は、原料ガス貯留部と、還元反応器と、原料ガス供給部と、温度調整部と、反応制御部とを備える。原料ガス貯留部は、二酸化窒素が100〜10000ppm含有される、不活性ガスで希釈された原料ガスを貯留し、還元反応器には、ゼオライトおよびシリカゲルから選ばれる少なくとも1種の還元剤が充填されている。そして、反応制御部は、原料ガス供給部の原料ガス供給動作を制御し、還元反応器内に供給される原料ガスが還元剤と接触して還元反応器内を流過しているときに、二酸化窒素の還元反応が進行して一酸化窒素が生成されるように、温度調整部の温度調整動作を制御して、還元反応器内の温度を50〜200℃に調整させる。
【0019】
本発明に係る二酸化窒素変換装置では、ゼオライトおよびシリカゲルから選ばれる少なくとも1種の還元剤が充填された還元反応器内で二酸化窒素の還元反応を進行させるときに、一般的には上記式(1)で示される不均化反応が進行すると考えられる、50〜200℃の温度下で還元反応を進行させるけれども、還元反応に供する原料ガスとして、二酸化窒素が100〜10000ppmという低濃度で含有された原料ガスを用いるので、不均化反応の進行が抑制されて、二酸化窒素および亜酸化窒素の含有量が低減された、一酸化窒素を含む反応ガスを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る二酸化窒素変換装置100の構成を示す図である。二酸化窒素変換装置100は、二酸化窒素を還元して一酸化窒素に変換し、一酸化窒素を生成する一酸化窒素製造装置であり、原料ガス貯留部1と、原料ガス供給部2と、還元反応器3と、温度調整部4と、反応制御部5と、反応ガス冷却部6とを備える。
【0022】
原料ガス貯留部1は、二酸化窒素が100〜10000ppm含有される原料ガスを貯留する。原料ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスにより二酸化窒素が希釈された混合ガスである。また、二酸化窒素変換装置100により製造される一酸化窒素を含む反応ガスを医療用途として用いることを想定した場合、希釈ガスとして用いる不活性ガスは窒素であることが好ましく、医療用に登録されている窒素で希釈された一酸化窒素における一酸化窒素の濃度が800ppm程度であることから、原料ガスにおける二酸化窒素の濃度は2400〜2500ppmであることが好ましい。
【0023】
還元反応器3は、ゼオライトおよびシリカゲルから選ばれる少なくとも1種の還元剤が充填されており、二酸化窒素の還元反応が行われて一酸化窒素に変換し、一酸化窒素を生成する反応場となる。還元反応器3に充填される還元剤のゼオライトとしては、モレキュラーシーブ3A、モレキュラーシーブ4A、モレキュラーシーブ5A、モレキュラーシーブ10X、モレキュラーシーブ13Xなどを挙げることができるが、これらの中でもモレキュラーシーブ3A、モレキュラーシーブ4Aが好ましく、モレキュラーシーブ3Aが特に好ましい。
【0024】
還元反応器3を構成する材料は、特に限定されるものではなく、たとえば、ステンレス鋼、耐熱ガラス、耐熱プラスチックスなどが挙げられる。また、還元反応器3は、還元剤が容易に交換できるような構造になっている。
【0025】
原料ガス供給部2は、原料ガス貯留部1に貯留される原料ガスを還元反応器3に供給する部分であり、第1配管71と、第1配管71に設けられる圧力調整部21および流量調整部22とによって実現される。この原料ガス供給部2の原料ガス供給動作は、後述の反応制御部5によって制御される。
【0026】
第1配管71は、原料ガス貯留部1と還元反応器3との間に設けられる配管であり、原料ガス貯留部1に貯留される原料ガスが、原料ガス貯留部1から還元反応器3に向けて流れる流路を形成する。
【0027】
第1配管71に設けられる圧力調整部21は、第1配管71内を流れる原料ガスの圧力を調整する。また、第1配管71に設けられる流量調整部22は、圧力調整部21によって圧力が調整されて第1配管71内を流れる原料ガスの流量を調整する。反応制御部5によって原料ガス供給動作が制御された原料ガス供給部2は、圧力調整部21および流量調整部22によって圧力および流量を調整して、第1配管71を介して原料ガスを還元反応器3に供給する。
【0028】
温度調整部4は、還元反応器3内の温度を調整する。この温度調整部4の温度調整動作は、反応制御部5によって制御される。
【0029】
反応制御部5は、原料ガス供給部2の原料ガス供給動作および温度調整部4の温度調整動作を制御する。反応制御部5は、原料ガス供給部2の原料ガス供給動作を制御し、還元反応器3内に供給される原料ガスが還元剤と接触して還元反応器3内を流過しているときに、二酸化窒素の還元反応が進行して一酸化窒素が生成されるように、温度調整部4の温度調整動作を制御して、還元反応器3内の温度を50〜200℃、好ましくは100〜150℃に調整させる。
【0030】
なお、原料ガス供給部2によって供給されて還元反応器3内を流れる原料ガスの流速は、特に限定されるものではないけれども、たとえば、窒素で希釈されて二酸化窒素が2400ppm含有された原料ガスを用いる場合、原料ガスの線速度が0.1〜1000cm/secであることが好ましく、1〜100cm/secであることが特に好ましい。
【0031】
上記のように、反応制御部5により原料ガス供給部2の原料ガス供給動作および温度調整部4の温度調整動作が制御されることによって、還元反応器3内では、温度調整部4により調整された50〜200℃の温度下で、原料ガス供給部2により供給された、二酸化窒素が100〜10000ppm含有される原料ガスが、ゼオライトおよびシリカゲルから選ばれる少なくとも1種の還元剤と接触し、これによって二酸化窒素の還元反応が進行して一酸化窒素を含む反応ガスが生成される。
【0032】
一般に、一酸化窒素は熱力学的に不安定な物質であるので、一酸化窒素を含む反応ガスが高温度、高圧力の条件下であるほど、下記式(1)で示される不均化反応が進行し、二酸化窒素の還元反応により生成された一酸化窒素が亜酸化窒素および二酸化窒素に変化してしまう。
(化1)
3NO→NO
2+N
2O …(1)
【0033】
本実施形態に係る二酸化窒素変換装置100では、還元反応器3においてゼオライトおよびシリカゲルから選ばれる少なくとも1種の還元剤で二酸化窒素の還元反応を進行させるときに、一般的には上記式(1)で示される不均化反応が進行すると考えられる、50〜200℃の温度下で還元反応を進行させるけれども、還元反応に供する原料ガスとして、二酸化窒素が100〜10000ppmという低濃度で含有された原料ガスを用いるので、不均化反応の進行が抑制されて、二酸化窒素および亜酸化窒素の含有量が低減された、一酸化窒素を含む反応ガスを得ることができる。
【0034】
なお、ゼオライトおよびシリカゲルから選ばれる少なくとも1種の還元剤を用いた、還元反応器3において進行する二酸化窒素の還元反応は、ゼオライトおよびシリカゲルに含まれるSiO
2成分が反応に寄与する、下記式(2)で表される反応であると推定される。
(化2)
SiO
2+3NO
2→SiO(NO
3)
2+NO …(2)
【0035】
還元反応器3内で生成された、一酸化窒素を含む反応ガスは、第2配管72を介して反応ガス冷却部6に供給される。反応ガス冷却部6は、還元反応器3から導出された反応ガスをたとえば25℃程度に冷却し、その冷却された反応ガスを第3配管73を介して外部に導出する。このようにして反応ガス冷却部6から導出された反応ガスは、窒素などの不活性ガスで希釈された、一酸化窒素を含むガスである。
【0036】
次に、二酸化窒素変換装置100によって実行される二酸化窒素の変換方法について、
図2を用いて説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る二酸化窒素の変換方法を示す工程図である。本実施形態に係る二酸化窒素の変換方法は、二酸化窒素を還元して一酸化窒素に変換して一酸化窒素を生成する、一酸化窒素の製造方法であり、原料ガス調製工程s1と、還元反応工程s2と、反応ガス冷却工程s3とを含む。
【0037】
原料ガス調製工程s1では、二酸化窒素が100〜10000ppm含有される原料ガスを調製し、その調製した原料ガスを原料ガス貯留部1に充填する。
【0038】
還元反応工程s2は、温度調整工程s21と原料ガス供給工程s22とを含む。温度調整工程s21では、反応制御部5は、還元反応器3内の温度が50〜200℃、好ましくは100〜150℃となるように温度調整部4の温度調整動作を制御する。次に、原料ガス供給工程s22では、反応制御部5は、還元反応器3内の温度が上記の温度範囲に調整された状態で、還元反応器3内に原料ガスが供給されるように原料ガス供給部2の原料ガス供給動作を制御する。
【0039】
温度調整工程s21と原料ガス供給工程s22とを含む還元反応工程s2では、原料ガス調製工程s1において調製された、二酸化窒素が100〜10000ppm含有される原料ガスを、50〜200℃の温度下で、ゼオライトおよびシリカゲルから選ばれる少なくとも1種の還元剤と接触させることによって、二酸化窒素の還元反応を進行させて、一酸化窒素を含む反応ガスを生成する。
【0040】
次に、反応ガス冷却工程s3では、還元反応工程s2において生成された、一酸化窒素を含む反応ガスが、反応ガス冷却部6によって25℃程度に冷却される。このようにして、窒素などの不活性ガスで希釈された、一酸化窒素を含むガスを製造することができる。
【0041】
本実施形態に係る二酸化窒素の変換方法では、ゼオライトおよびシリカゲルから選ばれる少なくとも1種の還元剤を用いて二酸化窒素の還元反応を進行させるときに、一般的には不均化反応が進行すると考えられる、50〜200℃の温度下で還元反応を進行させるけれども、還元反応に供する原料ガスとして、二酸化窒素が100〜10000ppmという低濃度で含有された原料ガスを用いるので、不均化反応の進行が抑制されて、二酸化窒素および亜酸化窒素の含有量が低減された高純度の一酸化窒素を製造することができる。
【実施例】
【0042】
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
軸線方向に延びる長さ1m、内径2.84cmに形成された円筒状のSUS316L製還元反応器(カラム)内に、還元剤としてモレキュラーシーブ3A(商品名ゼオラムA−3、東ソー社製)408gを充填した。
【0044】
この還元反応器に、窒素(N
2)により希釈されて二酸化窒素(NO
2)が2400ppm含有された原料ガスを、500ml/min(線速度1.3cm/sec)で通気した。このとき還元反応器の温度は、温度調整部(マントルヒータ)により150℃に調整した。原料ガスが供給された還元反応器内では、原料ガスが還元剤と接触することによって二酸化窒素の還元反応が進行して一酸化窒素が生成し、一酸化窒素を含む反応ガスが還元反応器から導出される。
【0045】
還元反応器から導出された反応ガスは、反応ガス冷却部によって室温(25℃)にまで冷却した。このようにして冷却された反応ガスを、FT−IR(Fourier Transform infrared Spectrometer)分析装置(商品名IR−Prestage21、島津製作所社製)を用いて分析したところ、一酸化窒素(NO)の濃度は790〜800ppmで推移し、二酸化窒素(NO
2)および亜酸化窒素(N
2O)の濃度は1ppm以下(検出限界以下)であった。還元反応器に対する原料ガスの通気を5日間継続したが、一酸化窒素、二酸化窒素および亜酸化窒素の濃度は、上記した濃度から変化しなかった。
【0046】
(実施例2)
還元反応器内に、還元剤としてモレキュラーシーブ4A(商品名MS−4A、ユニオン昭和社製)380gを充填したこと以外は実施例1と同様にして、二酸化窒素の還元反応によって生成される一酸化窒素を含む反応ガスを得た。この反応ガスについてFT−IR分析装置を用いて分析したところ、一酸化窒素(NO)の濃度は790〜800ppmで推移し、二酸化窒素(NO
2)および亜酸化窒素(N
2O)の濃度は1ppm以下(検出限界以下)であった。ただし、還元反応器に対する原料ガスの通気を継続したところ、2日後に、二酸化窒素(NO
2)の濃度が1ppm以上となった。また、亜酸化窒素の濃度は1ppm以下(検出限界以下)であった。
【0047】
(実施例3)
還元反応器内に、還元剤としてシリカゲル(脱水用、和光純薬社製)480gを充填したこと以外は実施例1と同様にして、二酸化窒素の還元反応によって生成される一酸化窒素を含む反応ガスを得た。この反応ガスについてFT−IR分析装置を用いて分析したところ、一酸化窒素(NO)の濃度は790〜800ppmで推移し、二酸化窒素(NO
2)および亜酸化窒素(N
2O)の濃度は1ppm以下(検出限界以下)であった。ただし、還元反応器に対する原料ガスの通気を継続したところ、4日後に、二酸化窒素(NO
2)の濃度が1ppm以上となった。また、亜酸化窒素の濃度は1ppm以下(検出限界以下)であった。
【0048】
(実施例4)
還元反応器に、ヘリウム(He)により希釈されて二酸化窒素(NO
2)が2400ppm含有された原料ガスを、500ml/min(線速度1.3cm/sec)で通気したこと以外は実施例1と同様にして、二酸化窒素の還元反応によって生成される一酸化窒素を含む反応ガスを得た。この反応ガスについてFT−IR分析装置を用いて分析したところ、一酸化窒素(NO)の濃度は790〜800ppmで推移し、二酸化窒素(NO
2)および亜酸化窒素(N
2O)の濃度は1ppm以下(検出限界以下)であった。還元反応器に対する原料ガスの通気を5日間継続したが、一酸化窒素、二酸化窒素および亜酸化窒素の濃度は、上記した濃度から変化しなかった。
【0049】
(比較例1)
還元反応器に原料ガスを通気するときに、還元反応器の温度を室温(25℃)としたこと以外は実施例1と同様にした。還元反応器から導出されたガスについてFT−IR分析装置を用いて分析したところ、一酸化窒素(NO)の濃度は1ppm以下(検出限界以下)であった。二酸化窒素の濃度も1ppm以下(検出限界以下)であったが、原料ガスの通気を継続して3時間後に二酸化窒素の濃度が1ppm以上となった。
【0050】
(比較例2)
還元反応器に原料ガスを通気するときに、還元反応器の温度を250℃に調整したこと以外は実施例1と同様にして、二酸化窒素の還元反応によって生成される一酸化窒素を含む反応ガスを得た。この反応ガスについてFT−IR分析装置を用いて分析したところ、一酸化窒素(NO)の濃度がばらついて500〜650ppmで推移し、二酸化窒素(NO
2)および亜酸化窒素(N
2O)の濃度は1ppm以上であった。
【0051】
(比較例3)
還元反応器に通気する原料ガスとして、窒素(N
2)により希釈されて二酸化窒素(NO
2)が10%含有された原料ガスを用いたこと以外は実施例1と同様にして、二酸化窒素の還元反応によって生成される一酸化窒素を含む反応ガスを得た。この反応ガスについてFT−IR分析装置を用いて分析したところ、一酸化窒素(NO)の濃度は約3%で推移したが、原料ガスの通気を継続して18分後に二酸化窒素の濃度が1ppm以上となった。
【0052】
(比較例4)
還元反応器内に、活性アルミナ(商品名KHD−24、住友化学社製)600gを充填したこと以外は実施例1と同様にした。還元反応器から導出されたガスについてFT−IR分析装置を用いて分析したところ、一酸化窒素(NO)の濃度は1ppm以下(検出限界以下)であったが、二酸化窒素(NO
2)の濃度が2400ppmで推移した。