【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 電気情報通信学会 高信頼制御通信研究会 資料集 RRRC No.2 2013−12〜21(2013年(平成25年)7月17日発行)第15〜20ページに発表
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
位置が既知である複数のセンサ端末とコーディネータとを含んで構成される無線センサネットワークにおいて位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する方法であり、前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末とのクロック部のカウンタ値がリセットされるステップと、前記位置が未知であるセンサ端末の位置において音波が発信されるステップと、前記音波の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から音波入力時のカウンタ値が前記コーディネータに対して送信されるステップと、所定の時間間隔で複数回送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から複数のカウンタ値が前記コーディネータに対して送信されるステップと、これら所定の時間間隔で送信されたカウンタ値同士の差分と前記所定の時間間隔とを用いて前記カウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差が前記センサ端末毎に算定されるステップと、前記位置が既知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が未知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値とのそれぞれが前記カウンタ誤差によって補正されるステップと、前記位置が既知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が未知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値との差分に音の伝搬速度が掛け合わされて前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の距離が算出されるステップと、複数の前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の前記距離を用いて前記位置が未知であるセンサ端末の位置が推定されるステップとを有することを特徴とするセンサ端末位置の推定方法。
位置が既知である複数のセンサ端末とコーディネータとを含んで構成される無線センサネットワークにおいて位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する方法であり、リセット要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末とのクロック部のカウンタ値がリセットされるステップと、前記位置が未知であるセンサ端末の位置において音波が発信されるステップと、前記音波の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から音波入力時のカウンタ値が前記コーディネータに対して送信されるステップと、前記リセット要求信号の送信から所定の時間間隔で送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末からカウンタ値が前記コーディネータに対して送信されるステップと、前記カウンタ値要求信号への応答としてのカウンタ値と前記所定の時間間隔とを用いて前記カウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差が前記センサ端末毎に算定されるステップと、前記位置が既知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が未知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値とのそれぞれが前記カウンタ誤差によって補正されるステップと、前記位置が既知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が未知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値との差分に音の伝搬速度が掛け合わされて前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の距離が算出されるステップと、複数の前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の前記距離を用いて前記位置が未知であるセンサ端末の位置が推定されるステップとを有することを特徴とするセンサ端末位置の推定方法。
位置が既知である複数のセンサ端末とコーディネータとを含んで構成される無線センサネットワークにおいて位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する方法であり、カウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から初期カウンタ値が前記コーディネータに対して送信されるステップと、前記カウンタ値要求信号の送信から所定の時間間隔で送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から第二のカウンタ値が前記コーディネータに対して送信されるステップと、前記位置が未知であるセンサ端末の位置において音波が発信されるステップと、前記音波の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から音波入力時のカウンタ値が前記コーディネータに対して送信されるステップと、前記第二のカウンタ値と前記初期カウンタ値との差分及び前記所定の時間間隔を用いて前記カウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差が前記センサ端末毎に算定されるステップと、前記位置が既知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記初期カウンタ値との差分値及び前記位置が未知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記初期カウンタ値との差分値のそれぞれが前記カウンタ誤差によって補正されるステップと、前記位置が既知であるセンサ端末の補正された前記差分値と前記位置が未知であるセンサ端末の補正された前記差分値との差分に音の伝搬速度が掛け合わされて前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の距離が算出されるステップと、複数の前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の前記距離を用いて前記位置が未知であるセンサ端末の位置が推定されるステップとを有することを特徴とするセンサ端末位置の推定方法。
位置が既知である複数のセンサ端末とコーディネータとを含んで構成される無線センサネットワークにおいて位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する方法であり、前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末とのクロック部のカウンタ値がリセットされるステップと、前記位置が既知であるセンサ端末の位置において音波が発信されるステップと、前記音波の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から音波入力時のカウンタ値が前記コーディネータに対して送信されるステップと、所定の時間間隔で複数回送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から複数のカウンタ値が前記コーディネータに対して送信されるステップと、これら所定の時間間隔で送信されたカウンタ値同士の差分と前記所定の時間間隔とを用いて前記カウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差が前記センサ端末毎に算定されるステップと、前記位置が既知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が未知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値とのそれぞれが前記カウンタ誤差によって補正されるステップと、前記位置が未知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が既知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値との差分に音の伝搬速度が掛け合わされて前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の距離が算出されるステップと、複数の前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の前記距離を用いて前記位置が未知であるセンサ端末の位置が推定されるステップとを有することを特徴とするセンサ端末位置の推定方法。
位置が既知である複数のセンサ端末とコーディネータとを含んで構成される無線センサネットワークにおいて位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する方法であり、リセット要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末とのクロック部のカウンタ値がリセットされるステップと、前記位置が既知であるセンサ端末の位置において音波が発信されるステップと、前記音波の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から音波入力時のカウンタ値が前記コーディネータに対して送信されるステップと、前記リセット要求信号の送信から所定の時間間隔で送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末からカウンタ値が前記コーディネータに対して送信されるステップと、前記カウンタ値要求信号への応答としてのカウンタ値と前記所定の時間間隔とを用いて前記カウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差が前記センサ端末毎に算定されるステップと、前記位置が既知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が未知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値とのそれぞれが前記カウンタ誤差によって補正されるステップと、前記位置が未知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が既知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値との差分に音の伝搬速度が掛け合わされて前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の距離が算出されるステップと、複数の前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の前記距離を用いて前記位置が未知であるセンサ端末の位置が推定されるステップとを有することを特徴とするセンサ端末位置の推定方法。
位置が既知である複数のセンサ端末とコーディネータとを含んで構成される無線センサネットワークにおいて位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する方法であり、カウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から初期カウンタ値が前記コーディネータに対して送信されるステップと、前記カウンタ値要求信号の送信から所定の時間間隔で送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から第二のカウンタ値が前記コーディネータに対して送信されるステップと、前記位置が既知であるセンサ端末の位置において音波が発信されるステップと、前記音波の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から音波入力時のカウンタ値が前記コーディネータに対して送信されるステップと、前記第二のカウンタ値と前記初期カウンタ値との差分及び前記所定の時間間隔を用いて前記カウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差が前記センサ端末毎に算定されるステップと、前記位置が既知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記初期カウンタ値との差分値及び前記位置が未知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記初期カウンタ値との差分値のそれぞれが前記カウンタ誤差によって補正されるステップと、前記位置が未知であるセンサ端末の補正された前記差分値と前記位置が既知であるセンサ端末の補正された前記差分値との差分に音の伝搬速度が掛け合わされて前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の距離が算出されるステップと、複数の前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の前記距離を用いて前記位置が未知であるセンサ端末の位置が推定されるステップとを有することを特徴とするセンサ端末位置の推定方法。
所定の時間間隔でカウンタ値要求信号が複数回送信され、これら複数のカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から複数のカウンタ値が前記コーディネータに対して送信され、これらカウンタ値同士の差分と前記所定の時間間隔との組み合わせ毎にカウンタ誤差が算定され、これらカウンタ誤差の平均値若しくは中央値が最終的な前記カウンタ誤差として用いられることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のセンサ端末位置の推定方法。
位置が既知である複数のセンサ端末とコーディネータとを含んで構成される無線センサネットワークにおいて位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する装置であり、前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末とのクロック部のカウンタ値がリセットされた上で前記位置が未知であるセンサ端末の位置において発信された音波の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された音波入力時のカウンタ値の入力を受ける手段と、所定の時間間隔で複数回送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された複数のカウンタ値の入力を受ける手段と、前記所定の時間間隔で送信されたカウンタ値同士の差分と前記所定の時間間隔とを用いて前記カウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差を前記センサ端末毎に算定する手段と、前記位置が既知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が未知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値とのそれぞれを前記カウンタ誤差によって補正する手段と、前記位置が既知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が未知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値との差分に音の伝搬速度を掛け合わせて前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の距離を算出する手段と、複数の前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の前記距離を用いて前記位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する手段とを有することを特徴とするセンサ端末位置の推定装置。
位置が既知である複数のセンサ端末とコーディネータとを含んで構成される無線センサネットワークにおいて位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する装置であり、リセット要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末とのクロック部のカウンタ値がリセットされた上で前記位置が未知であるセンサ端末の位置において発信された音波の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された音波入力時のカウンタ値の入力を受ける手段と、前記リセット要求信号の送信から所定の時間間隔で送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信されたカウンタ値の入力を受ける手段と、前記カウンタ値要求信号への応答としてのカウンタ値と前記所定の時間間隔とを用いて前記カウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差を前記センサ端末毎に算定する手段と、前記位置が既知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が未知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値とのそれぞれを前記カウンタ誤差によって補正する手段と、前記位置が既知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が未知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値との差分に音の伝搬速度を掛け合わせて前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の距離を算出する手段と、複数の前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の前記距離を用いて前記位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する手段とを有することを特徴とするセンサ端末位置の推定装置。
位置が既知である複数のセンサ端末とコーディネータとを含んで構成される無線センサネットワークにおいて位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する装置であり、カウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された初期カウンタ値の入力を受ける手段と、前記カウンタ値要求信号の送信から所定の時間間隔で送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された第二のカウンタ値の入力を受ける手段と、前記位置が未知であるセンサ端末の位置において発信された音波の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された音波入力時のカウンタ値の入力を受ける手段と、前記第二のカウンタ値と前記初期カウンタ値との差分及び前記所定の時間間隔を用いて前記カウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差を前記センサ端末毎に算定する手段と、前記位置が既知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記初期カウンタ値との差分値及び前記位置が未知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記初期カウンタ値との差分値のそれぞれを前記カウンタ誤差によって補正する手段と、前記位置が既知であるセンサ端末の補正された前記差分値と前記位置が未知であるセンサ端末の補正された前記差分値との差分に音の伝搬速度を掛け合わせて前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の距離を算出する手段と、複数の前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の前記距離を用いて前記位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する手段とを有することを特徴とするセンサ端末位置の推定装置。
位置が既知である複数のセンサ端末とコーディネータとを含んで構成される無線センサネットワークにおいて位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する装置であり、前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末とのクロック部のカウンタ値がリセットされた上で前記位置が既知であるセンサ端末の位置において発信された音波の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された音波入力時のカウンタ値の入力を受ける手段と、所定の時間間隔で複数回送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された複数のカウンタ値の入力を受ける手段と、前記所定の時間間隔で送信されたカウンタ値同士の差分と前記所定の時間間隔とを用いて前記カウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差を前記センサ端末毎に算定する手段と、前記位置が既知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が未知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値とのそれぞれを前記カウンタ誤差によって補正する手段と、前記位置が未知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が既知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値との差分に音の伝搬速度を掛け合わせて前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の距離を算出する手段と、複数の前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の前記距離を用いて前記位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する手段とを有することを特徴とするセンサ端末位置の推定装置。
位置が既知である複数のセンサ端末とコーディネータとを含んで構成される無線センサネットワークにおいて位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する装置であり、リセット要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末とのクロック部のカウンタ値がリセットされた上で前記位置が既知であるセンサ端末の位置において発信された音波の入力に応答して位置が前記既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された音波入力時のカウンタ値の入力を受ける手段と、前記リセット要求信号の送信から所定の時間間隔で送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信されたカウンタ値の入力を受ける手段と、前記カウンタ値要求信号への応答としてのカウンタ値と前記所定の時間間隔とを用いて前記カウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差を前記センサ端末毎に算定する手段と、前記位置が既知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が未知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値とのそれぞれを前記カウンタ誤差によって補正する手段と、前記位置が未知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が既知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値との差分に音の伝搬速度を掛け合わせて前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の距離を算出する手段と、複数の前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の前記距離を用いて前記位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する手段とを有することを特徴とするセンサ端末位置の推定装置。
位置が既知である複数のセンサ端末とコーディネータとを含んで構成される無線センサネットワークにおいて位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する装置であり、カウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された初期カウンタ値の入力を受ける手段と、前記カウンタ値要求信号の送信から所定の時間間隔で送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された第二のカウンタ値の入力を受ける手段と、前記位置が既知であるセンサ端末の位置において発信された音波の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された音波入力時のカウンタ値の入力を受ける手段と、前記第二のカウンタ値と前記初期カウンタ値との差分及び前記所定の時間間隔を用いて前記カウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差を前記センサ端末毎に算定する手段と、前記位置が既知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記初期カウンタ値との差分値及び前記位置が未知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記初期カウンタ値との差分値のそれぞれを前記カウンタ誤差によって補正する手段と、前記位置が未知であるセンサ端末の補正された前記差分値と前記位置が既知であるセンサ端末の補正された前記差分値との差分に音の伝搬速度を掛け合わせて前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の距離を算出する手段と、複数の前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の前記距離を用いて前記位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する手段とを有することを特徴とするセンサ端末位置の推定装置。
所定の時間間隔で複数回送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された複数のカウンタ値の入力を受け、これらカウンタ値同士の差分と前記所定の時間間隔との組み合わせ毎にカウンタ誤差を算定し、これらカウンタ誤差の平均値若しくは中央値を最終的な前記カウンタ誤差として用いることを特徴とする請求項8から13のいずれか一つに記載のセンサ端末位置の推定装置。
位置が既知である複数のセンサ端末とコーディネータとを含んで構成される無線センサネットワークにおいて位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであり、前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末とのクロック部のカウンタ値がリセットされた上で前記位置が未知であるセンサ端末の位置において発信された音波の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された音波入力時のカウンタ値の入力を受ける処理と、所定の時間間隔で複数回送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された複数のカウンタ値の入力を受ける処理と、前記所定の時間間隔で送信されたカウンタ値同士の差分と前記所定の時間間隔とを用いて前記カウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差を前記センサ端末毎に算定する処理と、前記位置が既知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が未知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値とのそれぞれを前記カウンタ誤差によって補正する処理と、前記位置が既知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が未知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値との差分に音の伝搬速度を掛け合わせて前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の距離を算出する処理と、複数の前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の前記距離を用いて前記位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する処理とをコンピュータに行わせることを特徴とするセンサ端末位置の推定プログラム。
位置が既知である複数のセンサ端末とコーディネータとを含んで構成される無線センサネットワークにおいて位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであり、リセット要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末とのクロック部のカウンタ値がリセットされた上で前記位置が未知であるセンサ端末の位置において発信された音波の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された音波入力時のカウンタ値の入力を受ける処理と、前記リセット要求信号の送信から所定の時間間隔で送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信されたカウンタ値の入力を受ける処理と、前記カウンタ値要求信号への応答としてのカウンタ値と前記所定の時間間隔とを用いて前記カウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差を前記センサ端末毎に算定する処理と、前記位置が既知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が未知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値とのそれぞれを前記カウンタ誤差によって補正する処理と、前記位置が既知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が未知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値との差分に音の伝搬速度を掛け合わせて前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の距離を算出する処理と、複数の前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の前記距離を用いて前記位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する処理とをコンピュータに行わせることを特徴とするセンサ端末位置の推定プログラム。
位置が既知である複数のセンサ端末とコーディネータとを含んで構成される無線センサネットワークにおいて位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであり、カウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された初期カウンタ値の入力を受ける処理と、前記カウンタ値要求信号の送信から所定の時間間隔で送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された第二のカウンタ値の入力を受ける処理と、前記位置が未知であるセンサ端末の位置において発信された音波の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された音波入力時のカウンタ値の入力を受ける処理と、前記第二のカウンタ値と前記初期カウンタ値との差分及び前記所定の時間間隔を用いて前記カウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差を前記センサ端末毎に算定する処理と、前記位置が既知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記初期カウンタ値との差分値及び前記位置が未知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記初期カウンタ値との差分値のそれぞれを前記カウンタ誤差によって補正する処理と、前記位置が既知であるセンサ端末の補正された前記差分値と前記位置が未知であるセンサ端末の補正された前記差分値との差分に音の伝搬速度を掛け合わせて前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の距離を算出する処理と、複数の前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の前記距離を用いて前記位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する処理とをコンピュータに行わせることを特徴とするセンサ端末位置の推定プログラム。
位置が既知である複数のセンサ端末とコーディネータとを含んで構成される無線センサネットワークにおいて位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであり、前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末とのクロック部のカウンタ値がリセットされた上で前記位置が既知であるセンサ端末の位置において発信された音波の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された音波入力時のカウンタ値の入力を受ける処理と、所定の時間間隔で複数回送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された複数のカウンタ値の入力を受ける処理と、前記所定の時間間隔で送信されたカウンタ値同士の差分と前記所定の時間間隔とを用いて前記カウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差を前記センサ端末毎に算定する処理と、前記位置が既知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が未知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値とのそれぞれを前記カウンタ誤差によって補正する処理と、前記位置が未知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が既知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値との差分に音の伝搬速度を掛け合わせて前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の距離を算出する処理と、複数の前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の前記距離を用いて前記位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する処理とをコンピュータに行わせることを特徴とするセンサ端末位置の推定プログラム。
位置が既知である複数のセンサ端末とコーディネータとを含んで構成される無線センサネットワークにおいて位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであり、リセット要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末とのクロック部のカウンタ値がリセットされた上で前記位置が既知であるセンサ端末の位置において発信された音波の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された音波入力時のカウンタ値の入力を受ける処理と、前記リセット要求信号の送信から所定の時間間隔で送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信されたカウンタ値の入力を受ける処理と、前記カウンタ値要求信号への応答としてのカウンタ値と前記所定の時間間隔とを用いて前記カウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差を前記センサ端末毎に算定する処理と、前記位置が既知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が未知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値とのそれぞれを前記カウンタ誤差によって補正する処理と、前記位置が未知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値と前記位置が既知であるセンサ端末の補正された前記音波入力時のカウンタ値との差分に音の伝搬速度を掛け合わせて前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の距離を算出する処理と、複数の前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の前記距離を用いて前記位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する処理とをコンピュータに行わせることを特徴とするセンサ端末位置の推定プログラム。
位置が既知である複数のセンサ端末とコーディネータとを含んで構成される無線センサネットワークにおいて位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであり、カウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された初期カウンタ値の入力を受ける処理と、前記カウンタ値要求信号の送信から所定の時間間隔で送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された第二のカウンタ値の入力を受ける処理と、前記位置が既知であるセンサ端末の位置において発信された音波の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された音波入力時のカウンタ値の入力を受ける処理と、前記第二のカウンタ値と前記初期カウンタ値との差分及び前記所定の時間間隔を用いて前記カウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差を前記センサ端末毎に算定する処理と、前記位置が既知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記初期カウンタ値との差分値及び前記位置が未知であるセンサ端末の前記音波入力時のカウンタ値と前記初期カウンタ値との差分値のそれぞれを前記カウンタ誤差によって補正する処理と、前記位置が未知であるセンサ端末の補正された前記差分値と前記位置が既知であるセンサ端末の補正された前記差分値との差分に音の伝搬速度を掛け合わせて前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の距離を算出する処理と、複数の前記位置が既知であるセンサ端末と前記位置が未知であるセンサ端末との間の前記距離を用いて前記位置が未知であるセンサ端末の位置を推定する処理とをコンピュータに行わせることを特徴とするセンサ端末位置の推定プログラム。
所定の時間間隔で複数回送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して前記位置が既知であるセンサ端末及び前記位置が未知であるセンサ端末から送信されて前記コーディネータによって受信された複数のカウンタ値の入力を受け、これらカウンタ値同士の差分と前記所定の時間間隔との組み合わせ毎にカウンタ誤差を算定し、これらカウンタ誤差の平均値若しくは中央値を最終的な前記カウンタ誤差として用いることを特徴とする請求項15から20のいずれか一つに記載のセンサ端末位置の推定プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0032】
図1から
図10に、本発明のセンサ端末位置の推定方法、推定装置及び推定プログラムの実施形態の一例を示す。
【0033】
なお、無線センサネットワークとは、無線通信機能を備えた複数のセンサ端末が送信を行うと共に各センサ端末同士が相互に通信の中継を行うことにより、各センサ端末で収集したセンサデータを伝送するように構成されるネットワークである。センサ端末は、無線信号を送信し得ると共にセンサ端末相互間でマルチホップ通信によって自律的にデータ伝送を行い得る。マルチホップ通信とは、アクセスポイントの介在なしに相互に接続する通信をいう。
【0034】
無線センサセットワークは、具体的には例えば、センサネットワークを主目的とする近距離無線通信規格の一つであるZigBeeを利用して構築することが考えられる。なお、ZigBee端末には中継機能があり、中継を繰り返すことによってZigBee素子同士が通信を行える限り情報を伝送することが可能である。また、ZigBeeの基礎部分の仕様はIEEE802.15.4として規格化されている。
【0035】
そして、センサ端末を用いて無線センサネットワークを構築するには、監視対象の設備や構造物や領域に対し、センサ端末から送信される電波の届く範囲で適当な間隔をもって複数のセンサ端末が設置される。
【0036】
複数のセンサ端末が設置されて構築された無線センサネットワークを示す
図3や
図9において、符号2A,2B,2Cは位置が既知であるセンサ端末(既知端末と呼ぶ)を表し、符号3は位置が未知であるセンサ端末(未知端末と呼ぶ)を表す。
【0037】
なお、
図3や
図9の例では未知端末3から送信される電波の届く範囲にある(言い換えると、自身から送信した電波が未知端末3に届く)既知端末は3個であるとしているが、未知端末3から送信される電波の届く範囲にある既知端末の個数は、既知端末と未知端末とが同一平面上にあって当該平面上に於ける未知端末の位置を推定する場合には原則として3個以上であればいくつでも良く(但し、場合によって2個でも良い)、また、既知端末と未知端末とが立体的に配置されていて高さを含めて未知端末の位置を推定する場合には原則として4個以上であればいくつでも良い(但し、場合によっては3個でも良い)。
【0038】
また、未知端末3以外のセンサ端末が全て既知端末である必要はない。すなわち、以降の説明において詳述される所定の条件を満たす個数以上の既知端末があれば未知端末3の位置を推定することはできるので、未知端末3の他に、位置が未知であるセンサ端末があっても構わない。
【0039】
既知端末2A,2B,2C(以下において、各既知端末を各々区別する必要がない場合や全ての既知端末を指す場合には「既知端末2」と表記する)は、
図4に示すように、センサ部2aと、クロック部2bと、送受信部2cと、制御部2dと、音波受信部2eと、電源部2fとを備える。
【0040】
センサ部2aは、種々の目的をもって設置されるセンサ端末としての目的に応じたセンサ機能を発揮して計測を行うと共に計測によって取得された計測データを制御部2dに出力するものであり、具体的には例えば温度,振動,音,明るさなどを計測し得るセンサによって構成される。
【0041】
クロック部2bは例えば1ミリ秒や100マイクロ秒などの所定の間隔(言い換えると、カウンタ速度、或いは、時間刻み)で変化させて時間を計測する(言い換えると、積み上げる)ものであり、この計測時間がクロック部2bからカウンタ値として抽出される。
【0042】
送受信部2cは、アンテナを介して無線信号の送受信を行う回路である。具体的には例えば、センサ部2aによって取得された計測データが制御部2dを介して入力され、当該計測データを無線信号に変換し、アンテナを介して外部に無線送信する。また、アンテナによって受信された無線信号が入力され、当該無線信号をデジタル情報に変換し、受信データとして制御部2dに出力する。
【0043】
制御部2dは、既知端末2の動作の制御を行うものであり、例えば集積回路によって構成される。
【0044】
音波受信部2eは、音波を受信すると共に受信した音波信号を音波受信信号として制御部2dに出力する。なお、既知端末2のセンサ部2aが音センサである場合(言い換えると、既知端末2のセンサ端末としての目的に応じたセンサ機能が音の計測である場合)には、既知端末2がセンサ機能として備える音波の受信機能(センサ部2aとしての音センサ)を用いるようにすれば良く、本発明に対応するものとしての更なる音波受信機能を備える必要はない。
【0045】
電源部2fは、乾電池や太陽電池などの既知端末2の自立駆動を可能にする電源、或いは、外部電源から電力の供給を受け入れる部分であり、上述の各部2a乃至2eに対して電力を供給する。
【0046】
未知端末3は、
図4に示すように(未知端末3に対応する符号は括弧内)、既知端末2と同様の構成、すなわち、センサ部3a,クロック部3b,送受信部3c,制御部3d,音波受信部3e,電源部3fを備える。
【0047】
また、各既知端末2及び未知端末3からの無線信号を少なくとも受信すると共に当該無線信号をデジタル情報に変換して外部機器に出力するコーディネータ1が設けられる。コーディネータ1は、データ信号の入出力機能及び演算機能などを有する処理装置(具体的には例えばコンピュータ)に接続され、当該処理装置を前述の外部機器としてデジタル情報を出力する。
【0048】
コーディネータ1は、ZigBeeの構成と対応させるとZigBee Coordinatorに該当し、ネットワーク内に1台存在してネットワークの制御を行う端末である。また、コーディネータ1は、WPAN(Wireless Personal Area Network の略)向けのプロトコルであるIEEE802.15.4ではPAN coordinatorとしてのFFD(Full-Function Device の略)に該当する。したがって、コーディネータ1は、ZigBee CoordinatorやPAN coordinatorとしてのFFDがその構成の一例ということになり、具体的には少なくとも、無線信号を送受信するためのアンテナと、アンテナによって受信された無線信号が入力されて当該無線信号をデジタル情報に変換し受信データとして出力すると共に外部から入力されたデータ(デジタル情報)を無線信号に変換してアンテナに出力する送受信回路とを備える。
【0049】
また、本実施形態では、
図5に示すように、送受信部4c(アンテナを含む)と制御部4dと電源部4fとを既知端末2と同様のものとして備えると共に音波発信部4eを備える基準端末4が用いられる。
【0050】
そして、以下では、上述の機器を用いて構成される
図3や
図9に示す無線センサネットワークにおいて未知端末3の位置を推定する場合を例に挙げて説明する。
【0051】
無線センサネットワークにおいて未知端末3の位置を推定する方法としては、(1)未知端末3の位置に基準端末4を設置して音を発生させる方法(
図3)と、(2)既知端末2の位置に基準端末4を設置して音を発生させる方法(
図9)との二つがある。
【0052】
(1)未知端末3の位置に基準端末4を設置して音を発生させる方法
まず、未知端末3の位置に基準端末4を設置し音を発生させて未知端末3の位置を推定する方法について説明する。
【0053】
この方法におけるセンサ端末位置の推定方法は、
図1及び
図6に示すように、複数の既知端末2とコーディネータ1とを含んで構成される無線センサネットワークにおいて未知端末3の位置を推定する方法であり、既知端末2と未知端末3とのクロック部2b,3bのカウンタ値がリセットされるステップ(S1)と、未知端末3の位置において音波が発信されるステップ(S5)と、音波の入力に応答して既知端末2及び未知端末3から音波入力時のカウンタ値がコーディネータ1に対して送信されるステップ(S6)と、所定の時間間隔t〔秒〕で複数回送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して既知端末2及び未知端末3から複数のカウンタ値がコーディネータ1に対して送信されるステップ(S7−S10)と、これら所定の時間間隔で送信されたカウンタ値同士の差分と所定の時間間隔tとを用いてカウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差が端末2,3毎に算定されるステップ(S11)と、既知端末2の音波入力時のカウンタ値と未知端末3の音波入力時のカウンタ値とのそれぞれがカウンタ誤差によって補正されるステップ(S12)と、既知端末2の補正された音波入力時のカウンタ値と未知端末3の補正された音波入力時のカウンタ値との差分に音の伝搬速度が掛け合わされて既知端末2と未知端末3との間の距離Lが算出されるステップ(S13)と、複数の既知端末2と未知端末3との間の距離Lを用いて未知端末3の位置が推定されるステップ(S14)とを有する。
【0054】
上記センサ端末位置の推定方法は、センサ端末位置の推定装置として実現され得る。本実施形態のセンサ端末位置の推定装置10は、複数の既知端末2とコーディネータ1とを含んで構成される無線センサネットワークにおいて未知端末3の位置を推定する装置であり、既知端末2と未知端末3とのクロック部2b,3bのカウンタ値がリセットされた上で未知端末3の位置において発信された音波の入力に応答して既知端末2及び未知端末3から送信されてコーディネータ1によって受信された音波入力時のカウンタ値の入力を受けると共に、所定の時間間隔t〔秒〕で複数回送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して既知端末2及び未知端末3から送信されてコーディネータ1によって受信された複数のカウンタ値の入力を受ける手段としてのデータ入力受部11aと、所定の時間間隔で送信されたカウンタ値同士の差分と所定の時間間隔tとを用いてカウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差を端末2,3毎に算定する手段としてのカウンタ誤差算定部11bと、既知端末2の音波入力時のカウンタ値と未知端末3の音波入力時のカウンタ値とのそれぞれをカウンタ誤差によって補正する手段としてのカウンタ値補正部11cと、既知端末2の補正された音波入力時のカウンタ値と未知端末3の補正された音波入力時のカウンタ値との差分に音の伝搬速度を掛け合わせて既知端末2と未知端末3との間の距離Lを算出する手段としての距離算出部11dと、複数の既知端末2と未知端末3との間の距離Lを用いて未知端末3の位置を推定する手段としての位置推定部11eとを備える。
【0055】
また、上記センサ端末位置の推定方法及びセンサ端末位置の推定装置は、センサ端末位置の推定プログラムをコンピュータ上で実行することによっても実現され得る。ここでは、センサ端末位置の推定プログラムをコンピュータ上で実行することによってセンサ端末位置の推定装置が実現されると共にセンサ端末位置の推定方法が実行される場合を説明する。
【0056】
センサ端末位置の推定プログラム17を実行するためのコンピュータ10(本実施形態では、センサ端末位置の推定装置10でもある)の全体構成を
図2に示す。このコンピュータ10(センサ端末位置の推定装置10)は、制御部11,記憶部12,入力部13,表示部14,メモリ15を備え相互にバス等の信号回線によって接続されている。
【0057】
制御部11は、記憶部12に記憶されているセンサ端末位置の推定プログラム17によってコンピュータ10全体の制御並びにセンサ端末位置の推定に係る演算を行うものであり、例えばCPU(中央演算処理装置)である。
【0058】
記憶部12は、少なくともデータやプログラムを記憶可能な装置であり、例えばハードディスクである。
【0059】
メモリ15は、制御部11が種々の制御や演算を実行する際の作業領域であるメモリ空間となるものであり、例えばRAM(Random Access Memory の略)である。
【0060】
入力部13は、少なくとも作業者の命令を制御部11に与えるためのインターフェイスであり、例えばキーボードである。
【0061】
表示部14は、制御部11の制御によって文字や図形等の描画・表示を行うものであり、例えばディスプレイである。
【0062】
そして、コンピュータ10(本実施形態では、センサ端末位置の推定装置10でもある)の制御部11には、センサ端末位置の推定プログラム17を実行することにより、複数の既知端末2とコーディネータ1とを含んで構成される無線センサネットワークにおいて未知端末3の位置を推定するため、既知端末2と未知端末3とのクロック部2b,3bのカウンタ値がリセットされた上で未知端末3の位置において発信された音波の入力に応答して既知端末2及び未知端末3から送信されてコーディネータ1によって受信された音波入力時のカウンタ値の入力を受ける処理を行うと共に、所定の時間間隔t〔秒〕で複数回送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して既知端末2及び未知端末3から送信されてコーディネータ1によって受信された複数のカウンタ値の入力を受ける処理を行うデータ入力受部11aと、所定の時間間隔で送信されたカウンタ値同士の差分と所定の時間間隔tとを用いてカウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差を端末2,3毎に算定する処理を行うカウンタ誤差算定部11bと、既知端末2の音波入力時のカウンタ値と未知端末3の音波入力時のカウンタ値とのそれぞれをカウンタ誤差によって補正する処理を行うカウンタ値補正部11cと、既知端末2の補正された音波入力時のカウンタ値と未知端末3の補正された音波入力時のカウンタ値との差分に音の伝搬速度を掛け合わせて既知端末2と未知端末3との間の距離Lを算出する処理を行う距離算出部11dと、複数の既知端末2と未知端末3との間の距離Lを用いて未知端末3の位置を推定する処理を行う位置推定部11eとが構成される。
【0063】
また、コンピュータ10(センサ端末位置の推定装置10)に、データや制御指令等の信号の送受信(即ち、出入力)が可能であるように、コーディネータ1が電気的に接続される。
【0064】
また、各既知端末2の位置(具体的には、任意の点を原点とする位置座標)が、既知端末位置データファイルに端末IDと対応づけられて記録され、記憶部12に予め格納される。
【0065】
(1)の方法では、基準端末4が未知端末3の位置に設置される。なお、以下の処理では基準端末4の位置が推定されることになるので、基準端末4の位置を位置が未知である未知端末3の位置と一致させるように未知端末3に可能な限り近い位置に基準端末4が設置されることが好ましい。
【0066】
まず、基準端末4が、既知端末2及び未知端末3のクロック部2b,3bのカウンタ値をリセットする命令を含む無線信号(リセット要求信号と呼ぶ)を送受信部4cによって無線送信(ブロードキャスト)する(S1)。
【0067】
リセット要求信号を送受信部2c,3cを介して受信した各既知端末2及び未知端末3が、クロック部2b,3bのカウンタ値をリセットした上で、リセット済み信号を送受信部2c,3cによって基準端末4に対して無線送信する(S2)。
【0068】
これにより、リセット要求信号を受信した各既知端末2及び未知端末3のカウンタが同期される(言い換えると、カウンタ値が揃えられる)。
【0069】
続いて、各既知端末2及び未知端末3からのリセット済み信号を送受信部4cを介して受信した基準端末4が、既知端末2及び未知端末3が音入力に対するスタンバイ状態を整える命令を含む無線信号(スタンバイ要求信号と呼ぶ)を送受信部4cによって無線送信(ブロードキャスト)する(S3)。
【0070】
スタンバイ要求信号を送受信部2c,3cを介して受信した各既知端末2及び未知端末3が、音波受信部2e,3eへの入力が予め定められた閾値(音閾値と呼ぶ)を超えた場合にカウンタ値を送信する準備を整えた上で、スタンバイ済み信号を送受信部2c,3cによって基準端末4に対して無線送信する(S4)。
【0071】
これにより、スタンバイ要求信号を受信した各既知端末2及び未知端末3が、音波受信部2e,3eへの入力が音閾値を超えた場合にカウンタ値を送信する準備が整えられた状態であるトリガ(即ち、入力された音の大きさが音閾値を超えること)待ち状態になる。
【0072】
なお、音閾値は、特定の値に限定されるものではなく、無線ネットワークが構築された場所やその周囲の環境などを考慮して適宜設定される。すなわち、無線ネットワークが構築された場所やその周囲において継続的・断続的に一定の音(背景音)が発せられる場合には、この背景音によっては音波受信部2e,3eへの入力が超えないような値に音閾値は設定される。
【0073】
ここで、各既知端末2及び未知端末3がトリガ待ち状態になるのは、各既知端末2及び未知端末3が自律的に行うようにしても良い。すなわち、S1の処理において無線送信されたリセット要求信号を受信した各既知端末2及び未知端末3が、クロック部2b,3bのカウンタ値をリセットし、続いてさらに、トリガ待ち状態を整えるようにしても良い。この場合には、S2の処理のような各既知端末2及び未知端末3によるリセット済み信号の無線送信は行われず、また、S3の処理のような基準端末4によるスタンバイ要求信号の無線送信も行われず、それらの代わりに、各既知端末2及び未知端末3がカウンタ値をリセットすると共にトリガ待ち状態を整えた上でスタンバイ済み信号を無線送信する。
【0074】
次に、各既知端末2及び未知端末3からのスタンバイ済み信号を送受信部4cを介して受信した基準端末4が、音波(基準音と呼ぶ)を音波発信部4eによって発信する(S5)。
【0075】
基準端末4から発信される基準音は、各既知端末2及び未知端末3の位置において音閾値を超える音として受信され得る音、例えば、各既知端末2及び未知端末3の音波受信部2e,3eが認識可能な音質(周波数)であると共に音閾値との関係で適当な大きさに調整された音であれば、特定の音に限定されるものではない。
【0076】
なお、基準端末4から発信される基準音は、超音波とすると超音波発振機からの伝搬距離が約1.5 m 程度と短いという制約があるため、可聴音域の音とすることが好ましい。基準端末4から発信される基準音は、また、音閾値を超える音が複数回入力されたと誤って認識されてしまうことを防ぐため、立ち上がりと収束とが急激である短時間のパルス的な音であることが好ましい。
【0077】
そして、各既知端末2及び未知端末3は、音波受信部2e,3eへの入力が音閾値を超える場合に、その時点のカウンタ値(即ち、音波入力時のカウンタ値:トリガ時カウンタ値と呼ぶ)を端末IDと共に送受信部2c,3cによってコーディネータ1に対して無線送信する(S6)。
【0078】
コーディネータ1は、各既知端末2A,2B,2Cから送信された端末ID及びトリガ時カウンタ値C
2A,C
2B,C
2C並びに未知端末3から送信された端末ID及びトリガ時カウンタ値C
3を受信すると共に、これら端末ID及びトリガ時カウンタ値C
2A,C
2B,C
2C,C
3のデータをセンサ端末位置の推定装置10に出力する。
【0079】
そして、センサ端末位置の推定装置10の制御部11のデータ入力受部11aは、各既知端末2A,2B,2Cのトリガ時カウンタ値C
2A,C
2B,C
2Cと未知端末3のトリガ時カウンタ値C
3とを端末IDと対応づけてメモリ15に記憶させる。
【0080】
ここで、上述のS1からS6までの手順によって得られる各既知端末2A,2B,2Cのトリガ時カウンタ値C
2A,C
2B,C
2Cと未知端末3のトリガ時カウンタ値C
3とを用いて未知端末3の位置を推定することができるものの、各既知端末2及び未知端末3のクロック部2b,3bから抽出されるトリガ時カウンタ値Cを用いるために未知端末3の位置推定の精度が各既知端末2及び未知端末3のカウンタの同期の良否に影響を受ける。ここで、各既知端末2及び未知端末3のクロック部2b,3bから抽出されるカウンタ値は、機器のクロック精度の個体差を主な要因として時間とともにドリフトしてしまう(言い換えると、各端末間でずれてしまう)。したがって、未知端末3の位置推定の精度を向上させるには、カウンタの同期精度を向上させるため、各既知端末2及び未知端末3のカウンタ値のドリフトを補正する(各既知端末2や未知端末3の内部における処理遅延(処理時間差)を補正する)ことが有効である。
【0081】
そこで、カウンタ値の補正に係る手順として、まず、基準端末4が、既知端末2及び未知端末3のクロック部2b,3bのカウンタ値をコーディネータ1に対して送信する命令を含む無線信号(カウンタ値要求信号と呼ぶ)を送受信部4cによって無線送信(ブロードキャスト)する(S7)。
【0082】
カウンタ値要求信号を送受信部2c,3cを介して受信した各既知端末2及び未知端末3は、クロック部2b,3bから抽出したカウンタ値(第一のカウンタ値と呼ぶ)を端末IDと共に送受信部2c,3cによってコーディネータ1に対して無線送信する(S8)。
【0083】
コーディネータ1は、各既知端末2A,2B,2Cから送信された端末ID及び第一のカウンタ値C
2A-1,C
2B-1,C
2C-1並びに未知端末3から送信された端末ID及び第一のカウンタ値C
3-1を受信すると共に、これら端末ID及び第一のカウンタ値C
2A-1,C
2B-1,C
2C-1,C
3-1のデータをセンサ端末位置の推定装置10に出力する。
【0084】
そして、センサ端末位置の推定装置10の制御部11のデータ入力受部11aは、各既知端末2A,2B,2Cの第一のカウンタ値C
2A-1,C
2B-1,C
2C-1と未知端末3の第一のカウンタ値C
3-1とを端末IDと対応づけてメモリ15に記憶させる。
【0085】
続いて、S7の処理(即ち、カウンタ値要求信号の送信)から所定の時間間隔t〔秒〕経過後に、基準端末4が、さらに、既知端末2及び未知端末3のクロック部2b,3bのカウンタ値をコーディネータ1に対して送信する命令を含む無線信号(カウンタ値要求信号)を送受信部4cによって無線送信(ブロードキャスト)する(S9)。
【0086】
なお、S7の処理からS9の処理までの時間間隔t〔秒〕、言い換えると、基準端末4によるカウンタ値要求信号の送信の時間間隔t〔秒〕は、特定の値に限られるものではなく、例えば5〜60〔秒〕程度の範囲で適宜設定される。
【0087】
カウンタ値要求信号を送受信部2c,3cを介して受信した各既知端末2及び未知端末3が、クロック部2b,3bから抽出したカウンタ値(第二のカウンタ値と呼ぶ)を端末IDと共に送受信部2c,3cによってコーディネータ1に対して無線送信する(S10)。
【0088】
コーディネータ1は、各既知端末2A,2B,2Cから送信された端末ID及び第二のカウンタ値C
2A-2,C
2B-2,C
2C-2並びに未知端末3から送信された端末ID及び第二のカウンタ値C
3-2を受信すると共に、これら端末ID及び第二のカウンタ値C
2A-2,C
2B-2,C
2C-2,C
3-2のデータをセンサ端末位置の推定装置10に出力する。
【0089】
そして、センサ端末位置の推定装置10の制御部11のデータ入力受部11aは、各既知端末2A,2B,2Cの第二のカウンタ値C
2A-2,C
2B-2,C
2C-2と未知端末3の第二のカウンタ値C
3-2とを端末IDと対応づけてメモリ15に記憶させる。
【0090】
次に、センサ端末位置の推定装置10が、各既知端末2,未知端末3毎に、端末IDをもとに識別しつつ、時間間隔tと第一のカウンタ値C
2A-1等及び第二のカウンタ値C
2A-2等とを用いてカウンタ誤差を算定する(S11)。
【0091】
カウンタ誤差は、各既知端末2及び未知端末3のクロック部2b,3bから抽出されるカウンタ値を実際の時間に補正するための指標であり、カウンタ値を実際の時間に補正し得る指標であれば、特定の指標に限定されるものではない。具体的には例えば、1カウンタ当たりの実際の時間との差であるカウンタ値当たりの誤差や、実際の時間とカウンタ値との比である時間カウンタ比などが考えられる。
【0092】
カウンタ値当たりの誤差であれば、具体的には例えば、既知端末2のクロック部2bのカウンタ速度(時間刻み,ピッチ)が1ミリ秒であるときに、時間間隔t=10〔秒〕における既知端末2Aの第二のカウンタ値C
2A-2と第一のカウンタ値C
2A-1との差分(即ち、C
2A-2−C
2A-1)が10018であれば、既知端末2Aのカウンタ値当たりの誤差δ
2A=(10018−10000)/10000=+0.0018〔ミリ秒/カウンタ〕になる。同様にして、既知端末2Bのカウンタ値当たりの誤差δ
2B及び既知端末2Cのカウンタ値当たりの誤差δ
2C並びに未知端末3のカウンタ値当たりの誤差δ
3が算定される。
【0093】
一方、時間カウンタ比であれば、具体的には例えば、既知端末2のクロック部2bのカウンタ速度(時間刻み,ピッチ)が1ミリ秒であるときに、時間間隔t=10〔秒〕における既知端末2Aの第二のカウンタ値C
2A-2と第一のカウンタ値C
2A-1との差分(即ち、C
2A-2−C
2A-1)が10018であれば、既知端末2Aの時間カウンタ比γ
2A=10000/10018〔ミリ秒/カウンタ〕になる。同様にして、既知端末2Bの時間カウンタ比γ
2B及び既知端末2Cの時間カウンタ比γ
2C並びに未知端末3の時間カウンタ比γ
3が算定される。
【0094】
具体的には、制御部11のカウンタ誤差算定部11bは、S8の処理においてメモリ15に記憶された各既知端末2A,2B,2Cの第一のカウンタ値C
2A-1,C
2B-1,C
2C-1と未知端末3の第一のカウンタ値C
3-1とを端末IDと合わせてメモリ15から読み込むと共に、S10の処理においてメモリ15に記憶された各既知端末2A,2B,2Cの第二のカウンタ値C
2A-2,C
2B-2,C
2C-2と未知端末3の第二のカウンタ値C
3-2とを端末IDと合わせてメモリ15から読み込み、これら第一のカウンタ値C
2A-1等及び第二のカウンタ値C
2A-2等と時間間隔tの値とを用いてカウンタ値当たりの誤差δや時間カウンタ比γなどのようなカウンタ誤差を既知端末2及び未知端末3毎に算定する。
【0095】
なお、時間間隔tの値は、例えば、予め定められてデータファイルとして記憶部12などに格納されて当該データファイルからカウンタ誤差算定部11bが読み込むようにしても良いし、S9の処理の際などに入力部13を介して入力された値がメモリ15に記憶されて当該メモリ15に記憶された値をカウンタ誤差算定部11bが読み込むようにしても良い。
【0096】
そして、カウンタ誤差算定部11bは、算定した各既知端末2A,2B,2Cのカウンタ誤差の値と未知端末3のカウンタ誤差の値とを端末IDと対応づけてメモリ15に記憶させる。
【0097】
なお、電波の伝搬速度を3×10
8 m/秒 とすると、例えば100 m の伝搬時間は約0.3マイクロ秒である。この伝搬時間は非常に短いので、各既知端末2及び未知端末3の位置の違いによる、基準端末4から各既知端末2及び未知端末3までの電波伝搬時間の差と各既知端末2及び未知端末3からコーディネータ1までの電波伝搬時間の差は無視し得るものである。
【0098】
次に、センサ端末位置の推定装置10が、S6の処理において各既知端末2及び未知端末3から送信されたトリガ時カウンタ値を、S11の処理において算定されたカウンタ誤差を用いて補正する(S12)。
【0099】
具体的には、制御部11のカウンタ値補正部11cは、S6の処理においてメモリ15に記憶された各既知端末2A,2B,2Cのトリガ時カウンタ値C
2A,C
2B,C
2C及び未知端末3のトリガ時カウンタ値C
3をメモリ15から読み込むと共に、S11の処理においてメモリ15に記憶された各既知端末2A,2B,2Cのカウンタ誤差の値及び未知端末3のカウンタ誤差の値をメモリ15から読み込む。
【0100】
そして、カウンタ値補正部11cは、各既知端末2,未知端末3毎に、トリガ時カウンタ値を実際の時間に補正して補正後トリガ時カウンタ値を算出する。
【0101】
例えば、カウンタ誤差の指標がカウンタ値当たりの誤差δである場合には、トリガ時カウンタ値から、1カウンタ値当たりδを引いて、補正後トリガ時カウンタ値を算出する(即ち、例えば既知端末2Aについては、補正後トリガ時カウンタ値C
2A_m=C
2A−δ
2A×C
2A)。
【0102】
一方、カウンタ誤差の指標が時間カウンタ比γである場合には、トリガ時カウンタ値と時間カウンタ比γとを掛け合わせて、補正後トリガ時カウンタ値を算出する(即ち、例えば既知端末2Aについては、補正後トリガ時カウンタ値C
2A_m=C
2A×γ
2A)。
【0103】
なお、カウンタ誤差を用いて補正された後のトリガ時カウンタ値である補正後トリガ時カウンタ値は、S1の処理におけるリセット要求信号に基づくS2の処理における各既知端末2及び未知端末3のクロック部2b,3bのカウンタ値をリセットしてからの実際の経過時間である。
【0104】
そして、カウンタ値補正部11cは、算出した各既知端末2A,2B,2Cの補正後トリガ時カウンタ値C
2A_m,C
2B_m,C
2C_m及び未知端末3の補正後トリガ時カウンタ値C
3_mを端末IDと対応づけてメモリ15に記憶させる。
【0105】
次に、センサ端末位置の推定装置10が、S12の処理において算出された各既知端末2及び未知端末3の補正後トリガ時カウンタ値を用い、端末IDをもとに識別しつつ、各既知端末2と未知端末3との間の距離Lを算出する(S13)。
【0106】
具体的には、基準端末4は未知端末3の位置に設置されるので、各既知端末2A,2B,2Cの補正後トリガ時カウンタ値C
2A_m,C
2B_m,C
2C_mと未知端末3の補正後トリガ時カウンタ値C
3_mとの差分(即ち、C
2A_m−C
3_m,C
2B_m−C
3_m,C
2C_m−C
3_m)は未知端末3から各既知端末2A,2B,2Cまでの音伝搬時間であるので、各既知端末2A,2B,2Cと未知端末3との間の距離L
2A,L
2B,L
2Cが音の伝搬速度(即ち、音速=約340 m/秒)を用いて算出される。
【0107】
そこで、制御部11の距離算出部11dは、S12の処理においてメモリ15に記憶された各既知端末2A,2B,2Cの補正後トリガ時カウンタ値C
2A_m,C
2B_m,C
2C_m及び未知端末3の補正後トリガ時カウンタ値C
3_mをメモリ15から読み込み、カウンタ値の差分(即ち、C
2A_m−C
3_m,C
2B_m−C
3_m,C
2C_m−C
3_m)に音速を掛け合わせて各既知端末2A,2B,2Cと未知端末3との間の距離L
2A,L
2B,L
2Cを算出する。
【0108】
そして、距離算出部11dは、算出した各既知端末2A,2B,2Cと未知端末3との間の距離L
2A,L
2B,L
2Cの値をメモリ15に記憶させる。
【0109】
そして、センサ端末位置の推定装置10が、各既知端末2と未知端末3との間の距離Lから、未知端末3の位置を推定する(S14)。
【0110】
具体的には、
図3に示す例のように各既知端末2A,2B,2Cと未知端末3とが同一平面上にあって当該平面上に於ける未知端末3の位置を推定する場合には、各既知端末2A,2B,2Cの位置(なお、これらは既知である)を中心とすると共に各々の半径がL
2A,L
2B,L
2Cである三つの円の交点として未知端末3の位置が推定される。具体的には例えば、三つの円の方程式を連立方程式として解く(数学的には尤もらしい解である場合も含む)ことによって未知端末3の位置が推定される。
【0111】
ただし、既知端末2との位置関係によって未知端末3の位置を絞り込むことができ、二つの円の方程式を連立方程式として解いて導出される二つの交点(即ち、未知端末3の位置座標の候補)のうちから既知端末3の位置を特定することができる場合には、既知端末2の個数は2個でも良く、二つの円の方程式を連立方程式として解くことによって未知端末3の位置を推定するようにしても良い。
【0112】
なお、既知端末2を4個以上用いるようにし、四つ以上の円の方程式を連立方程式として解くことにより、平面空間における未知端末3の位置の推定精度の向上を図ることができる。
【0113】
一方、既知端末と未知端末とが立体的に配置されていて高さを含めて未知端末の位置を推定する場合には、各既知端末の位置を中心とすると共に各々の半径が各既知端末と未知端末との間の距離である球の交点として未知端末の位置が推定される。具体的には例えば、既知端末を4個とし、四つの球の方程式を連立方程式として解く(数学的には尤もらしい解である場合も含む)ことによって未知端末の位置が推定される。
【0114】
ただし、既知端末との位置関係によって未知端末の位置を絞り込むことができ、三つの球の方程式を連立方程式として解いて導出される二つの交点(即ち、未知端末の位置座標の候補)のうちから既知端末の位置を特定することができる場合には、既知端末の個数は3個でも良く、三つの球の方程式を連立方程式として解くことによって未知端末の位置を推定するようにしても良い。
【0115】
なお、既知端末を5個以上用いるようにし、五つ以上の球の方程式を連立方程式として解くことにより、立体空間における未知端末の位置の推定精度の向上を図ることができる。
【0116】
制御部11の位置推定部11eは、記憶部12に予め格納されている既知端末位置データファイルから各既知端末2の位置(位置座標)を読み込むと共に、S13の処理においてメモリ15に記憶された各既知端末2A,2B,2Cと未知端末3との間の距離L
2A,L
2B,L
2Cの値をメモリ15から読み込み、これらを用いて(例えば上述のように円の連立方程式を解くことによって)未知端末3の位置を推定する。
【0117】
なお、上述の(1)の方法では、未知端末の位置において基準音を一度発するのみで良いという利点がある。
【0118】
(2)既知端末2の位置に基準端末4を設置して音を発生させる方法
次に、既知端末2の位置に基準端末4を設置し音を発生させて未知端末3の位置を推定する方法について説明する。
【0119】
この方法におけるセンサ端末位置の推定方法は、
図7及び
図10に示すように、複数の既知端末2とコーディネータ1とを含んで構成される無線センサネットワークにおいて未知端末3の位置を推定する方法であり、既知端末2と未知端末3とのクロック部2b,3bのカウンタ値がリセットされるステップ(S1)と、既知端末2の位置において音波が発信されるステップ(S5)と、音波の入力に応答して既知端末2及び未知端末3から音波入力時のカウンタ値がコーディネータ1に対して送信されるステップ(S6)と、所定の時間間隔t〔秒〕で複数回送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して既知端末2及び未知端末3から複数のカウンタ値がコーディネータ1に対して送信されるステップ(S7−S10)と、これら所定の時間間隔で送信されたカウンタ値同士の差分と所定の時間間隔tとを用いてカウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差が端末2,3毎に算定されるステップ(S11)と、既知端末2の音波入力時のカウンタ値と未知端末3の音波入力時のカウンタ値とのそれぞれがカウンタ誤差によって補正されるステップ(S12)と、未知端末3の補正された音波入力時のカウンタ値と既知端末2の補正された音波入力時のカウンタ値との差分に音の伝搬速度が掛け合わされて既知端末2と未知端末3との間の距離Lが算出されるステップ(S13)と、複数の既知端末2と未知端末3との間の距離Lを用いて未知端末3の位置が推定されるステップ(S15)とを有する。
【0120】
上記センサ端末位置の推定方法は、センサ端末位置の推定装置として実現され得る。本実施形態のセンサ端末位置の推定装置10は、複数の既知端末2とコーディネータ1とを含んで構成される無線センサネットワークにおいて未知端末3の位置を推定する装置であり、既知端末2と未知端末3とのクロック部2b,3bのカウンタ値がリセットされた上で既知端末2の位置において発信された音波の入力に応答して既知端末2及び未知端末3から送信されてコーディネータ1によって受信された音波入力時のカウンタ値の入力を受けると共に、所定の時間間隔t〔秒〕で複数回送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して既知端末2及び未知端末3から送信されてコーディネータ1によって受信された複数のカウンタ値の入力を受ける手段としてのデータ入力受部11aと、所定の時間間隔で送信されたカウンタ値同士の差分と所定の時間間隔tとを用いてカウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差を端末2,3毎に算定する手段としてのカウンタ誤差算定部11bと、既知端末2の音波入力時のカウンタ値と未知端末3の音波入力時のカウンタ値とのそれぞれをカウンタ誤差によって補正する手段としてのカウンタ値補正部11cと、未知端末3の補正された音波入力時のカウンタ値と既知端末2の補正された音波入力時のカウンタ値との差分に音の伝搬速度を掛け合わせて既知端末2と未知端末3との間の距離Lを算出する手段としての距離算出部11dと、複数の既知端末2と未知端末3との間の距離Lを用いて未知端末3の位置を推定する手段としての位置推定部11eとを備える。
【0121】
また、上記センサ端末位置の推定方法及びセンサ端末位置の推定装置は、センサ端末位置の推定プログラムをコンピュータ上で実行することによっても実現され得る。ここでは、センサ端末位置の推定プログラムをコンピュータ上で実行することによってセンサ端末位置の推定装置が実現されると共にセンサ端末位置の推定方法が実行される場合を説明する。
【0122】
センサ端末位置の推定プログラム17を実行するためのコンピュータ10(本実施形態では、センサ端末位置の推定装置10でもある)の全体構成を
図8に示す。このコンピュータ10(センサ端末位置の推定装置10)は、制御部11,記憶部12,入力部13,表示部14,メモリ15を備え相互にバス等の信号回線によって接続されている。
【0123】
コンピュータ10(センサ端末位置の推定装置10)を構成する制御部11,記憶部12,入力部13,表示部14,メモリ15の働きなどは上述の(1)の方法における説明と同様である。
【0124】
そして、コンピュータ10(本実施形態では、センサ端末位置の推定装置10でもある)の制御部11には、センサ端末位置の推定プログラム17を実行することにより、複数の既知端末2とコーディネータ1とを含んで構成される無線センサネットワークにおいて未知端末3の位置を推定するため、既知端末2と未知端末3とのクロック部2b,3bのカウンタ値がリセットされた上で既知端末2の位置において発信された音波の入力に応答して既知端末2及び未知端末3から送信されてコーディネータ1によって受信された音波入力時のカウンタ値の入力を受ける処理を行うと共に、所定の時間間隔t〔秒〕で複数回送信されたカウンタ値要求信号の入力に応答して既知端末2及び未知端末3から送信されてコーディネータ1によって受信された複数のカウンタ値の入力を受ける処理を行うデータ入力受部11aと、所定の時間間隔で送信されたカウンタ値同士の差分と所定の時間間隔tとを用いてカウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差を端末2,3毎に算定する処理を行うカウンタ誤差算定部11bと、既知端末2の音波入力時のカウンタ値と未知端末3の音波入力時のカウンタ値とのそれぞれをカウンタ誤差によって補正する処理を行うカウンタ値補正部11cと、未知端末3の補正された音波入力時のカウンタ値と既知端末2の補正された音波入力時のカウンタ値との差分に音の伝搬速度を掛け合わせて既知端末2と未知端末3との間の距離Lを算出する処理を行う距離算出部11dと、複数の既知端末2と未知端末3との間の距離Lを用いて未知端末3の位置を推定する処理を行う位置推定部11eとが構成される。
【0125】
また、コンピュータ10(センサ端末位置の推定装置10)に、データや制御指令等の信号の送受信(即ち、出入力)が可能であるように、コーディネータ1が電気的に接続される。
【0126】
また、各既知端末2の位置(具体的には、任意の点を原点とする位置座標)が、既知端末位置データファイルに端末IDと対応づけられて記録され、記憶部12に予め格納される。
【0127】
(2)の方法では、基準端末4が既知端末2のうちのいずれかの位置に設置され、そして基準端末4が設置される既知端末2が変更されながら、以下のS1からS13までの処理又はS5からS13までの処理が必要な回数繰り返し行われる。なお、以下の処理では基準端末4の位置を基準として未知端末3の位置が推定されることになるので、基準端末4の位置を位置が既知である既知端末2の位置と一致させるように既知端末2に可能な限り近い位置に基準端末4が設置されることが好ましい。
【0128】
以下の説明における既知端末2は、当該端末位置に基準端末4が設置された既知端末のこと、すなわち、既知端末2A,2B,2Cのうちのいずれか一つのことを指す。
【0129】
この方法では、また、センサ端末位置の推定装置10に、基準端末4が設置されて未知端末3との間の距離の算出対象である既知端末2(算出対象既知端末と呼ぶ)の端末IDが入力される。
【0130】
まず、基準端末4が、既知端末2及び未知端末3のクロック部2b,3bのカウンタ値をリセットする命令を含む無線信号(リセット要求信号と呼ぶ)を送受信部4cによって無線送信(ブロードキャスト)する(S1)。
【0131】
リセット要求信号を送受信部2c,3cを介して受信した既知端末2(少なくとも算出対象既知端末を含む)及び未知端末3が、クロック部2b,3bのカウンタ値をリセットした上で、リセット済み信号を送受信部2c,3cによって基準端末4に対して無線送信する(S2)。
【0132】
ここで、ブロードキャストした場合には算出対象既知端末以外の既知端末も受信したり受信信号に合わせて作動したりするが、以降の説明においては算出対象既知端末のみに着目する。なお、コーディネータ1は既知端末から送信される端末IDによって各既知端末を識別する。また、場合によっては、必要に応じて基準端末4も既知端末から送信される端末IDによって各既知端末を識別するようにしても良い。
【0133】
これにより、リセット要求信号を受信した算出対象既知端末2及び未知端末3のカウンタが同期される(言い換えると、カウンタ値が揃えられる)。
【0134】
続いて、算出対象既知端末2及び未知端末3からのリセット済み信号を送受信部4cを介して受信した基準端末4が、既知端末2及び未知端末3が音入力に対するスタンバイ状態を整える命令を含む無線信号(スタンバイ要求信号と呼ぶ)を送受信部4cによって無線送信(ブロードキャスト)する(S3)。
【0135】
スタンバイ要求信号を送受信部2c,3cを介して受信した算出対象既知端末2及び未知端末3が、音波受信部2e,3eへの入力が予め定められた閾値(音閾値と呼ぶ)を超えた場合にカウンタ値を送信する準備を整えた上で、スタンバイ済み信号を送受信部2c,3cによって基準端末4に対して無線送信する(S4)。
【0136】
これにより、スタンバイ要求信号を受信した算出対象既知端末2及び未知端末3が、音波受信部2e,3eへの入力が音閾値を超えた場合にカウンタ値を送信する準備が整えられた状態であるトリガ(即ち、入力された音の大きさが音閾値を超えること)待ち状態になる。
【0137】
音閾値の考え方は、上述の(1)の方法の説明におけるものと同様である。
【0138】
ここで、算出対象既知端末2及び未知端末3がトリガ待ち状態になるのは、算出対象既知端末2及び未知端末3が自律的に行うようにしても良い。すなわち、S1の処理において無線送信されたリセット要求信号を受信した算出対象既知端末2及び未知端末3が、クロック部2b,3bのカウンタ値をリセットし、続いてさらに、トリガ待ち状態を整えるようにしても良い。この場合には、S2の処理のような算出対象既知端末2及び未知端末3によるリセット済み信号の無線送信は行われず、また、S3の処理のような基準端末4によるスタンバイ要求信号の無線送信も行われず、それらの代わりに、算出対象既知端末2及び未知端末3がカウンタ値をリセットすると共にトリガ待ち状態を整えた上でスタンバイ済み信号を無線送信する。
【0139】
次に、算出対象既知端末2及び未知端末3からのスタンバイ済み信号を送受信部4cを介して受信した基準端末4が、音波(基準音と呼ぶ)を音波発信部4eによって発信する(S5)。
【0140】
基準音の考え方は、上述の(1)の方法の説明におけるものと同様である。
【0141】
そして、算出対象既知端末2及び未知端末3は、音波受信部2e,3eへの入力が音閾値を超える場合に、その時点のカウンタ値(即ち、音波入力時のカウンタ値:トリガ時カウンタ値と呼ぶ)を端末IDと共に送受信部2c,3cによってコーディネータ1に対して無線送信する(S6)。
【0142】
コーディネータ1は、既知端末2から送信された端末ID及びトリガ時カウンタ値C
2(具体的には、既知端末2Aのカウンタ値C
2A,既知端末2Bのカウンタ値C
2B,既知端末2Cのカウンタ値C
2Cのうちのいずれか)並びに未知端末3から送信された端末ID及びトリガ時カウンタ値C
3を受信すると共に、これら端末ID及びトリガ時カウンタ値C
2,C
3のデータをセンサ端末位置の推定装置10に出力する。
【0143】
そして、センサ端末位置の推定装置10の制御部11のデータ入力受部11aは、既知端末のトリガ時カウンタ値Cと未知端末3のトリガ時カウンタ値C
3とを端末IDと対応づけてメモリ15に記憶させる。
【0144】
次に、カウンタ値の補正に係る手順として、まず、基準端末4が、既知端末2及び未知端末3のクロック部2b,3bのカウンタ値をコーディネータ1に対して送信する命令を含む無線信号(カウンタ値要求信号と呼ぶ)を送受信部4cによって無線送信(ブロードキャスト)する(S7)。
【0145】
カウンタ値要求信号を送受信部2c,3cを介して受信した算出対象既知端末2及び未知端末3は、クロック部2b,3bから抽出したカウンタ値(第一のカウンタ値と呼ぶ)を端末IDと共に送受信部2c,3cによってコーディネータ1に対して無線送信する(S8)。
【0146】
コーディネータ1は、算出対象既知端末2から送信された端末ID及び第一のカウンタ値C
2-1(具体的には、既知端末2Aのカウンタ値C
2A-1,既知端末2Bのカウンタ値C
2B-1,既知端末2Cのカウンタ値C
2C-1のうちのいずれか)並びに未知端末3から送信された端末ID及び第一のカウンタ値C
3-1を受信すると共に、これら端末ID及び第一のカウンタ値C
2-1,C
3-1のデータをセンサ端末位置の推定装置10に出力する。
【0147】
そして、センサ端末位置の推定装置10の制御部11のデータ入力受部11aは、算出対象既知端末2の第一のカウンタ値C
2-1と未知端末3の第一のカウンタ値C
3-1とを端末IDと対応づけてメモリ15に記憶させる。
【0148】
続いて、S7の処理(即ち、カウンタ値要求信号の送信)から所定の時間間隔t〔秒〕経過後に、基準端末4が、さらに、既知端末2及び未知端末3のクロック部2b,3bのカウンタ値をコーディネータ1に対して送信する命令を含む無線信号(カウンタ値要求信号)を送受信部4cによって無線送信(ブロードキャスト)する(S9)。
【0149】
時間間隔tの考え方は、上述の(1)の方法の説明におけるものと同様である。
【0150】
カウンタ値要求信号を送受信部2c,3cを介して受信した算出対象既知端末2及び未知端末3が、クロック部2b,3bから抽出したカウンタ値(第二のカウンタ値と呼ぶ)を端末IDと共に送受信部2c,3cによってコーディネータ1に対して無線送信する(S10)。
【0151】
コーディネータ1は、算出対象既知端末2から送信された端末ID及び第二のカウンタ値C
2-2(具体的には、既知端末2Aのカウンタ値C
2A-2,既知端末2Bのカウンタ値C
2B-2,既知端末2Cのカウンタ値C
2C-2のうちのいずれか)並びに未知端末3から送信された端末ID及び第二のカウンタ値C
3-2を受信すると共に、これら端末ID及び第二のカウンタ値C
2-2,C
3-2のデータをセンサ端末位置の推定装置10に出力する。
【0152】
そして、センサ端末位置の推定装置10の制御部11のデータ入力受部11aは、算出対象既知端末2の第二のカウンタ値C
2-2と未知端末3の第二のカウンタ値C
3-2とを端末IDと対応づけてメモリ15に記憶させる。
【0153】
次に、センサ端末位置の推定装置10が、算出対象既知端末2,未知端末3毎に、端末IDをもとに識別しつつ、時間間隔tと第一のカウンタ値C
2-1及び第二のカウンタ値C
2-2とを用いてカウンタ誤差を算定する(S11)。
【0154】
カウンタ誤差の考え方は上述の(1)の方法の説明におけるものと同様であり、具体的には例えば、カウンタ値当たりの誤差δや時間カウンタ比γなどが考えられる。
【0155】
制御部11のカウンタ誤差算定部11bは、S8の処理においてメモリ15に記憶された算出対象既知端末2の第一のカウンタ値C
2-1と未知端末3の第一のカウンタ値C
3-1とを端末IDと合わせてメモリ15から読み込むと共に、S10の処理においてメモリ15に記憶された算出対象既知端末2の第二のカウンタ値C
2-2と未知端末3の第二のカウンタ値C
3-2とを端末IDと合わせてメモリ15から読み込み、これら第一のカウンタ値C
2-1,C
3-1及び第二のカウンタ値C
2-2,C
3-2と時間間隔tの値とを用いてカウンタ値当たりの誤差δや時間カウンタ比γなどのようなカウンタ誤差を算出対象既知端末2及び未知端末3毎に算定する。
【0156】
なお、時間間隔tの値は、例えば、予め定められてデータファイルとして記憶部12などに格納されて当該データファイルからカウンタ誤差算定部11bが読み込むようにしても良いし、S9の処理の際などに入力部13を介して入力された値がメモリ15に記憶されて当該メモリ15に記憶された値をカウンタ誤差算定部11bが読み込むようにしても良い。
【0157】
そして、カウンタ誤差算定部11bは、算定した算出対象既知端末2のカウンタ誤差の値と未知端末3のカウンタ誤差の値とを端末IDと対応づけてメモリ15に記憶させる。
【0158】
次に、センサ端末位置の推定装置10が、S6の処理において算出対象既知端末2及び未知端末3から送信されたトリガ時カウンタ値を、S11の処理において算定されたカウンタ誤差を用いて補正する(S12)。
【0159】
具体的には、制御部11のカウンタ値補正部11cは、S6の処理においてメモリ15に記憶された算出対象既知端末2のトリガ時カウンタ値C
2及び未知端末3のトリガ時カウンタ値C
3をメモリ15から読み込むと共に、S11の処理においてメモリ15に記憶された算出対象既知端末2のカウンタ誤差の値及び未知端末3のカウンタ誤差の値をメモリ15から読み込む。
【0160】
そして、カウンタ値補正部11cは、算出対象既知端末2,未知端末3毎に、トリガ時カウンタ値を実際の時間に補正して補正後トリガ時カウンタ値を算出する。
【0161】
補正後トリガ時カウンタ値の算出の仕方は、上述の(1)の方法の説明におけるものと同様である。
【0162】
そして、カウンタ値補正部11cは、算出した算出対象既知端末2の補正後トリガ時カウンタ値C
2_m(具体的には、C
2A_m,C
2B_m,C
2C_mのうちのいずれか)及び未知端末3の補正後トリガ時カウンタ値C
3_mを端末IDと対応づけてメモリ15に記憶させる。
【0163】
次に、センサ端末位置の推定装置10が、S12の処理において算出された算出対象既知端末2及び未知端末3の補正後トリガ時カウンタ値を用い、算出対象既知端末2と未知端末3との間の距離Lを算出する(S13)。
【0164】
具体的には、基準端末4は算出対象既知端末2の位置に設置されるので、未知端末3の補正後トリガ時カウンタ値C
3_mと算出対象既知端末2の補正後トリガ時カウンタ値C
2_mとの差分(即ち、C
3_m−C
2_m)は算出対象既知端末2から未知端末3までの音伝搬時間であるので、算出対象既知端末2と未知端末3との間の距離L(具体的には、L
2A,L
2B,L
2Cのうちのいずれか)が音の伝搬速度(即ち、音速=約340 m/秒)を用いて算出される。
【0165】
そこで、制御部11の距離算出部11dは、S12の処理においてメモリ15に記憶された算出対象既知端末2の補正後トリガ時カウンタ値C
2_m及び未知端末3の補正後トリガ時カウンタ値C
3_mをメモリ15から読み込み、カウンタ値の差分(即ち、C
3_m−C
2_m)に音速を掛け合わせて算出対象既知端末2と未知端末3との間の距離Lを算出する。
【0166】
そして、距離算出部11dは、算出した既知端末2と未知端末3との間の距離Lの値をメモリ15に記憶させる。
【0167】
上述のS1からS13までの処理又はS5からS13までの処理が、基準端末4が設置される既知端末2が変更されながら(即ち、算出対象既知端末とされる既知端末2が変更されながら)、必要な回数繰り返し行われる(S14:Yes)。
【0168】
具体的には、
図9に示す例のように既知端末2と未知端末3とが同一平面上にあって当該平面上に於ける未知端末3の位置を推定する場合には、原則として三回以上繰り返され、三つ以上の既知端末2と未知端末3との間の距離の値が算出されてメモリ15に記憶される。
【0169】
ただし、既知端末2との位置関係によって未知端末3の位置を絞り込むことができ、次のS15の処理において二つの円の方程式を連立方程式として解いて導出される二つの交点(即ち、未知端末3の位置座標の候補)のうちから既知端末3の位置を特定することができる場合には、既知端末2の個数は2個でも良く、上述のS1からS13までの処理又はS5からS13までの処理を二回だけ繰り返し、次のS15の処理において二つの円の方程式を連立方程式として解くことによって未知端末3の位置を推定するようにしても良い。
【0170】
なお、既知端末2を4個以上用いるようにし、上述のS1からS13までの処理又はS5からS13までの処理を四回以上繰り返し、次のS15の処理において四つ以上の円の方程式を連立方程式として解くことにより、平面空間における未知端末3の位置の推定精度の向上を図ることができる。
【0171】
一方、既知端末と未知端末とが立体的に配置されていて高さを含めて未知端末の位置を推定する場合には、原則として四回以上繰り返され、四つ以上の既知端末と未知端末との間の距離Lの値が算出されてメモリ15に記憶される。
【0172】
ただし、既知端末との位置関係によって未知端末の位置を絞り込むことができ、次のS15の処理において三つの球の方程式を連立方程式として解いて導出される二つの交点(即ち、未知端末の位置座標の候補)のうちから既知端末の位置を特定することができる場合には、既知端末の個数は3個でも良く、上述のS1からS13までの処理又はS5からS13までの処理を三回だけ繰り返し、次のS15の処理において三つの球の方程式を連立方程式として解くことによって未知端末の位置を推定するようにしても良い。
【0173】
なお、既知端末を5個以上用いるようにし、上述のS1からS13までの処理又はS5からS13までの処理を四回以上繰り返し、次のS15の処理において五つ以上の球の方程式を連立方程式として解くことにより、立体空間における未知端末の位置の推定精度の向上を図ることができる。
【0174】
ここでは、
図9に示す例の場合として、基準端末4が設置される既知端末が既知端末2A,既知端末2B,既知端末2Cと変更されながら、上述のS1からS13までの処理が三回繰り返され、三つの既知端末2A,2B,2Cと未知端末3との間の距離L
2A,L
2B,L
2Cが算出されてその値がメモリ15に記憶される。
【0175】
なお、S1の処理におけるリセット要求信号の無線送信(ブロードキャスト)によって各既知端末2がクロック部2b,3bのカウンタ値をリセットすると共にS3の処理におけるスタンバイ要求信号の無線送信(ブロードキャスト)によって各既知端末がトリガ待ち状態を整えるようにすれば、基準端末4が設置される既知端末2が変更されるたびにS1からS4までの処理を繰り返す必要はなく、すなわち、S5からS13までの処理が繰り返されれば良い。
【0176】
そして、未知端末3の位置の推定に必要な数(また、未知端末の位置の推定精度の向上に必要な数)の既知端末2と未知端末3との間の距離Lが算出されたら(S14:No)、次のS15の処理に進む。
【0177】
そして、センサ端末位置の推定装置10が、複数の既知端末2と未知端末3との間の距離Lから、未知端末3の位置を推定する(S15)。
【0178】
具体的には、
図9に示す例のように三つの既知端末2A,2B,2Cと未知端末3とが同一平面上にあって当該平面上に於ける未知端末3の位置を推定する場合には、三つの既知端末2A,2B,2Cの位置(なお、これらは既知である)を中心とすると共に各々の半径がL
2A,L
2B,L
2Cである三つの円の交点として未知端末3の位置が推定される。具体的には例えば、三つの円の方程式を連立方程式として解く(数学的には尤もらしい解である場合も含む)ことによって未知端末3の位置が推定される。
【0179】
そこで、制御部11の位置推定部11eは、記憶部12に予め格納されている既知端末位置データファイルから三つの既知端末2の位置(位置座標)を読み込むと共に、S13の処理においてメモリ15に記憶された三つの既知端末2A,2B,2Cと未知端末3との間の距離L
2A,L
2B,L
2Cの値をメモリ15から読み込み、これらを用いて(例えば上述のように円の連立方程式を解くことによって)未知端末3の位置を推定する。
【0180】
なお、一般化をすると、複数の既知端末と未知端末とが同一平面上にあって当該平面上に於ける未知端末の位置を推定する場合には、基準端末が設置される既知端末が変更されながら上述のS1からS13までの処理又はS5からS13までの処理が三回以上繰り返され、三個以上の既知端末の位置(なお、これらは既知である)を中心とすると共に各々の半径が各既知端末と未知端末との間の距離である三つ以上の円の交点として未知端末の位置が推定される。具体的には例えば、三つ以上の円の方程式を連立方程式として解く(数学的には尤もらしい解である場合も含む)ことによって未知端末の位置が推定される。
【0181】
ただし、既知端末との位置関係によって未知端末の位置を絞り込むことができ、二つの円の方程式を連立方程式として解いて導出される二つの交点(即ち、未知端末の位置座標の候補)のうちから既知端末の位置を特定することができる場合には、基準端末が設置される既知端末が変更されながら上述のS1からS13までの処理又はS5からS13までの処理が二回繰り返され、二つの円の方程式を連立方程式として解くことによって未知端末3の位置を推定するようにしても良い。
【0182】
なお、基準端末が設置される既知端末が変更されながら上述のS1からS13までの処理又はS5からS13までの処理が四回以上繰り返され、四つ以上の円の方程式を連立方程式として解くことにより、平面空間における未知端末3の位置の推定精度の向上を図ることができる。
【0183】
一方、既知端末と未知端末とが立体的に配置されていて高さを含めて未知端末の位置を推定する場合には、基準端末が設置される既知端末が変更されながら上述のS1からS13までの処理又はS5からS13までの処理が四回以上繰り返され、四個以上の既知端末の位置を中心とすると共に各々の半径が各既知端末と未知端末との間の距離である四つ以上の球の交点として未知端末の位置が推定される。具体的には例えば、四つ以上の球の方程式を連立方程式として解く(数学的には尤もらしい解である場合も含む)ことによって未知端末の位置が推定される。
【0184】
ただし、既知端末との位置関係によって未知端末の位置を絞り込むことができ、三つの球の方程式を連立方程式として解いて導出される二つの交点(即ち、未知端末の位置座標の候補)のうちから既知端末の位置を特定することができる場合には、基準端末が設置される既知端末が変更されながら上述のS1からS13までの処理又はS5からS13までの処理が三回繰り返され、三つの球の方程式を連立方程式として解くことによって未知端末の位置を推定するようにしても良い。
【0185】
なお、基準端末が設置される既知端末が変更されながら上述のS1からS13までの処理又はS5からS13までの処理が五回以上繰り返され、、五つ以上の球の方程式を連立方程式として解くことにより、立体空間における未知端末の位置の推定精度の向上を図ることができる。
【0186】
なお、上述の(2)の方法では、上述のS1からS13までの処理又はS5からS13までの処理を必要な回数繰り返し行うことにより、S15の処理において複数の未知端末の位置を一括して推定することができるという利点がある。
【0187】
以上のように構成されたセンサ端末位置の推定方法、推定装置及び推定プログラムによれば、既知端末2及び未知端末3から送信されるカウンタ値と実際の時間間隔t〔秒〕とを用いてカウンタ値を実際の時間に補正するための指標であるカウンタ誤差を端末2,3毎に算定し、当該カウンタ誤差を用いて既知端末2及び未知端末3の音波入力時のカウンタ値を補正するようにしているので、既知端末2の音波入力時のカウンタ値と未知端末3の音波入力時のカウンタ値との差分は両端末2,3間の実際の音伝搬時間であり、したがって、既知端末2の音波入力時のカウンタ値(補正後)と未知端末3の音波入力時のカウンタ値(補正後)との差分に音の伝搬速度を掛け合わせることによって両端末2,3間の距離Lを正確に推定することが可能になる。
【0188】
以上のように構成されたセンサ端末位置の推定方法、推定装置及び推定プログラムによれば、また、未知端末3の位置の推定は音波の発信と受信とによって行うことができるので、特別に高度・高価な機器を用いることなく、無線センサネットワークを構成するセンサ端末の位置を簡便な装置構成で且つ精度良く推定することが可能になる。
【0189】
なお、上述の(1)の方法や(2)の方法を実施する形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では無線ネットワークを構成するコーディネータ1,既知端末2,未知端末3とは別個の(言い換えると、無線ネットワークを構成する上で必須要素ではない)機器の基準端末4を準備して音波を発信するようにしているが、これに限られず、(1)の方法の場合には未知端末3が音波を発信する機能を備えるようにして音波を発信するようにしても良いし、(2)の方法の場合には各既知端末2が音波を発信する機能を備えるようにして音波を発信するようにしても良い。
【0190】
また、上述の実施形態では基準端末4がリセット要求信号の無線送信(S1)とリセット済み信号の受信及びスタンバイ要求信号の無線送信(S3)とスタンバイ済み信号の受信(S5)と第一・第二カウンタ値要求信号の無線送信(S7,S9)とを行うようにしているが、これに限られず、これら信号の無線送信の一部若しくは全てをコーディネータ1が行うと共にそれに対応する信号の受信をコーディネータ1が行うようにしても良い。なお、上記信号の無線送信の全てをコーディネータ1が行う場合には、基準端末4は音波発信機能を有すれば良い。
【0191】
また、上述の実施形態では基準端末4がリセット要求信号の無線送信を行って(S1)当該信号を受信した既知端末2及び未知端末3がクロック部2b,3bのカウンタ値をリセットしてリセット済み信号を基準端末4に対して無線送信する(S2)ようにしているが、これに限られず、S1の処理として基準端末4(若しくはコーディネータ1)がカウンタ値要求信号の無線送信を行い、S2の処理として当該信号を受信した既知端末2及び未知端末3がクロック部2b,3bのカウンタ値をコーディネータ1に対して無線送信するようにしても良い。この場合には、S2の処理として送信される既知端末2及び未知端末3のカウンタ値を初期カウンタ値C
2A_0,C
2B_0,C
2C_0,C
3_0とし、S6の処理において送信されるトリガ時カウンタ値C
2A,C
2B,C
2C,C
3から初期カウンタ値C
2A_0,C
2B_0,C
2C_0,C
3_0を引いたカウンタ値(即ち、C
2A−C
2A_0,C
2B−C
2B_0,C
2C−C
2C_0,C
3−C
3_0)を上述の実施形態の説明におけるトリガ時カウンタ値として用いれば良い。
【0192】
また、上述の実施形態では基準端末4が音波を発信して(S5)当該音波を受信した既知端末2及び未知端末3がトリガ時カウンタ値をコーディネータ1に送信して(S6)からカウンタ値の補正に係る手順(S7−S10)を行うようにしているが、これに限られず、
図11に示すように、カウンタ値の補正に係る手順(S5'−S8')を行ってから、基準端末4が音波を発信して(S9')当該音波を受信した既知端末2及び未知端末3がトリガ時カウンタ値をコーディネータ1に送信する(S10')ようにしても良い。なお、この場合でも、S11以降の処理内容は上述の実施形態におけるものと同様である。
【0193】
また、上述の実施形態ではカウンタ値の補正に係る手順としてカウンタ値要求信号の送信及びカウンタ値の送信を二回繰り返して(即ち、S7及びS8とS9及びS10との二回)時間間隔t〔秒〕とカウンタ値の差分とを用いてカウンタ誤差を算定する(S11)ようにしているが、これに限られず、カウンタ値の補正に係る手順としてカウンタ値要求信号の送信及びカウンタ値の送信を三回以上繰り返し、時間間隔t〔秒〕とカウンタ値の差分との組合せを複数用いてカウンタ誤差を算定するようにしても良い。なお、具体的には例えば、時間間隔t〔秒〕とカウンタ値の差分との組合せのそれぞれから算定されるカウンタ誤差の平均値を用いたり中央値を用いたりすることが考えられる。また、この場合の時間間隔tは、一定でも良いし、変化しても良い。カウンタ誤差の平均値を用いたり中央値を用いたりする場合には、カウンタ値を取得するタイミングに伴う誤差(具体的には例えば、カウンタ値で±1〜2カウント程度が想定される)が生じることがあり得るが、この誤差の影響を軽減することができるので、カウンタ誤差をより一層適切な値(真値に近い値)にすることが可能になる。
【0194】
また、上述の実施形態ではカウンタ値の補正に係る手順としてカウンタ値要求信号の送信を時間間隔t〔秒〕だけ隔てて二回行う(S7及びS9)ようにしているが、これに限られず、
図12に示すように、S1の処理におけるリセット要求信号の送信から時間間隔tを開始させてカウンタ値要求信号の送信を一回だけ行う(S7)ようにしても良い。この場合には、S9及びS10の処理は不要になり、カウンタ値要求信号の応答として送信されるカウンタ値(S8)をS11の処理におけるカウンタ値の差分としてそのまま用いれば良い。
【0195】
そして、上述のような実施形態の変更を組み合わせることも勿論可能であり、具体的には例えば
図13に示すような処理手順も考えられる。すなわち、まず、基準端末4(若しくはコーディネータ1)がカウンタ値要求信号を無線送信(ブロードキャスト)し(S'1:上述の実施形態のS7に対応する処理)、カウンタ値要求信号を受信した既知端末2及び未知端末3が初期カウンタ値をコーディネータ1に対して無線送信し(S'2:同S8に対応)、S'1の処理から時間間隔t〔秒〕経過後に基準端末4(若しくはコーディネータ1)がカウンタ値要求信号を無線送信(ブロードキャスト)し(S'3:同S9に対応)、カウンタ値要求信号を受信した既知端末2及び未知端末3が第二のカウンタ値をコーディネータ1に対して無線送信する(S'4:同S10に対応)。これにより、上述の実施形態における第一のカウンタ値と第二のカウンタ値とに相当するカウンタ値が取得される。次に、基準端末4(若しくはコーディネータ1)がスタンバイ要求信号を無線送信(ブロードキャスト)し(S'5:同S3に対応)、スタンバイ要求信号を受信した既知端末2及び未知端末3がスタンバイ済み信号を基準端末4(若しくはコーディネータ1)に無線送信する(S'6:同S4に対応)。続いて、基準端末4が音波を発信し(S'7:同S5に対応)、既知端末2及び未知端末3が音波入力時のカウンタ値をコーディネータ1に対して無線送信する(S'8:同S6に対応)ようにしても良い。この場合には、S'2の処理として送信される既知端末2及び未知端末3の初期カウンタ値を第一のカウンタ値C
2A-1,C
2B-1,C
2C-1,C
3-1とすると共にS'4の処理として送信される既知端末2及び未知端末3の第二のカウンタ値を第二のカウンタ値C
2A-2,C
2B-2,C
2C-2,C
3-2とし、また、S'8の処理において送信される音波入力時のカウンタ値C
2A,C
2B,C
2C,C
3から初期カウンタ値(第一のカウンタ値)C
2A-1,C
2B-1,C
2C-1,C
3-1を引いたカウンタ値(即ち、C
2A−C
2A-1,C
2B−C
2B-1,C
2C−C
2C-1,C
3−C
3-1)をトリガ時カウンタ値として用いれば良い。そして、上記S'8の処理に続けて、上述の実施形態におけるS11以降の処理を同様に行えば良い。